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山部清明氏(以下、山部):みなさま、こんにちは。株式会社Fast Fitness Japan代表取締役社長の山部です。本日は、2024年3月期の決算概要と、この度中期経営計画をローリングしましたので、資料に沿ってご説明したいと思います。

当社グループ事業について

Fast Fitness Japan(以下、FFJ)と、当社の中核事業のエニタイムフィットネスについて簡単にご説明したいと思います。

FFJは、エニタイムフィットネスの運営会社です。直営店とフランチャイズ(以下、FC)の2つの展開を行っています。

エニタイムフィットネスについて

エニタイムフィットネスは、現在、店舗数では世界No.1のブランドです。ブランド力に加え、高品質のマシンをそろえて、充実した設備、さらにスタッフによるサービスを提供することで、顧客満足度の向上に注力してきました。当社は「価値訴求モデル」になると思います。

国内エニタイムフィットネスについて

国内のFCも含めたエニタイムフィットネスとしての売上高の市場シェアは15.8パーセントになります。

エニタイムフィットネスが選ばれる理由は、24時間365日、いつでもどこでも誰でもアクセスできること、世界No.1のブランド力と安心、安全、快適、清潔なトレーニングの場をお客さまに常に提供していることです。

国内エニタイムフィットネスの店舗・会員基盤

スライドには国内のエニタイムフィットネスの店舗数と会員数の推移を記載しています。3月末現在で、店舗数が全国で1,134店舗になりました。前年と比べると6パーセントの増加です。

通期では、72店舗を出店することができました。第4四半期では、22店舗の出店が叶いました。現在、会員数は84万人を突破しており、前年と比べると14パーセント増加したことになります。

国内エニタイムフィットネスの店舗数拡大における優位性

FCのオーナーさまは、経営基盤が非常に盤石な法人の方に限定しています。10店舗以上運営されているオーナーさまの会社は現在22社あり、全店舗数の約半数、509店舗を展開していただいています。店舗数が着実に拡大した理由は、ロイヤリティが固定となっていることと、そこに強いブランド力が加わって、非常に収益性の高いモデルとなっていることです。

1オーナーさまによる複数店舗運営につながっている大きな理由は、ロイヤリティが固定であることと、強いブランド力、そして収益性が非常に高いことを、実感していただいているためだと考えています。

2024年3月期 決算ハイライト(累計)

2024年3月期の決算状況についてお話ししたいと思います。

決算のハイライトです。売上高は前年比で7パーセント増の158.2億円に到達しました。営業利益も前年比で4.2パーセント増加し、35億円となりました。内容についてはこの後、スライドにて詳しくご説明したいと思います。

2024年3月期の取り組み

2024年3月期の取り組みについてです。テレビCMなど、全国規模のプロモーションを行いました。昨年度はこちらを2回実施しています。

また、成長領域への開拓の実績として、「The Bar Method」という新しいブランドのマスターフランチャイズ権を取得しました。こちらも後で詳しくお話ししますが、シンガポールとドイツで企業を買収したことで、FFJが新しいビジネスを展開する権利を得ることができたというわけです。

P/L概況

P/Lの概況です。大型プロモーションなどによって、会員数が増加しました。それにあわせて各店舗でご購入いただく、商品売上も増加しています。

営業利益は、直営店が原価を抑制し、非常にコストダウンに努めた店舗運営を行い、粗利益率が2.7パーセント改善しています。その結果、増収増益となり、過去最高益で着地することができました。

BS概況

BSの概況です。自己資本比率は、前年と比べ6.3パーセント改善し、59.2パーセントとなっています。財務の健全性は確保しながら、ビジネスを展開できている状況です。

CF概況

営業活動によるキャッシュ・フローは、前年度と比べ3億6,100万円増加し、33億4,300万円となっています。また、フリーキャッシュ・フローも、3億1,400万円増え、現在25億5,300万円という結果が出ています。

