日総グループの『3つの安心』
清水竜一氏(以下、清水):代表取締役社長執行役員兼CEOの清水です。それでは、ただいまからご説明を始めます。日総グループの「3つの安心」について、これから順次お話しします。
目次
清水:本日は、スライドの目次に沿って進めていきます。
日総グループの『3つの安心』
清水:まず、NISSOホールディングスに関してです。当社は業界のパイオニアということで、人材サービスとしては非常に珍しく、50年以上の歴史を持っている会社であることが前提にあります。
ミッション・ビジョン
清水:ミッション・ビジョンについてです。創業理念は「人を育て 人を活かす」です。我々は、人材サービスを通して働く方々に寄り添いながら、働く方々の能力開発を行い、お客さまの満足度を得ながら成長していくといった考え方の会社になります。
ビジョンである「高い成長力のある企業グループに変革する」は、後ほどご説明しますが、NISSOホールディングスに移行後、特に強く意識している内容になります。
NISSOホールディングス 会社概要
清水:こちらは、会社の概要になります。
日総グループの歴史
清水:日総グループの沿革についてご説明します。1971年に今の日総工産の前身となる会社を創業し、50年以上の歴史があります。
おおまかにお伝えしますと、2018年に日総工産が東京証券取引所第1部市場に上場を果たしました。その後、プライム市場に移行しています。
昨年10月には、純粋持株会社としてNISSOホールディングスが再上場というかたちでプライム市場に上場しました。より成長のスピードを上げていくことや、経営資源を重点配分していくことを意識し、このような歴史を積み重ねています。
さらに、当社は人材会社の中でも人の育成に非常に大きくこだわっています。2016年に日総テクニカルセンター東日本を宮城県に開校し、その後、2018年に日総テクニカルセンター中日本を長野県に開校しました。昨年の2023年には、日総テクニカルセンター熊本を開校しています。
後ほどご説明しますが、日本の労働市場における課題として人手不足がよく挙げられますが、もう1つの大変大きなポイントになっているミスマッチを解消していこうと考えて進めている会社です。
増井麻里子氏(以下、増井):1971年に創業されていますが、その時の思いやきっかけはどのようなものだったのでしょうか?
清水:創業者は私の父にあたりますが、もともとは日本鋼管(現JFEスチール)の造船の溶接の技師でした。
造船の工場は、船が入ってくると人がたくさん来るのですが、船が進水して外に出ると人がまったくいなくなります。いろいろな工程における専門性の高い方々が、組み受けのようなかたちで請負の仕事をしていました。
その技術を活かして、当初は例えば化学プラントや石油プラントにある球形タンクなどの請負の仕事をしていました。しかし、天候に左右され、大型プロジェクトのため仕事が非常に大きくうねることから、高度成長期に工場の中の産業機械、建設機械などの工程を請け負ったことがスタートになります。
当時は人材派遣に関する法律はなかったため、工場の中の請負からこの仕事がスタートしました。
増井:そして、今回また新たなフェーズということで「NISSOホールディングス」という持株会社になりました。その理由と、ローマ字で「NISSO」とした理由を教えてください。
清水:まず、2つ目のご質問について回答します。日総工産という会社で株主総会を開催すると、個人投資家から「日総工産という名前は、人材会社というより製造業のような会社に感じます」と必ず言われます。実は「今時、こういう名前ってなんとなく時代遅れじゃないか」というご指摘を多く受けていました。
今風と言うと語弊があるかもしれませんが、どこかのタイミングで「NISSO」という名前を使った会社にしたいという思いがあったため、ちょうどこのタイミングで使いました。
1つ目のご質問については、時代の変化が激しいため、いろいろなタイプの会社に仲間に加わっていただく時に、人的なリソースや投資など、全体を非常に俯瞰的に見ながら重点的に進めることが必要になります。時代の変化にスピーディに、機敏に対応していこうということで、NISSOホールディングスとして純粋持株会社に移行しました。
増井:投資戦略部のようなものが上にいるかたちにしたということですね。
清水:おっしゃるとおりです。
グループ会社一覧
清水:総合人材サービスセグメントと介護・福祉サービスセグメントがあります。人材サービスがメインの会社ですので、総合人材サービスが全体の売上の97パーセントを占めています。特に、製造生産系人材サービスとエンジニア系人材サービスで全体の売上の88パーセントを構成している状況です。
荒井沙織氏(以下、荒井):その他人材サービスの日総ぴゅあ株式会社は特例子会社ということですが、一般的な子会社と特例子会社はどのような違いがありますか?
