スターツ出版のビジョン

菊地修一氏:代表取締役社長の菊地です。スライドを元に、2023年12月期決算内容についてご説明します。

まず、スターツ出版のビジョンには「感動プロデュース企業へ」を掲げています。

スターツ出版のミッション

ミッションは「文化と笑顔の需要創造」です。こちらのビジョンとミッションに基づいて経営しています。

3ヶ年成長戦略の基本方針

弊社は、3ヶ年成長戦略を一昨年に策定しました。その基本方針は3つあり、1つ目が「穏やかで、伸び伸びとした、社員の成長が持続できる企業風土」、2つ目が「信頼され、時代の変化に応じた、商品とサービスを、次々と提供」、3つ目が「企業価値を上げ、一人でも多くのステークホルダーに喜びを」です。

スターツ出版の事業領域

弊社の事業領域は大きく分けて、書籍コンテンツ事業とメディアソリューション事業の2つです。メディアソリューション事業はさらに、「OZのプレミアム予約」とブランドソリューションの2つのビジネスに分かれます。

2023年12月期の決算

2023年12月期の決算は、スライドに記載のとおりです。

売上高

3ヶ年の当初計画では、2023年12月期の売上高は63億円でしたが、75億円に上方修正を行い、着地としてはさらに上振れて、83億4,100万円になりました。

営業利益

営業利益も、当初計画では2023年12月期は11億円だったのに対して、 17億円に上方修正し、最終的にさらに上振れて22億7,300万円で着地することができました。このように業績が伸長しています。

貸借対照表

貸借対照表です。現在、自己資本比率は77.2パーセント、流動比率は413パーセント、借入金はゼロとなっており、かなり固い財務基盤が構築されています。

セグメント別 売上推移

セグメント別の売上推移です。書籍コンテンツ事業が、かなり大きく右肩上がりで伸長しています。メディアソリューション事業は、2020年にコロナ禍の影響で大きな打撃を受けましたが、そこから復調している状況です。

セグメント別 営業利益推移

セグメント別の営業利益推移については、書籍コンテンツ事業が大きく営業利益を拡大しています。メディアソリューション事業は、2023年12月期に4年ぶりに黒字に浮上しました。

好業績継続の要因

このような好業績継続の要因は3つあります。1つ目は弊社独自のビジネスモデルです。これにより、出版マーケット全体が縮減し、厳しい市場環境にある中でも、すべてのジャンルで「読者」を拡大できるようになりました。

2つ目が、コロナ禍の収束に伴う、おでかけ需要の回復です。これにより、「OZのプレミアム予約」や販促プロモーションを司るメディアソリューション事業が回復してきました。

3つ目が重要で、社員同士のコミュニケーション活性化を目的とした各種施策が奏功し、「企業風土」が磨かれたことです。この結果、社員自身がモチベーションを上げて、円滑なチームワークで結果を出してくれたことが一番大きいと考えています。

書籍コンテンツ事業のレーベル別売上推移

各セグメントについて、書籍コンテンツ事業からご説明します。弊社は書籍コンテンツとして、小説投稿サイトを起点とした、書籍・電子書籍・コミックビジネスを扱っています。

スライドのグラフは、各レーベル別の売上推移を四半期別で示したものです。売上高合計で見ると、2017年度から約4倍に拡大しています。

右肩下がりの出版市場で、『読書文化』の需要創造へ

出版市場の状況について、スライド左側のグラフでご説明します。紙と電子を合わせた、全国の出版物の売上推移です。

2006年の2.5兆円あたりをピークとして、以降ずっと右肩下がりとなっています。2020年に一度、コロナ禍による巣ごもり需要の発生から若干回復を見せたものの、2022年には再度悪化し、2023年の数字はグラフに載っていませんが、さらに6ポイントほど落としているのが現状です。

そのような中で、弊社の書籍事業はどうかというと、スライド右側のグラフをご覧ください。左側のグラフと単位は違いますが、当社の書籍売上は、2016年の9億円から、5倍超の伸びになっています。

各書店の経営者を訪問すると、本が売れないと、どこでも言われます。最近は大手の出版社でも、業績がかなり厳しくなっているところも出てきています。

海外展開やIPビジネスの売上は良くても、国内の書籍の販売はどこも苦戦しており、出版物全体の売上は毎年数パーセントずつ下がっています。これは、各書店の経営者の声からも明らかです。

