目次

中西聖氏(以下、中西):みなさまこんにちは。代表の中西でございます。よろしくお願いいたします。本日は機関投資家向け説明会にお越しいただきまして、ありがとうございます。資料を共有し、ご説明させていただきます。

本日のアジェンダとしては、会社概要、2023年3月期の連結決算の概要、セグメント別の実績、2024年度の連結決算予想についてお話しします。

会社概要

会社概要をご説明します。当社は2004年に設立し、現在の役職員数は380名です。事業内容はDX不動産事業とDX推進事業で、主なグループ会社はDX推進事業を構成するグループ会社となっています。

売上推移

売上推移です。我々はこの3月末でちょうど20期を終えました。創業以来、20期連続で増収増益を続けてきました。リーマンショックや震災などもありましたが、無事に増収増益を続けてこられました。

2024年3月期の売上高は、420億円を予想しています。

事業の全体像

事業の全体像として、スライドの上半分にDX不動産事業、下半分にDX推進事業を記載しています。DX不動産事業は、テクノロジーを使った効果的な不動産事業で、不動産開発事業、不動産仕入販売事業、そして管理事業に取り組んでいます。

DX推進事業に関しては2つに分かれており、上部がシステム開発、下部がDXYZ(ディクシーズ)と呼ばれる顔認証プラットフォームのソリューション事業です。

事業間シナジー

事業間シナジーです。スライドのマトリックス図では、縦軸が上に行くほどその他の事業領域、下に行くほど我々が得意とする不動産事業領域となります。そして横軸は、左に行くほど自社のDX推進、右に行くほど他社のDX推進になっています。

もともと、このDX推進事業がない頃は、左下の青い部分の自社DXかつ不動産事業の領域において、いわゆるWebで集客を行っていました。

その集客手法としては、「Rimple(リンプル)」という、スマホで1口1万円から投資できるクラウドファンディングプラットフォームを作ったり、オウンドメディアを運用したりすることで、十数万人の会員を獲得していました。また、その会員のニーズを理解することで、彼らに必要なものを我々が仕入れたり開発したりして販売するという事業になります。

我々は、そのような自社のDXを2018年から徹底的に行ってきたことで、事業会社がDXを行うノウハウをかなり蓄積しました。システム開発事業にそのノウハウを載せたものを販売していくという、その他の事業領域と他社のDXという部分を、現在の成長の柱として推進しています。

したがって、スライドのマトリックス図ではもともと左下のみに位置していた事業を、右上のその他の事業領域や他社のDXに展開しているということになります。

例えばDXYZでは、我々が開発しているマンション等に顔認証を導入し、それを他社に展開しています。また、システム開発では、システムによって自動化しているところが多くあるため、そのような自動化やDX推進の開発ノウハウ、事業のDXノウハウを他社に展開しています。

決算ハイライト

2023年3月期の連結決算の概要です。売上高が372億5,900万円、前年比で6パーセント増、営業利益が29億1,900万円、前年比で32.2パーセント増です。売上高の伸びは非常に小さいのですが、営業利益の伸びが32パーセントになりました。

DXの不動産の会員数は前年比7,129人増の約16万人です。不動産の販売戸数は四半期ごとに見ても334戸増で、賃貸管理戸数、建物管理戸数も順調に増やしています。

SIの稼働案件数は前年比32件増となっていますが、DX推進事業の売上高自体は2.1倍と、2倍程度の成長を見せています。以上が、決算のハイライトです。

2023年3月期 連結損益計算書

連結損益計算書です。売上高、営業利益は先ほどお伝えしたとおりです。経常利益はプラス31パーセント、当期純利益はプラス29.5パーセントの伸びを示しています。

BSハイライト

BSに関しては、総資産が35.8パーセント増となりました。棚卸資産が約54.1パーセント増え、現在、在庫を増やしている状態です。

有利子負債も43パーセント増となっていますが、これは単純に我々が売るものにひもづいて有利子負債が伸びているためです。純資産は16.4パーセント増となっています。

2023年3月期のトピックス

今期のトピックスとしては、当社のマンションの差別化要因として、EV充電インフラ事業を手掛けるTerra Motors株式会社との業務提携を行ったほか、DXの推進に向けて株式会社リゾルバの株式を取得し、子会社化しました。

