ココナラの事業内容
鈴木歩氏(以下、鈴木):本日はよろしくお願いします。最初に決算説明としてFY2023の全体観をお話しするとともに、中盤で来期のガイダンス、最後に今後の成長の方向性についてご説明します。
既存のサービスとしては3つあり、スライドに掲載しているとおりです。後半でもご説明しますが、今後、ココナラ経済圏としてサービスラインナップを増やしていくにあたり、名称を変えています。
スキルのマーケットプレイス「ココナラ」は、「ココナラスキルマーケット」というサービス名に変更します。「ココナラエージェント」は、現在、特にIT開発領域に取り組んでいるということで「ココナラテックエージェント」に変更します。
2023年8月期通期決算ハイライト
決算ハイライトです。連結は、売上高が前年比プラス22パーセントの46億円でした。Non-GAAP営業利益は、もともとはFY2025通期で黒字化を目指すと掲げていましたが、2期前倒しのFY2023で達成することができました。
「ココナラスキルマーケット」は、流通高が前年比プラス15パーセント、売上高が前年比プラス16パーセントとなっています。短期では新型コロナウイルス感染拡大の影響や、リオープニング等の向かい風等もありましたが、今後どのような施策を行うかについて後半でご説明します。
「ココナラ法律相談」は引き続き順調で、売上高は前年比プラス40パーセントと成長しています。トピックスとしては、「ココナラテックエージェント」を開始し、第4四半期においてポートエンジニアリングをM&Aによってグループ化して、基盤とすることに成功しています。
加えて、みずほ銀行との合弁会社・みずほココナラの設立に基本合意し、来年の1月に向けて準備しています。今回は、ココナラ経済圏構想の中においてどのような新規サービスを展開するのか、詳細にご説明できることをうれしく思っています。
通期業績推移
通期業績推移です。売上高はプラス22パーセントで、Non-GAAP営業利益は2,900万円の黒字となっています。
売上高推移(通期)
「ココナラスキルマーケット」と「ココナラ法律相談」はともに伸びています。
売上高推移(四半期)
四半期ごとの売上高推移です。今回は、「ココナラテックエージェント」領域のポートエンジニアリングが「ココナラスキルマーケット」に内包されている影響で伸びています。
スキルマーケット 流通高・売上高・テイクレート推移(通期)
流通高は、「ココナラスキルマーケット」単体としては前年比プラス15パーセントで、テイクレートは安定して27パーセント台をキープしています。
スキルマーケット カテゴリ別流通高推移(四半期)
カテゴリ別流通高の推移です。制作・ビジネス系が前年同期比プラス11パーセント、相談・プライベート系が前年同期比プラス9パーセントの成長となっています。
スキルマーケット 購入KPI推移(四半期)
購入UU数(購入ユニークユーザー数)が前年同期比マイナス1パーセントで、1人当たり購入額が前年同期比プラス11パーセントとなっています。補足をしますと、今回はNon-GAAP営業利益の黒字化にマーケティング投資の効率化が一定程度寄与していますが、これまでは、ユニットエコノミクスが成立しないマーケティング集客も一部ありました。
そこで今後は、将来にわたってしばらくは回収が見込みにくい集客手法を削減するという意思決定を行いました。その結果削減された購入ユニークユーザー数の割合が大きいためマイナス1パーセントとなっていますが、この影響を除けばプラスの成長をしています。また、効率が悪いユニークユーザーが抜けたことにより、1人当たり購入額は大きく伸ばすことができています。
戦略的にユニットエコノミクスを出さないユーザーの獲得経路を減らした背景があるため、当社としては悲観せず、引き続きプラスに転じられるように取り組んでいきたいと思っています。
スキルマーケット 会員登録数・購入UU数推移(通期)
会員登録数は前年比プラス22パーセントの成長で、いよいよ400万人を超える水準まで来ています。年間購入ユニークユーザー数は前年比プラス8パーセントと鈍化はしていますが、ユニットエコノミクスを満たさない集客経路を削減したことが一定影響していると考えています。
スキルマーケット サービス出品数・出品者数(通期)
「ココナラスキルマーケット」のサービス出品数・出品者数は、両方とも順調に伸びています。出品数は80万件に迫り、出品者数も40万人を超えるところまで来ています。
