1.ご挨拶

百瀬武文氏(以下、百瀬):みなさま、こんにちは。本日はお忙しい中、当社の決算説明会にお越しいただき、誠にありがとうございます。また、日頃はご指導いただきありがとうございます。

当社は今年、創立50周年です。まずは50年という長い歴史の流れをお話しして、本題に入りたいと思います。

今から50年前の昭和48年、佐藤栄作内閣が高度経済成長を終えた頃、角福戦争と呼ばれる田中角栄氏と福田赳夫氏が総理大臣になるための争いがありました。そこで田中角栄氏が、「日本列島を改造する」といった大きなキャッチフレーズを打ち出して、勝利したと言われています。

その当時、第1次オイルショック・第2次オイルショックと、連続して原油価格が高騰しました。2年間で1バレル1円から12円へと12倍になり、そのような事態が大変なインフレを招きました。ところが、その年は給料が30パーセント上がり、毎年行っている「春闘」もありませんでした。

みなさまもご存じのように、日本のGDPが、2023年にドイツに抜かれて4位になるという発表がありました。この要因はいくつかありますが、大きな要因の1つは為替です。ドル換算のため、円安が進んでいる影響が大きいです。

また、消費が落ちていて使うお金が増えていないことが挙げられます。アメリカや中国は、GDPのうち個人消費の割合が7割、日本でも6割と、国民の消費は増えておらず、デフレの問題があります。

中でも一番大きいのは、日本国民の給料が安すぎることです。私は事あるごとに、「お互いにもっと上げましょう」と言っています。しかしながら、各方面で経済競争を行っているため、1社だけが給料を上げることはできせん。全体が上がれば購買力が増え、GDPが増えることになります。

今は総理大臣が労働界のトップと一緒になり、「給料を上げましょう」と言っています。以前に比べれば、まさに活力があります。総理大臣は経営者側に立つため、「給料はあまり上げないでくれ」という経過が長かったのですが、最近は状況が逆転しています。そのような意味では、経営者も国の発展のために、より給料を上げていく必要があると痛感しています。

当社は、創業時に3つの条件を掲げてスタートしましたが、2年半後に1,575万円の不渡手形を出しました。「この会社は恵比寿に見放されたな」と思って恵比寿の会社を訪ねたら、社員が言い争っていました。もちろん、社長はどこかに行ってしまって、そこにはいません。「お前が悪いんだ。あんたが悪いんだ」と殴り合いが始まりました。そこで思ったのは、「会社というのは倒産してはいけない。絶対に倒産させてはダメだ」ということでした。

帰りの電車の中で、どうすればいいか考え、「赤字にしなければ良いんだ」という結論に至りました。そして、「私は絶対に赤字にしない」と強く誓って会社に戻りました。結果的に、当社は創業してから23年間、一度も赤字を出しませんでした。

創業して10年が経った時、私は「ワイエイシイとは何か」と悩みました。さまざまな方に相談して出した結論は、「ワイエイシイは社会のものだから、社会に貢献しなければならない。何をもって社会に貢献するか」ということでした。そして作ったのが、2つ目の理念です。この理念の中では、「たくさん税金を払う」と言っています。

その理由ですが、1つ目として、会社は採用する学生に税金をたくさん使っているということです。最近はさらにさまざまなかたちで税金が使われていますが、会社は税金をたくさん使って社員を採用しています。そして2つ目は、税金を使って道路や橋を補修しているということです。

3つ目として、当時、日本は世界で5番目に安全な国だと言われていました。その理由は、自衛隊を含め、警察・消防隊等々がしっかりしているからです。これらすべてに税金が使われています。

つまり我々は、税金に守られて仕事をしています。ですので、たくさん税金を払うということです。たくさん税金を払うということは、たくさん儲けるということです。私は悩んだ結果、10年目にしてこのような結論を出しました。

創業して10年目に、元野村證券でJAFCO前専務の後藤氏が突然来て、「百瀬さん、株を公開しませんか」と言いました。私は「株の公開ってなんですか?」と、株の公開についてまったく知らなかったため、それから勉強し始めました。

当社は5年ごとに、全社員、お客さま、ステークホルダーのみなさまを集めて記念パーティーを開催していました。15周年の際には1,000人に集まっていただき、「ワイエイシイホールディングスの創立20周年には売上高50億円、営業利益5億円を出して、株を公開します」と大々的に宣言しました。

社内では、「この数字を全うするために、このような戦略でいこう」と話し合い、決めてスタートしました。私は50年間、経営を行ってきましたが、この5年間は最高に盛り上がりました。

