個人投資家向けIRセミナー

中島太氏(以下、中島):はじめまして、株式会社ハイマックス代表取締役社長の中島と申します。本日はお忙しい中、当社の説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。

はじめに、このたびの令和6年能登半島地震により被災されたみなさまには、心よりお見舞い申し上げますとともに、1日も早い復興をお祈り申し上げます。

目次

中島:それでは、ご覧の目次に沿って、当社の事業内容や事業戦略などをご説明します。よろしくお願いします。

1 ハイマックスについて〔会社概要〕

中島:はじめに、当社の会社概要です。設立は1976年、本社は設立以来横浜にあり、今年度で48期目を迎えています。事業内容は、ソフトウェアの企画、設計・開発及びそのメンテナンスのサービスを提供しています。事業規模は2023年3月期の実績で、売上高173億3,100万円、営業利益18億3,300万円、従業員数は950名です。

1 ハイマックスについて〔経営指標〕

中島:直近の主な経営指標の推移です。特に収益性の指標である売上高営業利益率及びROEが、ともに2桁となりました。また、安全性を示す自己資本比率は約8割の水準となっています。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):まず、足元の売上高営業利益率が向上しているというお話がありました。その理由を教えてください。また、御社はもともと売上総利益率がかなり高いのですが、そのあたりの秘密もうかがえればと思います。

中島:売上総利益率は、2019年3月期の約18パーセントから直近では20パーセントを超えている状況です。

坂本:上昇しているということですね。

中島:従来は金融機関向けの仕事を主としていたため、非金融向けと比べると、実は金融機関向けのほうがポイント数が高い傾向にありました。金融機関の生産性向上のノウハウ等を非金融のプロジェクトへ展開し、その結果、非金融のプロジェクトの生産性が高まり、全体の利益率が向上してきたということです。

坂本:ROEも日本の上場企業の中では高い水準にあり、特に同業種と比べるとかなり高いと思うのですが、目標としている水準はありますか?

中島:ROEは12パーセント以上を目標にしています。ただし、後ほどご説明しますが、今期は月額給与水準の引き上げを実施したため、若干減益の見込みです。

坂本:1人当たり売上高もかなり高水準です。今後も伸ばしていくと思いますが、現在の人員でこの数字を維持できるのでしょうか?

中島:直近では新卒採用を積極的に行っており、1人当たりの売上高は年間2,000万円を目指しています。

現状は若干足りないのですが、この2,000万円をクリアして先に進んでいきたいと考えています。また、この陣容であれば、もう少し上げていけると思います。

1 ハイマックスについて〔沿革・業界動向〕

中島:当社が属する情報サービス産業の歩みと社会情勢についてご説明します。また、水色の棒グラフは当社グループの売上高の推移を表しています。まだ売上高が10億円にも満たなかった1986年から先端技術の研究開発の専門部署を新設、また、1988年から人材開発の専門部署を新設し、技術力の向上と人材の育成に継続して注力してきました。

2001年に株式を上場し、2015年には売上高が100億円を超えました。現在はさらなる飛躍のため、中期経営計画を実現し、売上高200億円超えを目指しています。

坂本:2015年に売上高が100億円を超えたということですが、その後も足元まで飛躍的に伸び続けています。売上高が伸び続けている理由を教えてください。

中島:売上高は、当社が受注した案件を当社の従業員とビジネスパートナーである技術者が開発した数字で積み上がっています。

数年前から、ビジネスパートナーの活用比率を高めていく方針となっており、以前は社員1人に対してビジネスパートナー1人の割合でしたが、直近では1.4名と、ビジネスパートナーの活用比率を高めることで、継続した売上高の拡大を計画しています。

坂本:現在は、ビジネスパートナーの活用だけでなく、新卒も増やしつつ、売上高を増やしているということですね?

