1 2025年3月期 第2四半期 業績ハイライト

新田裕二氏:SANEI株式会社2025年3月期第2四半期(中間期)決算説明資料をご覧いただき、誠にありがとうございます。常務取締役執行役員コーポレート本部長の新田です。当社の決算内容ならびに当社について、よりご理解を深めていただきたく書き起こしとしてまとめました。

2025年3月期第2四半期は、業績予想に対して、売上・利益ともに未達となりました。売上高の未達要因は、新設住宅着工戸数の落ち込みなどに起因する需要の低迷によるものです。利益については、急激な為替変動などにより原材料・仕入価格が想定以上に高騰したことが主な未達要因となります。

また、前年同期比では増収・減益となりました。売上高は、高付加価値製品の拡販や販売価格改定の浸透に伴って増収となりました。その一方で、利益については業績予想と同様に原材料・仕入価格が高騰したことや、創業70周年記念に関連して販売管理費が一時的に増加したことにより、減益となりました。

2 連結業績予想と実績の差異

連結業績予想と実績の差異について説明します。売上高はウルトラファインバブル製品や混合栓などの高付加価値製品の拡販や販売価格改定の浸透など、堅調に推移したものの、先ほど申し上げました住宅市場の落ち込みによる需要の低迷もあり、業績予想の計画値には少し届きませんでした。

利益については、営業利益が大きく下回り、そのまま経常利益、親会社株主に帰属する中間純利益まで計画値を下回ってしまいました。営業利益が大きく下回った要因については、次の「3 営業利益の増減要因(業績予想比較)」で詳細に説明します。

3 営業利益の増減要因(業績予想比較)

営業利益の連結業績予想と実績の差異については、販売(売上)要因、原価要因、経費要因の3つに分けて説明します。

販売面は需要の低迷による売上未達によるマイナス分を高付加価値製品の拡販や販売価格改定がカバーできました。

原価要因は為替の変動による銅相場の急激な高騰により、原材料・仕入価格が想定を大幅に上回りました。営業利益のマイナスは、この要因が最も大きかったと認識しています。

経費要因は人材投資や販促活動に関する費用が計画よりやや多く発生しました。なお、第2四半期に創業70周年記念に関連した費用が発生していますが、こちらは業績予想の計画内に見込んでいますので、業績予想と実績の差異には影響ありませんでした。

4 損益の概要(前年同期比較)

前年同期と比較した損益について説明します。売上高はこれまでに説明している要因により135億8,100万円、前年から4憶1,100万円の増収となりました。売上総利益は原材料・仕入価格高騰の影響がありましたが、高機能・高付加価値製品の拡販や販売価格の浸透により増益となりました。その一方で、営業利益以降はすべて減益となっています。

利益面の増減明細については、「7 営業利益の増減要因(前期比較)」で後述します。

5 四半期業績の推移

四半期ごとの業績の推移と進捗率について説明します。売上高の計画進捗率は47.7パーセントと、前年同期の47.8パーセントからほぼ横ばいとなりました。当社は上期より下期の方が売上は増加する傾向にありますので、おおむね例年通りの進捗となりました。

一方で、利益の計画進捗率は、第2四半期の利益が少なかった影響により、営業利益・純利益ともに前年同期をやや下回りました。

6 販売ルートの概況

販売ルート別の売上構成は、前期と比較して「リテールルート」の構成比率が伸びています。「リテールルート」では、ウルトラファインバブルをはじめとした高機能・高付加価値製品の販売増やインバウンド需要の増加により、売上は好調でした。

「管工機材ルート」でも、ウルトラファインバブル関連の製品が好調であった一方、住宅市場の落ち込みによる需要減少の影響があり、前年からほぼ横ばいの結果となりました。

「メーカールート」では、前期に引き続き住宅設備機器メーカー向けの標準採用品を中心に堅調に推移し、新規の標準採用も増加したことから第2四半期にかけてやや増加しました。

7 営業利益の増減要因(前年同期比較)

第1四半期では前年同期と比較して1億1,400万円の増益となっていましたが、第2四半期は1億9400万円の減益となり、累計では8,000万円の減益となりました。第2四半期に大きく利益を落とした要因は2つあります。

1つはこれまでも説明してきました通り、原材料・仕入価格の高騰による調達価格の上昇です。特に5月から8月にかけて急激な円安進行や海外の銅需要の増加により、国内の銅相場が急騰しました。この影響により当社の調達コストも増加しました。

もう1つは、創業70周年記念に関連する費用がありました。こちらは、当期の一時的な費用ではありますが、前期比較の増減に大きく影響しています。

8 連結BS(資産・負債・純資産)

連結BSの説明です。総資産は前期末(2024年3月末)より10億1,000万円減少し、232億700万円となりました。まず、岐阜工場の新工場棟が完成したことから固定資産が増加しました。