その中で、スターツ出版の売上は、ここ数年120パーセント超の成長を見せています。弊社の売上は相対的には、他社と比べて30ポイントくらい良いと言われており、今は厳しい業界の中でも好調を継続しています。

Z世代に『読書文化』の需要創造を

なぜこのような成長が可能なのかについて、少し噛み砕いてご説明したいと思います。スライドに「Z世代に『読書文化』の需要創造を」と書きましたが、その下にある日本の人口ピラミッドの図をご覧ください。

この中で、「従来の読書層」と示した部分にある、団塊の世代はもう70代半ば、団塊ジュニアも50代に突入しました。団塊世代が50代だった20年前あたりが日本の出版業界がピークだった時代だと思います。

それから20年かけて、みなさまお年を召され、かつネットの時代に変わり、どんどん本が廃れていきました。これは新聞も雑誌も、テレビもラジオも、すべて同じです。

一方で、今の若い10代から20代の人たちのことをZ世代と呼びますが、彼らは生まれながらに「スマホネイティブ」「デジタルネイティブ」「SNSネイティブ」です。「タイパ(タイムパフォーマンス)重視」で、「自分らしい価値重視」という目線を持っている世代で、「この人たちは紙の本は買わないだろう」と言われていました。

スターツ出版が今まで一般的にあまり知られてこなかったのは、「本といえば」と代表される出版社が発行してきた本のかなりの割合が、団塊世代に向けたものだったためです。投資家にも団塊世代の方々が多いです。

スターツ出版では、この世代に向けては本を発行していません。弊社がターゲットにしているのは、みなさまが「まさか読者になるとは思っていなかった」であろうZ世代です。投資家の方にも、昔読者だった一般のみなさまにもあまり認識はされていませんが、我々はZ世代に向けて、出版ビジネスを展開しています。

具体的には、「編集×営業×サイトチーム」で徹底したマーケティングを行い、「読者」と等身大の若い20代の編集者が、「作家×編集者」の二人三脚で作品を制作しています。この部分が当社の特徴で、他の出版社では営業と編集が1つのチームとしてマーケティングから一緒に行うことはあまりないそうです。

また、作家と編集者が二人三脚で作品を作ることにより、読者に寄り添ったコンテンツになります。そして、やはり本を読んで感動した体験の分だけ、読者から「SNS」で広がります。

そこでさらに“新たな読者”が書店で「紙の本」を買い、「読書」で感動すると、「感想・口コミ」がまた「SNS」に投稿され、拡散して認知が広がり、“リピーター”が増加するとい好循環が継続して起きています。

投稿サイトから作家を発掘、紙とデジタルの循環で読者を拡大

こちらのスライドが、弊社のビジネスモデルです。弊社では小説投稿サイトを2007年から自前で開発・運営しており、「野いちご」「Berry's Cafe」「ノベマ!」の3サイトを持っています。こちらは「作家になりたい」というモチベーションの方ではなく、ほとんどが趣味として物語やブログを書く方々が「書きやすい」という理由で使っていただいていることが多いです。

ただし、その中には文才のある方もおり、弊社の編集者が彼らの作品を丹念に読み込んでピックアップし、商品化できそうな作品を選定します。そして、その作品の著者に「作家になりませんか?」とお声がけし、紙の文庫本で作家デビューしていただくという流れになっています。

つまり、弊社のサイトからベストセラー作家になった方はたくさんいますが、もともとはベストセラー作家ではなく、一般の方々だったということです。現在はすでに、500名以上の作家を輩出しています。

また、文庫本の出版に併せて電子書籍化もしますが、紙の書籍レーベル内の大人向けで人気の作品を漫画家にコミカライズしていただき、電子コミックを出版します。電子コミックで展開するとすぐに売れ行きがわかりますので、こちらで売れ行きの良いものはすぐに紙のコミックにします。

このように、サイトからの情報が紙の書籍になり、電子書籍から電子コミックになり、最終的には紙のコミックになるというかたちで電子と紙が循環しています。そして、その循環中に口コミや評判が広まり、読者を拡大するという流れになっています。

