第65回個人投資家向けIRセミナー

近藤太香巳氏(以下、近藤):当社の会社概要や状況について、わかりやすくご説明します。よろしくお願いします。

2023年9月期は、増収・増益で終えることができました。今日お伝えしたいことは、主に3つです。1つ目:前期と比べた好決算の数値、2つ目:現状のレベルとは違う(高い)利益を上げられる理由、3つ目:環境保全への貢献についてです。

会社情報

近藤:会社概要です。ネクシィーズグループとブランジスタの上場企業2社を運営しています。ネクシィーズグループは今年で37年目となりましたが、私が19歳の時、まだベンチャー・アントレプレナーといった言葉もない時代に創業した会社です。

沿革

近藤:会社の沿革です。創業のきっかけとして、電電公社がNTTに民営化され、ダイヤル電話からプッシュホンに切り替わり、携帯電話が登場しました。ただし、当時は20万円ほどの初期費用が必要で、その携帯電話を月々2,000円で持てるというビジネスモデルを打ち出したところ、お客さまから非常に好評で、第1回目のブレイクとなりました。

その後、WOWOWやスカパー等の衛星放送でも、初期投資無料を打ち出して普及させ、当社は新規顧客のシェア8割を占めました。ETCについても国土交通省から依頼を受け、まだ普及してない時に初期投資ゼロでの普及を進めました。

そして、ソフトバンクの孫正義さんからご依頼を受け、当時「ブロードバンド革命」と掲げられた事業で、5年間のうち、多い時には週の半分を孫さんとともに過ごし、勉強させていただきました。「Yahoo! BB」の普及にあたっては、当時、ソフトバンクの400万回線中、137万回線を当社が普及させ、自社でプロバイダを展開することになりました。

この時点まで、当社は誰かのサービスを販売する代理店事業をメインとしていましたが、現在は、自社完結型モデルでお客さまに最新設備を0円で提供する「ネクシィーズ・ゼロ」がメイン事業となっています。

事業セグメント情報

近藤:事業セグメントについて、ネクシィーズが行っている「エンベデッド・ファイナンス」は、世界で組込型金融と呼ばれており、我々は「商材付きファイナンス」とも呼んでいます。

電子メディア事業についても、IRセミナーで取り上げていただいたため、そちらを見ていただくとより詳しくわかるかと思いますが、東証グロース市場に上場している連結子会社のブランジスタが運営しています。

セグメントとしては、エンベデッド・ファイナンス事業の売上構成比が約80パーセント、電子メディア事業が約20パーセントという構成となっています。

2023年9月期 業績サマリー

近藤:業績サマリーです。2023年9月期の業績は、売上高・利益ともに前年を上回り、売上高は過去最高を更新しました。

2023年9月期の業績 エンベデッド・ファイナンス事業

近藤:エンベデッド・ファイナンス事業の売上とセグメント利益です。売上は前年比で約1.3倍の増収となりました。本日、「ネクシィーズ・ゼロ」が一目でわかる3分間の動画をご用意しましたので、まずはそちらをご覧いただきたいと思います。

エンベデッド・ファイナンス事業 事業紹介

近藤:国策として、2030年までにLED照明化100パーセント達成を掲げていますが、実際はまだ50パーセント程度にとどまっています。

電球が1つ切れた時にすべてLED照明化する工事を行うと、相当なコストがかかりますが、当社は、設備導入初期投資0円、電球・工事代もすべて無料で行います。しかも初期投資オール0円だけでなく、与信枠も使わないため、これまでのリースや一括購入とは仕組みが異なります。

コスト削減イメージ(LED照明の場合)

近藤:スライドは、当社サービスをわかりやすく図解しています。左側の青色グラフが現在で、中央のグラフでは、当社が電球・工事代を無料で提供し電気代を削減しており、その削減した一部の水色部分を、サービス料として「ネクシィーズ・ゼロ」がいただいています。

黄色の矢印をご覧ください。切り替えた瞬間にコストダウンしています。新しい商材に変わり、なおかつコストダウンできるサービスですので、断る理由がほぼありません。

また、リースではないため、再リース等はありません。6年目以降はサービス料もなくなるため、さらにコストダウンします。毎月のサービス料金は削減コストの範囲内で完結する仕組みとなっています。

