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青野友弘氏:バリオセキュア株式会社、執行役員社長室長の青野です。2025年2月期第3四半期の決算説明についてご説明します。
当社をほとんどご存じない方も多くいらっしゃるかと思います。そこでまず、当社がどのような会社なのかという会社概要をお伝えした後、2025年2月期第3四半期の決算概要、2025年2月期業績予想に対する進捗状況、2025年2月期第3四半期のトピックス、中期成長戦略の順にお話しします。
会社概要
会社概要です。当社は創業20年以上の老舗の国産セキュリティメーカーです。従業員数は全体で100名弱、本社は東京で、大阪と福岡に事務所を構えています。
2020年に東京証券取引所市場第2部に上場し、現在はスタンダード市場銘柄となっています。
事業内容は、単一セグメントの事業構成で、インターネットセキュリティサービスを提供する国産メーカーです。インターネットからの攻撃や内部ネットワークへの侵入行為、ウイルスの感染やデータの盗用という各種脅威から法人顧客のネットワークを守ります。
事業上の特徴としては、24時間365日、お客さまに代わって運用管理・保守を行う体制を保持していること、強力な販売代理店網を構築していること、継続的に月額で手数料を頂戴するビジネスモデルであることなどが挙げられます。
「Vario Ultimate ZERO」のラインナップ
月額で手数料をいただく事業が、事業全体の売上高の9割弱を占めています。この事業で当社が開発、販売している製品を表にまとめました。
スライドの表の左から2列目には「守るべきもの」という切り口で、単純化して記載しています。この製品群全体を「Vario Ultimate ZERO(バリオアルティメットゼロ)」として統一ブランド化しています。
この「Vario Ultimate ZERO」を導入していただくと、必ずセットで付いてくるものが、表の右側の「どうやって守るか」に記載した「Security Operation Center(SOC)」です。
「SOC」では24時間365日、当社の提供する製品を通じて法人顧客のネットワークを監視し、セキュリティ脅威に対して迅速に対応する体制を維持しています。また、有事の際には47都道府県、全国へ駆けつける体制も備えています。
サービス構成図
スライドの図は、「Vario Ultimate ZERO」の製品ラインナップをネットワークの図で表現したものです。多少粗いまとめ方になっているところもありますが、当社が提供しているセキュリティ製品が何を守っているのかをわかりやすく示しています。
図の左上をご覧ください。先ほどの表と同様に、「SOC」がお客さまの事業や資産を守るため、ネットワーク全体を監視しています。その下には、「守るべきもの」の切り口で「ネットワークアクセスを守る」「社内LANを守る」「ファイルを守る」「パソコンを守る」の4つの領域があります。これらの各領域に対応する当社の製品があり、それを「SOC」付きで提供しています。
事業概要 – 業務領域
別の切り口で当社「Vario Ultimate ZERO」の製品群を見てみます。業界で一般的なセキュリティのフレームワークを当てはめた時に、各フレームのすべてに対応する製品をラインナップしていることがご理解いただけるかと思います。
このフレームワークは、脅威の特定、攻撃の防御と同時に攻撃の検知を行い、場合によっては攻撃を受けた端末をネットワークから自動的に切り離すなどの対応を行います。また、必要に応じてデータバックアップなどを通じた復旧プロセスも備えています。当社はこれらの各プロセスに対応する製品を提供するとともに、全プロセスに対して運用管理サービスの「SOC」を提供しています。
統合型インターネットセキュリティサービスのビジネスモデル
「Vario Ultimate ZERO」をはじめとした製品群をどのように販売しているか、商流についてご説明します。当社のセキュリティ製品は直販が少なく、主に販売代理店を通じ、ネット回線に付帯するセキュリティサービスとして販売しています。
販売代理店と契約を締結し、販売代理店のブランドでのOEM提供や、販売代理店が当社ブランドで販売する形態で展開しています。つまり、販売代理店を通じ、エンドユーザーの法人顧客に製品とサービスを提供しています。
マネージドセキュリティサービス 強力な販売チャネル
当社製品の販売代理店は、通信キャリア、SIer、電力系通信会社等です。OEMパートナーとして、直近では30社以上の販売代理店と販売代理店契約を締結し、強力な販売網を構築しています。
当社の競争優位性
当社の競争優位性として、激化・高度化するサイバー攻撃と複雑化するセキュリティ対策を丸ごと任せられる点が挙げられます。当社が提供する「Vario Ultimate ZERO」ブランドのサービスの特徴は、「SOC」による24時間365日の運用管理・保守と全国への駆けつけ体制の保持という点にあります。
市場シェア
当社の市場でのポジションをご説明します。ITR社の調べによると、インターネットと社内ネットワークとの境界にUTMという防御機器を設置・運用・監視するサービス市場において、従業員1,000名未満の会社規模で、当社はトップシェアを誇っています。特に中小規模の企業に対して大きなシェアを占めています。
また、当社のビジネスモデルは、「ひとり情シス」という言葉もあるように、情報システム部門に予算や人員を割くことができず、会社の中に情報システム部門が存在していない、あるいは情報システム関連業務を総務部門が兼務している企業をターゲットとしています。