読者ターゲットを細分化し、レーベルをブランド化

弊社では読者ターゲットをかなり細分化し、レーベルをブランド化しています。小学生、中高生、大学生、大人女性、大人男性と年齢別に編集部を区切っており、それに対応する紙のレーベルとデジタルのレーベルはスライドに記載のとおりです。

ちなみに、小学生から大学生までの子ども向けの書籍は、基本的に書店で紙の本として販売しています。デジタルでは、子どもが決済手段を持っておらずほぼ売れないためです。大人向けは紙とデジタルを合わせて販売するという方法を採っています。

レーベルごとに編集者がついていますが、毎月だいたい3点から多いもので5点ほど新刊を発刊しており、月間で35冊から40冊ほどの作品を発刊している状況です。

① 児童文庫市場で、3年で一定のポジションを獲得

ターゲット別にご説明します。まずは、一番若い小中学生向けの児童文庫市場です。こちらは2020年のコロナ禍に創刊し、この3年で一定のポジションを獲得しました。

児童文庫市場は、昔から老舗の大手出版社4社が児童文庫の棚をほぼ占有していました。しかし、3年前に弊社がピンク色の「野いちごジュニア文庫」を発刊した後は、急速にシェアを拡大し、売上が伸びている状況です。

どちらかと言うと、老舗の大手出版社のジュニア文庫には、大人が小学生の子どもに買い与えるという考えのもと名作シリーズなどの本が多いです。一方で弊社の本は、小学校4年生から中学校1年生くらいまでの子ども自身が読みたいコンテンツを揃えています。大人が読ませたいものではなく、「子どもが読みたいもの」という逆転の発想ですが、その結果売れ行きを伸ばしています。

全国のショッピングモールに入っている書店を巡って話を聞くと、「土日はいつもピンクのコーナーに小さな子どもたちがたくさんいますよ」と言ってくださるお店が多くあります。子どもの目線の高さに「野いちごジュニア文庫」の本を置いていただいている書店が多いです。

② 全国の中高生から圧倒的支持を受け、書店店頭で展開が拡大

14歳から17歳までの、まさにZ世代と呼ばれる人たちに向けては「スターツ出版文庫」というレーベルを発刊しており、全国の中高生から圧倒的な支持を受けています。学校で朝15分ほど読書をする「朝読」の時間にも、弊社の「スターツ出版文庫」が読まれている比率がかなり多いと聞いています。

このレーベルは「スターツ」や「スタ文」と呼ばれていますが、読者が増えることで口コミが学校内でも広がり、「スタ文ファン」が全国で増加中です。出版社名や著者名で買うのではなく「スターツ出版文庫」というレーベル・ブランドで、本を毎月買う人たちが増えてきています。

そのため、書店店頭での展開が毎年拡大しています。従来は出版社別や作家別で本を陳列する書店が多かったところ、弊社の商品に関しては「スタ文」コーナーを設けて展開していただく書店が増えており、郊外や地方の書店では、スライドの写真のように平積みや面陳で大きく展開されている書店も多くあります。

Topics 「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら」は、ミリオンセラー

トピックスとして、『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』はミリオンセラーになりました。昨年12月8日に映画が公開され、観客動員数は320万人、興行収入は40億円を突破し、配給の松竹株式会社の作品の中でも、数年来の大ヒットになっていると聞いています。

実はこの映画の原作は、2016年発刊の「スターツ出版文庫」の作品なのですが、子ども向けの「野いちごジュニア文庫」や大人向けの単行本でも同じコンテンツを展開し、現在はシリーズ累計で125万部を突破しました。『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』は、足元でもまだまだ売れ続けている状況です。

③ SNSでZ世代の共感を呼び、次々と単行本ヒット作が登場

高校生から大学生向けには、「スターツ出版文庫」の「スタ文単行本」という単行本を発刊しています。こちらもSNSでZ世代の共感を呼び、次々に単行本がヒットしています。

スライドに写真を載せている『すべての恋が終るとしても』は、シリーズ三部作ですでに35万部売れています。帯には「30秒で泣ける」と書かれていますが、見開き2ページに「X(旧Twitter)」の投稿文字数上限である140文字で1つの恋物語が完結する内容になっています。これが、今まで紙の本を読んだことがないような高校生や大学生に大変評判です。