中島:そのとおりです。

2 当社の強み・特長〔人材育成〕

中島:ここからは、当社の強み・特長についてご説明します。はじめに、昨今の技術者不足への対応として、新卒の採用数を従前の30名程度から、直近では連結で97名まで増やしています。

そして、新入社員の導入教育を3ヶ月間しっかりと行います。その他にも、技術面や階層別に社内外の教育カリキュラムを整備し、また、技術を確実に身につけ、着実に成長できるよう、スキルと経験を軸としたキャリアパス制度を導入しています。

松浦千佳氏(以下、松浦):スライドのグラフを見ると、2023年度の新卒採用者数が非常に伸びていますが、2024年度もこの調子でさらに増えていくのでしょうか?

中島:2024年度は、現在すでに内定が決まっている83名(連結)に新しく仲間に加わってもらおうと考えています。

松浦:心強い仲間たちが入ってくるというわけですね。研修制度については、他社と比較して、特徴的な制度をお持ちですか?

中島:一般的なIT企業としてのITスキルを向上させるような教育は、しっかりと整備できています。最近は、特に若手の社員のみなさまに対して、ビジネススキルのマナーも含めた教育をテーマにしています。いわゆるマナー教育だけではなく、社会人としての考え方、思考を育てることを目的として取り組んでいます。

松浦:まずはそこからということですね。新卒のみなさまは入社何ヶ月目ぐらいから活躍されていますか?

中島:新卒者は4月からの3ヶ月間集合教育で勉強し、7月にそれぞれの職場に配属します。個々のプロジェクトでは、さまざまなノウハウやスキルが必要なため、引き続き勉強しながら、現場の実践プロジェクトで経験を積んでもらいます。おおよそ1年が経過すると、ほとんどの方が戦力になります。

2 当社の強み・特長〔技術力向上〕

中島:スライドの表は、情報処理技術者試験制度などの資格取得の一覧です。資格取得者には社内表彰するなど、積極的にチャレンジしてもらう仕組みを設け、推奨しています。この実績は当社のホームページでも継続して掲載しており、業界でも誇れる水準であると自負しています。

特に重点教育と位置付けて注力しているのは、データ分析などのDX(デジタルトランスフォーメーション)系技術者の育成と、プロジェクトの現場責任者であるPL(プロジェクトリーダー)の育成です。

また、全社員にeラーニングの必須講座を導入し、さらなるスキルの向上に取り組んでいます。

坂本:人材育成の方向性は、DX関連の仕事が増えていることに起因すると思いますが、一昔前に比べると、御社の軸となるDX関連の仕事は、どの程度増えているのでしょうか? また、将来の見通しを教えてください。

中島:DX案件の売上高比率は、2020年頃のポートフォリオでは約3パーセントでしたが、直近では20パーセントまで高まっており、中期経営計画では25パーセントまで伸ばしていく計画です。

坂本:DX関連の仕事には特殊な技術が必要だと思いますが、技術を持った人材は足りているのでしょうか? おそらく足りないことを理由に、御社は自社で研修制度を設けて、技術者を増やしていると思いますが、新卒の中には、すでにある程度のスキルを持った人材がいるのでしょうか?

中島:当社に入社いただく新卒のみなさまについては、深掘りしたDXの技術を身につけている方はあまり多くないのが現状だと思います。技術を持った方々は他社に行ったり、または自分で起業したりするケースもあると思います。そのため、DXスキルを高めていくには、やはり自社で教育して育成していくことになります。

2 当社の強み・特長〔サービス分野〕

中島:当社は、システムのライフサイクルの全領域にサービスを提供できることが強みです。まず、システムを構築するためには、どのような業務を処理するのかといった企画から始まります。

次に、システムを設計し、開発します。開発が終わり、稼働してお客さまがシステムを利用された以降も、保守・メンテナンスが必要となります。そして、一定期間、システムが利用されると、次のシステム再構築の計画が検討されるというライフサイクルになっています。

特に、メンテナンスサービスは、長期安定的な取引が確保できるとともに、お客さまの業務ノウハウを蓄積することができます。その業務ノウハウを活かすことで、次期システムへの参入が優位になります。企画、設計・開発の工程で領域を拡大し、稼働後のメンテナンスで継続受注することにより、安定した売上高の拡大につなげています。

坂本:御社の強みは、上流から下流まで一貫して業務を行えることだと思いますが、昔から行っていたのでしょうか? あるいは、どこかのタイミングで突然始まったのでしょうか? それともノウハウの蓄積によって、少しずつ始めたのか教えてください。

