はじめに 本日皆様に覚えていただきたいこと

米田光宏氏(以下、米田):ツナググループホールディングスの米田です。本日は当社の事業内容と先日開示した業績などをご説明したいと思います。よろしくお願いします。

それでは、スライドに記載の順でお話を進めていきます。上から2番目に「私たちが取り組む社会課題」と記載していますが、ツナググループの将来性について、みなさまも興味を持っていただいていると思います。セミナーのような形式にはなってしまいますが、我々が今取り組んでいることとその市場に関してもご説明したいと考えています。

会社概要

会社概要です。今から16年前の2007年に設立しています。

私はもともと、2007年までリクルートに在籍していました。リクルートは、今も昔もいわゆる求人広告の領域で大手企業です。私はそこで商品企画や事業企画に携わってきたのですが、この2007年前後に、1993年のバブル崩壊以降初めて有効求人倍率が1倍を超えました。つまり人手不足だったのです。

当時、リクルートで私は、「リクナビ」や「タウンワーク」を使った商品の営業をしていました。商品を扱っている会社の営業ですので当然です。さらには「当社の商品を使ってもらえれば、もう間違いないです」とまで言っていました。

しかし、有効求人倍率が1倍を超えると、例えば飲食店のホールスタッフや店長職の有効求人倍率はだいたい1.5倍を超えるくらいとなり、なかなか採用できません。そうなると、「リクルートの商品だけでは課題解決できないのではないか」ということを、営業の立場である自分は強く実感するようになります。

例えば、八王子駅前でランチ営業もしている居酒屋であれば「地元の主婦に働いてもらいたい」というニーズがあり、それならば折り込みチラシのほうがよいのではないかというアイデアが出てきます。あるいは、夏に調布で花火大会がある時は、周辺のコンビニエンスストアでドリンク需要が高まるのですが、その日だけの特需のためにレギュラーのアルバイトを雇ってしまうと固定費が増えてしまうため、派遣のほうがよいのではないかと考えます。

もっと言えば、お客さまは「採用しなくてはいけない」と言っていても、私の目から見たら、採用してしまうと固定費が上がってしまうため、逆に採用せずに、ロボットを入れて生産性を上げたほうがよいのではないかといった提案をしたほうが良いということもあります。つまり、特定の商品だけを売るのではなく、お客さまの立場に立ってコンサルティングをしたいと考えて作ったのがこの会社です。

例えるならば、我々は金融でいう「ほけんの窓口」のような会社です。自分にとって一番良い保険が何かを相談できる相手はなかなかいません。それぞれの保険会社が「当社の保険に入ればベストですよ」と言ってくる中で、相談した上で一番良い保険商品をアドバイスしてくれて、保険会社と交渉までしてくれる存在だと考えていただければ、少しわかりやすいと思います。

そのような経緯で2017年にスタートしたツナググループですが、当初は東証マザーズに上場し、現在は上場6年目、スタンダード市場となっています。

会社概要 売上高推移

創業時から2022年9月期にかけてCAGR32パーセント増の成長を果たしています。後ほどご説明しますが、我々は基本的には飲食店や観光業などのサービス業、あるいは介護職員、運送ドライバーなどのエッセンシャルワーカーに近いような現場スタッフの採用支援を行ってきました。

そのため、コロナ禍においては非常に影響を受けてしまいました。例えば、我々のお客さまの規模として一番大きな飲食業界も、2020年、2021年はほとんどのお店が休業を余儀なくされ、採用どころではありませんでした。しかし、現在はリスタート・リバウンドの中でしっかりと業績を上げています。

会社概要 株価推移

スライドのグラフは株価の推移です。株式分割や第三者割当などを行っているため、そのままの時価総額の推移ではありませんが、やはり業績と連動していることが見て取れます。

2022年には、年初来最安値の238円まで株価が落ちましたが、2023年7月25日現在は660円くらいまで復活してきています。株主のみなさま、投資家のみなさまの我々に対する期待が株価にも反映しているものと考えています。

会社概要 株価推移と営業利益推移

スライド下段のグラフは四半期ごとの営業利益の推移です。まさに2019年から2021年にかけて、コロナ禍の影響を非常に大きく受けた結果、5四半期連続で赤字決算となってしまいました。ただし、それ以降は我々自身の構造改革や、世の中的な人手不足の高まりをもって、業績が回復しているところです。

社会課題への取り組み こんな場面に出くわしたことありませんか?