次の連結キャッシュフローでも説明しますが、固定資産の取得による支出があり、手形の譲渡による資金調達が増加したため、売上債権が減少しています。

また負債は、調達コストの上昇がありましたが、生産調整等により仕入債務が減少しています。これらの結果、自己資本比率は前期末の54.2パーセントから58.3パーセントとなりました。

9 連結キャッシュフロー

連結ベースでの現金および現金同等物の期末残高は、期首から4億1,800万円減少して10億7,900万円になりました。当期の営業CFが前期よりも減少しているのは、主に法人税等の支払額が多かったことによるものです。

投資CFにおいては、岐阜工場の建て替えなどにより有形固定資産の支出が8億800万円となりました。営業活動によって稼ぎ出したキャッシュを工場の建て替えなどの設備投資支出に充てて、次の稼ぎを生み出すサイクルが順調に回っています。

10 企業価値向上への取り組み

当社の今後の企業価値向上への取り組みと当期の業績予想、コンセプトについて説明します。企業価値向上については「売上高・収益性の向上(事業領域の拡大)」と「継続的な株主価値の向上」を2本の柱にしています。「継続的な株主価値の向上」については「11 株主還元(継続的な株主価値の向上)」にて後述したいと思いますので、ここでは、「売上高・収益性の向上(事業領域の拡大)」を中心に説明します。

事業領域の拡大では主に3つの方針があります。1つ目は「『水をデザインする』SANEIブランドの更なる向上」です。水の音、流れる姿、手に伝わる感覚に至るまで、どこまでも美しい体験を追い求め、意匠、仕上げ精度、使用感、すべてにおいて最上級に相応しいものづくりへの挑戦を続けています。

2つ目は「水まわりにおける住空間をインスタレーション提案できる事業展開」です。当社は2018年に株式会社三栄水栓製作所から現在のSANEI株式会社へと社名変更を行いました。これは、生活空間における水栓という「点」から、水の通り道すべての「線」、そして水まわり空間全体の「面」への事業展開の広がりを意味しています。キッチン、バス、洗面と定型化されている従来の住まいに、新たなカルチャーを持ち込む試みでもあります。このような取り組みの一環として、ショールーム&ショップ「WAILEA」を東京の表参道と大阪の御堂筋に展開しています。

3つ目は「宿泊施設・飲食店・介護医療・公共施設など非住宅市場におけるシェア拡大」です。当社はこれまで住宅市場を中心に事業を拡大してきました。今後、国内人口の減少に伴い、住宅着工戸数も減少することが予測されています。非住宅市場向けの商材を拡充することにより、事業領域の拡大を進めていきます。

これらの取り組みの結果、PBRは9月末時点で0.67倍となりました。引き続き、PBR1.0倍超を目指して企業価値向上への取り組みを続けていきます。

11 株主還元(継続的な株主価値の向上)

当社は、「累進配当」の導入を決定し、2024年6月25日に公表しました。前期まで8年連続で増配をしてきて、当期も9年連続となる増配を予定していますが、今後もその方向性を継続していくことを明確にするために累進配当を導入しました。

また、2024年10月1日付で1株につき2株の株式分割を実施しました。下段の表は、累進配当を続けている過去9年間の配当実績を、株式分割後を基準に換算したものになります。

当期の中間配当については、創業70周年記念配当を含めて1株あたり30円の配当を実施しました。期末の配当予想についても、当初の配当予想(普通配当:1株あたり27.5円)から2.5円増配して、1株あたり30円の期末配当を実施します。

12 企業価値の現状分析(各指標の推移)

こちらでは、企業価値に関連する各指標の推移を5年間に渡って掲載しています。

表中の株価および1株あたりの数値はすべて分割後を基準に換算しています。

13 PBR改善に向けた取り組み

当社は先ほど申し上げたような取り組みを行ってきましたが、現状では割安となっているPERを向上させ、PBR1倍以上の株価水準を目指す取り組みを続けていきたいと思います。ROEについても、現状の10パーセント以上の水準を維持しつつ、さらなる事業領域の拡大や収益性の向上を目指していきます。

Ⅰ 企業情報

ここからは、当社の企業情報などの補足資料です。

当社の企業概要です。1954年に創業し、本年2024年9月に創業70周年を迎えます。またグループ会社として、水道設備工事・メンテナンス業務を行う「株式会社アクアエンジニアリング」、中国にて水栓部品製造を行う「大連三栄水栓有限公司」、岐阜県にて水栓部品製造販売を行う「株式会社水生活製作所」、水栓部品鋳造を行う「美山鋳造株式会社」があります。

Ⅱ 企業理念

当社は1954年の創業以来「人類ある限り水は必要である」を理念とし、地球に生きる一員としての自覚を持ち、企業活動に取り組んできました。独自の技術と柔軟な感性で、数々の画期的な商品を提供することはもちろん、水まわりから快適な暮らしを追求し、空間全体をコーディネートするなど、自然環境やニーズの変化を見つめながら、今なお進化を続けています。

