目次

長田修氏:みなさま、こんにちは。株式会社長栄の長田でございます。本日はお忙しい中、当社の説明会にご参加いただきありがとうございます。

目次に記載のとおり、本日は会社概要、事業内容、株主還元、成長戦略の順にご説明します。なお、補足資料として、2023年3月期の決算概要を添付しています。

会社概要

当社は1988年4月に京都市伏見区に設立しました。現在は、京都市下京区に本社を移しています。スライド右上の写真の自社ビル内には本社があります。

当社の事業は大きく分けて2つです。1つ目は、創業以来営んでいる不動産管理事業です。京都府を中心に滋賀県、大阪府、愛知県、東京都、千葉県に出店し、不動産オーナーさまから賃貸マンションの管理業務を受託しています。

2つ目は、不動産賃貸事業です。当社は管理会社で、自社でも賃貸不動産を所有しており、関西、関東、中部、九州にて賃貸事業を行っています。管理戸数は2023年3月末時点で自社物件を含め2万6,004戸です。その内訳は、管理受託物件が80パーセント、自社所有物件が20パーセントです。

エリアについては、現状、京都府内の物件が80パーセントを超えていますが、滋賀県、大阪府、愛知県、関東、九州へエリアを拡大しています。

沿革

当社の沿革についてご説明します。農家であった私の父が所有する賃貸不動産の管理を行うために、1980年に京都府伏見区に創業したのが当社の始まりです。創業当時は前例のない未成熟な業界でもあり、賃貸不動産の管理業務を手探りで行っていました。しかし、方策を考え業務を改善すれば将来性がある事業だと確信し、1988年4月に株式会社長栄を設立しました。

その後、管理受託戸数および自社物件戸数は堅調に増加を続け、2000年に滋賀県、2006年に大阪府、2018年に愛知県、2019年に東京都、2022年に千葉県に、賃貸不動産の管理業務を行う管理センターを開設しています。

近年では、福岡県や熊本県など九州地方での物件購入も行っており、着実に業務を拡大しています。

また、2021年に東証二部へ上場し、現在は東証スタンダード市場に属しています。

不動産管理事業

当社の2つの事業内容についてそれぞれご説明します。まず、不動産管理事業では、不動産オーナーさまから不動産マンションの管理受託を行い、不動産価値を最大限に高めるべく賃貸経営に必要となる家賃管理・入退去管理・設備点検・清掃業務・空室対策などの管理サービスを一貫して提供する管理センターである「Bellevie(ベルヴィ)」を展開しています。京都市内に18店舗、宇治市内に1店舗、その他の地域を含めて現在24店舗を展開しています。

さらに、当社のさまざまな専門部署にて不動産仲介、リフォーム、入居者さま向けのサービスの運用を一貫して行うことで、不動産オーナーさまのスムーズな賃貸経営を実現しています。

当社へ支払う管理費は入居戸数に連動することが特徴であり、入居率を高めることで不動産オーナーさまと当社、双方の収益性を高めることができる管理形態です。

類似サービスとの比較

スライドの表は、他の管理会社と類似サービスを比較したものです。管理会社には分譲マンションの管理会社や、賃貸マンションのサブリース会社もあります。

当社は一般の不動産オーナーさまから賃貸マンションの管理受託を行い、マンション経営をサポートする、賃貸マンションの管理業を営んでいます。他社と異なる点は、従来不動産仲介会社や建設会社が本業の付随サービスとして行ってきた賃貸マンションの管理を、創業以来本業として注力している点です。

他の管理会社との違いと業界環境

他の管理会社との違いと業界環境についてご説明します。先ほどのご説明のとおり、当社では創業以来、不動産管理業を本業として営んでいます。不動産管理を独立したサービスとして捉えています。

不動産仲介や建設業の付随として管理を行うのではなく、専門職としてマンションオーナーさまと入居者さま双方のニーズに応え、賃貸経営のサポートや高い入居率の維持、入居者満足度の向上など、きめ細やかで高品質なサービスを提供することで、対価を得るものと考えています。

当社の考えに対し、管理を本業としない不動産管理会社では、建築費や賃貸契約の仲介料を得ることが主な目的であり、当社の考える不動産管理業とは性質や目的がまったく異なります。

当社は不動産管理に対する社員教育が重要であると考え、現在は国家資格となった「賃貸不動産経営管理士」の資格取得を創設時より推奨し、現在では50名以上が資格を保有しています。コロナ禍以前は、賃貸市場が盛んなアメリカの研修を20年以上前から実施しており、今までに100名以上が参加しています。

また、スライド下段に記載のとおり、2021年には不動産管理を本業とする当社に追い風となる賃貸住宅管理に関する法律も施行されました。登録の義務化や国家資格者の配置義務化などにより、不動産管理業の社会的地位や信頼度の向上、市場の活性化が大いに期待されると考えています。

当社の掲げる大きな目標は、入居率120パーセントです。満室を維持し、空き待ちが20パーセントの状態を目指して、さらなるサービスの拡充を図っていきます。

事業KPI:不動産管理事業

当社の自社物件を除く管理受託戸数と入居率の推移をご説明します。管理受託戸数は、長年堅調に増加を続けています。一時的に減少することもありますが、長期的には右肩上がりに増加を続けており、2023年3月末時点で2万863戸です。

