INDEX

米田光宏氏(以下、米田):代表取締役兼執行役員社長の米田です。私より、本日開示した2024年9月期第3四半期決算についてご説明します。よろしくお願いします。

まずはどのような事業を行っているかという会社概要、次に決算ハイライトとして第3四半期の業績を少し詳しくお伝えし、通期業績予想、そして今後の成長戦略について順番にお伝えします。

About “Tsunagu” 私たちについて

米田:会社概要です。私たちのミッションは、「つなぐ、つなげる、つながる。」です。

後ほどもお伝えしますが、「2030年の労働需給ギャップ解消」を挙げ、644万人ほどの人手不足が起こると言われている社会課題に関するソリューションを提供します。課題解決の一助となれるように日夜がんばるといったところが、我々の事業内容です。

事業概要

米田:具体的にどのようなことをしているかについて、ご説明します。

644万人の需給ギャップの中でも、一番人手不足が起こると言われているのはサービス業です。例えば飲食店や卸売・小売業と呼ばれるところ、少し広い範囲で言えば物流・倉庫なども該当します。

そこでは日夜「人が足りない、どうしよう。求人広告を打てばよいのか?それとも派遣を頼めばよいのか? はたまた、今話題のスポットワーク「タイミー」や「シェアフル」を活用すればいいのか?」という状況が起きています。

そのシーンにおいて我々は、「どのようなことをすれば人が集まるか」に対するコンサルティングを行っています。「このような求人採用ニーズであれば、このような在り方のほうがよいのではないでしょうか? 我々がご支援し、企業と採用・人材系事業を代わりにおつなぎします。」といって、ソリューションを提供しています。

現在の支援企業数は2万1,750社ほどあり、支援拠点数は15万店舗(事業所)です。AIやテクノロジーを使いながら、それらの店舗に年間206万人程の人をおつなぎするようなコンサルティングをしています。

弊社調べではサービス業を中心に、従業員1万人以上の企業の5社に1社が我々のサービスを導入しています。

坂本慎太郎 氏(以下、坂本):従業員1万人以上の企業の5社に1社と言うと、シェアはかなり高く、ほとんどの企業とお付き合いがあるような状況かと思います。これまでの発表資料等で掲載していない企業もあるということですか?

米田:おっしゃるとおりです。このようなシーンでお話しできる企業もあれば、そうでない企業もあります。

我々の事業は採用コンサルティングであるため「ツナググループ・ホールディングス」という社名が前に出ることは少ないです。例えば、お客さまであるセブン-イレブンの約2万店舗の店長の中に、ツナググループの名前をご存知の方はほとんどいらっしゃらないのです。

坂本:実務より裏方となるコンサルティングのほうがメインであり、店長から御社に直接「人材が欲しいのですが」と頼むような仕組みではないために知られていないということですね。

米田:おっしゃるとおりです。コンサルティングだからということも1つありますが、セブン-イレブンには、加盟店向けのセブン-イレブン採用センターがあります。

坂本:セブン-イレブンに行くと求人募集のポスターが貼ってありますが、そこに記載されている電話番号は、店舗ではなく採用センターの番号になっていますね。

米田:我々がアウトソーシングとして採用センターを運用しており、店長は本部にご連絡するようなイメージです。

例えば、王将フードサービスの場合は700店舗から800店舗ありますが、それらの店長も、知らないうちに我々を利用いただいています。

坂本:今日初めて御社のIRセミナーを見ている方は知らないかもしれませんが、採用業務もお手伝いされているということですね。

米田:店長やオーナーの代わりに、我々が求人媒体を使用します。また、アルバイト応募者からの電話は我々のコールセンターにつながるため、先ほど挙げた約250万人の応募者の方も、知らないうちにツナググループとつながっています。

我々も新卒採用などを行っていますが、「学生時代はツナググループという名前を知らなかったのですが、あのアルバイトに応募した際は御社に電話していたのですね」「メールを送っていたのですね」と驚かれます。

どちらかと言えば、インフラや縁の下の力持ちのような役割を果たしているのが我々のサービスであるとご理解いただければと思います。

坂本:アルバイト応募者が採用センターに電話した場合、まずは御社が受け、その後店長におつなぎするのですか?