サービスの競合優位性

近藤:スライドは、一般的な設備導入と「ネクシィーズ・ゼロ」の違いを記載しています。一般的な設備導入は煩雑で手数料もかかる中、下の図のとおり「ネクシィーズ・ゼロ」はオールインワンで行うため、すべて解決します。

設備バリエーション

近藤:設備バリエーションです。先ほど、LED照明を例にご説明しましたが、当社商品の構成比率は、LED照明が40パーセントで、60パーセントが他の商材です。いわゆるお店であれば、冷蔵庫から空調など、ほぼ100パーセント網羅できます。

商材については、国内外300社以上のサプライヤーと提携しており、お客さまに合わせた商材の開発も行っています。商材数は49万品目以上と増加しています。

CO2排出削減実績

近藤:環境大臣から、エコ・ファースト企業として認定いただいているものの、あまり評価されていないように感じています。

当初、2025年までに150万トンのCO2排出削減を国と約束していたものの、達成したため、200万トンに大幅に目標値を上げました。200万トンに対する進捗率は83.1パーセントです。

200万トンといってもわかりにくいかと思いますが、例えば、1人あたり年間で排出するCO2は9トンから10トンというデータがあります。200万トンで割り算をすると、20万人分のCO2排出を削減しているということです。この量は、渋谷区総人口分20万人分のCO2排出を削減していると言えます。

20万人が1年間電気を消して息を止めているぐらいのCO2排出量を削減していることを、もう少しみなさまにご理解いただきたいと思います。このように、地球環境の改善にも取り組んでいます。

社会的評価と資金調達

近藤:初期投資が無料ということは、当社がお金を用意しているということで、メガバンクと組んでおり、流動化枠は900億円以上あります。

加えて証券化も行っています。証券化は世界初となりますが、アメリカの有名な格付機関ムーディーズから最高評価「Aaa」を取得しました。「ネクシィーズ・ゼロ」のサービスはすばらしいと評価いただいているため、資金調達も進めやすくなっています。

国内初となるR&Iグリーンローン評価も取得しており、環境大臣より国内では66社のみのエコ・ファースト企業にも認定されています。

これまでの導入実績

近藤:導入実績は、まもなく累計10万件に到達します。こちらには企業だけでなく、行政の導入実績も多数含みます。

行政の場合は、当社1社ではいけないということで、必ずコンペになります。大手メーカーも多く入札しますが、8割以上の入札率で当社が勝っています。

勝因として、初期投資無料に加え、300社以上のサプライヤーと組んで開発しているため、より良いものを提供できること、また、メーカーの1商品ではなく、300社の商品ラインナップから選んでいただけることが挙げられます。

導入実績 飲食店・ホテル・旅館 導入事例

近藤:ホテルやレストラン、県庁など、さまざまなところにLED照明を導入しています。当社のコンサルタント、いわゆる設備戦略プランナーは営業に位置し、グループ会社従業員千数百人のうち約500人が営業担当で、設備戦略プランナーとして展開し、お客さまにより良いサービスを提供しています。

LED照明導入実績

近藤:スライドの写真は、羽田空港の駐車場です。上の2段は過去に導入されたLED照明で、下の5段は当社が導入したLED照明です。同じLEDでも明るさがこれだけ違います。

先ほど「日本の照明はまだ50パーセントしかLED化されていない」とお伝えしましたが、過去に導入した古いLED照明の切り替えも必要です。

今回、羽田空港P4駐車場だけで電気料金は年間587万円削減できました。

農業設備ラインナップ

近藤:昨年、農業を始めましたが、今年はおそらく数倍単位で伸びています。こちらも初期投資ゼロで、ハウス建設やIoT化で生産性アップとスマート農業を展開しており、これから非常に伸びてくると思います。

受注元の構成(コロナ前との比較)

近藤:我々は、受注元の構成に最も自信を持っています。スライド左側の円グラフは2019年9月期通期実績のセグメント売上です。売上の半分が当社のサービスを導入したお客さまからのご紹介で成り立っており、これはなかなかないことだと思います。

この点を最大の誇りとしていましたが、右側の円グラフにあるとおり、2023年9月期通期実績では、金融機関紹介が5倍に拡大しています。

このように、売上の85パーセントが外部からの紹介案件で構成されており、新規営業は15パーセントにとどまっています。

金融機関紹介案件の特徴

近藤:1契約あたりの売上についても、これまで当社が直接提供していた時と比べて1.53倍に拡大しています。5年間の解約率は、金融機関からの紹介により、2018年9月期の9.9パーセントから2023年9月期は2.5パーセントと低下しています。