スキルマーケット 2023年8月期のプロダクトアップデート事例
1年を通じて、タイムリーに重要な機能をリリースしていくことができました。来期も主要なものをいくつか開発していきますので、追ってご説明します。
法律相談 売上高・登録弁護士数推移(通期)
「ココナラ法律相談」のセグメントです。売上高は前年比プラス40パーセントと好調です。これを牽引しているのは広告掲載ビジネスで、広告費を毎月支払う有料登録弁護士数が前年比プラス24パーセントと成長していることが大きく影響しています。
法律相談 売上高・登録弁護士数推移(四半期)
四半期推移は、スライドのグラフに記載のとおりです。売上高が前年同期比プラス34パーセントで、有料登録弁護士数が前年同期比プラス24パーセントです。
法律相談 ARPPU・解約率推移(四半期)
KPIを分解しています。有料登録弁護士数が増えていますが、ARPPUも順調に伸びてきていますし、解約率も低水準で安定しています。
売上原価+営業費用
全体の売上原価と営業費用です。第4四半期から「ココナラテックエージェント」の領域が加速して一定程度売上が出ている影響で、売上原価が新たに発生しています。
売上高対比は、広告宣伝費等を圧縮できている影響で、四半期では黒字化しています。
職種別の従業員数
職種別の従業員数です。採用は特にプロダクトの分野に注力して継続しており、順調に増えてきている状態です。
財務基盤
財務基盤はスライドの表にあるとおりです。健全さを維持しているため、ご安心いただければと思います。
財務ポリシー
ここからは今期、2024年8月期の業績予想をご説明します。
まずは財務ポリシーです。トップラインの中長期目標は、これまでは期間を定めない流通高として1,000億円と掲げていましたが、より具体的に、今後数年間は前年同期比プラス20パーセントから30パーセントの成長を安定的に実現していきたいと思っています。
経営の優先事項としては、これまでの「トップライン成長を最重視」というところから、「収益性も意識した経営へ」と転換していきたいと考えています。
このようなコンセプトの結果としては、損益の方向性も、FY2024通期でNon-GAAPではなく通常の営業利益で黒字化を目指します。FY2025以降も、安定的な黒字経営を目指していきたいと思っています。
2024年8月期の業績見通し
2024年8月期の業績見通しです。売上高は前年比プラス25パーセントの58億円超、新しく開示を始めたEBITDAは、約4倍となる前年比プラス300パーセントの2億8,000万円としています。そして、営業利益から経常利益・当期純利益までのすべてにおいて黒字化を実現しようと考えています。
営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益は、既存事業の「ココナラスキルマーケット」「ココナラ法律相談」等で利益が出ると想定しており、そちらを今後成長を加速するための新規事業開発への投資に回していきたいと思います。余剰で出ている利益をコントロールしながら新規事業に再配分していくことで、黒字を狙って出せると考えています。
ココナラのVision&Mission
今後の方針についてご説明します。まずはVision・Missionです。Visionは「一人ひとりが『自分のストーリー』を生きていく世の中をつくる」、Missionは「個人の知識・スキル・経験を可視化し、必要とする全ての人に結びつけ、個人をエンパワーメントするプラットフォームを提供する」という内容で、変更はありません。
このようなVision・Missionのもと、今後はそちらに適合するようなサービスラインナップの拡充を実現していきたいと考えています。
ココナラが実現したいこと
ココナラが実現したいことは、引き続き「あらゆる人に機会を」です。ビジネス・プライベート、個人・法人、購入・出品、アマチュア・プロの垣根を越えて、あらゆる方々にバッターボックスを提供していきたいと考えています。
また、オンラインのテクノロジー・ビジネス等にも引き続き注力していきます。「制約からの解放」ということで、時間、場所、環境、年齢、組織に属しているか・属していないかなども越えて、あらゆる方が活躍できる社会を実現していきたいと考えています。
ココナラの中期的な戦略方向性
中長期的な戦略の方向性は3つあります。1つ目に、ココナラ経済圏の構築推進と、法人の利用促進を行っていきたいと思っています。具体的に言いますと、あらゆるニーズの受け皿になる経済圏機能としてサービス統合のランディングページと、あらゆるサービスプラットフォーム共通のエントリーフォームを構築しました。