米田:そのとおりです。例えば、地方の応募者によくありますが、お店の場所がわからない時は我々がネット上のマップを見つけ、場所を聞き、お店までのご案内も行っています。

坂本:非常に手厚いですね。

事業沿革

米田:我々は、2007年に創業しました。日本の人口ピークは2012年で、いわゆる就労人口ピークはそれよりも前に来ています。したがって、この人手不足というある種メガトレンドの中で大手企業を中心にお客さまを増やし、2008年からCAGR33パーセントの成長を果たしています。

スライド左上に「第二成長フェーズ」と記載があります。我々はサービス業を中心に業容を展開していたため、新型コロナウイルス感染症で人流そのものが止まった際、採用どころかお店さえ動いておらず、我々もいったん踊り場に入りました。

しかし、そこから物流系企業や、いわゆるサービス業以外の人材採用支援も行うことで、現在は第二フェーズという形で更なる事業成長を果たしています。

坂本:コロナ禍前後でいったん需要の部分がかがんだかと思いますが、コロナ禍後は景気が戻り、経済も回るようになってきました。

しかし、帰国した外国人が戻ってこないパターンもあり、日本人で人材を取り合うようなこともあるのではないかと思いますが、この点について、御社はどのようにうまく対応されているのでしょうか? 

米田:前提として、まさにリバウンド、リスタートというかたちで、2019年以前よりも人手不足の圧迫感は高まっていると強く実感しています。

おっしゃるとおり外国人の労働力もいったん引けているため、そのような方を戻すというところもありますし、現在は為替の問題もあります。

坂本:円安ではなかなか戻ってこられないと言いますか、他の国に行ったほうがよいということがありますよね。

米田:例えば、2019年当時の為替と現在の為替では、同じ仕事をしていても給与は35パーセント目減りしているイメージです。

坂本:他国はもっと物価が上昇しているということですね。

米田:そのとおりです。やはり、この人手不足の切迫感や圧迫感は非常に高まっていると思います。

ただし、コロナ禍前後で異なるのはDXです。例えば、このような株主のみなさまとのコミュニケーションも、以前は会場をお借りしていました。

坂本:ログミーでも、150人から200人の方がいて、お話しいただいていたことがありました。

米田:今はウェビナーやZoom等を利用しています。採用活動もまさにそうで、このようなテクノロジーを使うことで採用そのものの回転率は非常に上がっています。

求人広告を見て応募するというよりは、自分のレジュメを登録したところに企業が直接触りにきます。そのようなことのお手伝いなどを含め、採用活動の方法や在り方が大きく変化しています。

広告以外にもさまざまなパターンで採用を成功させるという意味から言うと、我々自身の役割も非常に多岐にわたってきているという実感があります。

坂本:御社のビジネスチャンスは、どんどん広がっているということですね。

米田:プロダクトを持たずにコンサルティングから入るため、そのような意味では幅が広いと考えています。

坂本:本日は決算説明会のため、業績に結びついている部分は後ほどおうかがいしたいと思います。

会社概要

米田:私の自己紹介を入れています。1点加えるとすれば、現在私が代表理事をつとめているスポットワーク協会関連ですが、スポットワークという「1日だけ働く」「この時間だけ働く」という就労スタイルが本当に伸びてきています。協会では、事業者団体が集まってスポットワークが健全に成長できるよう推進しており、そこの代表理事として、新たなマーケット作りにも寄与しています。

ハイライト 2024年9月期 第3四半期業績

米田:第3四半期となる4月、5月、6月の四半期を締めたため、我々の決算についてお伝えします。

第3四半期累計期間の売上高は前年比6.8パーセントアップの119億5,400万円。第3四半期会計期間(3ヶ月間)の売上高は40億9,300万円です。また、売上高ならびに営業利益額に関しても、第3四半期を切り取ったところで言うと、過去最高の売上高と利益額を更新しました。こちらの背景については、後ほどお伝えします。

ハイライト 2024年9月期 第3四半期 売上高推移

米田:2024年9月期 第3四半期の売上は、前年同期比7.7パーセントアップしました。

ハイライト2024年9月期 第3四半期 営業利益推移

米田:先ほど「過去最高額」とお伝えしましたが、営業利益率は3.3パーセントと、1年前より0.1パーセント下がっているように見えています。

坂本:この要因を簡単に教えてください。

米田:本社を移転し、通期で1億5,000万円ほど投資しているインパクトの一部が、第3四半期にもかかっています。その一時費用を除くと、営業利益率は4.2パーセントとなります。

