大和コンピューターの経営理念

中村憲司氏:株式会社大和コンピューター代表取締役社長の中村です。本日はお忙しい中、当社の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。ただいまより、ご説明を始めます。

まず、大和コンピューターの経営理念をご説明します。当社が存在する理由は、「安心」「安全」「信頼」という絆作りを追求し、魅力ある会社を創造し、会社の発展と社会に貢献するためです。当社はそのようなことを追求していきます。

経営理念は「和魂」で、和の魂です。社名にもある、この「和」は、かたちで言えば車輪の「輪」「環」「円」のようなものです。「調和」「平和」、そして「和する」、さまざまなものと和同し、和を重んじることを大事にします。

そこから生じるつながり、良好な関係、今風に言えばネットワークを築いていくこと、しかも「大和」、すなわち大きなネットワーク構築を目指し、魅力ある会社作りを進めていきたいと考えています。

とりわけ大切にしているのが、当社のバリューである「品質」・「環境」・「技術」です。この3つのミッションを遂行し、掲げるビジョンを実現する活動を進めていきます。お客さまに、「より良いソリューション」を提供していく活動を続けていきます。

INDEX

本日は、スライドに記載した流れで進めていきたいと思います。

2024年7月期 通期決算 業績サマリー

業績サマリーについて、ご説明します。2024年2月29日に、通期業績予想を上方修正しました。その結果、着地としては上方修正の予想を上回り、売上高、営業利益、経常利益ともに過去最高を更新し、増収増益となりました。

営業利益は、働き方改革に伴う生産性向上や業務プロセス改善の結果、前期比12.2パーセント増となりました。

売上高は32億9,100万円で、前期比9.5パーセント増、予想比4.8パーセント増です。営業利益は5億6,500万円で、前期比12.2パーセント増、予想比0.9パーセント増です。経常利益は6億円で、前期比16.6パーセント増、予想比3.6パーセント増です。親会社株主に帰属する純利益は3億4,200万円で、前期比4パーセント増、予想比0.2パーセント増となりました。

セグメント説明

当社のセグメントは、大きく3つに分かれています。1つ目は「ソフトウェア開発関連」で、システムに関する統合的なICTソリューションの提供、ソフトウェア開発、そして、開発基盤として用いている「CMMI」コンサルティングの提供です。

2つ目は「サービスインテグレーション関連」で、スポーツクラブや各種スクール向けのクラウドソリューションの提供、それにかかわるクラウドサービスの開発です。

3つ目は農業関連と販売関連で、これらを総称して「その他」としています。農業もこちらのセグメントに入れていますが、中心はIoT農業による農作業効率化の推進、サービスの提供、システムの提供、そしてRFID(無線ICタグ等)を活用した新規ソリューションの提案です。

セグメント別業績ハイライト

セグメント別の業績ハイライトです。まず「ソフトウェア開発関連」について、対象組織は、システム開発を行うソリューション本部、ソフトウェアの品質に関するコンサルティング部です。ここで、先ほどご説明した「CMMI」コンサルティングを行っています。売上高は、前期比2億500万円増の25億2,500万円、営業利益は前期比6,800万円増の4億4,100万円となっています。

次に、「サービスインテグレーション関連」です。対象組織は、クラウドサービス運用サポートを行うSI(サービスインテグレーション)本部、ならびに、子会社のフィット・コムです。売上高は、前期比100万円減の6億900万円、営業利益は前期比600万円減の1億6,400万円となっています。

「その他」に含まれる農業関連と販売関連の対象組織は、システム販売を行う営業部門と農業関連部門です。売上高は、前期比8,100万円増の1億6,200万円、営業損失は前期比100万円減の3,800万円となっています。

営業利益 増減要因分析

営業利益の増減要因分析です。2023年7月期の営業利益は5億300万円でした。2024年7月期はトータルで6,200万円増の5億6,500万円となりました。

主に、企業のDX化に伴うIT需要が順調に進み、それらの需要に対応できました。「ソフトウェア開発関連」の増収効果が、増益に寄与しました。

一方、販管費は浅小井農園の子会社化により、増加しています。こちらは連結対象が2023年7月期は3ヶ月のみでしたが、2024年7月期は12ヶ月だったためです。また、先ほどご説明したSI部門のクラウドサービスを提供している子会社フィット・コムの展示会開催などにより、若干増加しました。

