アスリートの活躍・支援
岡本利治氏(以下、岡本):みなさま、おはようございます。代表取締役社長の岡本です。本日はお忙しい中、株式会社ルネサンスの決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。これより2024年3月期の決算および中期経営計画についてご説明します。
説明に先立ち、3月に開催された水泳の「国際大会代表選手選考会」において、当社がサポートする池江璃花子選手と、今年度から当社所属となったKSC金町クラブの成田実生選手が国際大会の日本代表に選出されたことをご報告します。
当社は今後も池江選手、成田選手をはじめ、アスリートの支援に取り組んでいきますので引き続き応援のほどをよろしくお願いします。
目次
それでは、目次に沿ってご説明します。
1.2024年3月期 業績ハイライト
まず、2024年3月期の業績ハイライトです。記載のとおり、2023年3月31日付で株式会社東急スポーツオアシス(現:株式会社スポーツオアシス「以下、オアシス」)の株式を40パーセント取得し、持分法適用関連会社としました。また、2024年3月31日付けで同社の株式を60パーセント追加取得し、完全子会社化しました。
これにより2024年3月期決算への影響がありますので、ご承知おきください。
連結/個別 損益計算書
損益計算書の概要です。連結売上高は前年同期比7.0パーセント増の436億2,700万円となりました。連結営業利益は12億6,100万円、連結経常利益は5億2,400万円、親会社株主に帰属する当期純利益は増加し、6億3,200万円となりました。ここに計上されている特別損失および法人税等調整額等については次のスライドでご説明します。
個別については、スライドに記載のとおりです。
通期業績予想と実績値との差異
業績予想と実績値の差異についてです。売上高と営業利益は、概ね当初計画に近い水準で推移しましたが、経常利益はオアシスのスポーツクラブ15施設の固定資産減損処理を行ったこと等により、3億7,500万円の減益となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、オアシス株式の段階取得による評価益3億3,700万円等があり、概ね計画どおりとなりました。
連結 営業利益 増減要因(前期比)
こちらのグラフは、2022年度と2023年度の営業利益の増減要因を比較しています。売上高は、2023年度にスポーツクラブを4施設開業したことや、スポーツクラブの在籍者数が前年を上回ったことに加え、7月にフィットネス、10月にジュニアスクールの会員価格の値上げを実施したことによって大幅に増加しました。
原価・販管費は、新店4施設の開業コストに加え、人的資本経営の取り組みの一環として、従業員の給与を引き上げたため、人件費は増加しましたが、水道光熱費を抑制できたことで増益となりました。
連結 部門別売上高
部門別の売上高についてはスライドに記載のとおりです。すべての売上項目が前年を上回りました。
連結貸借対照表
連結貸借対照表についてはスライドに記載のとおりです。なお、オアシス株式の取得に伴う処理がありました。
連結キャッシュフロー・計算書
連結キャッシュフローについてはスライドに記載のとおりです。
部門別会員数
スポーツクラブの事業概況についてご説明します。こちらの表は、スポーツクラブ事業の部門別会員数です。フィットネス部門は新店4施設の開業に加え、新規入会者数が堅調に推移したことで前年同期比3.3パーセント増となりました。
スクール部門は若干の伸び悩みがありましたが、オンライン会員数は順調に増加しています。結果、在籍会員数は前年同期比5.7パーセント増の39万5,000名となりました。
入会者数推移
こちらはスポーツクラブの入会者数推移を全体、フィットネス会員、スクール会員別に表したグラフです。2023年度はご覧のとおり、入会者数は堅調に推移し、総入会者数は前年同期実績を上回りました。
既存クラブの動向
前年実績との比較が可能な既存クラブの動向については、スライドに記載のとおりとなっています。期末会員数は微減となりましたが、価格改定等による対比単価の上昇により、売上高は前年と比較し5.6パーセント成長しました。
会員年齢構成
スポーツクラブ会員の年齢構成比はスライドに記載のとおりです。フィットネス会員、スクール会員ともに、これまでと顕著な差はありません。
スポーツクラブ事業