ここで非常に重要なことをお伝えしたいと思います。過去、当社の売上はコロナ禍前が約190億円、現在は約220億円です。190億円の時の利益は20億円でした。

ところが、現在220億円の売上に対して、利益は10億円に届かない状態です。これは、コロナ禍で先行き不透明な世の中だからこそ、倒産率が増えるのではないかということで、引当金を厚めに積んでいることが要因です。

そのため、売上は約190億円から約220億円と増加しているにもかかわらず、利益は3分の1程度となっています。今後、確実な倒産率を証明できれば、利益を飛躍的に伸ばすことができると考えています。

リース債務残高

近藤:流動化は適切なタイミングで行えます。5年間流動化して売上・収益を立てたとしても、自社の資金で回していれば、銀行金利がかかりません。

そのような意味で、すべてを流動化しているわけではありません。例えば、現在31億円分の債権が残高として残っている場合、これを適時流動化していくのですが、すべてを流動化すると、この時点で利益として9億円がつくことになります。利益の余力があるということです。

販路拡大戦略

近藤:現在、設備戦略プランナーは、銀行員に同行して営業活動をすることがほとんどです。金融パートナーとして53行と提携し、保険会社の代理店数は395社あります。今後は250超の信用金庫、その他代理店まで含めれば数万社と提携を拡大します。

販路およびマーケットが非常に大きいため、人員拡大を進めており、すでに国内半数以上の銀行と提携を完了しています。

販路拡大により営業規模が拡大

近藤:スライドに記載のとおり、企業、自治体、学校・病院、農業の分野で、多くのお客さまを笑顔にしていきたいと考えています。

ブランジスタについて

近藤:ブランジスタについては、IRセミナーで社長の岩本がご説明していますので、簡単にご紹介します。ブランジスタは電子メディア事業を行っている企業です。ちょうど1年が経ちましたが、有名タレントのサブスク事業「ACCEL JAPAN(アクセルジャパン)」を開始しており、こちらが非常に好調です。

株式については、ネクシィーズグループが46.6パーセントを保有している連結子会社です。

2023年9月期 電子メディア事業

近藤:売上・利益は過去最高です。1年目の新規事業「アクセルジャパン」が非常に好調です。

電子雑誌ラインナップ

近藤:電子メディアとして、当時は「iPad」や「Kindle」などは日本で普及していなかったと思いますが、『旅色』は16年前に創刊したメインの電子雑誌です。ドラマや映画の主役級の俳優が登場しており、企業や自治体とコラボレーションした雑誌もあります。加えて、海外展開もしています。

企業・自治体の広告掲載件数は約6,800件と、本にすれば重さは6トンになるとのことですが、電子メディアのため、重さは0グラムです。多くの企業や芸能人のコンテンツを掲載できるため、安価で提供できます。

電子雑誌の特徴

近藤:スライドのとおり、320名以上の俳優にご登場いただいています。

著名なタレントを使ってPR効果を最大化する新サービス『アクセルジャパン』 2022年10月開始

近藤:タレントや著名人を起用すると数千万円かかりますが、「アクセルジャパン」は月額40万円の定額制で、画像のみならず動画も含めたフル媒体でご提供しています。

充実したラインナップのアンバサダー 全国の幅広い企業をカバー

近藤:アンバサダーの方々です。これから続々と有名芸能人の方が増えていくと思います。

大企業・団体の実績

近藤:これまでの業界を鑑みると、毎月数十万円でタレントを起用できるというのは奇跡的なビジネスモデルですが、大手企業のサントリーやセブンイレブンともコラボしました。中小企業庁やJAなどでも導入されています。

事業開始初年度の実績

近藤:「ネクシィーズ・ゼロ」の営業担当は約500名、ブランジスタの営業担当は約200名ですが、そのうちの5人でスタートし、現在も「アクセルジャパン」の営業担当はわずか15人です。事業がスタートしてまだ1年しか経っていませんが、初年度でもここまでの実績をあげています。

2024年度9月期 ネクシィーズグループ業績予想

近藤:ネクシィーズグループの業績予想については、スライドのとおりです。売上高・営業利益・経常利益において増収増益を計画しています。

ネクシィーズグループ(4346)2024年9月期 経営戦略

近藤:2024年9月期の経営戦略についてです。エンベデッド・ファイナンス事業は、提携パートナーをさらに拡大していきます。電子メディア事業は、「アクセルジャパン」の営業強化を図っていきます。

