2Qハイライト
項大雨氏(以下、項):こんにちは。Kudan代表の項です。2024年3月期第2四半期の決算説明をさせていただきます。
まず、当四半期のハイライトをご説明します。第2四半期の実績としては0.7億円の売上となりましたが、現時点で確定している第4四半期までの売上3.4億円を合わせると、合計で4.1億円の進捗となりました。これにより、今期は第2四半期時点で前期の通期実績を24パーセント上回る進捗となり、今年度の予算達成に対しても非常に好調に推移しています。
その中でも、当社の事業進捗の指標となる製品関連売上は、当初予想の1.5億円から3億円程度に倍増するかたちで上振れており、当社技術の活用が市場にて想定以上の速度で広がっております。
その製品関連売上の内訳としましては、Whale Dynamicへの製品ライセンス2.4億円が新たに確定し、欧州ソリューション事業などで製品関連売上も積み上がっております。これらの進捗の多くはマッピングを中心とした足元の事業拡大によるものですが、その背景にはグローバルでのデジタルツインと空間DXの推進に向けた各国政府や市場の後押しがあり、当社技術に対する社会需要は急速に拡大していくものと見込んでおります。
たとえば、欧州では「インダストリー4.0」によるデジタルツインの推進が活発化し、日本でも「デジタルライフライン全国総合整備計画」が2024年以降に本格化する計画となっており、これらの需要に対して当社のソリューション事業が日欧を起点に拡大していく見込みです。
これらの実績の積み上げに加えて、足元の注力領域であるマッピングとロボティクスが直結する自動運転領域でも事業展開が進捗しております。具体的には、これまで自動運転用の地図生成などのマッピングを中心に技術提供してきたWhale Dynamicと、乗用車自動運転などへのさらなる展開を見据えた資本業務提携を締結しました。
加えて、欧州での「ERASMO」、日欧での自動車大手OEM案件に加えて、中国や中東など他地域へも自動運転関連の技術連携を拡大しています。
業績概要
中山紘平氏:2024年3月期第2四半期の業績について、CFOの中山よりご説明差し上げます。当期は製品関連売上の当初想定からの大幅な上振れや、海外の継続的な為替高による多額の為替差益などがありますが、当社の事業の性質上、当期も例年どおり年間売上の大部分の計上を期末付近に見込んでいるため、現時点では当初の業績予想を据え置きとさせていただきます。
その他、コストに関しては、概ね当初の予想どおりの進捗となっております。
売上
次に、現時点の売上状況のスライドになります。現時点までの進捗に関しては冒頭でご説明差し上げているとおりですが、下期については、ここまでの製品関連売上の拡大を牽引しているマッピング領域に加えて、ロボティクス領域における製品向けパッケージのリリースも行うため、これを呼び水とし、今後のロボティクス領域における製品関連売上の拡大も進めてまいります。
これらの注力領域を中心として、製品ライセンス販売に加えて、開発・ソリューション案件も積み上げて、通年の予算売上達成を目指してまいります。
WD社との資本業務提携:会社概要
項:当四半期にて公表いたしましたWhale Dynamic社との資本業務提携についてご説明いたします。まずWhale Dynamic社の会社概要ですが、Whale Dynamic社はレベル4、レベル5相当の自動運転の独自技術をベースに、自律走行ロボットや自動運転向けに幅広く開発と製品展開をしている会社です。官民一体で自動運転を急進的に進めている中国市場に拠点を置き、さらには日米中東などグローバル市場に向けた事業も広く展開しています。
創業経営者のDavid Chang氏は、Googleの中国版にあたる大手IT企業Baiduが手がける中国国内最大の自動運転プロジェクト「Apollo」の上級製品統括者として開発を主導してきた、中国自動運転業界の第一人者にしてインフルエンサーであります。
顧客・パートナーには、世界2位の電気自動車企業BYDや、世界的なオープンソースエコスシテムであるBaiduの「Apollo」、ティアフォーの「Autoware」、そして中国のみならず世界的にもロボティクスの最先端をいく香港科学技術大学などがございます。中でも、Baiduの「Apollo」とティアフォーの「Autoware」に加盟する会社としては世界で唯一であり、強いグローバル展開力が強みとなっています。