得意先の状況

得意先の状況です。SCSKさま、大塚商会さまの比率が高い状況は変わっていません。いずれも日本を代表する企業さまであり、20年以上の密接な取引関係を構築し、現在も良好な関係です。

両取引先から、当社はコアパートナーとして位置づけていただき、両社の中枢を成すソフトウェア分野に深く関与しています。

両取引先の構成比は、年によって若干変化があります。また、その他得意先との取引に関しても順調に推移しています。

キャッシュフローの状況

キャッシュフローの状況です。

営業キャッシュフローは、順調に利益を計上しています。主な営業キャッシュフローの内訳は、スライドの表に示したとおりです。

税金等調整前当期純利益が5億4,400万円、減価償却費が3,400万円、減損損失が5,600万円、売上債権増加が1億5,500万円、法人税等支払額が1億9,700万円となっています。

投資によるキャッシュフローは、投資有価証券の償還による収入が9,300万円です。

財務活動によるキャッシュフローは、長期借入金の返済で500万円、配当金の支払いで6,900万円です。

今回から、表の中段に営業キャッシュフローと投資キャッシュフローを合わせたFCF(フリー・キャッシュフロー)を記載しています。2024年7月期は、6億7,200万円となりました。

自己資本と有利子負債

自己資本と有利子負債の状況です。有利子負債に関しては、13年前に震災の影響やその後の経済状況を踏まえ、備えとして約2億5,000万円の借入を実施しました。その結果、有利子負債は約5億6,900万円となっていましたが、スライドの表とグラフにも記載のとおり、2022年7月期は約3,000万円となりました。

2023年7月期には、連結子会社の借入金処理で、5,500万円増の8,500万円となりました。当期末は、結果として7,900万円となり、総資本における有利子負債比率は1.30パーセントとなりました。

不透明な経済状況下ですので、柔軟かつ積極的な財務戦略を展開していきたいと考えています。

2025年7月期 連結業績予想

2025年7月期の業績予想です。すでに9月6日に発表していますが、あらためてご説明します。

「ソフトウェア開発関連事業」を中心に、増収増益を見込んでいます。足元では、金融市場の変動や地政学的リスクの影響、さらに国内においても物価の高騰や人件費の増加により、経済の先行きは非常に不透明な状況です。

人手不足や少子高齢化等が進む中、企業は戦略的なIT投資に積極的に取り組んでいます。働き方改革への対応、DX化による自動化・効率化・省人化・省力化への投資は確実に増加しており、IT需要は順調に進むものと判断しています。

その結果、スライドに記載のとおり、売上高は前期比1.6パーセント増の33億4,500万円、営業利益は前期比1.8パーセント増の5億7,500万円、経常利益は前期比0.7パーセント増の6億400万円、当期純利益は前期比13.1パーセント増の3億8,700万円を見込んでいます。

各セグメントの見通し

各セグメントの見通しです。「ソフトウェア開発関連事業」は、先ほどお話ししたとおり、企業や社会におけるさまざまなニーズや、DX化による省人化・自動化等に対応していきたいと考えています。

ストックビジネスである「サービスインテグレーション事業」に関しては、お客さまのWebサービスの高度利用に対応していきます。

「その他」事業の農業分野に関しては、天候不順による自然災害等に対応するため、IoTやAIを取り込んだ農業の具現化に、さらに積極的に取り組んでいきたいと考えています。

業績推移(連結)

直近8年間の業績推移です。スライドのグラフに記載のとおり、コロナ禍の景気低迷によって影響を受けた時期もありますが、概ね長期的に堅実な成長を遂げています。

株主還元

株主還元についてです。企業価値の向上と、その水準の維持を可能とする範囲において、事業規模拡大のための内部留保とのバランスを考慮しながら決定していくというのが、基本方針です。

