2025年2月期 第3四半期 [決算ハイライト]
藤本泰輔氏(以下、藤本):みなさま、こんにちは。取締役執行役員CFOの藤本です。本日は、2025年2月期第3四半期の決算説明会にご参加いただき、ありがとうございます。
さっそく説明を始めます。まず、ハイライトはスライドに記載の3点です。
1点目に、売上・利益ともに前期を上回るかたちで推移しました。第2四半期までにお伝えしていたとおり、前期は大型案件の影響もあり非常に強い数字だったため、前期を超えるハードルは高かったものの、第3四半期においても堅調に推移し、増収増益ならびに過去最高益を達成しています。
2点目に、データエンパワーメント(DE)クラウドが順調に成長しています。当社はクラウド事業の成長に注力していますが、「Dr.Sum Cloud」「MotionBoard Cloud」ともにDXやデータ活用の追い風を受け、大企業を中心に受注が好調に推移している状況です。
3点目に、株式会社シムトップスと資本業務提携を締結しました。こちらは後ほど詳細をご説明します。
シムトップスは製造業向けのITソリューションを提供しており、その領域で大きな強みを持つ会社です。これまでも連携はしていましたが、同社が保有する製造現場帳票の電子化ソリューションの「i-Reporter」と当社の「MotionBoard」の連携を今後さらに強化していきたいと考えています。
そのような背景から、今回22.7パーセントの出資を実行しました。
2025年2月期 第3四半期 [決算ハイライト]
続いて損益の状況です。
売上収益は216億1,000万円で、前年同期比で9.8パーセント増と2桁近い成長を達成しています。特にBDSにおいては、「SVF」が堅調だったことに加え、2024年5月に買収したトライサーブの収益も計上されており、大きく伸びています。
EBITDA、当期利益といった利益指標に関しても、それぞれ5.6パーセント、4.5パーセントの増益となり、非常に堅調に推移している状況です。
2025年2月期 第3四半期 [EBITDAの増減要因]
スライドの図は、EBITDAの増減要因です。大きな要素として、売上の増加が挙げられます。20億円程度の増収に対し、費用は15億円程度増加しているものの、しっかりとコストコントロールをしつつ、収益性を維持している状況です。
2025年2月期 第3四半期 [ソリューション別売上収益]
ソリューション別の売上収益についてご説明します。スライド左側に示しているのはBDSです。先ほど少し触れたとおり、「SVF」の実績が120億円に迫る勢いとなっています。これは大企業および中央官庁、もしくは地方自治体といった公共セクターからの受注が、引き続き非常に強いため、前年同期比で8.7パーセントの増収となりました。
もう1つの成長ドライバーである「invoiceAgent」についても、第2四半期においては前期の大型案件の反動等があり減収となりましたが、当第3四半期においては前年同期比4.2パーセント増と、増収を確保している状況です。
「その他」については、トライサーブの売上収益が6億円程度あり、大きく増加しています。
スライド右側に示しているのはDEソリューションです。「Dr.Sum」は2桁成長となり、第2四半期に引き続き大企業、中堅企業からの引き合いが強くなっています。
「MotionBoard」については、冒頭でお伝えしたとおり、クラウド事業は非常に堅調に推移しているものの、オンプレミスのソフトウェアライセンスに関しては前期の大型案件があった反動影響がある状況です。
「その他」には、コンサルティングサービスやインテグレーションサービスが含まれますが、こちらも前年に引き続き引き合いが強い状況となっています。
2025年2月期 第3四半期 [Topics:BDS]
ソリューションごとのトピックスをご説明します。まず、BDSについてです。
スライド左側の「SVF Cloud」に関しては、社数・売上収益ともに順調に伸びてきています。スライド右側の「SVF(ライセンス/サービス)」に関しては、今期も非常に強い状況となっており、50億円を超える、第3四半期としては過去最高の売上収益を計上しました。
2025年2月期 第3四半期 [Topics:DE]
次に、DEについてご説明します。
冒頭でお伝えしたとおり、「MotionBoard Cloud」は社数・売上収益ともに右肩上がりで順調に推移しています。加えて、「Dr.Sum Cloud」は売上収益はまだ3億5,000万円弱ですが、社数は非常に高い伸びを示しており、クラウド型のデータウェアハウスの需要は非常に強くなっていると実感しています。
2025年2月期 第3四半期 [契約区分別売上収益]
続いて、契約区分別の売上収益についてご説明します。
