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北野泰男氏(以下、北野):代表取締役社長の北野です。本日はご多忙の中、弊社の第1四半期の決算説明にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。
はじめに、弊社の株価が長らく低迷し、株主のみなさまには大変ご心配をおかけしていることを心よりお詫び申し上げます。新たに定めた新中期経営計画のアクションプランを確実に実行することで、必ず企業価値を高めていきますので、引き続きご支援のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
それでは、アジェンダに沿って、2025年6月期第1四半期の実績についてご説明します。
グループ連結業績(サマリー)
グループ連結業績についてご説明します。日本国内及び香港、台湾において7月・8月と大型台風の影響を受け、営業休止や営業時間短縮の影響を受けたものの、これらの特殊要因を除けばほぼ計画どおりの進捗となりました。
売上収益は63億7,000万円、営業利益は5億4,200万円、当期利益は3億4,400万円の実績となりました。
なお、営業利益の前期比については、当期比較における特殊要因がありますので、次ページのスライドで詳細をご説明します。
【国内】営業利益の増減内訳(前期比)
第1四半期の国内事業における、営業利益の前期比増減内訳についてご説明します。
国内事業では、直近3ヶ年の新規出店抑制やコロナ禍後に陥った人財不足問題に対処すべく、店舗の統廃合を行った影響や、台風などの天候要因の影響を受け、第1四半期の売上収益は前期比3,600万円の微増にとどまりました。
なお、前期第4四半期より新規出店を着実に実現できており、そのプラス影響は今下期から来上期より出てくる見込みです。
人件費は、前期比では7,800万円増加しています。こちらは、価格改定で得た資金を原資に、2023年8月に弊社事業価値の源泉であるスタイリスト人財を対象とした平均7.4パーセントのベースアップを実施しました。同年10月には、平均2.4パーセントの定期昇給を実施しました。
しかしながら、前期第1四半期の実績は、1ヶ月分の人件費が待遇改善実施前の数字であること、そして定期昇給分がすべて含まれていないことから、前期実績との比較においては62.1パーセントと減益となりました。
また、スタイリストの新規採用が順調に推移したことや、退職率が低減したことによる人件費の増加がある一方、前期においては人員不足への対応として既存社員に休日出勤などの要請をしたことから、休日出勤手当や残業代が増加していました。
人員の適正配置により、それらの費用が減少し、前期に実施した待遇改善や昇給分を除けば、純粋な人件費の増加は1,400万円程度となっています。
その他経費の増加要因として、新券売機の導入費用や、前期第4四半期と当期第1四半期に実施した新店9店舗の出店費用などの先行投資費用の影響が7,800万円です。新規採用活動を前倒しで強化したことによる求人費やロジス育成費用の増加が4,700万円です。7月・8月の酷暑の影響からエアコンメンテナンス費用が1,300万円増加したこと等により、原価が4,900万円増加しました。
また、海外事業をサポートする本部体制の強化費用や国内事業のDX強化にかかわる専門人財を補強したことによる本部人件費が3,300万円増加しました。それ以外では、前期に発生した閉店補償金の収入が今期は発生しなかったことなどで、その他費用が8,800万円増加しています。
その結果、国内営業利益は、前期比3億1,800万円減の4億9,000万円となっています。
【国内】店舗数の推移と前年差異の推移
スライドのグラフは、上段が国内店舗数の推移、下段が前年との店舗数の差異の推移を表しています。
前々期及び前期に店舗統廃合を進めた結果、店舗差異影響が最大マイナス20店舗となっていた時期がありました。前期第4四半期から新規出店を本格的に再開し、店舗数差異は現在、マイナス7店舗まで縮小しています。
なお、今期の国内事業は30店舗の新規出店と8店舗の閉店を計画し、22店舗の純増を見込んでいます。今期物件については現時点でほぼ目途が立ち、来期以降の物件開発にすでに取り組み始めています。
さらに採用と定着をアップし、計画必達で進めていきます。
【海外】営業利益の増減内訳(前期比)
第1四半期の海外事業における、営業利益の前期比増減内訳についてご説明します。海外事業の売上収益は、シンガポールを除き前年を上回り、2,300万円の増収となりました。
香港については、大型台風の影響により2日間全店休業を余儀なくされ、来店客数は前年比をわずかに下回ったものの、為替影響等もあり、売上収益は前年を上回りました。
前年を下回ったシンガポールの状況については、後ほど詳しくご説明します。
その他既存国事業は、香港や台湾の新規出店のための人財補強が順調に進み、スタイリスト人件費が先行して増加したことから、800万円の営業利益増加となりました。
また、カナダのトロントの新規投資に加え、海外事業強化のための人財採用などの先行投資を2,000万円程度行った結果、前期比で営業利益は1,200万円減少し、5,300万円となりました。