我々が主戦場とするマーケット、つまり人材サービスについてです。先ほどお伝えしたとおり、我々はサービス業を中心としたアルバイトやパート、あるいは現場社員の採用支援を行っています。

コロナ禍が明けて、みなさまが居酒屋に行った時に「空いているのになかなか店員が来ないな」と思ったことはありませんか? ホテルにしても、今は稼働率100パーセントのところはほとんどありません。80パーセントくらいの稼働率となっている現状です。

お客さまはどんどん来ているのに、なぜこのような状況が起きているのか、また今後の人材マーケットがどのようになっていくのかについて、数字を交えてご説明したいと思います。

社会課題への取り組み 目の前に迫る「危機的人手不足」

スライド左側はインバウンド旅行客、つまり訪日した人の推移です。第3次安倍内閣の政策として、2020年の東京オリンピックまでに2,000万人を目標として掲げていましたが、一気に上方修正して、2019年には約3,188万人の方が諸外国から訪日しました。

それがコロナ禍によって、2021年には約25万人まで急落しました。インバウンド旅行客の多くは、ホテルや飲食店、ドラッグストアを利用していたため、そのような小売やサービス業のお客さまがガタンと減ってしまったのです。

そこから、2023年は2,000万人まで届くかどうかは微妙なところですが、1,300万人から1,400万人くらいまでには回復する勢いです。2019年に盛んだった中国の団体旅行はまだ再開していませんが、そのような状況の中でも一気にインバウンド旅行客が増えており、東京などの観光の中心地にお客さまが戻ってきました。

当然、この1点においても、人手不足にインパクトがあります。その結果として、スライド右側には有効求人倍率の推移を記載しています。

コロナ禍の2021年5月には1.02倍と、ほぼ1倍を切るくらいまで落ち着いていましたが、2023年5月で1.31倍です。我々のお客さまである飲食店でいいますと、調理で2.72倍、接客・給仕で3.18倍にまで跳ね上がっています。

有効求人倍率3.18倍とはどのようなことかといいますと、1人の飲食店経験者の方が「転職しようかな」と手を挙げると、3つの会社から「うちに来てくれ」と言われている状態です。つまり、会社からすると採用できる確率は3分の1になります。このように飲食業界や観光業界では、今、人手不足が大きく叫ばれています。

社会課題への取り組み 目の前に迫る「危機的人手不足」

また、飲食店には運送ドライバーが食材を運んでいます。コロナ禍のいわゆる巣ごもり需要によって、宅配を使ったEC産業が一気に成長しました。今、宅配では30万個くらいの物流が動いています。これを誰が運んでいるかといいますと、当然、運送ドライバーです。

みなさまもご存じかもしれませんが、「2024年問題」というものがあります。コロナ禍以前に「ブラック企業」といったワードが新聞紙上をにぎわせていた時に、働き方の改善を法律で決めて、残業時間の制限を行いました。しかし、すぐに残業時間を制限してしまうと仕事が回らない物流業界においては、2024年までに各企業でドライバーを採用するなど、残業規制に対応するよう猶予が与えられました。

2024年に緩和措置がなくなると、稼働時間が13パーセントくらい短くなります。その分の残業ができなくなると、ドライバーの26.6パーセントに影響があり、それを人数換算すると約14万人のドライバー不足が想定されます。今まさに、この「2024年問題」がネットや新聞紙上で話題です。

コンビニエンスストアでは、コロナ禍以前は1日に4回配送していたものを3回にし、今さらに2回に減らそうとしています。2回に減らすためにはどうすればよいかといいますと、例えばレタス(の改良などにより)鮮度が15時間だったものを、36時間にしようという話です。このように物流の数そのものを減らしながら対応していますが、約14万人は足りなくなるであろうことが叫ばれており、人手不足が決定事項として存在しています。

社会課題への取り組み 「人手不足」の背景-少子高齢化による労働力人口減-

よりマクロに見ると、日本の少子高齢化が人手不足にも直接影響しています。

例えば、1965年の出生人口は165万人でしたが、この方たちが2030年には65歳になり定年を迎えます。定年は業界によってさまざまですが、マックスでも65歳かと思います。では、2030年に新入社員となる方の多くが2007年生まれとすると、この時の出生人口が119万人です。その差の46万人のうち、半数が働いていると仮定すると、23万人が労働力不足となります。

