会社概要

榮章博氏(以下、榮):ランドネット代表の榮と申します。よろしくお願いいたします。本日は、2023年7月期第2四半期の業績のご報告と、IRのご説明をしていきたいと思っています。

まず、ランドネットについて簡単にご紹介します。不動産DATAを中心に活動する不動産流通会社を作りたいと思い、1999年にこの会社を作りました。現在は不動産DXも同時に進行しています。

中古区分マンションがメインで、売買事業、賃貸事業、リフォーム・リノヴェーション事業を展開しています。また、戸建てアパートへの取扱物件の拡大と、新規クラウドファンディングの開発にも注力しています。

設立は1999年9月で、本社所在地は東京都豊島区南池袋です。事業拠点は本社(東京)、横浜支店、大阪支店、福岡支店です。資本金は約7億円で、従業員数は正社員のみで486名となっています。

事業セグメントは、不動産売買事業と不動産賃貸管理事業です。スライド右下の円グラフをご覧ください。不動産賃貸管理事業は1.4パーセント、不動産売買事業は98.6パーセントと、売上規模は不動産売買事業が非常に大きいです。

しかし、不動産賃貸管理事業にもかなり注目して強化を図っています。当社は不動産を住まいとしてだけではなく、暮らしを支える資産(もう1つの収入源)としても考えています。

投資用の不動産をお客さまに買ってもらった場合、それがワンルーム、ファミリータイプ、アパートであったとしても、賃貸管理をしっかり行うことは非常に重要だと思っています。そのため、売上高比率は低いですが、不動産賃貸管理事業にもしっかり取り組んでいきます。

グループ会社は、ランドインシュア、ランドネット九州、⽇昇房屋有限公司(台湾)、⽇商朗透房屋股份有限公司(香港)です。

私は1987年にライオンズマンションの株式会社大京という会社に入り、不動産に関していろいろな勉強をさせていただきました。1999年9月に今の会社を設立して、代表取締役に就任しています。

2023年7⽉期第2四半期業績① 連結損益計算書概要(P/L)

:2023年7月期の業績に関して、まず損益計算書をご説明します。第2四半期は前年同期比で売上高が30.9パーセント増、経常利益が63.8パーセント増と、第1四半期よりも第2四半期が大きく伸びました。

通年の予算に対しては、上期時点で売上高・経常利益等は進捗率50パーセントを超えました。当社は、上期よりも下期のほうが業績が上がる傾向があり、その中で予算比50パーセントを超えたことは、かなり好成績と言えると思っています。

経営の指標については、第1四半期の粗利率は14.2パーセント、売上高経常利益率は1.5パーセントでしたが、第2四半期の粗利率は14.6パーセント、売上高経常利益率は2.9パーセントと、大きく改善されています。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):第2四半期の業績が非常に好調だった背景を教えてください。

:当社は直で物件を仕入れることが得意で、その中で価格帯が上がったりします。先ほどお伝えしたとおり、不動産を暮らしを支える資産(もう1つの収入源)と考えており、ワンルームだけではなく、ファミリータイプもかなり仕入れています。この仕入れた物件をきちんと販売できた背景としては、上場したことでネームバリューが少し上がり、資金手当てができたことが考えられます。

2023年7⽉期第2四半期業績② 売上⾼と経常利益の過去4期の推移と今期予算

:売上高と経常利益の過去4年間の推移と今期の予算です。今期予算の売上高600億9,900万円、経常利益17億400万円の達成に向けて順調に進捗していると考えています。

2023年7⽉期第2四半期業績③ 連結貸借対照表(BS)

:次に連結対照表です。棚卸資産の増減は発生していませんが、期末に向けて仕入れを強化しています。

銀行とのお付き合いの中で、もう少し借入等を踏まえて、棚卸資産を増やせないかと調整している最中です。ある程度方向性が見えてくれば、棚卸資産をもう少し増やせると思っており、それによって下半期も頑張ることができると思っています。

自己資本比率については、買ったものが売れたため、40.4パーセントから41パーセントに増えました。

また、今期のプロジェクトに向けて、長期保有物件の取得を強化しています。クラウドファンディングを組成しているところで、その商品の取得を強化している状況です。

周りのシステム開発については、上場以来、本当に優秀なエンジニアが入ってきたため、今では70名から80名くらいまでシステム開発要員が増え、開発に邁進している最中です。

