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梶浦靖史氏(以下、梶浦):バリオセキュア株式会社代表取締役社長の梶浦です。2025年2月期第1四半期の決算についてご説明します。
会社概要、2025年2月期第1四半期の決算概要、2025年2月期の業績予想、第1四半期のトピックス、現在進行中の中期成長戦略の順にお話しします。
会社概要
会社概要についてご説明します。バリオセキュア株式会社の創業は2001年6月21日です。創業以来、「インターネットを利用する全ての企業が安心で快適にビジネスを遂行できるよう、日本そして世界へ全力でサービスを提供する」というミッションを掲げ活動しています。
現在の従業員数は90名ほどです。東京都千代田区神田錦町に本社を構え、大阪と福岡に事業所を置いています。事業の内容としては、マネージドセキュリティサービス事業とインテグレーションサービス事業という大きく2つの柱があります。
事業概要 – サービスラインナップ
事業概要です。まずマネージドセキュリティサービス事業についてご説明します。この事業では、導入支援・導入・運用・保守まで一貫したサービスを、24時間365日体制で提供しています。リカーリング型(月額課金)の収益モデルです。
マネージドセキュリティサービス事業は5つのサービスをラインナップしています。1つ目は、統合型インターネットセキュリティサービス(マネージド型)で、インターネットの出入口を守る、いわゆるUTMのサービスで、創業時から提供しています。
2つ目は「VarioマネージドLAN/Wi-Fiサービス」で、社内LANのスイッチやWi-Fiのアクセスポイントを守るマネージド型サービスです。3つ目はデータバックアップサービスで、何かあった時のために、データの保全を提供しています。
4つ目は「Vario-NSS(Network Security Suite)」です。不正端末を発見したり、脆弱性を管理したりするサービスです。5つ目の「Vario-EDRサービス」は、少ない運用の負担でサイバー攻撃の発見と対応を支援するサービスで、ここ数年で非常に成長しています。
インテグレーションサービスは、通信機器・セキュリティ機器の販売、および、ネットワークセキュリティの構築といったサービスです。一時課金型の収益モデルとなっており、サービスラインナップは2つあります。
1つ目は、中小企業向け統合セキュリティ機器販売(販売型)の事業です。50名以下の企業を中心に、売り切り型のUTMを販売しています。2つ目は、ネットワークインテグレーションサービスです。いわゆる社内ネットワークを構築するサービスで、ネットワーク機器の調達、設計、構築を提供しています。
事業概要 – 業務領域
事業の業務領域についてです。当社は、セキュリティフレームワークの特定・防御・検知・対応・復旧のすべてのフェーズで、サービスを提供できることが1つの大きな特徴です。
統合型インターネットセキュリティサービスのビジネスモデル
当社の主力サービスである、統合型インターネットセキュリティサービスのビジネスモデルについてご説明します。主にインターネット回線に付帯して提供しています。
我々の販売代理店の多くは通信キャリアです。通信キャリアがインターネット回線を販売する際、セキュリティオプション、セキュリティサービスとして、エンドユーザであるお客さまに当社のサービスを提供するというビジネスモデルです。
我々は販売代理店さまにOEMというかたちでサービスを提供し、販売代理店は自身が販売するインターネット回線に我々からOEM提供を受けているセキュリティサービスを付帯します。
マネージドセキュリティサービス 強力な販売チャネル
我々は、非常に強力な販売チャネルを持っています。通信キャリア、SIer、電力系通信会社などとOEM契約を締結し、長期にわたるパートナーシップを構築しています。
市場シェア
市場シェアについてです。ファイアウォール/UTMの運用監視サービス市場において、従業員1,000人未満の企業の中で、当社はトップシェアを誇ります。300人から1,000人未満、100人から300人未満、100人未満、それぞれの従業員区分でトップのシェアであることが、表からも読み取れます。
2025年2月期第1四半期 決算ハイライト·重要な業績指標
2025年2月期第1四半期の決算概要をご説明します。まずは決算ハイライトです。売上収益は前年同期比104.6パーセントの6億7,300万円、営業利益は前年同期比104パーセントの1億5,100万円という結果でした。
四半期の利益は前年同期比102.7パーセントの1億円で着地しています。負債比率は22.1パーセントで、前年同期末比で5.3パーセント改善されている状況です。
重要な業績指標であるストック型売上比率は87.3パーセントと、前年同期末比で1.2ポイントほど減少していますが、87パーセント以上を維持しています。
エンドユーザー数は3,082社で、昨年から90社ほど増えました。解約率は前年と同水準の0.8パーセントを維持しています。
2025年2月期第1四半期 業績サマリー
業績サマリーです。売上収益は6億7,300万円で進捗率24.5パーセント、営業利益は1億5,100万円で進捗率31.2パーセント、当期利益は1億円で進捗率30パーセントと、概ね計画どおりに進捗しています。
2025年2月期第1四半期 財政状態