私は1969年生まれなのですが、4つ下の1973年生まれの世代は「第2次ベビーブーム」と言われており、そこから5年間は「200万人時代」と言われています。しかし、2007年から6年後の2013年以降には、出生人口が100万人を切ろうとしており、2022年には80万人となりました。つまり、日本の少子高齢化はそれほどのインパクトがあるということです。

2035年には、65歳の人数と23歳の人数の差が100万人となります。半数が働いていると仮定すると、毎年50万人ほどの労働力人口が減っていくということです。50万人といいますと、例えば鳥取県や兵庫県西宮市の人口に相当し、その分がそのまま労働力人口の減少となります。日本における人手不足は構造的な課題であり、我々は大きな社会課題として捉えています。

社会課題への取り組み 「人手不足」の背景-業種別就業者-

労働力人口が減少した時に、一番インパクトがあるのはどこなのでしょうか? このところ「ChatGPT」が話題ですが、サービス業におけるAIやロボットの導入は遅れています。例えばホテルのフロントを完全に自動化する、もしくは人間が誰もいない飲食店が実現するのかどうかも含めて、サービス業における人手不足は人口減少がダイレクトに影響しています。これは未来の話ではありません。まさに今の話なのです。

社会課題への取り組み 2030年「労働力需給GAP」

パーソル総合研究所が発表した「労働市場の未来推計 2030」を見ると、2030年には644万人ほどの人手が不足するだろうと試算されています。反対に言えば、この644万人の人手不足を埋めないと仕事が回らないということです。

では、644万人もの人手不足をどのようにして埋めていくかといいますと、3つの施策が考えられます。1つ目は、追加就労希望者数の労働化です。「シフトにもっと入りたい」という人は実はたくさんいます。

総務省発表のデータによると、昨年度も160万人の労働者が「もっとシフトを増やしたい」と言っています。

2つ目は、非労働力人口の労働化です。例えば、高校生やリタイアしたシニアの方など、65歳以上の人口は労働力人口に含まれていません。そのような方々にいかに働いてもらうかが課題です。AIやロボットを活用し、いかに生産性を向上させるかも考えなければなりません。

3つ目は、外国人の方々にいかに活躍してもらうかということです。我々がターゲットとしているサービス業やエッセンシャルワーカーにおいて、さまざまな取り組みを行わなければ仕事自体が回りません。このような日本の社会課題は、我々の顧客課題にもつながっています。

社会課題への取り組み ボトルネック解消に向けた取り組みを本格化

我々はいくつかの打ち手を講じています。例えば、働く場所を増やしたり、シニアの方に働いていただいたり、働く外国人の方に活躍していただいたりするためのソリューションを提供しています。

社会課題への取り組み ツナググループとは

我々はこれらの取り組みを通じてお客さまをコンサルティングすることで成り立っています。それが、ツナググループ・ホールディングスです。

サービス紹介 主な顧客企業

現在、スライドにロゴを記載しているような企業の採用支援を一手に引き受けています。大手企業が多いことが特徴です。

例えば、セブン-イレブン・ジャパンでは、鹿児島駅の駅前にあるお店で人手不足が生じた場合、「セブン-イレブン採用センター」に電話やメールなどで連絡をいただきます。我々は「鹿児島駅の駅前で、昼間の時間帯であれば、このような採用手法がよいのではないか」と判断し、店長の代わりに採用手法を選定・手配し、応募者と面接日時の設定まで代行します。

我々は、セブン-イレブン・ジャパンをはじめ、スライドにロゴを記載した企業の採用を、お客さま専用の「採用センター」として対応しています。例えば、王将フードサービスでは「王将フードサービス採用センター」として認知されているため、これらの企業の各店舗の店長は、ツナググループという社名を知りません。我々はこのような企業の裏方となり、採用を支援しています。