中島:ご認識のとおり、昔から行っていました。システムのライフサイクルをしっかりと意識しつつ、サービスを提供することに注力してきました。

坂本:このあたりも利益率が高い1つの要因ですね。

2 当社の強み・特長〔ユーザー業種〕

中島:当社が開発したシステムをご利用いただいている、ユーザーの業種についてご説明します。金融業界向けが約7割、非金融向けが約3割の構成となっています。

各業種のシステムは重要な社会インフラとなっており、いったんシステム障害が発生すると社会に大きな影響を与えます。そのため、開発する側の我々も、高い技術力と業務ノウハウを求められます。

当社では、創業以来、特に高い信頼性が求められる金融業界向けを主軸に売上を拡大してきました。

2 当社の強み・特長〔主要顧客〕

中島:主要なお客さまについてご説明します。大手システムインテグレーターとの取引は、当社にとって一番の取引先である野村総合研究所などです。また、システムをご利用いただく企業から直接受注しているエンドユーザー企業は、ジェーシービーや綜合警備保障(ALSOK)などです。

また、30年以上にわたり継続取引をしているお客さまは、売上高の5割強、20年以上のお客さまでは7割強を占めています。

坂本:このような直接取引はかなり難しく、ほとんどは大手企業が仕事を取り、下請けのような次の企業に発注して任せるようなパターンが多いと思います。

その中で御社が直接顧客を獲得していることはやはり強みだと思います。全体の取引のうち、この割合はどのぐらいあるのでしょうか?

中島:エンドユーザーから直接受注している割合は、以前の中長期経営計画 「C4 2022」が始まった7年ほど前は19パーセントでした。これを30パーセントまで引き上げようと取り組み、足元ではようやく30パーセントを超えました。内訳としては、20年以上継続いただいている取引先のうち35パーセントです。

坂本:技術力だけでなく、信頼につながっているということですね。

3 開発事例

中島:ここからは一般消費者のみなさまの生活の中で、当社が開発に携わったシステムが活用されている事例をいくつかご紹介します。

3 開発事例〔保険業界向け〕

中島:まず、生命保険業界向けでは、営業職員がタブレット端末を活用してお客さまと対面しているその場で保険商品がご提案できる「保険加入審査システム」の開発に携わっています。スピーディにオーダーメイドの提案ができることで、保険会社の業務効率化及び競争力向上を支援しています。

3 開発事例〔クレジット業界向け〕

中島:次に、クレジットカードの偽造などによる不正利用が年間に400億円以上もあり、クレジット会社にとってその対策は重要な経営課題となっています。

クレジット業界向けでは、クレジットカードの「不正使用検知システム」の開発に携わっています。これは過去数十億件の膨大な利用履歴から不正使用パターンを解析し、不正使用の可能性を検知するシステムで、安全で安心なキャッシュレス社会に貢献しています。

3 開発事例

中島:このように当社が提供するサービスは、ユーザー企業の経営戦略を実現するとともに、便利で快適な暮らしを望む消費者の社会的インフラとなっていると考えています。

3 開発事例〔DX案件〕

中島:また昨今、デジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXという言葉をよく耳にされると思います。当社も、このDX案件を積極的に受注するように取り組んでいます。

あらためてDXとは、企業が蓄積したデータとデジタル技術を活用して、競争上の優位性を確立することと定義されています。

3 開発事例〔DX案件〕

中島:当社が受注しているDX案件の事例として、生命保険会社向けのデータ分析及び機械学習モデル構築案件をご紹介します。これは効率的に保険の契約を獲得することを目的としたシステムの開発です。

例えば、過去の営業記録などから契約に至ったプロセスを抜き出し、この膨大なビッグデータから機械学習モデルというAIを活用して契約に至った法則性を導き出し、営業職員に契約獲得につながるようアドバイスするシステムです。

3 開発事例〔DX案件〕

中島:また、特にDX案件では、システム開発の手法も変わってきています。従来はウォーターフォール開発が主流で、これは最初にすべての要件、仕様を決めてから開発する方法です。昨今、特にDX案件においては、アジャイル開発が主流となってきています。これは開発を小さな単位に分け、リリースを繰り返す方法です。

