出席者の紹介

司会:それでは、ただいまより、株式会社オプロの東証グロース市場上場に伴う上場記者会見を行います。本日の出席者を紹介いたします。まず、代表取締役社長の里見一典です。

里見一典氏(以下、里見):里見でございます。よろしくお願い申し上げます。

司会:取締役の安川貴英です。

安川貴英氏(以下、安川):安川です。よろしくお願いします。

司会:取締役の吉田順一です。

吉田順一氏(以下、吉田):吉田です。よろしくお願いいたします。

司会:それではお願いします。

里見:本日、私どもオプロは、東京証券取引所グロース市場に株式公開することができました。本当にありがとうございます。また、大変高いご評価いただきました。身に余る光栄でございます。

今後とも、我々は社員役員一同、業務に邁進し、株主のみなさまともしっかりとコミュニケーションを取りながら情報開示を行い、さらに信用していただける会社にしていきたいと思っています。引き続きよろしくお願い申し上げます。

会社概要

里見:では、まず私ども会社の紹介をさせてください。お手元の事業計画および成長可能性に関する説明資料を使ってご説明させていただきます。

スライド4を使って説明をいたします。設立は1997年4月ですが、創業したのはその数年前で、創業してから約30年経っております。いわゆる、失われた30年の期間を生き抜いてきました。創業間もない頃にバブルが崩壊し、リーマン・ショックの経験を経て、現在に至っております。

転換期は2007年で、現在のクラウドビジネスに参入しました。約5年をかけてビジネスをクラウドにシフトして、現在があります。2012年頃に一気にクラウドが伸び始め、その頃から新卒の採用をしています。今も新卒採用を続けているのですが、現在、社員数は102名で、そのうち半分の51名が新卒社員です。定着率は83.9パーセント。直近の3年間では93パーセントです。極めて高い定着率かなと思っています。そして、この若い、ロイヤリティの高い新卒が、我々のクラウドのビジネスを引っ張ってくれています。

事業の紹介

里見:続きまして、我々の事業のご紹介をしたいと思います。スライド6ページです。我々は2つのソリューションを提供しています。データオプティマイズソリューション、それからセールスマネジメントソリューションです。

データオプティマイズソリューションは、データを最適にインプット、アウトプットするソリューションです。いわゆる帳票形式でインプットする、美しくアウトプットするというのが、このデータオプティマイズソリューションです。

セールスマネジメントソリューションは、名前どおり販売管理なのですが、サブスクリプションビジネスに強い販売管理となっています。

主要KPI

里見:次に、我々の昨年のKPIをご紹介いたします。スライドの7ページをご覧ください。

2023年11月期は、売上16億円。期末ARR、年間経常収益はサブスクをやっている会社にとって大事な指標で、我々にとっても非常に大事な指標ですが、こちらが15億円。FY22から23への成長率は44.1パーセント。平均月間解約率は0.53パーセント。全体の売上ストック売上が13億円で比率は80.5パーセントとなっています。

売上構成比は、スライド8に示しているとおり、データオプティマイズソリューションが約75パーセント、セールスマネジメントソリューションが約25パーセントで推移しています。

経営理念

里見:スライドの10ページでは我々の経営理念をご紹介しています。

謙虚・誠実・進取を挙げています。謙虚は、人を敬い尊敬することと言っていますが、いわゆる相手を認めること。誠実は、人や仕事に真面目に対応すること。自ら進んで新しいことに取り組むこととして、進取という言葉を挙げています。これをもとに、我々は経営をし、そしてメンバー全員が活躍しています。

データオプティマイズソリューションの事業概要

里見:続きまして、簡単に製品の紹介をします。データオプティマイズソリューションは製品として大きく4つございます。

まずアウトプットは、「帳票DX」、それから「oproarts」。「oproarts」は、2007年から始めたクラウドサービスです。パートナーさま向けのOEMや、組み込み型で使っていただいています。現在のメインの商材はどちらかといいますと、「帳票DX」になっています。これは2022年にリリースしたもので、特にエンタープライズのお客さまを意識したサービスです。

インプットのツールとしては「カミレス」と「帳票DX ME(モバイルエントリー)」があります。「カミレス」は、基本的に行政や金融のお客さまをターゲットとしたもので、今までの紙の申請書を電子化するためのソリューションです。AIの機能も使っており、基本的に自動的にフォームを作成してくれる製品となっています。