サービス概要 サービス領域:RPO(採用代行)中心

当社はRPO(採用代行)を中心に、あらゆるソリューションを提供しています。

サービス概要 事業全体像

さまざまなサービスを提供しながら、お客さまの採用を成功に導き、現場のアルバイトスタッフを充足させることに努めています。

業績 売上高推移

業績についてご説明します。冒頭でお話ししたように、大手企業を中心に事業を展開してきた結果、成長につながったと考えています。

また、日本の構造的課題である人手不足について、当社だけが網羅的に対応している点が、大手企業から選ばれる要因だと自己分析しています。

業績 売上高四半期推移

四半期ごとの売上高の推移です。5月に第2四半期の業績を開示しましたが、前年同期比でプラス19パーセントと、四半期で過去最高の売上高を達成しました。

業績 営業利益・営業利益率四半期推移

営業利益は前年同期比プラス46.9パーセントの2億1,200万円と、こちらも四半期で過去最高営業利益を達成しました。

市場の需要の高まりと、当社のコロナ禍の中での生産性向上および筋肉質な構造改革が1つのポイントだと考えています。

業績 貸借対照表

B/Sについてご説明します。自己資本比率も、一時期は新型コロナウイルスの影響で1桁にまで低下しました。しかし、現在はコロナ禍以前の40パーセントに徐々に近づいています。

我々は、自己資本比率の向上を財務ターゲットの1つとしてアクションプランに取り入れています。

業績 2023年9月期 業績見通し

2023年9月期の業績見通しです。第2四半期の決算開示と同時に、営業利益の業績予想を3億3,000万円から4億円に修正しました。現在、第3四半期を終えて第4四半期を進捗している状況です。

株主還元

株主還元についてご説明します。我々が提供しているのは「座布団型(ストック型)事業」です。例えば、広告掲載や人材派遣の料金単価ではなく、お客さまの採用センターを代わりに運営しているため、BPOと呼ばれる業務請負に近い領域です。

つまり、我々は「座布団型事業」であることが息が長いサービスだと捉えており、株主のみなさまに対しても、上場当時から株主還元施策の1つの大きな方針として、しっかりとした配当を出すと宣言しています。

2023年9月期は先期から増配し、1株あたり8円の年間配当金を予定しています。今後も重要施策として、この配当施策に取り組んでいく考えです。

おわりに 今後の予定

今、2023年9月期第4四半期の一月目を終わろうとしているところです。第3四半期の決算は、8月14日月曜日の15時に開示予定です。当日の夜には、私から株主のみなさまや投資家のみなさまにご報告する予定ですので、今回のお話に興味を持った方は、8月14日夜8時からの決算説明会にぜひご参加ください。

以上、我々を取り巻く環境および今後の成長可能性をベースにした人材業界の流れ、業績に関してお伝えしました。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:スポットワーカーのスキルアップへの対応と今後の戦略について

質問者:Appendixの「スポットワーカー登録者数推移」について、スポットワーカーのマーケットが拡大しているという記載がありますが、スポットワーカーの取り組みにおいては、ワーカーのスキルアップ、特にマルチスキルワーカーとしての育成が重要だと考えられます。さらに、年齢層の幅広いターゲットに対して、高齢者でもマルチスキルワーカーとして働けるような育成プロセスを事業化する必要があるかもしれません。そのあたりの対応はいかがでしょうか?

また、取引先の状況を見ると、飲食業やホテル業などのサービス業が多いですが、介護やドラッグストア、食品スーパーなどに業界の幅を広げることで、今回のようなパンデミックが起きても、業績の落ち込みを軽減できる戦略が必要だと思います。この点についてもお聞きしたいと思います。

技術系の業界では常用雇用型の派遣が可能かもしれませんが、ハイエンド型の人材以外の領域では難しいと思います。しかし、マルチスキルワーカーの育成ができ、取引先の幅が広く、人手不足の状況が恒常化しているならば、そのようなアプローチが取れる可能性もあるのではないかと思います。このあたりも含めて教えてください。

米田:3つのご質問に関してお答えします。まずはスポットワーカーについて、現在の考え方と未来の考え方に分けてお話しします。

現在の考え方は、スキルを要するスポットワーカーのマッチングは行わないと決めています。そのような部分に集中すると生産性が悪化する可能性があるからです。

また、現在求められているスポットワーカーは、スキルよりもむしろ人手不足の対応が主要なニーズとなっています。例えば、現在最も多いニーズが物流倉庫のピッキング作業です。そこに短期のスポットワーカーをマッチングさせることが多いのですが、この場合は一定のスキルや経験よりも、「とりあえずこの日に100人集めてくれ」というニーズ多いです。

