スターツ出版の事業領域

菊地修一氏:代表取締役社長の菊地でございます。上期の決算についてご説明します。

当社の事業領域は、スライド左側の書籍コンテンツ事業と右側のメディアソリューション事業の2つになります。また、メディアソリューション事業の中でも、「OZプレミアム予約」という送客手数料ビジネスと、「ブランドソリューション」という、雑誌や「オズモール」のサイト等を利用した宣伝・販促ビジネスの2つに分かれています。

2023年 第2四半期決算

第2四半期決算はスライドのとおりです。

第2四半期 売上高推移

売上高の推移です。2017年から順調に右肩上がりで進捗しています。2020年にコロナ禍でいったん下がりましたが、そこから急成長を遂げています。上期は前年同期比130.6パーセントの増収です。

第2四半期 営業利益推移

営業利益の推移です。こちらも前年同期比178.6パーセントの増収で、2020年から業績が急拡大しています。

事業部門別 売上推移

事業部門別の推移は売上のみ記載しています。書籍コンテンツ事業は2020年に急速に伸長しました。一方で、メディアソリューション事業は2020年から急激に落ち込んだものの、現在は復調してきています。

メディアソリューション事業は、「OZプレミアム予約」という送客手数料ビジネスや、雑誌および「オズモール」による街へのお出掛けの宣伝・販促を行っている事業です。そのため、コロナ禍で相当なダメージを受けるだろうということで、人員を10名単位で書籍コンテンツ事業の編集へ、いち早くシフトしました。その際の編集強化が、現在の業績の伸びに結びついたと考えています。

通期業績の上方修正

先般、通期業績を上方修正しました。後ほどご説明しますが、上半期にいくつか想定以上の上振れ要因がありました。下期も同じような上振れ要因があれば、より伸びる可能性はありますが、現段階で見通せる範囲において上方修正を発表しました。

売上高は75億円から80億円、営業利益は17億円から20億円、経常利益は18億円から21億円に上方修正しています。

書籍コンテンツ事業のレーベル別売上推移

書籍コンテンツ事業についてご説明します。当社の書籍コンテンツ事業は、小説投稿サイトを起点とした書籍・コミックビジネスです。スライドのレーベル別売上推移のグラフからも見て取れるように、多くのレーベルが確実に伸びてきています。

毎年、新しいレーベルを創刊しているため、そちらが売上に寄与しています。2023年第1四半期・第2四半期も、2022年第1四半期・第2四半期と比べて着実に伸びています。

Topics 「映画化」決定で実売増加、重版続々

トピックスです。2023年は期初の段階で映画化が3本決定しました。7月7日公開の『交換ウソ日記』、9月1日公開予定の『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』、12月8日公開予定の『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』という3作品です。

映画が公開されることで売上がある程度伸びることは想定していましたが、上期の段階で全作品に「映画化決定」の帯を巻いて店頭に並べたところ、想定以上に売れました。

想定以上に売れた理由として、TikTokでバズったことが挙げられます。かつ、『交換ウソ日記』をはじめ、それぞれの作品は文庫本を出版していますが、同時に単行本も発刊して市場に投入したところ、売上高と営業利益が増加しました。「映画の公開が近づいてきたら売れるだろう」とは思っていましたが、ここまで売れるとは思いもしませんでした。

特に、12月8日公開予定の『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』という作品は6年前の発刊時から売れているのですが、TikTokで再び認知が増加したことにより、売上に貢献しました。

Topics 単行本がTikTokで大バズりし、緊急重版

『すべての恋が終わるとしても』は2022年に発刊された単行本ですが、こちらもTikTokで大バズりし、緊急重版をかけました。

我々がTikTokを仕掛けたわけではありません。誰かがこの本を購入して映像とともにTikTokに投稿したところ、いろいろな人が真似をして、数百件が動画投稿されました。

投稿閲覧数は合計で100万人に近かったと思います。「いいね」がとんでもない数になり、バズっている状態になりました。それにより全国の書店から注文の電話が殺到し、当社の販売部員だけでなく、編集者も電話対応に追われるような状態になりました。

