主要トピックス
上田桂司氏(以下、上田):株式会社ASNOVA代表取締役の上田です。本日は、2024年3月期第2四半期決算についてご報告します。
まず、大きなトピックが4つあります。旺盛な足場レンタルの需要のもと、第2四半期累計売上高は過去最高となりました。また、売上原価が予想を下回り、営業利益や純利益等の業績予想を上回りました。詳細については後述します。
加えて、マーケティング活動や積極的な足場投資、機材センターの新規出店等が影響し、新規顧客増加数は第2四半期時点で過去最高を更新しました。さらに、旺盛な市場ニーズを背景に、期初に設定していた足場投資予定額を18億円から24億5,000万円へ引き上げました。
目次
本日の目次です。第2四半期の業績説明に入る前に、当社について簡単にご紹介します。
会社概要
当社は2013年に設立し、愛知県名古屋市に本社を置いています。2019年に現在の社名であるASNOVAに変更し、昨年4月に名古屋証券取引所ネクスト市場へ上場しました。主要事業は足場のレンタルです。全国に5つの営業所と、パートナー拠点を含む29拠点の機材センターを展開しています。
ASNOVAの主要事業:足場レンタル
当社は「くさび式足場」をレンタルしています。くさび式足場は、主に低中層の建物で使用されており、ハンマー1本で簡単に設置や組み立てができる点が特徴です。施工・運搬・保管の効率が高く、低中層マンション、住宅、商業施設、高さ45メートルまでのビルなど、大多数の現場でくさび式足場が使用されています。
当社はくさび式足場に特化することで、幅広いニーズに応えることができています。お客さまは、事業規模が比較的小さな足場施工業者からの依頼が大半を占めています。足場施工業者以外にも、リフォーム会社や工務店、塗装会社、イベント会社など、多くの業者の方からレンタルの依頼があり、新規顧客は毎年150社から250社ほど増えています。
足場には、高層ビルや高層マンションに適した「枠組足場」や「次世代足場」など、くさび式足場以外にもさまざまな種類があります。当社はそのような足場をレンタルする大手レンタル会社とは異なり、主な取引先も違うため、棲み分けができています。
現在、2,600社を超えるお客さまと取引していますが、大手ゼネコンや大手建設会社に依存していないため、1社あたりの売上高が小さく、リスクが分散されている点が大きな特徴となっています。
足場レンタルを“広げる”2つの事業
足場の需要は年々増加しています。その需要に応えるため、足場の保有量を増やすと同時に、日本全国だけでなく、海外にも足場レンタル事業を広げていきたいと考えています。「ASNOVA STATION」「ASNOVA VIETNAM」の2つの事業を行っていますので、それぞれ詳しくご説明します。
ASNOVA STATION
まず、「ASNOVA STATION」についてです。当社は現在、自社の機材センターを19拠点展開しています。しかし、「近くで借りたい」というお客さまの声にお応えするには、全国にさらなる拠点展開が必要だと考えています。
そのため、パートナー企業と連携したレンタル事業を展開し、スピード感を持った拠点展開で「いつでも、近くで、安心して借りることができる」を実現します。
ASNOVA VIETNAM
2つ目の取り組みとして、「ASNOVA VIETNAM」についてです。海外での足場レンタル事業として、現地法人を昨年10月に設立しました。今期より本格的なレンタル事業を開始します。経済成長が著しいベトナムにおいて、日本で培った足場レンタルのノウハウを活かし、レンタル事業を大きく成長させていきたいと考えています。
3つの優位性
あらためて、当社の優位性についてご説明します。お客さまが足場レンタル会社を選定する際に最も重要視される点は、「いつでも」「近くで」「安心して」借りたいということです。お客さまから毎年アンケートを取らせていただいておりますが、必ずこの3点を重要視したいとの声が上がってきます。
当社は豊富な在庫を保有し、「いつでも借りることができる」を実現しています。また、「近くで借りたい」という声にお応えするため全国各地に拠点を構え、品質と対応力を高めることで2,600社を超えるお客さまに「安心して」ご利用いただいています。この3つが、同業他社と比較した際の当社の優位性となっています。
収益構造のイメージ
投資フェーズと回収フェーズにおける収益構造です。投資フェーズでは、売上高が伸長した分のみが営業利益の増加となりますが、いずれ回収フェーズに移り減価償却費が減少すると、営業利益率が大幅に高まっていきます。
足場の減価償却期間は5年ですが、実際は20年、30年と長く使用することができます。そのため、減価償却が終われば利益が大きく向上していく収益構造となっています。現在、すでに償却済みの足場が約90億円あります。
