開催にあたって
加山雄治氏(以下、加山):本日はお忙しい中、当社の決算説明会にお越しいただきまして、誠にありがとうございます。株式会社パリミキホールディングス代表取締役社長の澤田将広と、当社執行役員営業部担当兼株式会社パリミキ代表取締役社長の恒吉裕司、そして司会進行を務めます、当社執行役員財務経理担当の加山雄治です。
まず、本日の発表内容についてです。開催にあたって、2023年3月期業績報告、これまでの取り組み、これからの取り組み、2024年3月期業績予想の順にご説明します。
事業報告 社名変更
澤田将広氏(以下、澤田):株式会社パリミキホールディングス代表取締役社長の澤田でございます。
当社は、「トキメキ」と「あんしん」でお一人おひとりを豊かにすることをパーパスとし、世界的なホスピタリティブランドを目指す決意をもって、2022年4月に社名を「株式会社パリミキホールディングス」に変更しました。
それに伴い、主要子会社の「株式会社三城」を「株式会社パリミキ」に社名変更しています。屋号も従来、静岡から東を「パリミキ」、西を「メガネの三城」としていましたが、このたび全国統一で「パリミキ」にしました。
私自身、2016年に株式会社パリミキ、2017年には株式会社パリミキホールディングスの代表取締役社長を拝命し、前期まで兼任してきました。
当初、私が株式会社パリミキの社長になった時期は、2000年から眼鏡業界に非常に大きな環境変化がありました。ファッションの世界ではファストファッションによる価格の崩壊があったように、同業でもスリープライスやワンプライスなどにより、当社の地位もだいぶ揺らいできました。
そこから毎年、売上や客数の減少が始まり、非常に暗いトンネルの中をさまよった時期があります。そのような中で私がパリミキの社長に就任し、まず問題点を整理したところ、やはり若い年代のお客さまの獲得がなかなか難しく、特に大都市圏ではかなり苦戦した状態が続きました。
また、当社の主力店舗である郊外店も老朽化が進んで魅力が落ち、特に新しいお客さまの獲得が非常に困難になってきたということで、店舗の大改革に着目しました。
従来、チェーンストアは同一の店装、商品、サービス、効率を目指すことが、オペレーションの主な内容になります。しかしながら、「お客さまお一人おひとりにお合わせする」というのが、古くからの当社のDNAです。そのような意味でも、地域に合わせた店装が必要ではないかと考え、渋谷店を皮切りに店舗改革を進めました。
渋谷店も1979年からオペレーションを始めましたが、非常に苦しい戦いが続き、改装するまではワーストのお店でした。しかし改装後は、なんとベストの利益店となっています。お客さまに合わせた店舗作りがいかに大切で強力かを証明したということで、まずは東京、大阪、名古屋、神戸、福岡などの100万都市に、強力なエンターテインメント型の店舗を計画しました。
特に日本のサングラスの市場は、個店の平均売上が全体の3パーセントくらいですが、渋谷店を皮切りに原宿、その他のエンターテインメント型の店舗において、売上が全体の50パーセント以上の市場を作りました。これは非常に画期的なところではないかと考えています。
また、郊外店については、みなさまもご存じだと思いますが、お城の形の店舗でした。1980年代当初は、非常に大きな背の高い店舗でインパクトがありましたが、だんだんと老朽化し、魅力が半減してしまいました。
郊外店の再生は、一目では何のお店かわからず、建築途中には「イタリアンレストランだろうか?」「すてきな喫茶店ができるのではないか?」と話題になりました。これはご存じの方がいるかもしれませんが、木造のロッジ型の店舗で、現在まで28店舗を全国で展開しています。
こちらにはカフェを併設しており、木の香りがして非常に居心地がよく、お客さまは楽しくメガネ選びができます。これも画期的なイノベーションだったのではないかと思います。
このように、私が就任して以来、このサングラスの市場の拡大と店舗の改革を主軸とし、特に力を入れて行ってきました。当社には六百数十店舗がありますが、この約半数が新しい店舗、つまりニューコンセプトに置き換わっています。
前期は、非常に長いトンネルをようやく抜けることができました。3年間の新型コロナウイルスによる感染症が拡大していた時期もかなり厳しかったものの、なんとか乗り越えました。そして昨年、みなさまに中期経営計画を発表しましたが、初年度は計画どおりに結果を出すことができました。