清水:多くの方々を雇っている会社は、常用雇用で働いている方々の法定雇用率という縛りがあり、実は一定程度の障がい者の方々を雇用する義務があります。
我々は人材サービスを行っていますので、そこを前向きに受け止めながら、特に障がい者の方々が障がいの特性に合わせて「このような能力開発を行うと戦力になれる」というかたちで、障がい者の雇用促進を行っている会社となります。
日総グループの事業内容
清水:総合人材サービスのそれぞれのサービス内容と、その他セグメントの介護・福祉サービスの事業内容になります。
業績推移と経営目標
清水:事業内容と業績推移についてご説明します。後ほどご説明しますが、来年から始まる新たな3ヶ年で、連結売上高1,500億円、連結営業利益75億円が出せる会社に成長していこうと考えています。
2021年3月期から2023年3月期はコロナ禍だったため、人材サービスにとっては非常にアゲンストの風が吹いて、少し成長が鈍化していました。しかし、今年は昨年と比べて営業利益も大幅に成長していくような計画となっています。
社会課題に取り組み、社会価値を創造しながら企業価値を向上させる
清水:そのことを実現するための1つの考え方、取り組みについてご説明します。日総グループは、社会課題、とりわけお客さまの課題、そして労働市場の課題にきちんと対応し、社会の価値を創造しながら企業グループを成長させる考え方で取り組んでいます。
スライドの図は、中核にある日総グループ以外にも、さまざまな会社と資本業務提携を行ったりする中で、社会課題を解決するのに必要なパートナーをどんどん求めながら成長していくといった考え方を示した概念図になります。
日総グループの数値指標
清水:日総グループの非常に重要視している数値指標です。スライドをご覧のとおり、売上高、営業利益、1人当たりの月平均売上高、在籍人数に加え、特に昨今の状況から離職率にも非常に重点を置きながら仕事をしています。
主要サービスについて
清水:主要サービスについてです。先ほど少しお伝えしましたが、全体の売上高の構成比は、製造生産系人材サービスが約79パーセント、エンジニア系人材サービスが約9パーセントを占めていますので、約90パーセントが製造生産系・エンジニア系人材サービス関連の売上になります。
在籍人数は、直接現場で働いている方々で1万6,000名以上いらっしゃいます。やはりパイオニアということがあるからかもしれませんが、日本の優良企業、トップクラスの企業が我々の取引先に非常に多くあることも1つの大きな強みになっていると考えています。
増井:連結売上高について、スライドの円グラフを見ると、製造生産系人材サービスが約79パーセント、エンジニア系人材サービスが約9パーセントを占めています。この比率を今後変えていくといったビジョンはありますか?
清水:あります。現在は、特に製造生産系人材サービスのウエイトが圧倒的に高いです。ただし、日本は人手不足ですので、おそらく日本の製造業はこれから新たなテクノロジーを使いながら自動化していくだろうという中で、製造会社から求められるような人材について、実はこの10年ほど社内的に議論し、お客さまへのヒアリングを重ねてきました。
結果として、自動化した時の装置エンジニア、生産技術、ロボットエンジニアと言われる方々が非常に必要だということがはっきりしてきました。したがって、エンジニア系人材サービスの領域の全体の売上のウエイトを上げていくことを考えています。
我々が一番こだわっていることとして、今、製造生産系人材サービスで働いている方々のキャリアチェンジにより、エンジニアになっていただく仕組みを作っているところです。製造生産系人材サービスの人が辞めて、エンジニアが新しく増えてはあまり意味がないため、そのような取り組みを進めていくことになると思います。
増井:技能者と呼ばれる方もたくさんいらっしゃると思いますが、そこからも技術者になる方がこれから増えていくというイメージですか?
