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山下一仁氏:本日はお忙しい中、株式会社明光ネットワークジャパン2023年8月期の決算説明会にご出席いただき、ありがとうございます。代表取締役社長の山下一仁です。本日は、スライドに記載のとおりの順番でご説明します。

会社概要

会社概要についてご説明します。1984年9月の設立以来、明光ネットワークジャパンは多くのお客さまや株主のみなさまに支えられ、今年9月に40年目を迎えることができました。当社は設立当時より経営理念と教育理念の2つを大切にしながら、「明光義塾」を中心に事業を運営してきました。

Purpose

私たちの社会的存在意義となる「Purpose」は「『やればできる』の記憶をつくる」です。「やればできる」という積み重ねが記憶になっていく、そのような「人の可能性をひらく企業グループ」となり、輝く未来を実現したいと考えています。

この「Purpose」に基づいて中期経営計画を策定し、3年目を迎えました。

事業領域

事業領域についてです。既存の「明光義塾」を中心とした教育事業に加え、人材事業の強化を進めることにより、社会環境の変化に強い事業ポートフォリオへの変革を図っています。

決算ハイライト

2023年8月期の決算概要をご説明します。売上高は、明光義塾直営事業の増収や日本語学校事業の回復、連結子会社の増加等により、前期比6.1パーセント増、予想比0.6パーセント減の208億7,000万円となり、連結で初めて200億円を超えました。

営業利益は、新規事業の投資リターンの遅れや、コロナ明け以降も明光義塾のフランチャイズ事業が回復途上にあることから、前期比8.9パーセント減、予想比18.1パーセント減の10億6,000万円となりました。当期純利益は前期比17パーセント減ですが、業績予想を上回る8億円の着地となりました。

決算概要(P/L)

連結損益計算書についてご説明します。先ほどお伝えしたとおり、売上高は前期比6.1パーセント増、11億9,600万円増の208億7,100万円となりました。

売上原価は、保育士や栄養士の転職支援サービスを運営しているSimple社の連結に伴う、人件費や経費の増加がありました。また、明光義塾直営事業の生徒数が増えたことによる講師給の増加や、ベトナムとの経済連携協定に基づくEPA事業などの経費増により、前期比8.2パーセント増、11億9,200万円増の158億1,900万円となりました。

販管費は、Simple社の連結などにより、前期比2.8パーセント増、1億800万円増の39億8,700万円となりました。営業利益と経常利益は、増収を上回るコスト増により減益となりました。当期純利益は、先ほどお伝えしたとおりです。

決算概要(P/L) ~営業利益差異分析(前期比)~

スライドは、営業利益の前期との差異をグラフ化したものです。先ほどお伝えしたとおり、増収の一方で、売上原価や一般管理費が増加したことにより減益計上となりました。

決算概要(B/S)

連結貸借対照表についてご説明します。当期末の資産合計は、前期末比2.4パーセント増、3億7,100万円増の158億1,100万円となりました。無形固定資産は、のれんの減少等により1億2,500万円減少しました。投資その他の資産は、投資有価証券の増加等により4億1,200万円増加しました。

一方、負債合計は未払法人税等の減少等により、前期末比2億2,500万円減の46億700万円となりました。

純資産合計は、その他有価証券評価差額金の増加や利益剰余金の増加等により、前期末比5.6パーセント増、5億9,700万円増の112億300万円となりました。

決算概要(C/F)

連結キャッシュフロー計算書についてご説明します。営業活動で得られた資金は6億800万円、投資活動に使用した資金は3億700万円、財務活動に使用した資金は5億8,800万円となりました。

以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前期比で2億7,800万円減少し、82億8,500万円となりました。

セグメント別実績 売上・営業利益

セグメント別の決算状況についてご説明します。スライドのグラフは、セグメント別の売上高と営業利益を前期と比較したものです。明光義塾直営事業、日本語学校事業、その他の事業が増収した一方で、明光義塾フランチャイズ事業が減収減益となった結果、全体では増収減益となりました。

セグメント別実績 明光義塾直営事業

ここからは、各セグメントの状況をご説明します。まずは、明光義塾直営事業についてです。当期末の教室数は、新規開校やフランチャイズからの譲り受け等により、前期比22教室増の458教室となりました。

売上高は、当社直営の教室数や生徒数の増加に加え、クース・コーポレーションの売上が通期で寄与し、前期比4億9,300万円増の126億8,000万円となりました。営業利益は、子会社の生徒数減少の影響により、前期比1億2,500万円減の11億7,100万円となりました。

セグメント別実績 明光義塾FC事業

明光義塾フランチャイズ事業についてご説明します。教室数は、不採算教室の閉鎖や直営への譲渡などにより、前期比43教室減の1,296教室となりました。

売上高は、ロイヤルティ収入や教材売上の減少などにより、前期比2億5,900万円減の42億6,600万円となりました。営業利益は、経費や人件費等の増加などにより、前期比4億400万円減の12億9,800万円となりました。