2023年7⽉期第2四半期業績④ キャッシュフロー計算書

:キャッシュフロー計算書については、営業活動によるキャッシュフローは増えており、そちらを投資などに充てています。

事業内容/特徴① DX→システム開発のスピードと拡がり

:次に私自身がやってきたことをきちんとお伝えしたいと思い、あらためてご説明します。私はコードを書けるわけではありませんが、スライドに記載した作業を行ってきました。まず、Windows3.1時代に、前に務めていた株式会社大京という会社で、売買契約書・重要事項説明書を作成しました。

次に、Windows95のOfficeの「Access」に出会った時、今まで私が作ったシステムが全部できるのだろうかと思い、実際に作り始めました。これはランドネットの設立と同時に作り始め、ノートPCをサーバー代わりにしていたのですが、2台から3台をつなぐとサーバー管理ができなくなります。

そこで、DELLのハードディスク型のサーバーを10万円で買い、「Windows 2000 Server」と「SQL server」も買ってきました。おそらく全部で40万円から50万円だったと思います。さらにマニュアル本も10冊くらい買い、それどおりに動かそうとしたのですが、マニュアルどおりに組んでも実は動かないのです。

動かなくなると、サーバーを初期化しました。振り出しに戻り、また進み、ある地点でAとBのどちらを選ぶのかという時に、とりあえずAを選んでみます。駄目だったらまた初期化し、次にBを選ぶということをずっと繰り返していました。会社に朝9時に行って気づいたら夜の11時でしたが、基本的に私はそのような作業が好きなのです。

結果として、「Access」をフロントにして、「SQL server」をデータベースにする仕組みが出来上がりました。

実は昨年の4月まで、私が作ったものを会社で使っていました。しかし、4年くらい前から不動産のシステム関連の投資を増やし、人員もどんどん増やして今は70名から80名いますが、彼らに作り直しをお願いしています。作り直しの要件と要求の定義には、ずっと私も入っています。今は作り直しを終えましたが、この経験が今もランドネットには活きています。

また、「Salesforce」のCRMがよいと聞いては実際に自分で触り、作った業務システムに取り入れたり、営業とお客さまのやり取りをメール、ショートメール、電話営業も含めて全部残し、次の者がそれを見ながら、いろいろな話ができるようにしています。後ほどご説明しますが、その仕組みや膨大な物件情報・成約事例があるがゆえに、営業マンの教育スピードが速いです。

クラウドファンディングのシステムに関しては、免許関係は都庁で行っているため何度も伺ったり、不動産特定共同事業の書籍を買ったりしています。「Windows 2000 Server」「SQL server」と同じく、施行規則も全部読み、クラウドファンディングの仕組みを作りました。

現在はそれを作り直しており、最新のものにすることでどこにもないようなクラウドファンディングの仕組みができるだろうと思っています。

また、区分マンション・戸建て・アパートへの物件種別の拡大と、システムに裏打ちされたものを一生懸命に作っている最中です。今はマイページと電子契約のシステムを作成しており、年内には発表できると思っています。

事業内容/特徴② DXにより⼈・物・⾦・情報の経営の4要素全てを再構築

:当社はDXを使い、いわゆる「人・モノ・金・情報」の経営の4要素を、すべてを再構築していると考えています。

①「モノ」に関しては、東京にいながら札幌、石垣島の方など、不動産の所有者に直接アプローチしています。ITを使うことで、ストリートビューで物件の状況・街の状況はだいたいわかりますし、謄本は昔は現地に行かなければ取れなかったのですが、今は東京にいながら全部取れるようになりました。さらに、成約の事例・売り出しの事例も全部取れます。

そのため、日本全国のオーナーから物件を直接仕入れるようになり、他の不動産会社を通さなくてもアプローチできるようになりました。これを「ダイレクト不動産」と呼んでいます。

ここで伝えなければいけないのは、私が30年くらい前に不動産業界に入った時に、媒介契約が新しく作られました。当時は、「すごいなあ」と思ったものです。それからかなりの時を経て、今は清潔・きれい・使いやすい部屋でないと誰も住みたがらず、リフォーム・リノベーションをしないと住めない状況になりました。当社ではこれを「ホワイト革命」と呼んでいます。

