本日の内容

大西暁子(以下、大西):本日は当社の説明会をご視聴いただき、誠にありがとうございます。当社の強みや魅力を、1人でも多くの投資家のみなさまにお伝えできればと思っていますので、どうぞ最後までよろしくお願いします。

本日お話ししたい内容は、会社概要、当社のビジネスモデルとあるべき姿、日本国土開発の強み、そしてPBR向上策と株主還元についてご説明します。

動画をご覧ください

大西:会社概要です。まず、こちらの動画をご覧ください。

「トンガレコクド」は当社の長期ビジョンであり、社会課題を解決する先端の建設企業のキャッチコピーです。当社の事業活動についてイメージしていただけましたでしょうか?

当社ではSNSを通じ、当社の現場や業務の紹介、時にはマニアックな建設技術など、さまざまな情報発信を行っています。

会社概要

大西:当社概要をご説明します。当社は、創業73年の総合建設業の会社で、いわゆるゼネコンです。従業員は連結で1,050名弱になります。社員一同、「わが社はもっと豊かな社会づくりに貢献する」という経営理念のもと、土木・建築の建設業や不動産開発、再生可能エネルギー事業を展開しています。

当社の歩み

大西:当社は、戦後の荒廃した国土の復興を目的に、1951年(昭和26年)に設立されました。人力頼みだった建設工事に機械化施工を普及させるという使命を持ち、ブルドーザーなどの重機と、それを操作するオペレーターをレンタルする事業からスタートしています。

そして、1953年に台風被害に遭った京都・桂川の河川復旧工事を手がけたことを皮切りに、「機械力」を強みとし、黒部第4ダムの大町ルート工事や、6ページに画像を載せている横須賀火力発電所の造成工事などを受注し、請負業への転身が進みました。

この時代の当社のアーカイブ映像を「昭和ワープトンネル」と題し、毎月公開しています。スライド左下のQRコードから入り、ぜひご覧ください。

増井麻里子氏(以下、増井):今ご説明いただいた1951年からのお話について、創業のきっかけと社名に込められた思いを教えていただけますか?

大西:当社の初代会長かつ実質的な創業者である高木陸郎が、1949年に親交のあった当時の吉田茂首相に日本の土木施工法を機械化しなければならないということ、そして建設業を近代化するためには民間企業を設立しなければならないということを具申したと聞いています。それがきっかけで当社は創業しています。

増井:「国土」というのは、まさに「国土復興」の意味があるのでしょうか?

大西:そうですね。社名にも「荒廃した国土の復興」という思いが込められています。

そして、1960年代に入ると、東名高速道路をはじめ、東海道新幹線などの日本の高度成長を代表する公共インフラ整備に関わるようになります。1962年には建築部門や不動産部門を新設し、総合建設会社として業容を拡大していきます。

しかし、バブル崩壊により、建設工事の発注減、不動産価格の下落などが要因となり、1999年に会社更生法の適用を受け、上場廃止という苦難の道を進むことになりました。

会社更生は2003年に終結し、そこからまた新しい日本国土開発がスタートしています。

当社の歩み

大西:2011年に発生した東日本大震災において、我々は創業時の「国土復興」に立ち戻り、被災地の復旧復興に取り組んでいきます。特に福島県南相馬市では、福島第一原発事故による除染処理業務を担ったほか、津波により被害を受けた河川堤防の修復工事、防災公園の整備などを手がけました。

また、2013年からは自社事業として太陽光発電事業に参入し、現在は100メガワットの発電出力を持つ事業に成長しています。

そして、2019年に悲願だった東証一部への再上場を果たし、現在では東証プライムに上場しています。

増井:御社ではこれまで事業領域を拡大されてきましたが、新規事業を始めるにあたって、どのような考え方があったのか、教えていただけますか? 

