会社概要
広木太氏:みなさま、こんにちは。株式会社BeeX代表取締役社長、広木太です。本日は2024年2月期第3四半期決算についてご説明します。はじめに弊社の事業概要、続いて第3四半期決算概要、通期業績予想、最後に成長戦略の順にお話ししていきたいと思います。よろしくお願いします。
まず会社概要です。株式会社BeeXは、2016年3月に創業しました。従業員は2023年11月現在で158名です。
事業内容は、クラウド関連の導入・保守・管理事業およびソフトウェア開発です。クラウドを専業とし、クラウドのスペシャリストとして事業を展開している点が、弊社の1つ目の特徴となります。
BeeXのマルチクラウド対応力
クラウドといってもさまざまですが、我々が何を取り扱っているのか、何を使ってシステム構築を行っているのかお話ししていきます。
クラウド業界では、世界で高いシェアを持つ会社が3つあります。まず、通称「AWS」と呼ばれる「Amazon Web Services」、続いてMicrosoftが提供している「Azure」、最後にGoogleが提供している「Google Cloud」です。我々はこの3つすべてを取り扱っています。
現在、さまざまな企業が「AWS」「Azure」「Google Cloud」を利用していますが、どれか1つを使うのではなく、システムの特性に応じて使い分けていく時代に入っています。我々は、そのどれかのスペシャリストではなく、お客さまのニーズに応じて使い分け、システムの特性やお客さまの環境に対するコンサルティングを行いながら、複数のクラウドを組み合わせてシステムの構築・運用を行っています。複数のクラウドを使うことから、マルチクラウドと呼んでいます。複数のクラウドを取り扱っている点が、クラウド専業企業としての弊社の2つ目の特徴となります。
弊社の3つ目の特徴は、SAP認定パートナーであることです。SAPはドイツのERPのパッケージベンダーで、ERP分野では圧倒的に世界ナンバーワンの企業です。日本でも大企業の基幹システムにSAPの製品が使われています。我々は、このSAPの認定パートナーになっており、SAPとクラウドを組み合わせてシステム構築を行っています。
SAPは基幹システムとして重要で、導入しているのは大企業が中心です。そのため、我々は顧客として大企業を中心に直接取引を行っており、強固な顧客基盤を持っている点が大きな特徴であり強みでもあります。
事業内容
事業内容についてご説明します。我々は3つのクラウド関連事業を展開しています。
1つ目がクラウドインテグレーションです。クラウドを専門とするシステムのインテグレーションをクラウドインテグレーションと呼んでいます。クラウドを導入する前に、クラウドを正しく活用するためのクラウド導入の標準化と、そのコンサルティングを行い、その後クラウド導入の実施、クラウド上のアプリケーション開発、既存のオンプレミス(従来型)システムからの移行などを行うのがクラウドインテグレーションです。
2つ目のクラウドライセンスリセールでは、先ほどご説明した「AWS」「Azure」「Google Cloud」の販売を行っています。販売といっても、クラウドの場合はパッケージをまとめて売るのではなく、契約後に利用料に応じた対価を毎月いただきます。イメージとしては電気代や携帯電話の通信料金のようなもので、毎月の利用量によって請求していくかたちになります。
3つ目はマネージドサービスプロバイダーです。横文字で少々わかりづらい言葉ですが、クラウド導入後の運用・保守を行います。わかりやすく言いますと、24時間365日システムを監視し、何か障害が起きた場合に対応します。
クラウドは日進月歩で毎週のように新機能がリリースされるため、入れたら終わりではなく、新機能をその都度導入してシステムを拡張していくことが重要です。このようなシステムの拡張や運用・保守を、マネージドサービスプロバイダーとして提供しています。以上の3つが我々の提供しているビジネスです。
この3つをさらに大別しますと、クラウドインテグレーションは、お客さまから依頼されたシステムの構築を行い、その対価をいただくフロー型モデルです。そして、クラウドライセンスリセールとマネージドサービスプロバイダーが、契約に基づいて毎月料金をいただくストック型モデルとなります。
売上割合では、クラウドインテグレーションのフロー型が約3割、クラウドライセンスリセール、マネージドサービスプロバイダーのストック型が約7割です。7割のストック型ビジネスで売上と利益を獲得しながら、クラウドインテグレーションのフロー型ビジネスを行うという2つを組み合わせた事業展開が、我々の強みであり特徴だと考えています。
KPIハイライト
2024年2月期第3四半期決算概要についてご説明します。まず、KPIハイライトです。
売上高は56億2,400万円、前年同期比36.1パーセント増と大きく成長することができました。営業利益は4億8,100万円で、こちらも前年同期比60.6パーセント増となっています。
