成長の軌跡
鈴木教義氏:株式会社鈴木社長の鈴木です。これより2024年6月期の決算説明を行います。
当社はこれまで、金型を基盤とし、精密プレス部品および成形部品を事業の柱として順調に売上高を伸ばしてきました。
さらに、従来の民生用コネクタ部品に加え、自動車関連部品の獲得に力を入れるとともに、自動機器事業や医療組立事業を拡大し、安定した事業基盤の構築を目指してきました。
連結損益計算書
2024年6月期の経営成績についてご説明します。売上高は277億2,600万円となり、前年比で5.1パーセント増加しました。主な要因は、電子部品セグメントの自動車電装部品の受注が伸びたことです。
営業利益は33億6,900万円となり、前年比で6.9パーセント増加しました。主な要因は、金型の増益と自動車電装部品の増収です。
経常利益は36億6,800万円となり、前年比で13.3パーセント増加しました。主な要因は、営業外損益における海外子会社の外貨建て債務の時価評価で、為替差益が前期に対して1億6,600万円増加したことです。
親会社株主に帰属する当期純利益は22億6,700万円となり、前年比で15.9パーセント増加しました。
連結損益計算書(前期比/営業利益増減)
営業利益が前年の営業利益と比較して2億1,800万円増加した内訳です。売上高は前期より13億5,100万円増加したものの、主に原材料など売上原価が10億5,800万円、販管費が7,600万円増加しています。
連結事業別セグメント情報
続いて、セグメント別の売上高と利益の概況についてご説明します。
セグメント別売上高は前年に対して、金型セグメントでは1.9パーセント減少、部品セグメントでは7.3パーセント増加、機械器具セグメントでは0.3パーセントの減少となり、全体では 5.1パーセント増加となりました。
セグメント別利益は前年に対し、金型セグメントでは118.3パーセント増加、部品セグメントでは3.3パーセント減少、機械器具セグメントでは23.6パーセント増加となり、全体では8.5パーセント増加となりました。
連結事業別セグメント情報
次にセグメント別の詳細についてご説明します。売上構成比率と上期、下期別の売上推移をスライドのグラフで示しています。
金型セグメントは、電子機器向けと自動車電装向けを中心に販売しましたが、売上高は前年比で1.9パーセント減少し、15億6,100万円となりました。
セグメント利益は、生産効率化と高付加価値化の対応を進め、前期より118.3パーセント増加し、6億1,200万円となりました。
部品セグメントは、スマートフォン向けの電子部品コネクタで期末は盛り返しましたが、全体的に低調で前年並みとなりました。産機向けや半導体向けの復調が想定よりも遅れて推移したものの、自動車向けは順調に推移し、売上高は前年比で3.8パーセント増加し、160億1,000万円となりました。
自動車電装部品コネクタは堅調で、売上高は前年比で22.3パーセント増加し、44億2,000万円となりました。
利益面では、スマートフォンの力強さが欠けて推移しました。また、産機向け半導体部品においては、復調の兆しはあるものの足踏み状態が続き、セグメント利益は前年比で3.3パーセント減少し、32億4,200万円となりました。
機械器具セグメントは、自動機器で自動車関連顧客の設備投資が慎重だったことから、売上高は前年比で4.8パーセント減少し、32億5,000万円となりました。医療組立は堅調に推移し、前年比で6.3パーセント増加し、24億7,600万円となりました。
セグメント利益は、自動機器の仕入部材の長納期化が解消され、生産効率が改善されたことにより、前年比で23.6パーセント増加し、6億7,200万円となりました。
連結貸借対照表
財務状態は、前会計年度末と比較し、流動資産は16億8,200万円増加、固定資産は9億5,400万円増加、資産合計は26億3,500万円増加となりました。
また、流動負債は6億7,500万円増加し、固定負債は5億5,200万円増加しました。
自己資本比率は68.0パーセントで健全な財務状態を維持しています。
連結キャッシュフロー計算書
キャッシュフローについてご説明します。営業活動によるキャッシュフローは、54億4,500万円の収入で、投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得などで24億7,800万円の支出でした。
現金および現金同等物期末残高は、前期末残高より15億1,100万円増加し、57億2,300万円となりました。
モノ作りNo.1を目指して:電子部品コネクタ
セグメント別の事業状況についてご説明します。
部品セグメントの電子部品コネクタについてです。スライドのグラフは、当社単体での部品用途別の売上構成比率を示しています。上期の構成比率は、スマートフォンなどの多機能端末向けが前年比1.4パーセント増加の32.7パーセントとなりました。
自動車部品は好調に推移し、前年比11.1パーセント増加の44.1パーセントとなりました。
FA機器は産機向けや半導体関連部品の回復が足踏みし、前年比6.5パーセント減少の7.6パーセントとなりました。
モノ作りNo.1を目指して:自動車電装部品コネクタ
次に、部品セグメントの自動車電装部品コネクタについてです。当期は好調に推移し、通期売上高は前年を22.3パーセント上回る44億2,000万円となりました。