そして予定どおり、結果は出ました。しかし、その当時はバブル崩壊後で、株式の新規公開が1年間ストップしていたため、翌年の創業21年に公開しました。これは野村證券の指導であり、初値が4,200円だったことを覚えています。

2023年に、当社は初めて赤字を出してしまいました。「今後、ワイエイシイをどうしていこうか」と考えた時に、ある方が来ました。「お金がないから助けてくれないか」ということで、M&Aのスタートとなり、それがきっかけで、初めて売上高100億円を超えて2000年を迎えることができました。

ご存じのように、2000年にはITバブルの崩壊がありました。私はリーマン・ショックよりも状況が悪かったと思っています。当社も2回目の赤字を出さざるを得ませんでした。

ワイエイシイは先端技術を使った事業を行っており、成長が速いです。ですので、技術の進歩の速さにはついていけますが、シリコンサイクルというように変化が大きすぎる中で会社を安定させるためにはどのようにすれば良いかと考えて出した戦略が、ファブレスです。

ワイエイシイは営業と技術とサービスの会社、つまり製造をアウトソーシングすることにし、340人のうち120人の社員を減らしました。非常につらい決断でしたが、多くの会社が同様のことを行っていました。特に大企業は、何万人もの社員を解雇していました。

赤字が出ている中で、ファブレス戦略で何とかその場をしのぎ、その直後からパソコンが売れ始めました。この時は、現在の副社長が責任者だったのですが、当時はハードディスク用のバニッシャー装置が独占していました。そして一気に売上を増やし、過去最高の利益を出しています。

リーマン・ショックの時には、「絶対に赤字は出さない」という強い信念を持ち、社員に「今、会社の中で何か無駄はないか。あったら全部出してくれ」と言いました。すると、1週間で2,000件ほど出てきました。社員の提案をすぐに実行したところ、経費が3割ほど減り、赤字を出さずに済みました。それはまさに社員の力です。

創立50周年を総括していますが、ここまで来られた理由のトップは、社員です。社員の働きが一番大きなポイントだと思っています。

また、私は常に「もっともっと」と、上しか見ていませんでした。だからここまで来られたのではないかと思います。ミスをして損も出しましたが、社員の力と戦略のキーポイントを「もっともっと」としたことで、結果的にここに来られましたので、考え方としてはよかったと思います。

当社が3回目の赤字を出したのは2020年3月で、コロナ禍の真っ只中でした。私が心筋梗塞で経営から離れている時に、残念ながら赤字になってしまい、心が痛くて仕方がありませんでした。私は2週間ほどの入院生活の中で、しっかりと結果を出すにはどのようにすればよいか、考えました。

1つ目は、プライム市場に残ることです。「そのためにはこれだけの業績を上げる」という方向性を出し、そのための戦略を作ってスタートしました。

2つ目は、創立50周年の今年、過去最高益を出すための戦略、3つ目は2030年に1,000億円企業の仲間入りをするための戦略です。これらを決めてスタートしました。

現在の流れとしては、2026年にもう一度プライム市場の上場審査があるため、それに向かってがんばらなければなりません。

今年の最高益については、残念ながら達成の見込みは薄いですが、まだ諦めていません。過去の最高益は、営業利益36億7,000万円、売上高370億円です。今年は非常に厳しい状況になっており、今回下方修正を発表し、売上高300億円、営業利益30億円に減らしていますが、何とかしたいという気持ちでいっぱいです。

冒頭にお話ししたように、ここまで来られたのは、多くの方に応援いただいて、社員が力を合わせてがんばってきた結果だと思っています。ここにいるみなさまに、あらためてお礼を言いたいと思います。

スライドの一番下に記載の配当金については、創立50周年記念として2023年3月に増配しましたが、継続することを踏まえて75円という数字を残しています。

今後もこの数字を落とさず、反対に上げていけるよう、全面的にがんばりたいと思います。引き続き、みなさまのご支援をよろしくお願いします。少し長くなりましたが、冒頭のご挨拶とさせていただきます。

2-① 決算の総括

畠山督氏:畠山です。スライドをご覧ください。見ていただくと、今回の決算の着地イメージがわかると思います。

まず、全体総括についてです。この第2四半期決算は増収増益となっています。売上高は約109億円から約115億円と、5億円強増えています。粗利以下の各段階利益は増益と、特に粗利率の改善が寄与しています。

一方で、受注高の不振や中国の景気減速を受け、売上高が伸び悩みました。当初は370億円と開示していましたが、上期で115億円、進捗率31パーセントと、残念ながら下方修正しました。