坂本:業績自体は好調ですが、一時費用で落ち込んでいるようにも見えるということですね。ここでお聞きしますが、売上は過去最高で、足元の一時費用を除いた営業利益もかなり高い状況にある、この背景について教えてください。

米田:先ほどもお伝えしましたが、スライドの表にあるように、コロナ禍では我々の結果としても、非常に大きな業績インパクトがありました。

坂本:人流や事業が止まっていますからね。

米田:リバウンド、リスタートをキャッチアップする中で、我々自身の人員を増やしていくことこそが事業成長につながると考え、オフィスを銀座7丁目に移転しました。今まではテレワークや在宅勤務が多かったところを、出社できる環境をより整備し、人員自体も増加しています。

いわゆる拠点集約による業務生産性と延床面積の向上により、ある種の人的資本投資をこのオフィス移転で行ったということです。

おもしろいもので、Webでのコミュニケーションにより仕事も少し遠回りだったところが、久しぶりに対面でミーティングを行うことによって、ある種、お客さまにお渡しする価値も上がっているのではないかと感じています。

坂本:社長も話すのが好きそうですから、コミュニケーションが取れると良いのではないですか?

米田:そうですね。我々は各企業の採用業務をアウトソーシングで受けるBPOでもあります。その中で相談ごとをリアルタイムに受け取りコミュニケーションをしっかり取ることでお客さまの採用活動をより円滑に行うという意味で言えば、本社移転も価値向上の1つにつながっているのではないかと感じています。

坂本:キャパはまだ余裕があるのでしょうか? 今後、もう少し人員が増えても大丈夫ですか?

米田:我々の成長戦略の中で、特に売上高成長については意識しているところでもあります。したがって、一定の期間中の売上見込みに対して陣容が入るようなオフィス移転を行いました。

ハイライト 2024年9月期 ROIC 四半期推移

米田:営業利益額や売上高以上に、我々自身のコーポレートアクションとして何より大切なKPIとしてROICを置きました。これはコロナ禍で我々が業績に苦しんだ当時を振り返って解決策となる指標だと考えています。

成長戦略の中の資本効率が特に大事だということで、コロナ禍では1桁台だったROICを、中期経営計画の中で20パーセントにもっていこうとしています。

今期第4四半期にROIC20パーセントを目指していましたが、四半期前倒しで20パーセントを達成できたことは、財務戦略を含めたコーポレートアクションの中で行ってきた1つの結果であると考えています。

坂本:こちらはかなり高いですね。

2024年9月期 第3四半期 連結業績

米田:第3四半期業績について、もう少し分解してお伝えします。

売上成長とともに、収益構造が変わってきています。営業利益率は前年同期比1ポイント改善しており、大きなところとしては固定費を変動費化している点です。その中でも、売上成長とともに変動費化を進めることで収益性を改善できている点が大きなポイントだと考えています。

スライドにも記載のとおり、固定費を下げて変動費を上げるけれども、固定費分以上には上げません。その結果、営業利益に還元しています。

当然ながら、売上が上がることで利益額が増えるということもあります。先ほど資本効率のお話もしましたが、筋肉質な体質にすることで、第3四半期の結果につながったと考えています。

坂本:業容が拡大している中での固定費削減は、なかなか大変だったのではないかと思います。このポイントとなる主な部分について、ご説明できる範囲で教えてください。

米田:この売上成長にはオーガニックの成長もありますが、積極的なM&Aも成長要因の1つとなっています。

坂本:御社はかなりM&Aしていますね。

米田:M&Aでいくつか会社が増えると、どうしても固定費が増えます。各会社が決算し、それぞれに人事的な役割をする部門や間接部門がありますが、コロナ禍の際に思い切って一気にワンカンパニー化を進めました。

その結果、マネジメントが一気通貫でできるようになりました。固定費から変動費にすることは、ある種の大きな決めごとでもあります。今までは各会社が稟議承認規定の中で決めていたことをホールディングスにすべて集約することで、決断スピードと実行スピードが高まりました。この点が1つの大きなポイントだと思います。