2024年3月期の主な取り組みについてご説明します。スポーツクラブ事業の新たな拠点としてスライドに記載の4施設を開業しました。それぞれ地域の新たな健康拠点として多くのお客さまにご利用いただいています。
スポーツクラブ事業
総合型スポーツクラブの強みを活かす取り組みとして、スライドに記載の内容に取り組みました。スポーツクラブを、効果の出る、または生活に根付いた場にしていただきたいという思いから、トレーニングジムの充実や居心地のよい空間づくりへの積極的な投資を実施しました。
スポーツクラブ事業
その他スクール事業への取り組みとして、お客さまに向けた新しい運動スクール「KIDS FIT」の提供開始や、「スマートスイミングレッスン」のご利用対象者を拡大しました。
スポーツクラブ事業
これまでの取り組みをご評価いただき、スイミングスクールでは2024年オリコン顧客満足度調査「キッズスイミングスクール 小学生 インストラクター」の評価項目で1位に選定されました。
介護及び介護・医療周辺事業
介護リハビリ事業においては、リハビリ特化型デイサービス「元氣ジム」をフランチャイズで1店舗、そして「スポーツクラブ ルネサンス 富士見台24」の中に訪問看護ステーションを開業しました。これはスポーツクラブの施設内に開業する初めてのケースとして、今後の開業加速に向けて重要な取り組みと位置付けています。
介護及び介護・医療周辺事業
当社は大阪国際がんセンターの敷地内にあるがん特化型の運動施設「ルネサンス運動支援センター」での取り組みを通じて、がん患者のニーズに合った運動指導者の輩出に取り組んでいます。今後も日本人の多くが経験するがん等の疾病に罹患されている方への、運動を通じたQOL向上へのサポートに取り組んでいきます。
企業・健康保険組合向けの事業
企業・健康保険組合に向けた事業では、オンラインレッスンの配信サービス「RENAISSANCE Online Livestream」や、新たに企業の健康経営を支援するオンライン配信サービス「スマートAction」のローンチ等を通じ、企業の顧客や従業員に向けた健康づくり支援を拡大してきました。
地域・自治体向けの健康づくり事業
地域・自治体向けの健康づくり事業では、佐賀県武雄市と熊本県菊池郡大津町において新たに町の体育施設合計40ヶ所の運営維持管理を開始しています。
地域・自治体向けの健康づくり事業
地域の社会課題解決に向けて、健康づくりや災害時の地域支援の体制づくり、水泳事業の受託など、ご覧のような自治体とのつながりや取り組みを行ってきました。
株式会社BEACH TOWNの取組
連結子会社の株式会社BEACH TOWNにおいては、10月に京王電鉄株式会社の事業パートナーとして「RIVER PARK 聖蹟桜ヶ丘」を開設しました。
今後もBEACH TOWNの企画力を活かして地域の魅力向上に取り組んでいきます。
オアシスとの取組
2023年3月末に株式の40パーセントを取得し、持分法適用関連会社となったオアシスは、この1年で業績の改善が進みました。2024年3月31日には東急不動産株式会社より残りの株式を譲り受け、100パーセント連結子会社として営業をスタートしています。
また、5月10日に発表のとおり、2025年4月に当社とオアシスは合併することを決議しました。
オアシスとの取組
オアシスとルネサンスは企業理念が非常に近く、今後の両者の成長や事業業界の発展にとってすばらしいパートナーです。連携はまだ始まったばかりですが、今後オアシスとも議論を重ね、日本の健康課題を解決するWell-Beingな社会の実現をともに目指していきたいと考えています。
事業継承による拠点数の拡大
2024年3月に菱紙株式会社より、「KSC wellnessフィットネスクラブ金町・金町スイミングクラブ」の事業を譲り受けました。KSC wellnessは1972年に金町スイミングクラブとして開業し、2010年にフィットネスクラブ機能を付加して新築した大型のスポーツクラブです。今後も健康ソリューションの拠点として発展し続けることを目指していきます。
人的資本経営の取組
当社では、ステークホルダーのみなさまの生きがい創造を実現するには、従業員が起点であることが重要と考えています。2023年度は健康経営、人材開発をはじめとする人材への投資の強化の他、昨今の物価上昇を考慮し、従業員の給与水準の引き上げを実施しました。
新規出店及び退店・運営終了
新規出店と退店の実績についてご説明します。2023年度はスポーツクラブを4施設のほか、スライド上段に記載の施設を新たに開設しました。