売上高構成

売上高構成です。主にFC売上と直営の店舗売上です。エニタイムフィットネスは、ロイヤリティを固定にしています。したがって、損益分岐点が非常に低く、FCのオーナーさまが利益を生みやすいかたちになっています。安心なビジネスモデルが、1オーナーさまによる多店舗展開の後押しにつながっています。

売上高内訳

売上高の内訳です。売上の84パーセントが、毎月定期的にお金が入ってくるストック型の収入になります。会費以外にも月契約の水素水サーバーや有料のロッカーによる収入も着実に増加しています。この会費以外のストック収入に、さらに注力していく所存です。

売上高 四半期推移

今度は売上高を四半期ごとの推移で見ています。売上高は、前期比7パーセント増の158億2,500万円でした。前期を上回る実績の背景には、計画どおりに出店が進んだことが挙げられます。

また、大々的なキャンペーン、プロモーションを仕掛け、それを店舗ごとのキャンペーンと一緒に実施することで、効果的に会員増につなげることができたと思います。

販管費 四半期推移

販管費の四半期ごとの推移です。特に下半期は、プロモーションや海外進出のための調査費用、将来に向けたリソースの確保として人的な投資に積極的に使用しました。前期比で7億4,000万円ほど増えています。

営業利益 四半期推移

営業利益の四半期ごとの推移です。次のスライドにて、分析を含めてご説明したいと思います。

営業利益 増減分析

営業利益は、3月に予想を修正して33億円としたのですが、着地はさらに2億円増え、35億400万円となり、過去最高益をたたき出すことができました。

増加の主な理由は、直営店の会費の収入が非常に好調だったこと、さらに、リモデルの手数料が増加したことです。FC店も会員数が非常に好調だったおかげで、費用をかけてリモデルを積極的に実施した結果、手数料が増えました。

エニタイムフィットネスの店舗当たり会員数推移

エニタイムフィットネスの店舗当たりの会員数推移です。前の年と比べて、1店舗当たりの平均会員数が増えています。現在は平均で741名となっています。

店舗数が増えていく中、1店舗当たりの会員数も増加し、会員の入会ニーズは非常に強いと、手応えを感じているところです。FCのオーナーさまの出店意欲も非常に強く、好循環がここで生まれていると思っています。

トピックス:全国プロモーション展開(TVCM、web広告、SNS)

トピックスの1つとして、全国規模のプロモーションを昨年2回実施しました。4月から9月にかけてと、12月、1月です。知名度アップと入会促進を目的に、かなりの費用を投下しましたが、いずれも非常に良い結果につながりました。

下期は、テレビCMなどと店舗ごとの入会キャンペーンをあわせて実施したおかげで、会員数を急激に増やすことができました。認知度が上がる結果にも結びつき、全国的に一斉に行うキャンペーンの効果を実感した次第です。

トピックス:全国プロモーション展開(TVCM、web広告、SNS)

当社ならではのスケールメリットを活かした、他を圧倒するプロモーションを今期以降も継続的に年に数回、実施していきたいと思います。

株主還元:配当

株主還元と配当についてです。3月に新しい配当方針を打ち出しました。新たな成長ステージへの変革と位置づけている中期経営計画の期間は、投資が先行することになります。一時的に、利益面では弱含みとなることも考慮して、方針を見直しました。

連結配当性向40パーセントを目安とし、下限をDOE4.5パーセントに設定しました。2024年3月期の期末配当はこの方針に則り35円、年間では45円としました。

また、2025年3月期は、業績予想をレンジとして開示しましたので、年間配当も33円から45円相当のレンジで開示しています。

2025年3月期 業績予想

2025年3月期の業績予想です。この後、中期経営計画のご説明の中でより詳しくお話ししますが、現在当社は第2の創業期として転換期を迎えているところです。海外、物販、新しいブランドの立ち上げなど、新しい事業が同時に進行しています。事業ポートフォリオの拡充にも努めているところです。このようなことを背景に、業績予想はレンジで開示しています。