次に、各段階利益についてです。粗利益(売上総利益)には2つの効果があります。増収・コスト削減といった量的な効果に加え、粗利率改善という質的な効果も相俟って、第2四半期の粗利益は実額で31億8,900万円です。これは過去最高益ともいえます。30億円台に乗ったのは、今回が初めてです。

営業利益は後ほどご説明しますが、今回グループ入りしたJE社(岐阜)・GD社(韓国)の経費の負担と、先ほど社長がお話しした4パーセントの賃上げによる従業員人件費増があり、粗利の効果を一部減殺しました。その結果、前年同期比50パーセント増の7億1,000万円となりました。

2-② 決算の総括

第2四半期決算における主要トピックスについてです。

ライナス社関連で、8月10日にマウンター1台を出荷し、NJ(ニュージャージー)ラボで稼働中です。また、大倉電気による北海道地域の代理店買収で、うまくディールを仕上げたということで、負ののれんを2億6,500万円計上しました。

受注状況はフローが前年同期比32パーセント減、ストックが前年同期比4パーセント増と、両者間に跛行性が生じて捻じれ現象が起きています。

通期業績予想・同配当予想については先ほどお伝えしたとおり、売上高の伸び悩みから下方修正しています。各段階利益の減少は、減収に伴う粗利減が要因です。

一方で配当は、2億円程度の当期利益の減で減退的でもあるため、通期配当予想は変更せず75円としています。

3-① 連結損益状況【P/L】総括

スライドの中央に、2022年9月期と2023年9月期の数字が記載されています。そして、その右側に増減額と増減率があります。

粗利の増減額は前年比プラス5億1,800万円と、粗利率の改善で3億8,900万円、数量効果で1億2,900万円増加しています。JE社(岐阜)・GD社(韓国)の経費負担ということで、営業利益の増減額が2億3,700万円で着地しています。

スライド下部の経常利益と当期利益のところをご覧ください。前年比で経常利益は2億8,300万円の増、当期利益は3億7,400万円の増です。ここで先ほどお伝えした大倉電気のディールの仕上がり、負ののれんと、当期利益がかさ上げされたかたちになっています。

3-② 連結損益状況【P/L】ご参考

過去6年間の損益状況の推移です。先ほどお伝えしたように、スライド一番右側の今期の数字は、直近で粗利益が31億8,900万円で、過去最高益となっています。次に2021年9月期の約29億円と、30億円台に乗ったのは今回が初めてです。

粗利率は、2000年9月期から20パーセント台を維持しており、当社の収益力は着実についてきたと考えています。各段階利益も同様です。

3-③ 連結損益状況【P/L】セグメント情報

連結損益の状況についてです。トピックスとして、2023年4月1日に、ワイエイシイテクノロジーズとワイエイシイデンコーを一体化させて、攻めの営業に転じるとお話ししました。

その結果、ディスプレイ部門は第1四半期で営業利益5,600万円の黒字、第2四半期累積で2億4,800万円の黒字となり、ようやく黒字体質に至りました。

産業機器は、さまざまな投資家の方から一番ご質問を受けるところです。産業機器の2023年9月期の売上高は4億9,300万円ですが、2億4,400万円の赤字となっています。要因として、先ほどお伝えしたJE社(岐阜)・GD社(韓国)の光学式検査装置の受注が、特に第4四半期に偏ることにあります。年度ではとんとんになるものの、上期では仕上がりがうまくいかないということで赤字になっています。

3-④ セグメント別・地域別売上

セグメント別・地域別の売上についてです。ご覧のスライドは、今回初めてご用意しました。

スライド右端の黄色で示した、中国向けの売上高の減少額12億8,600万円を、日本の売上高でカバーするかたちになっています。

カバーしたのは電子機器です。電子機器の2023年9月期の売上高は40億6,000万円と、2022年9月期の28億6,600万円に比べて12億円弱増えています。増収の原因は、エレックスというニプロの人工透析装置のOEM生産が好調だったことです。

3-⑤ 連結損益状況【B/S】

連結損益の状況についてご説明します。スライドに記載のとおり、2023年9月期の総資産は、2023年3月末比で34億2,400万円増えています。内訳は、流動資産14億8,300万円、固定資産19億4,100万円で、流動資産は仕掛金が増加しています。

一方、当社で固定資産が増えるのは非常に珍しいのですが、資産側は、買収したライナス社の投資有価証券の関係と、買収に伴うのれん代が計上されたということです。

一方、負債側は流動負債が35億円増えており、取得した資産のファンディングを行ったということです。短期のファンディングが多かったため、銀行にお願いし、年度末にかけて長期のファンディングにし、固定長期適合率を順調に戻しました。純資産の増加額5億3,900万円は、営業利益7億円から社外流出を引いた、その他となります。