また、契約満了等により、スライド下段に記載の施設を閉店しました。
施設数(2024年3月末時点)
この結果、当期末の国内施設数の合計は、BEACH TOWN、オアシスの施設を含めて272施設と大幅に増加しました。海外のベトナムの2施設を合わせると、グループ合計では274施設となりました。
2025年3月期 連結業績・配当予想
2025年3月期の見通しについてご説明します。2025年3月期の通期連結業績予想と配当予想についてはスライドに記載のとおりです。この後、2024年度からの中期経営計画のご説明を行いますが、その初年度としての目標値となります。
2024年4月以降の新規出店・運営受託施設
2024年4月以降の新規出店・運営受託に関しては、スライドに記載の施設を予定しています。
目次
ここからは、2024年から2027年までの当社グループ中期経営計画についてご説明します。全体の構成はスライドに記載のとおりです。
1.中期経営計画の背景
今回当社グループが中期経営計画を策定した背景についてご説明します。当社グループは2022年度に長期ビジョンとして、「人生100年時代を豊かにする健康のソリューションカンパニー」を掲げました。人生100年時代の到来とともに、すべてのライフステージにおいて人々が心身ともに健康で、生きがいを持って豊かに過ごせることを目指し、事業活動に取り組んでいます。
当社グループが重要としてきた経営指標は、ご覧のとおり推移してきました。コロナ禍を経て事業環境が急速に変化する中、2024年3月末に東急不動産株式会社より株式会社東急スポーツオアシスを譲り受け、2025年4月1日に同社を合併することとしました。
これにより、当社グループは売上高でフィットネス業界No.1となる準備が整い、成長軌道へ向かう転換期を迎えています。創業50周年となる2029年、さらにその先を見据えた持続的な成長に向け、本中期経営計画を策定しました。
1.中期経営計画の全体像
本中期経営計画の全体像です。我が国が抱える社会の健康課題に対し、当社がどのような貢献ができるのか、社内で数年をかけて議論を重ねてきました。我が国は、2000年代に超高齢社会に入り、また2020年に端を発したコロナ禍のような経験を経て、さまざまな健康課題が顕在化しています。
長寿国と言われながらも、健康寿命の延伸は政府の後押しを受ける重要な課題となっています。要介護や要支援、がん治療、認知症などさまざまな理由によりご支援が必要な方もいらっしゃいます。
そのような中で、自分らしい生活を送りたいというニーズも高まっていると感じています。そして人口構造や生活スタイルの変化は、地域コミュニティを衰退化させつつあります。
人間は人との関わり、社会的なネットワークがあることで精神的・社会的に健康な状態が得られ、その結果として、長生きになります。これは身体的な健康という意味ですが、まさにルネサンスの存在意義はここに貢献することにあると考えています。そのために、当社は本中期経営計画で、事業強化に2つの方向性で取り組んでいくこととしました。
1つ目は、従来の主力事業であるスポーツクラブ事業において、総合型スポーツクラブのリーディングカンパニーとして業界をリードしていくことです。
2つ目は、このような社会課題に貢献するため、フィットネス業界の枠を越えた、中長期成長のドライバーとなる介護・医療周辺事業やホームフィットネス事業を積極的に強化していくことです。
1.中期経営計画の全体像(ルネサンスの事業展開)
当社グループは、創業以来、スポーツクラブ事業を中心に事業を展開してきました。また、スポーツクラブで培ったノウハウを活かし、スポーツクラブの周辺事業として地域・自治体との連携事業や、企業・健康保険組合の健康づくり支援事業にも取り組んできました。
スポーツクラブ事業は、オアシスの連結子会社化と合併により、業界における売上高規模はNo.1となりますが、それだけで日本の超高齢化社会に対応した健康課題を解決するには限界があります。本中期経営計画では、フィットネス業界の枠を越えた中長期成長のドライバーとなる事業を加速させます。
その軸は介護・医療周辺事業とオアシスから加わるホームフィットネス事業です。
1.中期経営計画の全体像(市場規模/成長性と競争環境に対する当社理解)