業績ハイライト
ここからは、2024年3月期第2四半期累計業績についてご説明します。まず、第2四半期の業績ハイライトです。売上高は、第2四半期時点で過去最高となる17億800万円で着地しました。
市場ニーズにすべて対応できているわけではありませんが、足場投資を積極的に行ったことや足場機材が高稼働で推移したこと、昨年機材センターを新規出店したことで、旺盛なニーズに対応できた結果だと考えています。
売上総利益についても、原価の大半を占める減価償却費が増えているものの、足場レンタル需要に伴う売上収益が費用を大きく上回ったため、前年同期比で大幅に伸長しました。
新規のお客さまも順調に増加しており、旺盛な足場レンタル需要を引き続き見込んでいます。当社は原価の大半を減価償却費が占めるため、EBITDAを重要指標としていますが、EBITDAについても収益力の増加に伴い前年同期比で大幅にプラスとなりました。
損益計算書(前年同期比)
損益計算書です。売上高、営業利益、経常利益、当期純利益は前年同期を大きく上回っています。期初から機材の高稼働が続いたことに加え、予想より原価を抑えることができたことが要因となり、営業利益、経常利益、当期純利益は業績予想を上回りました。
あらかじめ各機材センターに必要な材料を提供できたことが機材の高稼働につながり、原価の多くを占める減価償却費と運搬費を抑え、売上原価を抑えることができました。
下半期も引き続き好調を維持する予想です。上振れた利益に関しては、下半期および来期の新規顧客増加のために広告宣伝費に投下していきたいと考えています。そのため、通期予想に関しては修正なしの据え置きとしています。
第2四半期累計業績推移
第2四半期累計の業績推移です。主要事業である足場レンタル事業のニーズが大変旺盛であることを主な要因として、売上高、売上総利益、営業利益、EBITDAともに前年同期を上回り、順調に推移しています。
引き続き、積極的な足場投資により既存事業強化、新規顧客増加、顧客満足度の向上に取り組み、繁忙期となる第3四半期以降の業績伸長につなげていきます。
営業損益増減要因分析
営業損益増減要因分析です。先ほどお伝えしたとおり、足場レンタルのニーズは非常に旺盛であり、まだまだ投資フェーズにあるため、原価の大半を占める足場原価償却費は増加していきます。しかし、売上収益はそれ以上に増加するため、営業利益は増加していくと予想しています。
引き続き、積極的な足場投資で旺盛な足場レンタルニーズにお応えし、顧客満足度の向上に努めていきます。
貸借対照表
貸借対照表です。前期と比べ大幅に資産が増えていますが、これは足場投資による賃貸資産の増加によるものです。引き続き、バランスシートと見合わせながら、市場ニーズにお応えするべく積極的な足場投資を行っていきます。
損益計算書(四半期毎の推移)
四半期ごとの損益計算書の推移です。2024年3月期第2四半期の売上高は、四半期ベースで過去最高となりました。利益も同様に順調に推移しています。引き続き、足場への投資や新規機材センターの出店、新規顧客の増加や顧客満足度の向上を目指し、売上および利益の向上に努めていきます。
また、スライドの表のとおり、当社は第3四半期が繁忙期となり、四半期で最大の利益を生み出します。繁忙期の売上を最大化できるよう、全社一丸となって対応していきます。
顧客数と現場数の推移
ここからは、その他の重要指標とサービスの状況をご説明します。第2四半期累計では、新規顧客が186社増加しました。これは過去最高の増加数となっています。マーケティング活動や足場保有量の増加、昨年オープンした機材センターの影響等が大きいと考えています。
また、足場投資による足場保有額の増加に伴い、当社の足場機材が使用されている現場数も順調に推移しています。常時約4,000前後の現場で当社の保有する足場機材が使用されています。
今後、経年マンションの増加やリフォーム需要、自然災害の復興・復旧により現場数が増加すると予測しています。そのため、引き続き積極的な足場投資が必要になると考えています。
拠点数の推移
直営機材センターおよびパートナー拠点数の推移になります。第2四半期中には、直営機材センター、パートナー拠点ともに新規出店はありませんでしたが、10月にパートナー拠点数が2拠点増え、直営機材センターと合わせて29拠点となりました。
今期も2拠点の直営機材センターを新規出店することを予定しており、今期末には直営機材センターとパートナー拠点合計で36拠点の体制を目指していきます。
足場レンタル事業は、足場機材を世の中に循環させ、循環型社会に貢献する非常に社会性のある事業です。
くさび式足場のレンタル会社で全国展開している会社は当社のみのため、老朽化マンションの修繕、リフォーム、自然災害の復興・復旧等、さまざまな社会課題を解決すべく、全国に足場レンタルサービスを展開する使命のもと、引き続き全国へ拠点を拡大していきます。
