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三嶋隆氏:フリューの三嶋です。日頃より、フリューをご支援いただきありがとうございます。それでは、決算説明を始めさせていただきます。

本日は会社概要を割愛し、2023年3月期の決算概要、フリュー中期ビジョン、セグメント変更について、2024年3月期の施策と業績予想の順番でご説明します。

2023年3月期 P/L

2023年3月期の決算概要です。前年比で増収減益となりました。売上高はクレーンゲーム景品の好調により増収となっています。1年前にクレーンゲーム景品が爆発的にヒットしました。基本的に、爆発的なヒットの後の年は売上が落ちますが、複数のキャラクターを獲得し、その人気をお客さまにお届けすることで全体の売上を増やしています。増収の要因は、キャラクタ・マーチャンダイジング事業の大きな成長です。

利益に関しては、プリントシール紙の値上げ効果が拡大したことで増益となっています。一方で、2023年3月期初頭から進捗した円安の為替影響により、キャラクタ・マーチャンダイジング商品の仕入れコストが増加しました。中国からの仕入れで支払いはドル建てのため、為替の影響を大きく受けた結果、トータルで減益となっています。

セグメント別業績

セグメント別業績です。スライドをご覧のとおり、プリントシール事業、コンテンツ・メディア事業、キャラクタ・マーチャンダイジング事業の売上高が前年比で伸びています。プリントシール事業、コンテンツ・メディア事業はコロナ禍が明けて売上が徐々に回復しています。加えて、キャラクタ・マーチャンダイジング事業もキャラクターの人気に影響されることなく堅調に成長しています。

営業利益については、プリントシール事業が赤字から黒字へと大きく利益を伸ばしています。また、コンテンツ・メディア事業も堅調に利益を伸ばしています。さらには、映画『ゆるキャン△』のヒットにより、ゲーム事業も大きく伸びています。

一方で、先ほどお伝えしたとおり、キャラクタ・マーチャンダイジング事業は為替の影響を大きく受けており、トータルで大きな減益要因となっています。

セグメント別業績 プリントシール事業

プリントシール事業についてご説明します。売上高はアミューズメント施設と直営店収入が大きく伸びています。特に直営店は、先行指標として売上が先に減少したり、伸びたりします。新型コロナウイルスの感染拡大が始まった頃は、直営店の売上が先に減少しましたが、コロナ禍が収束した現在の状況では、直営店の売上が先に戻ってきています。

スライドの補足情報をご覧ください。総プレイ回数も伸びています。2023年3月期のプレイ回数は前年比105.6パーセントの3,375万回と伸びています。先ほどお伝えしたとおり、アミューズメント施設よりも直営店のほうが先に戻ってきており、直営店のプレイ回数は前年比114.2パーセントと大きく改善しています。

こちらのセグメントにおいて大きく影響しているのは、シール紙の値上げによる効果です。2022年3月期は営業利益が赤字でしたが、2023年3月期は黒字に転換しています。スライド下部に小さく記載しているとおり、シール紙値上げ機種の市場プレイ比率は年間約57パーセントと浸透しています。したがって、値上げによる客離れ等は起こっておらず、値上げ効果も順次享受できています。

セグメント別業績 コンテンツ・メディア事業

コンテンツ・メディア事業についてご説明します。シール紙の売上の堅調な回復に伴い、「ピクトリンク」の有料会員数も増加し、課金収入が伸びています。「ピクトリンク」の課金収入は、前年比で104.4パーセントと堅調な伸びを示しています。加えて、高利益率の新規事業のレタッチソフトも急速に成長しています。

一方で新規事業や飲食事業など、なかなか黒字化しなかった部分もありますが、撤退して集中と選択を推し進めた結果、新規事業関連の利益率も改善しています。

補足情報の新規事業開発の損益額をご覧ください。2022年3月期の赤字額2億3,400万円に対して利益が改善され、2023年3月期の赤字額は1億3,100万円となっています。ライフスタイルD2Cの「Olu.(オルドット)」も堅調に売上を伸ばしており、売上は計画どおり進捗しています。来年は単月黒字、再来年は年間を通して黒字を目指し、大きく成長させていきます。