大西:先ほど「トンガレコクド」についてご紹介したとおり、長期ビジョンで社会課題を解決する先端の建設企業を目指しています。そのため、建設のノウハウや知見を活かした領域での事業創出を行っています。

増井:素材面の事業にも取り組まれていると聞きました。

大西:インフラリニューアルに使える素材を当社は独自技術で持っています。こちらの実績が積み上がってきたため、いよいよ製造販売に向けて工場の設立を開始しています。

増井:つまり、あくまでも御社にノウハウや知見がある得意分野から派生した取り組みということですね。

大西:おっしゃるとおりです。

事業ポートフォリオ

大西:当社の事業ポートフォリオです。現在は土木事業、建築事業、関連事業という3つのセグメントで事業を展開しています。

土木事業では、ダムや河川、トンネル、道路、上下水道の造成工事などの社会基盤整備関連工事を行っています。建築事業では、主に住宅、事務所、店舗、工場、倉庫などの設計・施工を行います。関連事業では、不動産開発事業と再生可能エネルギー事業を展開しています。

当社の事業年度は、毎年6月1日から翌年の5月31日までとなっており、前期である2024年5月期の売上高は1,357億円でした。

増井:今の事業ポートフォリオを将来的にはどのようなかたちにしていきたいですか? ビジョンについて、お話しいただけますでしょうか?

大西:土木事業、建築事業に次ぐ第3の柱として、関連事業を伸ばしてきています。今ご覧いただいている事業ポートフォリオは売上高の配分となっていますが、関連事業がかなり伸びており、利益面ではもう少し配分も高い状況となっています。

また、これからさらに第4、第5の柱となるような新規事業を立ち上げていきたいと思っています。先ほどご説明した、建設業において活躍する素材事業も伸ばしていけるのではないかと期待しています。

国内外拠点と主要グループ会社

大西:国内外の拠点と主要グループ会社についてです。国内では、東京本社と全国5支店、13ヶ所の営業所や出張所を設置しています。また、R&Dの拠点となる「つくばみらいセンター」も有しています。海外では、台湾とバングラデシュに支店を置いて事業活動を行っています。

主要グループ会社である、国土開発工業は重機土工の専門施工会社です。自社で重機を保有しているほか、シールドマシンや土質改良機の開発、製造、販売を行っています。

コクドビルエースは建築物のリニューアル、リノベーションに特化した会社です。食品工場の改修や耐震補強などに強みを持っています。

福島エコクリートは、石炭火力発電所から出る石炭灰をリサイクルした再生砕石などの製造、販売を行っています。海洋工業は、地盤改良工事の専門会社です。

過去12年間の業績推移

大西:当社業績の状況として、過去12年間の業績推移をご説明します。2014年5月期から東日本大震災の復興事業が本格化し、建築事業では超高層建築などの新しい分野に進出したことによって業績を伸ばしています。2018年5月期の営業利益は156億円に達しました。

ただ、震災復興事業が収束することは見越していたため、不動産開発事業や再生可能エネルギー事業に資源を投入し、事業ポートフォリオ改革を推進してきました。

しかし、2024年5月期に外部環境の変化や事業管理の問題など複数の要因が重なり、94億円の大幅損失を計上することとなりました。

前期損失要因と今期への影響

大西:前期の大幅損失の要因と、今期への影響について詳しくご説明します。スライド左側の表のセグメント利益のとおり、前期は土木事業と建築事業で大きな損失を計上しました。

土木事業においては、前々期にあたる2023年5月期に特定大型造成現場において是正工事、つまり工事のやり直しがありました。

その現場の工程遅延を回避するために、前期は昼夜施工による突貫工事などを行い、追加費用が発生し、大幅な工事損失を計上しました。工事はおおむね完了しており、引き渡しに向けて対応中です。今期への影響は軽微だと考えています。

建築事業は、受注拡大にチャレンジしたものの十分な経営資源を投入できず、物価高騰や資材不足の影響も重なり、不採算現場が複数発生したことで収益が悪化しました。この不採算現場のほとんどは前期のうちに竣工しており、今期業績への影響はありません。

土木事業、建築事業で起こったことに対し、再発防止策をしっかりと実施し、スライド左側の表の太枠部分のとおり、2025年5月期の営業利益40億円を必達目標とし、全社一丸で取り組んでいます。

増井:前期の損失要因についての質問です。土木事業の特定大型造成現場とは、どのようなものなのでしょうか? 

大西:申し訳ありませんが、個別の現場については、工事の詳細をお答えすることを控えています。

増井:造成工事は、整地とは異なるものなのでしょうか? 

大西:おっしゃるとおりです。造成とは、盛り土や切り土により地形を変更する工事で、樹木の伐採や伐根など、大規模な土の切り盛りを行う工事を指します。

次に、建築事業についての質問です。不採算現場が複数発生してしまったということですが、その後、どのような対策を講じていますか?