足場投資額の推移
今期は18億円の足場投資を予定していましたが、想定を超える足場需要があり、投資計画を18億円から24億5,000万円に引き上げます。これは過去最大の足場投資額となります。
既存の機材センターに加え、昨年新規オープンした佐賀鳥栖センターと栃木上三川センターでも新規顧客や既存顧客のリピートが増えており、まだまだ足場機材が足りない状況が続いています。これまでどおり積極的に足場投資を行うことで、お客さまからのさらなる需要にお応えしていきたいと考えています。
また、足場投資計画の増額により、減価償却費の増加が想定されるものの、すでにお伝えしたとおり、それを上回る売上収益の拡大が想定されますので、通期予算は据え置きとしています。
仮設機材総合サイト「ASNOVA市場」
今年5月にリリースした「ASNOVA市場」についてです。「ASNOVA市場」は仮設機材の総合サイトで、ネット上で誰でも足場の購入ができます。
また、不要な足場を買い取って販売することで、必要な場所や人に足場を提供し、足場を循環させることも目的としています。中期経営計画の方針でもある循環型社会に貢献していきたいと考えています。
「ASNOVA市場」では引き続き、足場をより多くのみなさまに、いつでもほしい時に購入していただけるように商品ラインナップを揃えていきたいと考えています。
2024年3月期の業績予想
最後に、2024年3月期の通期業績見通しについてご説明します。今期の業績予想は、売上高は前期と比べ22.8パーセント増、過去最高の38億5,700万円を見込んでいます。
今期はベトナム子会社である「ASNOVA VIETNAM」への投資を積極的に行いますが、それらを加味しても営業利益は過去最高の3億3,000万円を予想しています。国内事業の営業利益率は11.8パーセントと、前期と比べ約2倍の利益率となる予想となっています。
当社はまだまだ投資フェーズですが、足場の減価償却費が減少するとともに、営業利益は大きく上昇すると予想しています。当社が重要指標としているEBITDAについても、前期比27.8パーセント増の17億8,900万円と大幅な増加を予想しています。
売上高と営業利益の推移予想
売上高と営業利益の通期予想に対する進捗率について、売上高は44.3パーセントとおおむね計画どおりです。営業利益は24.6パーセントと低く見えますが、計画を大きく上回っています。
過去の数値と比較しても、売上、利益ともに四半期ベースで非常に好調です。ここからさらなる繁忙期となる第3四半期に向けて、取りこぼしがないように全力で取り組んでいきます。
「足場といえば、ASNOVA」を目指して。
最後になりますが、足場レンタルビジネスは、足場をシェアするといういわゆる循環型ビジネスであり、今後さらに注目されるビジネスになると考えています。
世の中の多くのビジネスモデルは、大量生産、大量消費、大量廃棄を前提としています。資材を調達し、モノが生産され、消費、廃棄されるといった直線型ビジネスによって、気候変動や資源不足は世界レベルでより深刻化しています。
そこで、気候変動や資源不足などの社会課題に対処するため、モノをみなでシェアするビジネスモデルへの転換が今後ますます必要とされます。
当社は社名の由来にもあるように、新たな場所、新たな価値を創造していきながら、主要事業である足場のレンタルビジネスを多くの方に知っていただき、普及させることで、足場をシェアするというビジネスで循環型社会に貢献していきます。
足場と聞けばASNOVAの名前が多くの方に想像してもらえるような会社を目指し、今後も努力していきたいと考えています。引き続き、当社をどうぞよろしくお願いします。
以上で2024年3月期第2四半期の決算説明となります。ご視聴ありがとうございました。
質疑応答:今期の新規出店時期について
司会者:「今期の新規出店はいつ頃を想定していますか?」というご質問です。
上田:新規センター出店については、計画どおり今期中に2拠点開設する予定です。時期についてはまだお知らせできませんが、計画どおりに新規出店ができるように進めています。
質疑応答:競合他社について
司会者:「上場・非上場問わず、意識している競合他社があれば教えてください」というご質問です。
上田:具体的に意識している企業はありませんが、各地域にくさび式足場をレンタルしているレンタル会社があります。当然ながら、その地域ごとの足場レンタル会社は意識しながら営業しています。
質疑応答:足場機材の仕入れ先について
司会者:「ASNOVAが保有している足場機材は、メーカーから直接仕入れているのでしょうか? その場合、複数のメーカーから仕入れているのでしょうか?」というご質問です。