坂本:しかし、これは大変でしたよね。一気通貫で違う会社をまとめてマネジメントに取り組むのは、カルチャーや給与も違うと思いますし、ビジョンもなかなか浸透しづらいと思います。

米田:そうですね、遠心力の経営から求心力の経営に変える上では、やはりリーダーシップも必要なところもあります。したがって、私が先頭に立ち、中心になって進めてきたところで、失うものもあれば得るものもありました。得るものの1つが、このような筋肉質な体制だったかと思います。

セグメント別業績

米田:セグメント別業績についてご説明します。我々は、この人手不足に対して大きな力になりたいと考えています。その意味において、採用はどうしても時間がかかります。したがって、今日明日どうしてもスタッフが必要という点でお客さまから求められるのは、派遣を中心としたこのスタッフィング事業が非常に大きいです。

坂本:もともと採用部門や人をやりくりする部門とのお付き合いがあるからこそ、そのようなところにも需要があれば入っていけるということですね。

米田:そうですね。採用では、しっかりと採用戦略を立て、新人を教育し、戦力化していきます。そのようなことで事業成長に結びつけるというところは、ある種、成長戦略の中における東洋医学的な人材戦略の1つです。

しかし西洋医学的にも、「この現場で明日はこれだけスタッフが足りない」ということは当然あります。そこで、3年前からスタッフィング事業を新規事業として立ち上げており、この売上伸長が世の中の世相を映していると考えています。

「今日明日にスタッフが必要」という人手不足感が、我々の新規事業の伸長とともに今後の1つの大きなポイントになると考えています。

坂本:セグメント利益は赤字ですが、どのくらいのボリュームがあれば黒字に転換しますか? それとも、経費コストが落ちて黒字になるのでしょうか? イメージを教えてください。

米田:スタッフィング事業の1つのモデルは、我々自身が人を集め、ニーズがあったらお渡しする先行投資型です。例えば、スケールで「20億円でいい」と決めたら、そこから先行投資を行います。

坂本:打ち切れば黒字にもなれる状況のまま、今後もずっと進みつつ「どこかで区切る」というイメージですか?

米田:そのようなイメージです。特に流通や運輸のような2024年問題も叫ばれている中では、スタッフィング事業のマーケットはまだ大きく、もうしばらく先行投資時期はかかると考えています。ただし、しっかりとスケールさせていきます。

坂本:売上のみで言うと、主力のヒューマンキャピタル事業といつか逆転する可能性もありますか? 

米田:ないわけではないと思います。

坂本:そのくらいのポテンシャルがありますね。

米田:はい、あります。

坂本:このヒューマンキャピタル事業が主力事業であり、現状ではセグメント利益もかなり良かったということですが、人材を取り巻く変化はありましたか?

先ほどは新型コロナウイルスのお話や、インフレに伴う需給の上昇・就労人口のお話がありました。さらに人材不足など、かなりたくさんの問題がありますが、このあたりが御社の追い風になるのでしょうか?

主要事業別業績

米田:こちらのスライドが、主要事業の成長率を示しているものです。オレンジ色のRPOが採用代行事業で、我々の祖業でもあります。

例えば、飲食店の現場でのアルバイトの採用を考えると、「タウンワーク」「バイトル」など、いわゆるペイドメディア(有料求人広告)が一番に頭に浮かぶと思います。

以前は、我々自身もコンサルティングの中では、ポートフォリオでペイドメディアと言われる有料求人広告をいかに組み合わせるかというところに取り組んでいました。

「八王子駅前の居酒屋で、お昼の時間のみ主婦スタッフが欲しいから折込チラシかな」「やはりレギュラーのアルバイトはどうしても必要なので、これはタウンワークでしっかり採用しよう」といったことや、最近では「Indeed」のようなものも挙げられます。このようにペイドメディアを組み合わせることが、コロナ禍前のコンサルティングの中心でした。

冒頭でも少しお話ししたとおり、コロナ禍を経て、株主のみなさまとの交流もWebを通じて行うようになり、かつ、Q&Aでコメントをリアルタイムにやりとりできる状況があたり前になりました。採用においても同様で、DXのリテラシーが、とても上がってきています。