【連結】営業利益の増減内訳(計画比)
営業利益の計画比増減内訳についてご説明します。国内の営業利益は、7月・8月の酷暑・台風による影響や、求人費と新券売機導入費用が前倒しで発生したこと、またエアコンの補修費用が計画を上回ったことにより、計画比で8,400万円の未達となりました。
なお、求人費については、局地的に人財不足に陥った地方都市の募集を前倒しで行ったものであり、現時点では通期で計画を大幅に上回ることは想定していません。
また、新券売機の入れ替えについては、新札対応のみならず、今後のアプリ導入などに伴う電子クーポン対応や、ダイナミックプライシングなど、価格戦略への対応力を高めるためにも必須の投資であることから、計画を前倒しで行ったものです。
それ以外の経費はほぼコントロールできており、計画どおりの進捗となっています。
海外については、国内同様、香港の大型台風の影響があり、計画比3,200万円のマイナスとなりました。一方で、一部経費の未消化はあるものの、経費削減施策の効果により5,600万円経費が減少し、営業利益は計画比2,400万円のプラスとなっています。
【連結】新店·閉店の実績
グループ全体の出退店の概要についてです。国内においては、新規出店を3店舗、閉店を3店舗実施し、2024年9月末時点での国内総店舗数は前期末比横ばいの563店舗となりました。
国内の新規出店3店舗は、第1四半期計画比プラス2店舗と、前倒しでの出店となっています。
閉店3店舗のうち、計画を見込んでいた閉店は2店舗で、1店舗は計画外です。これは施設自体の閉店に伴うものですが、すでにこの計画外の閉店に合わせ、近隣で代替店舗の開発に成功し、それまでの既存顧客を大きく失わずに営業を再開できています。
海外については、新規出店については香港で1店舗、カナダで1店舗実施しました。海外全体での総店舗数は前期末比2店舗増加し130店舗となり、計画どおりの進捗となっています。
この結果、2024年9月末時点でのグループ総店舗数は693店舗となっています。
【国内 · 海外】新規出店店舗
当期出店した新規店舗です。国内では店舗の新規出店を行いました。横浜市にグランドオープンした大規模商業施設のゆめが丘ソラトス店、埼玉県所沢市にグランドオープンした大規模商業施設のエミテラス所沢店、そして急な施設の閉店に伴う移転物件として開発した千葉県松戸市のKITE MITE MATSUDO店です。
海外では、2店舗の新規出店を行いました。香港MRTのKennedy Town駅近くのKennedy Town Station店と、カナダトロント1号店のYork Ville店です。
【国内】人員状況(採用数·退職率の推移)
国内の採用数と退職率の推移についてご説明します。採用面については、前期第1四半期に既存スタイリストの待遇改善を実施し、併せて募集条件を引き上げました。それにより、他のカット専門店からの転職を含め、経験値の高い多様な人財の応募・入社が多く、稼働率の増加につながっています。
経験者採用については、他社条件との兼ね合いから、採用人数の予想は難しいですが、当社の最大の強みであるカット未経験者のロジス研修生としての入社は安定しています。トレーナーを期初より増員し、さらなる人財育成体制の拡充を図り、今後の新卒・第2新卒採用、育成につなげていきます。
なお、採用数については、今期計画どおりの水準で進捗しています。
当期第1四半期の退職率については、年率換算で6.4パーセントと、依然低位で推移しています。若干悪化したように見受けられるかもしれませんが、四半期の退職率の計算は3ヶ月間の退職者を年換算するため、状況によっては少し高く出たり、低く出たりしやすい傾向にあります。
例えば、この3ヶ月間で退職者が2名減少すれば、計算上は5パーセント後半になりますので、今回の6.4パーセントという数値は、私自身は悪化とは捉えていません。
引き続き、新人のフォローアップ体制を強化し、定着率の向上に努めていきます。
【国内】全店販促の強化
お笑い芸人のやす子さまには、18歳の自衛隊入隊の頃から、長年「QB HOUSE」をご利用いただいています。SNSの「X」にて定期的に発信されていることをきっかけに、QBアンバサダーに就任いただきました。
「QB HOUSE」の魅力を、SNSや店舗のモニター、自社メディアを中心に積極的に発信していただく予定で、こちらもリクルート活動の強化につなげていきたいと考えています。
また、国内のご来店累計が創業以来3億人を達成し、その大感謝祭として約2ヶ月間にわたってキャンペーンを実施しています。
当社店舗を利用して応募すると商品やデジタル商品券が当たる懸賞を実施しており、今後の既存店の活性化につなげていきます。
【海外】事業の状況
海外の状況について詳細をご説明します。現在60店舗を展開する香港については、既存店の来店客数は前年比101パーセントとなっています。
香港では、物価高や中国の経済減速による将来見通しの不安から、急激に消費者マインドが冷え込んでいる状況が継続しています。さらに、第1四半期では、2回の大型台風に伴う休業の影響がありました。