従業員数は前期末140名から18名純増し、現在158名です。当期純増予定数20名程度を目指していたため、第3四半期終了時点では順調に従業員も増え、事業規模も拡大しています。その他についてはスライドのとおりです。
業績サマリ 前年同期比較
業績サマリを可視化したものがスライドの図です。先ほどお伝えしたように、売上高は前期比36.1パーセント増と大きく伸びています。また、営業利益・経常利益ともに、前年同期比で60.6パーセント増、66.0パーセント増と大きく成長しているのがおわかりいただけると思います。
サービス別売上高
サービス別売上高です。先ほどお話しした7割の安定的ストック要素が、スライドの棒グラフのオレンジ色の線で囲んだ部分です。こちらを見ていただくと、ストック型ビジネスのクラウドライセンスリセールがずっと成長し続けていることが見てとれるかと思います。
その上で、クラウドインテグレーションも第1四半期、第2四半期、第3四半期と大きく伸びており、ビジネスがかなり大きく成長できていると考えています。
クラウドライセンスリセール売上の推移
3つの事業それぞれの内訳を少しご説明します。スライドのグラフは、クラウドライセンスリセールの売上推移です。やはりクラウドライセンスは、一度導入するとその後お客さまが増えていくことと、お客さまの中でも利用量がどんどん増えていくことが多いです。
はじめはサーバー10台だったのが、20台、30台と増えていくかたちになり、お客さまを獲得するとしっかり伸びていきます。また、新たなお客さまの獲得もできており、順調に伸び続けていることがわかります。
クラウドライセンスリセールビジネスアカウント数推移
スライドのグラフは、クラウドライセンスのビジネスアカウント数の推移です。ビジネスアカウントというのが少しわかりづらい言葉なのですが、お客さまの数ではなく、お客さまが契約している「AWS」や「Azure」などの数とご理解いただければと思います。1社1アカウントのお客さまもいますし、1社10アカウントを持っているお客さまもいます。
2024年2月期は、第2四半期において少し解約もあり数が減っていましたが、第3四半期において再度成長して第1四半期を超える数になり、こちらも大きく成長しています。この成長は第4四半期以降、売上増をけん引するところであり、アカウント数の推移からも今後の成長が順調であることが見てとれるかと思います。
マネージドサービスプロバイダー売上、ユーザー数の推移
マネージドサービスプロバイダーの売上とそのユーザー数についてです。ユーザー数は取引社数となっています。スライドのグラフを見ると、2024年2月期においても取引社数が大きく増えていること、また売上もしっかり伸びていることがわかります。
クラウドインテグレーションプロジェクト数の推移
クラウドインテグレーションのプロジェクト数の推移についてです。クラウドインテグレーションに関しては、1件何千万円規模のプロジェクトから数百万円規模のプロジェクトまでさまざまあり、単純にプロジェクト数で計りきれないところもあります。
しかし、2024年2月期においてクラウドインテグレーションプロジェクトをしっかり受注できており、伸びていることがスライドのグラフを見てわかるかと思います。
貸借対照表の推移 ~健全な財務基盤~
貸借対照表についてはスライドのとおり、非常に健全なかたちで推移しています。
2024年2月期 業績予想の修正
通期の業績予想についてお伝えします。2024年2月期の業績予想は、クラウドインテグレーションとクラウドライセンスリセールが非常に好調ということもあり、上方修正します。
売上高は69億1,000万円から76億8,000万円とし、当初予想に対し11.1パーセント増へ計画を修正します。営業利益は当初予想の4億2,700万円に対し34.4パーセント増の5億7,400万円、経常利益は当初予想の4億2,500万円に対し37.4パーセント増の5億8,400万円へ修正します。
修正の理由
この修正の大きな要因としては、クラウドインテグレーションの売上が非常に好調であったことが最大の理由です。SAPをはじめとした大型案件が獲得できたことで、クラウドインテグレーションの売上が非常に大きく伸びました。それに伴い利益も大きく伸びたことが、修正の大きな理由となっています。
2024年2月期 業績予想(修正後)
2024年2月期の業績予想に対する過去からの推移については、スライドのグラフのとおり、売上高、経常利益ともに大きくジャンプアップして力強く伸びています。
2024年2月期 業績予想(修正後) 進捗状況
業績予想に対する進捗率についてです。第3四半期が終わり、売上高の進捗率はすでに73.2パーセント、営業利益、経常利益も84パーセント程度と、十分達成可能な状況であることがおわかりいただけるかと思います。