トピックスについてです。分母・分子の関係で、自己資本比率が31.9パーセントと、40パーセントを割りました。期末に向けて利益を積み上げ、再び40パーセント台を目指す展開になると思います。

3-⑥ 連結キャッシュフロー【C/F】

連結キャッシュフローについてご説明します。営業キャッシュフローはマイナスに転じました。損益要因 について、プラス8億9,000万円と利益は出ていますが、運転資金要因、売掛金・仕掛金でキャッシュインがないかたちとなり、ネットするとキャッシュアウトになります。

投資活動の18億9,300万円は、先ほどお話ししたライナス社、その他についての財務活動でファンディングしました。このようなかたちで、極めてシンプルでわかりやすいキャッシュフローになっています。

3-⑦ 受注状況について

受注の状況について、2022年9月期と2023年9月期を比較すると、先ほどお話ししたように捻れています。

まずストック(受注残)ですが、2023年9月期が243億2,700万円、2022年9月期が233億8,500万円で、9億円ほど増えています。一方で、フロー(受注高)は151億8,700万円から103億4,800万円となり、約48億円減少しました。この受注高の減少が売上の減につながり、下方修正の要因になっているとご理解ください。

3-⑧ 通期業績予想修正について(11/13)

通期業績予想の下方修正についてです。売上高は370億円から300億円と、70億円減少しています。

先ほどお話ししたように、今期のフローの取り方が思わしくなかったため見直しました。営業利益も7億円減っています。減収分の70億円の25パーセントにバッファを持たせていたのですが、このようなかたちになりました。

親株会社株主に帰属する当期純利益は、マイナス2億円としました。先ほどお話ししたように、大倉電気による企業買収で発生したのれん等が入り、下支えしています。残念ながら、以上のように下方修正しましたが、営業利益や粗利益に関しては、直近10年では最高の水準を維持しています。

3-⑨ 通期配当予想について

通期配当予想についてご説明します。2023年3月期の一株当り配当金、75円と記載の部分をご覧ください。中間25円、期末50円と、25円の記念配当を実施しました。そのため、普通配当50円に記念配当25円を加えたかたちとなっています。

先ほど百瀬がご説明したように、今回はこの記念配当を普通配当に組み入れ、普通配当のベースを上げて75円にしたいと思っています。

いろいろな会社を見ると、安定的な累進配当など、配当を減らさないという方向感が出ていますが、当社も極力がんばっていきたいと思います。簡単ではありますが、私からのご説明は以上です。

4-① メカトロニクス関連事業 半期分析

伊藤利彦氏:メカトロニクス関連事業の半期の分析です。前年同期比で売上は4パーセント減ですが、利益は24パーセント増と、減収増益の結果となりました。

内容はスライドに記載のとおりです。まず1つ目として、メインの半導体、HDD関連の設備投資が依然として先送りになっています。

2つ目に、クリーンコンベア等の自動搬送装置、並びにイオンビームミリング装置が堅調に推移しました。

3つ目に、電子部品市場の低迷による顧客の設備投資先送り等により、キャリアテープ、テーピング装置等の売上が減少しました。

4つ目に、パワー系を含めた半導体関連の装置が堅調に推移しました。また、昨今問題になっている部品の長納期化により、一部の装置においては製作期間が長期化しています。

5つ目に受注残です。スライドには80億円とありますが、正確には75億円です。75億円という受注残を抱えたものの、予算未達という結果に終わっています。

4-① メカトロニクス関連事業 今期目標、施策

メカトロニクス関連事業の2024年3月期の目標となる売上高を下方修正し、135億円を目指しています。

この目標に対する懸念事項を3点挙げています。今期に一部は寄与しますが、設備投資は先送りとなる見通しです。電子部品業界は底を打ったと予測しており、ここから復調へ向かっていくと見込んでいます。

また、引き続き一部の装置製作期間が長期化しています。施策として、好調なパワー系半導体市場に向けて装置の売り込み、受注・売上に対して注力していきます。

電子部品向けでは、キャリアテープに関して国内に4拠点を設けています。適材適所での生産、タイムリーな設備投資、付加価値を付けることで高価格での販売を考えています。

また、ホールディングス傘下に統括購買部を設けており、集中購買効果での原価低減により、粗利を上げていくことを考えています。

メカトロニクス関連事業のご説明は以上です。

4-② ディスプレイ関連事業 半期分析

青木康浩氏:青木です。ディスプレイ関連事業についてご説明します。まずは半期の分析です。

市況について、ディスプレイ市場はパネル需要の回復傾向は見られるものの、いまだ低調になっており、設備投資は来期以降に延期する傾向にあります。今後はIT用のOLEDパネルが大型化する目測を立てていますので、それに伴う設備投資に期待している状況です。