3 開発事例〔DX案件〕

中島:このようなアジャイル開発を用いたDXの事例として、今、世界中の社会課題となっているCO2などの温室効果ガス、いわゆるGHGの削減に向けて、まずは企業が事業活動を通じてどの程度GHGを排出しているかを可視化するシステムをアジャイル開発で支援しています。

GHG排出量削減というグローバルで新しい社会課題への対応に向けては、お客さまや社会の変化するニーズに絶えず対応していく必要があります。

アジャイルの開発手法を用いることにより、常にニーズをスピーディにキャッチアップしたサービスを提供することが可能になり、持続可能な社会の実現に貢献しています。

3 開発事例〔DX-自社サービス〕

中島:最近では「ChatGPT」をはじめとする生成AIが注目されています。これまでの業務の自動化、効率化の取り組みは、いわゆるRPA、ロボットを用いて定型業務の単純作業を行うものでしたが、生成AIの発展により、従来、人にしかできなかった意思決定や創作活動などの非定型業務を生成AIが支援することで、大幅な効率化が可能となります。

当社はこの生成AIを活用して「ジシャナビ」という製品を開発しました。これは生成AIにお客さま固有の社内規則やマニュアルなどを事前に学習させ、例えば社内システムの利用方法などを質問すると、社内システムを理解した上でわかりやすく回答を返すものです。システム部門は、煩雑な問い合わせ業務から解放されることになります。

4 業績動向〔売上高・営業利益の推移〕

中島:ここからは、業績動向についてご説明します。スライドのグラフは、リーマン・ショックの影響を受けた2010年3月期以降の推移を記載しています。

2015年3月期に売上高は100億円を超えました。直近の実績では13期連続の増収、営業利益は10期連続の増益となっています。

4 業績動向〔2023年3月期実績〕

中島:2023年3月期の業績実績を記載しています。売上高は、ネット銀行、証券のDXや空運案件の拡大により173億3,100万円と前期比3.9パーセントの増収、利益面では外注単価の上昇がありましたが、生産性向上と増収効果で営業利益は前期比6.8パーセントの増益となりました。

4 業績動向〔2024年3月期第3四半期決算概要〕

中島:足元の業績動向として、2024年3月期第3四半期の業績です。売上高は、130億400万円と前期比ほぼ横ばいとなりました。これは一部の長期大型案件の開発スケジュールが延伸され、第3四半期までに当初想定の受注高が確保できなかった影響によります。

営業利益は人材への先行投資やシステム投資等のコストの増加に対し、生産性の向上と売価の改善に取り組みましたが、11億9,700万円と前期比11.7パーセントの減益となりました。

坂本:微減ですが、減収減益のご説明がありました。これは案件が後ズレしてしまったという認識でよいですか?

時間がかかってしまうことは仕方がないことだと思います。着地は未来の話にはなりますが、それを急ぐためにより工数や人員を入れるなどをしてリカバリーは可能でしょうか? 

中島:減収減益に関して、大きな理由は案件の立ち上がりが遅れていることだと思います。

坂本:案件の最後ではなく、立ち上がりに要因があるのですか? 

中島:立ち上がりです。お客さまの経営の状況等もあり、途中から当初想定していた内容と大きく変わってきています。

坂本:こちらはアジャイルの開発ではなく、旧来型のウォーターフォール開発でしょうか?

中島:従来型のウォーターフォール開発です。減益となってはいますが、当社で働いていただく社員やビジネスパートナーのみなさまに対する、人的資本への投資が大切だと考えています。

私はその一環として位置付けていますが、社員の月額給与水準引き上げやビジネスパートナーへの単価の上昇などを織り込んでいます。

そのほかにもIT投資や、従来と比べると新卒採用も増加しているため、このようなところが影響していると思いますが、あくまでも先行投資という位置付けで捉えています。

4 業績動向〔2024年3月期予想〕

中島:今期の業績予想です。特に利益予想については、減益となる見通しです。昨今の物価上昇などを鑑み、人的資本への投資の一環として社員の月額給与水準の引き上げを実施しました。