地球環境と社会のため、にもっとできることを

近藤:今後もさまざまな商材をもとに初期投資ゼロで提供していきます。CO2排出削減により地球環境に優しく、社会に貢献する世の中になくてはならない会社になりたいと考えています。

まだない常識を、次のあたりまえに。

近藤:当社の理念は「まだない常識を、次のあたりまえに。」です。今後の我々の飛躍にどうぞご期待ください。ありがとうございました。

質疑応答:ビジネスモデルについて

kenmo氏(以下、kenmo):ビジネスモデルについて、視聴者に理解していただけるかどうかが、おそらく肝だと思います。御社のサービス「ネクシィーズ・ゼロ」とリースとの違いや、5年のローンで購入と何が違うのかという部分も踏まえ、あらためてビジネスモデルについてご説明いただけますか?

近藤:スライド上部にあるとおり、お客さまがリース会社や銀行から資金調達をしなくても済む点が異なります。資金は、金融機関で調達できる、あるいはできないことがあったとしても、設備選択まではなかなかできません。

我々には300社以上のサプライヤー、商材数は49万8,000品目と、LEDに限らず、店舗に必要な設備・サービスについて工事完了まですべて網羅しています。また商材については、営業担当者や設備戦略プランナーに対して、3ヶ月から半年かけて研修を行い、アフターケアまで含めて、お客さまに最適な商材をお勧めしています。

5年間経てばサービス料はかからなくなりますが、通常は与信枠がありますので、銀行やリース会社では与信枠がないと借り入れできません。我々はその与信枠を持っているようなかたちですので、そこが他社とは異なる部分です。そのため、オールインワンですべて提供できます。

kenmo:信用と面倒な手続きを一括で行っていただけるということですね。

近藤:そのとおりです。加えて、5年経過したら再リースはなく、所有権はお客さまに移ります。

質疑応答:ビジネスにおける強みについて

kenmo:よくいただく質問だと思いますが、他社がこのような事業に参入してこないかが気になります。御社のビジネスの強みについて、あらためてご説明いただけますか?

近藤:大手企業など、数年ほど前までは競合がいました。サービスはシンプルですが、すべきことは非常に多くあります。メーカーの選択をはじめ、何から何までしなければなりません。私の見ている領域では、現在競合他社はほぼ見当たらない状態です。

加えて、商品点数が多いなどの強みもあります。「エンベデッド・ファイナンス」といってもファイナンスですので、銀行にとっても5年経つまでは本当に先行きが見えない状態でした。

5年、1クールが経過して初めて解約率などが出てきます。そこから銀行も相談に乗ってくれるようになり、現在に至っています。これを最初から作っていくのはなかなか難しいのではないかと思います。

質疑応答:データベース管理について

kenmo:素朴な疑問ですが、49万8,000品目ものラインナップがあると、例えば冷蔵庫を付け替えようという時に、それだけの数の中から、「果たしてこの商品を選んでよいのだろうか?」という不安もあると思います。商材のデータベース管理など、仕組みも含めて教えていただけますか?

近藤:当然ながら、お客さまがどのようなシチュエーションで購入したかなど、購入履歴のデータがあります。加えて、新しいものを取り入れて選択いただける仕組みを10年以上前から取り入れ、運用しています。

質疑応答:受注元の構成の変遷や、それに伴う解約率の低下について

kenmo:受注元の構成が変わってきた点について、掘り下げておうかがいします。解約率の低下という話がありましたが、受注元の構成の変遷や、それに伴う解約率の低下の推移などについて、あらためてご説明いただけますか?

近藤:2019年9月期の実績では、約半分が既存顧客からのご紹介で、金融機関紹介は7パーセントでしたが、ある銀行からの問い合わせをきっかけに金融機関との提携をスタートしました。そこから飛躍的に広がり、現在は53行、セグメント売上は5倍に拡大しています。

kenmo:御社から金融機関に貪欲に営業をかけていったというよりも、むしろ金融機関側からオファーをいただいたということですね?

近藤:おっしゃるとおりです。金融機関にとっては、提携すればインセンティブが発生しますが、一番喜んでいただいているのは共にCO2削減ができる点です。

我々はCO2削減についてレポートとして提出し、銀行では「CO2削減に貢献しています」とプレスリリースをします。そのような点で大変喜ばれています。

質疑応答:金融機関紹介で解約率が低下する要因について

kenmo:金融機関の紹介が増えることによって解約率が大幅に低下したという話がありましたが、そもそもなぜ金融機関紹介は解約率が減るのか、具体的に教えていただけますか?