セグメント動向です。先ほどもご説明したとおり、当社は4月1日に2社を合併しました。それにより、生産性や収益性の向上を図っています。その結果、一部の装置の計画遅延があり減収となりました。しかし、熱処理装置と消耗品サービス案件が予定どおり進んだため増益で黒字化し、減収増益となっています。

ディスプレイ以外については、脱炭素化に向けた電気ヒーターの需要増や電子部品の製造装置の更新需要により、工業用の熱処理装置の受注が増加しました。

4-② ディスプレイ関連事業 今期目標、施策

今期の目標と施策です。当社は売上高60億円を目指しています。スライド右側のグラフのとおり、上期の売上は約20億円、受注残も約72億円と十分にあり、計画どおりに進めるのみという状況になっています。

懸念点は主に外的要因となりますが、1つ目に、FPD製造設備の投資停滞が継続すると見ています。受注している装置の納期が延びると目標に到達できませんが、現状では問題ありません。

2つ目に、ディスプレイパネルの需要回復の遅れです。この事業は消耗品のビジネスですが、需要回復が遅れると売上が減少してしまう懸念があります。

3つ目に、部材高騰による粗利率の低下です。一時期よりも回復傾向にあるのですが、まだ注意が必要だと考えています。

これらの懸念事項に対する施策として、1つ目は高付加価値プロセスの適合を強みにした販売戦略です。主にディスプレイ関係のプロセスになりますが、今、LTPOや酸化物半導体がクローズアップされています。当社はこれらの装置が主力となっているため、その販売を促進していくことになります。

2つ目に、設備の稼働向上に伴うアフターサービスの拡大に期待しています。3つ目は、部品の共通化や在庫等によるコストと納期対応です。納期の遅延等があると装置の売上が上がらないため、在庫管理を行っていきます。コストに関しては、先行購入することで有利に働きます。

4つ目に、ディスプレイ以外でもさまざまな業界でコア技術になっているプラズマ応用設備と熱処理設備の販路拡大を考えています。ディスプレイ関連事業については以上です。

4-③ 産業機器関連事業 半期分析

副島幸雄氏:副島です。私より産業機器関連事業についてご説明します。

スライドのグラフを見ていただくと、2022年9月期でようやくプラスになる見込みでしたが、今期はドスンと落ち込んでいます。言い訳をするわけではありませんが、落ち込んだ原因は、JEインターナショナル関連を吸収して赤字になったことが、桁違いに大きいです。

以前、「クリーニング、EC物流に入る」と宣言しましたが、既存事業のクリーニングそのものも、少しよくなっています。上期はサービスの売上が好調でした。下期からは設備投資が始まりますので、そこにも期待しています。

さらには、EC物流をつなげたいと思っています。先週、新製品を発表しましたが、SDGsに絡めた紙包装以外の別の包装装置を開発しています。

JEインターナショナルの受注案件もシフトしました。よいものを持っているのですが、まだ活かしきれていない状況です。

フレキシブルに曲がるプリント板があり、その応用例もたくさんあります。なぜ曲がるプリント板にするかというと、曲げたいところにプリント板を作る、もしくは軽量化ができるためです。

私が一番狙っているのは車です。車にFPCB(フレキシブル・プリント板)を使うことで軽量化できるところに注目し、営業のシフトを実施しています。

4-③ 産業機器関連事業 今期目標、施策

通期の売上は15億円を考えています。内訳として、先ほどクリーニングについてはお話ししましたので、その他についてご説明します。

EC物流の紙包装は、前回もお話ししたとおり、新たな圧縮包装を提案しています。

ふわふわとしたものを潰して体積を減らすことにより、2倍の量を運送できるようになります。軽いものであればあるほどいいため、運送にかかるガソリン代よりも荷物の体積を減らすことに注力しています。

物流業界では、積載率の低下が問題となっており、「空気を運んでいる」とよく言われます。体積を1/2にすると、単純にガソリン代などの運送コストも1/2になるという夢のような話ですが、実はそのような製品を作りました。

我々は基本的にクリーニング屋ですので、アパレル向けに衣服を圧縮するという提案になります。大きな会社はチャーター便を使うこともありますが、そのチャーター便の飛行機代も半分コストになるという大きな話です。

JEインターナショナルの装置については、先ほどお話ししたように車のワイヤーハーネスがFPCB(フレキシブル・プリント板)に代わることを狙っています。アメリカのテスラ社だと思いますが、イーロン・マスク氏がこのようなもので軽量化を進めるという話も出ています。

