業績ハイライト(2024/9)
藤井洋一氏:代表取締役社長の藤井です。ただいまより、2025年3月期第2四半期の決算についてご説明します。
まずは業績ハイライトです。売上高が19億8,100万円、営業損失がマイナス2,700万円、中間純損失がマイナス2,300万円となっています。
第2四半期(中間期)実績
第2四半期の実績について、昨年度と比較してご説明します。売上高は前年同期比99.2パーセントと、若干の未達になりました。売上原価は昨年よりも5.3パーセント増加しています。
この要因として、人件費のベースアップ、それに加えて技術者の採用が増加し、人件費が膨らんだことが挙げられます。
そのほかに、一般管理費が7.7パーセントと大きくアップしていますが、これはGRANDIT社へのパートナー手数料として1,500万円を費用計上したことが要因となっています。こちらは一時費用です。
第2四半期(中間期)売上高
セグメント別の売上高です。検証事業部は約1.9パーセントの微増となっています。開発事業部は、昨年にデジタルインボイス特需が終了したことと、それに伴うパッケージ製品の売上減少が要因となって減少しました。
第2四半期(中間期)営業損失
営業損失の要因も同様です。中間の営業利益は1,800万円の減少となっていますが、これは人件費の増加によるものです。当社としてはプラスと考えていますが、売上には反映できていません。技術者の育成にしっかりと時間をかけている結果ですが、予想よりも投入が遅れ、その分利益が減少しています。
第2四半期(中間期)純損失
純損失に関しても同様に、人件費のアップ、新人採用の増加、インボイスパッケージ製品の終了に伴う開発事業部の減少が要因と考えています。パッケージ製品は利益率が非常に高い商材ですが、この出荷が減少したことで利益を圧迫しています。
その他としては、新諏訪センターの設立に際して下諏訪町から1,000万円の助成金をいただき、プラス要因となっています。
社員数推移
社員の総数は、順調に純増しています。
ビジネスパートナー数の推移
ビジネスパートナーは50名近く減少しました。残念ながら、期首に通信系の大きなプロジェクトが終了し、そこに参画していただいたパートナーが減少したことが要因です。今後は増やしていく方向で考えています。
2025年3月期 通期業績見通し
業績見通しです。売上高は45億円、営業利益は1億2,000万円、当期純利益は8,600万円を見込んでいます。
売上に関して、期首に月額約1,500万円の大きなプロジェクトが急遽終了したことで、現在、検証事業部の売上に上乗せできていない状況です。
プロジェクト終了によりビジネスパートナーの人数は減少しましたが、社員については100パーセント近く稼働しています。
売上高としては非常に厳しい状況ですが、諦めずに通期の目標を目指しているところです。利益に関しても同様に、なんとか目標に届くよう努力しています。
業績達成の為に
業績達成のための事業拡大戦略についてお話しします。1つ目はGRANDIT社とのパートナー契約をベースとした、開発事業の拡大とテスト案件の確保です。ご承知のとおり、GRANDIT社の「GRANDIT」という製品は、海外の有名なSAPと言われているものと同等となる国内唯一の上場会社大手向けのERPの製品です。1件あたり数千万円から数千億円の案件となっています。こちらの開発は現在も行っていますが、製品のテストという案件も含めて事業を拡大していきたいと考えています。
2つ目は、AIを活用したテスト自動化の推進です。後ほどお話しする筑波大学との産学連携で、AIの活用を研究しています。現在の研究状況は、開発案件、カスタマイズ案件については、仕様書の揺らぎをAIを使ってチェックする分野について、実用レベルで行っています。
AIを使った仕様書のチェックとは何かというと、人間が作る文書には文章の揺らぎがあります。同じ表現をするにしても、人によって表現方法が違うということです。揺らぎがあると、それを読み取ったプログラムを作る人間が、勘違いしたプログラミングを行ってしまうことがあります。それが不具合や修正につながるケースがかなりあります。
よって、仕様書の書き方を統一するといくら言っても人間にはなかなか難しいため、最終的には人間が作ったものをAIを使ってチェックして揺らぎをなくし、それを読み取ったプログラムが勘違いしないようにする、ということです。これだけでも1割、2割の生産性の向上につながると考えています。
これはすでに実用レベルになっていますが、同時に次のような研究も進めています。当社が過去に作ったプログラムの一部である600本ぐらいのプログラムをすべて読み込ませて、次に仕様書を同じAIにまた読み込ませます。この仕様書の要求に一番近いプログラムを自動的に抽出させることに取り組んでいます。
これができると、プログラムを1からすべて作るのではなく、再利用ができます。再利用のメリットは、1回テスト検証が終わったものを使うため、一部だけを修正すればよいということです。生産効率も品質効率も上がるため、大きな効果があるということで今期待しています。