したがって、足元ではあえて育成を無視して集客を増やし、スキルを要さない人手不足の分野とマッチングさせています。

一方で、ここからは未来のお話ですが、それだけではマーケットが広がらないとも考えています。これからは、スキルを有するスポットワーカーを自社で獲得し、育成していくことが大きなポイントになると思います。

こちらは2つ目のご質問のポイントにもつながるのですが、我々が現在取り組んでいるのは、工場内でピッキングするだけではなく、工場内で「運ぶ人」の育成です。この「運ぶ人」には資格が必要ですが、物流の需要は忙しい時期に急増するため、常時雇用するのは難しい状況です。したがって、我々が資格支援を行い、有資格スポットワーカーを集めて提供することを考えています。

このモデルが成功すれば、介護や飲食業界の調理などでも有資格スポットワーカーのマーケット化が進められると思います。これが未来戦略の1つになると考えており、その取り組みを始めたところです。

したがって、1つ目のご質問としては、現在はあえて育成を無視してマッチングさせる人数を重視していますが、今後は有資格スポットワーカーを自社で育成し、輩出していきます。具体的には介護やドライバー、ドラッグストアの販売職など、自社でスポットワーカーを集め、育成していくことを大きな戦略としています。

2つ目のご質問については、まさに業種の幅が重要です。先ほどお伝えしたように、我々も新型コロナウイルスの影響で大変な思いをしました。営業利益が大きく落ち込んだ部分がありましたが、その中で我々が行った構造改革は、固定費の変動費化だけではなく、対象とするお客さまを変えることでした。そこで我々が最初に取り組もうと考えたのが、物流でした。

例えば、以前はアマゾンジャパン合同会社や佐川急便、ヤマト運輸などの物流企業は我々のターゲットではありませんでしたが、コロナ禍で一気に物流量が増加したこともあり、思い切って手を広げたのですね。

現在も物流関連のお客さまが残っており、同時に飲食業や観光業、サービス関連の需要も回復しています。今後も同様の状況が起こり得るため、業種の幅をさらに拡大していきたいと思っています。そのポイントが、医療・介護だと考えています。

先ほどお伝えしたように、2030年には644万人の人手不足が見込まれます。その中で、どの業界が最も人手不足になるかといいますと、実は医療・介護です。我々はもともと飲食業などのサービス業のお客さまをメインターゲットとしていましたが、コロナ禍で物流のお客さまへの支援も開始し、それがプラスとなりました。次は医療・介護分野のお客さまに対してしっかりと準備し、戦略を構築していきたいと考えています。

3つ目のハイエンド型のマルチスキルワーカーについてです。先ほどもお伝えしましたが、次のスポットワークのマーケットになっていくと考えています。ハイエンド人材というと、これまではIT系が中心でしたが、今後はサービス業におけるハイエンド人材のご支援に重点が移ると見ています。ここで新たなマーケットを作っていきたいと考えています。

質疑応答:世の中のトレンドについて

質問者:御社の人材の流れがわかれば、世の中の需要もわかると思いました。現在最も増えているジャンルの業界やこれまでとは異なる声が上がっている分野など、トレンドがあれば教えてください。

米田:当社は年間約250万人の働きたい方々の受付を代行しています。そのような意味では、業種・職種ではありませんが、スポットワーカーの伸びが非常に大きいです。

私はスポットワーク業界の団体の代表理事も務めているのですが、3年前は約300万人だったスポットワーカーが、現在は1,000万人を超えています。 「この日、この時だけ働きたい」「業種や職種はこだわらない」という働き方を目指す方が非常に増えており、スポットワーカーが大きな流れになっています。こちらはポジティブな面です。

ネガティブな面は、外国人労働者の数が激減していることです。入ってくる数も圧倒的に減っています。日本で働きたいと思っている外国人はコロナ禍前の半分以下だと思っていただいてよいと思います。

その要因として、為替の問題があります。コロナ禍前の110円前後から140円になるということは外国人ワーカーにとって、同じように働いても給料は30パーセント減ることになります。そのため、「もう日本では働きたくない」という方が非常に増えています。

この点は、日本の社会課題を解決するための非常に大きなポイントだと考えています。この秋の臨時国会でも、例えば技能実習の在り方や最低賃金の捉え方について国として対応すると思いますが、同時に我々自身も、魅力ある職場作りをいかにグローバルに発信していくか、お客さまとともに1つの市場として捉えて進めていきたいと考えています。