今後、そこに期待して受注をシフトしていくことが、JEインターナショナルの赤字をプラスに持っていく作戦です。産業機器関連事業についてのご説明は以上です。

4-④ 電子機器関連事業 半期分析

大倉章裕氏:大倉です。電子機器関連事業についてご説明します。

部品調達で苦慮した透析装置の生産も安定し、電力関連の売上も順調に推移した結果、前年同期比で増収増益となりました。

こちらのセグメントは、透析装置を中心としたメディカル部門、電力関係の制御通信、工業計器部門に大きく分かれています。

メディカル部門では、中南米を中心に、透析装置の需要が引き続き旺盛です。課題の調達コスト低減、生産性に改善の余地があるため、このあたりに取り組んでいます。

制御通信、工業計器部門について、制御通信では、電力の発電量などの情報を伝送し、需要と供給のバランスを調整する装置を作っています。洋上風力など、再生エネルギー関連の設備投資が引き続き旺盛です。また、円安や原油高など燃料の高騰により、原子力発電所の再稼働が本格化しています。

工業計器では、原子力発電所の中央制御室などの温度を測って記録し、データとして保存する機械も作っており、そちらの売上も増加してきています。

半導体に関しては、昨年の部品の調達難により、お客さまに前倒しで発注していただいた効果もあり、今年度はその受注残をこなしている状況です。

4-④ 電子機器関連事業 今期目標、施策

電子機器関連事業の2024年3月期目標と施策です。

売上高90億円を目指す上での懸念点ですが、まずは透析装置を中心として、引き続き円滑な資材調達と生産体制が必要となります。また、繰り返しになりますが、半導体装置の長納期部品の確保が問題点になっています。

我々は製造も行っているセグメントのため、昨今の人手不足に対する人員の確保も問題点になっています。これらに対する施策として、今、グループ全体としても調達力強化に取り組んでいます。

また、新しい人工透析装置も上市する予定です。来年度になると思いますが、将来的には大きな数字も見込めるビジネスに膨らんでくると考えています。

さらに、営業のDXにより営業活動の効率化を進めます。各グループで営業支援ツールなどを用い、営業マンが効率的に動けるように管理し、営業・受注の促進に努めていきます。

人材確保の強化を行い、量産品である透析装置の増産に対応していくことも必要だと考えています。

最後に、顧客への提案営業の強化です。今、電力関係の仕事では、再生エネルギーを蓄電池に貯めていくところが非常に注目されています。再生エネルギー関連では唯一、電気を貯める装置にお金がかかっています。

蓄電池を作る際、いかにコストダウンするかに対し、我々も蓄電池の蓄電状態を遠隔から計測し、その情報を送るといった市場にも入り込んでいこうと考えています。そのような分野をお客さまに提案し、お客さまと一緒に開発していく取り組みも行っています。私からは以上です。

5-①.ワイエイシイグループ 企業理念

百瀬:ワイエイシイグループの今後の展開についてご説明します。

当社の本日の株価は2,708円で、昨日から83円上がりました。取引量は24万5,000株です。順調に増えているのは、みなさまのご協力の賜物だと思っています。やはり会社は結果がすべてですので、この数字を汚さないよう、結果を出していきたいと思っています。今後ともご指導のほど、よろしくお願いいたします。

先ほど少しお話しした内容もありますが、当社の企業理念についてご説明します。1つ目は創業時に作った理念です。会社を継続して発展させるにはどのような内容がよいかと思って作りました。こちらは今でも使えると認識しています。

2つ目は先ほどお話しした内容です。「会社の目的・使命は何だ」と考え、社会貢献を目指した内容になっています。この理念を見ると、最近のSDGsの流れも大きく意識されています。

当社は「ワイエイシイさんは40年前からSDGsをやっていたよね」とよく言われるのですが、大変喜ばしく思っています。

5-②.企業理念を追求する当社の姿

企業理念を追求する当社の姿です。グループ会社19社の社長会を毎月1回行っており、その時に、各社社長に強く訴えている内容です。今回はこの中の⑤についてお話しします。

上場企業の株主は投資家が中心です。投資家のみなさまが何を求めているのかというと、株の値上がり、配当の多さです。最近は、社会貢献も求めてきています。これを確実に実施していくのは、プライム市場の企業、つまり上場企業としての使命であり、宿命でもあるという位置づけです。

決算説明会の資料からも見て取れるように、結果を出せばすべてがハッピーです。そのため、社長会では「みんながんばっていきましょう」と強烈にアピールしています。私は、正月、4月、10月にはすべてのグループ会社を回り、全社員に直接話をしていますが、その時にもこの話を強く訴えています。