最終利益まで黒字で着地できたということは、ようやく未来への道筋ができたのではないかと考え、今まで兼任していたパリミキの社長の役職も、今期より、前期まで金鳳堂の社長を勤めていた恒吉にバトンタッチすることを決定しました。
私としては、パリミキホールディングスの事業にもう少し注力し、各子会社の社長、経営陣と密接にコミュニケーションを図りながら、そのシナジーを作り出し、経営基盤を強固なものにしていきたいと考えています。今後ともご指導のほど、よろしくお願いいたします。
2023年3⽉期 連結業績/PL
加山:2023年3月期の事業報告に移ります。ご覧のスライドは、連結損益計算書の概要です。売上高は474億円で前年同期比107.5パーセント、営業利益は7億3,200万円、当期純利益は5億100万円となっています。
2023年3⽉期 連結業績/PL
売上高の増減についてです。店舗数は出店が18店舗、退店が30店舗、純減が12店舗で、期末の店舗数は638店舗となりました。
国内小売に関しては、既存店で104.8パーセント、全店で104.9パーセント、主要子会社のパリミキは既存店で104.2パーセント、全店で104.4パーセント、そして金鳳堂では、既存店で111.6パーセント、全店で110.5パーセントとなっています。
また、海外法人の合計は、現地通貨ベースで105.9パーセント、円ベースで120.2パーセントとなりました。
2023年3⽉期 連結業績/PL
営業損益についてです。国内セグメントは8億4,900万円で前年比11億3,700万円増、海外セグメントはマイナス3,800万円で前年比1億7,400万円増となっています。経常利益は貯蔵品売却益の増加もあり、前年比10億3,000万円増の12億600万円となりました。
2023年3⽉期 連結業績/PL
こちらのスライドは、国内のパリミキと金鳳堂、海外法人のそれぞれの売上高、営業利益をグラフ化したものです。特に営業利益は、前期、前々期に新型コロナウイルスによる感染症の影響があったものの、2023年3月期においては回復傾向にあり、海外、国内含めて改善しています。
国内⼩売事業 ⽉次売上
国内の概況です。新型コロナウイルスによる感染症が拡大し、第7波といわれるオミクロン株への感染者の増加の影響を受け、8月は前年の売上を少し下回りましたが、いずれの月もおおむね予測値どおりとなりました。
特に売上が好調だった要因は、先ほど澤田からお話ししましたが、サングラスの拡大です。思いきって商品を準備していたことと、感染の拡大状況が落ち着き、人流が増加すると見込んで用意していたことが功を奏しました。
2023年3⽉期 連結業績/PL
販管費についてです。売上高の増加に伴い、増加する費用以外は大きく増えておらず、おおむね計画どおりに推移しました。しかし、光熱費・運送費用など、一部の費用が増加したこともあり、販売費および一般管理費用は前年比2.7パーセント増の316億4,500万円となりました。
2023年3⽉期 連結業績/PL
営業外収益、特別損益のデータです。営業外収益については、為替による差益が8,600万円となっています。また、材料として保有していた金素材を、この先の使用見込みも含めて売却を決定し、この貯蔵品の売却益が2億3,500万円となりました。
特別損益については、昨今の金の価格の推移を見て、その他資産として保有していた金地金を一部売却したことによる売却益が2億1,100万円となっています。また、固定資産の売却に伴う費用や収益性の低い店舗の減損を、特別損失として5億1,100万円計上しています。
2023年3⽉期 連結業績/BS
貸借対照表です。資産合計は、現金および建物による固定資産が前期末比で15億8,600万円増加し、負債合計は前払金等が増えたものにより、前期末比で8億2,900万円増加しています。純資産合計は、利益剰余金および為替換算調整勘定が増加したことにより、増加しています。
2023年3⽉期 連結業績/CF
キャッシュ・フローです。営業活動により得られた資金は26億800万円で、主に税金等の調整前純利益の9億700万円と、減価償却費及びその他償却費の8億9,400万円によります。
投資活動の結果、使用した資金は17億7,600万円となっています。これは主に、有形固定資産の取得による支出の16億1,800万円によるものです。
また、財務活動の結果、使用した資金については4億8,700万円で、こちらに関しては短期借入金の純増減額による1億4,800万円と、2億7,700万円の配当金の支払いによるものです。これらにより、現金及び現金同等物の期末残高は104億800万円となっています。