まず、ライセンス/サービスは9.5パーセント増で、引き続き「SVF」を中心にライセンス需要は非常に底堅い状況が続いています。
当社が注力しているリカーリングは2桁成長となっており、特に牽引しているのがクラウド、サブスクリプションです。このあとプロダクトごとにご説明しますが、クラウドに関しては24.5パーセント増と、高い成長率を維持しています。
加えて、サブスクリプションも非常に強い引き合いがある状況です。
保守継続率については、安定的に成長しています。第1四半期、第2四半期でも少し触れましたが、「SVF」での大型保守の剥落影響があったことから、一時的に継続率の低下がみられましたが徐々に回復してきています。こちらについても最終的には昨年と近い水準の継続率を維持できるだろうと考えています。
2025年2月期 第3四半期 [リカーリング収益推移]
スライドは、リカーリング収益推移を示しています。
2025年2月期 第3四半期 [クラウドサービス成長率]
続いて、クラウドサービス成長率についてご説明します。どのサービスにおいても2桁以上の成長率となっています。
特に「invoiceAgent」、「Dr.Sum Cloud」は、50パーセントを超える成長率を維持しています。まだまだ大企業を中心に需要があると思っており、今後も期待できる領域です。
「MotionBoard Cloud」も売上収益は13億円近くで、第3四半期においても15パーセントから16パーセントの成長となっています。冒頭でお伝えしたとおり、DXの追い風を受け、「MotionBoard Cloud」がデータ活用の需要をしっかりと捉えていると評価しています。
2025年2月期 第3四半期 [利益指標]
利益指標についてご説明します。EBITDA、当期利益ともにマージンは少し落ちているものの、EBITDAに関しては35パーセントから36パーセントを維持しています。当期利益に関しても、20パーセント以上のマージンを維持しています。
第2四半期から連結しているトライサーブはSIerで当社に比べると収益性が低いこともあり、全社のマージンに多少影響しているものの、当社のオーガニックなソフトウェアビジネスにおいてはこれまでどおり高い収益性を維持している状況です。
2025年2月期 第3四半期 [財務健全性]
財務健全性についてご説明します。これまで同様に、大変強いキャッシュフローが続いており、ネットキャッシュに転じて以降も、引き続き安定的な財務改善が図られている状況です。
事業ハイライト
続いて、事業ハイライトについて少しご説明します。
まず「invoiceAgent」についてです。昨年秋のIR Dayでもビジネスドキュメント(BD)事業の責任者からお話ししましたが、このようなデジタル帳票基盤構築に向けた機能強化を図っています。
昨年「invoiceAgent Cloud」のエンタープライズ版をリリースしています。今回はスライドに記載しているとおり、大規模な案件を一括運用することが可能になる機能を強化しています。注文書や納品書等商取引に必要な帳票の管理・運用がインタラクティブに、効率的な運用が出来るよう改善しています。
もう1点、DEから挙げているのは、セゾンテクノロジーが提供するHULFTというデータ転送クラウドサービスとの協業でデータマネジメント部分の連携強化を進めています。
同社が開示している情報によるとHULFTは1万社以上の導入があるということで、当社としては今後のデータ活用において非常に期待できる連携になると思っています。
事業ハイライト [株式会社シムトップスとの資本業務提携]
シムトップス社との業務提携についてご説明します。当社は、2024年11月にシムトップス社の株式の22.7パーセントを取得し、資本業務提携契約を締結しています。
DE事業において、当社は製造業に強く、製造現場で「MotionBoard」や「Dr.Sum」が使われる例が多くありました。
事業ハイライト [株式会社シムトップスとの資本業務提携]
今回、シムトップス社が提供する「i-Reporter」や「DIRECTOR6」という、工場の製造現場の電子化ソリューションと、当社の「MotionBoard」を連携させることでより製造現場の効率化が図れると思っています。
製造業での浸透率が高いシムトップス社との提携により、製造業での当社のさらなる展開が期待できると考えています。
注力事業の進捗 [BDS] invoiceAgent
注力事業の進捗についてご説明します。まず、「invoiceAgent」です。スライド左側のグラフの青い部分は、クラウドを示しています。こちらは順調に成長しています。ライセンスを含む灰色部分は、昨年の大型案件の反動で落ちてはいるものの、「invoiceAgent」全体としては増収を確保しています。