ほかにもIT投資、新卒採用の増加、教育や体質強化のための投資など、コストの増加要因があります。これに対し、売上高の増加や生産性の向上の計画で、十分に補うことができない見通しとなりました。

引き続き、生産性の向上と売価改善への取り組みを継続し、利益の確保に注力する所存です。

5 中期経営計画NEXT C4〔基本戦略〕

中島:次に、本年度から取り組んでいる中期経営計画の概要をご説明します。まず、主力の受託開発事業の拡大では、非金融分野及びエンドユーザー取引における比率は30パーセントを維持します。

デジタル技術を核としたDX案件に対しては、売上高の25パーセントまで高めていきます。人的 資本への投資はDX技術案件を専門的に取り扱う部門を設置し、当該部門にてDX技術者数及びDX系資格保有数を増やしていきます。

全社施策としてプロジェクトリーダーの増員に向けても投資を継続します。また、技術者育成に加え、ビジネスパートナー会社を含め、開発人員の増強に努めていきます。M&Aも積極的に検討していきます。

坂本:御社にはシステム・ソリューションサービスとシステム・メンテナンスサービスの2つのセグメントがあります。この中期経営計画期間中ではどちらのセグメントが伸びるのでしょうか? あるいは、両方伸びるのでしょうか?

中島:足元ではシステム・メンテナンスサービスが伸びている状況です。これは、裏を返せば次のシステムの再構築が待ち構えていることになります。中期経営計画期間中では、最終的に「5:5」ぐらいにはなるだろうと見ています。

坂本:M&Aについて教えてください。御社には資金があるため、M&Aが可能な会社だと思います。お話しできる範囲で構いませんので、規模や業種を含めて対象となる会社を教えてください。

中島:当社はM&Aの経験がありませんが、当中期経営計画の中では、必ず1件は成約したいと思っています。M&Aについては、提携先企業に優秀なSEが数多く在籍しているかが重要な要素になると思いますので、シナジーやリスクを踏まえて検討を進めている段階です。

坂本:ビジネスパートナーには会社あるいは個人単位でお願いするパターンがあると思いますが、会社単位の場合は、優秀なSEの存在が大きいというイメージですか? 

中島:おっしゃるとおりのイメージです。

5 中期経営計画 NEXT C4〔3ヶ年事業計画〕

中島:当中期経営計画で目指す業績計画について、先ほどご説明したとおり、2024年3月期は増収減益の見込みですが、最終的には売上高は約206億円と、200億円超えを計画しています。また利益面についても、売上高営業利益率10パーセントと、再度、増収増益基調に戻る計画です。

6 株主還元・株式〔配当推移〕

中島:当社の株主還元策についてご説明します。安定的かつ適正な利益還元を継続して実施することを配当政策の基本方針としており、配当性向は40パーセントを目安としています。

この方針により、今期の配当計画は株主のみなさまの日頃からのご支援にお応えするため、年間配当を1株につき43円50銭とし、前期と比べ50銭増配する計画です。配当性向は43.9パーセントとなります。今後も安定的かつ適正な利益還元を継続していきます。

坂本:1月31日に増配を発表されています。連結配当性向は40パーセントを目安にしているということですが、それであれば、増配しなくてもよかったのではないかと思います。

質問の意図として、最近、公表していないものの各企業が安定配当という言葉を使わず、さまざまな機会で累進配当という言葉を使うパターンが多いと感じています。御社の配当水準での累進配当は投資家にとってよいことだと思っており、つまり、累進配当の意図があっての増配でしょうか?