では、今何が起こっているかというと、有料求人広告にお金をかけるのではなく、自らホームページを作り、そこへ人に来てもらうということです。実は、飲食店などではすでに行われている、Webプロモーションという世界です。

新型コロナウイルスを契機として、以前はペイドメディアだったものが、現在はオウンドメディアと言われる自社集客になっています。「Instagram」「Facebook」「X」を使い、自分たちで人を直接アサインしています。

スライドのグラフの青色で示したDXリクルーティングが、まさにその自社集客支援としてWebプロモーションで行っている、我々の事業の1つです。以前は「タウンワーク」や「バイトル」などの媒体を利用していたところを、「Google」や「Yahoo!」集客チャネルに変える採用を支援します。実は、現在はこの事業が伸びています。

坂本:特に大手企業とのお付き合いが多いかと思います。もともとの集客もあるため、そこをマッチングさせていくような考え方になりますね。私もお店を運営した時があったのですが、非常に採用が難しく、媒体に出しても応募者0人の時もよくあって困っていました。

米田:例えば、今は野球が盛り上がっていますよね。また、2024年問題では、ドライバー不足も非常に話題になっています。

ドライバーを目指す方のペルソナを分析すると、この時期は「Yahoo!」のプロ野球のスコアを見ている人が多いため、そこにドライバー募集の求人広告を出し、宅配会社などのホームページに直接その人たちを飛ばしていきます。これが、まさにWebプロモーションです。

坂本:本当に採用を知り尽くした御社が得意とすべきところですね。

米田:したがって、ヒューマンキャピタルセグメントの中でも、時代の潮流やDXやテクノロジーの進化に合わせて、採用手法そのものの提案の幅も広げていきたいと考えています。

賃借対照表と自己資本比率

米田:B/Sについてご説明します。先ほど、ROICで20パーセントを目指すというお話をしました。我々の自己資本比率に関しては、コロナ禍でも債務超過には至りませんでしたが、非常に厳しい状況になりました。それを踏まえ現在、我々は40パーセントをターゲットとして財務戦略を組んでいます。

現在の自己資本比率は35.1パーセントです。おそらく新オフィスの敷金などの想定していなかった投資がなければ、40パーセントに近いと考えています。B/S上の財務戦略も、順調に進捗していると考えています。

以上が、第3四半期の決算のご説明です。

2024年9月期 通期業績予想

米田:通期の業績予想についてご説明します。第3四半期終了のタイミングにおいて、通期業績予想は据え置きとしていますが、このスコアに関してなんらかの見立てや予測の変化があれば、早々に修正して開示したいと考えています。

通期売上高・利益予想に対する進捗

米田:こちらのスライドは、現時点での進捗状況です。記載のとおり、おおむね順調に推移しています。また、利益に関しては、第3四半期から移転費用の影響があり、織り込んだ部分と織り込めなかった部分がありましたが、比較的順調に推移している状況です。

坂本:私は勝手に「このペースだと通期予想を大幅に超過する」と思っています。第4四半期に大きな支出や赤字要因を見込んでいる部分があれば、お話しできる範囲で教えてください。

米田:先ほどお話しした、7月1日に実施したオフィス投資の部分です。

坂本:7月はどの期に織り込まれますか?

米田:第4四半期です。当然ながら、移転に伴う加速償却など、第3四半期からかかっている部分はありますが、多くは第4四半期になります。ただし、移転費用は事業計画を組んだ時から織り込み済みではあります。

社内的な中期計画が2025年9月期で終わり、とうとう2030年という我々の本番に向けた大きな中期経営計画になると考えています。これから2030年に向けた投資も積極的にしていきたいと考えています。投資内容については、このような決算開示の中で投資家のみなさまにしっかりとお伝えしていきたいと考えています。

株主還元

米田:株主還元策も、我々にとって1つの大きなポイントだと考えています。我々は、2030年もっと言えば2050年という目線で事業運営しており、ある種の持続的な事業成長を目的としています。

株主のみなさまにもそのようにお付き合いしてほしいという意味で、この配当金が大きな株主還元施策であると考えています。

今期も、1株あたり10円の増配を予定しています。この株主還元策に関しては、しっかりと進めていきたいと考えています。

坂本:今期は10円の増配を予定されていますが、この配当性向のイメージやDOEを含めた配当政策の数字的なものは現状定められていません。基本は安定して増配するイメージで、現状を見ていればよいですか? 