昔はとても高くて小さかった液晶ですが、今はどんどん大きくなり、ガスのボタンやお風呂のボタンにしても今は格好良いです。つまり、15年も経つと、物件もフルリフォームしないと住めなくなってきているということです。

しかし、お客さまが中古の不動産を買おうと思った場合に、自分でフルリフォームすることはけっこうリスキーで、リフォーム業者は小さいところも多く、かといって大手に頼むと値段が高いです。そのため、不動産会社が築15年を超えた物件を買い取り、フルリフォームして売ることが今の主流だと私は思っています。

当社のように、不動産を持っている方に直接アプローチし、買い取ってフルリフォームしたり、収入を得るためのローンを提示したり、購入後の瑕疵担保責任は普通は2年ですが、当社は3年負ったり、賃貸の家賃滞納の責任も負う中で、買取販売・買取リフォーム販売・買取付加価値販売が増えているのだろうと思っています。

②「お金の革命」は、先ほどお伝えしたクラウドファンディングについてで、当社に直接投資していただきます。きちんと賃貸を付けて家賃を回収するため、当社は不動産の賃貸に関しては完全なプロだと思っています。お部屋が空いた場合には売却しようと考えていますが、売却先に関しても自信があります。

③「情報の革命」は、ITやインターネットにより、国や自治体、民間団体の出す、いわゆる生のデータが簡単に手に入ります。この生のデータを追いかけることにより、市況がどうなるかがかなり見えるだろうと思っています。

先日、地価の公示があり、地価が上がったという話がありました。当社はずっと前からいろいろな指標の中で「まだまだいけるのではないか」と思っていました。そのようなことを含めて情報に関して取り組みます。

④「人の採用の革命」はまだ対応している最中で、成果はまだ出てきていません。

事業内容/特徴③ 基幹システム「RCP」による業務の効率化

:このような大きな視点の中で、基幹システム「RCP」を作っています。これはもともと私が作っていたもので、売買に関するところを昨年4月にすべて作り直しました。今は賃貸に関して作り直している最中ですが、大きなデータベースを目指しています。

事業内容/特徴④ 即時の情報共有と体制による早期戦⼒化

:先ほど少しお伝えしましたが、即時の情報共有と体制による早期戦力化ということで、「RCP」を通じた即時の情報共有を行っています。

お客さまとどのような会話をしたかが見て取れますし、成約の事例、売り出しの事例、不動産に関しての情報がパソコンからすべて手に入ります。営業はそれを見ながら営業活動するため、1年、2年でかなり育ってきます。

よくお話しするのは、新卒はおそらく半年くらいで損益分岐点を超えているということです。中途は異業種から来る方も非常に多いですが、社会人としての基本はできているため、不動産については「RCP」のシステムを使うことにより、早期戦力化していると思っています。

したがって、急速な人員拡大の中でも営業部社員1人当たりの売上高はだんだん伸びてきています。

坂本:御社で「RCP」という基幹システムを作ったとのことですが、システム開発はだいたい一段落しているのでしょうか? それともまだ課題があるのでしょうか?

:売買のほうは、ある程度は終わりました。しかし、先ほどお伝えしたとおり売買の延長にクラウドファンディングがあり、マイページ、電子契約などはまだ開発しなければいけないと思っています。

賃貸事業部に関しては、今まさに開発している最中です。おそらく来年の半ばくらいまでかかると思いますが、ここで売買と賃貸の開発は終わると思います。

リフォーム・リノベーションは、いわゆる施工管理を含めて外部のソフトを使っていますが、そちらも作り直しが必要かと思っています。したがって、来年末くらいまで取り組んでいると考えています。

ただし、時代の進歩が早いため、1回作ったあとも作り直すことがあります。開発の仕方としてはアジャイル開発に変えているため、一部を作り、他は使えるようにしておくかたちで進めていますので、かなりうまくいっていると思っています。

坂本:ここまで網羅しているシステムはそうないと思います。すばらしいシステムだと思うのですが、外販は行っているのでしょうか?