フィットネス市場や介護関連サービス市場における当社の事業規模は、現在は決して大きくありません。新型コロナウイルス感染症が5類に移行して以降、社会の健康意識が高まったことで、フィットネス市場は今後も成長していくことが想定されます。ただし、総合型スポーツクラブは、建築費、光熱費、人件費などの上昇の影響を受け、運営を手がけられる事業者が徐々に限られてきている実感があります。
また、介護関連サービス事業の市場規模は約1兆円とも言われており、その中で我々が手がけるリハビリ施設の市場は、約3,000億円規模と言われています。
超高齢社会の環境下で元気に生きがいを持って生きていくための、身体機能や生活機能の維持・改善のニーズを満たすリハビリ特化型デイサービス市場は、今後もますます成長すると考えています。
このような市場の理解のもと、それぞれの事業の方向性についてご説明します。
2.事業および組織基盤強化の方向性
スポーツクラブ事業は、既存施設の収益基盤の強化と事業構造改革を通じて、環境変化の中でも安定した収益を確保するサイクルを展開していきます。小規模・無人系の施設とは異なる体験価値をお客さまへ提供できるよう、施設の運営効率を高め、そこで生まれた時間を、価値を感じていただけるための時間に再投資するという考え方です。
今後、建築費、光熱費、人件費や物価が継続的に上がっていく環境下でも、スポーツクラブを安定して運営し続ける状態を実現します。
そして、その運営ノウハウをオアシスの店舗運営にも活かし、成長し合うとともに、業界再編を主導するM&Aや営業継承、または新規出店による営業拠点数増に取り組んでいきます。これらの取り組みにより、2027年度売上高は593億円を目指します。
2.事業および組織基盤強化の方向性
これまでスポーツクラブ運営で培ってきたノウハウを、異なる市場で活かしていく取り組みも継続して行っていきます。地域・自治体向けの健康づくり事業は、スポーツクラブの足元の自治体を中心に着実に広がっています。
小・中学校の水泳授業の受託や、20市町村以上の自治体との連携協定等を通じ、クラブ周辺の自治体が抱える健康や教育に関するソリューションを提供していきます。
指定管理やPFIによる公共施設の運営受託についても、積極的に取り組んでいきます。国のPPP(指定管理・PFI等)導入推進を受け、指定管理者制度導入の自治体にも、今後民間活力の導入が進むことが予見されます。関連子会社であるBEACH TOWNと連携して、提案内容に差別化を図るなど、強化していきます。これら地域の健康づくり事業は、2027年度に売上高55億円を目指します。
企業健康保険組合向けの働く人の健康づくり事業では、現在、法人契約している900社以上の法人やその他メンバーシップを持つ企業・団体等との連携を強化していきます。スポーツクラブで培った健康コンテンツとそれを展開するオンラインプラットフォームにより、市場規模拡大を目指し、2027年度の売上高計画は8億円としています。
2.事業および組織基盤強化の方向性
介護・医療周辺事業についてご説明します。
当社が運営する介護リハビリ施設は、2024年3月末現在、直営33施設、フランチャイズ11施設となりました。事業の中心となる「元氣ジム」は店舗ごとの定員数に対する充足率や利用者の出席率も高く推移しています。利用者の機能改善の成果実績も出ており、安定した収益事業となっています。
一方で介護業界では、働き手の確保や報酬水準が課題となっています。事業環境変化にも耐えうる業態モデルの確立と並行して、事業を担う人材の確保と定期的な介護報酬制度の改定等に取り組みます。
このモデルの検証内容を踏まえ、新規出店やM&Aによる多店舗展開を計画しています。また、自主運営を通じて得たノウハウを他社へご提案することで、介護業界全体の課題解決にも貢献していきます。2027年度売上高は35億円を目指しています。
2.事業および組織基盤強化の方向性
ホームフィットネス事業はオアシスの主力事業で、家庭用運動用品の通販事業として39億円の売上規模があります。この事業で開発されている商品は、「自宅にスポーツクラブがやってくる」がコンセプトとなっています。
健康の重要性はわかっていても運動が得意ではない方や低体力の方でも、「ながら」で運動ができるという手軽さの一方で、商品はスポーツクラブのトレーナーや「元氣ジム」の理学療法士等の運動のプロが監修して開発しています。
当社はこれまでスポーツクラブのお客さまに向けた商品を中心に取り扱ってきましたが、オアシスのホームフィットネス事業は、フィットネスに参加していない、フィットネス業界の枠を越えた潜在的なお客さまに向けて展開しています。