続いて、澤田より2023年3月期の報告を行います。
2023年3⽉期 これまでの取り組み
澤田:前期の取り組みについてご説明します。海外事業はコロナ禍でかなり苦しみ、ここ数年来、全体の中でも非常に厳しい事業でした。しかし今期に関しては、日本よりも早くコロナ禍が収束したことも関係し、特に東南アジアエリアでの改善が著しいという結果が出ました。
海外事業
シンガポールでは、フラッグシップの高島屋店の改装もあり、同国に進出して以来、はじめて今ある8店舗すべてが黒字化したという、すばらしい結果になっています。
また、ベトナムの眼科病院の中に入っているパリミキの業績が、コロナ禍前と同じような状態まで回復しています。タイ、マレーシア、フィリピンも黒字での着地となり、前々期はかなり苦しかったものの、前期に関しては大きな改善が見えています。
前々期は、海外事業の営業損失が約2億3,800万円という結果でした。しかし、今期は東南アジアを中心とした改善により、3,800万円の損失と、赤字幅がかなり改善しています。
中国法人は現在もかなり苦しんでいますが、統廃合も順調に進み、新しい取り組みとして、特に近視抑制レンズの販売にも力を入れています。その結果、1人あたりの眼鏡の単価は、日本の当社グループの単価を上回るという、非常にクオリティの高い眼鏡販売にシフトしています。
このようなことから、あと1年から2年を目途に赤字はだいぶ改善される見込みで、3年目くらいからは利益に転じるという報告も受けています。
今期に関しては、海外事業のマイナスがイーブンになるという報告が出ていますが、私自身もこれが黒字に転換するのはあまり難しくないのではないかと目算を立てています。
国内事業 店舗戦略
国内の事業に関しては、先ほどお話ししたように、2016年から店舗の改装にかなり力を入れてきました。
当初、新型の店舗を社員自身もなかなか信用できず、「眼鏡屋らしくない」「眼鏡屋になぜドラムが必要なのか?」など、ディスプレイに関しても非常に疑問があったようです。しかし、ふたを開けてみると、この改装が多くの人々に支持されたことが結果からも読み取れるようになりました。現在は、社員ともども同じベクトルに向かう協力体制が構築できています。
前期もコロナ禍にありながら、積極的な投資をひるまずに実施しています。当初の計画どおり、出店を18店舗、新しいタイプの改装を22店舗と、やり遂げることができました。
国内事業 店舗戦略
こちらのスライドは、改装後の1店舗あたりの業績の平均値を、グラフに表したものです。ご覧のとおり、売上高、営業利益ともに、改装前と比較すると、これほどの差があるため、今後も引き続き店舗戦略を加速していきます。
なお、こちらに記載している数字はすべての店舗の平均で、ロッジ型店舗ではさらに高い売上と利益性になっています。現在、ロッジ型店舗は28店舗ありますが、今後の5年、6年の中で、これを70店舗、80店舗と増やしていく計画です。これが郊外の主力となり、多くのお客さまの支持を得られると考え、自信を深めています。
店舗戦略 ロッジ型店舗
昨年、埼玉県の鴻巣にオープンしたロッジ型店舗の写真です。鴻巣には埼玉県の大きな免許センターがあり、免許更新時に眼鏡を作られる方がいるため、多くの方にご利用いただいています。
右下の写真は免許センターにあるものと同一のドライビングシミュレーターで、本田技研工業がつくられた非常に精巧な装置です。最近、75歳以上の高齢ドライバーの事故が社会問題になっており、高齢者には講習が義務化されています。
こちらではでき上がった眼鏡や今持っている眼鏡で、実際にどのくらい見えるのかを事前にシミュレートできるため、非常に喜ばれています。このような地域に合った店づくりも、当社のポリシーの1つです。今後もこのロッジ型店舗のように、地域に合わせたテーマを設け、出店していきたいと考えています。
国内事業 眼鏡作製技能士
眼鏡作製技能士についてです。こちらは2023年より施行された国家検定資格です。今までは、初めて眼鏡を購入する時に「どこで買ったらいいのか」「値段なのか、いや眼鏡は医療機器だよね」と迷うことがありました。