セグメント別実績 日本語学校事業

日本語学校事業についてご説明します。日本語学校事業は、昨年4月に入国制限が緩和されたことにより生徒数が回復しました。その結果、売上高は前期比3億500万円増の11億2,000万円となりました。営業利益は2,000万円を計上し、黒字に戻すことができました。

セグメント別実績 その他事業

その他の事業についてご説明します。売上高は、新たにグループインした、保育士・栄養士の転職支援サービスを展開するSimple社や、社内ベンチャーのGo Good社が増収に寄与し、前期比6億5,600万円増の28億300万円となりました。

営業損益は、Go Good社やキッズ事業が利益に貢献したほか、Simple社やHRソリューション事業の赤字圧縮が進みました。その結果、全体では5,900万円の損失計上となりましたが、前期比では2億4,600万円の改善となりました。以上が、2023年8月期の業績報告となります。

中期経営方針

中期経営計画の進捗についてご説明します。2021年9月に中期経営方針を「Fan・Fun Innovation」と定め、当社のファンづくりを推進し、持続的な企業価値の向上と成長を実現すべく、さまざまな取り組みを進めてきました。

年度経営方針

中期経営計画の最終年度となる当期は、経営方針を「“Fan・Fan Innovation”その先へ!」としました。

2024年8月期 経営方針

事業そのものの「その先」はもちろん、お客さまや子どもたちの未来、「その先」をしっかりと見据え、社会環境の急速な変化の「その先」を見通しながら今すべきことを成し遂げ、もう一歩前へ、「その先へ!」踏み出していきたいと考えています。

中期経営計画の最終年度は、未来社会に向けてあらためてお客さま視点に立ち、「人的資本経営」と「デジタル経営」を実現し、「高い付加価値」を創造する年度としました。

人的資本経営

人的資本経営についてです。「Purpose」を起点として「スキルと能力開発」「リーダー育成とサクセッション」「DXとCXの推進」「ダイバーシティ&インクルージョン」「Well-being」という5つの人的資本投資に取り組むことにより、「Vision」の実現と価値の創造を目指していきます。

人的資本経営

具体的には、人的資本経営の起点となる「Purpose」の浸透に向けた取り組みを毎年行っています。今期は対話会や勉強会をさらに強化し、会社と個人の対話や社員同士の対話を繰り返すことにより、コミュニケーションの一層の活性化を図っていきます。

人的資本経営

「スキルと能力開発」「リーダー育成とサクセッション」に関する取り組みをご紹介します。新たな価値を創出する次世代経営リーダーを育成するためのプログラムとして、PPP(Purpose Progress Program)を実施しています。

デジタル経営

デジタル経営についてです。明光グループのオペレーションDXの実現に向け、DX領域を「攻め」と「守り」のデジタル化に分けて担当領域や役割を明確にしました。

Go Good社とDX戦略本部を中心としたこちらの体制をもって、新規ビジネスの創造、顧客体験価値の向上、業務効率の改善、インフラ基盤の構築を推進していきます。

デジタル経営

具体的には、生徒と保護者とのコミュニケーションの強化を通じ、CX(カスタマーエクスペリエンス)の向上と、教室業務のDX改革を推進しており、全国の「明光義塾」の教室で「アプリ塾生証」の導入がほぼ完了しました。

デジタル経営

「明光義塾」の直営教室では、今年9月から講師向けの「アプリ講師証」を導入しました。今後はフランチャイズにも拡大し、全国約3万人の講師とのエンゲージメントを強化するとともに、データに基づく講師マネジメントを実行していきます。

デジタル経営

「明光義塾」独自の授業運営アプリケーションシステム「ClaMas(クラマス)」を、今年9月より全国の教室に展開しています。既存のERPシステムとデータを連携し、「アプリ塾生証」を通じて授業報告などを保護者に通知します。

デジタル経営

これらのアプリケーションの開発と展開をより強化することで、シームレスな相互連携とスピーディなデータ活用を実現し、「高い付加価値」を創造しながらサービスを提供していきます。

明光義塾事業

「明光義塾」の「授業の質」をアップデートすべく、「明光式特許10段階学習法」を通して生徒の「取り組むべき課題」を明確化し、本当の学力が身に付く指導を提供しています。また、オンラインの家庭学習見守りサービス「MEIKO!家スタディ」で、家庭での勉強の習慣化をサポートしていきます。

明光義塾事業 ~小学生向けコンテンツのトライアルスタート~

当社としては、小学生に早期から「明光義塾」に通っていただきたいと思っており、今後は小学生向けコンテンツのトライアルを進めていきます。その取り組みの1つとして、小学校低学年を対象とした思考力を養うためのコンテンツを提供します。