書店の方に聞いたところ、小学生から大学生までの方々、特にZ世代と呼ばれる中学、高校、大学生の方々がスマホを持ってきて、TikTokの画面を見せながら「これください」と言って1冊ずつ注文するといった現象が起こっています。

その結果、作品は累計13万部のヒットになりました。こちらも想定以上の売上となりました。

Topics TikTokショートドラマで実売増加

こちらもTikTok関連のトピックスです。縦型のショートドラマを作るクリエイター集団「ごっこ倶楽部」とコラボレーションし、当社の『一瞬を生きる君を、僕は永遠に忘れない。』という作品のショートドラマをTikTok上で展開しました。

1話2分程度のドラマですが、連続で配信していただき、TikTokでバズったことにより、配信後に約2倍の売れ行きとなりました。

Topics 「鬼の花嫁」累計150万部突破

『鬼の花嫁』という、累計150万部を突破した作品です。スライドに記載のとおり、こちらも想定以上の上振れ要因となりました。

1巻目を創刊した時は、初版が10万部でした。通常の作品では、2巻目、3巻目の売上は1巻目の8割程度に落ちてくることが多いですが、3巻目にいたっては17万部を市場に投入しています。100冊、200冊、300冊というロットで全国の書店から注文が入っているため、このような市場投入ができています。

一般的に出版市場の書籍やコミックは、売れ行きが非常に厳しいです。前年比でも10パーセント超で減少している状態で、かなりの書店で経営が非常に厳しい状態になっています。そのような中で、当社の本は売れ行きがかなり良いということで、ご注文をいただいている状況です。

写真のとおり、『鬼の花嫁』のコミックと文庫本を、大々的に陳列展示する書店が増えています。全国の書店でそのように大きく展示を行っていただけているおかげもあり、さらに売れ行きが加速して、また重版の注文が入ってきます。

ちなみに、『鬼の花嫁』の続巻は現在のところ年内の発行予定はなく、次は年明けの発行予定になります。コミック化までには半年間ほどかかるため、その辺りも計画に若干織り込んでいます。

Topics グラストCOMICS、好調につき5月より月刊化

2年前に創刊した男性向けのコミック「グラストCOMICS」についてです。初めて男性向けの商品を展開したものの、電子書籍も紙媒体も極めて順調に売れ行きが伸びており、最近は連載タイトルが増えてきました。

スライド上部に記載の『不運からの最強男』は現在4巻目で、すでに累計40万部を突破しました。このようなコミック分野において当社は後発中の後発ですが、こちらのレーベルは後発でも他社に負けない人気を博している状況です。

これまで隔月刊だったものを5月より月刊化しており、現在は毎月4冊から5冊を市場に投入することができています。

投稿サイトから作家を発掘、紙とデジタルの循環で読者を拡大

こちらは、当社のビジネスモデルになります。当社は、もともと著名な作家が所属しているわけではなく、コンテンツを集めるために開発した3つの小説投稿サイトに、一般の方々が作品を投稿してくれます。

人間とは面白いもので、ご本人は気づいていないのですが、数百人に1人程度の割合で文才を持っている方がいます。私どもの編集者がそういう方に「本を出しませんか?」とお声がけをして、文庫本を出していきます。

投稿された小説作品は、当社のサイトから無料で読めるため、デジタルで配信するというよりは、最初は売れるかどうかを紙の本で試します。売れ行きが良いと、今度は漫画家をつけて、小説を元にコミックを描いてもらいます。コミックは電子書籍として配信して様子を見ます。その売れ行きが良ければ、最後に紙のコミックを書店の店頭に投入するという流れです。

最初はデジタルで入ってきたコンテンツが、紙になり、電子になり、再び紙になるという、電子から紙へ、紙から電子へという循環を行う間に、実は読者が広がっていきます。

また、この過程の中で誰かがコンテンツを捉えて、TikTokなどのSNSで「これがすごく良い」という評判を広めてくれます。

読者ターゲットを細分化し、マーケティングを徹底

読者ターゲットを細分化しマーケティングを徹底しています。小学生から中学生、高校生、大学生、大人の女性、大人の男性というかたちで読者を区分しています。高校生あたりまではデジタルではほとんど課金しないため、デジタルは大人向けです。スライド上段が紙、下段がデジタルの作品ですが、子どもたちは紙で購入してくれます。