また、当社で開発しているマンション「クレイシア」で、オール顔認証マンションの体験会を開催しました。実は、顔認証のマンションに関しては、大手の三菱地所、東急コミュニティーなどより、すでに受注している状態ですが、不動産以外の企業からも問い合わせが増えている状況です。

今、「Google」で「マンション 顔認証」と検索すると、我々のDXYZがページの半分くらいを占めるようになっています。また、反響もあるため、顔認証の体験会をデベロッパー等に行ったところ、96パーセントくらいが「導入意欲がある」と回答しました。そして「認証速度も速い」という回答が87パーセントあり、良い感触を得ています。

デベロッパーがマンションへの顔認証の導入に非常に意欲的であることや、当社の賃貸管理の業務効率化ということもあり、顔認証で内見が予約できるサービスをローンチしました。

これまでは賃貸仲介会社が賃貸管理会社に連絡を取り、鍵の場所を聞く、もしくは鍵の受け渡しを行って、賃貸を案内していましたが、工数やセキュリティの問題などがありました。

そこで、我々が特許を取っている「One Time機能」を使い、賃貸仲介会社が我々にオンライン上で問い合わせるだけで、顔認証で一定時間のみ案内できるというサービスを提供しました。これにより、顔認証の導入を進めるデベロッパーに対し、かなりアドバンテージを持てるようになりました。

2023年3月期トピックス

顔認証のDXYZについては、「ASPIC IoT・AI・クラウドアワード」という、会計ソフトを提供しているfreeeが受賞したこともあるアワード制度で、ベンチャーグランプリを受賞しました。

マンションだけではなく研究所や工事現場、アミューズメント施設など、さまざまなところで顔認証の導入が進んでいます。我々は導入ソリューションだけではなく、1つの顔画像だけでどこでも使えるIDプラットフォーム、つまりマーケティングプラットフォームを作っているところが評価されました。

2023年3月期トピックス

株式会社リゾルバの買収についてです。リゾルバという会社は「Salesforce」に対し、かなりプレゼンスの高い会社で、開発のノウハウも持っています。

これまで我々は、グループ会社であるバーナーズなどのいわゆる「Salesforce」の開発パートナーに対し、開発をもっと効果的に行ってほしいという思いを持っていました。

「Salesforce」から賞も受けているリゾルバとのM&Aは、開発をアクセラレートし、売上高や利益を向上するだけではなく、「Salesforce」の開発パートナーとしての我々のプレゼンスを一気に高め、すばらしいアドバンテージを持たせる要因にもなったと思います。

2023年3月期 セグメント別実績

セグメント別の実績です。DX不動産事業は強い相場が続いて好調で、増収増益となりました。DX推進事業は取引先が順調に拡大し、2倍ほどの成長を見せています。

DX不動産事業

DX不動産事業に関しては、売上高が約356億円、セグメント利益が約43億円となっています。

来期に向けた在庫の積み上げも、現在の市況を鑑み、不動産業界に対する懸念を持たれている方がたくさんいますが、不動産業界全体ではなく、我々の物件種別である投資事業用マンション等では非常に強いニーズが残っています。業界内では現在、「物件がない」とかなり言われていますが、当社では十分に在庫が積めている状態だと思います。

DX不動産事業 > セグメント売上高の内訳

DX不動産事業のセグメント売上高の内訳です。スライドのグラフの1番下から、投資用の新築マンション、投資用の中古マンション、居住用の「Vクレイシア」マンション、そして4棟の引き渡しがあった、アパートの「Sクレイシア(ソルナクレイシア)」となっています。

「Vクレイシア」は、35平米から45平米に特化した、単身者やDouble Income No Kids(2人世帯)を対象としたマンションなどで、大手があまり手を出さないところです。これらが積み上がって、セグメント売上高は356億円となっています。

DX不動産事業 > Rimple

DX不動産事業の売上の肝になってくる「Rimple」会員についてご説明します。「Rimple」は1口1万円から投資できる、クラウドファンディングのプラットフォームです。