国内のエニタイムフィットネスの会員数は、4月も非常に好調です。今年の出店は、75店舗を予定しています。好立地の物件を今、探しているところです。

中期経営計画(2024年3月期〜2026年3月期)の振り返り

スライドには、5月14日に開示した中期経営計画のローリングについて記載しています。2025年3月期から2027年3月期までのご説明に移りたいと思います。

中期経営計画のローリングの背景には、2024年3月期に全国プロモーションを仕掛け、その成果が非常に大きかったこと、また、新規出店による売上増とFCの増加が挙げられます。さらに、コストコントロールも効いたことから、過去最高益を出す結果となりました。

また、新たな成長領域での展開が同時に始まっています。具体的に言うと、グローバルの展開や新ブランド、さらに、eコマースも今後スタートします。既存のビジネスの進捗と、新しいビジネスを展開することから、数値目標を見直すことにしました。

フィットネス業界の市場環境:アフターコロナで再成⻑へ

フィットネス業界の市場環境です。新型コロナウイルスの影響で大きくへこみましたが、それを経験して、国民のみなさまの健康志向が非常に高まっており、市場は順調に回復しています。

特に24時間型のジムが大きく伸びています。とはいえ、日本のフィットネス参加率は3.6パーセント程度とまだ低いです。参加率が1パーセント伸びれば、124万人の方がフィットネスジムを利用する計算になります。

一方、24時間ジムは「価格訴求型」と「価値訴求型」への二極化が進んでいます。もちろん当社は「価値訴求型」に属しますが、その二極化がさらに顕著化していくと予想しています。したがって、業界再編の機運が高まっていると見ています。

数値計画

複数の成長戦略が着実に進捗し始めたため、数値計画を見直しました。

11月の中期経営計画では、2028年3月期に営業利益40億円を目指すことにしてましたが、今回それを2年前倒しで達成することができそうな状況となったため、2026年3月期は39億円、2027年3月期は45億円を目指す計画を立てました。

また、積極投資を行う中で、事業の収益力を理解していただくために、利益の指標としてEBITDAを開示することにしました。

企業理念とマテリアリティ

企業理念とマテリアリティです。中期経営計画は、当社の企業理念である「ヘルシアプレイスをすべての⼈々へ!」を軸に運営していきます。

マテリアリティは、「日本の健康を創る先進企業へ」と「地域の健康・安全を担うインフラへ」の2点です。この2点を使命とし、しっかり意識を持って、事業活動を展開していきたいと思います。

同業他社との比較における当社ポジション

当社のポジションを同業他社と比較しています。フィットネス業界内で見比べてみると、当社が非常に収益性の高い位置に立っていることはご理解いただけると思います。

一方で、PERが低いことが課題です。株価がまだ低いレベルにあることから、そのような結果になっていると認識しています。

中計経営計画期間の方針:新たな成⻑ステージへの変革

中期経営計画の方針についてご説明します。昨年11月に公表した中期経営計画で掲げた成長戦略の基本的な骨格は踏襲しつつ、中期経営計画の新たな成長ステージへの変革と位置づけています。さらに、その成長戦略の強化を行っていきたいと思います。

少しだけご説明します。1番の安定的な新規出店、2番のアプリ、あるいは物販の展開、eコマースをスタートします。また、3番目の海外の事業の拡大、新ブランドのローンチ、それらを支えるものとして、ESG経営のもとガバナンスをしっかり効かせて、経営を行っていきます。

M&A、あるいはそのアライアンスも積極的に進めていきます。自治体や法人などとのコラボも現在、進んでいるところです。

中期経営計画期間の位置づけ

既存事業をさらに強化しながら、中期的には成長戦略をどんどん推し進めていきたいと思います。長期的にはスライドの図のとおり、市場や商圏の拡大を目指していきます。このような領域に戦略的な投資を行っていきます。詳しくはこの後ご説明します。