こちらは「Salesforce」のプラットフォーム上で開発されているので、申請、審査、承認というワークフローを一気通貫で対応できるソリューションとなっています。

「帳票DX ME」は、スマートフォンやタブレットがターゲットで、いわゆる紙の帳票をそのまま画面上に電子化するというソリューションです。ポイントとして、こちらのソリューションは基本的には入力画面なのですが、登録先は必ずネットワークにつながっています。普通はネットワークにつながっていないと使えないのですが、これはオフライン、ネットワークがつながっていない状態でもデータ登録ができます。

これについては特許を取得しています。詳細はその後のスライドに記載していますので、お時間のある時に見ていただけたらと思います。

セールスマネジメントリューションの事業概要

里見:続きまして、セールスマネジメントリューションは、スライド23ページをご覧ください。

販売管理のソリューションです。基本的にサブスクリプションに強いモデルとなっており、「ソアスク」と「モノスク」の2つがあります。

「ソアスク」は無形の商材なので、私どものようにソフトウウエアを提供する会社、お客さまが使われるサービスです。

「モノスク」は物のサブスクリプションです。例えばセンサー、カメラ、機械などをサブスクリプションで提供するお客さま向けのサービスとなります。基本的に、「ソアスク」の機能に物の管理を付け加えたものが「モノスク」で、「ソアスク」の拡張パッケージと思っていただけたらと思います。

こちらのプラットフォームも「Salesforce」上で開発しています。なぜ「Salesforce」なのかというと、サブスクリプションビジネスをやっているお客さまの「Salesforce」の導入実績が極めて高いからです。サブスクをやっているお客さまに「ソアスク」を入れていただくと、営業マーケティングからバックオフィスまで一気通貫でデータ管理できます。

それから、サブスクリプションサービスはライフタイムバリュー、いわゆるお客さまに長く使っていただくということも大事です。導入の背景から導入後の利用状況、お客さまの要望あるいはお困りごとをしっかりと管理できるのが「ソアスク」、「モノスク」です。

非常に解像度の高い情報が手に入り、経営側は、一気通貫に情報を見ることができます。もう1つ、その情報をもとにして、次の製品のエンハンスに活かせるツールとなっています。

我々は「Salesforce」と「ソアスク」を利用して、現在、しっかりビジネスを伸ばしています。製品の概要を説明させていただきました。

主要な経営指標

里見:では、次は今後の計画などをお話しいたします。スライドの47をご覧ください。

我々の売上推移です。ここ数年の平均成長値、売上成長値は約25パーセントとなっています。FY23は16億円ありましたが、今年度は、計画として21億円を予定しています。売上の伸びとしては約31パーセントです。

FY23の営業利益は、残念ながらFY22と比べて若干落ちました。この理由は、人の増員に伴う事務所の移転です。どうしてもその経費がかかりますので、若干落ちることになったのですが、移転費用を除けば、営業利益はしっかり伸びていると思います。

今年度、FY24は、売上20億円に対して利益は1億8,400万、約8.6パーセントを計画しており、上期が終わった現在、順調に推移をしています。

次に48ページをご覧ください。年間経常収益は我々にとって非常に大事な経営の指標になりますが、ここ数年の平均成長率は35パーセントで推移しています。FY22か23に対しては44パーセントジャンプアップできました。

セールスフォースと、それからセールスフォースのパートナーでコンサルファームの、例えばアクセンチュアさんとか、デロイトさんとか、あるいはIBMさん、PwCさんなど、そういったところとのつながりができ、そこで大型案件を取れた結果、ジャンプができました。

また、解約率は月次平均0.5パーセント前後で推移をしています。我々は、まあまあ低いほうかなと考えておりまして、カスタマーサクセス活動、いわゆる能動的なお客さまのサポートがしっかりできてるんじゃないかなと考えています。

成長戦略

里見:では、続きまして、スライドの55ページをご覧ください。

今後の我々の成長戦略です。ここ数年、やはりエンタープライズのお客さまに採用されてきたということで、売上がかなり伸びてきています。

ここに対して、しっかりとコミットメントしていきたいと思っています。そのためには、現在のパートナーともっとしっかり握っていく。アクセンチュアさん、デロイトさん、IBMさんなど、そういったところとしっかりと結ぶことによって、売上を伸ばしていきたいと考えています。

そのためには、やはりエンタープライズ向けの営業や開発エンジニアの採用が非常に大事なので、採用をしっかりやっていくことが大事なポイントになってきます。

もう1つは、収益基盤の多様化ですね。やはりエンタープライズ市場に参入するとなれば、SAPというソリューションは欠かせないので、今年度、「帳票DX for SAP」をリリースいたしました。