このように、おかげさまでクラウドインテグレーションが非常に順調に推移し、当初予想よりも大きく売上高、利益ともに伸ばすことができました。ご支援いただきありがとうございました。
SAPシステムのクラウド化・S/4HANA化支援
3つの成長戦略についてお伝えします。1つ目が、基幹システムのクラウド化/モダナイズ化です。
先ほどもSAPシステムの大型案件が入りクラウドインテグレーションが好調だったとお伝えしましたが、その背景として、SAPの現行のバージョンである「ERP 6.0」が2027年で標準サポートが切れ、さらに延長サポートも2030年に終了します。そのため、新しい「S/4HANA」へのアップグレードが必要となっています。
今、「S/4HANA」へのアップグレードとそれに伴うクラウド化がすべてのお客さまに必要となっており、その案件が非常に多く、ビジネスをけん引しています。今後、「おそらく2030年までかけてもすべてのお客さまの『S/4HANA』化は間に合わない」と言われており、継続してビジネスになります。
また、「S/4HANA」へ引き上げた後も、「S/4HANA」は2年に1回リリースされていくため、定期的なアップグレードも必要になります。したがって、現在のお客さまの「S/4HANA化」と、S/4HANA化した後のお客さまの「S/4HANAのアップグレード」が、今後継続的に進んでいく見込みです。
代表導入事例(日本ペイントホールディングス様 短期間・短時間移行事例)
1つの事例として、日本ペイントホールディングスというお客さまにおいて、「AWS」へのリフトアップを行いました。こちらは現行のERPシステムをクラウドに上げて、次の「S/4HANA」化に備えるという事例で、複数のSAPシステムで構成させる大規模なシステムを短期間に移行しなければなりませんでした。
お客さまからは、クラウドへの移行のノウハウが非常に高く評価されました。予定どおりシステム移行を完了し安定して稼働しています。
DXを実現するプラットフォーム構築/アプリケーション開発
成長戦略の2つ目はデジタルトランスフォーメーションです。DXという言葉は以前から使われていますが、今までは新型コロナウイルス感染症もあり、働き方改革などを中心に投資が進んでいました。
しかし昨今は、みなさまご存じのとおりAIの活用や、AIに学習させるためのデータの集約/分析に非常に注目が集まっています。あるいは、そのデータを集約した後に新しくシステムを作っていくモダンアプリケーション開発も、我々が非常に注力している分野です。
このデータの集約/分析に関して、我々はもともと、先ほどお伝えしたSAPの基幹システムのクラウド移行などを行っているため、システムをクラウドへ上げた後、クラウド内外のデータの活用についてのコンサルティングを、クラウドへ移行の次のステップとしてご提供しています。この分野はSAPとクラウドの両面を手がけている点が弊社の強みであり、多くのお客さまに引き合いをいただいています。
新しいアプリケーション開発は、我々のようなベンダーが作る場合ももちろんありますが、大事なのはお客さま自身が開発していく体制を作っていただくことです。今までのように何かを作って終わりではなく、お客さま自身で新しいアプリケーションをブラッシュアップしていくことが大事になっています。その部分をベンダーに頼んでいるだけだとコストも高くなり、スピードも遅いため、お客さま自身の内製化が重要であり、弊社は、この内製化の支援を行っています。
いきなり内製化といっても、ノウハウ不足もありますので、プロジェクトの進め方や、正しいアーキテクチャになっているかのレビューなどをサポートします。あるいはリソースが足りない場合は、我々が開発を支援していくこともあります。また、運用・保守に手が回らない場合は、その部分を我々が支援し、お客さまがよりビジネスに集中できるようにするなど、さまざまな内製化支援を行っています。
代表導入事例(ロッテ様 データ連携基盤構築事例)
内製化支援の事例の1つがロッテさまです。ロッテさまでは、先ほどのSAPシステム「S/4HANA」に刷新を行いました。
今までのデータを活用したデータドリブン、データに基づいた経営に変えるためのシステム作りや、新しい方法にするための文化作りを支援しています。アーキテクチャのレビューや、お客さまの中のエンジニアの育成などいろいろなかたちで、内製化推進の支援を行っています。
内製化支援を強化/推進
内製化支援の取り組みは「AWS」からも評価され「内製化支援推進AWSパートナー」に参加しました。「AWS」には実績がある企業に関してパートナープログラムがあり、我々のこれまでの内製化支援のノウハウや実績が評価され、参加することになりました。今後も「AWS」と連携しながら、さらに内製化支援を行い、お客さまのDXの実現に取り組んでいきたいと考えています。