今後、当社の新たな成長ドライバー事業になると確信しています。2027年度売上高は46億円を目指します。
2.事業および組織基盤強化の方向性
ここまでご説明してきた各事業の方向性を、並行して成長させるには、組織基盤の強化が必要になります。本中期経営計画では中長期的な成長を重要視し、事業の経営資源配分を検討しました。基盤としての機能は、スライドに記載の3本柱を軸に全体整合を図っていきます。当社事業は、いずれも人が生み出す価値が重要です。
本計画や事業戦略と人事戦略を整合させるとともに、従業員一人ひとりが最大のパフォーマンスを発揮できる環境を整えていきます。また今後、多様化する事業の要請に応えるITシステムの開発は、基盤構築が必要な時期に差しかかっています。顧客体験、従業員体験の向上にもシステムの力は欠かせません。今後10年程度の長期視点で最適な運用を実現していきます。
さらに財務領域においては、オアシス合併等の財務イベントが続いたこともあり、再度財務体質の強化が求められています。
当社は従来、売上高営業利益率、自己資本比率、ROEを重要指標としてきましたが、それにROICを加え、資本コストや株価を意識した経営の実現に向け、対応を強化していきます。
3.経営目標
本中期経営計画における経営目標はスライドに記載のとおりです。2027年度には売上高750億円、営業利益55億円、売上高営業利益率7.3パーセント、自己資本比率25.0パーセント、ROE12.0パーセント、ROIC7.7パーセントの過去最高益達成を目指します。
3.経営目標
本中期経営計画の営業利益成長計画の内訳です。増減要因についてご説明します。
スポーツクラブ事業では72億円の増益を見込みます。内訳は、すでに開業済みのスポーツクラブで53億円、2025年4月に合併予定のオアシス統合効果として10億円、2027年度までの新規出店、事業継承、M&Aによる効果として8億円を見込んでいます。特に既存クラブの収益改善が大きくなっていますが、2027年度期末の売上高はコロナ禍以前の水準まで戻し、総在籍会員数は約40万人を見込んでいます。
スポーツクラブ周辺事業では、自治体、企業・健康保険組合向け事業においてスポーツクラブとの連携を強化するほか、社外パートナーとの事業共創により、8億円の増益を目指します。介護・医療周辺事業においても、2027年度まで毎年5施設から10施設の出店を計画し、開業費を吸収して3億円の増益を目指します。
ホームフィットネス事業は、2023年度比較ではほぼ単純増となりますが、オアシスの統合効果として11億円の増益を目指します。
また、これらの事業の成長に必要となる、従業員の報酬水準を継続的に引き上げるための人的資本への投資や、事業戦略に連動した基盤構築のためのシステム投資を見込んでいます。また、オアシスのブランド変更や統合に係る影響も見込んでいます。
3.経営目標
非財務目標の前提は、2022年に制定したサステナビリティ方針になります。当社は「事業活動を通じてすべてのステークホルダーの生きがい創造に貢献する」と明言しています。本中期経営計画で重要視するステークホルダーは、お客さま、事業を共創するパートナー企業や自治体、そして従業員です。
お客さまに向けては、健康を基盤に生きがいづくりの価値と質を高めていきたいと考えています。WHO、世界保健機関の定義では、身体的、精神的、社会的に健康であることが重要とされています。運動だけではない、健康のための場づくり、関係づくりに取り組んでいきます。
それを共創するパートナー企業や自治体の存在も大変重要です。目指すことをともにし、得意なことを持ちよって、より良い関係性の中で課題解決に取り組めるよう進めていきます。そして、この計画実現のためには、当社で働く従業員が、この会社で自らの生きがい創造を体現できている状態が必要です。
多様な人材が活躍できる場になるよう取り組んでいきます。
3.キャッシュアロケーション
本中期経営計画が順調に推移すると、4年間累計の営業キャッシュ・フローは220億円程度が見込まれます。当社配分については、株主還元や財務体質の強化へのバランスを考慮しつつ、この4年間はルネサンスが継続的に発展を遂げられるよう、事業への成長投資を優先的に配分したいと考えています。
なお、株主のみなさまには、経営成績に応じた安定的な株主還元を行う予定です。
3.ルネサンスの企業理念・長期ビジョン
ここまで大変長くなりましたが、当社の中期経営計画についてご説明しました。本計画は2027年度を最終年度としていますが、2年後の2029年に当社は創業50周年を迎えます。