セグメント別業績 キャラクタMD事業

キャラクタ・マーチャンダイジング事業は、前年比で増収減益となりました。新たな人気キャラクターの版権獲得により、受注は好調です。特に「ちいかわ」の人気が非常に大きく、全体の売上を支えている状況です。

加えて、サンリオのキャラクター、集英社のキャラクター、つまり『ジャンプ』の版権などが全体の売上を押し上げていますので、前年に大ヒットした版権キャラクターのマイナス影響はすべてカバーしている状況です。

また、円安の影響で仕入コストが増えており、前年比で17億円ほど赤字方向に利益インパクトがありました。

さらに、高価格帯ホビーの納期が非常に伸びてきている状況の中で、企画段階は100円程度の為替で計画し、今まさにお客さまにお届けしています。受注を取っている現在も赤字が確定するものがありましたので、ホビー商品の受注損失引当等をあてています。その影響で3億円の赤字ということで、2022年3月期は24億800万円の営業利益黒字でしたが、当年度は赤字になっています。

セグメント別業績 ゲーム事業

ゲームセグメントは減収増益となりました。当社は女性向けの恋愛シミュレーションゲームを中心に進めていましたが、今はゲームアプリの市場が大きく衰退している影響により、減収となっています。

一方、アニメでは大きく売上利益が出ています。映画『ゆるキャン△』が興行収入10億円を超える大ヒットを飛ばしていますので、興行収入はもちろん、その後の二次版権収入、つまりロイヤリティ収入も継続して増えており、大幅な増益となっています。

中期ビジョン 目指す経営指標と定量目標

中期ビジョンについてご説明します。スライドのとおり、中期ビジョンで目指す姿を「成長力」と「収益力」「将来性」の3つに分け、それぞれの事業を育成していきます。今後も事業群ごとに目標を定めて大きくしていく予定です。また、目指す経営指標は、従来どおりROE15パーセント、2027年度の売上高は600億円、営業利益は60億円という大きな目標を立てています。

中期ビジョン 基本方針

基本方針についてです。先ほどもお話ししたように事業群を3つに分解しました。1つ目は、成長力を担う「世界観ビジネス」です。キャラクターの世界観を大切にしながら、版元が持つキャラクターの魅力をぬいぐるみやフィギュアに商品化することによって最大限に引き出し、お客さまに提供していきます。

フリューはかわいいぬいぐるみを作るのが得意で、国内のクレーンゲーム景品の中では「ぬいぐるみのフリュー」と言われています。また、国内のプライズ市場ではフィギュアの売上が約半分を占めていますので、今後はフィギュアの売上を拡大することによって、このセグメントを大きく伸ばしていく予定です。成長ドライバーはフィギュアの拡大ということです。

2つ目の「ガールズトレンドビジネス」では、プリントシールと「ピクトリンク」が収益力を担い、プリントシールの体験価値を向上してライフタイムバリューを最大化していきます。中学生や高校生の時に入会していただいたお客さまは、20歳を過ぎるとどんどん退会されます。フォトストレージサービスで退会を抑制することによって、ダムのようにお客さまをたくわえ、一生涯フリューのお客さまになっていただき、ライフタイムバリューを最大化していきます。成長ドライバーはライフタイムバリューの最大化ということです。

3つ目は「フリューニュービジネス」です。今までいろいろな事業部の中で育ててきた新規ビジネスを、ここでまとめて育成、成長させていきます。目標は売上100億円の事業を創出することです。将来の第3の柱を担うべく、ここで大きく育成していく予定です。

そして、この3つの事業を支えるのが組織風土改革です。他社にない独特の価値観があり、「動的ビジョン」と呼んでいます。弊社の社員は、個人の「やりたいこと」と「できること」、会社として「やらねばならないこと」の3つが重なり合う領域で仕事に取り組んでいます。これによって個人のモチベーションが高まり、社内での評価も上がります。この「動的ビジョン」を大事にしながら組織風土を改革し、スライドに掲げた3つの事業を今後も大きく伸ばしていく予定です。