大西:不採算現場の複数発生については、高い目標設定と想定を超えるような物価スライド、物価高騰がありました。そのような要因が重なり、今回大幅な損失となっています。一方で、資源を投入できなかったこともあって、事業の現場管理が手薄になるところがありました。

対策については、まず施工統括部という組織を新設し、指揮命令系統を一本化しています。加えて、現場管理の強化を徹底しています。

また、資材高に対しては、契約の段階で物価スライド条項を導入し、資材高が起こった場合には協議に応じてもらうかたちで案件を進めています。

増井:物価スライドには上も下もあるかと思います。下がった時には、下げることになりますか? 

大西:もちろんです。上がった時のみならず、下がった時にも協議に応じることになります。

増井:利益率は安定していくということでしょうか? 

大西:おっしゃるとおりです。スライドが起こった時には、それを工事費に転嫁できるため、安定していきます。

中期経営計画の見直し

大西:前期の大幅損失を受け、現在進行中の「中期経営計画2024」の計数目標は、スライドのとおり見直しています。いったんしゃがんで、体制の見直しと再構築を行っているとご理解ください。

2025年5月期第1四半期実績

大西:2025年5月期の業績進捗です。スライド左側の表は、2024年10月15日に開示した2025年5月期第1四半期業績です。記載のとおり、営業利益は約23億円で、第1四半期から黒字回復することができました。

右側のグラフは、第1四半期からの四半期ごとの粗利益率の推移を示しています。前期第2四半期を底として回復基調に転じ、順調に回復しています。

株価の推移

大西:株価の推移です。スライドのグラフは、当社株価の上昇率の推移を、日経平均との比較で示しています。当社の事業年度である6月から現在まで、おおむね日経平均を上回る上昇率で推移しています。

増井:ここでもう1つ質問します。建設業界では高齢化が進み、人材確保がなかなか難しいと聞きます。御社での人材採用の状況について教えてください。 

大西:おっしゃるとおり、当社でも現在、人材の確保には非常に苦慮しているところです。そのため、まずはシニア社員を活用します。当社のシニア社員にはまだ活躍できる方が多いため、力を発揮していただくということです。

さらに、新卒採用、中途採用にも注力します。先ほどの映像にもあったように、今はテレビではなく動画の時代と聞いています。新卒、学生に向けては、建設事業の魅力や当社の強みを理解してもらうため、動画に力を入れているところです。

増井:「トンガレコクド」というキャッチコピーなど、大変かっこいい会社という印象を受けました。

ビジネスモデル& あるべき姿

大西:当社のビジネスモデルとあるべき姿についてです。当社は「わが社はもっと豊かな社会づくりに貢献する」を経営理念に、サステナビリティ経営を推進しています。これは、当社と社会の持続可能な存続と成長を実現させるため、経済的価値と社会的価値の向上に取り組み、その相互作用によって、当社の企業価値向上を目指すというものです。

また、本年度を最終年度とする「中期経営計画2024」では、「『独自の強み』を創る」をテーマに、「建設を『人』から『機械』へ」および「新たな事業領域を構築する」に取り組んでいます。

2030年までの長期ビジョンに掲げている「社会課題を解決する『先端の建設企業』」が、我々の目指す姿です。「先端の建設企業」とは、機械化・DXで省人化などの生産性向上に取り組み、働き方改革で安全で働きやすい会社となり、変化対応力で強靭な事業ポートフォリオを構築する企業をイメージしています。

立ち向かう社会課題

大西:我々が立ち向かう社会課題は、「気候変動問題」と「2030年問題」です。

気候変動問題は、もはや説明するまでもないと思いますが、地球温暖化が環境や生活へ及ぼす影響が深刻化しています。気温上昇を防止するためには、CO2削減への取り組みを加速させなければなりません。

2030年問題には、人口減少による担い手不足の深刻化、また地域格差拡大などがあります。加えて、インフラの老朽化が進むなど、日本の社会基盤が大きく変化すると考えられています。

立ち向かう社会課題

大西:当社では、これらの課題をメガトレンドとして6つに区分しました。それぞれにリスクと機会を整理し、当社の強みである建設ノウハウおよび再エネ事業等を活かした取り組みへと落とし込んでいます。このフレームワークにより、企業活動を通じて社会課題解決に取り組んでいきます。

日本国土開発の強み

大西:当社の強みは、自然災害対応、機械化DX、脱炭素の取り組み、バリューチェーン、地域課題解決、健康経営・働き方改革の6点です。具体的な取り組みを以下でご紹介します。