現在もSAPストアに登録されています。SAP化の認定をいただきました。これをもとに、しっかりとエンタープライズのお客さまに差し込んでいきたいと考えています。

また、SAP以外としては、例えば、まだ上場されていませんが、ユニコーン企業のSmartHRさんとタイアップして、SmartHR専用の人事向けの帳票サービスの定義を始めています。

ほかにも、最近日本に進出してきた「monday」という、いわゆるサイボウズさんの「kintone」の海外版が海外でかなり売れているのですが、そことタイアップして、「帳票DX」のネーミングを「docutize」に変えて、プライシングを変えて、提供を始めています。こういったかたちで収益の基盤を多様化していきたいと考えています。以上、会社概要を説明させていただきました。

競合に対するオプロ社の優位性は?

司会者:それでは質問のある方はお願いいたします。

質問者1:2点おうかがいします。まず、非常に競合が多いと思いますが、そこに対して御社の優位性は、どのあたりにありますか?

里見:また資料を使って説明をさせていただきます。44ページ、そして45ページをご覧ください。まず、データオプティマイズソリューションですが、エンタープライズ向けのソリューションとして、インプット・アウトプットを両方持っている会社は、私どもの理解の範囲では、私ども以外はないと思っています。

アウトプットに非常に強い会社もありますし、それの廉価版の会社もあります。また、非常にライトウェイトな入力ツールもあるのですが、エンタープライズ向けに、しっかりとしたインプット・アウトプットツールの両方を持っているというのが、私どもが1番の強みかなと思っていますので、それをしっかり提案するというところで、競合と差別化を図っています。

セールスマネジメントソリューションについて言えば、やはり我々はエンタープライズ市場を目指していますので、Salesforceとの連携の強さというのが1つの差別化です。そこは、しっかりできているのかなと思います。

また、競合ではないのですが、例えばFinTechのお客さまですね、いわゆるサブスクの請求ができるROBOT PAYMENTさんは今、サブスクペイを始めていますが、ここはエンタープライズのお客さまが協業しているんですよ。

サブスクの管理はエクセルでいいや、請求だけできればいいという、SMBのマーケットは我々はちょっと厳しいのかなと(思っています)。なので、しっかりとエンタープライズのお客さまに差し込んでいきたいと考えています。

社名に込められた思いは?

質問者1:もう1点、社名の由来、社名への思いを教えてください。

里見:はい。オプティマイズド・プロバイダ、最適なる提供者の頭を取って、オプロと名付けました。

質問者1:社名をつけた思いは?

里見:ネットワークの時代になって、いろいろな機能、いわゆる多様的なシステムがあるのですが、やはりそれらは複雑になってきているんですね。

それをいかに最適にしていくかというのが、常にテーマとしてありますので、それを社名につけて、ミッションの「make IT simple.」を実現するソリューションを提供していきたいと考えています。

質問者1:どうもありがとうございます。

提供サービスの訴求力はどの程度あるのか?優位性はどうなっていく見込みなのか?

質問者2:おおまかに2問お願いします。1つ目なんですが、アウトプット・インプットの両方を提供している会社さんが少ない中で、両方のサービスを提供できることが、見込み先にどの程度の訴求力があるのか、またこれからその優位性はどのようになっていく見込みなのかをおうかがいできればと思います。

里見:まず、帳票のアウトプットはいろいろとツールが出ています。極端な話、アウトプットはエクセルでもできるんですね。ですからアウトプットの意外とツールは揃っているのですが、インプットはあまりないんですよ。

それも帳票ライクなインプットツールはあまりなくて、帳票というものを見た時に、みなさんはお気づきかどうかはわからないのですが、すごくよくできてるんですね。上から順番に入れたら、必要な情報がきれいに入るようになっているんです。

帳票のフォーマットというのは、お客さまの状況、例えば組織が変わったとか、やり方が変わったとか、あるいは法律が変わったとか、これらによって変わっちゃうんですよね。これをいかに簡単に変更できるか、あるいは追加できるかが大事なポイントで、それがなかなかできなかったので、申請業務のDX化が進んでいなかったんです。

「帳票DX」「帳票DX ME」が入ることで、申請画面が内製できるというのがすごくポイントで、データさえ入ってしまえば、アウトプットは極端に言うとエクセルもいいですし、変な話、「帳票DX」であれば、紙レスで登録された情報がそのまま帳票を出せるので、そういった意味でかなり優位性があるのかなと考えています。

質問者2:ありがとうございます。

データオプティマイズソリューション、セールスマネジメントソリューションの売上高比率は今後どうなる見込みか?