どのような経路から入ってきたとしても、共通のユーザーデータベースに格納され、そちらを各事業が共有できる仕組みを構築しました。そして、どのような経路から入ってきたとしても、共通のユーザーデータベースに格納されて、それを各事業が共有できる仕組みとなっています。
さらに、その仕組みに乗るかたちで、みずほ銀行との合弁会社であるみずほココナラで、みずほ銀行が抱える顧客に対してしっかりとアプローチすることで、法人アカウントを開拓していきたいと考えています。
2つ目が「ココナラスキルマーケット」の再成長です。FY2023は苦しい部分もあって、コロナ禍やリオープニングによる向かい風の他、「ChatGPT」等の生成AIサービスにより短期的な低単価の部分の置き換え等がありました。しかしそれとは別に、「ココナラ」の既存のコアな価値として成長しているカテゴリも十分にありますので、そこをより刺激して成長させていきたいと思っています。
具体的には、これまでどおりのマッチングの仕組みの中で、需要側、つまり発注する側の方々を海外から取り込み、高単価もしくはリピート案件を生みやすいような大型の機能開発を行います。
加えて、これまではEC型で、サービス出品が先行する機能ほぼ1本で事業を展開してきたのですが、それとは別に、案件に対してスキルを持っている方々が提案するような機能もしっかりとアップデートしながら、あらゆる発注ニーズに応えていけるようにしていきたいと考えています。
3つ目は、プロジェクト型マッチングの新規事業開発です。1年前から始めた「ココナラテックエージェント」のさらなる拡大に向け、この領域での追加のM&A等は引き続き検討していきますし、高単価制作、ハイクラスコンサルティング、アシスタント領域等も順次立ち上げていきます。
ココナラ経済圏の拡大
図等を用いながら、さらに具体的にご説明します。これまで曖昧になっていたところも含めて、サービス名称やコンセプト、どのようなカテゴリを扱うのかについても、今日はしっかりとご説明します。
ここではまず、概念についてご説明します。スライドの表の横軸がマッチングの形式です。左側がタスク/都度課金型でこれまでと同様のマッチング手法のもの、右側がプロジェクト/時間課金型で「ココナラテックエージェント」を皮切りに新しく始めていくものになります。
縦軸はカテゴリです。これまでタスク/都度課金型がメインだった部分に対して、「時間単位でしっかりと活躍したい」もしくは「発注したい」というニーズも市場としては非常に大きいため、そこにも価値提供していきます。
その中で、まずIT開発、デザイナー、エンジニア紹介の「ココナラテックエージェント」から始めましたが、よりハイエンドな経営コンサルティング、事業開発、DXコンサルティング等を含めた、コンサルティング人材を紹介する「ココナラハイコンサル」、事務・アシスタントや、その他CS、経理等を含めた代行/アシスタントのご紹介も行う「ココナラアシスト」、さらに、制作領域におけるよりハイエンドな、実名のトップオブトップクリエイターをご紹介する仕組みである「ココナラプロフェッショナル」もご用意していこうと考えています。
また、右上にプラットフォームと記載しています。このプロジェクト/時間課金型において、手始めとしてエージェント型から始めるのですが、最終的にはテクノロジーでしっかりとマッチングしていけるようにしていきたいと考えており、鋭意準備を進めています。可能であれば2ヶ月から3ヶ月以内に、具体的にみなさまにご説明するとともに、プレスリリース等も打っていきたいと思っています。
それ以外では、マーケットプレイス領域での海外対応と、そして先日、記者会見等も行いましたがアライアンスにおけるみずほココナラの座組について、次以降のスライドでより詳しくご説明していきます。
サービスラインナップ
「ココナラスキルマーケット」と「ココナラ公開募集」は、これまでも提供してきたかたちで、マーケットプレイス型になります。我々は仲介だけして、ユーザー同士が直接依頼する都度/納品型のものでした。
ここに加えて、「ココナラプロフェッショナル」は、先ほどお話ししたとおり、ハイクラス実名クリエイターを紹介するサービスです。ポイントとしては、取り扱いカテゴリは「ココナラスキルマーケット」における制作系カテゴリと完全に一致しています。例えば、ロゴや経営資料の作成のようなクリエイティブ系のカテゴリになります。