:今お伝えしたようにまだ中のほうで手一杯なため、外販に関してはある程度目処がついてきた段階でスピンアウトしつつ、ある特定の機能を全部外販できないかと考えています。特に、当社の場合はお客さまと電話営業するため、スムーズに電話営業する方法などについてはいろいろな知見を集めていますので、そこは外販できるかと思っています。

坂本:将来は競合他社に売るため会社を分けるのか、それともそのまま御社で行うのでしょうか?

:システム会社だけで独立させることも考えていますが、まだ決断したわけではありません。

事業内容/特徴⑤ ダイレクト不動産

:ダイレクト不動産についてです。スライド左側の円グラフをご覧ください。売主に直接連絡を取ることにより、物件の仕入れについてはダイレクトが73パーセント、不動産会社を通す場合が27パーセントとなっています。

スライド右側の販売については、今はダイレクトが58パーセントです。昔はダイレクトが40パーセントくらいで、業者卸しが50パーセント、60パーセントくらいでしたが、上場してネームバリューもブランドも認知される中でダイレクトが増えてきていると思っています。

ただし、当社としてはいろいろな業者と協力しながら仕事を進めたいと思っていますので、業者の割合もある程度維持しながら、ダイレクトを増やしていきたいと考えています。

坂本:ダイレクトは当初から始めていたのでしょうか? それともシステムが整ってから力を入れるようになったのでしょうか?

:私は前の会社にいる時から、一営業マンとして不動産の仕入れが得意でした。少し自慢になりますが、どのくらい得意だったかと言いますと、東武東上線のふじみ野駅にある不動産会社と比べても、私個人のほうが物件を多く仕入れていたと思っています。

その地域に毎週2物件か3物件くらい折込の広告を入れたことを覚えています。仕入れが得意だったため、得意なところを思いきり伸ばしながら、自分が仕事しやすいようにシステムを開発しました。作る人と使う人が同じだと非常に速いです。

坂本:要件定義などが不要で、自分で入れていけばよいですからね。

:おっしゃるとおり、自分で全部作っていけばよいわけです。したがって、最初からダイレクト不動産を考えていましたが、例えば全国展開できるかと言われると、やはり法務局がインターネット化したり、ストリートビューが入るまでは無理でした。

坂本:そうですよね。レインズを見て、ストリートビューを見て、ゼンリンの地番と住所が統合されたソフトを使うことでできるということですね。

:そのとおりです。そこに情報が全部集まっています。今は電子契約が入ってきましたので、東京にいながら契約まですべて終わってしまう時代になっているかと思います。

KPI/各種指標① 営業人員推移

:営業人員に関しては順調に増やしていかないといけませんが、現在、本社も福岡支店も大阪支店も増床し、営業人員も増えてきています。これは上場したおかげです。昨日も一昨日も、営業の面接を最後の5分間だけ出ましたが、よい人が集まっていると思っています。

KPI/各種指標② 取扱不動産種別/取引件数

:取扱不動産の種別として、ファミリータイプが42パーセント、ワンルームが58パーセントとなっています。スライドにはありませんが、粗利ベースでは逆転しています。ファミリータイプが約60パーセント、ワンルームが約40パーセントです。

ファミリータイプは利幅も単価も大きいため、件数はワンルームのほうが多いのですが、粗利はファミリータイプのほうが多い状況になっています。

取引件数の進捗率は43.2パーセントです。先ほど売上高や経常利益の進捗率が50パーセントを超えたとお伝えしましたが、件数はファミリータイプが増えたことでやや苦戦しています。ただし、粗利は伸びています。

KPI/各種指標③ 棚卸資産推移・在庫回転日数

:昨年の棚卸資産は75億600万円、今年は77億8,300万円ですが、もう少し大きくしなければいけないと思っています。しかし、在庫の回転日数は相変わらず2ヶ月を切っており、買った商品はきちんと売れていると考えています。

KPI/各種指標④ 管理戸数推移

:賃貸の管理戸数です。いろいろなところと協力する中で、今期目標の7,268戸は実現できると考えています。

KPI/各種指標⑤ 入居率推移

:管理戸数は増えていますが、入居率は高い水準を維持しています。一時期98パーセントに近づいている時期がありますが、これは新型コロナウイルスの影響です。

坂本:それでも相当高いと思います。

:新型コロナウイルスの影響で、リモートワークにより東京23区から郊外に引っ越す方が多く、一番人気な東京23区で少し空いたことがありました。ただし、今はすでに埋まっており、流れの中でリモートワークへと振れたようですが、また戻っている感覚があります。

増井麻里子氏(以下、増井):入居率が高いのは、魅力あるリノベーションを行っていたり、場所がよかったりといったいろいろな要因があると思いますが、一番の理由は何でしょうか?