清水:おっしゃるとおりです。
あなたのそばにもNISSOグループ
清水:こちらは、みなさまの身近にも我々の従業員が作った部品がたくさん入っていることを示したスライドです。例えば、スマートフォンは外側から見ると1個の画面ですが、実は半導体を中心に50個以上の半導体・電子部品が入っていると言われており、その多くに我々の従業員が関わっています。
一方、1つの自動車には2万個から3万個の部品が入っていると言われています。昨今は、自動運転やEVなどに電子部品がたくさん使われています。その数多くの部品、さらに言うと大部分に、我々の従業員が関わっていることをここでお伝えしておきます。
人材育成に重きを置いたビジネスモデル
清水:成長戦略についてお話しします。スライドの図は非常にシンプルですが、人材育成に重点を置いたビジネスモデルを示しています。最近、人的資本経営という言葉をよく耳にします。我々は、能力を開発するために人材への投資をしっかり行うことで、その方々がより質の高い仕事、市場価値の高い仕事に従事していけるように取り組んでいます。
そのことをお客さまに評価していただき、単価を上げていただくという循環の中で、本人の処遇もますます改善していくようなビジネスモデルを作っています。
派遣業界ではよく、長く働いているのにインセンティブが働かなかったり、同じ企業でずっと働くことがあります。当社はそのような考え方ではなく、ぜひとも能力開発を行い、自分のなりたい姿にチャレンジしてもらいながらスキルを身につけていただくことで、それにふさわしい処遇になっていただきます。
最近ジョブ型という言葉がありますが、非常にはっきりしています。仕事で発揮できる能力に応じてお客さまから単価をいただきますので、意外とターゲットが見えやすいです。
そこに向けて「このハードルを越えてお客さまからこのように評価されれば、このような単価になるため、あなたの給料はこうなります」というように、ぐるぐると循環させていきながら成長していくといった非常にシンプルな考え方のモデルになります。
人材派遣のビジネスモデルについて
清水:人材派遣のビジネスモデルについてです。なかなかわかりにくいこともあると思いますので、売上がどのように立っているかということからご説明します。
働いている人の数、いただいている単価、月の稼働時間を掛けたものが売上です。これを良い循環にするために、営業戦略、採用戦略、育成戦略、定着戦略について、どのような取り組みを行うかをご説明します。
①営業戦略
清水:まず、営業戦略になります。スライドに記載のとおり、日本全国に56拠点を構え、非常にきめ細かく行き届いたサービスをお客さまに提供できる体制があります。
インダストリー戦略は、日本の競争力が非常に高いと考える自動車分野、半導体分野、エレクトロニクス分野において、将来必要と思われる人材はどのような人材かを考え、その人材を育成して各インダストリー分野のトップ企業にお届けしていく戦略です。
タレントマネジメントは最近よく言われている言葉ですが、単純に言いますと、個々のスキル管理を非常にきめ細かく丁寧に行いながら、マネージした内容を的確にお客さまに伝え、「このような人材ですが、いかがですか?」とアプローチします。
さらに、従来の営業に加えて、さまざまな製造系の展示会に参加することで、お客さまとの接点を増やしています。
サービスメニューの拡充については、上場会社であるツナググループ・ホールディングスとの共創を行っています。今まで我々だけでは手の届かなかった人事コンサルティング、採用コンサルティング、採用のBPOなど、さまざまな仕事を提供していくアプローチにより、よりお客さまとの接点を増やしていきます。
また、産官学連携によるネットワークを活用し、地域やお客さまのニーズを聞きながら、半導体やEVのバッテリー分野についてより深掘りしています。
増井:ツナググループ・ホールディングスについては、これまで御社が手の届かなかったところを補完してもらえる関係性ということでした。両者の顧客基盤の拡大にもつながっているのでしょうか?
清水:おっしゃるとおりです。すでに当社の主要なお客さま数社に対し、ツナググループ・ホールディングスと連携して、これまでの人材サービスだけではなく、採用の入口から育成のための訓練、マネジメントまでを一貫してお引き受けする仕事を提案し始めています。
一方で、ツナググループの顧客基盤は、自動化が進んでいるサービス業や物流が多く、我々が得意としている機電系のエンジニア、いわゆる装置エンジニアのスキルが非常に必要になってきています。このようなことで、それぞれの顧客基盤を強化できるというメリットがあります。