スライド下部の「当社グループの文化は」を読み上げます。ワイエイシイグループの文化は、「成長へ、そして更なる成長へと、困難な事態にも決してあきらめず、全員経営の理念のもと、明るく元気よく、ポジティブな挑戦を続け、成長への喜びを感じながら、より多く社会貢献を目指す企業集団である。」というものです。こちらを当社の文化というかたちで社員に強く訴えています。

5-③.ワイエイシイグループの構成

当社グループの構成です。4つのセグメントに分かれており、グループ会社は、ホールディングスを含めて19社あります。

「小さな会社がいろいろなこと行っており、勢力が分散するのではないか」という意見もありますが、「楽しみだ、期待できる」という意見もあります。最近は、後者の意見が多くなっているため、がんばらなければならないと常に意識しています。現在、全社員数は約1,200人です。

5-④.創立50周年度 業績予想値

2024年3月期業績予想を下方修正しました。今年はなんとしてもやり抜こうという流れになっています。

セグメント別の数字は、スライドに記載のとおりです。対前期増減率はスライド下部に示したとおり、大きな伸び率となっています。

5-⑤.目標達成への戦略

この数字を全うするために、スライドに記載の4点を、後半からさらに大きく強く打ち出しています。

1つ目は「営業改革」です。当社は私なりの判断では、技術的にそこそこのものを持っています。そのため、「営業をがんばって注文を取れば、絶対に儲かる会社です」と強く伝えています。

営業改革で推し進めている内容は、お客さまとのコンタクト数を増やすことです。「お客さまと接触する機会を多く持ちなさい」「月曜日に1週間の予定を決めたら会社に来なくてもいいですよ。その代わり、各社を回ったら必ず会社に報告してください」と話しています。

「この会社にはこのような問題がありました。このようなよいところがありました」ということを含めて報告するように伝え、今はこの方法を強く打ち出して実行しています。

現在は名前が変わりましたが、日本電産の永守社長は、M&Aをした会社に「営業は1日でだいたい6社以上は回る」と伝えています。そのため、会社を買収したあとは、ほぼV字回復しています。ですので、「やはり基本はここにあるのだ」と思います。

営業部の会議の結論も、コンタクト率を上げることが最大のポイントだということです。そちらを含め、この4つを強く推し進める改革に取り組んでいます。

2つ目は「粗利率UP」です。先ほどのご報告にもありましたが、少し上がってきて28パーセントとなりました。しかしながら、プライム市場の製造業の粗利率では30パーセントが普通ですので、当社は低いです。

当社は初物をあまり行っていないこともありますが、それは理由になりません。客観的に儲けを出さなければならないため、粗利率を上げるのが依命システムです。

他の会社でも活用できればいいのですが、特に当社の依命システムは特殊です。各社の社長の最大の任務は損益管理をして儲けることです。そのため、量産しています。

例えば、当社でいえばエレックスです。ニプロに年間4,000台、5,000台注文いただければ1台で決まりますが、ほとんどの会社はいろいろなものを作っています。そのため、1台でいくら粗利を稼げるかが勝負です。各社の社長は常に必要な粗利額、つまり「経費+儲け」を確保するため、どうすればいいか考えています。

注文に対していくら粗利が稼げて、そのためには、機械設計、電気設計、ソフトウェアがいくら、資材調達はいくら、というかたちで予算を組み、その予算をきちんと実行した集計により、粗利率がUPし、儲け率が上がります。

したがって、強く進めているのが粗利率UPであり、2025年には30パーセントを目指します。みなさまおわかりのとおり、粗利率を上げることが、儲けに一番直結しますので、強い意識を持って進めます。

3つ目が「経費削減」です。経費はほぼ予算どおり動いています。しかし売掛金の回収が少し遅れているため、今年中にすべての回収の目処がつく流れで進めています。

4つ目は「全員経営」で、創業からの話です。私が以前在籍していた国際電気という会社が、最近半導体の部分だけ再上場し、株が上がってきています。国際電気に入社したのは昭和32年ですが、2年目くらいで職場の組合の委員に選ばれました。組合というのは労働組合です。

過去、現在、未来の反省と方針を作り、「自分はこのように動いていますが、みなさま、何か意見はありますか?」という進め方をしていました。私はこれを全員経営としてうまく活用しています。

余談ですが、当時は安保闘争の前だったため、国会の周りを回って歩きました。樺美智子さんという東大の生徒が亡くなった時も、国会の前にいました。

そのような経験があったため、全員経営を強く打ち出しています。仕事をしているのは社員ですので、社員がやる気を出すか出さないかが勝負です。そのためには、トップが数字を出すことが必要です。