特に「TikTok」では、全国でものすごい数の人たちが毎日のようにこの本を音楽と一緒に投稿しており、大変バズっています。そちらに書かれている口コミを見ても「生まれて初めて紙の本を買った」「生まれて初めて単行本1冊全部読み切った」という声が多く見られます。その結果、スライドの写真にあるように、地方や郊外では特設コーナーを設けて大きく展開する大型書店が増えています。

今は本当に単行本が売れない状況だと聞いていますが、各書店に訪問するとかなりの勢いで売れているとうかがいます。弊社でも、重版をかけてもなかなか注文に追いつけない状態が続いています。

また、最近は「超タイパ文芸」というコピーで、書店入口の一番目立つところに特設コーナーを設けてもらいました。今年もこのような作品をたくさん出版し、今までに本を読んだことがない全国のZ世代をどんどん読者にしていきたいと考えています。

Z世代の方たちが生まれて初めて書店に訪れて、読書の大切さを知っていただくことは、当然ながら書店にとっても非常に喜ばしいことです。数年経てば彼らも大人になりますので、今のうちから本を読む習慣をもっていただければ、大人になっても本を買っていただけるのではないかと思いますし、書店とのタッグマッチがうまく成功している大きな例だと言えると思います。

④ 「野いちご文庫」を大幅にリニューアル

「野いちご文庫」と「ケータイ小説文庫」は以前からありましたが、先ほどご説明した「野いちごジュニア文庫」と「スターツ出版文庫」と作品の特徴が重なるところが多々ある状況となっていました。

そのため、「野いちご文庫」のロゴを変更し、高校生から大学生というラインにターゲット年齢を上げ、作品の内容や表紙デザイン等も少し大人っぽくしたところ、これが奏功してリニューアルに成功しました。これにより、昨年12月からはまた売れ行きが伸び始めている状況です。

⑤ 大人女性向け文庫、デジタル・紙共に好調

30歳から50歳の大人女性向けの文庫は、デジタル・紙共に好調です。ここにも実は「スターツ出版文庫」の大人向けの作品があります。

スライド上段は「和風あやかし系」と呼んでいる大人向けの書籍で、中高生向けの青春恋愛系とは少し異なりますが、こちらも売れ行きは好調です。さらに、「ベリーズ文庫」「マカロン文庫」などのオフィスラブ系もあります。

これらの作品の読者は40代女性が中心で、新刊発刊日に5冊、6冊とまとめ買いする方も多くいらっしゃいます。

Topics 「鬼の花嫁」文庫・コミック、シリーズ累計250万部突破

中でも、特に『鬼の花嫁』という作品は好調で、文庫・コミックなどのシリーズ合計で250万部を突破しました。『鬼の花嫁』の原作も、小説投稿サイトに投稿された一般の方の作品です。

これが弊社の編集者の目にとまって文庫本で大ヒットした後、漫画家にコミカライズしていただいたところ、国内最大級の電子書籍サイト「コミックシーモア」の年間ランキング「少女マンガ編」で2年連続1位を獲得する人気作品となりました。さらに紙のコミックにしたところ、現在では毎巻十数万部以上を発刊できるほどの人気コンテンツになっています。

1月に4巻目のコミックを発刊したばかりの今は全国の主要書店に何百冊も仕入れていただき、どの書店でも大きく展開いただいている状況です。

⑥ 大人女性向けコミック、デジタル・紙共に絶好調

30歳から60歳の大人女性向けのコミックは、デジタル・紙共に絶好調です。「コミックベリーズ」「ベリーズファンタジー」「noicomi」「Comic Lueur」は、先ほどお話しした「スターツ出版文庫」や「ベリーズ文庫」を、コミカライズした作品群です。

実は、レーベル別の売上推移を見ると、電子と紙を合わせた売上規模は「コミックベリーズ」が最大です。スライド14ページのグラフでいうと、紫色の部分に当たります。

映画化した『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』や、大ヒット中の『鬼の花嫁』などが業績をけん引していると考え、「それらがなくなったら一気に売上が下がるのではないか?」というお声もいただきます。しかし、あくまで大ヒット作は一部であり、実は大人女性向けのコミックがデジタル・紙共に最大規模の売上を着実に保持し、拡大しています。