:1つは、よい商品の一番のポイントとして立地が挙げられます。場所のよい物件を、お客さまに優先的に紹介しています。

もう1つは、台湾や中国大陸の方、英語のしゃべれる方といった多言語にわたる入居者と話せる営業が、賃貸管理事業に6名から8名ほどいます。私は台湾の従業員の結婚式に行ったこともありますが、そのようなお付き合いをしながら部署を大きくしてきています。

増井:入居者の募集は、どのように行っているのですか?

:多言語を話す方については、営業というよりも、入居者にきちんと説明できるか、クレームにきちんと答えられるかというレベルの話です。

場所については、営業が物件を売る時に場所のよい物件を紹介します。当社が紹介して賃貸の管理を受ける以上は、駅から何分ぐらいで、築年数が何年ぐらいといったいろいろな制限の中で販売しています。

KPI/各種指標⑥ 従業員数推移

:従業員数の内訳は、システム部門が21パーセント、事務部門が22パーセント、事業部門57パーセントで推移しています。実はシステム部門が多いです。

坂本:かなりの割合ですよね。

:彼らがいるため当社のシステムが出来上がっているのですが、私としては、ここをもう少し効率を上げることを考えています。

また、システム部門が外販できるようになるのであれば、事務部門は20パーセントで済んでいるため、会社としてはかなり効率の良い仕組みが出来上がっていくと思っています。

効率を上げるための取り組みについては、例えば、月の最終日は400件から500件の決済があります。1つの決済で3本か4本の入出金があり、それを全部割り当てようとすると人ではまったく回らないため、バーチャル口座を1つの契約にすべて設け、どこに何が入ったかを1発でわかる仕組みを作っています。その仕組みがあるため、事務部門は少ない人員で回っていると考えています。

KPI/各種指標⑦ 地域別取引件数の割合

:地域別取引件数の割合です。直近では首都圏が59.3パーセントとなりました。福岡にも支店を開設したため、九州も伸びてきています。当社の目標は、北は札幌から南は石垣島まですべての区分マンションを扱うことです。そのため、首都圏の割合が少しずつ減ってきていますが、全体の件数はもちろん増えています。

KPI/各種指標⑧ 拠点の拡大

:上場に伴い、東京本社は昨年4月に、大阪支店は昨年5月に、横浜支店は今年1月にそれぞれ増床しました。福岡支店は一昨年12月に新設しています。

成長戦略① 取扱種別の拡大

:お伝えしているとおり、取扱種別の拡大に取り組んでいます。上場するまではワンルームマンションの築古と築浅、ファミリータイプの築古がメインでしたが、ある程度ブランドができたということで、上場後はファミリータイプの築1年、2年、3年、5年、10年、15年等といった築浅の物件なども扱っています。

従来は「大手と競合した場合に勝てるのか」という問題があるために取り扱っていませんでしたが、今は競合した場合も勝てると考えており、一生懸命に取り組んでいます。それに加え、アパートや戸建てを増やそうとしているところです。

お伝えしたとおり物件の仕入れが得意なため、取扱種別の拡大においては、区分マンションで行っているように、情報を集め、ダイレクトメールや電話営業でアプローチしながら物件を仕入れています。

アパートや戸建てを扱っていると、将来的に一棟ビル、一棟マンションにもつながってくると思っています。現状はファミリータイプの築浅とアパート、戸建てに注力していますが、2年、3年が経って成果がきっちり出てくれば、次は一棟ビル、一棟マンションに入りたいと考えています。