国内エニタイムフィットネス事業の更なる規模拡大

まずは、国内エニタイムフィットネス事業のさらなる規模拡大です。出店は最適化を進めながら、なるべく好立地かつ毎年安定的に、直営もFCも両方出店していきます。それを基本に定めて進めていきたいと思います。

AF店舗・会員基盤を活かした国内事業の収益基盤拡充(新たな付加価値創出)

こちらは少しビジーなチャートですが、非常に重要なものです。当社の強みとして、1,100店舗、84万人の基盤があります。それをうまく利用しながら、FCのオーナーさまの出店意欲向上につながるサービスを提供することによって、収益基盤を拡大していきます。今後は、そちらにより注力していきます。

AF店舗・会員基盤を活かした国内事業の収益基盤拡充(新たな付加価値創出)

新たな付加価値の創出のため、ブランド価値、あるいは顧客満足度の向上に、引き続き注力していきます。具体的に進行中のプロジェクトとしては、「エニタイムフィットネスアプリ」や、物販、eコマースなどの準備が着々と進んでいるところです。

アプリについてお話しします。この夏くらいに、本格的な展開を予定しています。どのようなことができるかと言いますと、アプリで入館が可能になります。さらに、トレーニングメニューの自動作成機能もあります。

店舗の混雑状況を前もって知ることができ、また、パーソナルトレーニングの予約なども可能になっています。すべては会員さま、あるいはFCのオーナーさまの利便性の向上や顧客満足度を高めるためにこのようなサービスを始めます。

また、アプリは誰でも利用可能で、エニタイムフィットネスの良さを知っていただき、その後にメンバーになっていただく、そのような良い流れにつなげていきたいと思っているところです。

スライド右側に記載のEC・物販では、2025年3月期に売上高5億円程度を見込んでいます。2027年3月期には3倍となる15億円くらいを目指して、将来的には、100億円規模に育てていきたいと計画しています。

AF店舗・会員基盤を活かした国内事業の収益基盤拡充(新たな付加価値創出)

新たな付加価値の創出として、注力している会費以外のストック売上は、3年後の2027年3月期には、130パーセントと大きく伸ばす計画を立てております。会員さま、FCオーナーさまに付加価値を提供することで収益力を増強できるように、各種施策を講じていきたいと思います。

新たな成⻑領域開拓:グローバル展開を目指す背景

グローバル展開です。新たな成長領域の開拓として、まずグローバルのお話をしたいと思います。すでにリリース済みなのですが、ドイツやシンガポールへの進出を決定しました。

当社はアメリカ本部からの信頼が非常に厚く、要請だけではなく、サポートも約束していただいており、非常にありがたく思っています。本部からは「やってくれ」と頼まれるだけではなく、常に「一緒にやろう、何を手伝ったらいいのか」と聞かれており、いろいろと一緒に事業を展開しています。

新たな成⻑領域の開拓:グローバル展開の基本方針

グローバル展開の基本方針です。最も収益性が高いマスターフランチャイジー権を取得することを第一に考えています。

マスターフランチャイジーがまだ決まっていない潜在的な市場には、まだホワイトスペースが世界各国に広がっています。他にもいろいろと交渉はしていますが、そのようなまだマスターが決まっていない先で、FFJとして名乗りを上げることを目指しています。

さらに、マスターフランチャイジーで指定済みの市場であっても、「ちょっと手伝ってくれないか」と当社にサポートの声がかかることが多々ありますので、FCの開発など、余地が大きな市場を狙っていきます。

進出方法としては、これまで日本で培ってきた直営店、FC展開というモデルです。直営店でいろいろなトライアルを行い、新しい方法を開発して、それをFCと一緒に横展開で進めていきます。そのような好循環をどんどん生み出したいと考えており、また実施していきたいと思います。

また、例えば、アジアやヨーロッパという1つの括りとして、節税のメリットがある国には、地域を統括する会社を設置し、そこをトレーニングの拠点としても活用するといったグローバル展開を考えています。