その時には、これまでオアシスが目指してきた「Well-being First!」を当社がしっかり理解し、取り入れることで、新生ルネサンスが真の健康のソリューションカンパニーとして、日本の健康課題解決のお役に立つ会社となるよう取り組んでいきます。
引き続きご支援・ご協力のほどよろしくお願いします。本日はありがとうございました。
質疑応答:合併で得られるシナジー効果について
司会者:「オアシスとの合併で得られるシナジー効果として、具体的にどのようなことを想定されていますか?」というご質問です。
岡本:オアシスとの合併によるシナジー効果について回答します。スポーツクラブ事業では、ルネサンスの立地とオアシスの立地の重なりが非常に少ない点が挙げられます。オアシスは首都圏と関西圏の都市部をメインに店舗を構えています。一方のルネサンスは、どちらかと言うと郊外型です。互いに出店が少ないエリアをカバーできるメリットがあり、両社の会員の相互利用や、一緒に行うイベントの相乗効果も期待できます。
また、当社が特に力を入れている法人会員の獲得についても、これまでルネサンスの店舗が少なかった首都圏や関西の都心部にオアシスがあるため、オアシスの法人会員の増加が期待できます。
また、オアシスはこの数年、大人を対象としたスポーツクラブにジュニアスイミングスクールを導入しています。ここに我々が得意とするスイミングスクールのノウハウを取り入れることで、在籍数の増加が期待できると考えています。
さらに自治体との連携についても、地域を点ではなく面でカバーできるようになるため、ここでの相乗効果も期待できます。
オアシスのホームフィットネス事業について、ルネサンスでは物販を会員向けの事業として展開していましたが、これを広く市場に展開できることもシナジー効果だと考えています。
また、組織を統合することで、本社の管理部門の業務効率化を図ることができ、収益構造の改善につながることもシナジー効果だと言えます。
質疑応答:会員数の回復について
司会者:「スポーツクラブ既存店の会員数が減少しているようですが、今後会員数はどの程度まで回復すると見込んでいますか?」というご質問です。
岡本:2023年度は、既存店が0.8パーセント減ということで在籍数が伸び悩みました。4月は、新型コロナウイルス感染症が5類に移行する前だったため、入会要件は少し厳しくなっていました。しかし5類移行後は、入会数も少しずつ回復しました。
また、10月にスイミングスクールや、テニススクール等のジュニアスクールの価格を改定した影響もあり、スクールの在籍数が伸び悩みました。しかし、これは一時的なものと認識しており、1月以降の入会については、コロナ禍の前年を超える入会の推移となっています。
したがって、2024年度末には、前年から5パーセントほど回復すると見込んでいます。そこに2023年と2024年に出した新店の在籍数を含めると、7パーセント程度増えると考えています。
オンラインを除く会員数については37万人前後と見ています。ここにオンラインとオアシスの在籍数が加わるため、2027年度までには50万人規模の在籍数を確保できると見ています。
質疑応答:のれんの2024年度以降の影響について
司会者:「今回、多額ののれんを計上しています。2024年度以降の影響はどの程度あると見たらよいのでしょうか?」というご質問です。
安澤嘉丞氏(以下、安澤):この1年間でオアシスの株式を40パーセントから100パーセントへと短期的、段階的に取得しており、さらに100パーセント子会社の期間も3月31日の1日のみのため、P/Lは40パーセント、B/Sは100パーセントという連結となり、会計処理が非常に複雑になっています。100パーセント子会社の期間が1日のため、日数的にどうしても将来の回収可能性を保守的に見ざるを得ないという面がありました。
また、オアシスの店舗については、ルネサンスと同等の保守・改修計画を見積もることが難しかったため、過去の実績から保守的に見て、減損処理を行っています。
のれん償却の負担の影響ですが、すべてではないものの、かなり多くの部分で減損した店舗の有形固定資産がのれんに振り替わっています。したがって、クラブ側の減価償却費が減り、のれんの減価償却が増える結果となり、正味の減価償却の影響は、年間3,000万円程度です。これについては今回公表値として、将来的な計画の中に織り込んでいます。
質疑応答:介護リハビリ分野における出店ペースについて