一方で、これまで仲介型であったのに対して、当社が契約主体となって、マッチングからその先の納品に至るまでクオリティを担保することによって、金額自体は高額になりますが、法人の方、特に大きい規模のエンタープライズ企業も安心してビジネス利用できるようなモデルを実現していきたいと考えています。足元ではすでに兆しはあって、何件か高額受注が決まりそうというところです。
「ココナラテックエージェント」は、これまでのとおりエンジニア・デザイナーの紹介をより加速して、稼働数を増やしていきたいと思っています。
スライドの表の「ココナラテックエージェント」から下は、課金形態としては主に時間課金ですが、「ココナラテックエージェント」は人月課金としていきます。
「ココナラハイコンサル」については先ほどお話ししたとおり、ハイクラスコンサルタントの業務委託紹介ですが、経営、事業開発、マーケティング、人事制度コンサルティング、DXコンサルティングなどの領域を、時間課金として当社が仲介していきます。
「ココナラアシスト」は、必要な分だけ時間課金で代行人材を紹介します。事務やオンライン秘書、経理、人事、CSのような方々や、タスク系の制作を行う方々を時間課金でご紹介していきたいと思っています。 「ココナラ法律相談」はこれまでどおり運営を行っていきます。
中長期の成長を見据えたココナラ経済圏構想
ココナラ経済圏構想のイメージを、フローに置き換えた図を掲載しています。集客経路としては、これまでのSEOを中心としたオーガニックの戦略と、Web広告、TVCMです。
TVCM等は効率性を考えて、本当に意味がある場合のみ実施しますので、今後積極活用するわけではありませんが、これまで行ってきたチャネルとしてはあるということと、セールス、ここに加えて、新たに大きな集客チャネルとしてみずほココナラを強化していきたいと思っています。
これまでは、獲得したユーザーを直接「ココナラスキルマーケット」にランディングさせていたのですが、しっかりとココナラオールとして外部人材を活用するのであれば、その手前側で「このようなサービスラインナップで、どのようなかたちでも人材活用できます」、もしくは、働きたい方には「どのような形式でも働けます」というページを用意して、双方に対して登録を促します。
その登録いただいた内容を基に差配されていくと言いますか、「このニーズならこのサービスをご利用してください」と、ユーザーを促していくような仕組みに変更していきます。
これまでは、「いろいろな外部人材を活用したい」あるいは「自分のスキル、知識、経験を活かしたい」と言っても、タスク単発型のマーケットプレイスとなる「ココナラスキルマーケット」だけをご紹介していて、それ以外のニーズがあっても取りこぼしていました。
今後は経済圏サービスラインナップとして、あらゆる方のニーズに応えていきます。「バケツに穴があいていない状態」として、どのような方々もしっかりとオンボーディングして、ココナラのいずれかのサービスをご利用いただけるかたちに変えていきます。
それぞれのサービス経由で獲得したユーザーの情報は、共通のデータベースとして格納し、例えば、評価がどのようなところでも活用できるよう、あらゆるユーザーの知識、スキル、経験を全部可視化して、どのようなかたちでもいつでもご活躍いただけるようにするなど、そのようなところを実現していきたいと思っています。
最終的には「日本有数のスキル、知識、経験の人材データベースを持つのがココナラだ」という世界観を作っていきたいと考えています。
ココナラ経済圏の入り口となるトップページを大幅リニューアル
発注側のトップページのビジュアルです。先ほどお話ししたような「ココナラスキルマーケット」の一歩手前で、経済圏としてプロフェッショナルに直接頼めるマーケットとして、どのようなカテゴリでも扱っており、ニーズに応じていろいろなサービスをご紹介できるということを示しています。
みずほ銀行と合弁会社「みずほココナラ」設立について基本合意
法人へのリーチについてです。日本最古の銀行であるみずほ銀行とともに、彼らが有する優良顧客の方々にリーチしていって、当社としては、スキル、知識、経験を持っている方々をご紹介して、スムーズにマッチングする仕組みを提供していきたいと考えています。
多言語化対応を開始
「ココナラスキルマーケット」再成長に関する新トピックスとしては、海外対応があります。スキルを提供する側は日本ですが、スキルを買う側については一部「メイドインジャパン」を好む国やカテゴリがあります。