新たな成⻑領域の開拓:グローバル展開

具体的にドイツのお話をします。4月にEighty 8 Health&Fitness B.V.社を連結子会社化し、現在85パーセントの株式を保有しています。将来的には100パーセントを取得する計画となっています。

新たな成⻑領域の開拓:グローバル展開 ドイツ

ドイツの市場についてです。実は、ドイツではフィットネス参加率が10パーセント以上あります。ヨーロッパでは、ほとんどの国で10パーセントを超えています。

一方、日本はまだ4パーセント未満です。人口はドイツのほうが少ないですが、フィットネス参加率をみると、市場の潜在的なニーズはドイツのほうがかなり高くなっています。

具体的に例を挙げると、人口1万人程度の町、あるいは市に1店舗出すと、約1,000人にメンバー登録していただける市場ですので、日本の感覚とはずいぶん違います。

したがって、当社としては、ドイツの市場に非常に大きなポテンシャルを感じています。ヨーロッパの国の中では、ドイツが市場的に一番大きいという結果になっています。そのようなところを当社が取得できたのは、本当にラッキーだと思います。

スライド右側のグラフはドイツにおける出店計画です。計画は実は10年先までありますが、5年間くらいで約70店舗には到達したいと思っています。これは、日本で1号店が出てから5年間で72店舗出店したのと同様で、急激に伸びる前の下地作りです。そのような意味では、ドイツも日本も同じペースで進んでいく予定です。

新たな成⻑領域の開拓:グローバル展開 シンガポール

シンガポールについてです。FCオーナーとして2店舗を運営するSaya Pte社を買収しました。今年4月に連結子会社にしたのですが、先ほどお伝えしたとおり、シンガポールはアジアのいろいろなハブとなる拠点です。ここを起点にまだ開拓できていないところのマスター権を取得し、また、トレーニングの場とするなど、今後の海外展開の拠点の重要な基地として認識しています。

新たな成⻑領域の開拓:新ブランド展開

新たな成長領域の開拓として、新ブランドを展開します。「The Bar Method」はバレエのいろいろな技術やノウハウを駆使した、インナーマッスルを強化する新しいタイプのフィットネスです。

今年4月にマスターフランチャイズの契約を締結し、秋頃に第1号店を出店します。立地はすでに決めていますが、正式に発表できるタイミングにお知らせしたいと思います。

ESG経営の推進

ESG経営の推進についてです。当社は特にガバナンスの強化に注視しており、この4月から執行役員制度を新しく導入しました。経営の意思決定のファンクションと、監督機能の強化を目指しています。そこをきっちり分離し、ガバナンスの強化に努めるという決意表明です。

ESGマテリアリティ

ESGのマテリアリティについてです。マテリアリティとして現在掲げている内容はスライドに記載のとおりです。写真は、2ヶ月前に滋賀県と包括連携協定を締結した際のものです。県民のみなさまの健康増進や地域社会のつながりにエニタイムフィットネスが積極的に関わり、一緒に健康的な社会作りに貢献していく所存です。

M&A、アライアンスの活用

M&A、アライアンスの活用についてです。こちらは、今後も積極的に進めていきます。具体的な話も今たくさん進んでいるところです。当社のスケールメリットを活かした事業基盤の拡充が考えられます。また、経済的なメリットを活かせるような領域において、成長戦略の実現と成長加速を目指していきます。

キャピタル・アロケーションの考え方

キャピタル・アロケーションの考え方についてです。今は新たな成長ステージへの変革期と位置づけています。中期経営計画の中でも、その期間は成長基盤の構築を図っていきます。

投資計画については、次のスライドで詳しくご説明します。

3カ年の投資額

中期経営計画の期間3ヶ年の投資計画です。営業活動によるキャッシュインが約161億円あります。加えて、現在100億円の現預金があります。必要に応じて調達も実施していく所存です。