中島:今年度は、社員の月額給与水準を5.7パーセント引き上げました。

坂本:政府の引き上げ目標を大幅に超えています。

中島:その結果、減益を余儀なくされました。配当計画も据え置いていましたが、利益を確保していくための対策を進めた中で、第1四半期に公表した利益計画から1億円を上乗せし、公表数値を変更しました。

このようなこともあり、第3四半期が終わって利益の見通しが見えてきたため、わずかですが、50銭の増配を決めました。株主のみなさまのお力になりたいという気持ちに加え、社員もビジネスパートナーも働く環境がよくなり、投資家のみなさまに対しても増配で多少なりとも還元するかたちにしたいと考えた結果です。

坂本:配当についてのお考えがよくわかりました。

中島:累進配当については、利益の着実な成長に合わせて増配を継続することが本来あるべき姿だと考えているため、そちらを主軸に考えていきたいと思います。

6 株主還元・株式〔株主優待制度〕

中島:当社の株主優待制度は、毎年3月末に100株以上を保有する株主さまに対し、スライドに記載の保有株式数に応じ、社会貢献型の「QUOカード」を贈呈します。

6 株主還元・株式〔株価推移〕

中島:当社の株価の動向です。スライドのグラフは直近4年間の推移です。上段のグラフが当社の株価、下段のグラフが情報通信及びTOPIXとパフォーマンスを比較したものです。本日、2月6日の当社株価の終値は1,412円、配当利回りは3.08パーセントとなっています。PERは14.3倍、PBRは1.55倍、時価総額は約175億円です。

7 サステナビリティへの取り組み

中島:当社のサステナビリティへの取り組みです。TCFDに賛同し、CO2の排出削減目標を定めるなど、社会課題への取り組みを推進し、持続可能で真に豊かな社会の実現に向けて、微力ではありますが、本業を通じて貢献したいと考えています。

当社ホームページのご紹介

中島:当社のホームページをご紹介します。当社の企業情報や財務情報を積極的に情報開示しています。そのほかに、サステナビリティへの取り組みもご紹介していますので、当社をよりご理解いただくためにも、ぜひアクセスしてください。

カンパニー・ステートメント

中島:最後に、当社のカンパニー・ステートメントは、「Your best partner.」です。DX技術要素を核とし、実装能力に裏打ちされた技術力を恒常的に提供できる企業となり、お客さまから信頼され、選ばれる存在であり続けることが、当社の存在意義であると考えています。

また、お客さまに加え、大切な株主さまや投資家のみなさまからも信頼され、選ばれる企業となり、そうあり続けたいと考えています。

私からの説明は以上です。本日はお忙しい中、当社の説明会にご参加いただき誠にありがとうございました。

質疑応答:強みについて

坂本:同業他社が多いと思いますが、御社の強みを教えてください。

中島:こちらは大きく4つあると認識しています。1つ目は優秀な技術者が多数在籍していることです。2つ目は創業間もない頃から、社内に教育のための専門部署を設置し、社内教育を充実させ、社員のスキル向上の場を提供し活用できることです。

3つ目は、システムのライフサイクルにおける全領域にサービスを提供できることです。4つ目は、長年にわたって各業界をリードする企業と20年、30年と長い期間お取引いただいていることです。

質疑応答:今後の資本政策について

坂本:「M&Aの話のところでもありましたが、御社の自己資本比率は非常に高く、有利子負債もないため財務は健全です。今後の資本政策について、変更を予定していることなどあれば教えてください」というご質問です。

最近は内部留保が多すぎて、配当性向100パーセントにするという会社がよく見受けられます。ROEがある程度上がるまでは、そのようにするところのほうが多いですが、御社はROEがすでに高く、財務が健全で、かつ内部留保もありますので、攻め手としてM&Aを考えているのかも含めて、お聞かせください。

中島:足元では、M&Aによる事業拡大に内部留保を使いたいと考えています。

坂本:ただしM&Aをするとなると、御社の場合はもともとの利益率が高いため、利益率の高い会社を選ばないと減益になってしまう可能性があります。したがって、買収する会社も選別しなくてはなりません。それを踏まえて、人材を含めて絞り込み、利益率よりも将来の成長のためにM&Aをするというイメージでしょうか?