米田:はい。我々自身で配当性向の目論見は当然持っていますが、今はM&Aや事業ポートフォリオの中でスクラップするものもあります。例えば事業を売却したり作ったりして純利益のボラティリティが多い中では、みなさまに数字として示すには、状況的に少し足りないと考えています。

ただし、しっかりと増配を進めていくことは、ある種、大きなメッセージになると考えています。2022年9月期から増配しているかたちを今後もしっかりと検討し、実現を目指したいと思っています。

坂本:私の考えでは、御社ほどの成長力があれば、配当よりは成長で儲けたほうがいいと思ってはいます。

個人投資家の方には、グロース市場に上場している会社に対してさえ配当を気にする人が意外と多いです。その中でもしっかり増配しつつM&Aも実施していくお考えは、非常に良いと思っています。

解決すべき社会課題について

米田:まさに今お言葉をいただいた、成長についてです。我々は成長の過程で収益性を上げ、その収益を成長に向けることを第1目的に行っています。

こちらのスライドは、2030年に644万人になると言われている、いわゆる人手不足についてのご説明です。不足人数は全就労人口のおよそ10パーセント以上になるわけですが、とても簡単に言うと、例えばサービス業を中心とすれば、人手不足によって10パーセントの会社が倒産することと同じです。

これは、大きな社会課題だと考えています。とはいえこれほどの人手不足環境下でも、応募しても不採用になる人がいるのが現実です。

坂本:いろいろな基準があると思いますが、おそらく職種がマッチングしないパターンもありますよね。その方にとっては業務が非常に高度すぎた、また、実は仕事に入れる日数が少ないなど、おそらくいろいろあると思います。

米田:後者の部分は、特にアルバイトやサービス業では条件が合わず不採用になることがほとんどです。人柄が合わないとか、応募したもののスキルが足りないというよりは、「この曜日は働けない」「お子さんのお迎えがあっても、3時までではなく4時まで働いてもらわなければ困る」などです。

坂本:「そこがピークタイムだからいないと困ります」というようなお店もありますね。

米田:条件のアンマッチによる不採用者は多いです。そのような方がすべてではありませんが、今は「本当はもっと働きたい」という追加就労希望者が、実は150万人います。

坂本:例えば副業OKの正社員の方で土日働きたい、というような方も含めてですね。

米田:まさにそうです。このような方にいかに労働市場に出てもらうかも、我々の果たす1つの大きな役割だと考えています。また別の観点として労働人口とは、65歳までを指しています。

坂本:一応、定義があるのですね。

米田:はい、とはいえ昨今のシニア層の方々、まだまだ働けますよね。

坂本:はい。よくある老後2,000万円問題の資料でも、働きたいと思っている75歳の方は、かなりいますよね。

米田:この640万人の中には、65歳以上の方は入っていません。したがって、その方々にいかに労働市場に参画してもらうかです。おそらく「1日8時間は無理だが、この時間だけ」「この業務は難しいが、例えば裏側の業務はできる」という方もいると思います。そのような方のジョブマッチングをいかに行うかはとても重要です。

また、外国人の方のマッチングが課題です。いかに外国人の方に活躍していただくかというソリューションには、まだまだできることがあると考えています。

このようなソリューションを提供することを軸に、我々は成長戦略を考えています。

前提となる市場環境

米田:2050年には、人口が1億人を切ってしまいます。この中でも人手不足な産業は当然あり、それが医療介護です。これは、少子高齢化という部分になります。

また、製造業は今までとは違い、例えば半導体や内燃機関に関連する製造分野です。このままの為替状況が続き、生産の国内回帰を行った際、製造業でもおそらく人手不足の状況が回ってきます。この領域へのソリューション提供をさらに拡大します。

成長戦略

米田:我々は、2030年労働需給ギャップに向けて戦略推進していますがその先の2050年製造業や医療介護業界での人手不足、ここに向けても同様です。

特に当期は、この製造業や医療介護業界とのM&Aを含めた業務提携を積極的に進めてきました。

FY24 業務提携・M&A実施一覧

米田:スライドにあるような業務提携です。ここは主に、我々としては新マーケットである、外国人活躍、医療介護、もしくは製造業の業界です。このようなところを中心に業務提携もしくはM&Aをすることで、2030年の先を見据えた成長戦略の第一歩を今まさに進めている状況です。