顧客先である住友電装さまのグローバル販売見込み数は、スライド左下グラフのとおり2024年度は2017年度比で、206パーセントとなります。
また、スライド右下のグラフは住友電装さまの国内仕入先の中での当社シェアの推移を表しており、海外へ生産がシフトしていく中で生産数量を伸ばし、48パーセントを占めている状況です。
これは金型技術や量産ノウハウ、自動化技術で当社に優位性があることから、住友電装さまが当社を端子製造のマザー工場として重要視されていることの表れです。今後も新技術開発、高難易度品の立ち上げ等で需要増が見込まれています。
モノ作りNo.1を目指して:機械器具(自動機器)
機械器具セグメントの自動機器についてご説明します。スライドには、これまでの売上高の推移と売上構成比率を表しています。
当期は、医療関連が増産設備により増加したものの、自動車関連の設備投資が慎重に推移し、売上は前年を下回りました。
自動車関連の主要顧客である住友電装さまは、海外生産拠点の遊休設備を、他に需要のある生産拠点へ移管を進めていました。その間、新規設備への投資を抑制していたため、売上は減少しました。現在投資抑制は解除されており、今後は堅調に推移する見込みです。
モノ作りNo.1を目指して:機械器具(医療組立)
機械器具セグメントの医療器具組立についてご説明します。スライドには、これまでの売上の推移を表しています。
アイテム1が海外生産へシフトしたことで減少したものの、アイテム2は2022年に増設したラインも順調に稼働しており、売上高は堅調に推移し、当期売上高は前年比6パーセント増加の24億7,600万円となりました。
通期連結業績見通し
続いて、今期の見通しについてご説明します。
まずは、2025年6月期のセグメント別売上高についてご説明します。
金型セグメントではグループ内の金型の更新型、自動車向け外販型を中心に前年比50パーセント増加を見込む一方、社内スマホ生産向け金型はすでに前年に対応したことから、前年比では半減の計画となりました。金型全体では前年比2.7パーセントの微減となります。
部品セグメントの電子部品コネクタについては、半導体関連と産機関連において、下期からの回復を見込んでいます。また、車載(LiB)向けは堅調な推移を見込んでいます。
一方、スマホ新モデル向けは前年比と同基調で計画し、電子部品コネクタ全体では前年比 14.6パーセント増加の183億4,200万円を計画します。
自動車電装部品コネクタについては、当期も前年同様に好調を維持し、売上高は前年比1.6パーセント増加の44億9,200万円を計画します。また、2年後には部品製造から組立までの高付加価値アイテムの獲得を目指します。
機械器具セグメントについては、民生向けの装置市場が当期も軟調に推移すると予測される一方、車載向け専用装置の増加を見込んでいます。医療器具は計画的な増産により稼働させ、堅調に推移する見込みです。
連結全体の売上高は、前年比11.3パーセント増加の308億7,200万円を計画します。
連結営業利益については、前年比13.8パーセント増加の38億3,300万円を計画し、経常利益も前年比4.3パーセント増加の38億2,700万円を計画します。
親会社株主に帰属する当期純利益については、前年比3.9パーセント増加の23億5,500万円を計画します。利益はいずれも過去最高となります。
設備投資額・減価償却費・研究開発費
設備投資は、主に金型の設備合理化、部品事業の設備増設、機械設備の更新、新設など総額38億6,600万円を予定しています。
前年と比較して約12億円の増加となっており、主に車載部品設備の新設で3億6,800万円、金型の設備合理化として3億1,500万円、部品製造設備増強と能力向上に6億5,100万円の投資を計画しています。
減価償却費については、部品セグメントの車載部品の償却負担が増加し、前年比26パーセント増の28億3,800万円を予定しています。
研究開発費については、自動機の実装技術の開発や金型技術の研究などで、前年比39.8パーセント増の1億7,900万円を予定しています。
配当・配当性向(予想)
続いて、2025年6月期の配当予想についてご説明します。
当社は、株主のみなさまに対する利益還元を経営上の重要課題の1つと位置づけ、業績および財務状況、今後の事業展開等を総合的に勘案した上で、安定的な配当の継続を基本とした株主還元方針を明示しています。
今後当社の企業価値を高めていくためには、株主還元の重要度が増していることを踏まえ、2025年6月期の一株当たり配当予想を年間80円とします。当期より中間での配当も予定し、中間と期末でそれぞれ40円の配当予想としました。
年間配当80円とした場合、配当性向は48.7パーセント、DOEは4.5パーセントを想定し、先日公表した株主還元方針に基づきます。
中期経営戦略
中期経営計画についてご説明します。
当社の経営基本方針です。今日まで進化させてきた技術をさらに発展させ、当社独自の製造プロセスにより、新領域への事業拡大を図ります。あわせて、既存事業においても経営改革活動によりコスト低減を図り、より強固な経営体質の確立に取り組みます。
また、当社の事業構成は、市場の変化が激しい電子部品コネクタの比率が高いです。今後は自動車関連や医療関連など新たな業界で事業を拡大させることで、経営を安定化するとともに、生産の効率化により収益性を高め企業価値を向上させていきたいと考えています。