そのような企業は、自社でセキュリティに必要な人員を整えることなく、当社にすべて任せることができます。そのため、特に従業員100名未満の中小企業が、当社の主要なターゲットとなっています。
2025年2月期第3四半期(3/1~11/30)決算ハイライト・重要な業績指標
第3四半期の決算についてお伝えします。こちらは第3四半期までのハイライトです。
売上収益は20億700万円、前年同期比101.7パーセント、営業利益は3億9,100万円、前年同期比89.7パーセント、四半期利益は2億6,000万円、前年同期比90.3パーセントでした。
ストック型の売上比率は前年同期と同水準で87.5パーセント、エンドユーザー拠点数は前年同期比で264拠点の増加、第3四半期の3ヶ月間の解約率は前年同水準という結果になっています。
2025年2月期第3四半期 財政状態
第3四半期末時点の財政状況です。資産合計は75億7,700万円、負債合計は17億6,700万円、資本合計は58億1,000万円と、前期末に比べて大きな変動はありません。
全体的な傾向としては、継続的な収益の積み上げと借入金の返済によって自己資本比率が徐々に上昇しています。その他の財務指標についても、特段変化はありません。
2025年2月期第3四半期(3/1~11/30)サービス別業績
サービス別の業績状況です。月額課金型のビジネスモデルであるマネージドセキュリティサービスは、パソコンを守るEDR等の売上収益伸長により増収でした。
一方、売切型のビジネスであるインテグレーションサービスは、第3四半期に一時的な販売減少があり、第3四半期までの累計期間では前年同水準となりました。
2つの区分がある売上収益の構成比については、従前から大きな変化はなく、主力である月額課金型のマネージドセキュリティサービスが87.5パーセントを占めています。
マネージドセキュリティサービス概況 ①解約率の推移
重要指標である契約の解約率は、ご覧のとおり低位で推移しています。第3四半期3ヶ月間の解約率は0.62パーセントと、低水準でした。
マネージドセキュリティサービス概況 ②エンドユーザー拠点数の推移
重要指標と認識しているエンドユーザーの拠点数については、長期傾向として堅調に増加しており、安定的な収益基盤を下支えしています。
2025年2月期業績予想の進捗状況
2025年2月期の業績予想と、それに対する進捗状況です。今期の業績予想は、売上収益は27億5,300万円、営業利益は4億8,500万円、当期純利益は3億3,600万円となっています。前期実績に対して増収減益の計画ですが、減益は成長投資のためであり、人員の増員が主な要因です。
これに対して第3四半期までの進捗状況は、売上高、営業利益、当期利益の進捗率とも堅調で、特に利益面は順調に推移していると認識しています。
2025年2月期 3Qトピックス
第3四半期のトピックスです。第3四半期の期間中は、スライド左側に記載のとおり、製造業、建設業、医療業といった各種イベントへ出展しました。
また、スライド右側にあるように、HEROZグループの、当社とは兄弟会社にあたるVOIQ株式会社の営業支援サービスを導入するなど、テレフォンアポイントメントによるアプローチを実施しました。
ネットワークセキュリティビジネス市場の動向
最後に中期成長戦略についてお伝えします。まずは市場動向です。当社が属するネットワークセキュリティビジネスの市場規模は、2021年の5,800億円弱から、2027年には8,700億円弱へと拡大することが予測されています。
さらに、先ほど当社の新たなセキュリティソリューションとしてお伝えした「Vario Ultimate ZERO」が属するゼロトラストセキュリティ製品市場については、全体の市場の伸長よりも大きく伸びることが予測されています。
これは在宅勤務の増加をはじめとする社外勤務の一般化やクラウドサービスの利用拡大、サイバー攻撃の高度化など、さまざまな影響を受け、セキュリティのトレンドが境界防御型から、侵入を前提として何者をも信頼せずにすべてを検証する「ゼロトラスト」という考え方に沿ったセキュリティへと変化してきていることに起因します。
中期経営方針 ~当社の今後の方向性~
先の市場環境も踏まえ、当社ではスライドで示す3つを中期経営方針として掲げています。方針の1つ目は24時間365日の運用・管理、全国駆けつけ体制の強化です。こちらが一番の肝で、まずはここを伸ばしていきます。
2つ目は成長セキュリティ市場への参入です。「Vario Ultimate ZERO」をはじめとして成長市場へ参入し、当社の事業成長につなげていきます。
3つ目は、顧客ニーズにフォーカスした新たな販売体制の構築です。代理店販売網に加え、直販体制の構築を目標に掲げています。
中期経営方針に沿ったM&A戦略
これら3つの方針に沿って、自社単独での強化よりもメリットを確保できる場合には、積極的にM&Aを推進していきます。メインターゲットをセキュリティ関連のIT会社と設定し、各方針を踏まえたターゲット会社を言語化した上で、待つのではなく、案件の発掘を図っていきたいと考えています。
中期経営目標
中期的な取り組みの目標として、2027年2月期決算においては、売上高37億6,300万円、営業利益9億2,000万円を目指しています。現状から非常に背伸びした目標ですが、中期経営方針に沿った取り組みを着実に実行し、達成していきます。
本日の決算説明は以上です。最後までご視聴いただき、誠にありがとうございました。今後とも、当社をよろしくお願いいたします。