成長戦略② 個人投資家向け販売を強化

:先ほどマイページなどのお話をしましたが、個人投資家向けのアプリを作っている最中です。もう少し時間がかかると思いますが、お客さまに本当によいサービスを提供できると思っています。

スライド左下に「Redia(リディア)」とあります。「Redia」を通じて、先ほどお伝えした市況のデータや統計に基づいた当社としての見解を提示していきたいと考えています。

先ほど「地価の公示があり、価格が上がった」とお話ししましたが、円安に振れ、金利が上がるのか否かの混乱がある中で、「不動産価格はどうなっているのか?」という問い合わせを受けることがあります。

私の見方としては、現在、インフレが少しずつ進んでおり、インフレターゲットが実現するかどうかの分岐点にあると感じています。その中で、賃金の満額回答が着実に増えているため、賃金が上がれば当然不動産価格も上がると考えています。

世界的に見ると、日本の不動産は安く、利回りが良いです。完全に強気に出られるわけではなく、慎重に進める必要はあると思いますが、悪くない市況だと考えています。

成長戦略③ ファミリータイプの販売を強化

:ファミリータイプに関しては、スライド左上に示したようなアパートや、左下に示した部屋のリフォームがあります。

このような古い物件を買い取り、フルリフォームして販売するのがリフォーム事業ですが、この事業には本当に夢があります。私も時々現場に行って見ていますが、これは非常におもしろい仕事だと感じています。

SDGsにもつながりますが、「もったいない」という意識がある日本人にはぴったりのサービスだと思っていますので、古い物件をフルリフォームすることで利便性を高めるなど、お客さまに買ってもらうための努力を一生懸命行っています。

成長戦略④ 中⻑期成⻑イメージ

:中長期の成長イメージです。ここまでお話しした中では、特に戸建てとアパートの拡大に注力しており、現在はDX関連の最後の仕上げを進めています。その先に予定しているのは、アメリカの不動産を日本人に紹介する仕事です。1年後くらいには、私自身がこの仕事に向けて動き出したいと思っています。

クラウドファンディングについては、銀行などが間に入らずに、物件購入資金を当社で集めて投資することにより、お客さまに利益を還元していきたいと思っています。

他サービス/保証① クラウドファンディング

:現在、当社で考えているクラウドファンディングは、年予想配当利回り3パーセントを確保しながら、1,000万円以上の大きい金額を投資でき、投資期間を10年から20年に設定できるような商品を検討しています。必要であれば、預金感覚でお金を引き出したい時に引き出せることも考えています。

配当利回りに関しては、家賃収入が4パーセント程度で回るような物件をラインナップに入れていますので、家賃収入で配当をすべて賄える想定です。

出資金の回収については、事業者が優先出資者の地位を買い取る形式で、出資金の返還が可能です。

出資額・出資期間については、最初は100万円からになるかもしれませんが、1,000万円以上の出資も可能であり、10年から20年出資できるものにする予定です。放置しておいても複利でお金が増えていく商品を考えています。

複利で運用すると、10年で、およそ30パーセントから40パーセント伸びました。詳細が決まり次第、当社のホームページなどのサイトで発表していきたいと思っていますので、ぜひご確認ください。

他サービス/保証② お客様満⾜度向上への取り組み

:取引が着実に増えており、当社の取扱する物件は意外と古いものも多いです。そこで、通常2年間のところ、当社では3年間の契約不適合責任を負っています。設備の保証については、特に冷暖房、給湯器、浴室設備は比較的壊れやすい設備であるため、3年間の保証をつけています。

また、賃貸中の物件を売買することも多く、その場合は家賃が確実に入ってくるのかが一番の懸念点かと思います。当社では家賃の滞納保証があり、最大6ヶ月までの家賃を当社が立て替えるサービスを行っています。

これらの仕組みにより、お客さまが日本全国の不動産の中から、古い物件も新しい物件もある程度の保証の上で購入できる状態にしていきたいと考えています。

アメリカのOpendoorという不動産会社は、アメリカで戸建ての売買を行っている企業ですが、取り扱う物件の中には築年数50年などの非常に古いものもあるため、彼らは契約不適合責任について3年間の保証をつけています。

当社もそれを目標にしたいと思い、今、当社ができることはどのようなことかを考えました。現在は区分マンションで保証サービスを提供していますが、戸建ての売買に関しても、どこまでできるかを探りながら進めていきたいと思っています。