スライド右側に示している契約社数においても、869社と順調に積み上がってきています。一方で、当初の目標である1,000社〜1,100社については少し厳しい状況です。当社は大企業を中心に展開活動を行っている影響もあり、売上は順調に伸びているものの、社数については当初の目標に届かない可能性が出てきています。
注力事業の進捗 [DE] DEクラウド
続いてDEクラウドです。スライド右側に記載のとおり、スリーシェイク社のクラウド型データ連携ツールとの連携も行っています。「HULFT Square」と同様、クラウドでのデータマネジメントサービスとの連携を広げているところです。
戦略投資の状況
戦略投資の状況です。期初において当期は戦略投資としては17億5,000万円を投下する計画を立てていますが、現時点で70パーセント程度の進捗となっており、計画どおりに進めています。
2025年2月期 [業績予想]
業績予想についてご説明します。スライドに記載のとおり、期初ガイダンスでは売上収益276億円、EBITDA94億7,000万円を掲げていました。
今回決算発表とともに、業績予想の修正を発表しています。売上収益は285億円で前年比10.7パーセントの増収、ガイダンスに対して3.3パーセントの増加を見込んでいます。EBITDAは94億7,000万円から95億6,000万円と、前年比11.2パーセントの増益、ガイダンスに対して1.0パーセントの増加を見込んでいます。
今回の業績予想修正の要因として、トライサーブを買収した影響が大きいものの、当社のオーガニックなビジネスも非常に堅調に推移しています。そのため、これらの数字が現時点でコミットする目標であることは当然ながら、さらなるアップサイドを狙えるポジションにいると思っています。
2025年2月期 [配当予想] 記念配当の実施
併せて、今回は配当予想も修正しています。当初は第2四半期末および期末配当は、一株当たり42円としていました。
しかし、今回は資本効率の改善や当社創業20周年ということもあり、記念配当一株当たり20円を加え、期末配当を一株当たり62円、年間配当を一株当たり104円としています。この修正によって、現時点のガイダンスに対する配当性向は60パーセント程度になる見込みです。
私からの説明は以上となります。
質疑応答:今後の「invoiceAgent」の伸長に関する考え方について
質問者:「invoiceAgent」は増収し、クラウドも順調とのことですが、第1四半期から3ヶ月単位で表面的な数字を見ると、5億円台半ばを横ばいで推移している状況です。昨年の反動もあるかと思いますが、そろそろ一巡感も出てくるようなタイミングであれば、もう少し伸びてもよかったのではないかと思っています。
先ほど「大企業向けに注力しているためになかなか伸びない」というお話がありました。引き合いの状況や反動面以外の部分でマーケットで何か変化が起こっているのか、あるいは御社の戦略上、大企業向けは時間がかかるため来期以降に期待するというお話なのか、そのあたりのニュアンスについて教えてください。
藤本:「invoiceAgent」に関してご説明すると、当社としては成長ドライバーとして注力するビジネスとなっているため、より成長させたい期待はあります。ご質問のとおり、今期は昨年の電子帳簿保存法やインボイス制度の大きな反動が出ていることは事実です。
一方で当社は、もともとそのようなイベントや法改正よりも、大企業を中心としたDXや生産性向上のような領域が非常に得意であることから、そこに対するプロダクト開発や機能強化を進めています。
そのうちの1つがデジタル帳票基盤の機能強化です。昨年は法対応に追われ、少し遅れている部分があったことは事実ですが、現在はそれを巻き返している段階です。
この取り組みに関して当社としては、非常に手応えを感じているところでもあります。また、未だに大企業からの需要が強いため、現時点では少しスローダウンしているように見えるものの、来期に向けてまだまだ期待できるプロダクトだと思っています。
数字だけ見ると、前期に発生した公共の大型案件の影響もありライセンス部分が大きく減収し、全体では4.2パーセントの増収にとどまっているものの、クラウドのみだと50パーセント程度伸びています。
また、昨年、当社は「invoiceAgent cloud」のエンタープライズ版をリリースしました。まだまだ需要の掘り起こしができると考えているため、今後の状況を見ていただければと思います。
質疑応答:通期予想の上方修正の内容について
質問者:通期予想における上方修正について質問です。トライサーブの業績を織り込んだことによる影響がメインであるというお話でした。
修正幅を見ると、確かにほとんどトライサーブの分として説明できてしまうように見えており、オーガニックな部分は期初予想からあまり変わっていないのではないかと思ってしまいます。