質問者2:もう1問ですが、データオプティマイズとセールスマネジメントの今の売上高の規模は75対25で、「モノスク」に関しては、これから広がりが見込める印象だったのですが、そのあたりの見通しと、今後の両者の売上高の比率についてのお考えをうかがえればと思います。

里見:はい。資料の65ページをご覧ください。

現状、全体的なソリューションとしては、平均成長率35パーセントで推移しています。その中でデータオプティマイズソリューションは、約33パーセント。それからセールスマネジメントソリューションが38パーセントで推移しています。成長という点で、我々はセールスマネジメントソリューションのほうが分母が少ない分、やはり成長が高いかなと思っています。

「ソアスク」の場合は、無形商材なので、使っていただくお客さまの規模は私どもとあまり変わらないんですよね。

また、「モノスク」の場合は、製造業が重なりますので、いわゆる大型の案件が多いです。なので、1社あたり「ソアスク」の2倍か3倍、売上、AAPUが違ってくるので、ここにしっかりと投資をしていって、お客さまとやっていきたいと思っています。

正直、今「モノスク」単体の伸びはまだ出来上がっていないのですが、いわゆるサブスクビジネス全体の中で、だいたい40パーセントぐらいの成長率を伸ばしていきたいと考えています。

質問者2:ありがとうございます。

上場で調達した資金の使い道は?

質問者3:上場で調達された資金の使い道についてお願いいたします。

里見:はい。まず初値、1673円。非常に高く評価していただいたと思っております。みなさんご存じのとおり、8月2日に暴落、それから8月5日に大暴落があり、私どものブックビルディングは8月2日からでした。

正直、今日という日を迎えられたのが本当にありがたいと思ってます。ちょっと荒れた市場の中で高いご評価をいただいたことは、本当に身に余る光栄です。

引き続き、情報開示をして、そして株主のみなさまとコミュニケーションを取りながら、さらに信頼してもらえる会社にしていきたいと思います。そういう強い思いをさらに持ちました。

それから、今回ご投資いただいたお金につきましては、先ほども言ったようにエンタープライズ向けの人材を確保するのが我々の喫緊の課題です。

やはり正直、今はその人数が足りていません。案件に対して数が足りていないので、採用をいかに早く進めていくかが重要なポイントだと思っています。

営業、開発エンジニア、そしてカスタマーサクセスを行うサポートエンジニア。株式公開ができたので、それなりにブランドも持ったと思います。ですので、それを生かしながらしっかりと採用活動を続けていきたい。そして、それ向けのマーケティングにしっかり投資をしていきたいと考えています。はい、ありがとうございます。

今後2、3年でARRはどのくらいを目指すのか?

質問者4:今後の売上高の目標についておうかがいします。ARRも44パーセントと高い目標を掲げられていますが、ここから2、3年ではどれくらいを目指しているんですか?

里見:ARRは平均135パーセントなので、やはりそれを少し上回るようなかたちで進めていきたいと思っています。売上に対しては、だいたい25パーセントから30パーセントというところです。ルール・オブ・フォーティというものがあり、サブスクのビジネスの場合、売上の伸びと利益の伸びの合計が40パーセントいい会社と言われていますが、やはりそこをしっかりと担保できるような会社にしていきたいと考えています。

質問者4:ありがとうございます。

里見:(挙手を見て)はい、どうぞ。

株主還元に対してどう考えているか?

質問者5:今後の株主還元方針というか、考え方をお願いします。

里見:はい。正直今、我々は投資モードなので、いわゆる配当金はまだ少し厳しいかなと思っています。

ただやはり株主のみなさまに対して、しっかりリターンを出していきたいと思っていますので、まずは業績をしっかり出して、先ほどお話ししたルール・オブ・フォーティに近い数字を常に出せる。それでしっかり株主のみなさまに返していくというところを当面の目標にしたいと考えております。

ただここで終わるわけではありませんので、ゆくゆくは当然プライム市場になれるように、そのあたりでいろいろと考えていけたらと考えています。

司会者:他にご質問のある方はいらっしゃいますか? 他にないようでしたら、こちらをもちまして、上場日記者会見を終了させていただきたいと思います。本日はありがとうございました。

里見:どうもありがとうございました。