「水とともに生きる時間が、いつも“歓び”で溢れるように…。」これからも、人々にとっての心地よさを常に考えながら、SANEI視点で水と暮らしの理想の姿をご提案していきます。

Ⅲ 当社のあゆみ

当社の創業以来のあゆみと事業の展開について、簡単にご説明したいと思います。

1954年の創業からしばらくは、水栓金具やシャワーヘッドなどを単体で販売していました。この時代を、我々は製品単体を売っていた「点」展開の時代と考えています。

1980年頃から、家の水道メーターから蛇口まで、家の水道インフラ全体をカバーするものづくりを推進してきました。水栓金具単体でなく、配管部材も合わせて販売していくという態勢を整えてきたこの時期を、我々は「線」展開の時代と考えています。

2018年頃からは、水まわりに対して機能性・安全性だけでなく、リラックスしたい・ゆとりを感じたいといったことに応えることを目指しています。そのために、水栓金具を使う空間全体をトータル的にカバーする「面」の展開を提案しています。

Ⅳ 当社の売上高推移

当社のあゆみと成長性を説明する補足資料として、15年間の売上高推移をグラフにしています。当社は、新設住宅着工戸数が減少傾向にある状況下においても、順調に売上高を伸ばし続けています。今後も少子高齢化などの状況から新築住宅着工戸数は伸び悩むものと想定されますが、新たな水まわり空間の研究と開発、インスタレーション提案に取り組み、事業領域の拡大を進めることで継続的な成長を達成します。

Ⅴ 取扱製品

当社の取扱製品についてご説明します。

当社が近年力を入れている水まわりの「面」展開に対応した製品として、デザイン水栓シリーズがあります。従来から販売している「線」展開としては、継手や配管部材があります。また、創業当初より取り扱っています「点」展開の製品として給水栓や給排水金具がございますが、これらも非接触で給水できるセンサー式水栓や、ウルトラファインバブルのシャワーヘッドなど、より高機能な製品も取り扱っています。

Ⅵ 取扱製品(TOPICS)

こちらではTOPICSとして製品をご紹介します。

予洗い水栓「PrePashu+(プレパシュプラス)」は、この11月1日に受注を開始した新製品になります。タンブラーや哺乳瓶、コップ、グラスや瓶など、手の届きにくいものを予洗いするための水栓です。グラスウォッシャー、コップクリーナー、自動カップ洗浄機とも呼ばれています。日々の清潔をもっと簡単に、もっと効果的に。そして、毎日に余裕と笑顔を。新しい予洗い体験をぜひお試しください。

「Smart Fine Bubble」は、SANEIのウルトラファインバブル製品です。シャワーヘッドや洗濯機へ取り付けられるタイプなど、Smartな構造設計により、水まわりのあらゆるところに汎用できます。水栓メーカーならではの汎用性です。

水まわりが変わると、生活が変わる、未来も変わる。こちらもぜひ一度お試しいただけますと幸いです。

Ⅶ SANEI DESIGN COLLECTION

デザイン水栓シリーズのご紹介をします。国内外で活躍するデザイナーの皆様とのコラボレーションから生まれた製品、人と水のよりよい関係を現代空間の中で追求するSANEIインハウスデザインによる製品など、様々なシーンに合わせられる製品を開発しています。 当社ホームページにも、「DESIGN PRODUCT」ページがございますので、ぜひご覧ください。https://www.sanei.ltd/design/

Ⅷ 販売ルート

本資料の「6 販売ルートの概況」で説明している販売ルートの概要を紹介しています。

水まわり資材を扱う管材店向けの「管工機材ルート」、ホームセンターや家電量販店・ネット通販向けの「リテールルート」、住宅設備機器メーカー向けの「メーカールート」の計3ルートがあり、バランスよく展開しているのが当社の特徴になります。このほか、構成比はまだまだ低くはありますが、海外ルートも含めて全社的には4つのルートで展開しています。

Ⅸ 営業拠点

管工機材ルートは、地域に密着した販売ルートになります。日本全国、北海道から沖縄まで、支社・支店・営業所・出張所を合わせて27拠点を展開しています。

「リテールルート」と「メーカールート」については、大都市圏にある支社・支店を中心に展開しています。(営業拠点の一覧:https://www.sanei.ltd/company/office/

Ⅹ ショールーム

東京・大阪・名古屋・福岡の各支社・支店にあるほか、東京の表参道と大阪の御堂筋に「WAILEA」が1店舗ずつ・東京の青山にFLUSSOが1店舗あります。

Ⅺ Think Life. Make Act. 行動しよう。未来のために

当社は、1954年の創業以来、「人類ある限り水は必要である」を理念とし、地球に生きる一員としての自覚を持ち、企業活動に取り組んできました。

当社のSDGsへの取り組みはこちらにまとめていますので、ご覧いただければ幸いです。 https://www.sanei.ltd/company/sdgs/