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中岡洋詞氏:代表取締役社長の中岡洋詞です。よろしくお願いいたします。

本日の主な説明内容はスライドに記載のとおりです。2024年3月期の決算概況、今後の見通し、5月14日に発表した「中期経営計画2026」の見直しについてご説明します。

2024年3月期 決算ハイライト

2024年3月期の決算ハイライトとして、主要な数値をスライドに記載しました。

「中期経営計画2023」に掲げた自動生産の取り組みについては、スライド右下の「ロボット生産台数」にご注目ください。この3年間、他社に先駆けてロボット生産ラインを構築し、無線機の自動生産を推し進めてきました。当期の生産台数は、売上高とともに前期実績を上回っています。

売上高及び収益増減

「中期経営計画2026」の初年度となる当期は、新型コロナウイルス感染症対策が解除されて経済活動が回復したことに加え、電子部品等の生産材の供給が回復しました。また、競合他社の供給不足も相まって、需要拡大による販売機会を的確に捉えることができ、2024年3月期は良い結果になりました。

加えて、期初の想定に比べて為替相場が円安に推移したこともあり「中期経営計画2026」で計画した売上目標を1年前倒しで達成し、前期に続き創業以来最高の連結売上高を達成することができました。利益面でも、当初の見込みを大きく上回っています。

なお、これ以降のご説明では「電子部品等生産材」は単に「生産材」と呼びます。

資産及びキャッシュフローの増減

当期の財務状況について、前連結会計年度末の数字との比較でご説明します。

まずは資産の概況です。資産合計は59億9,500万円増の731億5,900万円、負債合計は7億円増の74億1,400万円、純資産合計は52億9,400万円増の657億4,500万円となりました。

次にキャッシュフローの概況です。営業活動により増加したキャッシュフローは22億800万円となりました。前年同期は34億1,800万円の増加でした。投資活動により減少したキャッシュフローは36億7,500万円となりました。前年同期は24億8,400万円の増加でした。

財務活動により減少したキャッシュフローは11億2,400万円となりました。前年同期は7億1,800万円の減少でした。

品目別売上高増減

カテゴリ別の売上高増減についてご説明します。全カテゴリで前年度の売上高を上回る実績となりました。

陸上業務用無線通信機器は、地政学的リスクの高まりによる需要拡大に加え、前期に続くストックビジネスの伸長、他社の供給停滞による販売機会を捉えた拡販が進んだことにより売上が増加しました。

アマチュア用無線通信機器は、生産材の供給回復によって安定した生産が可能となり、前期からのバックオーダーを解消できたことに加え、当期に発売した新製品効果により売上が増加しました。

海上用無線通信機器は、生産材の供給回復によって海外での経済活動活性化に伴う需要回復に応じた出荷が可能となり、売上が増加しました。

付属品その他は、前期の大型入札案件の反動減があったものの、航空用無線通信機器や海上航法機器の売上が堅調に推移したことに加え、ソフトウェア関連の売上が貢献し、前期売上を上回る結果となりました。

品目別売上高構成

製品ポートフォリオおよび2024年3月期の各カテゴリの販売比率です。前述のとおり、生産材の供給が回復して安定的な生産が可能となったことにより、全品目で売上高を伸ばすことができました。

売上高構成比に関しては、前期と同様の構成となっています。

地域別売上高増減

地域別の売上高増減についてご説明します。日本市場は、前期の大型案件の反動減がありましたが、経済活動回復に伴う陸上業務用無線通信機器のレンタル需要増やストックビジネスの伸長、付属品その他でのソフトウエア関連の売上が貢献し、前期売上を上回ることができました。

海外市場では、生産材の供給回復により生産が安定したことで競合他社と比べてスムーズに製品を供給でき、拡販機会を獲得しました。加えて、為替レートが円安水準で推移したことにより、全地域で前期売上を上回ることができました。

特に、アジア・オセアニア地域においては、地域での経済活性化による売上増が大きく貢献しています。

地域別売上高構成

スライドには、2024年3月期の地域別かつカテゴリ別の売上高構成を記載しています。

最も成長した地域はアジア・オセアニアです。アジア地域における経済活動の活性化に加え、生産材の供給が安定したことで全カテゴリが売上を伸ばしました。また、前期に生産調整が続いた海上用航法機器の売上がコロナ禍前のレベルに戻ったことや、オーストラリアで陸上業務用無線通信機器および航空用無線通信機器の売上が伸びたことも大きな成長要因です。

北中南米および欧州では、生産材の供給難が解消して生産が安定したことにより、競合他社の供給不足を補う市場需要に応じた出荷ができました。加えて、期初の想定を上回る円安水準で推移したことが、売上を押し上げています。

日本国内は、前年の航空用無線通信機器の大型案件の反動減により、通年では前年比0.6パーセント増にとどまりました。しかし、コロナ禍の規制解除により経済活動が回復したことで、投資活動が活性化して陸上業務用無線通信機器のレンタル需要が大きく伸びました。さらに、ストックビジネスの伸長も大きく貢献しています。

セグメント別売上高 - 所在地別 -

セグメント別の売上高です。地域別同様、前期に続いて全セグメントで増収となりました。

特にEMEAでは、生産材の供給難が回復して安定的な生産が可能になったことにより販売機会が増加しました。加えて、IP無線の売上が好調に推移し、前期比13.6パーセントの増収となっています。

2024年3月期に実施した投資の概要

「中期経営計画2026」には今後3年間の投資計画を記載しており、3年間の投資予定は約105億円としました。

初年度の実績はスライドに記載のとおりです。欧州子会社であるアイコム・ヨーロッパの自社ビル購入に加え、本社の未使用施設をリフォームして設計人員のスペースと設計環境を確保しました。