①営業戦略(インダストリー戦略)
清水:インダストリー戦略についてご説明します。3つのインダストリーに今必要な人材もさることながら、数年先に必要となるが今は不足していると思われる人材をお客さまに提案していく戦略になります。
①営業戦略(インダストリー戦略) オートモーティブでの事例
清水:具体例として、オートモーティブインダストリー(自動車・EV関連)のアプローチについて少しお話しします。
スライドに記載のようなCASEによって変わる自動車産業は今、100年に1度と言われる大変革期に来ています。EV化にシフトするということもありますが、そのことにより工場での自動車の作り方や必要とするデバイスが変わってくるなど、多くの変化があります。
この時に、我々が非常にキーを置いているのはバッテリーの重要性です。関西蓄電池人材育成等コンソーシアムという産官学の連携に参加し、2024年3月にEV向けのエンジニア育成拠点を滋賀県に開設しました。
先ほども少しお伝えしたとおり、従来、自動車分野は組み付け工などのオペレーターがたくさん活躍していましたが、その方々は今後自動化した時に装置エンジニアや装置保全に移っていくと見ており、その分野に注力していきます。
①営業戦略(インダストリー戦略) セミコンダクター&エレクトロニクスでの事例
清水:インダストリー戦略のうち、セミコンダクターインダストリー(半導体・半導体製造装置関連)とエレクトロニクスインダストリー(通信機器・電子部品)での事例についてご説明します。スライドの図のうち、丸で囲まれた地区で産官学のコンソーシアムに参画しています。
日本は今、相当大きな金額を助成しながら半導体の大きな工場を作ろうとしています。今はほとんど世の中にいないと言われている半導体の量産技術を支える装置エンジニアの育成拠点を作ろうということで、宮城県と熊本県などにテクニカルセンターを設置しています。
そこで育成のためのノウハウをお客さまとともに磨きながら、そのような人材を市場に送り出して活躍してもらうという考えになります。
②採用戦略
清水:採用の施策についてご説明します。スライドに記載の「工場求人ナビ」は、当社の採用に非常に重要なエンジンになるということで、さまざまなプロモーションを行いながら強化を図っています。
こちらも少し珍しいパターンだと思いますが、人材会社150社以上と連携して採用コンソーシアムを構築しています。その理由については後ほど少しご説明します。
さらに、当たり前ではありますが、日本は少子高齢化が進んでおり、外国人材に本当のパートナーとして活躍していただくための仕組みが必要です。
加えて、マッチング精度の向上、あるいは効率化の観点から、Web面接やAIマッチングなど、時代に即した受付体制も整備しています。
②採用戦略(主要ツールである自社サイトの活用)
清水:先ほどお伝えした採用戦略の1つである「工場求人ナビ」という当社の採用サイトについてご説明します。4年目になりますが、黒島結菜さんをイメージキャラクターに起用し、テレビプロモーションあるいはWeb系のプロモーションを行っています。
スライドの円グラフで示したとおり、全体の採用人数は月700名程度ですが、その半分は自社サイトで採用しています。高コストである他社サイトを通しての採用、いわゆる求人媒体からの採用は25パーセント程度ということが当社の1つの大きな強みになっています。
このことは、低コストでの採用が実現するだけではなく、月間5,000名以上の応募獲得につながっています。
②採用戦略(ミスマッチ0を目指す仕組み作り)
清水:スライド左側の棒グラフに示したとおり、応募、面接、入社と進むにつれて、残念ながらこれほどまでに数が減っていきます。5,000名以上の応募者がありながら、実際の採用は700名程ということで、いかにその間にロスがあるかということです。
このロスを極小化するために、従来はグループ内だけに行っていたことを、新しいテクノロジーを使いながら他の人材系の会社に紹介しています。また、そのことを合理的に効率的に行うために、AIを使ったマッチングのプラットホームを作っています。
さらに、こちらはアナログになりますが、自社のコールセンターできめ細かく応募者のニーズを聞くことでミスマッチをなくしていきます。スライドに「ミスマッチ0」と記載しています。なかなかゼロにはならないと思いますが、ゼロに近づけていこうという取り組みです。
増井:採用プラットホームを作ったということですが、他の人材会社と提携するというのは意外でした。どのようなかたちでふさわしい人材会社を判断するのでしょうか?