WD社との資本業務提携:これまでの技術連携
Whale Dynamic社との協業に関しては、当社技術の製品化を2022年7月に実現し、これまで製品の市場導入を準備してまいりました。具体的には、Whale Dynamic社が開発し提供する、自動運転用地図を生成する公道向けの車載マッピング機器と、物流や配達用途の自律走行車両型のロボットに対して、当社から自己位置推定と高精度マップ作成のためのSLAM技術を提供し、Lidar SLAMとVisual SLAMの統合に関わる独自技術で高性能化を実現しています。
WD社との資本業務提携:今回の提携概要
今回のWhale Dynamic社との資本業務提携では、Whale Dynamic社の販売拡大に合わせ、今期・来期にかけて製品ライセンスを3億円から4億円締結する方針を結んでおり、そのうち2.4億円はすでに今期中に確定しています。
加えて、グローバルへの地域展開と、自動運転への製品展開を含む成長資金5億円をKudanから出資し、Whale Dynamic社製品の普及を加速することで、製品ライセンス売上の上乗せと継続的な拡大を目指します。
WD社との資本業務提携:両社の製品普及に向けた協業方針
この資本業務提携をもってKudanとWhale Dynamicの両社の製品と技術の普及に向けて協業を加速していきますが、具体的には地域展開と製品展開の二軸での事業拡大に対して、Kudanも営業・開発・サポートで協業を深めていく方針です。
たとえば、Whale Dynamic社は中国最大の自動運転プロジェクトである「Baidu Apollo」の中心メンバーとして、官民に渡り多数の実証案件を展開しており、世界的に見ても自動運転に対して急進的である中国市場にて先端的な実績を積み重ねてきました。
この実証実績と先進性を生かして、需要喚起が進んでいるグローバル市場へも展開すべく欧州や中東を中心に案件獲得に向かう中、Kudanとも協業し、共同でグローバル向けのマーケティングや案件開発、サポートを行っていく予定です。
これに加えて、これまでの自動運転向けの地図生成といった車載のマッピング向けや、自律走行車両といったロボット向けから、より自動運転の本丸に近い一般乗用車の自動運転への製品拡大を行い、Kudanの技術の応用においても共同で開発を進める予定となっています。
このような自動運転での製品展開は、Kudanとしてもさらなる顧客製品化領域の拡大となり、大きな成長機会となる見込みです。
今後の製品関連売上の成長
このようなWhale Dynamic社との進捗は一例ですが、今後の製品関連売上の成長を継続して見込んでいます。今回のWhale Dynamic社との進捗を皮切りに、顧客製品化した各案件においても、同様にパートナーとの事業段階を仕込みから転換、転換から刈り取りに進めていくことで、各案件の製品関連売上の拡大を実現していきます。そしてそのような案件を数多く広げていくことで、当社売上の安定的かつ継続的な成長を目指していきます。
当社技術のマッピング用途に合致したデジタルツイン・空間DXを推進する世界需要が拡大
続いて、当期の足元においてはマッピング用途の事業進捗が加速しておりますが、その背景にはデジタルツインや空間DXを推進する世界需要の急速な拡大がございます。具体的には、世界各国で3次元のデジタル地図を活用し、デジタル社会の推進を狙った政策が展開されており、そこに当社の技術の用途に合致するユースケースが多く含まれています。
たとえば、ドイツでは産業政策「インダストリー4.0」の基軸の一つにデジタルツインが組み込まれて進化しており、大手製造業が次々に大型投資を伴うデジタルツインの実装計画を発表しています。
日本では、「デジタルライフライン全国総合整備計画」をはじめとして、社会インフラの自動化・デジタル化に向けた社会実装を進める官民一体の大規模プロジェクトが計画されており、3D地図やインフラ管理DXなど、空間デジタル技術の実装が推進されます。
ソリューション事業の展開
こうした市場需要の拡大を受けて、ソリューション事業の展開を進めており、その状況を説明いたします。そもそも、ソリューション事業の位置付けですが、Kudanが中長期的な収益の柱としているコアのアルゴリズム、すなわち深層技術を根幹とし、そこから幾層にも周辺技術と組み合わせて統合することで、サービス運用や付加価値サービスが提供できるレベルまでにパッケージを拡大した、いわゆる最終顧客に対する最終パッケージにあたるものです。