⑦ 創刊3年目の男性向けコミック&ノベルス、デジタル・紙共に急成長

30歳から50歳の大人男性向けコミック&ノベルスも、デジタル・紙共に急成長しており、創刊してまだ3年目でありながら、倍々で売上が伸びています。スライド14ページのグラフでいうと、上側の緑色の部分です。2021年第4四半期以降、数億円規模の売上に拡大しています。

「Comic グラスト」も「グラスト novels」も、男性向けの異世界作品です。昨年には月刊化し、毎月3点から4点の新刊が発刊できる体制になっています。

紙のコミックについては、全国の書店に「スターツ出版の本は売れる」という印象を持っていただけているようで、新作を面で置いてもらえるという好循環が生まれています。おかげさまで、書店店頭の棚が広がっている状況です。

スターツ出版 独自の出版モデル

当社の独自の出版モデルについてご説明します。簡単にご紹介すると「マーケットイン」であり、「チームワーク」であり、「時代の変化に対応」しているということです。

一般の業界からすれば「当たり前だろう」と言われてもおかしくありません。しかし、出版業界は主にプロダクトアウト、つまり作家が書きたい作品を出版するという状況で、マーケティングに力を入れている会社は多くないと思います。一方、当社はマーケティングがすべての基本であり、読者しか見ていません。

また、他の出版社はほぼ編集者個人で、作家の発掘や編集をするかたちが多いと聞いています。しかし、当社の編集部員は、ほぼ全員が20代の新卒および第2新卒の若手社員ばかりです。一人ひとりの力だけではなく、チームワークで取り組んでおり、営業と投稿サイトのメンバーを含めたチーム全員で、読者に向き合っている結果が、現在の好調な業績につながっているのだと考えています。

OZのプレミアム予約とは?

メディアソリューション事業では、「OZのプレミアム予約」と、ブランドソリューションの2つのビジネスを展開しています。

まず、「OZのプレミアム予約」についてご説明します。スタートして28年になる「オズモール」という女性向けのWEBサイトで、レストランやホテル、温泉、ヘアサロン、ネイルサロンなどの予約ができるサービスです。当社は施設から送客手数料をいただいており、どちらかというとIT企業が競合になるビジネスモデルです。

「OZのプレミアム予約」は142万組と過去最高の送客

スライドの棒グラフは掲載店舗数、折れ線グラフは予約組数を表しています。この予約組数に1組当たりの単価をかけたものが当社の手数料売上です。

2020年にはコロナ禍の大打撃を受けたものの、その後はV字回復を遂げ、直近の第4四半期には過去最高の予約組数となりました。昨年は年間142万組の予約組数となり、前年比118パーセントの成長となりました。掲載店舗数は7,000店舗に上っています。

「レストラン予約」の利用人数は、コロナ禍前を更新し過去最高

中でも「レストラン予約」の利用人数はコロナ禍前の219万人を更新し、過去最高の292万人となりました。大人数で予約される数がまだコロナ禍前よりも回復していないため、1組当たりの売上は若干低いものの、利用人数に関しては圧倒的に増えている状況です。

大手予約サイトなど競合が多いサービスであるものの、独自のブランド力とノウハウで粛々とユーザー数を伸ばしています。

新サービス オズモール「貸切・宴会予約」スタート

トピックスとしては、昨年秋からスタートしたばかりの「OZの貸切・宴会予約」です。こちらは20名以上の宴会や貸切パーティーの会場探しをお手伝いするサービスとなっています。

ネット予約では、なかなか数十名や百名という単位での予約ができません。そこで、社内に専任のコンシェルジュを置き、お客さまからの希望条件やリクエストに対して、きめ細かい提案を行います。そして見積もりや下見をサポートしながら、成約につなげるというサービスをスタートしました。

まだ実験段階であるものの、昨年10月にプレオープンして急速に成約人数を増やしています。忘新年会や歓送迎会、記念パーティー、結婚式の二次会をはじめ、お得意さまとの食事会や飲み会を増やしたいという各大手企業からの引き合いも増えてきています。

2月末くらいから本格的にスタートさせ、店舗数と体制を整えて、大きな柱にしていこうと考えています。

関東に加え名阪エリアも、オズモール掲載店舗は順調に拡大

掲載店舗数については、関東5,820店舗に加えて、名阪エリアも順調に拡大しています。現在、大阪に拠点を設けていますが、昨年は京都にも出張できるよう事務所を開設しました。