数字を出すための戦略を明確に示し、その戦略に対して社員の意見を取り込みます。そして社員にレポートを提出してもらいます。それに取り組んで総合的に動いていけば、社員全員が経営に参画している意識を持つため、当然がんばると思います。

それを踏まえ、全員経営でもって会社を進めているのが当社の実態です。「勝て」とは言えませんが、今後もより強い会社にしていきたいというのが4つ目の全員経営です。

この4つをさらに強く打ち出し、下期、そして通期の数字を全うしたいと思っていますので、みなさまもご注目ください。

BtoC的事業の推進について、会社が数字を大きくするためには、設備投資だけでは難しく、消費者と相対する仕事を行っていかなければなりません。このような判断で、最近はこちらに取り組み始めたということです。

5-⑥.2030年への成長戦略

先ほどお伝えした、2030年への成長戦略です。2030年には、1,000億円企業の仲間入りをすることを、方向性として打ち出しています。その方法として、既存分野による成長が5パーセント以上、量産新製品が60パーセント以上、M&Aが30パーセント以上です。総合的に1,000億円に向かって動いていくことは、基本戦略で決めています。

1,000億円以上の企業を分析すると、その会社の中には、100億円以上の売上を持っている事業がいくつかあります。つまり、当社も少なくとも6社以上、量産新製品100億円以上の市場を取り込まなければ、1,000億円にならないということです。スライドの(2)に記載の内容は、このようなことを踏まえています。

5-⑦.2030年への成長戦略

100億円越えのテーマは、スライドをご覧のとおりです。人工透析装置は、ニプロと組んで行っています。ニプロのホームページをご覧になるとわかると思いますが、2030年に1兆円以上の会社にしようという方向性を示しています。その中に、人工透析装置が入っています。当社に来た際に、台数を今の4倍以上に増やすという話がありました。それを計算すると150億円になる見込みのため、間違いなく100億円を超えていきます。

ライナス社との共同事業の詳細は、後ほどご説明します。

アルツハイマー型認知症については最近PRを始めています。認知症は最近非常に増えており、先日、NHKの朝のニュースにも出ていましたが、認知症で行方不明になった人は、昨年1年間、日本全国で1万8,000人ほどであり、どこへ行ったかわからないということです。

当初、アルツハイマー型認知症の装置は、アメリカの会社も含めエーザイが認可されました。薬事審議会では総合的なものが中心ですが、当社が今開発を進めている機械は、認知症がどこに値しているかを検査する機械です。他にもいくつか機械がありますが、いろいろと操作が難しいところがあります。当社の機械は値段が安く、簡単に判定できるかたちで進めており、少なくとも来年度中には出せるという認識です。そのような意味で、非常に期待しています。

ご質問があれば、この間も発表させていただいた国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター研究員で医学博士の滝川先生にお聞きしますので、ぜひご質問をいただきたいと思います。

キャリアテープは、電子部品をコートでつまんで中に入れて封をしていく機械で、こちらにも期待しています。パワー半導体も増えています。

また、SDGsの流れに沿った包装機について、最近はデパートで購入するよりもネットショッピングを利用するケースが多くなっています。それを1つずつ包装する機械を作り始めています。

このように可能性のあるものをテーマとして並べています。これらを全うして結果を出したいと思っています。

5-⑧.2030年への成長戦略

ライナス社について、詳しくお話しします。事業内容としては、自閉症が一番の対象となっています。自閉症というのは、医師と本人の問診によって判断されるものです。つまり、少なくとも子どもが4歳から5歳くらいにならなければ、判断できないのが現状です。しかし、髪の毛を使えばわかります。

自閉症は、生まれた直後が一番大きなポイントになるそうです。したがって、この機械は非常に有効だと思っています。そしてこの仕事を、アジアではワイエイシイが行う方向になっているため、その準備を進めています。このように、いろいろと希望を持っています。

スライドに記載のように、自閉症だけでなく、癌などにも取り組んでいきます。人間が判断する際は病院で採血しますが、こちらは髪の毛ですので、郵送で検査ができます。そのような意味で非常にメリットがあるため、来年度中にはできる方向で取り組んでいきたいと思っています。

5-⑨.100周年への新成長戦略

100周年への新成長戦略についてです。先の話ですが、BtoCを中心に考えて取り組んでいけば、3兆円程度の成長はできるという判断で進めています。

私は上しか見ていない男ですので、いろいろと問題もあるかもしれませんが、とにかくより多く社会に貢献することを最大のテーマにおいて、運営しています。

ですので、ぜひみなさまにもご意見をいただき、それを取り入れてがんばっていきたいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。私からのご説明は以上です。