現時点での計画では、投資額は3年間で96億円くらいになると予測しています。国内のエニタイムフィットネス事業を盤石にするための投資と、海外や新ブランドへの新たな成長投資です。また、DX、ITへの投資も積極的に進めていかなければなりません。なにより、専門人材のリソース確保のために、人的投資も今後増やしていく予定です。

企業認知度の向上と株主還元の継続強化

当社の認知度の向上と株主還元の継続的強化にも努めていきます。特に当社の知名度向上のために、IRやPRのさらなる強化、あるいは個人投資家向けの説明会、エンゲージメントの機会を増やしていきます。

また、中期経営計画期間の株主還元は、配当性向40パーセント、下限をDOE4.5パーセントに設定しています。

質疑応答:オーナー持分の売却時期とプライム上場維持基準の状況について

司会者:「オーナー持分の売却時期と、プライム上場維持基準に対する状況について教えてください」というご質問です。

山部:まず、プライム上場維持基準に関して回答します。流通株式時価総額の基準は100億円ですが、3月末時点では満たしていません。ただし、株価はまだ満足できるような水準にはないと認識しています。

私は中期経営計画の着実な実行とあわせて、投資家のみなさま方に当社の成長戦略をきちんと理解していただけるような対話を進めたいと思っています。さらに、市場認知のためのIR、PRの活動を一層強化していきます。全社一丸となり、プライム上場維持基準を満たせるよう推進していく所存です。

また、会長の持分の売却時期に関して、当社からお答えすることは難しいのですが、会社としてエンゲージメントは常に実施しており、取締役会の場でも協力要請を継続しています。売却も、市場に影響のない手法で考えていただけるように提案していきます。

質疑応答:出店計画と現状について

司会者:「今期の出店予定と、直営の出店計画を教えてください。また、現在の出店状況についても教えてください」というご質問です。

山部:今期は75店舗の新規出店を計画しています。上期で半分以上がオープン予定で、非常に順調に進捗しています。

今期、直営店は15店舗の出店を計画しており、そのうち90パーセントがもうすでに決まっている状況です。また、FCを含む全体の進捗としては、全体の70パーセント程度の出店が決まっている状況です。

質疑応答:Fast Fitness Japanの強みと課題について

司会者:「山部社長の就任から1年が経ちましたが、御社の強みと課題をあらためて教えてください」というご質問です。

山部:早いもので、就任から約1年が過ぎました。その間、いろいろ勉強もしましたし、いろいろなチャンスもたくさん肌で感じています。

当社の強みは、ブランド力が非常に頑強であることです。世界中で一番多い5,000店舗以上を展開しているブランドで、認知度が非常に高いことが挙げられます。

また、私が一番強調したいのは、店舗のオペレーションです。店舗を回す力が備わっています。特に店舗に携わっている社員、パート、あるいは契約社員の方々は、毎日、本当に細かいチェックをきちんと実行しています。約200項目のチェックを確実にこなしているのです。そのようなことを日々繰り返すことで、お客さまに快適で安全で、非常に清潔な運動できる場を提供できています。これが大きな強みの1つになっているかと思います。

加えて、ビジネスモデルが非常に良いモデルであることです。FCのオーナーさまのロイヤリティは固定のため、会員が増えれば、増えた分はご自分の収益になります。それが次の出店に結びつくという好循環を生み出していることが、非常に心強いところです。

そして、ひょっとしたら私が一番大好きかもしれませんが、従業員がエニタイムフィットネスの大ファンです。本当にエニタイムフィットネスが大好きな社員ばかりなのです。そのような社員が一枚岩となって、どんどん成長を加速していきます。それが当社の今の強みだと認識しています。

一方で、課題はもちろんあります。チャンスが非常に多すぎることです。海外への進出や新ブランド立ち上げ、eコマース、物販など、数多くの新規領域へチャレンジしています。このあたりはこれまでも案は出ていたのですが、実行し始めたのは私が就任してからです。