清水:我々はどちらかというと門戸を広げて「いかがですか?」と広く求めています。その中で、1つは業界における当社の信頼性が背景にあるのではないかと思います。
比較的規模の小さな会社は、せっかく募集費用をかけて集めても、その人が自社にマッチングできないとお金がただ流れていくだけになります。ですので、マッチングできなければ、1名でも2名でも日総グループにマッチングしてもらって紹介料を払うことが次の投資につながるという意味だと考えています。
増井:どちらかと言いますと、御社に任せたいというケースが多いということですね。
清水:おっしゃるとおり、そのようなケースが多いです。
②採用戦略(グローバル人材の採用拡大)
清水:グローバル人材の採用拡大についてご説明します。従来の外国人技能実習制度には課題が多くあると考えています。
グローバル人材の活躍に関する制度が2027年から本格的にスタートするまでの間に、本当のパートナーとしてふさわしい人材に育成し、戦力になっていただいて、場合によっては日本に定住していただくことをしっかり積み上げていきます。2030年度には、エンジニアを中心としたグローバル人材を3,000名にしたい考えです。
②採用戦略(グローバル人材採用の具体的な取り組み)
清水:グローバル人材の採用の具体的な取り組みとして、本年、ベトナムの大学2校と人材育成に関する協定および基本合意書を締結しました。大学の中で当社が指定するカリキュラムの勉強をしていただいた後、日本に来日してエンジニアとして活躍していただく仕組みを作っています。
2024年11月に第1期生が着任しました。今後、ベトナムでこのような学校を増やし、ベトナム以外のアジアの国々でもこのような取り組みを進めていきます。同じ人間、アジアの友人として、しっかり日本で活躍して「日本に来て良かった」と思っていただけるような仕組みを作っていこうと考えています。
③育成戦略
清水:育成の施策についてご説明します。全国9ヶ所にある自社教育施設のうち、テクニカルセンターは自動車・半導体・エレクトロニクス分野の人材育成のための規模の大きな訓練施設になります。
訓練施設の最大の特色は、実際に今、半導体を作っている中で使われている実機を置いて教育していることです。この環境を整えられる会社、自治体はほとんどありません。
半導体メーカーには装置がたくさんありますが、量産しているため、それを止めて研修はできません。そのため、半導体メーカーからも私どもの研修施設を使わせてほしいという積極的なお言葉もあります。
ただし、非常に高額な装置で、環境を作るのにけっこうお金がかかるため、今後はe-ラーニングやVRを使いながら、場所を選ばずに教育ができるような仕組みにもチャレンジしています。ARも開発中です。
また、スキルの見える化により、キャリアアップを推進します。さらに、メーカー出身の経験豊かな講師陣が私どもの人材教育に当たっていただけることも大きいと思います。
③育成戦略(全国に広がる育成拠点)
清水:スライドの図に、半導体やバッテリーの人材育成のための育成拠点を示しています。
④定着戦略
清水:定着の施策についてご説明します。日本全国にきめ細かく担当者を配置していることに加え、先ほども少しお伝えしましたが、製造オペレーターの方々がエンジニアにキャリアアップできる人事制度、あるいは育成の仕組みを持っています。
さらに、昨今はアナログ的にコミュニケーションを取るのは苦手でも、デジタル的に取るのが得意な方が多いため、コミュニケーションアプリを導入し、24時間相談できるような仕組みを作りました。
もう少し踏み込んで自分のキャリアを考えたいという方々については、キャリアコンサルティングサービスを受けられるようにしています。また、スキルに応じた給与設定もあります。
④定着戦略(安心して長く働ける職場づくり)
清水:スライドに、コミュニケーションアプリの一部を示しています。また、タレントマネジメントシステムを活用し、エンジニアのスキル管理やパルスサーベイによる社員満足度チェックを行っています。
パルスサーベイとは、我々が定着の中で大事にしている社員の満足度、健康上の不安、課題などをしっかりモニタリングするために実施する意識調査です。
残りは後ほどご覧いただければと思います。
【介護・福祉サービス】
清水:ここから少し切り口が変わりますが、その他セグメントについてです。介護付有料老人ホームを6ヶ所、介護ステーションを3ヶ所、通所介護施設を福島県いわき市に2ヶ所設置しています。
トピックスとしては、外国人スタッフ3名が介護福祉士資格を取得しました。
【介護・福祉サービス】
清水:今後、スライドに記載しているような日本の介護業界の課題について取り組んでいきます。介護をする方の採用が難しいため、しっかりと仕事ができる外国人材を育成する場にしていきます。
特に、新しいテクノロジーを使って介護する方々の負荷をできる限り下げていくことで、介護離職をなくしていく取り組みも行っています。
新たなサービスの創出(研修受託サービス)
清水:新たなサービスの創出についてご説明します。1つ目は、「研修受託サービス」についてです。今まで社内の方々への研修に重きを置いていましたが、内容を非常に高く評価していただき、取引先から「入口の社員教育やキャリアアップのための教育も手伝ってもらいたい」というお声をいただきました。
スライド下段に記載の会社に加え、まだ名前の開示の許可をいただいていない会社を含めると、十数社が我々の研修を活用しながら自社の社員教育を行っています。