その中で、2024年7月期の配当は、当初予定していた18円から1円増配の19円と考えています。

今後も株主のみなさまの期待に応えられるよう、業績向上を中心とし、過去7回実施している株式分割等を組み合わせて、還元の状況を見ながら進めていきたいと考えています。

2024年7月期 トピックス

増配を予定している、2024年7月期のトピックスを簡単にご紹介します。

まず、当社の幹となる「ソフトウェア開発関連」です。昨年の上期は、インボイス制度や電子帳簿保存法などの法改正に伴うシステム開発改善に対する要望が多くありました。これらにより、受注が拡大しました。

下期は、法改正対応で滞っていた業務効率の改善や情報システムの強化、省力化などにおける要望に対応しました。

「CMMI」に関しては、後ほど少しご説明します。

農業関連は、先ほどお伝えしたとおり、浅小井農園との経営統合に注力しました。

スライドに記載のとおり、大学との共同研究を積極的に進めてきました。IR、PR等でも発表していますが、AI関連としては、静岡大学と共同で、メロンの網目の品質を認識可能なAIの研究開発に成功しています。

また、気候変動に伴い、害虫問題が大きな被害をもたらしています。メロンやトマトなどの農作物に害を及ぼすコナジラミを対象とした光用品の駆除部品開発も、大学と共同で進めている状況です。

また、グローバルな観点からも、農業に関するIoT化、IT化が非常に関心を持たれている中、我々は、アジア・太平洋電気通信共同体(APT)のネパールにおけるデジタル農業エコシステムを設計する共同研究プロジェクトにも参画しています。

成長戦略

2025年7月期の業績予想を実現させ、それから先をどのように伸ばしていくかという、成長戦略についてです。後ほどご説明する参考資料を、かいつまんでお話しします。

冒頭でお伝えした、「『魅力のある会社』を創りあげる」という基本的な考え方を実現させていきます。そのために、例えば、「ソフトウェア開発関連事業」では、何においても品質が大事です。お客さまに迷惑をかけないようにバグを出さないようにする。また、ソフトウェアの技術的な変化をできる限り素早く反映する、そうすることで高品質なソフトウェアの提供に注力していきます。

それを成し遂げるためには、やはり人材への投資が重要になるかと思います。具体的には、AIを活用できる人材の育成・教育を行っていくと同時に、積極的に新入社員を採用していきます。

また、学生が当社での将来のキャリアや活躍の場をイメージしやすいシステム・プロセスを随時導入していきます。人材への投資を積極的に推進し、当社の成長を促していきたいと考えています。

中長期目標・戦略と状況

中期的な目標と具体的な取り組みについて、参考資料を使ってご説明します。最後に、農業に関する活動について、2分弱の動画がありますので、見ていただければと思います。

1.ソフトウェア開発関連事業の強化

「ソフトウェア開発関連事業」についてです。こちらは当社の幹とも言えるビジネスです。「品質第一主義」を掲げていますが、新入社員の頃から耳にタコができるくらい、「品質、品質」と伝えており、当社が一番大事にしていることです。

お客さまからも、「大和コンピューターは品質にこだわっているね」という言葉をいただくことが多々あり、非常にありがたく思います。今後もさらに、常に高品質な製品・ソフトウェア・サービスの継続的な提供を目指していきます。

こちらは言わずもがなですが、AIやDXに積極的に対応できるよう、またニーズにお応えするべく、社内教育を実施していきたいと考えています。すでに新組織を立ち上げて、AIを使った業務改善、業務プロセス改善の強化に関する取り組みをスタートさせています。

もちろん、働き方改革も非常に大事な取り組みです。全国どこにいても仕事ができるよう、ソフトウェア開発だけでなく、農業においても「ワークライフバランス」を掲げて取り組んできました。こちらをさらに推し進めたかたちで、実装していきたいと考えています。

3.クラウドビジネスの推進

クラウドビジネスの推進についてです。こちらは、まさに当社におけるストックビジネスで、ASP、SaaSに関わる事業です。当社は、ターゲットを「健康」と「学び」という分野に絞って、ビジネスを推進させていきたいと考えています。

会員管理を中心に展開していますが、お客さまの利便性、店舗運営、非接触といった分野でのニーズがあります。これらに対応するべく、サービスの品質向上に取り組んでいきたいと思います。