当社が成長領域と考え、注力する事業とその取り組みは「車載部品ビジネスの拡大」「医療組立の収益力向上」「自動車関連装置の拡大」「新規事業領域への参入による鈴木ブランドの確立や環境問題に対するアプローチによる新規取り組み」となります。
中期経営目標(2025/6月期〜2027/6月期)成長・拡大及び企業価値向上
続いて、当社の中期経営計画についての概要をご説明します。
現在の事業の中で3ヶ年の間で拡大を目指すセグメントは、部品セグメントと機械器具セグメントです。
特に部品セグメントでは、スマートフォン向けの既存製品のシェアを拡大させるとともに、自動車部品(特に電池部品)への継続的な事業活動を通じて、利益率の向上を図ります。
一方、機械器具セグメントでは、自動車部品製造装置の生産増強をします。さらに、新規事業領域への参入も目指しており、現在食品ロボットやプラズマ技術を駆使した新たな装置の研究開発を進める計画です。
このような取り組みを実践し、2024年6月期の実績に対し3年後の2027年6月期には、グループ全体の売上高は44パーセント増加の400億円、営業利益は48パーセント増加の50億円 を目指します。
また、ROEは10パーセント以上を目標として、資本コストを上回るROEを維持し、企業価値の向上を継続的に図ります。
成長分野① 新たな事業の確立
成長領域として捉えている事業の見通しについてご説明します。
まず、車載部品ビジネスについては、部品セグメントの新たな事業展開として、2019年から量産を開始したA社のリチウムイオン電池向け部品を足掛かりに、電池用部品の拡大や新規案件の獲得により成長しました。当期は好調に推移し、前年比133パーセントとなる22億7,700万円の売上となりました。
当事業においては、これまでTier1向け事業として成長しました。今後は、Tier2へも営業領域を広げ、より広く新規顧客の獲得や生産数量の増加、新規アイテムの獲得により、さらなる成長を目指します。
成長分野② 安定事業の医療組立
医療組立についてご説明します。この事業は、安定的に推移していく分野と捉えています。先程ご説明したように、アイテム1は海外生産へシフトしていくため減少傾向の計画ですが、アイテム2は客先の増産計画に基づき設備の立ち上げを行っています。2024年9月にアイテム2の増産ラインの立ち上げを予定しています。
アイテム1の生産減少により発生する空きスペースにおいては、アイテム2の生産設備への入れ替えを計画しています。また、アイテム2は自動化設備の開発により、さらなる収益の拡大を目指します。
成長分野③ 有力となる事業の拡大
自動機器事業についてご説明します。自動車ワイヤーハーネス生産装置をはじめ、各種専用装置の製造・販売、車載電池生産装置、医療関連部品製造装置等の社内生産設備も製造しています。
近年の労働力減少のリスクからますます自動化・省力化を推進する動きが高まっており、新規取引先の開拓も含め自動機器事業の拡大が見込まれます。2027年6月期の売上高を56億5,000万円の計画としています。
新たな業界への参入に向けた活動として、環境省採択の革新的食品鮮度維持技術であるナノスーツを活用した設備開発への参画を計画しています。本技術によりぶどうなど食品の鮮度を長期間保つことが可能となり、食品ロスや食品輸送時のCO2排出量の削減が期待されています。当社の自動機技術を活用し、実用に向けた設備開発を進めます。
また、今後の事業拡大の足がかりとして日本惣菜協会へ入会しました。惣菜製造工程のロボット化による人手不足解消等、食品業界への貢献を目指します。
サステナビリティ
当社グループは、カーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みを推進しています。2019年より省エネ、再エネ対策の目標を設定し、2025年6月期のCO2排出原単位を2019年6月期比50パーセント削減を目標に取り組みを推進しています。
2025年6月期においてはCO2排出量の見える化を行い、従業員の意識向上を図るとともに、各種取り組みによりCO2排出量原単位50パーセント削減の達成を目指します。また、中期ビジョンとして2030年度のスコープ1、2のCO2排出量を50パーセント削減を目標に設定し、取り組みを加速します。
サステナビリティ
当社グループは、深刻化する社会問題への対応と社会全体の持続性を重視し、人的資本の向上に取り組んでいます。
また、鈴木行動憲章では「従業員の多様性、人権、プライバシーを尊重するとともに、安全で働きやすい環境を第一に考え、守るべき行動基準や社内規則を明示し、ゆとりと豊かさを実現する。」を掲げ、各種戦略により、活力ある企業文化の創造に努めています。
また、正社員採用に占める女性比率、女性管理職比率、男性育児休暇取得率についてそれぞれ目標を設定し、2030年6月期までの達成を目指し、各種取り組みを推進しています。
当期においては正社員採用に占める女性比率、男性育児休暇取得率について、目標値を上回りました。達成した数値の維持、向上を目指すとともに、目標未達の女性管理職比率の向上に向け、戦略的に取り組みを推進します。
以上で2024年6月期決算についてのご説明を終了します。今後ともご支援を賜りますようお願いします。ご清聴ありがとうございました。