特に遠近両用眼鏡を初めて購入する際には、高い眼鏡知識と技術がなければ、しっかりとした視力測定ができません。当社が運営する眼鏡学校のワールドオプティカルカレッジ(WOC)と連携し、通信教育による人材育成を10年以上行ってきました。そのような取り組みの結果、初年度の眼鏡作製技能士の国家検定の合格者は6,000名ほどでしたが、当社グループからは746名が合格し、業界No.1の合格者数となりました。
このようなこともアピールすることで、当社は価格だけではなく、クオリティの高い眼鏡をお届けできる企業であると、ご認識いただけると思います。
国内事業 金鳳堂
もう1つの国内事業である、グループ会社の金鳳堂についてお話しします。主に百貨店でオペレーションを行っている会社で、首都圏で展開している店舗では、インバウンドの影響や、コロナ禍が多少終息したことも相まって、高齢の方にも足を運んでいただけるようになりました。
このたび、パリミキの代表になる恒吉が、この4年間、金鳳堂の立て直しに尽力してきた結果、今回、金鳳堂が当社グループに加わって以来の最高益となりました。ですので、今後のパリミキのさまざまなオペレーションにおいても、非常に期待できると感じています。
国内事業 その他の取り組み
最後は、社会貢献の取り組みについてです。緑内障認知のための取り組みの1つとして、世界緑内障週間に行う「ライトアップinグリーン運動」があります。これは店頭にグリーンのライトを灯してライトアップを行う運動で、当社は今年で4回目の参加となりました。
さらに、日本眼科医会と公益社団法人NEXT VISIONとの共催で、「ロービジョン・ブラインド川柳コンクール」を開催しました。こちらは、視力障害者を支援する活動の一環として行っており、今回で5回目です。今後もこのような活動を続けていきたいと考えています。
私からの説明は以上です。これからの取り組みについては、株式会社パリミキの恒吉よりご報告します。
これからの取り組み コミュニケーション戦略
恒吉裕司氏:よろしくお願いいたします。今期の4月から、株式会社パリミキの代表取締役社長に就任しました。前期は、金鳳堂の代表を務めさせていただきました。就任にあたり、代表の澤田や社員から期待される点も多々ありますので、少しご紹介したいと思います。
まず、7年間就任していた前任の澤田と私は年齢が12歳違うため、ちょうど一世代変わることになります。私自身は、社長の交代は大きなストーリー転換になるとともに、大きなチャンスにもなると思っており、それを期待する社員の方も多くいるのではないかと思います。
先ほどのお話にあったとおり、金鳳堂が過去最高益となりましたが、やはり利益の創出には非常にこだわりを持っています。会社を継続的に存続させ、社員を豊かにし、お客さまに「トキメキ・あんしん」を継続的に提供するためには、利益の創出は欠かせないものだと思っています。
さらに、澤田が実施した店舗施策の話もありましたが、変化を遂げる「パリミキ」の店舗に魂を入れていくことが私の仕事だと思っています。仏閣を作って、仏を入れていくような作業に、一つひとつ丁寧に取り組んでいくことは、私が得意としていることです。
私は、パリミキの営業部に新入社員として入社後、たたき上げで30年いるため、営業を本当に得意としています。常に店舗にいて接客することが好きで、可能ならば今日も店頭に立って販売したいぐらいです。
しかし現在、パリミキは全国に620店あり、当然のことながら、すべての店舗で私が接客することはできません。私の代わりに、3,000人の社員が店頭に立っています。
4月からは、新たにコミュニケーション戦略を実施しました。これは、一方的に私の想いや方向性を伝えるのではなく、社員がそれを聞いてどのように思ったのか、あるいはどのような意見があるのかを吸い上げる機会をつくる取り組みで、まずは全国の6ヶ所で実施しました。
また、このような取り組みと並行し、この1年で620店すべての店舗を回る計画を立てています。これは回ることが目的ではなく、各店舗の社員の方々と対話し、私の代わりに店頭に立ってもらうお願いを、一人ひとりにしている最中です。
先週も札幌、岩手、秋田と、スライド右側の地図の赤いところを回りました。「社長が来られるのは初めてです」「20年ぶりに社長が来ました」と言って喜んでくれる社員や、なにか会社が変わっていくのではないかという期待を持っている社員も多くいました。
具体的な行動を起こさなければ変わっていかないと思っているため、本日は今後の具体的な取り組みについても少しお伝えします。
これからの取り組み 海外
まず、海外の取り組みです。前期は、予想よりも数値が大幅に改善したことがプラスの要因となりました。今期はいったんフラットな状態まで戻す予定です。