新たなサービスの創出(Start engineer)
清水:2つ目は、e-ラーニングシステムについてです。ホワイトカラーのe-ラーニングはたくさんありますが、業務提携を行っているプロシーズというe-ラーニングの会社と連携し、製造向けのeラーニングを開発して、一般にも使っていただけるような取り組みを始めました。
今後これらに取り組みながら、XRについてもさらに拡充していきます。
新たなサービスの創出(HR Innovation Hub)
清水:3つ目は、新たな取り組みである「HR Innovation Hub」についてです。ツナググループ・ホールディングスと連携し、我々の得意な領域とツナググループ・ホールディングスが得意な領域を合わせながら、特に大手製造会社の工場系人事のさまざまな課題を解決するために、お客さまのニーズを聞きながら各社への提案をスタートしたところです。
先般、名古屋での「製造業人手不足対策EXPO」にて、ツナググループ・ホールディングスの米田社長とディスカッションしました。メーカーの方が多く参加し、「そんなことができるのか」というご質問を受けたりしましたが、今後この事業も非常に拡大できる余地があるのではないかと考えています。
共創により広がり続ける日総グループ(再)
清水:お客さまの課題を解決するためには、我々が単独で行っているスピード感では、お客さまの満足、変化に対応できません。さらに仲間を求め、仲間と一緒に取り組んでいきます。
スライド右側の円をご覧ください。この中には人材業界ではなく、例えば宇宙事業を行っているインターステラテクノロジズ社、ヘルスケアのデジタル化を行っているドクターズ社、今のバッテリーの2世代後のバッテリーと言われている全樹脂電池を製造しているAPB社などを記載していますが、実はこれらにも出資しています。
「その分野で必要な人材はどんな人材だろうか」ということをお客さまと一緒に考えながら、育成に取り組み始めている状態です。
株主還元方針
清水:株主還元についてご説明します。我々は、配当性向30パーセント以上という1つの考え方を置きながら、安定的に配当していこうという考え方を持っています。株主優待を含めると、特に個人株主の方々の中にはおそらく配当利回りが6パーセントを超えるレベルになっている方もいるのではないかと思います。
我々もこれに満足することなく、会社を成長させ続けながら、安定的に配当を増やしていこうと考えています。
株主優待について
清水:株主優待についてです。300株以上の保有でポイントを進呈し、5,000種類の商品と毎年交換できます。カタログからさまざまな商品を選んでいただくということで、個人株主のみなさまの中には「毎年非常に楽しみだ」という方々がいらっしゃいます。
機関投資家の方は「どうなのかな」と思っている方もいると思いますが、個人株主向けには絶対にやめられないサービスだと考えています。
増井:今、優待制度をなくす流れもありますが、御社は続ける予定ですか?
清水:もともと数年前までなかったのですが、実は相当議論して入れました。こちらを続けながらさらに配当を増やしていくことや、企業を成長させキャピタルゲインを増やしていく取り組みが必要だと考えています。
株主優待について(保有株式数別贈呈ポイント一覧)
増井:ポイントは1年間だけ繰り越せるということですか?
清水:そのとおりです。翌年には繰り越せますが、2年は繰り越せないため、間違えて失効するとがっかりされると思います。ぜひ気をつけていただけたらと思います。
増井:「日本人はポイントが好きだ」という話もあります。
清水:そうですね。本当に楽しみにされている方がいらっしゃいます。
トピックス
清水:最後にトピックスです。この数年、経済アナリストの馬渕磨理子さんとさまざまなディスカッションを行ってきました。さまざまなアドバイスをいただいたり、「このようなことをどうしているのか」を深掘りしていただいたりしています。
また、新しい中期経営計画やホールディングスを作った時の目的についてなどの対談を行わせていただいています。
もう1つは、地域との共生です。横浜に本社のある会社のため、地元の神奈川大学の駅伝チームを応援したり、横浜市の消防音楽隊をサポートしたり、野球では横浜DeNAベイスターズ、サッカーでは横浜FCにさまざまなサポートを行っています。
ブランドムービー(現場・労務管理)
清水:ブランドムービーについてです。我々の現場では、このムービーと同じように、現場で労務管理をしている方と、実際に働いているスタッフの間に軋轢が生まれることがあります。
その中でお互いに信頼関係が深まり、「夢を持つ仕事に就けた」「やりがいが生まれた」ということが感じ取れるムービーになっていると思います。言葉でお伝えするよりも、ぜひお時間のある時にご覧いただければ大変ありがたいです。
以上をもちまして、私からのご説明となります。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:「研修受託サービス」について
増井:新しいサービスとして「研修受託サービス」を提供していますが、これは本来、社内で教育していた内容をアウトソースするような動きかと思います。スライドには大手の会社の社名もけっこう並んでいますが、そのような動きは当たり前になってきているのでしょうか?
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