また、アクハイアリング型の企業買収例として株式会社マクロテクノスを100パーセント子会社化するなど、コロナ禍の間に先送りした投資計画を実行しています。

ROE/PBRについて

好調な業績を反映し、2024年3月期においてはROE・PBRともに上昇基調を維持しました。

「中期経営計画2026」を着実に実行することで利益率の向上を図るとともに、積極的なIR活動によって投資家とのコミュニケーションの充実に努め、ROE8パーセント以上、PBR1倍以上を引き続き目指していきます。

2025年3月期 業績予想

2025年3月期の見通しについてご説明します。2024年3月期は、前期に続いて当初見込みを大きく上回る実績を残すことができました。2025年3月期は、連結売上高380億円、営業利益35億円、営業利益率9.2パーセントを計画しています。

設備投資としては、すでに取り組みを開始している和歌山アイコムでの5G技術を取り入れたスマートファクトリー化をはじめ、各製品カテゴリの新製品開発と関連する技術への投資を継続予定です。

試験研究費は、売上の10パーセント以上という水準を引き続き維持します。

2025年3月期 業績予想

当社を取り巻く事業環境は、ウクライナ情勢や中東地域における地政学的リスクに加え、円安による物価上昇や物流コスト増など、不透明な状況が続くと見込んでいます。また、生産材の供給は安定してきているものの、依然として一部キーパーツの長納期化が続いています。

一方、当企業集団がターゲットとする無線通信機器市場においては、今後も全世界的な無線機需要が底堅く継続すると見ており、売上高は2024年3月期の水準を上回る予測です。

為替については、前期ほどの激しい変動はないと見ていますが、当社は今後「利益創出」体制の強化を目指しているため、厳しめの水準で予算を作成しています。

2025年3月期 配当予想

株主還元方針は、現在の「1株当たりの年間配当額50円」あるいは「連結配当性向40パーセント」のいずれか高いほうを下限とすることを維持します。

2025年3月期の年間配当予想は79円です。ただし、予想以上の利益が実現する場合は、その水準にふさわしい配当額としたいと思います。当社は29年間黒字決算を継続しており、業績が予算に達しなくても一定の配当を維持してきたことはご理解いただいていると思いますが、今後も同様に検討します。

はじめに

2023年5月11日に公表した「中期経営計画2026」の進捗をご説明します。はじめに、2024年5月14日に発表した見直計画についてです。

本日お伝えしたように、前期は「中期経営計画2026」の各目標に取り組んだことに加え、当社を取り巻く事業環境が好転したことにより、計画を1年前倒しで達成することができました。

つきましては、足元の業績動向を踏まえ、2年目以降の経営目標を変更することとしました。なお、本日は目標数値と一部の取り組みについてのみご説明します。

経営目標の見直しおよび企業価値向上への取り組み

「中期経営計画2026」における、連結売上高と営業利益の見直し計画はスライドのとおりです。堅実な経営を目指し、中期経営計画の最終年度となる2026年3月期の売上目標を400億円と上方修正しました。

2024年3月期の営業利益は、当社が想定していた9.3パーセントとなりました。2026年3月期は10パーセント以上を目指します。中期経営計画の「利益創出の対策」に記載したように、今後も利益追求や企業価値の向上に努めていきます。

経営目標の見直しおよび企業価値向上への取り組み

アイコムは創立から70年間、株式会社になってからは60年間、コアコンピタンスである「無線」から離れずにビジネスを成長させ続けてきました。言い換えれば、経済や世界政治の変動や時代、また電子業界の技術発展や変化に合わせ、安定した経営基盤を構築しながら経営を続けています。

今年度は創立60周年のめでたい節目の年ですが、長期的なビジョン・目標である「100年企業」の通過点でもあります。今後も引き続きサステナブル経営を念頭に置き、当社すべてのステークホルダーに対して企業価値の向上につなげていきます。

経営目標の見直しおよび企業価値向上への取り組み

企業価値向上への取り組みについて、前期実績を含めてご説明します。すでに有価証券報告書にも記載していますが、環境対応として、TCFDへの賛同およびCDPへの回答を行いました。引き続き、環境対応に取り組んでいきます。

Scope1とScope2の合計排出量は、TCFD算出初年度にあたる2021年度の2,539トンに対し、2030年度に「2021年度比43パーセント削減」を目標としており、取り組みを継続します。CDP気候変動は、初年度にCスコアをいただきました。こちらも継続した対応を進めます。

また、経営の透明性を示すため、経営・財務状況や将来の見通しについて、各種情報提供を積極的に進めています。前期は投資家のみなさまとの対話向上を目的として、決算説明会やスモールミーティングの開催、各種IR情報を日本語と英語で開示するなど、各種メディアで当社の知名度や認知度を高めるための取り組みを行いました。

経営目標の見直しおよび企業価値向上への取り組み

戦略的M&Aやパートナーとの業務提携への取り組みについてです。「中期経営計画2026」に記載のとおり、コアビジネスの強化や新規ビジネスの創出を目的とした取り組みを推し進めています。

当期は、設計リソースの強化と新たなビジネス創出を目的として、株式会社マクロテクノスのM&Aを実施しました。また、来年開催される「大阪・関西万博」では、「運営参加サプライヤー」としてIMV株式会社と連携し、会場に設置する衛星通信対応地震監視装置を貸与します。

ご説明は以上となります。ご清聴いただき誠にありがとうございました。