その「Rimple」の会員と、「不動産投資Times」の会員が合わせて16万人くらいと、前年比で7,129人増えており、ここについても十分な需要が見られました。

「Rimple」に関しては、我々の募集金額に対する応募がだいたい300パーセントから500パーセントくらいは常にあり、強いニーズがまだ残っていると考えています。

DX不動産事業 > KPI

DX不動産事業のKPIです。「Rimple」のファンド組成累計が34億円となりました。また、スライドの右側に記載のとおり、DX不動産会員数が順調に推移しており、それに伴い販売契約数も契約ベースで前年対比で1.6倍となっています。

以上がDX不動産事業の詳細です。

DX推進事業

DX推進事業に関しては、売上高を8.3億円から約18億円まで伸ばしており、増減率は115.9パーセントとなっています。セグメント利益は5,100万円で、DX推進事業自体は少し黒字を出しています。

スライド右側のグラフの色の違いについては、紫色のところが「DXYZ」という顔認証のIDプラットフォーム、その他がシステム開発となっています。もともと我々は、不動産事業会社が進めていったDXのノウハウを、システム開発を乗せて販売するという領域を広げてきました。

DX推進事業 > 業界構成割合

今は、不動産事業者の開発だけではなく、金融・保険業、情報通信業、製造業も含め、不動産以外のところから95.9パーセントの受注をいただいています。

テック人員構成 > DXを支えるIT人員

システム開発に関しては基本的に、エンジニア等のIT人員が売上の肝になります。この人員が、我々のグループ会社全体の約半分を占め、187名が在籍しています。

スライド左側のグラフをご覧ください。DXを支えるIT人員自体が約1.4倍となり、135名から187名に増加していることがわかります。

DX推進事業 > システムインテグレーションサービス

DX推進事業のシステム開発は2つに分かれており、M&Aで子会社化した会社も2つに分かれます。1つはJava系のシステムの受託開発を行うSIで、そちらはAVANT(アヴァント)という会社を筆頭に行っています。SI稼働案件数は順調に増加しており、第4四半期は減っているように見えますが、売上高については伸びています。

BERNERS(バーナーズ)は「Salesforce」の導入支援とクラウドインテグレーション事業を行っており、こちらの新規受注累計数と稼働数はしっかりと増えています。グラフは、あくまでBERNERS単体の累計で、その後にM&Aした会社の案件数は含めていません。ですので、「Salesforce」関連の案件は、今はどんどんと伸びていっているところです。

DX推進事業 > 顔認証プラットフォーム「FreeiD」

DX推進事業の顔認証プラットフォーム「FreeiD」を展開しているDXYZです。今、DXYZが顔認証の導入ソリューションを受注しているところは、マンション、オフィス、ゴルフ場、保育園、アミューズメント施設、工事現場、工場などです。順調にユーザー数を伸ばし、ソリューション数は1,620件と、どんどん増加している状態になります。

DX推進事業 > 提供実績

DX推進事業の提供実績ですが、システム開発といわゆる顔認証について、さまざまなリーディングカンパニーをクライアントとして持っています。三菱地所、SCSK、ベンチャー企業のアソビュー、鹿島建設、近畿大学などへの導入を受注しています。

2024年3月期 業績予想

連結決算の予想についてです。2024年3月期の業績予想に関しては、売上高は前年比12.7パーセント増の420億円を見込んでいます。各段階の利益においては、不動産事業の建築費の高騰と、DX推進の先行投資も見込んで減益予想としています。

営業利益は、前年比14.4パーセント減の25億円、経常利益は前年比15.8パーセント減の21億2,000万円、当期純利益は前年比16.9パーセント減の13億1,000万円を予想しています。

株主還元

2024年3月期の期末配当金に関しては、創業20周年の記念配当5円を含み、1株当たり年間配当金45円の増配を予定しています。

2024年3月期の予想については、25億円の減益という予想を出していますが、毎年かなり保守的に見積もるところがあり、上場してからは毎年、上方修正を出しています。

金融環境や建築費の高騰も含め、ある程度はコンサバティブに見なければなりません。しかし今後の進捗によっては、また増収増益にできる可能性はゼロではないため、グループ全体で増収増益に向け取り組んでいきたいと思っています。