財政状態です。自己資本比率は、継続的な収益の積み上げと計画的な借入返済により、前年比で1.5ポイント増加して74パーセントとなりました。財務の安定性に寄与する結果となっています。
2025年2月期第1四半期 サービス別業績
サービス別の業績についてです。マネージドセキュリティサービスは、前年比40.1パーセント増のエンドポイントセキュリティ(Vario-EDR)が寄与し、安定的に売上収益が拡大しています。
インテグレーションサービスは、ネットワーク構築のビジネスが堅調に推移しており、売上収益が前年同期比で増加となりました。一方で、中小企業向けの統合セキュリティ機器販売(VCR-Vario Communicate Router)が減収計画のため、通期では前年比で減収を見込んでいます。
マネージドセキュリティサービス概況 ①解約率の推移
解約率の推移です。先ほども触れましたが、昨年とほぼ同水準である0.8パーセントで推移しています。非常に低い解約率を数年間推移しているというところが、我々の大きな特徴の1つです。
マネージドセキュリティサービス概況 ②エンドユーザー企業数の推移
エンドユーザー企業数の推移です。マネージドセキュリティサービスのエンドユーザー数は、2024年2月期第4四半期の想定以上の伸びの影響もあり、2025年2月期第1四半期では若干減少したものの、長期傾向としては堅調に増加しています。これにより、安定的な収益基盤に寄与しています。
マネージドセキュリティサービス概況 ③サイバー脅威対策ソリューションの進展
サイバー脅威セキュリティ対策ソリューションの進展です。「バリオエンドポイントセキュリティ(EDR)」をはじめとしたエンドポイントセキュリティの収益が前年比40.1パーセント増と大きく推移しています。
2025年2月期業績予想の進捗状況
2025年2月期の業績予想についてご説明します。中期的な成長に向けた戦略的な投資、営業、技術要員の増加やゼロトラストへの投資を踏まえ、営業利益と当期利益は減益を見込むものの、売上高は前年比4.3パーセント増の成長を計画しています。2025年2月期第1四半期時点では、堅調に推移しています。
今後のゼロトラスト・サービスロードマップ
今後のゼロトラスト・サービスロードマップです。2025年2月期第2四半期の7月中に「Vario Ultimate ZERO」のStart Packをリリースする予定です。
2025年2月期第2四半期の終わりには「Vario Ultimate ZERO」のStandard packをリリースする予定です。2026年2月期の第3四半期には「Vario Ultimate ZERO」のエンタープライズパックという最上位のパッケージをリリース予定となっています。
中堅・中小企業向けのゼロトラスト「Vario Ultimate ZERO」をリリース
2025年2月期第1四半期の主なトピックスについてお話しします。「Vario Ultimate ZERO」は、中堅・中小企業さま向けのゼロトラストのソリューションという位置づけで2025年2月期第2四半期にリリース予定です。
こちらは、中堅・中小企業さまの規模に合ったセキュリティとして、最低限の構成でゼロトラストセキュリティを実現するマネージドサービスです。
3つの大きなコンポーネントがあります。1つ目は、クラウド型のネットワーク・セキュリティ「Vario SASE」です。これは新サービスになります。
2つ目は、業務アプリケーションポータル「Vario IDaaS」です。こちらは、いわゆるシングルサインオンなどの認証系のサービスになります。
3つ目は、今まさに大きく成長している「Vario EDR」です。この3つのサービスをパッケージ化したものが、「Vario Ultimate ZERO」になります。中堅・中小企業さま向けのゼロトラストとして近々リリースする予定で、2025年2月期第1四半期はその準備をしていました。
2025年2月期 1Qトピックス(マーケティング)
2025年2月期第1四半期のマーケティングに関してのトピックスです。マーケティングオートメーションを導入し、コンテンツ施策を強化しました。見込み顧客の獲得と育成を促進し、案件化を加速しています。4つの取り組みをご紹介します。
1つ目に、自社運営ウェビナーの月次開催を行っています。5月より、業界、企業規模等を限定した月次開催での自社ウェビナーを実施しています。5月は医療機関さま向け、そして6月は製造業さま向けに実施しました。
2つ目に、メールマガジンの定期配信を開始しました。3つ目に、ホワイトペーパーの月次実施も開始しました。当社サービスの活用事例を中心としたお役立ち資料を、毎月配布しています。
4つ目に、5月に「AI・人工知能EXPO」が開かれ、当社の親会社であるHEROZ社のブースを少しお借りして出展しました。そこで初めて「Vario Ultimate ZERO」をご紹介しました。
ネットワークセキュリティビジネス市場の動向
中期成長戦略の進捗状況についてご説明します。我々が今いるネットワークセキュリティビジネス市場は、2027年度までに非常に成長すると言われており、市場規模は8,667億円になると予測されています。
その中でもゼロトラストセキュリティの市場規模は、2027年度には2,157億円になると言われており、さらにこの中のIDaaSの市場規模は210億円、CAGRで17.9パーセントと言われています。