自然災害対応/復興・防災・減災

大西:自然災害対応についてご説明します。当社の創業の原点は復興です。2011年に発生した東日本大震災においても、複数の復興事業に携わりました。

スライド左上の写真は、大津波により甚大な被害を受けた岩手県大槌町のかさ上げ工事です。軟弱地盤の町の一部を平均2メートルかさ上げしました。

左下の写真は、福島県南相馬市の河川堤防整備です。津波により被災・損傷した海岸堤防の補修および改築を行いました。

事前防災と減災対策には、スライド右側のイラストのような対策工事が必要となります。安心して住み続けられる災害に強い街づくりのために、当社のノウハウを活かした提案を今後も行っていきます。

また、今年1月に発生した能登半島地震においても、復旧工事を複数受注しています。今後も地域と連携し、被災地の早期復興に貢献していきます。

自然災害対応/回転式破砕混合工法

大西:自然災害対応に貢献する当社の独自技術「回転式破砕混合工法」についてです。「ツイスター工法」と呼んでいますが、河川の堤防強化に貢献しています。

なぜツイスターなのかと言うと、スライド左側の図のように、円筒の中に回転するチェーンが複数取り付けられています。このチェーンが高速回転、つまりツイストし、がれきや岩を砕き、そこに土壌改良のための添加材を加えて改良土を作る仕組みとなっています。

スライド右側の写真をご覧ください。氾濫した河川のすぐ脇にツイスターのプラントを設置し、土のリサイクルを行っている現場の模様です。

水害により堆積した土砂やがれきは、当然ながら水を多く含んでいます。これまでは土砂やがれきを重機でダンプに積み、別の場所へ運搬して廃棄物として処理するのが一般的でした。そのため、処理コストやダンプによる運搬などで、CO2排出量も増加するという問題がありました。

しかし、「回転式破砕混合工法」を活用すると、水害が起こったその場所で、回収した土砂やがれきを改良土に再生し、その改良土を河川堤防強化の資材として再利用することが可能になります。土の出し入れに伴うコストだけでなく、CO2排出量も削減できるという工法です。

増井:こちらの写真からイメージしていたのですが、ショベルですくい上げた土を機械に入れると、改良土がその場で下から出てくる仕組みなのでしょうか? 

大西:おっしゃるとおりです。

増井:その改良土は、その後すくって、どこかに運ぶのですか? 

大西:通常の工法では、堆積した土砂をダンプでいったん外に出し、工事用の土は別で購入して外から運び入れ、使っていました。

しかし、当社の工法を使うことで、廃棄予定の土を改良土に改質し、そのまま現場で使うことができます。土の出し入れや搬送にかかる大きなコストを削減でき、CO2排出量削減にもなっています。

増井:かなり注目すべき工法といえるのではないでしょうか?

大西:近年は河川の災害も増えているため、出番が増えているところです。

機械化・DX

大西:機械化・DXについてです。先ほどご説明した「回転式破砕混合工法」の自走型機を、このほど発表しました。プラント式と比べ、よりコンパクトで機動性があり、遠隔操作もできるように改良しています。これにより、狭い土地での活用と設置期間の短縮が可能となりました。

この重機は、当社が自社で開発したものです。グループ会社の国土開発工業では、シールドマシンの開発・製造を行っています。このように、施工だけではなく、建設機械の開発・製造も行えることが、当社グループの強みとなっています。

次に、スライド右側のDXの取り組みについてご紹介します。筑波大学との共同研究により、当社版「生成AI利活用ガイドライン」を今年6月に策定しました。現在、生成AIの安全な利用指針と、全社員の日常業務への活用を進めているところです。

また、土木事業では、広大な造成現場などでドローン測量を導入していますが、若手社員の発案で、自社でドローンスクールを開校しました。スクールでは、当社グループの社員のみならず、協力会社の方々にもドローン操縦の資格を取得してもらうことが可能です。

このように、DXの取り組みが、ボトムアップで進むかたちも出てきています。

増井:機械化・DXは主に土木の分野で進められているようですが、これによって、土木工事の利益率はどの程度改善する見込みでしょうか? 