そのような需要を喚起するために、まず決済手法としては「PayPal」を導入し、海外の方でもご利用いただけることを示すとともに、言語としては英語、中国語、韓国語に対応し、ニーズを取り込んでいきたいと思っています。
「メイドインジャパン」としては例えば、イラストやVTuberのカテゴリが人気ですし、インバウンドの方々に対しての情報提供、日本に留学する方々に対してのコンサルティング、サポートなどのニーズもあります。今挙げたもの以外にもいくつか戦略カテゴリが存在していますので、その需要を喚起できるかどうかを、今後検証していきたいと考えています。
複数の新規サービスを立ち上げ
複数の新規サービス立ち上げとして、「ココナラプロフェッショナル」「ココナラハイコンサル」「ココナラアシスト」を挙げており、すべてのサービスにおいてランディングページを用意して、しっかりと内容を訴求します。ココナラ経済圏の入り口となるトップページから、ニーズに応じて各種ランディングページへと促し、需要を取り込んでいきます。
私からのご説明は以上となります。
質疑応答:営業黒字化計画について
松本成一郎氏(以下、松本):「今回、営業黒字化計画を示した背景、経緯はどのようなものでしょうか?」というご質問です。
鈴木:いくつか意図はありますが、今のマーケット環境においては、しっかりと利益を出しながらも、一方で成長していくという企業姿勢が求められています。また、それが株価に反映されていくと思っていますので、ご期待いただいている方々のご期待に沿うためにも、黒字化を実現していきたいと思っています。ただ、一方で我々としてはその上でトップライン成長も考えています。
また、我々としては黒字化を実現していきながら、株価も健全な水準に戻していき、引き続き今までどおり、自前できちんとサービスを作っていくオーガニックの戦略で、適切なマーケティングを当ててグロースしていきたいと思っています。
しかし一方で、インオーガニックである適切なM&Aやアライアンス等も駆使しながら、別の角度からの成長も実現していきたいと思った時に、やはりもう1回戻って適切な株価に戻し、そこからファイナンスをして、M&Aやアライアンスの原資にすることも必要になってくると思いますので、しっかりと黒字化を実現したいと考えています。
質疑応答:新規事業の詳細について
松本:「今回の新規事業、『ココナラハイコンサル』『ココナラアシスト』『ココナラプロフェッショナル』について一番手応えのあるサービスはどれになるか? それぞれどのような時間軸で立ち上がるイメージか? 事業拡大に向けて現状の課題をどう捉えているか?」というご質問です。
鈴木:今、ほぼ同時に立ち上げたタイミングですので、現時点で手応えというのは、申し上げるのがなかなか難しいところもあります。
まずこの中で言いますと、「ココナラプロフェッショナル」は、当社が契約主体として間に入るという意味においてエージェント型ではありますが、一方で、活用するSKU自体は「ココナラスキルマーケット」と一緒です。その中のトップオブトップの方々をご紹介するということですし、納品形式としては都度/納品型ですので、我々が得意とするこれまでの成功パターンとしてのマッチングビジネスモデルと共通しています。
そのため、伸ばしていけるイメージはありますし、ユーザーへの事前のニーズ検証等も行っていますが、実際に一定程度のニーズがありそうだと思っています。
イメージとしては、例えばロゴ作成をする場合、大企業の方々は代理店や制作会社に発注すると、1,000万円や2,000万円かかるのが当たり前だということもあります。一方で「ココナラ」では、5万円、10万円、20万円、30万円と、このような世界で作ることができますので、圧倒的な開きがあるのです。
そうすると、その間にニーズが落ちる部分があります。「1,000万円、2,000万円では高すぎるけれども『ココナラ』ほど安くしたいわけでもない。もう少し高くてもいいから、安心して発注できる仕組みにしてくれないか?」というご要望は、今までもずっといただいてきました。
「ココナラプロフェッショナル」は、例えば50万円、100万円という金額はいただきますが、その代わり圧倒的に品質を担保します。一方で1,000万円、2,000万円という発注に比べると10分の1のコストで済むというような世界観のサービスラインナップとして、「ココナラプロフェッショナル」を用意しています。