このソリューションパッケージによって、より短期間で、そして最終顧客の需要により直結して、Kudanの深層技術の価値を提供することが実現できるようになり、Kudanの深層技術の普及とさらなる顧客製品化を押し広げるものとなります。
現在、ソリューション事業では、2022年より提供を開始しました製品向けパッケージを活用し、エコシステムパートナーと共同でソリューションパッケージを開発し、市場への提供を行っています。
デジタルアセット基盤のソリューション事業の展開
ティエン ハオ氏:続きまして、ソリューション事業の具体例として、Kudanが提供するデジタルアセット基盤ソリューションについてCOOのハオより説明いたします。現在、さまざまな業界にて空間デジタル技術の社会実装が進められておりますが、その中でもとりわけ自治体・公共ドメインにおいて、インフラストラクチャの維持管理やスマートシティの基盤整備に向けたDX需要が拡大しております。
Kudanでは昨年リリースしたマッピング用製品向けパッケージの活用に加え、アセットデータ管理基盤の開発ベンダーやマッピングサービスプロバイダー等の各種パートナーとも協業し、デジタル化からデータベース管理までの統合ソリューションを提供しています。
こちらのソリューションにより、従来の手法よりもデジタルデータの収集・整備効率が10倍から20倍、利用効率が2倍から5倍改善することが実証されており、またインフラ関連業務におけるイノベーションへの貢献も期待できます。
このアセットデータ管理基盤ソリューションは、まず欧州の自治体・公共インフラ領域向けに先行して提供しており、短期的に億円規模の売上への拡大を目指しております。
デジタルアセット基盤のソリューション・パートナー
また、デジタルアセット基盤のソリューション・パートナーとして、新たにハンガリーに本社を置くSTS Groupと基本合意書を締結しました。STS Groupは2002年に設立された、再生可能エネルギーに関するプラントエンジニアリング及びターンキーソリューションプロバイダーです。
既存顧客としてE.ON、RWE、MAVIRなどの欧州大手エネルギー関連事業会社を抱えており、ハンガリーとドイツをはじめ、中東欧、バルカン半島、バルト諸国などでも事業を展開しております。
STS Groupは早い段階からデジタル技術を導入しており、今後技術面及びビジネス面の両方で協業し、戦略的事業パートナーとして欧州におけるインフラDX事業を共同で展開いたします。
案件ハイライト
続きまして、個別案件のハイライトについて説明いたします。引き続きロボティクス領域とマッピング領域に注力することにより、両セグメントにおける顧客製品化に向けた開発案件は順調に進捗しております。
ロボティクス領域では、病院向け自律走行ロボットの複数環境における技術確認が完了し、製品化に向けて大きく前進しました。
また、ロボット用製品向けパッケージを活用した評価案件及び顧客基盤も複数の地域へ拡大するとともに、Kudan技術を採用した開発プロジェクトも複数開始されており、来期に向けた製品化候補も着実に積み上がっております。
また、製品化済み案件においては、IntelのAMRプラットフォーム向けメジャーアップデートとなる「Kudan Visual SLAM」の最新版をリリースするなど、製品ライセンス受注拡大に向けた取り組みも進めております。
マッピング領域では、アメリカ及びインドにおける製品化開発案件が最終フェーズに入っており、今期中での製品化に向けて進捗中です。また、日本においても、ドローンベースのマッピングソリューションにKudanの技術が採用され、新たに製品化に向けた開発プロジェクトが開始しております。それに加えて、マッピング用製品向けパッケージの販売が拡大するとともに、欧州でのソリューション事業展開にも貢献しております。
下半期においては、引き続き深層技術としての「Kudan SLAM」、呼び水としての製品向けパッケージ、また最終形としてのソリューションパッケージを活用し、多角的な事業開発をエコシステムパートナーとともに進めてまいります。
以上で決算発表に関する説明を終わります。