Z世代に、“本を読む文化”の需要創造

ここ数年の出版業界は、「紙は駄目だけれども、電子は何とか売れている」というところが多いようです。しかし、当社は電子の売れ行きも良いものの、紙も非常に売れています。

それを牽引しているのが、Z世代と言われている10代から20代前半の、小学生、中学生、高校生、大学生です。Z世代の人たちは、生まれた時からスマホネイティブ、デジタルネイティブです。なおかつSNSネイティブであり、タイムパフォーマンスを重視し、かつ自分らしい価値観を持っています。

本来、この方たちはあまり本を読みません。生まれた時からスマホがありますから、本ではなくスマホから十分に情報を獲得できているためです。ところが、この方たちに当社の紙の本が売れているわけです。こちらに記載のとおり、私どもの社会的な役割として、Z世代に本を読む文化の需要創造ができていると考えています。

左上に記載のとおり、ご存知かと思いますが人口ピラミッドは釣鐘型になっており、一番のボリュームゾーンは70代の団塊世代です。この方々が日本の出版文化を引っ張ってきた世代であり、団塊ジュニアの世代もすでに50代を迎えています。

50代以上が従来の読者層であり、基本的に本や新聞も読むといった方々です。ほとんどの出版社は、これまでの数十年間をこの方々とともに発展してきたわけです。ところが、過去20年間、デジタルの普及と少子高齢化とともに、本の売れ行きは次第に落ちてきました。

一方で、人口数が少なく、生まれながらにスマホネイティブで「本なんか別に読まないもんね」というZ世代の方たちは、私どもの出版している本を知ることで、本の良さに気づき始めたと感じています。

TikTokを見ると、「生まれて初めて紙の本を買った」「本屋に行ったことがない」「本屋に行くんだったら、どこの本屋に売っているの?」というようなコメントが見受けられます。

それに対して、「ここの本屋にあったよ」「ここはなくなっていた」や、「なかったから店員さんに『TikTokで見たので』と言って申し込みました」といったコメントが多数並んでおり、そうしたコメントを見ると読みたくなってくるものです。また、読んだ方も感想を投稿しますので、やはり読みたくなります。

『すべての恋が終わるとしても』は、それぞれ1話140字で完結の恋の物語で、見開き2ページだけで完結しています。非常に読みやすいうえに、1ページ1ページ開くごとに涙が出てくる、という作品なのです。

初めて紙の単行本を読む方たちにとっては新鮮なようで、本を自分で買ってTikTokに動画を投稿したり、本を部屋に飾ったり友だちに自慢したり、「この本を読んで泣いた」というコメントをTikTokに投稿したりしています。

私どもは現在、書籍を毎月50冊発行しています。編集長は30代ですが、編集者は30名ほどおり、ほぼ20代です。読者と等身大の感覚を持つ人たちが作っているため、受け入れられているのだと思います。

読者から「『スターツ』やばい」「私『スターツ出版文庫』大好き」など、「スターツが大好き」という感想をいただきます。

これまで紙の本を読まなかった方たちも「今月の『スターツ』も良いよ」という感じで毎月書店に行ってくれています。8ページの右肩上がりのグラフにあったように、新規の読者が増え、その方々がリピートしているとご理解いただければと思います。

メディアソリューション事業

メディアソリューション事業についてご説明します。メディアソリューション事業では2つのサービス展開があります。

1つはプレミアム予約事業です。「オズモール」に厳選した店舗のみを掲載し、「OZのプレミアム予約」送客手数料でビジネスを行っています。

もう1つがブランドソリューション事業です。「東京地域密着×リアル体験」で自社メディアのブランド力を活かしたソリューションビジネスです。当社で36年続くブランド『オズマガジン』を利用したソリューションビジネスも手掛けています。

オズモールのプレミアム予約とは?