来春から、算数に特化した「りんご塾」というコンテンツを「明光義塾」の教室に導入します。すでに城南進学研究社・りんご塾と当社の間で基本合意を締結していますので、この展開をより加速させたいと考えています。

明光義塾事業 ~小学生向けコンテンツのトライアルスタート~

また、小学校低学年を対象に、地域特性とお預かりニーズに対応した「明光ベンキョウ学童コース」の導入を進めていきます。お預かり機能とともに、学習の習慣づけを提供していきたいと考えています。

自立学習RED事業

学習塾事業におけるもう1つの柱である、AIを活用した自立学習RED事業についてです。現在は直営とフランチャイズの教室を合わせて83教室展開しており、その数は順調に増えています。今期は100教室を目標に、フランチャイズの開校をより推進したいと考えています。

丸森町営学習塾

初めての自治体とのアライアンスとして、宮城県丸森町との取り組みをご紹介します。今年9月4日、町営学習塾の開校式を開催しました。この塾は「自立学習RED」の学習システムを使い、中学生の英語と数学に対応しており、現在は57名が通っています。

他の自治体からも問い合わせをいただいていますので、この形態を順次展開していこうと考えています。

キッズ事業(アフタースクール)

キッズ事業についてです。当社のキッズ事業の特徴は、私立小学校におけるアフタースクールの運営受託が増えていることです。他社にはあまりない現象のため、現在はこちらを強化しているところです。これまでに培ったノウハウをもとに、各私立校の教育理念等を踏まえたニーズに合わせて個別最適化したサービスを提供しています。

今年9月、智辯学園和歌山小学校にもアフタースクールを開校しました。来年4月には、千葉日本大学第一小学校でも開校予定です。私立小学校からの運営受託については、今後も積極的に取り組んでいきたいと考えています。

ベトナムにおける取り組み

外務省から受託している「経済連携協定(EPA)に基づくベトナム人看護師・介護福祉士に対する訪日前日本語研修事業」についてです。今年度も3期連続で外務省より受託することができました。

ベトナムでの活動として、10月7日にハノイ大学との共催による日本語朗読会を開催しました。今後もベトナムでの活動に力を入れていきます。

明光キャリアパートナーズ ~リスキリング~

現在、政府はリスキリング(学び直し)を推進しています。人材事業や研修事業を手がける当社子会社の明光キャリアパートナーズが、経済産業省の「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」の補助対象事業者として、一次公募・二次公募ともに採択されました。

今後はこの領域をより充実させ、日本が抱えている生産年齢人口の減少や働き手不足といった社会課題に対し、教育と人材の両軸で「高い付加価値」を提供していきたいと考えています。

2024年8月期 業績予想

最後に、当期の業績予想と配当予想についてご説明します。当社は、中期経営計画「Fan・Fun Innovation」を公表した時点では、コロナ禍の収束後に経済回復が見込まれると予想していました。しかし、期待していたペントアップ需要はなく、これについての見通しは甘かったと言わざるを得ません。

こうした中でも、明光義塾直営事業と日本語学校事業の業績は順調に伸びています。一方で、新規事業における投資のリターンや明光義塾フランチャイズ事業の回復は遅れています。今期は、明光義塾フランチャイズ事業の再成長を目指すとともに、好調な明光義塾直営事業におけるドミナント戦略を強化し、より積極的に開校を進めたいと考えています。

この方針に基づき、今期もフランチャイズ事業からの教室の譲り受けと、直営教室のドミナントによる出店に先行投資します。それにより、連結売上高は当初の目標に対して増加するものの、連結営業利益は減少すると考えています。

以上の結果、当初の経営計画から、通期売上高を220億円、営業利益を12億円に修正し、経常利益を12億5,000万円、当期純利益を8億2,000万円としました。

2024年8月期 配当予想

配当予想についてです。冒頭で「40年目を迎えました」とお伝えしましたが、これまでご支援いただいた株主のみなさまへ感謝の意を表するとともに、創業40周年を記念し、2024年8月期第2四半期末においては1株あたり10円の増配を実施します。

これにより、2024年8月期の1株あたりの配当予想は、2024年2月29日を基準日とする第2四半期末の普通配当12円に記念配当10円を加えた22円と、2024年8月31日を基準日とする期末の普通配当12円の、合計34円となります。

なお、2024年8月期第2四半期末の配当金に関しては、当社の定款の定めにより、2024年4月開催の取締役会で正式に決議する予定です。

以上が、当社の2023年8月期決算のご説明となります。予測不可能な時代の中、さらなる企業価値の向上を目指して尽力したいと考えています。今後も、当社の事業について一層のご理解とご支援をいただければ幸いです。ご清聴いただき誠にありがとうございました。