スライドの右側に、特に高い収益性があるカンボジアとベトナムのビジネスモデルを記載しています。今期はよい眼鏡店とよい眼科のコラボをさらに加速する予定です。
国内においても、海外で展開しているメリットを活かせる環境になってきました。メリットとしては、人材の交流や入れ替えが進み、お互いの良い部分が活かせるようになったことや、日本ではやりづらい事業が、海外で実験としてできることが挙げられます。
さらに、現状はなかなか人材の採用が難しい中、海外の13ヶ国で展開していることも採用に活かせているほか、海外で勤めた社員が日本に戻ることで、強い人材の育成につながっているというメリットもあります。
これからの取り組み 国内 店舗戦略
国内の店舗戦略です。こちらは、前任の澤田が実施した第1の戦略になります。今後も引き続きこの取り組みにまい進していきますが、当社には大きな店舗減損があるため、そのあたりは改善して止めなければならないと思っています。
今後の改装や新店の出店については、今までよりも厳格な基準とフローを実施していきます。投資の回収を踏まえ、ROIに関しても厳格にジャッジすることで、大きな店舗減損を回避できると思っています。
スライド左下の表は、店舗の出退店の数を示しています。当社は2018年以降、店舗数が純減しており、いったん整理がついたと私は思っています。ただし、今後もやむを得ず退店することは必ずあります。ショッピングセンターの定期借家契約の終了のほか、ショッピングセンターそのものが退店してしまうこともあります。
さらに、ここ1年、2年の間に眼鏡業界で加速しているのは個人店、特にパパ・ママショップ(注記:夫婦や家族で経営する小規模の小売店)の退店です。同業他社が閉まっていく中、当社が残るメリットは大きく、当社の店舗の統廃合も進んでいるため、ここはチャンスと捉え、積極的に展開していきたいと思っています。
これからの取り組み 国内 団塊ジュニア世代を意識した戦略
国内での取り組みの中で大きなファクトになる、団塊ジュニア世代を意識した戦略に舵を切っていきたいと思っています。団塊ジュニア世代とは、40歳から50歳の間の人のことで、ここをメインのターゲットにします。
現在は、団塊世代の方が売上の大部分を占めています。店頭に来られるお客さまは感度が若く、トレンドを活かされている方や、ご自身が若いと思っている方が非常に多くいらっしゃいます。40代、50代のお客さまに合わせることで、団塊の世代の方にも喜んで来てもらえるような店舗作りや商品施策を考えています。
まずフレームに関しては、当社に自社工場があるため、機能性商品として、特に軽い商品や掛けやすい商品の充実を考えています。また、好評である異業種とのコラボ商品を引き続き展開していきます。
さらに、レンズに関しては、一昨年から、外に出ると色が暗くなり、室内に入ると薄くなる調光レンズの需要が日本でも急成長しています。スマホ用のレンズと合わせて、今後の強化ポイントになるのではないかと思っています。
また、団塊ジュニア世代はこの先、遠近両用眼鏡を使用する世代になります。パリミキでは、国家検定資格の所有者が、詳しい項目による視力測定を実施し、他社にはない、「iPad」で目の焦点位置を測るアプリ「アイポインター」を使用することで、しっかりとビジュアルライフケアを行います。
お客さまに「遠近両用眼鏡を作るなら、高い技術と知識でしっかりと合わせてくれるパリミキで購入したい」と思っていただけるように、デジタルを中心としたマーケティング活動を実施していきたいと思います。
これからの取り組み 国内 団塊ジュニア世代を意識した戦略
今期、一番伸びている商材がサングラスで、自社商品よりもナショナルブランドが人気です。当社は同業他社と比較しても、取り扱っているナショナルブランドが非常に豊富なため、圧倒的なアドバンテージがあります。
最近は、個々の眼鏡やサングラスを商品として完成させるまでに1年ほどかかります。今期に在庫が豊富にあるということは、半年前、1年前から今期に合わせて商品の取り寄せを行っていた結果です。
4月、5月に関しては、サングラスが150パーセントを超える伸びを示しているため、商材としても今後はかなり期待できます。前任の澤田が「サングラスでマーケットを作りたい」と言っていたことが実を結んできたため、今後も伸ばしていきたいと思っています。
これからの取り組み 国内 団塊世代を意識した戦略