「ココナラハイコンサル」については、どれだけしっかりとハイレイヤーなユーザーを集められるかということがポイントだと思います。当社は、働き手としてのユーザーを集める力は一定程度あると思っているのですが、一方でその発注ニーズをしっかり捕らまえて当てられるかということは、今後のみずほココナラの座組等次第でもあります。非常にポテンシャル領域ですので、今後次第だと思っています。
「ココナラアシスト」については、今までのタスク単発型でご活躍いただいていたユーザーや出品者とは相性が良い領域だと思っています。ここにおいて働き手の方々の獲得は、一定程度はかどると思っていますので、こちらも「ココナラコンサル」と同様、いかに発注いただけるような企業を集めてくることができるかがポイントだと思っています。
時間軸としては、欲張ってすべてを立ち上げているように見えるのですが、このような各種サービスを立ち上げる時に、エージェントモデルでいくとそれほど高度なプロダクト開発が必要なわけではありません。そうすると、あくまで人力のマッチングが中心となりますので、いかにちゃんと働き手としてのユーザーを集められるかがポイントになります。
我々には「ココナラ」という認知度がありますので、「なんとなく働きたい」「自分の知識・スキル・経験を活かしたい」という方、アマチュアレベルの方から通常レベルの方、超ハイクラスの方まで、本当に日々ものすごい数の方々にご登録いただいています。この部分はあまり労せず獲得していけるというのが1つのポイントではないかと思いますし、一定程度、短期でSKUとしても立ち上がると思っています。
あとは各領域における発注クライアントの獲得の仕方、効率性やスピード感、ここをどれだけ出せるか次第だと思っています。
数年単位では、数億円、10億円という単位で、各事業でしっかりと売上を立てていけるようにしていきたいと思っています。進捗は都度ご説明できればと思います。
質疑応答:2024年8月期の計画について
松本:「2024年8月期の計画について、四半期ごとの売上、もしくは損益の方向性について確認させていただけますでしょうか?」というご質問です。
当社の過去のTVCMで、四半期ごとの損益が大きくぶれたことがありましたので、おそらくそのような背景からのご質問の趣旨だと思います。
まずTVCMについては、今年度行う方針はございません。その上で、現状では四半期ごとの売上や利益の変化について、上期に大きくマーケティングを寄せるようなことは考えていません。
ただ、ポートエンジニアリングの連結が、昨年度の第4四半期、7月、8月の2ヶ月分は連結されています。YoYの売上の成長率という部分では、新年度の第4四半期にトレンドとしては下がるように見える、ということだけお伝えします。
質疑応答:「ココナラスキルマーケット」の見通しについて
「2024年8月期の計画について、『ココナラスキルマーケット』の流通高もしくは売上高がどれぐらいの成長率を見込んでいるか?」というご質問です。
鈴木:資料に盛り込んでいる以上の具体的な数字は開示しづらいのですが、一定程度、保守的に見込んでいるところはあると思っています。
今回、ココナラ経済圏の戦略の中で目玉としているみずほココナラの取り組みや、需要喚起できれば大きいと思っている「ココナラ」の海外領域での発注ニーズの取り込みについては、これから始めていくところですので、今回の予測にはそれらの影響を盛り込んでいません。
しかし、「ココナラ」の海外向け機能はもうリリースしていますので、ここから磨き上げて売上を作っていきますし、合弁会社のみずほココナラも来年1月に立ち上げて、2月から実際にサービスを開始します。
我々としては、どちらも今プラスとしての売上を盛り込んでいないところから、しっかりと作っていきたいと考えています。
質疑応答:広告宣伝費の水準について
松本:「今年度の『ココナラスキルマーケット』の流通高の伸びと広告宣伝費の水準について教えてください」というご質問です。
「ココナラスキルマーケット」の流通高の伸びについては、先ほど、別のご質問に対して鈴木がお答えしたとおりです。
広告宣伝費の水準感について我々の考え方だけ申し上げますと、これまで「ココナラスキルマーケット」でTVCMを打っていましたが、今年度は行いませんので、その分が大きく落ちます。
一方で、「ココナラテックエージェント」のマーケティング費用等については積極的に投資していきますので、その分は増えることになります。トータルとしてはTVCMの分が大きく下がりますので、水準としては下がる方向になります。