保証を充実させることにより、当社を利用すれば買主が安心して物件を購入でき、売主も安心して物件が売れるという双方向的な利益を達成できると考え、その実現を目指しています。

質疑応答:アメリカのシリコンバレーバンクの破綻による影響について

坂本:「現状はアメリカのシリコンバレーバンクの破綻により金融業界が荒れているとのことですが、御社の事業に影響を与える可能性はありますか?」というご質問です。

:正直に言いますと、今のところ当社の事業に影響があるとは考えてはいません。アメリカの倒産した銀行の話を聞くと、今の時勢が原因というより、経営にずさんな部分があったのではないかと感じます。また、クレディ・スイスでもいろいろと不祥事があったようですね。

坂本:不祥事は昔からしばしばありましたからね。

:ですので、今の日本に影響があるかと言いますと、ないと考えています。

坂本:日本では低金利が続くと思いますし、海外でも利下げになれば、不動産市況としては悪い状況にはならないということですね。

:国が新型コロナウイルス対策で100兆円近くの資金を投じた効果も、意外と出ていると感じています。

坂本:その資金がけっこう不動産業界に回ったようですね。

:おっしゃるとおりです。また、失業率もコロナ禍で上がっていました。

坂本:確かにそのような状況がありましたね。

:そのため、そこはもう少し頑張っていきたいと思っています。

質疑応答:株式の流動性を上げる施策について

坂本:株式の流動性を上げる施策はありますか?

:株式分割は2回行いましたが、会社の業績を大きく上げて株価を上げることにより、再び株式の分割等を考えていきたいと思っています。

株価に関しては、毎日確認しながらどうしたら上がるかを考えていますが、真正面から取り組み、正々堂々と上げていきたいと思っています。もう少し努力していきますので、よろしくお願いします。

質疑応答:経営上の不安要素について

坂本:業績は非常に好調で、経営はうまくいっていると思っていますが、不安な要因がありましたら教えてください。それが外部環境なのか、内部要因なのかについてもお願いします。

:正直に言いますと、不安な要素はあまりありません。

坂本:それは良いですね。

:外部環境は安定していると考えています。内部環境に関しては、先ほどもお話ししましたが、人を雇う部分が最も苦労しましたが、上場以降、システム開発やエンジニア採用では、比較的良い人材が採用できていると思っていますし、営業部門でも採用は順調です。

強いて言えば、システム開発の人員を徐々に増やしているため、より効率化できる部分はあると思います。私もシステムの開発にはしばしば加わっていますが、気持ちの良い人材がたくさん入ってきていますので、しっかり整理整頓を行い効率化を進めていけば、業績はいっそう好調になると思っています。

その他にも、当社がこれまで進めてきた区分マンションでのサービスを、戸建てやアパートにも徹底して広げていけば、より成長できると考えています。

質疑応答:取引1件当たりの単価の上昇について

坂本:「第2四半期が好調だった理由は、取引1件当たりの単価が上昇したことが大きな要因だと思います。それについて、どのように捉えているのでしょうか? 第3四半期以降も、取引1件当たりの単価が拡大する状況が続いていくのかについても教えてください」というご質問です。

:まず、当社が現在得意としているのは区分マンションです。区分マンションに関しては、先ほどお話ししたとおり、築年数が新しく、面積の広い物件も取り込み始めています。

簡単に言いますと、そのような物件は当社では1億円で購入し、1,500万円ほどでリフォームして、1億3,000万円から1億4,000万円で売る仕事が増えてきているため、単価が上がってきています。

それに加えて、当社は居住用の不動産だけではなく、投資用の家賃収入目的の物件も取り扱っており、地方のビルの買取販売のお話も増えています。

坂本:テナントビルは比較的大変かと思いますが、価格の調整が起こってしまっているのでしょうか?