ROE向上に対する考え方

ROE向上の考え方として、「収益性」「資産効率性」「財務レバレッジ」という3つの指標についてそれぞれ記載しています。

株主還元策と経営指標

株主還元と経営指標については、配当性向40パーセント、またはDOE5パーセントを参考指標としています。

2024年3月期より開示セグメントを変更

2024年3月期より、従来の4セグメントから3セグメントへ変更します。「世界観ビジネス」とは、キャラクターの世界観を大切にしている、キャラクタ・マーチャンダイジングを中心としたビジネスです。こちらはセグメント変更前後で事業の入り繰りはありません。これまでキャラクタ・マーチャンダイジングと呼んでいたセグメントが「世界観ビジネス」に改称されるかたちです。

「ガールズトレンドビジネス」は、変更前のプリントシール事業とコンテンツ・メディア事業の中の「ピクトリンク」、レタッチソフトを合体させたものです。「ピクトリンク」はコンテンツ・メディア事業の中に含まれる画像ストレージサービスで、プリントシールで撮影した画像を有料会員に提供しています。戦略的にはプリントシールに関連する事業ですので、「ガールズトレンドビジネス」としてひとつのセグメントに統合しています。

また、「フリューニュービジネス」では、これまでコンテンツ・メディア事業に含まれていたカラーコンタクトレンズや広告プランニング、「Olu.」など、新規事業をすべて抜き出しています。

2024年3月期より開示セグメントを変更

参考までに、2023年3月期の売上実績に新規セグメントを適用した場合の売上内訳を記載しています。

セグメント別の施策 世界観ビジネス

施策と業績予想です。「世界観ビジネス」については、従来どおり人気IPの安定的な取得によって高い水準で売上を維持していきます。現在、国内クレーンゲームのぬいぐるみに関しては「ちいかわ」などのかわいいキャラクターが多く売れており、大きく成長しています。

現在はファミリーのお客さまがゲームセンターに戻ってきています。そのような追い風もあり、従来のコア系のキャラクターから、ファンシー系のぬいぐるみに人気が集まっています。さらに、海外向け物販の促進や高価格帯ホビーとしてフィギュアを強化するなど、それぞれの施策で売上を大きく伸ばしていく予定です。

セグメント別の施策 ガールズトレンドビジネス

「ガールズトレンドビジネス」では、ライフタイムバリューを最大化することが成長ドライバーになっています。プリントシール事業については、コロナ禍で入会が滞っている中高生を中心にアプローチを強め、入会を促進していきます。

セグメント別の施策 ガールズトレンドビジネス

さらに、「ピクトリンク」のフォトストレージ・サービスの中に「PiCTLINK photos」を展開する予定です。これは会員がスマートフォンで撮影した一般の画像データを預かるもので、プレミアム会員から段階的にサービスを提供していきます。

これによって退会率を抑える狙いがあります。フォトストレージを活用いただくことで、サービスのライフタイムバリューを最大化していきます。

セグメント別の施策 フリューニュービジネス

「フリューニュービジネス」では家庭用ゲームソフト、アニメ、ゲームアプリの製作や運営に注力していきます。

セグメント別の施策 フリューニュービジネス

加えて、カラーコンタクトの開発やライフスタイルブランド「Olu.」、広告プランニングといった新規事業の拡大にも取り組んでいきます。これらの事業について選択と集中をしながら、100億円を超えるビジネスを1つでも生み出していきたいと考えています。

連結業績予想について

最後に業績予想です。2024年3月期の売上高は390億円、営業利益、経常利益はともに25億円の予想です。前提はスライド下部の表に記載のとおりです。なお、「世界観ビジネス」の為替は135円で計算しています。

当期のプレイ回数とピクトリンク有料会員数の見通し

「ガールズトレンドビジネス」の2024年3月末の有料会員数は約152万人、年間総プレイ回数は約3,600万回と予想し、緩やかな回復を見込んでいます。

株主還元と財務方針

株主還元と財務方針については、従来どおり安定的な配当と機動的な自己株買いを通じて、株主還元の充実を図っていきたいと考えています。

私からのご説明は以上です。ご清聴ありがとうございました。