オーガニックの部分で期初予想と比べてプラスだったところ、あるいはマイナスだったところがあれば教えてください。修正予想になにが反映されているか、あらためてお聞きしたいです。
藤本:結果的な数字としては、おっしゃるとおりトライサーブの売上収益が乗っているように見えていると思います。ただし、中身は少し期初の想定から変化しているところもあります。
まず、「SVF」のライセンスは非常に堅調に推移しており、期初予想よりも上振れている状況です。一方で「SVF」の保守は大型案件の剥落について、期初からある程度は見込んでいたものの、カバーに多少時間を要していることが影響しています。
また、「invoiceAgent」について、ライセンスのところで昨年の大型案件をもう少しカバーしたかったのは事実です。
したがって、DEクラウドは堅調であるものの、「invoiceAgent」のライセンスや、「SVF」の保守の大型案件の剥落などが少し影響した結果、現在の修正予想となっています。
ただし、先ほどご説明したとおり、足元の流入はまだまだ非常に強いため、期末に向けてさらにアップサイドが狙えるポジションにあると見ています。
質疑応答:「invoiceAgent」の契約社数の未達要因について
質問者:「invoiceAgent」について、スライド21ページに「契約社数は堅調に推移するも当期の目標1,000から1,100社達成は厳しい」と記載されています。これはインボイス制度の反動が期初の想定よりも大きかったのか、あるいはネットワーク効果が想定よりも効いていないために遅れているのかなど、要因を教えてください。
藤本:おっしゃるとおり、計画策定時のパイプラインにはまだ電子帳簿保存法の改正による影響がありました。ある程度期待していましたが、企業の関心やIT投資が次のフェーズに移っているというのは要因の1つとしてあると思います。
また、当社としては比較的大企業の案件が多いため、受注までに多少時間がかかっているということもあると思います。大企業の基幹システムに関わる部分のデジタル化は大規模な案件になり得ますが、当初の想定よりも時間がかかっています。
また、現在、無償で使っているアカウントが40万程度ありますが、そのようなアカウントに向けての取り組みが少し遅れており、ネットワーク効果や有償化について、当初の想定よりも遅れていると評価しています。
質問者:今後の方針としては、有償利用の契約社数を引き続き充実させていく考えなのか、あるいは大型案件を狙うことで売上収益を伸ばすことを優先的に取り組む考えなのか、どちらでしょうか。
藤本:あえてどちらか1つを選ぶとすれば、大企業の大型案件を取りにいきたいというのが我々の考えです。
現在進めている案件の中で、大規模なものが出てきているのは事実です。それに対応する機能強化版として、昨年「invoiceAgent Enterprise Cloud」をリリースしており、提案数も徐々に増加してきています。まずは大企業を押さえることが優先されると思います。
その先には、大企業のサプライチェーンである企業への展開があります。当初はそのような企業への展開を、できれば4年目あたりから進めたいと考えていましたが、少し遅れているのは事実です。
しかし、現在は、当社の得意領域である大企業の大規模案件を獲得していくことが優先だと考えています。
質疑応答:来期の投資の考え方について
質問者:3ヶ年で55億円の計画で、今期も戦略投資を実行していますが、来期の投資の考え方についてお聞かせください。
マージンの改善を重視するということは、投資額としてはアクセルの踏み込みを緩めるイメージでしょうか? あるいはトップラインの成長も重要とのことで、ある程度は投資に踏み込む可能性もあるのでしょうか?
投資とマージン改善のバランスについて、考えをうかがえればと思います。
藤本:おっしゃるとおり、3年間で55億円の計画は、今年度が最終年度です。今期の17億5,000万円の中で、例えば開発エンジニアやマーケティングの外注など、当社としてはある程度継続したい投資も多くあります。
したがって、戦略投資と銘打ってはいるものの、17億5,000万円が来期大幅に下がることは想定していません。
一方で、スライド右下に記載されているように、人員採用はこの3年間でかなり行っています。人員の充足はだいぶできてきたため、当期についてはこの下期からスローダウンさせています。
昨年、一昨年は100名近く採用してきており、施策費等はある程度残るものの、採用についてはスローダウンし、トップラインにレバレッジをかけて収益性を上げていきます。来年以降はそのような方向にできればと思っています。
質疑応答:2027年2月期目標の見通しと来期の配当について
質問者:2点質問があります。1点目は、現状2027年2月期中期経営目標の見通しについてです。売上ミックスなどが変わってきていますが、どのように見ていますでしょうか?