賃貸経営を行う上で重要な指数となる入居率においても、当社が管理を行う物件は高い水準を維持しており、2023年3月末に96.2パーセントと、多くの入居者さまから当社の管理サービスが支持されています。

テナントリテンションを実現する入居者向けサービス

管理サービスについてもう少し詳しくご説明します。当社では「入居者ファースト」をスローガンに掲げ、入居者満足度の向上に全力で取り組んでいます。入居者さまに長く快適に住み続けていただくことが、ひいてはマンションオーナーさまの収益最大化につながると考えています。

入居者満足度向上の取り組みには、大きく2つの特徴があります。1つ目は、入居者さまにとって非常に重要な「安心」「安全」「快適」なマンションライフを過ごしていただくために、24時間365日、いつでもトラブルに対応できる徹底した管理体制を構築しています。

スライド左下にある地図の青色丸印は、京都市近郊の当社管理センター「Bellevie」を示しています。管理物件が多く集まる京都市内では、細やかに店舗を展開することで、原則30分以内に当社管理専門スタッフであるレジデンシャルクリエイターの駆けつけが可能になります。

物件の設備状況や清掃状況などを確認し、不具合やお困りごとの発生時には即時に対応できるように、入居者さまの安心安全が確保されています。

2つ目は、当社の管理物件にお住まいいただくすべての入居者さまのマンショライフが楽しくなるように、さまざまなイベントやキャンペーンを実施しています。20年来続けている「長栄チャポン宝゛くじ」は、今年、夏・冬あわせて現金5,000万円が入居者さまに当選する内容となっています。

また、今年の夏に開催される「びわ湖大花火大会」では、入居者さま2,000名を有料観覧席に無料でご招待します。過去には、「木下大サーカス」に4,000名、「京都水族館」に6,000名、「東映太秦映画村」に6,000名を無料で招待するなど、当社管理物件に住んでいることを自慢したくなるような、さまざまな楽しいイベントで入居者還元を行ってきました。

不動産賃貸事業 事業内容

もう1つの事業である不動産賃貸事業では、不動産管理事業で培ったノウハウを最大限に活かし、表面利回り8パーセント以上の高い利回り、かつ賃貸需要の高い物件を購入し、賃貸事業を行っています。

自社物件は原則、当社の賃貸管理部門で自社管理を行っており、そのため管理費の支払いは不要ですが、質の高い管理サービスで賃貸経営を行うことが可能です。

自社物件を多く所有している利点を活かし、当社の自社物件だけを掲載した仲介サイト「choei room popolato(ポポラート)」を立ち上げています。不動産仲介業者を経由しないことで仲介手数料の支払いが不要となり、入居者さまがお得に新居を見つけることができ、家主である当社と直接連絡を取れることで、安心して契約することができます。

また、独自の取り組みとして、産学共同プロジェクト「StamP!-スタンプ-」という取り組みを行っています。京都芸術大学の学生たちによるコンペで選び抜かれた、学生が住みたいと思う部屋作りのアイデアを当社の自社物件で実現するもので、完成した部屋は非常に好評をいただいています。

これら自社物件は2023年3月末時点で5,141戸となり、主に住居用が90.4パーセント、事業用が9.6パーセントとなっています。

リフォームで更に高利回り物件へ

自社物件のリフォーム事例をご紹介します。スライドに掲載の物件は、京都市宇治市の築30年ほどの物件です。当社では物件購入後に、さらなる高利回りを実現するために社内の一級建築士と打ち合わせを行い、物件ごとに最適なリフォームを実施することにより、付加価値が上乗せされた当社ならではの高入居率を維持する物件を所有できています。

こちらの物件では、外壁工事や室内工事など、コンセプトを持った賃貸物件に仕上げることで、最大1万1,000円の月額家賃の増額に成功しています。

不動産賃貸事業:自社物件保有事例

スライドの写真は自社物件のほんの一例です。自社物件の戸数は先ほどお話ししたとおり、概ね140棟5,000戸です。京都府内で1,934戸、大阪府内で1,154戸、愛知県内で836戸、滋賀県内で697戸、その他、神奈川県、千葉県、福岡県、兵庫県にも自社物件を所有しています。

これらの自社物件の家賃収入は、概ね年間50億円です。自社物件の収入は、一般オーナーさまからの管理費収入と比べて非常に収益性が高く、当社としても重要な収入のファクターとなっており、自社物件の取得は、管理会社が成功するための非常に重要な手段です。

事業KPI:不動産賃貸事業

自社物件の戸数と入居率の推移をご説明します。自社物件は基本的に売却を前提とした取得を行っておらず、長年着実に所有戸数を積み上げていくのが特徴です。入居率は、空室の多い物件を購入することで一時的に下がることがありますが、概ね98パーセントを維持することができています。

株主還元

株主還元についてご説明します。当社株主のみなさまに対する利益還元を、経営の重要課題の1つとして位置づけています。2023年3月期は、普通配当80円に加え、特別配当20円を合わせた100円を配当としました。