司会者:「介護リハビリ分野について、出店ペースはどのように考えていますか?」というご質問です。
望月美佐緒氏:直営店の出店については、数年をかけて加速させていきたいと考えています。運動特化型のデイサービス「元氣ジム」や、訪問看護ステーションを中心に、年間5店舗から10店舗の出店を計画しています。
また、直営店の出店だけではなくM&Aも視野に入れ、積極的に進めていきます。「元氣ジム」の出店については、人材の確保や育成に若干の課題がありました。しかし新たなデイサービスのモデルをすでに構築しているため、これらの施策を踏まえ、出店、そして事業を加速させたいと考えています。
質疑応答:サービスや利用可能機器の拡大について
司会者:「現在、『chocoZAP(チョコザップ)』が注目されていますが、ルネサンスのフィットネス施設のサービスや利用可能機器を広げていく可能性は検討しているのですか?」というご質問です。
岡本:「chocoZAP」のようにスポーツ施設の中でカラオケ、ネイルを行うサービスを付加するのかどうかということへのご返答になります。今のところカラオケ等は考えていませんが、スポーツクラブで行うトレーニング、プログラムに付随する新サービス、新たなマシンの導入については今後も検討していく予定です。
質疑応答:オアシスの完全子会社化によるPMIテーマと対応時間軸について
質問者:「オアシスの100パーセント子会社化において、PMIのテーマと期待できるシナジー、対応時間軸について教えてください」というご質問です。
岡本:シナジーについては先ほどの回答と重複するところもありますが、PMIのテーマについては、まずは店舗のオペレーションをどのようにルネサンスと統合するのかということです。また現在オアシスで、本社機能として使っている仕組みとシステムを統合までにしっかり整えていこうと考えています。
時間軸は、2025年4月に合併するとお伝えしていますので、それまでにブランドを統合できるよう準備を進めていきます。
質疑応答:オアシスの今期業績に対する貢献度について
司会者:「オアシスの今期業績に対する貢献度について教えてください。また、連結の中で売上高・営業利益をどれくらい見込んでいますか?」というご質問です。
安澤:オアシスの今期業績に対する貢献については、今期は統合に向けたいろいろなコストや準備があるため、現時点での計画としては売上高で170億円から180億円、営業利益は前期並みで、4億円から5億円を想定しています。
ただし、将来的には、先ほどウォーターフォールの表でお示ししたとおり、ある程度PMIが落ち着くであろう2027年度の段階では、業績への貢献度が高まると考えています。
質疑応答:オアシスの合併後の名称について
司会者:「オアシスの吸収合併について、合併後のオアシスの店舗名称はどうなるのでしょうか? ルネサンスに変更されるのですか?」というご質問です。
岡本:2025年4月の合併に向けて、オアシスのブランドはすべてルネサンスに置き換えます。しかし、4月1日に看板を一挙に取り替えるのは物理的に難しいため、今年から順次差し替えを進め、4月1日には全店がルネサンスのブランドになるとご理解ください。
質疑応答:今後の戦略と想定ターゲットについて
司会者:「同業他社との競争が激化する中で、価格競争も厳しくなっています。コロナ禍による特需もなくなり、差別化も難しいと思いますが、今後どのような戦略でどのような会員をターゲットにしていく計画でしょうか?」というご質問です。
岡本:当社はスポーツクラブの会社から健康のソリューションカンパニーへの転換を図っています。これまでスポーツクラブ事業で培ってきたさまざまなノウハウを、自治体向け、法人企業向けの事業等に広げるとともに、周辺事業における知見をスポーツクラブ事業に環流させながら、事業を広げつつあります。
スポーツクラブには元気な方をより元気にするイメージがあると思いますが、健康課題にはさまざまな種類があります。我々総合型スポーツクラブは、生まれたばかりのベビーから高齢者まで、幅広い年代層の方に向けてサービスを提供できるコンテンツがありますので、それらをデジタルと組み合わせ、オンラインとオフラインを融合させたサービスを商品化することで、顧客のみなさまの体験価値を高めていきたいと考えています。
ルネサンスのロゴマークは「伴走」という意味合いがありますが、当社は、人を大事にするという理念を大切にしながら、総合スポーツクラブとしての強みを今後も発揮していきたいと考えています。