スライド左下に業績を記載していますが、当社におけるストックビジネスの位置づけは確実に伸びてきています。今後は、さらに成長を加速させていきます。

2.CMMI関連ビジネスの強化

「CMMI」関連ビジネスについてです。こちらも「ソフトウェア開発関連事業」の幹となる部分です。

ご説明は省略しますが、今から20数年前に「CMMI」レベル3、レベル4を実際に実装し、高品質なソフトウェアを作るためのプロセスとしては有効だろうということで、手掛けてきました。

おかげさまで、2023年のベンチマークアプレイザルとサステイメントアプレイザルの実施数に関しては、国内1位を継続しています。また、最新のバージョン3については、英語と日本語バージョンでの対応を速やかに行い、ニーズに応えていきたいと思っています。

4.「RFID」ビジネスの推進

RFIDビジネスについてです。こちらは、さまざまなかたちの無線ICタグを活用し、今は一般でもポピュラーになっている、RFIDを活用した在庫管理、入荷検品システムなどに関して、当社は、先駆けて実用化モデルを構築してきました。

当社の特徴としては、世界標準である「EPCIS」や「EPC」に則った基準になっていることです。そのため、万国共通のRFIDビジネスの基盤を展開することができます。

4.RFIDビジネスの推進

また、RFIDビジネスの推進として、日本酒業界への普及を進めています。若くて勢いのある蔵元、あるいは海外への輸出を積極的に取り組む蔵元と共に、現地での保存状態、輸出過程での温度管理が問題で品質の良い日本酒が現地に届かないといった課題に対して、RFIDを活用して解決できないかと考え、各種協力しています。

海外では、日本酒の中身だけを別のお酒に入れ替えられることがあると聞いています。その状況をなんとかできないかという要望など、一つひとつに丁寧に対応していきたいと考えています。

5.農業に関する活動

農業に関する活動についてです。後ほど動画にも出てきますが、当社は日本の農業を強くしたいと考えています。加えて、デスクワーク中心の社員のワークライフバランスに関して、リアルとデジタル、両方のバランスが取れないかということがきっかけで、16年前から農業に関する取り組みをスタートしています。

今後、日本全国で、農業生産者の後継者不足、高齢化、食の安全保障等、さまざまな問題が出てきていますので、これらにできることから対応していきます。

5.農業に関する活動

生産への取り組みについて、スライドに記載がありますので、詳細は後ほどご覧ください。

実際に農業を行ってみないと、システムの導入ご提案も難しいということで、現在は静岡県でメロンとトマト、滋賀県でトマトを栽培・販売をしています。

一部、ECサイトを通じて、オンライン上でメロン・トマトが購入できますので、お手すきの際にご覧いただければと思います。

5.農業に関する活動

生産の取り組みだけでなく、「i-農業」と称して、総合環境制御システム、農業管理システム、出荷調整システム、トレーサビリティシステムのシステム開発をしています。また、AIを活用したメロンの等級判定、自動化の養液潅水システムを提供する取り組みも進めています。

5.農業に関する活動

その他の取り組みについてです。さまざまなところで、農業に関する挑戦を行っています。

5.農業に関する活動

直近では、先ほどお話ししたように、昨年、浅小井農園を子会社化しました。軒高4メートルほどのオランダ型統合環境制御装置を設置したビニールハウス内で、トマトを生産しています。

浅小井農園はJGAP認証も取得しており、認証制度に則ったかたちで農作物を栽培しています。

現在は、浅小井農園の経営統合化、ルーツと浅小井農園の共通化、効率化に向けて活動を進めています。

6.持続可能な成長を目指して

持続可能な成長を目指して、当社にできる取り組みを、スライドに記載した内容をもとに進めていきたいと思います。

6.持続可能な成長を目指して

成長戦略である「人財価値の向上」に関して、当社は2022年に人材育成センターという、専門の組織を設置しました。社員のキャリア、知識レベル、スキルレベルを向上させていくためのサポート、そして投資を中心に活動しています。

6.持続可能な成長を目指して

オフィス環境の改善も、生産性向上のため、継続して進めていきたいと考えています。

以上で、2024年7月期ならびに2025年7月期の見通しについて説明を終わります。ありがとうございました。