考え方としては整理できていますが、技術的に仕様書を読ませる部分で、現在AIは表やグラフを自動的に読み込めないため、そのような図表をどのように読み込ませるかという研究をしています。文章だけの問題は解決しているため、図表の問題もいずれ解決して実用レベルに持っていけると考えています。この考え方や技術を使ってテストの自動化の推進もしていきたいと思います。
考え方は同様で、テストの場合も仕様書を書きます。このプログラムに対して、どのようにテストをすれば一番効率的なのかを仕様書から読み取ります。現行ある仕様書を自動的に読み取って、過去の仕様書の事例も作っておき、そこからテスト仕様書を自動的に生成する、ということです。
テスト仕様書が自動的に生成できると、それに必要なテストデータは何かということもわかってくるため、テストデータも、事前に過去データを読み込ませておくと、その仕様書からテストデータを自動的に生成することも理論上は十分可能だと考えています。
そこで、自動テストデータを自動的に生成できると、あとはテストの実行はそこに実装させて、実行すれば済むということで、おそらく今後、AIの活用はこのような分野に広がっていくと考えます。当社は今、AIの技術を使ってそのあたりの取り組みをしているところです。
また、脆弱性、セキュリティ負荷に関しては、今ネットワーク系ではいろいろなかたちで外からのハッキング攻撃を受けて、実際に損害が出ています。
日本も政府から「脆弱性に関しては定期的にチェックしなさい」と義務付けされるという話も聞こえています。当社においても、脆弱性、セキュリティ負荷テストをすることによって、テスト領域を拡大しようとしており、現在サービスメニューとして加えて営業展開をしています。
また従前から、筑波大学と産学連携プロジェクトを実施しています。筑波大学の中には、AIを使ったいろいろな研究があります。その研究の中から、当社が開発において役に立つ研究プロジェクトと今後も連携を図り、役に立つ研究プロジェクトのサービス化を推進したいと考えています。そのためには人材強化戦略が重要になります。
我々の業界は人材が命です。人材の確保のために当社地域を中心とした優秀な技術者の確保を引き続き進めたいと思います。東京を中心に集めたいのはもっともですが、東京の場合は採用費も非常に上がっており、離職率も高い傾向です。そのため、当社の戦略としては地方人材を活かしたいと考えています。そのために積極的な新規採用と技術教育の徹底を行っていきます。
また、当社はおかげさまで案件の引き合いを非常に多くいただいています。それならば、「どんどんやりなさい」ということになりますが、プロジェクトを回すためにはプロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャーが必要です。
急激に人材を増やしていますが、実際のところ中間のマネージャークラスがどうしても不足しています。3年目から5年目の人材を早く一人前のマネジメントができる人材に育てるために、外部機関も含めて上流工程ができる人材の育成に努めているところです。
それが一朝一夕でできないことはわかっています。2024年から2025年にかけて、人材育成に力を入れて社内体制を作っていきます。ここについてはみなさまのご理解をいただければと考えています。
会社概要
スライドは参考資料となります。当社の概要は大きくは変わっていません。
直近11期の売上推移
売上高についてです。中間では前期並みですが、通期では前年よりもアップしていく予定です。
役員構成
基本的には役員構成も変わっていません。
新諏訪センター竣工
スポット的には新諏訪センターが無事竣工しています。現状45名ですが、プラス80名の人員確保に向けて現在必死に動いています。本稼働に向けて邁進していきます。また、旧センターに関しては要員を育成する目的で、地域一体となったリスキリングセンターにする予定で準備しているところです。
サービス内容
基本的には、サービス内容の領域も変わっていません。内容を充実させて大きく広げていく予定です。
市場規模
我々の市場はまだ広がっています。マーケット的には問題ないと考えているため、あとは当社がマーケットに対してどれだけ大きなサービスを提供できるかにかかっていると考えています。1丁目1番地は人材確保・育成と考えていますが、現在営業部隊の強化も行っています。
また、人材育成の強化も行っています。まずは社内強化をすることで、お客さまのニーズに応えられる会社になるよう日夜努力しています。ご理解いただければ幸いです。
質疑応答:株主還元について
戦略の1つとして「株主のみなさまに対する還元はどうなのか?」というご質問をいただいています。
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