社員に対しては非常に無理を言っているかと思いますが、ヒト・モノ・カネといったリソースをうまく配分しながら、新しい領域をしっかりと育てていくことを、みんなと一緒に進めていきたいと思っています。

質疑応答:競合との差別化と対日本人の考え方について

司会者:「低価格ジムの『chocoZAP』の店舗拡大に加え、御社と同様の形態でマシンが充実しているアメリカ発の『スナップフィットネス』も上陸するなど、競争環境がかなり厳しくなると思います。

今後、人口が減少する中でどのように差別化し、成長させていく計画でしょうか? 競合各社とも似たような戦略のため、かなり興味を引くサービスがないと、運動目的だけの新規顧客の集客は難しいような気がしています。

また、日本人のフィットネス参加率が低い理由に、医療制度が充実しているため、健康維持の必要性の理解が低いことと、日本人にとってフィットネスジムはダイエットの手段と考える傾向があることについて、コメントをいただければ幸いです」というご質問です。

山部:まず、「chocoZAP」の店舗拡大と新しい競合についてです。「chocoZAP」に関しては、顧客層が当社とまったくかぶっていません。

「chocoZAP」とはぜんぜん違うゾーンで勝負しているため、どこの直営店あるいはFCが運営する店舗で聞いても、ほとんど影響がないというのが実感です。

一方で、「chocoZAP」はたくさん宣伝しているため、運動初心者の方を生み出すことに大きく貢献しているのではないかと思います。そのようなところで「もうちょっと本格的に運動したいな」という方が「chocoZAP」から流れてくるという、当社にとっては非常にありがたい循環になっています。そのような意味では共存できると思っているところです。

また、似たような形態や価格帯、広さやマシンのジムがたくさん出ています。現在、ブランド数はおそらく400以上あると思います。ただし、実はそのような多くのブランドはもう少し行き詰まっていて「Fast Fitness Japanの傘下に入れませんか?」とか「買ってくれませんか」という話がたくさんきています。

これは当社が「M&Aをやります」と盛んに言っていることにつながります。そのような意味で、新しいブランドには、高い収益意欲やたくさん店舗を展開していけるような体力が本当にあるのか、疑問に思っているところです。

当社は、当社の強みをひたすら磨いていき、最終的には「やっぱりエニタイムフィットネスのほうがいいね」と思っていただけるような運営を心がけています。

特に清潔・安全・安心・快適なスペースを心がけていますので、みなさまもエニタイムフィットネスの店舗に足を踏み入れていただけたらと思います。どこのジムよりもきれいにしていると思います。それだけは自信があります。そのような地道な努力の積み重ねは、単に機械を揃えただけでは比較にならないくらい、圧倒的に差別化できているのではないかと思っています。

また、日本でフィットネス人口を増やしていくことについてです。私が海外に何回も行くようになってまず認識した点は、日本のフィットネス参加率の低さです。これには2つの理由があります。

1つは、医療費および医療制度が非常に整っていることです。例えば体重が増えた、血圧が高い、コレステロール値が高いという時には、すぐに病院に行けて、薬を飲めて、薬さえ飲んでおけばきちんと正常値が保たれます。そのような恵まれた環境にあるのです。

それが日本の外に出ると、アメリカやヨーロッパで病院にかかると、とんでもないコストがかかります。そのため、病気になって病院にかかるくらいなら運動をして、きちんと健康を保とうという意識を持っている方が非常に多いです。

もう1つは、ダイエットの意識についてです。海外では、ダイエットといえば最初に運動しなければいけないと考えると思います。「体重が増えたな」と思ったら、最初のアクションとしてジムに行って運動し、少しでも痩せようと努力します。

一方、日本では、もちろんダイエットが運動と結びつく方もいますが、まず食事制限にトライするという国民性の違いがあるようです。

回答をまとめると、当社は競合に対する準備は常にできていますし、他社がすぐには真似できないような強みを常に磨き込んでいきます。それを延々と続けていくことでブランド力をさらに高めていきます。