EDRの市場規模の2027年度予測は510億円、CAGRが22.6パーセントと、こちらも成長が非常に期待される領域です。今まさに、当社はこの領域に入っていく準備を進めており、ここの事業を拡大していくことが中期戦略の大きな柱となっています。
経営課題
経営課題としては、外部環境が大きく変化してきています。みなさまご存知かもしれませんが、これまでは「侵入させない」ことがセキュリティの基本となっていましたが、今は侵入された後にどうするかと、「侵入ありき」で考えていく多層防御のゼロトラストセキュリティ対策が求められてきています。
一方、当社の内部環境としては、中小企業向けのアプライアンス型UTM製品の市場が非常に安定してきており、新規の設置台数が直近では横ばい状態になってきています。当社の今までの主力サービスは、まさに「侵入させない」という従来型の境界防御型のセキュリティサービスでしたので、ここから「侵入ありき」の多層防御のセキュリティへの転換を進めています。
その1つとして、EDRをはじめとする「Vario Endpoint Security」によってマルウェアを検知・防御したり、ランサムウェアに対応するためにしっかりとバックアップを取ったりすることで成長の実績を保っています。
このような外部・内部の環境を踏まえて、これらの経営課題を解決する大きな3つの方向性を見出しています。1つ目は「強みの深化」です。我々の強みをあらためて考えた上で、ここをもう少し深掘りし、そしてビジネスの成長につなげていくことを考えています。
2つ目がまさに成長市場であるゼロトラストの領域であり、この「成長市場への投資」も積極的に行っていきたいと思っています。さらに、この新しい成長市場であるゼロトラストの市場に向けて、「戦略的な顧客開拓」も実施していきたいと考えています。
中期経営方針
3つの大きな中期経営方針があります。1つ目は「マネージドサービスの対応領域の拡大・競争力強化」です。ゲートウェイセキュリティに加えて、LANからクラウドまでの対応領域の拡大、そして他社商材の活用による競争力強化を図ろうと考えています。
AIの活用による次世代の運用基盤を今、まさに構築しています。安定的な収益基盤であるマネージドサービスの効率的な運用を強化する部分で、AIの活用も促進していきます。
方針の2つ目は「成長セキュリティ市場への参入」としています。繰り返しますが、既存サービスを活かしたかたちで、ゼロトラストセキュリティ領域へ参入することを進めています。
3つ目の方針は「既存販売網と異なる新規営業体制の強化」です。従来の安定していた代理店経由の販売体制に加え、オンラインマーケティング、インサイドセールスへの積極的な投資によってダイレクトセールス体制を強化していく方針を持っています。
中期経営目標
中期経営目標として、2027年2月期までに売上収益37億6,300万円、営業利益9億2,000万円の実現を設定しました。ゼロトラストセキュリティ商材の投入により実現を目指していきます。
現在、売上収益におけるマネージドセキュリティサービスの比率が約87パーセントですが、こちらを2027年2月期までに94.3パーセントまで上げていきたいと考えています。
中計事業展開方針の進捗
3つの中計事業展開方針の進捗についてです。1つ目の「マネージドサービス対応領域拡大・競争力の強化」については、「VSRnシリーズ」に新しいオプションとして、「VPN for Azure」をリリースしました。新規代理店の開拓も進めています。
2つ目の「成長セキュリティ市場への参入」については、7月末にいよいよゼロトラストセキュリティに対応した「Vario Ultimate ZERO」をリリースする予定となっています。
3つ目の「既存販売網と異なる新規営業体制の強化」の進捗については、AI・人工知能EXPOにて「Vario Ultimate ZERO」の参考出展を、我々の親会社であるHEROZ社と実施しました。
さらに、自社Webinarの月次開催やホワイトペーパーダウンロードの月次実施をしっかり行ってきました。こちらは今後も進めていく予定です。第1四半期でダイレクトセールスを検討しており、第2四半期以降、体制を整えてダイレクトセールスにも力を入れていきたいと考えています。
今後の事業展開について
今後の事業展開についてです。当社のお客さまは、中堅・中小企業が中心であるものの、伝統的なセキュリティ業界の特性から、お客さまが各サービスを組み合わせて選ぶ、自社のセキュリティをお客さまが担保するというかたちのスタイルが中心でした。
当然、大手のエンタープライズのお客さまは、自社でセキュリティに関する知見を有していますので、このような従来型のスタイルでも問題はありませんでした。ただ、当社がメインターゲットとするお客さま層には、我々がセキュリティを統合的に担保するセキュリティBPOベンダーとして価値を提供していくことにフォーカスしたいと考えています。
ネットワークセキュリティに関しては、「Vario Ultimate ZERO」を通じて当社にまとめてお任せいただき、我々がしっかりとお客さまのネットワークセキュリティをお守りするという「WORK」も、まとめたかたちでご提供することを、今後展開していきたいと考えています。
以上が、2025年2月期第1四半期の決算説明でした。ご清聴ありがとうございました。