「OZのプレミアム予約」、女性サイトの予約サービスとしてスタートして27年目になります。会員数は400万人を超えました。

現在は大手予約サイトが数多くあり、サイトから予約することが当たり前になっています。当社は大手ではありませんが、変わらず多くのユーザーに「OZのプレミアム予約」をご活用いただいています。

「オズのプレミアム予約」は順調に拡大

こちらは「OZのプレミアム予約」の掲載店舗数と予約組数を表したグラフです。グラフを見てもおわかりのように、順調に拡大を続けています。

折れ線グラフで示している予約組数については、2020年はコロナ禍により業績が一時的に悪化しました。しかし、そこから持ち直し、今年の上期にはコロナ禍前である2019年と比較して121パーセントで予約組数が伸びています。

単価については、夜の予約人数が少ないため以前ほど上がっていませんが、予約組数は堅調に推移しています。

関東に加え名阪エリアも、オズモール掲載店舗は順調に拡大

掲載店舗数も順調に増加しています。関東は現在5,750店舗、5年前に進出した関西も徐々に数を増やし、合わせて770店舗にご掲載いただいています。

さらに、名古屋を中心とした愛知のレストランも200店舗となり、時間はかかりましたが、関西や愛知も当上期で黒字化を達成しました。ゆっくりとした進捗ですが、今後は掲載店舗数を数倍に増やしていけると考えています。

オズモール「手土産予約&テイクアウト予約」スタート

最後に、「オズモール」の「手土産予約&テイクアウト予約」についてご説明します。コロナ禍と関係なく、有名店のメニューをご自宅で楽しんでいただけるサービスとしてスタートしました。憧れのホテルや人気パティスリーのケーキや焼き菓子などがテイクアウトできます。

こちらも大変好評で、普段は直接店舗に買いに行ってもなかなか手に入らない有名店のケーキや焼き菓子も、「オズモール」で予約して購入されるお客さまが増えています。

雑誌×オリジナルコンテンツ×商業施設の集客イベントスタート

ブランドソリューション事業についてご説明します。

「雑誌×オリジナルコンテンツ×商業施設」のリアルの集客イベントは2020年よりほぼストップしていましたが、ようやく今年の上期から再スタートできました。

『オズマガジン』プレゼンツとして東京ソラマチで開催したイベントでは、5日間で約1万8,000人を動員しました。また、『メトロミニッツ』とGINZA SIXが開催したイベントでも、約4,000人の方々にご来館いただきました。

現在、こちらの事業はまだ赤字ですが、確かな手応えを感じています。来期以降はさらに人員を投下し、イベントビジネスを積極的に増やしていこうと考えています。

「人への投資」で、個人と会社の持続的な成長と発展を

スライドには「『人への投資』で、個人と会社の持続的な成長と発展を」と記しています。

当社において、最も貴重な資源は「人」です。先ほどご説明したように、20代の若手社員が奮闘して良質なコンテンツを作り、大きな収益を上げてくれています。

そこで、この4月以降、当社では大幅に人件費をアップしました。大幅なベースアップ等を行い、全体のモチベーションアップを図っています。

人材育成にも力を入れています。新メンバーサポート研修や女性リーダー養成講座、昇格者研修、「ミライプロジェクト」といった人材育成のほか、「リアル×オンライン勉強会」も毎月行っています。

また、若い社員も多いため、コミュニケーション&モチベーション向上策にも取り組んでいます。「モアジャム」と称して、全員で河口湖のグランピング場へ1泊2日の研修旅行に行ったり、部署を跨いだランチ会を開催したり、「大人の遠足」として部署単位で登山に行ったりと、さまざまな施策を企画しています。

このように社員のコミュニケーションとモチベーションを高める施策に投資すればするほど、良い仕事、そして良いコンテンツづくりにつながっていくと実感しています。

私ども上席者が「これをやれ、あれをやれ」と指示しなくても、社員たちを元気づけるような施策に投資していくことで、おのずとがんばって良い結果を残してくれる循環が生まれています。

人への投資は年間で数億円単位に上るため、これがなければおそらく利益はさらに伸びると思います。しかし、人の成長こそ当社が今後も大きく成長し続けていくパワーになると私は確信しています。今後も人への投資は積極的に行っていきます。

感動プロデュース企業へ

スターツ出版のビジョンとして「感動プロデュース企業へ」を掲げています。さらに、「文化と笑顔の需要創造」という新たなミッションも設けました。このビジョンとミッションを実現していくため、今後もがんばっていきたいと思っています。ご清聴ありがとうございました。