そして、例えば企業が健康保険組合とコラボするなど、当社が健康を保つためのインフラとして機能し、日本中あるいは世界中のどこでもアクセスが可能なエニタイムフィットネスを提供することで、日本の方々の健康維持に貢献できると自信を持っているところです。

質疑応答:エニタイムフィットネスの出店ポテンシャルについて

司会者:「エニタイムフィットネスの出店ポテンシャルについてうかがいます。国内、ドイツ、シンガポール、新ブランド、それぞれのポテンシャルと、それに向けた出店ペースについて、中長期的にどのように理解するとよいでしょうか?

シンガポール、ドイツの出店加速は、直営でナレッジを積んで2025年以降という見方でよいでしょうか? 日本と異なる出店のボトルネックなどがあるのでしょうか?」というご質問です。

山部:エニタイムフィットネスの国内での出店ポテンシャルについて、中期経営計画では1,400店舗を目標としており、今のペースでいくとあと2年から3年で到達します。まだ国内にはたくさんのホワイトスペースがあるため、そこで打ち止めではありません。

日本国民のフィットネス参加率は約3.6パーセントと言いましたが、それが1パーセント上がるだけで120万人増えることとなります。昨今、厚生労働省も運動を推奨しており、当社も宣伝を行い、「chocoZAP」も運動初心者をどんどん増やしていこうという流れがあります。したがって、出店の余地はまだたくさんあります。

当社としては、積極的にM&Aも検討し、実際に交渉しています。1,400店舗でエニタイムフィットネスは終わるのではなく、それを上回るような積極的な出店を日本でも続けていく予定です。

次にシンガポールは、当社が買収した店舗はFC店として買収しましたが、FCとして店舗をどんどん拡大するかというと、そうではありません。

アジアのすべての交通やインフラの中心は、今、シンガポールに移っています。そこに居を構えていろいろなノウハウを蓄積し、あるいは人を育ててトレーニングしています。日本人も送り込んで現地の人を育て、その次のステップであるアジア領域でのさらなる拡大に向けて準備を整えます。それが意味的には大きいと思っているところです。

一方、ドイツには、非常に巨大な市場が眠っています。非常に安価なジムが多く、当社がポジションとしている中程度から上位の高級な領域のジムは非常に少ないです。したがって、当社が狙っているセグメントはまだブルーオーシャンの状態だと認識しています。

店舗数については、日本で1店舗目から5年で70店舗くらい開拓したのと同じような計画を立てています。実際、すでに現地では社長を採用しており、社員も約5人います。店舗開発やFCの開拓に関しては、前の会社で生まれている良いコネクションがあるため、そこを引き継いでうまくビジネスにつなげていくことを計画しています。

ドイツの周りには、エニタイムフィットネスのブランドがすでに出ています。それらの国々からも、ドイツがうまくいくように、積極的にサポートしていただく約束ができており、思ったより早く進むのではないかと思います。

また、新ブランドのポテンシャルについてです。「The Bar Method」は、今年中に直営店を1店舗出します。直営店でいろいろなノウハウを積んだ上で、来年以降は直営とFCで展開していきます。来期に3店舗から4店舗くらい出し、その後は状況に応じてアクセルを踏むことになるかと思います。

今のFCや新しいFC候補の方にも名乗りを上げていただいているため、ノウハウを確立しさえすれば、けっこう早いスピードで広がっていくのではないかと思っているところです。

ボトルネックではないのですが、ドイツなどでの出店コストは日本の半額くらいで済みます。そのような意味では、もちろん投資は必要ですが、建築費用と出店費用が半額くらいで済むため、収益性もかなり高くなるのではないかと、今から心待ちにしているところです。

山部氏からのご挨拶

本日は大変お忙しい中、お時間を割いてご清聴いただき、本当にありがとうございました。また、どうぞよろしくお願いします。