質疑応答:顧客のトレンドについて

質問者:業界やジャンルについて、人材ではなく顧客のほうのトレンドを教えていただきたいです。

米田:少しご質問とズレた回答になるかもしれませんが、我々がどのようにしてお客さまを開拓しているかというのが1つのお答えになると思います。

コロナ禍明けに業績が急回復している中で、取引社数の増加に一番貢献していただいているのは、ファンドのみなさまです。

ファンドの方が、飲食業や小売業、介護・医療における給食業に投資されており、そちらの業績を伸ばすには人が必要だということで、ファンドのみなさまから我々への「投資先の人手不足をなんとかしてほしい」という声が非常に多くなっています。これはコロナ禍以降の特徴的な部分です。ヒト・モノ・カネの流れの中で、お金と人材のポジショニングが少し変わってきていると思います。

また、業種という点では観光業です。「人材さえいれば部屋が開けられるのに」「人材さえいれば新しい店をオープンできて売上が上がるのに」と人材を渇望しており、悲鳴が上がっています。

観光業はコロナ禍で人材を減らしました。実は、観光業の平均年収は300万円から400万円でした。しかしこのリリースされた人材は、バイリンガルであったり、中国語や英語を話すことができたりする上、ホスピタリティもあるため、他の業種において良い人材だと評価され、観光業に戻っていません。

観光専門学校の話によると、このことは最大の課題となっているそうです。もともと、自分が観光業を志望しているのだからと低い賃金で納得していた人が、コロナ禍のようなことが起これば会社を辞めさせられる上に、他の業種では重宝され、高い報酬を得ることができることが露呈しました。したがって、観光業から出ていく人材は多く、入ってくる人材は少ない事態となり、需給が逼迫しています。

我々はお客さまに対して、労働日数や休日数などの処遇や待遇などを含め、どのような働き方にすればよいかについてコンサルし、人材を集めている状況です。

質疑応答:決算説明資料の仕様変更と「Logi REC」について

質問者:第2四半期から、決算説明資料の仕様に大きな変更がありました。意識して行っていると思いますが、私としては第1四半期のように数字で見られたほうがよいため、ぜひ戻してほしいと思います。スポットワークについて大変興味があり、売上以外にもさまざまなKPIを見れればと思いますので、ぜひ工夫していただきたいと思います。

また、「Logi REC」をリリースしたということですが、無料のメディアであることが引っかかっています。人材の募集を無料で行うと質が落ちるのではないかと非常に気になっています。この時期にこのサービスを出した理由について教えてください。

米田:決算説明資料に関しては、株主のみなさまからそのようなお話をいただくことが多く、Appendixなど開示内容に関しては東京証券取引所とお話ししています。

いわゆる決算説明資料として開示できる範囲と、第1四半期の体裁に戻してお伝えできる範囲は少し分かれるかもしれませんが、次々回の決算説明時には、商品内訳も含めて詳細にお伝えできる見込みです。

2つ目の「Logi REC」についてです。先ほど、今は観光業が人材不足で本当に厳しいとお話ししましたが、2024年になると、物流業が人材不足で本当に厳しくなります。

「Logi REC」を無料で提供することにしたのは、「日々の業務が本当に忙しく、来年や再来年のことなんて考えられない」とおっしゃる、物流業界の多くのお客さまに、人材についてきちんと考えていただくためです。ある意味、当社にとって営業ツールと捉えていただければと思います。

「Logi REC」で興味を持っていただき、我々がコンサルティングすることによって、今後どのように人手を入れていくかについて考えていただきたいと思います。「Logi REC」は単純な求人広告ではなく、1つのきっかけのツールであり、そういった使い方を見据えてプレスリリースしました。来年以降の物流業界の人手不足の対策と、我々自身の営業活動も含めて進めていきたいと考えています。

質疑応答:医療・介護施設等の調理部門の人材不足へのアプローチについて

質問者:介護、医療あるいは観光などといったサービス業のような要素を含む分野で、かつ多少なりとも調理などの専門性がある分野を考えると、サービス付き高齢者住宅などが挙げられると思います。不動産業や建設業などさまざまな業種から参入しており、それなりの入居者数もあります。

基本的には、直営、委託にかかわらず、調理部門が成立しないとサービス付き高齢者住宅のサービス自体が成立しない状況ですが、実際は多くの施設において調理スタッフやその他スタッフの人手が常に不足しており、採用活動をし続けなければならない状態です。以上のような状況に対して具体的に、紹介などでアプローチできている部分はあるでしょうか?