前期に計画していた価格改定は延期し、消費者分析を行った上で、価格戦略を練り直し、今期の下期に価格改定を予定しています。
シンガポールでは、現在30店舗展開しています。既存店の来店客数は前年比99.3パーセントとなっています。競合との競争が最も激しい国ですが、競合店の値上げも一部あったことから、エリア特性や競合状況を踏まえ、個店別の店舗施策を現在実施し、収益力の回復に努めており、底打ち感と回復の兆しが出てきています。
台湾では、現在34店舗展開しています。既存店の来店客数は前年比98.9パーセントとなっています。全体では新店を積極的に展開していることが功を奏し、109.2パーセントとなっています。既存店は香港同様、台風の影響を受けていますが、価格改定後も順調に来店客数・売上が増加しています。今後、期待できる市場です。
ニューヨークでは、現在5店舗展開しています。既存店の来店客数は前年比103.5パーセントとなっています。
ニューヨークでは過去3回の価格改定を実施していますが、サービスクオリティの面で高い評価を得ており、お客さまが増え続けています。今後もマーケットを調査しながら、価格改定の準備を進めているところです。
カナダは8月に1号店をソフトオープンしています。ベトナム、マレーシアについては、現在、法人設立の準備中となっています。
【海外】シンガポールの来店客数減の状況と売上収益
シンガポールについて詳細をご説明します。2022年10月に値上げを実施して以降、来店客数の減少が続いていました。
しかしながら、前期第2四半期以降は個店別の集客強化策の実施に加え、店舗統廃合に伴う人員配置の適正化などを行ったことにより、来店客数の減少はとどまり、ほぼ計画どおりに進捗しています。
引き続き、個別の集客施策を強化し、来店客数の回復を図っていきます。
【海外】シンガポールの営業利益の増減内訳
シンガポールの営業利益については、前期比1,300万円改善しています。
当期計画では、前期実施した店舗減損等の影響により、店舗家賃が減少することで、第1四半期は1,500万円の赤字を見込んでいました。店舗ごとの人員削減を伴わない配置転換の見直しを行うことで、残業代の抑制を行ったことに加え、さまざまなコスト削減策の推進により、営業利益は1,300万円改善し、赤字幅は800万円まで減少しています。
今後も引き続き、集客施策の実施、ハイブランドへの業態転換などを加えながら客数の回復を図り、一部店舗統廃合を進めることで赤字を削減し、通期黒字計画の達成を目指します。
【海外】台湾の成長
台湾事業についてご説明します。価格改定後の状況はあまり大きな影響はなく、来店客数は順調に伸びています。
大きな失客がないため、引き続き付加価値を上げながら、継続して価格改定を行っていこうと考えています。
【海外】台湾の出店について
台湾における今後の出店についてです。大きな取り組みとして、エキナカでの出店に関して2024年2月、台北MRTと共同開発に係る包括契約を締結しました。
台湾では、駅構内におけるリーシングが、我々単独では厳しい状況が続いていました。しかし、この契約により、当期においては2店舗、駅構内に出店しました。今期以降もあと3店舗、出店がほぼ決まっています。
台湾においては、価格改定実施前の2022年12月に、北部エリアである台北に、日本と同じようなロジスカットスクールという、育成機関を開校しました。人財育成投資を積極的に行ったことで、採用数も着実に増加しています。
今後も台中エリアへの積極的な出店を計画しており、台北と同様にこの育成機関を台中で開校していきます。また、台中だけでなく台南にも店舗を広げていく計画です。
【海外】香港のDX投資と価格改定に向けた施策
2024年4月に予定していた香港の価格改定を、2025年1月に行うように準備を進めています。マーケット調査や追加の失客対策などの強化策を、現在練っているところです。
また、日本でも進めていますが、香港で先んじてDX戦略に着手しました。デジタルに対応した券売機の導入や、完全キャッシュレス化を実現している香港で、さまざまな独自アプリを開発し、リリースしていく予定です。
香港での事例は、日本におけるDX化戦略推進でも大きな経験になると考えています。
国内でも価格改定プロジェクトを立ち上げ、市場調査の実施、失客影響や対策立案のための競合店調査の実施など、具体的な施策を検討しています。国内の新券売機導入については、2024年12月末で完了し、全店舗で導入する予定です。
以上が、2025年6月期第1四半期の実績のご説明となります。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:売上収益と営業利益における天候要因について
質問者:第1四半期の売上収益と営業利益について質問です。マイナスの部分として天候要因が大きかったとのお話でしたが、そちらを除くと、足元も含めて順調ということでしょうか?
また、10月の既存店についても資料を拝見すると、「天候要因が少し出ている」とのことですが、足元の状況についてのアップデートをお願いします。
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