2024年3月期は、前期配当から特別配当を除いた80円を予想しています。

管理と賃貸を両輪とする事業展開

成長戦略についてご説明します。当社の2つの事業は、不動産管理事業と不動産賃貸事業です。当社はこれら両事業の相乗効果をもって成長を続けています。

不動産管理事業は、自社物件のオーナーさま向けサービスのテストの場として活用することにより管理受託物件の入居率向上につながっています。また、自社物件取得により不動産管理事業における新規進出エリアの管理戸数のボリューム確保に貢献しています。

不動産賃貸事業では、自社物件を当社にて直接管理することで、不動産賃貸事業で長年蓄積したノウハウを最大限に活かし、自社物件の高い入居率の維持、家賃収入の増加、購入物件の選定に大きく貢献しています。

当社はこれからも管理と賃貸の両輪で、さらなる成長を続けていきます。

成長戦略

それぞれの事業の成長戦略についてご説明します。当社の掲げる成長戦略の大きなテーマは、スライドに記載の2点です。不動産管理事業では、既存および新規エリアにおける管理受託戸数の増加です。不動産賃貸事業では、自社物件の取得拡大を一層進めていきます。

管理受託戸数の増加と自社物件の取得拡大

成長戦略の1点目である今後の管理受託戸数の増加については、スライド左側のとおり、中長期的な目標として3万戸を目指しています。当社が考える管理戸数拡大のアクションプランは、「既存オーナーさまへの新規物件の取得提案」「自社物件の取得を通じた、全国15拠点へのエリア拡大」「管理物件獲得手段の多様化」です。

上場後に新たなビジネス提案を受ける機会が増えたこともあり、従来の手法に加え、多様な管理獲得手段を用いて、管理戸数拡大を図っています。2点目の「自社物件の取得拡大」については、スライド右側のとおり、中長期的には2万戸を目標としています。

今後の物件取得方法は従来と変わることなく、原則、表面利回り8パーセント以上が期待できる物件、かつ、大都市圏、都市部の賃貸需要の高いエリアで物件取得を行っていきます。

また、新たな手法として、物件を保有している会社のM&Aなど、物件取得方法の多様化を検討しています。これからも自社物件取得の増強を行い、より高い株主配当の原資に活用したいと考えています。

直近の取得実績例と今後のエリア展開

スライド左側の写真は、直近の自社物件の取得実績例です。2023年3月期には、京都府や愛知県、神奈川県、千葉県、福岡県にて、合計10棟以上の物件を取得しました。

今期も順調に物件取得が進んでおり、新たに熊本県でも取得しました。今後も当社の投資基準を満たす優良物件の取得を積極的に推進していく予定です。

スライド右側の地図では、当社が自社物件を保有する都道府県を緑色、管理センターを出店している都道府県を青色で記しています。現在、管理拠点があるのは京都府、大阪府、滋賀県、愛知県、東京都、千葉県の6都府県ですが、このほかに9都道府県に進出し、日本全国に15拠点に展開したいと考えています。

全国15拠点への展開については、少子高齢化といっても、都市部の人口は増えていますので、地方ではなく都市部周辺を狙って拠点を作っていきます。

金融業界や保険業界、大手企業には必ず転勤があります。賃貸マンションの契約時には、住民票、収入証明、実印が必要であったり、保証人を選出したりと大変な作業がありますが、当社が管理する物件が全国にあれば、家賃と住所は変わるものの、すでに交わしている契約書で次の賃貸マンションに移動できます。

大手企業にとって、移動が簡単にできることは非常に助かると言われます。こちらを推進するためには、北海道から沖縄県までの全国に最低15拠点が必要です。現在の6ヶ所から9ヶ所増やして15拠点とし、入居者さまの利便性を上げていきたいと考えています。

また、持ち家は固定資産税など、周辺で多くの資金が必要ですが、賃貸マンションは固定資産税もすべて家賃に含まれていますので、現金さえあればどこでも好きなところへ行くことができます。ホテルであれば1泊最低8,000円から1万円で、1ヶ月泊まると30万円弱必要ですが、ワンルームであれば約5万円で泊まることができます。例えば「夏は北海道、冬は沖縄」といったように、のんびりと日本各地を点在しながら、気候に応じて移動できます。

自社物件については、2万戸を目指します。現況、自社物件は5,000戸で家賃が約50億円ですので、1万戸になれば家賃は約100億円となります。目標としては、「2万戸・家賃200億円」まで到達させたいと考えています。

これからは少子高齢化の影響で都市部以外では、人口が減っていくことが予想されます。現在、当社管理物件では留学生に約1,000室以上お住まいいただいていますが、留学生だけなく、一般の外国人の方にも来日していただき、安全、安心で食べ物もおいしい日本に住んでほしいと考えています。

今後は中国やヨーロッパ系の人材をスタッフとして招き、海外から日本への移住に対応し、少子高齢化を心配することなく、オーナーさまに喜んでいただけるよう、入居率を上げていきたいと考えています。

ご説明は以上です。ありがとうございました。