米田:サービス付き高齢者住宅のバックヤード問題は、今まさに、各企業のみなさまが悩まれている問題です。多くは委託したり、もしくは自ら委託会社として別のものを作ったりといくつかの手を打たれており、我々はその部分を直接支援しています。

内容としては、短期的な取り組みとしてスポットワークがあります。調理は資格や経験が必要ですが、業務を分割することでスポットワーカーを活用することができます。地域によって違いはありますが、地方のサービス付き高齢者住宅などではこちらで問題が解決することがあります。

中長期的な取り組みとしては、外国人の活躍が大きなポイントだと考えています。技能実習制度に関して検討されているのが対応職種の広がりで、その中にビルメンテナンスやフードも含まれています。

我々自身も、いったん止まっている外国人の受け入れをもう一度活性化させることによって、介護業界の裏方の採用支援をしっかりと進めたいと考えており、サービス化する予定です。

質疑応答:「座布団型事業」について

質問者:社長がおっしゃった「座布団型事業」とはどのようなものでしょうか?

米田:「座布団型事業」は私が勝手に作った言葉で、一般的にはストック型と言われるビジネスモデルのことです。フロー型は、例えば広告掲載料金などでその都度お客さまとやりとりします。我々が言うストック型は、年単位契約で月次費用をいただきます。そうすることで、座布団が積み上がっていくように安定した業績成長を見込めるということです。

質疑応答:技能実習制度改正への対応や影響について

質問者:技能実習制度改正に関して、御社の対応や影響について、どのように考えているでしょうか? 技能実習の問題は大変重要だと思います。改善されるべきだと思っていますが、御社にとってよくない状況なのかビジネスチャンスなのか、考えを聞かせてください。

米田:結論から言いますと、ビジネスチャンスになると考えています。今、日本における技能実習制度は、諸外国から見てもネガティブな印象を与える結果になっており、それは技能実習制度のスタート時点以来、農業や水産業といったいわゆる第一次産業を中心に進んでいることに端を発します。

当然、事件となっていることに関しては悪意があってのことですが、その他の多くの問題については農業や水産業の方々に悪意があるわけではなく、もともとこれらは時給で換算すると計算がおかしくなる業種なのです。

例えば繁閑の問題があったり、休んでいる時間と働いている時間があいまいであったりする点があります。最低時給という考え方を当てはめるのがなかなか難しいところがあったと思います。

それでは我々はどうかと言いますと、これからは先ほどロゴでお見せしたような、いわゆるエンタープライズといわれる大手企業、かつサービス業の企業において人手不足が起こってくると思われます。その場合は我々が間に入りますので、受け入れ態勢は今までより良くなるはずです。働く外国人の方にとっても良い環境になると考えています。

現在、自動車整備工の分野で進めているプロジェクトがあります。1969年生まれの私の高校時代の工業高校で一番人気があったのは、自動車整備でした。今、工業高校は自動車整備をほとんど教えていません。その理由は、内燃機関が替わるためです。電気自動車に替わっていく中でエンジンについて学ぼうと考える人はいないわけです。しかし、明日からすべて電気自動車になるかといいますと、そうではありません。

自動車整備における日本の高齢化は非常に大きな課題になっています。アジアの国はどのようになっているのかと言いますと、日本で必要とされなくなった中古のエンジン自動車、特に商用車が東南アジアに行きます。そうすると、東南アジアでは右ハンドルのガソリンで動く日本車を整備する必要が出てきます。商用車はたくさん運転されるため、車検だけでなく整備をする人が必要になり、このことはまさに技能実習というメカニズムにぴったりであるはずなのです。

日本で電気自動車が主流になるまでのつなぎの期間に、絶対に必要となる日本車の自動車整備を外国人技能実習生に学んでいただき、中古車マーケットが東南アジアに広がった時には母国で自動車整備のビジネスを成り立たせていただくというのが、本来の意味の技能実習の流れです。

我々のお客さまである日野自動車やいすゞ自動車と、このような流れをともに作ることはビジネスチャンスになると考えているため、しっかりと取り組んでいきたいと思います。