次に、オーディオ事業です。現在、アフターコロナにおいて、急激に伸びが戻ってきた百貨店で、眼鏡とともに補聴器の需要が非常に顕著化しています。補聴器自体は高額な商材で、店舗に行ってすぐ買えるというものではありません。
そこで当社は、この業界で最初に定額制を導入しました。月額3,000円、4,000円からお試しできるため、お客さまのハードルを下げて使用いただけるようになっています。
また、スライド右下に記載のとおり、近年は補聴器をデザイン性で選ぶ方も増えています。もともと補聴器を利用されるのはご年配の方というイメージがありました。しかし最近では、若い人が音楽を聴く「オーディオ」のように、補聴器と音楽を聴くイヤホンとを兼ね備えたデザインも増えてきました。当社もいち早くそのような市場に目をつけており、今後も展開していきたいと思っています。
これからの取り組み 国内 インバウンド需要への対応
今期の大きな要素の1つは、インバウンドへの対応になります。当社は、金鳳堂やパリミキを百貨店に出店しています。ここ3年ほど、大都市の店舗では大きなマイナスが出ていましたが、今期は非常に好調です。
2023年4月時点で、すでに(コロナ禍以前の)85パーセントまで回復しており、特にアメリカや台湾からの訪日外国人の方の来店が数字をけん引しています。5月以降に中国の方が戻ってくれば、2018年を超える水準を見込めるのではないかと思います。
国内事業 パリミキ これからの取り組み(⾔⾏⼀致の経営)
私も入社以来、心の中に掲げていますが、当社には「第一にお客さまとその未来のために」という経営理念があります。営業を行っていると、その日、来店されるお客さまへの販売を最大限にしたくなることが常です。しかし、やはりお客さまの今の環境や、今日の買い物にしっかりと合わせていかなければなりません。そこに立ち返り、そこにベクトルをすべて向けていく会社にしたいということを宣言しています。
これを実現するため、昨年の秋口から、NPS評価(ネットプロモータースコア)を導入しています。これは、ブロックで行っているお客さま、地域の1店舗ごとのお客さまの動向、そして1人ひとりの社員の接客の評価をより具体的にするものです。
どのようなサービスが行われているのか、どのようなことに不満があって、どのあたりに改善の余地があるのかについて、2023年4月からはシステムを入れて評価しています。
また、ホスピタリティブランドを目指す上で、「パリミキ基準」も上げていかなければならないと思っています。なぜならば、いくら私が社長としてよいことを言ったとしても、利用してるお客さまにとっては、店舗での体験が「パリミキ」のブランドのすべてになるためです。
店舗でのお客さまの体験がよくならない限り、株式会社パリミキはよくならないと思っているため、店舗体験に力を注ぎ、一つひとつ丁寧に改善していくことを考えています。
そして、それにはDXがなくてはなりません。生産性の観点でも業務フローを改善し、紙カルテをすべて電子化します。また、今期からはお客さまとのコミュニケーションもデジタルに変えていきます。昨年から「Yahoo!」のバナー広告やMEO対策も導入していますが、4月からはDXも加速しています。
さらに、コストカットではなく効率化の見直しも行います。社員に対し給料をたくさん払っていく必要があり、よい人材を確保するためにも効率化が必要です。また、今期は他業種とのコラボレーションも考えています。
コロナ禍によって当初の計画どおりにいかなかった点も多々ありましたが、その中で積極的な店舗投資をはじめ、大きな投資を行いました。不採算店の統合や退店もかなり進んでいます。
今期に関しては、いったん中期経営計画で出したものを据え置きしますが、かなりの上乗せができるという自信を持ってまい進していきますので、引き続き応援いただければと思います。よろしくお願いいたします。
2024年3⽉期 連結業績予算
2024年3月期の連結業績予想についてです。売上高は483億円、前年対比101.9パーセント、営業利益は10億2,500万円、経常利益は12億1,000万円、当期純利益は6億1,000万円を予想しています。前提として、国内出店を20店舗、退店を19店舗、改装を28店舗行います。また、グループ全体の設備投資を25億9,400万円予定しています。
2024年3⽉期 配当
前期は中期・期末ともに3円、年間で6円の配当を行いましたが、今期も現時点では中間・期末ともに3円、年間で6円を予定しています。
以上が、2023年3月期の決算発表報告となります。