近藤:新規営業では、経営者が一番にコストダウンを考えているため、決裁者になかなか会うことができません。しかし、銀行を通すと決裁者と直接会うことができます。言葉を選ばずにいうと、銀行がより優良な企業を紹介してくれる傾向があると思います。

質疑応答:新規営業の受注減によるリソース配分の変化について

kenmo:「受注元の構成が変わってきたということですが、新規営業が減ってきている中で、そちらに投入していた人員や時間のリソースを、今はどのようなところへ振り分けているのでしょうか?」というご質問です。

近藤:現在、銀行から紹介された企業へは、銀行員と一緒に新規営業へ行っています。これまでは、ほとんどなにもわからない状態で新規営業に行っていましたが、今は銀行員と行くため、ルート営業に近いかたちにシフトしていっています。

その数を「日本の銀行の半分以上」とお伝えしましたが、スライド19ページに記載のとおり、現在は250強の信用金庫との提携、さらに、その他代理店との提携は数万社までの拡大を目指しており、すでに新規営業に行く必要がなくなっています。また、従業員数については、営業担当者の数を倍にしてもよいと考えている状況です。

kenmo:営業担当者の数を倍にする場合、今後1年から3年の間でどの程度の人員規模を目指す予定ですか?

近藤:事業規模で見ると、現在、当社の営業担当者は500人いますが、その倍ぐらいは必要となるため、1,000名ほどの体制が必要だと思っています。

そこまでの人数に達しなかったとしても、事業上は問題ありません。しかし、そのぐらいいたとしても、お客さまのマーケットは十分にあると判断しています。

質疑応答:金融機関との提携数の推移と今後の見通しについて

kenmo:「販売拡大戦略について、過去から直近までの提携数の推移がどのようになっているのかを教えてください。今後どの程度増えていくイメージでしょうか?」というご質問です。

近藤:銀行との提携についてでしょうか?

kenmo:銀行を含む金融機関との提携の推移を教えてください。

近藤:毎年10行から15行のペースで増加しています。

kenmo:今後もそのぐらいのペースで推移する見込みでしょうか?

近藤:今後は信用金庫など、さまざまなところを含めていくため、さらに加速すると思います。

質疑応答:「BODY ARCHI」の店舗数の推移と今後の見通しについて

kenmo:「その他事業である『BODY ARCHI(ボディアーキ)』が5年目を迎えます。開始時から現在までの店舗数の推移と、今後の推移のイメージについて、他社への優位性や差別化等を含めて教えてください」というご質問です。

近藤:現在、「BODY ARCHI」の店舗数は42店舗です。商業施設から「入ってほしい」というオファーをいただき、商業施設を中心に開店している状況です。会員数は公表していませんが、私としてはまだ十分ではないと思っています。

そこで最近、戦略的に新たなサービスを追加しました。湘南美容クリニックと提携し、フェイシャル部分に臍帯血幹細胞培養上清液を施術することで、肌が非常に滑らかになるサービスを展開しています。本来、湘南美容クリニックでは8万円ぐらいするサービスですが、これを「BODY ARCHI」では月1万9,800円で提供しています。

今後はそのような新しいサービスをさらに展開していきたいと考えています。ただし、店舗数が100店舗、200店舗に増えていくのかというと、現時点ではまだそのあたりは苦戦している状況です。

質疑応答:自己資本比率の低下要因と今後の資金調達計画について

荒井沙織氏(以下、荒井):自己資本比率について、2019年の約60パーセントから現在は11パーセント前後となっています。投資家としては少し怖い水準だと感じますが、これは御社の「ネクシィーズ・ゼロ」の工事費によるものでしょうか?

その場合、今後の資金調達はどのように行われますか? 回収できないリスクなどがあるのかを含めて教えてください。

近藤:当社では引当金を厚めに積んでいるため、資金を回収できないリスクはほぼないと考えています。コロナ禍ではさまざまな会社が倒産し、我々の計算よりも倒産の確率が上昇するのではないかと考えていましたが、実際には1パーセントも上昇していません。

つまり、これは引当金だけの問題ではなく、利益を予定どおり十分に上げていけば、自己資本比率は改善すると見ています。

荒井:心配ごとはありますか?