坂本:この部分での大きな話題として、「NISSOホールディングスとの資本業務提携」と書かれています。NISSOホールディングス社はどちらかと言うと製造業で派遣するパターンが多いかと思いますが、こちらの意図や、現在お話しできることを教えていただくと、成長イメージが湧くかと思います。

米田:NISSOホールディングス社のIRにも出ている言葉をそのままお伝えすると、今、製造業を取り巻く環境は大きく変化しています。

坂本:「それでも足りなくなる」という話も、先ほどおっしゃっていました。

米田:横のイメージでは人が、縦のイメージではスキルが足りなくなります。例えば、今まで内燃機関のラインに携わっていた方が半導体のラインに行った際、そこでリスキリングが必要になってきます。

また、内燃機関が変わるということは、製造業そのものの業界再編も影響してきます。例えば、製造業のA社とB社が合併するとします。特に製造業におけるM&Aは、会社ごとに求められるスキルが違うことから、社風文化以上に就業規則などもまったく違います。

坂本:待遇も違ったりしますね。

米田:NISSOホールディングス社は、そのような製造業の大きなお客さまを持っているため、業界再編のご相談を受けることも多いです。

ただし、NISSOホールディングス社のIRにもあったとおり、これまでは製造派遣もしくは請負というかたちで人材育成を中心にやってきているため、企業同士のマッチングに伴う就業規則変更や待遇調査などを行う部門はなかったわけです。

そこに、そのような分野に強い我々が入ることで、次世代製造業における人材ソリューションを実現していきます。

坂本:御社の強みとして採用のノウハウがあると思いますが、NISSOホールディングス社も、昔からさまざまな媒体に期間工など製造業の募集をかけられています。そこに御社のノウハウを提供することもあるのでしょうか? 

米田:そうですね。まさに、人材領域において我々以上に大きな役割を果たされてきたNISSOホールディングス社なので、今までもさまざまな採用手法を研究し尽くされています。

ただし、コロナ禍前のペイドメディアリクルーティングとオウンドメディアとでは、多少違うところがあります。

坂本:だからこそ、御社におけるDXリクルーティングのノウハウが活用できるのですね。

米田:そのとおりです。NISSOホールディングス社はリーディングカンパニーとして、製造業全体も見据えた上で、そのようなソリューションを我々を通じて提供することが可能になります。

2050年に向けた製造業再編への適応や人手不足の解消、さらには外国人労働者活躍の推進が期待できます。

坂本:NISSOホールディングス社は、おそらく外国人の採用にも力を入れていますよね。

米田:はい。我々が培ってきたその分野でのノウハウや事業提携部分を、お互いにWin-Winに活用していきたいと考えています。

坂本:よくわかりました、ありがとうございます。最後に、M&A戦略の今後のイメージを教えてください。

米田:M&Aはオーガニックでも進めていくわけですが、時間がそれほどないと思っています。

坂本:2030年に向けて進めている中、現時点で足りないパーツがあれば教えてください。

米田:医療介護、製造業です。我々は、例えばサービス業におけるHRドメイン知識は培ってきたものがありますが、医療介護や製造業では専門知識が必要になります。

坂本:医療介護は、上場企業であったり、小さな企業もあると思います。

米田:はい。業界専門知識をイチから学びながら業界特有のHRドメイン知識を装着するには、時間がかかります。

医療介護や製造業といった、専門知識が必要かつ人手不足の問題を抱えている業界への人に対するなんらかのソリューションとしては、例えばM&Aや業務提携などが選択肢の大きな柱になってくると思います。

坂本:非常によくわかりました。

米田:以上、第3四半期決算と、今後の我々の成長戦略をご説明しました。

質疑応答:オフィスの移転について

坂本:オフィスを移転されたというお話がありました。移転先は銀座7丁目ということですが、どのようなところにこだわりがあるのでしょうか? 最近はオフィスをきれいに設計する業者さんなどもいらっしゃいますが、そのようなことを取り入れているのか、また、従業員の反応をおうかがいできればと思います。

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