大西:生産性向上を目的として機械化を進めていますが、現在はまだ実証段階のため、具体的に何パーセント向上するということはお話しできません。今後、実証を重ねていく中で、具体的な数値を開示していきたいと思っています。

脱炭素の取り組み

大西:脱炭素の取り組みについてご説明します。気候変動対策は、人類共通の喫緊の課題です。当社の現場作業所でも十分に熱中症対策に取り組んでいますが、昨今の異常気象および気温上昇を見ると、近い将来、現場運営に支障をきたすのではないかと心配しています。もしかすると、暑さのため、子どもたちが日中外で遊べなくなるような未来が来るかもしれません。

当社は、2021年にTCFD提言への賛同を表明し、脱炭素ビジネスの担い手を目指して取り組みを進めています。

当社の企業活動で排出するCO2削減量については、スライド左下のグラフのとおり、2030年までの削減目標を定め、国際的なイニシアチブであるSBTiから認定を受けています。2050年のネットゼロについても認定を取得しました。

また、当社の再生可能エネルギー事業によるCO2排出削減貢献量は、現状で4万2,000トンに達しています。再エネ事業は年々拡大しており、収益面においても、2024年5月期で売電収入が34億円となりました。2030年5月期には、55億円を目標にしています。事業の拡大とともに、CO2排出削減貢献量も拡大させていきたいと思っています。

バリューチェーン

大西:我々のバリューチェーンも強みの1つです。スライド左側の図をご覧ください。これが当社のバリューチェーンサイクルです。

従来の請負業は、このサイクルの左下にある「施工」の部分のみでした。そこへ関連事業の不動産開発が加わったことで、プロジェクトの川上である「開発計画」や「用地買収」から、川下の「運営管理」「不動産販売」まで、一気通貫で行えるようになりました。

右側の画像は、千葉県柏市の土地区画整理事業です。関連事業が用地を取得し、土木事業が造成工事を行い、建築事業が上物を建設し、関連事業が建物を販売するサイクルで事業を行っています。宮城県松島町でも計画を進めています。

地域課題解決パートナー

大西:当社は「中期経営計画2024」において、「地域課題解決パートナー」を目指すことを掲げています。環境保全、地域活性化、災害対策など、当社がこれまで培ってきた強みを組み合わせ、新しい事業モデルを提案しています。

再生可能エネルギー事業の新たな展開

大西:具体的な取り組みをいくつかご紹介します。こちらは岩手県宮古市での取り組みです。宮古市は環境省の脱炭素先行地域に選定され、当社からは「夜間連系太陽光発電所」の建設を提案しました。これは、既存の太陽光発電所の隣に新たな太陽光発電所と蓄電設備を設置するものです。昼間に発電した電気を蓄電地に蓄電し、夕方から夜間にかけて放電を行います。これにより、昼夜を問わず、安定的な電力供給を行うことができます。

再生可能エネルギー事業の新たな展開

大西:宮古市同様、環境省の脱炭素先行地域に選ばれた岩手県釜石市では、「地域共生型太陽光発電」を計画しています。周辺地域やそこに住む生物が共存できる、環境配慮対策を講じた太陽光発電所です。

また、鹿児島県薩摩川内市では、畑の上に太陽光発電を設置する、いわゆる「営農型太陽光発電」にも取り組んでいます。この画像は、そばの実を育てている畑の上に太陽光パネルを乗せているものです。このように、再生可能エネルギーを地域課題解決につなげていく事業を、全国で展開しています。

新たな観光資源の創出

大西:宮城県仙台市では、当社が保有していた遊休地に、温泉施設やコテージ、キャンプ場などを整備したアウトドア・リゾート「泉ピークベース」を、2022年7月に開業しました。新たな観光資源の創出として、複数の自治体からの引き合いもあり、遊休地の有効活用としても注目されています。

なお、「泉ピークベース」は現在、リニューアル工事中です。レストラン棟、コテージなどを増設し、来年春にリニューアルオープンする予定です。

飯村美樹氏(以下、飯村):この「泉ピークベース」は、大変気持ち良さそうな施設という印象がありますが、どのような方が利用する施設でしょうか? 

大西:一般の方に来てもらえる施設で、Wi-Fiの設備も整っています。また、企業の社員研修、例えばキャンプを通したチームビルディングなどにも使用されています。

飯村:通信設備もしっかりあるということで、気持ちの良い交流の場になりそうですね。これほど広い施設であれば「電波の状況が悪い」ということも考えられそうですが、そのあたりも十分に対策されているということですね。

この施設に関しては、運営も手がけていく予定ですか? 