内製化支援のDXは、もちろんクラウドインテグレーションの売上もそうですが、その後のライセンスリセールやMSPといったストック型売上にも結びついていきます。入れて終わりではなく、その後も続いていくところがこのビジネスの非常に大きなポイントとなります。
マルチクラウド対応マネージドサービス
クラウドライセンスリセールとマネージドサービスプロバイダーについては、2つを組み合わせて提供しており、システムを導入するとサービスが付いてくるところが、我々のビジネスの大きな強みになっています。
最近では我々の構築システム以外でも、「クラウド上のシステムを構築したが、運用にあたって自分たちではやり切れない」といった内製化支援のお話も相談されます。このようなお客さまに対して、ライセンス管理やサポート、運用サービスなどを提供しています。弊社が構築したシステムではない、ストックビジネスを起点とした売上も増えてきています。
マネージドサービスの推進
マネージドサービスの推進についてです。クラウドの運用ではシステムがどんどんクラウド上に上がったり、複雑化したりしています。
そのため、今と同じ運用だけでは、クラウドが進むことにより手がかかるようになってくるところがあります。その部分をいかに効率化するか、安心・安全に使っていただくかが大事だと思います。
それについて、我々の3つのサービスである「オブザーバビリティ」「運用の自動化」「Security」というソリューションを提供しています。
SAPオブザーバビリティサービスの提供開始
オブザーバビリティは聞き慣れない言葉ですが、簡単に説明すると、今まではモニタリングといって、そのシステムが生きているかどうかを監視しておけば、システム全体の業務に影響を与えるかどうかを見ることができました。しかし、最近のシステムはいろいろなシステム間でデータが流れたり、APIと呼ばれるもので連携して動いたり、あるいは新しいアプリケーションはコンテナやサーバレスなどの新しいテクノロジーを使って動いています。
これらが全部、業務として問題なく動いているかどうかを把握するのがオブザーバビリティです。このような新しいマネージドサービスを提供したり、お客さまのオブザーバビリティ導入に対する伴走化支援を行ったりしています。
クラウドセキュリティー分野におけるリーディングカンパ ニーであるOktaの導入支援サービスを開始
もう1つストックビジネスのトピックスについて説明します。クラウドを安心・安全に使っていただくために、セキュリティの充実は非常に重要となってきます。クラウド外からの攻撃を防止するもの、あるいは人為的なミスを防止・発見するようなソリューションの提供も行ってきました。
今年から新たに力を入れているのが、アイデンティティ管理と呼ばれるもので、この分野のリーディングカンパニーであるOktaの製品の導入支援などを開始しています。これは従業員がどのような権限を持っているかを管理するものです。
現在、さまざまなSaaS製品やシステムがクラウド上で動いています。そのため、権限のミスなどがあるといろいろなところに波及しますし、権限の変更を忘れるなど大きな脆弱性を生む可能性があります。クラウドを確実に使っていただくために、アイデンティティ管理が非常に重要になっています。
このような新たなセキュリティーソリューションの提供なども行っており、いくつかのお客さまに導入していただいています。今後もセキュリティー製品の拡大を行っていきます。
公共部門での認定を取得
最後に、もう1つのストックビジネスのトピックスを紹介します。新たに公共部門での認定を取得し、公共部門への「AWS」のライセンスリセールができるようになりました。
我々はSAPの製品などを扱っているため、従来はどちらかといえば大企業、エンタープライズの企業、特に製造業、流通業の企業を中心に支援していました。昨今、国のデジタル化として、公共部門においてもクラウドの導入が非常に進んできています。
公共部門の支援も行うことで、その実績を認められ「AWS公共部門ソリューションプロバイダー」に認定されました。これによって、公共部門に対してもライセンスリセールができるようになり、大企業、エンタープライズ企業、民間企業だけではない、新たな領域のストックビジネスの拡大に進めるのではないかと考えています。
Our Vision
我々はクラウドのテクノロジーを使い、社会をより良くしていくお手伝いをしていきたいと考えています。コロナ禍が明けて、さまざまな企業の新たなデジタルビジネスの創出への支援や、公共部門への支援など、新たな領域でいろいろな支援を図りたいと考えています。
クラウドというテクノロジーを使って、お客さまの変革を支援していきたいと思っています。投資家のみなさまにも、我々の活動へのご賛同をいただけるようでしたら、ぜひご支援いただきたいと考えています。
以上で、本日の2024年2月期第3四半期の決算説明を終了します。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。