さらに、愛知のレストランとビューティーにも進出を決め、着々と拡大を進めています。その結果、関西・名古屋も黒字化を果たしました。このように、引き続き「OZのプレミアム予約」も伸ばしていける見込みです。

スターツ出版のメディアブランド

スターツ出版のメディアブランドをご紹介します。雑誌の『オズマガジン』とWebサイトの「オズモール」、さらにSNSの「東京女子部」を利用したソリューションビジネスです。

実際のところ、雑誌の純広告やタイアップに頼る旧来の雑誌の収益モデルは崩壊しています。出版社も雑誌自体が赤字であり、廃刊や休刊が相次いでいます。

しかし、私どもは、メディア単体ではなく、創刊37年の『オズマガジン』、創刊22年の『メトロミニッツ』、創刊41年の『アエルデ』、サービス開始28年の「オズモール」など、これらのブランドを利用してビジネスを行っています。

東京地域密着×リアル体験で販促・集客に繋げるソリューション

これらのビジネスが、ようやく復調してきています。現在、東京地域密着メディアである『オズマガジン』は創刊37年、『メトロミニッツ』は創刊22年と、これほど長く続いている雑誌は他にありません。

そのため、大手企業から「『オズマガジン』や『メトロミニッツ』のブランドを利用した企画を考えてほしい」というオファーが非常に増えてきています。

例えば、『オズマガジン』の「銀座・丸の内さんぽ特集」に連動して、銀座・日本橋のホテルや商業施設に「インバウンド向けマップ」を作成・設置しました。あるいは、「日本橋・八重洲・京橋の歩き方」特集に合わせて、「八日京お月見フェス」というイベントのオファーを受け、当社が企画・運営するといったことも増えてきており、足元でも活発に引き合いが増えている状況です。

出版のクリエイティブで、スターツグループ各社の販促支援

出版のクリエイティブ力を活かし、現在93社と大きく拡大しているスターツグループ各社の販促支援も行っています。

例えば、土地有効活用の企画・提案、建築を行っているスターツCAMからは、地域密着営業支援として『アエルデ』という地域情報誌の特別号を受託しており、スターツCAMの営業活動に活用いただいています。

社宅代行など法人向けの不動産サービスを展開しているスターツコーポレートサービスでは、スライド右上にあるように、『メトロミニッツ』において「オフィスそのまま?」というブランド広告などを展開しています。

また、スターツホテル開発が札幌で新規開業した「ホテル エミオン札幌」のコンセプトブックも制作しました。このように、スターツグループのクリエイティブ部門という位置付けでもビジネスを展開しています。

コミュニケーションが活発で、社員同士仲の良い社風と成長を後押しする制度

当社の企業風土についてご紹介します。3ヶ年成長戦略にも掲げているとおり、一番のポイントとなるのが「コミュニケーションが活発で、社員同士仲の良い社風と成長を後押しする制度」です。

スライドでは、さまざまな取り組みやイベントを紹介しています。私個人としては、このような施策にもっとも注力したいと考えており、会社としての予算もかなりかけています。

実際に、このような取り組みもあり社員が活性化し、さらなる意欲を持って仕事にあたってくれるということを、肌感覚で実感しています。

2024年度は、売上高85億円、営業利益24億円

2024年度の業績予想です。2024年度は売上高85億円、営業利益24億円を掲げました。昨年度は3本の映画化があり、非常に多くの重版がかかりました。したがって、ある程度の反動減はあると見込んでいます。

今年度は映画化が決定しているものはまだありません。企業戦略として、今後もこのIPビジネスを展開していきますが、制作やキャスティングに非常に時間がかかるため、商談に上がっている作品もありますが、年内には間に合わないだろうと思っています。

そのため、昨年の反動減は予想されるものの、それを乗り越えて「増収増益」基調は維持したいと考えています。

1株当たりの配当額を、2倍の60円に

1株当たりの配当額を、今回は昨年の実質2倍である60円にしました。3ヶ年成長戦略にも「企業価値を上げ、一人でも多くのステークホルダーに喜びを」と掲げているとおり、株主のみなさまにも喜んでいただきたいという思いから、今回大きく配当を引き上げました。

以上で、私からのご説明を終了します。ご清聴ありがとうございました。