近藤:心配するようなことはまったくありません。

質疑応答:株価の下落要因について

荒井:最近、株価が下落している、あるいは調整の局面を迎えているように見えますが、この理由をどのように考えられていますか?

近藤:当社が発表している利益について、「昨年と比べてこのようになりました。増収増益を達成しました」と言っても、過去の業績と比べると、まだそこまでは至っていません。

そのため、「本当に今後利益が上がっていくのか」と不安視されている、あるいは、そもそも当社のビジネスモデルをまだご理解いただけていないのではないかと思います。これは、私のIRの不足によるものと認識しています。

ただし、先ほど「利益の余力がこれだけあれば、このぐらいの成長力があります」とご説明したように、過去と現在の売上を見ると、もっと利益が出てもおかしくないと見ています。

190億円の売上で、20億円の利益があったとすれば、220億円であれば30億円以上の利益が出ても不思議ではありません。それが我々のポテンシャルだと思っています。結果は違いましたが、本来の力との帳尻が合ってくるのがおそらくここ1年、2年だと思っています。

荒井:それでは、この1年、2年でIRへの取り組みなども強化していく予定でしょうか?

近藤:おっしゃるとおりです。コロナ禍の先行き不透明な状況下では、IRをなかなか行うことができませんでした。日本では100年に1度のパンデミックによる倒産が増え、解約もどこまで増えるのか、誰にもわからなかったと思いますし、そのために引当金を厚めに積んでいました。

ただし、まだコロナ禍の影響が終わったとは言えません。弱っている会社が潰れていく可能性もあります。しかし現時点では、想定していたよりも我々のお客さまはそのような状態になっていないため、もう少し動向を見ながら、正しい数値を出していきたいと思っています。

荒井:このコロナ禍もしっかりと防衛されたということで、ここからはみなさまに安心して見ていただければよいということでしょうか?

近藤:そのとおりです。

質疑応答:現在の営業活動について

kenmo:事業理解のために1つご質問させていただきます。私は御社の強みは営業ではないかと思っています。ただし、その営業について当初は、新しい顧客をかなり積極的に開拓していくところに強みがあると思っていました。

しかし、スライド16ページに記載のように、金融機関や既存顧客からの紹介が受注元の構成を85パーセント近く占めており、中小企業の新規顧客を開拓する営業はあまり必要ではなくなっていると感じました。そのような理解で合っていますか?

近藤:100パーセント合っています。現在の営業は銀行員と一緒に回っているため、ルート営業に近い状況です。

質疑応答:営業担当者の教育体制について

kenmo:今後、営業担当の社員に必要とされるスキルや、足元で必要なスキルは、どのようなものでしょうか?

近藤:一般的な商売は、「100円で買ってください」「1万円で買ってください」というものですが、当社では「車を200万円で買ってください。我々がお金を出します」というファイナンスを行っています。

そのため、最初にお話ししたような「お金は必要ありません。しかも、LEDでコストダウンします」という営業を行います。つまり、どのようなスキルが必要かというと、商材のことをよく理解しているコンサルタント的な能力が求められます。

多種多様な商材から選ぶのは大変なことです。また、どの程度コストが下がるかについても事前にデータを出さなければならず、そのようなスキルも必要です。どちらかといえば、そのような部分のほうが大変なため、サービスそのものはシンプルにしています。

kenmo:今後はコンサルティング能力が必要ということで、そのようなスキルを持つ新しい営業担当を500人から1,000人とさらに増やすためには、教育が必要になってくると思います。そのあたりはなにか組織内で考えていますか?

近藤:1,000人はあくまでも最大値です。教育については、コロナ禍で学んだことが2つあります。1つは、1チームあたり5人、6人という人数にすることです。これにより、機動力が生まれました。

例えば、日本の会社の大きさは、平均5人、6人だと言われています。この5人、6人のチーム内に、ユニットリーダーという役割を作り、各チームで一つひとつミッションを明確にし、動いていきました。これにより、全体を管理しやすくなり、リーダーも育つという良い結果を生みました。

もう1つはコロナ禍の前から取り組んでいた「ジーニー」というシステムです。「ジーニー」が魔法使いのように、例えば、当社の営業担当の500人がどのような仕事をしているか、どこで止まっているか、次の提案にはなにが必要なのか、伸び率からなにが得意でどの商品が苦手なのかをすべて明らかにします。