2点目は、配当についてです。今期は記念配当として、増配は素晴らしいと思いました。基本は累進配当の方針と思われますが、来期の配当に対する考え方を教えてください。
藤本:まず、2027年2月期の、中計最終年度にむけての当社の見方についてです。おっしゃるとおり、当初の想定よりミックスが変わっているのは事実です。
本来であれば、ソフトウェアライセンスがもう少しクラウドに移行し、そちらが伸びると想定していました。しかし、今の日本のIT環境において、大企業を中心にオンプレミスライセンスの需要が強い状況は、当面大きくは変わらないと思っています。
かといって、クラウドが伸びていないかというと、そのようなわけでもありません。当初の伸びに比べると少し弱い部分があるものの、しっかり伸びてきているのは、当社の強みかと思っています。
オンプレミスとクラウドの両方を提供することで、お客さまのニーズをしっかりと捉えられていると思っているため、中計最終年度の売上320億円、EBITDA120億円に対しては、しっかりと進捗してきていると評価しています。当然、2027年2月期の達成確度は高まっていると思っています。
2点目の配当についてですが、当社は株主還元を非常に重要視しており、今回は記念配当を出しています。来期の計画はこれからで、社内でも議論しているところです。
当社は毎年の増収増益・配当の増配を目指しており、来期の配当に関しても今期を超えることを目指しています。ただし、記念配当を含めた数値に対して増配できるかどうかは、まだまだ社内議論中です。
質疑応答:大株主との取り組みとその収益貢献のタイミングについて
質問者:大株主との取り組みで何か進んでいることはありますか? また、そのような収益貢献がどのようなタイミングで見込まれるかを教えてください。
藤本:大株主というのは、伊藤忠グループ、東芝と理解して回答します。
まず、伊藤忠グループとはCTCを含め、販売協力関係が非常に強固になってきています。CTCはもともと当社のパートナーではありましたが、資本業務提携をしてから販売強化を行っています。
当社の販売パートナーは主に販売額によってカテゴリーがありますが、CTCは現時点においては、最も上のカテゴリーとなっており、「invoiceAgent」等当社プロダクトを積極的に販売していただけるよう、当社の事業部門や営業部門と協力関係を築きながら販売を強化しています。こちらは提携以降かなり進んでおり、現時点でも変わっていない状況です。
東芝においても同じような状況です。当社の株主である東芝デジタルソリューションズは、もともと当社のパートナーでした。彼らが提供する製造向けソリューションに「MotionBoard」が組み込まれたり、「Generalist」という業務ソリューションの中に「MotionBoard」が入ったりといったプロダクト連携も行っています。
このように販売連携を進めているため、両社からの売上流入はかなり増えており、また当社からも積極的に技術提供を行っている関係にあります。したがって、当初の資本業務提携の目的や方向性に沿って進められていると評価しています。
質問者:東芝とはプロダクト連携のような動きがあるということですが、伊藤忠グループやCTCとは、共同でのプロダクト開発などはありますか?
藤本:「invoiceAgent」をスケールし、両社で伊藤忠グループに展開する際、CTCとの共同でいわゆるプロダクトマーケットフィットに取り組みました。その効果もあって、「invoiceAgent」のプロダクト開発や既存プロダクト強化に大きく寄与できたのではないかと思っています。
CTCはSIerであることから、自社のプロダクトよりも当社のプロダクトをブラッシュアップして強化するために、お互いの大きなリソースを注ぎ込んだという状況です。
質疑応答:企業の投資における優先順位とその影響について
司会者:「先ほど『invoiceAgent』未達の理由として、企業の優先順位における変化の趣旨に言及された印象を受けています。こちらについて、企業が『invoiceAgent』以外に目を向けているのかを確認したいです。例えば、企業は生成AIへの投資などを優先しているということでしょうか?」というご質問です。
藤本:推測も入っていますが、まず、企業側では昨年かなり重視していた法対応が一巡したことで、当該領域への投資が少しスローダウンしている部分があると思います。
ご質問にあったとおり、生成AIのような領域は、企業の投資領域としても非常に大きいのではないかと思っています。ただ、当社の業務アプリケーションなど、基幹システムまわりへの投資が生成AI等への投資に取って代わられているかというと、そこまで大きな影響は感じていません。
これは当社の考えではありますが、いったんは法改正が終わり、現在は次のDXや生産性向上への手立てを検討している状況ではないかと思っています。
まだIT投資の手を緩めているわけではなく、むしろ、次のDX等の領域では当社のプロダクトが非常に刺さるのではないかと思います。今後、大企業での基幹システム刷新と相まって、当社のシステムが入り込む余地はまだまだあるのではないかと考えています。