上田:足場機材に関しては、複数のメーカーから仕入れています。
質疑応答:需要好調の背景について
司会者:「足場レンタル需要好調の背景には、どのような理由がありますか?」というご質問です。
上田:当社の足場は、建設現場というよりは、主に住宅やマンションのリフォーム工事の現場でよく使われています。老朽化マンションの問題は非常に深刻で、40年以上経った老朽化マンションが20年後には約3.5倍に膨れ上がると言われています。
大部分がマンションのリフォーム現場で使われていますが、最近は自然災害による復興・復旧のための現場でも当社のくさび式足場が使われています。
質疑応答:投資の回収フェーズについて
司会者:「投資フェーズと回収フェーズのお話がありましたが、回収フェーズはいつ頃を想定していますか?」というご質問です。
上田:非常に難しいのですが、前期と今期は約24億円、それ以前は毎年10億円の足場を投資しています。しかし、いまだ既存のお客さまに対しても足場がまったく足りない状況です。
また、毎年200社、300社とお客さまも増えていますので、恥ずかしながらいつまで続くかに関しては、当社もまだ把握できていない状況です。少なくとも、5年、10年は投資フェーズが続くものだと考えています。
質疑応答:ベトナム現地法人の展望と現在の状況について
司会者:「ベトナム子会社の展望と現在の状況について教えてください」というご質問です。
上田:ベトナム現地法人は昨年10月に設立され、本格的な足場レンタル事業は今期の4月から始まりました。そのため、まだ営業しながらお客さまを開拓している状況です。すでに約1,500トンほどの足場を輸送しましたが、向こう2年間、3年間で約3,000トンまで足場の保有を増やしていきたいと考えています。
そのため、3年くらいは地固めの時期と考え、日本と同じような足場管理のノウハウがしっかり身につくまでは大きく足場を輸送せず、コツコツと取り組んでいきたいと考えています。
質疑応答:国内拠点数の拡大について
司会者:「国内拠点数の拡大はどれくらいまでを想定していますか?」というご質問です。
上田:直営機材センター出店に関しては、少なくとも25店ないしは26店までは出店できると考えています。
それ以外に「ASNOVA STATION」という新しいサービスがあります。こちらのパートナーを拠点とした足場レンタルビジネスに関しては、向こう2年、3年で少なくとも25パートナーまでは増やしていきたいと考えています。
2年後、3年後にはまた新たな拠点展開の見通しが出てくると思いますが、現在は合計で50ヶ所ほどの拠点を展開できるように考えています。
質疑応答:直営機材センターと「ASNOVA STATION」のすみ分けについて
司会者:「直営機材センターと『ASNOVA STATION』で、お客さまの取り合いにはならないのでしょうか?」というご質問です。
上田:ある程度市場が大きな地域で、具体的には足場を5億円から10億円ほど保有しても最低限の稼働ができるような市場に関しては、自社で出店していきます。
それ以外の市場が小さな地域で、足場保有額が1億円から1億5,000万円ほどである程度稼働できる地域に関しては、パートナーと連携して出店していきたいと考えています。そのため、地域に関しては完全にすみ分けができていますので、競合することはありません。
質疑応答:直営機材センターと「ASNOVA STATION」の利益の違いについて
司会者:「直営機材センターと『ASNOVA STATION』の利益の違いについて教えてください」というご質問です。
上田:直営機材センターでは、自社で資材置き場を構え、スタッフも社員も自社の社員です。「ASNOVA STATION」に関しては、資材置き場もスタッフもパートナーの資産となります。
「ASNOVA STATION」では、足場のみを当社がお貸しし、足場が出庫された時点で当社にレンタル売上の一部をいただくというビジネスになっています。そのため「ASNOVA STATION」では、原価は足場の減価償却費以外ほとんどないという状況です。
「ASNOVA STATION」はまだ立ち上げたばかりです。今後売上がどのように拡大していくかにもよりますが、利益率だけ見ると「ASNOVA STATION」のほうがはるかに高いと考えています。
質疑応答:今後の投資方針について
司会者:「売上を見るとかなりの足場投資を行っていると思いますが、今後も同じようなペースで投資を予定していますか?」というご質問です。
上田:来期、再来期は、今期と同程度の足場需要があると考えています。今期はもともと18億円ほどの足場投資で収まると考えていましたが、大きくその想定を上回り、昨年と同様の24億円の足場投資を行うことになりました。非常に高稼働の状況が続いていますので、来期、再来期も同じような投資のペースになると考えています。