大西:そうですね。運営についてもノウハウを取得し、今後は当社で行えるようになっていきたいと思っています。

インフラリニューアルへの取り組み

大西:インフラリニューアルへの取り組みです。当社では現在、福島県南相馬市に鉄筋コンクリート構造物の劣化防止や長寿命化に活用される、機能性吸着材の製造工場を建設しています。建設会社が素材面からインフラリニューアル市場に参入するという、新しい取り組みとして我々も期待しており、防水材・塗料・セメントなど、建設資材への用途展開を進めています。

今後も、当社の強みを活かして新しい事業を創出する「地域課題解決パートナー」を目指し、挑戦を続けていきます。

健康経営・働き方改革

大西:当社の強みとして、健康経営・働き方改革についてご説明します。当社では、2018年9月に「健康経営宣言」を制定しました。そこからはトップダウンで健康経営を推進しています。経産省と東証が選定する「健康経営銘柄」にも、これまで3度選定されています。また、「健康経営優良法人~ホワイト500~」にも5年連続で選定されるなど、高い評価を受けています。

建設業の2024年問題に対して働き方改革も推進しており、現場の週休2日の実施や従業員の健康増進、ワークライフバランスの充実に取り組んでいます。

女性活躍推進についても、男性社員の育児休業取得、女性管理職比率の向上などに今、注力しているところです。

スライド左側の表は、現中期経営計画における非財務目標と進捗状況を示しています。専門の部署である「サステナビリティ推進室」が旗振り役となり、全社で取り組みを推進しています。

低PBRについての当社認識

大西:PBR向上策、株主還元についてお話しします。当社のPBRは1倍を下回って推移しています。これは営業利益率とROEの低下、業績悪化による株価の下落によるものですが、当社の成長戦略を十分に伝えられていないことも原因の1つであると認識しています。

ROEの推移と目標

大西:スライドのグラフをご覧ください。当社のROEの推移を示しています。ROEは震災復興事業の収束とともに減少傾向にはありましたが、前期の業績悪化により大幅に低下してしまいました。利益回復と「稼ぐ力」を追求し、2030年には継続的に10パーセント以上を目指していきます。また、株主資本コストは6.0パーセント程度と認識しています。

増井:株主資本コストを6.0パーセントと推計されていますが、こちらをROEが上回ることが、当面の目標と見てよろしいでしょうか? 

大西:そのとおりです。2030年にはROE10パーセントという高い目標を掲げていますが、まずはROEが株主資本コストを上回ることを達成するのが目標です。

増井:それによってPBRも1倍に近づけるということですね。

大西:近づけていきたいと考えています。

市場評価と資本収益性の改善に向けた取り組み

大西:PBRの向上を図るためには、ROEの改善とPERの向上が求められます。その取り組みを当社では、安定性、収益性、将来性、関係性の4つの観点に立ち、進めていきます。

安定性については、何よりも事業・財務リスクの低減を進めていきます。収益性については、利益の回復と「稼ぐ力」の追求です。ROE8パーセントから10パーセントに向けた利益向上を目指していきます。将来性については、中期経営計画の目標でもある「新たな事業基盤の確立」を進めていきます。

関係性については、ステークホルダーエンゲージメントの向上がテーマになると考えています。安定的な株主配当の実施、投資家との積極的な対話、そして広報・IR活動の強化に取り組んでおり、今回の説明会実施もその取り組みの1つです。

このように、事業活動における網羅的な取り組みを通じ、PBR向上を進めていきます。

株主還元について

大西:株主還元についてご説明します。当社は「中期経営計画2024」で設定したDOE2.5パーセントから3.0パーセントを基準とし、安定配当を実施する方針です。

2025年5月期の配当予想は、中間配当10円、期末配当12円の年間22円を予想しています。また、自社株式の取得については、2024年7月17日から9月30日までに、すでに400万株を取得しました。なお、取得した株式は消却する予定です。

お知らせ

大西:当社は株主の方々のご意見を企業活動に活かすため、株主アンケートを実施しています。株主のみなさまがどのような意向で保有されているか、参考になると思いますので、株式取得を検討されている投資家のみなさまはぜひご覧になってみてください。

また、先ほどお伝えしました「トンガレコクド」プロジェクトでは、Webマガジンを配信しています。当社ホームページにさまざまなコンテンツを掲載しているため、そちらもぜひご覧いただければと思います。

以上で、当社からの説明を終わります。今回の説明会が、1人でも多くのみなさまに当社を知っていただく機会となることを願っています。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:減収見込みでの増益基調の要因について

増井:「減収見込みにもかかわらず、増益基調になっている要因は何ですか?」というご質問です。

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