また、自習できるコンテンツもあります。どの商材が得意かがわかるグラフがあり、「LEDが得意です」「冷蔵庫や空調が苦手です」という部分を押せば、それが得意な人のトークを「スーパーボイス」として聞くことができます。

研修もいろいろと行っていますが、そのような時には自己学習がとても大事になります。コロナ禍では、会社に来ることができなくなりました。そのような時に「自分で学ぼうと思えば学べる」というシステムが動いたことが、非常に良かったと思います。

kenmo:なかなか他社には真似できない仕組みだと感じました。

近藤:そうですね。我々も10年以上かけて取り組んできました。

質疑応答:今後の採用方針について

kenmo:中期経営計画についてのご質問です。2022年に中期経営計画を公表されていますが、その時は2024年9月期の営業利益目標は20億円だったと記憶しています。しかし、今期の業績予想では営業利益は10億円と、そこに乖離が発生しているように思います。これは、今後の採用にコストをかけるためでしょうか? 

近藤:コストをかけるという意味では、人員の拡大コストはありますが、それは現在の営業活動でリカバーすべきことだと考えています。

「これが増えるからこうなります」ではなく、引当金がどのようになるのか、流動化するのかしないのかといった、先ほどご説明した部分が主に影響すると見ています。利益を上げるためには、引当金を上げるのではなく、下げることが最も重要です。

ただし、一気には実現できないため、様子を見ながら少しずつ取り組んでいきます。実力としては、そのぐらいの利益を上げられる会社になっているとご理解ください。様子を見ながら適切な取り組みを実行していきたいと思います。

kenmo:若干保守的に見つつ、現実ベースの営業利益を目指しているということですね。

質疑応答:近藤社長のアイデア発想源について

荒井:「社長のバイタリティがすばらしい」と思いながら拝聴していました。ビジネスをどんどんと生み出していくにあたって、その発想はどこから来ているのでしょうか?

近藤:私はLEDを作ってはおらず、発明家ではありません。しかし、「発見家」でなければならないと考えています。

ビジネスを作る時には3つの要素があり、その1つは世の中です。「自分の業界はこうだ」とまず考えます。2つ目は課題で、3つ目は「私たちならば解決できます」というものです。これらに当てはまることで、なおかつNo.1になれることしか実行しないと決めています。

また、利益はお客さまの笑顔の数で、笑顔の数が増えれば利益も上がります。多くのお客さまを笑顔にし、「すごくよかった、嬉しい」という声をたくさん集めたいと思っています。

近藤氏からのご挨拶

近藤:私自身には、もっとIRを実施しなければならないという反省もありましたが、コロナ禍もほぼ収束し、我々の未来を数値で見せられるようになってきました。

これまでは「どのくらい倒産する可能性があるかわからないため、引当金を厚めに積んでいます」という、どちらかというと明るいとは言えない話をせざるを得ませんでした。

しかし、現在は明るいお話ができる体制が構築できてきています。これからは情熱一心に、社員仲間と心を1つに一致団結して努力し、みなさまのご期待を超えられるような事業に成長し、サービスを提供していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

当日に寄せられたその他の質問と回答

当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。

<質問1>

質問:直近、親子上場している会社で、市場で評価されていない子会社のTOBがありました。好業績を出してもブランジスタは評価されずたたき売られた印象です。今後も同様に評価されないようであればTOBの検討は選択肢に入るでしょうか?

回答:現時点でTOBは検討していません。

<質問2>

質問:これから起こるビックチェンジ、御社の業績をジャンプアップさせる、とまでは見えないようですが、営業利益額で1.3倍程度の成長を向こう数年続ける計画でしょうか? それとも引当金をなくす時点で営業利益がジャンプアップする可能性があり、投資家としてはそこがチャンスになるのでしょうか?

回答:エンベデッド・ファイナンス事業においては、設設備投資需要が底堅く、業務用LED照明、冷蔵庫、空調等の設備 投資案件が引き続き増加していくものと予想されます。

また、将来引当金の解約率が下がった場合、引当金が減少し、利益率向上の可能性があるという認識は間違いありません。

<質問3>

質問:「アクセルジャパン」について、サントリー相手でも40万というのは少し違和感があるのですが、相手をみて価格設定をするお考えはないのでしょうか?

回答:「アクセルジャパン」の価格はご利用用途に応じたプランごとに定められており、これはすべての企業・団体一律の条件となっています。