中島:おっしゃるとおりです。

質疑応答:セグメントの割合、新たな領域、市場の変化に合わせた戦略について

坂本:「今後、5年から10年で、セグメントの割合の変更や新たな領域などについて、どのような変化があると思いますか? また、御社は自社で受けている仕事も多いため、市場の変化に対応した戦略もあると思います。そのあたりもお聞かせください」というご質問です。

中島:当中期経営計画の中では、ポートフォリオをあまり変えないようにしています。その先はどうなるかわかりませんが、エンドユーザー比率が高まるかもしれません。一方で、我々が3年近くかけて培ったノウハウがようやくできたこともあり、非金融の分野についてもパーセンテージがやや上がってくるのではと思っています。ただし現段階では、はっきりとお答えするのは難しい状況です。

坂本:非金融については、アジャイルで進めていくお考えですか?

中島:おっしゃるとおりです。非金融のほうがDXにチャレンジする傾向が強いと感じています。スピードが速いため、DX案件を中心に広がっていくのではと推測しています。

質疑応答:AIによる事前学習の方法について

坂本:「生成AIで事前学習させるシステムの『ジシャナビ』について、どのように事前学習をさせるのですか?」というご質問です。

技術的な質問になってしまうかもしれませんが、興味をお持ちの方が多いような気がするため、わかる範囲で教えてください。

中島:会社の中ではシステムが動いていますが、そのシステムを利用するためのマニュアルを事前に勉強させています。加えて、文字列を検索し、ヒットしたものを選ぶという作業を繰り返します。一口に言うとそのようなことですが、その裏にはかなりの技術を用いており、この製品ができるまでは試行錯誤を重ねました。

坂本:そこで培った技術は、意外と他の製品にもつながっていきますよね?

中島:おっしゃるとおりです。

質疑応答:株主優待について

坂本:「株主優待について、長期ホルダーの株主還元はご検討されていますか? 3年、または5年保有の優待などがあれば喜ばれると思います」というご質問です。

中島:我々も株主優待についてどうあるべきかを検討しているところです。貴重なご意見として持ち帰りたいと思います。

質疑応答:開発人員の増強について

坂本:「開発人員の増強は計画どおり達成できるのでしょうか?」というご質問です。

ビジネスパートナーを使えば、人員の補充は可能だと思いますが、中期経営計画期間中における業績の伸びと人員の採用、ビジネスパートナーの割合を調整して対応されるのでしょうか?

中島:先ほどもお伝えしましたが、ビジネスパートナーの比率を上げていくことに注力していこうと考えています。ただし、それだけでは足りないと思いますので、なんとかしてM&Aを1件成約させることも含め、積極的にチャレンジしていきたいと考えています。

当日に寄せられたその他の質問と回答

当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。

<質問1>

質問:現在の株価については現状で適性と考えているのでしょうか? それとも過少評価と捉えているのでしょうか?

回答:今般のような個人投資家説明会等のIR活動をさらに充実させ、株式市場から適性にご評価いただけるよう、継続して注力していきます。

<質問2>

質問:プライム市場を目指せると思うのですが、現時点での率直な気持ち及びタイミングを見ているなど、コメントがあったらお願いします。

回答:現在の中期経営計画においては、連結売上高200億円超えの達成を、また、十年先には300億円超えを目指しています。なお、将来は、事業戦略や事業規模などを踏まえて、最適な市場区分を選択していきます。

<質問3>

質問:銀行は地銀が主なメイン顧客でしょうか?

回答:銀行業界向けの最終のユーザー企業は、地銀向けもありますが、メインはメガバンクやネット系の銀行となっています。

<質問4>

質問:コンビニのシステム開発は今後どのように変化していくのでしょうか?

回答:単に商品の販売から、一般消費者の利用用途(金融機関向けATM、行政サービスなど)が拡充しています。よって、さらなる一般消費者の利便性が向上するサービスを提供するために、システム対応(DX)が必要になると予想しています。

<質問5>

質問:クレジットの不正感知システムで、本人であるのにカードが止まるケースもあります。特に海外の航空会社や訪問先の入場チケット決済ができない時も多々あり、今後の決済に不安を感じています。より正確な感知ができるようになるシステム開発は行われているのでしょうか?

回答:正しくご利用いただいている利用者のカードが止まることは、あってはならないことと認識され、当社のお客さまであるクレジットカード会社も、利用停止ルールを決めるにあたり、慎重に検討される事項であります。当社は、クレジットカード会社の意思決定に向けたご支援をしています。