:例えば、札幌や福岡など地方の物件では、5階建てや7階建てのビルに入っているような物件の売買の相談もあります。

当社は居住用だけではなく、事務所用や店舗用の賃貸物件の家賃設定の知見もあります。したがって、いくらで貸せるかがわかれば、どの程度の利回りで、どの程度の金額で売れるかが、すべてわかります。そのような物件の管理を受けることももちろん可能ですので、本当にありがたいと思っています。

坂本:他社が行っているような、買い取り後にバリューアップして売却するというビジネスですね。

:バリューアップして売却する場合もありますが、地方で数億円ものお金を出して物件を購入し、いろいろな調整をした上で売却するところは、それほど多くはありません。

なおかつ、当社は事務所が東京にあるにもかかわらず、地方の物件を購入しています。それができるのは、先ほどお伝えしたダイレクト不動産の仕組みがあるからですが、他の会社にはそのような仕組みがありません。

そのため、地方の物件を東京からわざわざ買いに行くことはあまりないと考えています。ここは当社のメリットが本当によく表れていると思っています。

坂本:確かに、東京から地方の物件を買いに行くという話はあまり聞きませんね。

質疑応答:テレビCMを放映する予定について

増井:「他社のテレビCMが話題になっていましたが、御社ではテレビCMを放映する予定はないでしょうか?」というご質問です。

:当社はDXの会社だと思っていますが、外から見るとDXの会社という紹介は出ていません。クラウドファンディングや電子契約、マイページなどの機能がついたお客さま向けのアプリが完成したタイミングでCMを放映したいと、社員と話しています。

CMといっても、テレビではなくネットを通じた複数のメディア広告になると思っていますが、現在進めているお客さま向けマイページやアプリの完成が見えてきた段階で検討したいと思っています。

質疑応答:クラウドファンディングの詳細について

坂本:「クラウドファンディングのリリース時期は年内くらいの予定と思っていてよいのでしょうか? また、『利回り4パーセント、投資期間は10年ほど』というお話でしたが、金額の上限やその他の詳細がありましたら教えてください」というご質問です。

:リリース時期は、夏を目指しています。利回り4パーセントについては、4パーセント程度の利回りの不動産を集めていますが、お客さまに提供できるのは3パーセントです。したがって、配当利回りは3パーセントとなります。

金額の上限に関しては1,000万円とお話ししましたが、もう少し高くてもよいのではないかと検討しているところです。今は仕組みを作っている最中ですが、当社のサービスと似たようなものを作っている企業はほとんどいません。

坂本:まず、これほど投資期間が長いサービスを私は聞いたことがありません。他社が提供しているサービスでは、どなたか投資家がいて、いったんブリッジのかたちでクラウドファンディングで資金を集め、メザニンファイナンスを使って運営が儲かり、投資家は残った分を分配されるというスキームが多いと思います。

御社が考えているクラウドファンディングは、それとは少し異なるのでしょうか?

:簡単に言いますと、クラウドファンディングに入っている不動産の入れ替えができる点が、他社との違いです。

坂本:私募リートのようなイメージですか?

:そのようなイメージです。クラウドファンディングの形式で進めていますが、その中で私募リートという言葉も実は出てきています。金融庁などが出てきますので、まずは不動産特定共同事業として進めたいと考えています。

また、お客さまと会話しながら育てていけるようなファンドを作りたいとも考えています。

坂本:投資期間が長い商品は投資家も使いやすいと感じますので、おもしろいと思います。

:預金代わりにできるような商品を実現したいです。

質疑応答:ファミリータイプの需要について

増井:「ファミリータイプは実需のほうが多いのでしょうか? また、需要としては、ワンルームとファミリータイプのどちらが多いのでしょうか?」というご質問です。

:実は、ファミリータイプで賃貸中の物件もあります。賃貸中ということは、投資目的でファミリータイプの物件を買われる方がいるということです。

坂本:オーナーチェンジですね。

:ファミリータイプの賃貸のおもしろい点としては、家賃の利回りはワンルームに比べて若干低いというデメリットはありますが、部屋が空くと少し高く売れる可能性が高まります。

実際に不動産鑑定士に価格を算出してもらうと、賃貸中の価格と部屋が空いた時の価格は、およそ10パーセントほどの差があります。

坂本:安く貸すパターンと、御社が行っているようなリノベーションして再販するパターンの両方で使える可能性があるため、価値が上がるということでしょうか?

:ご指摘のとおりです。そのため、当社としてはそのような物件も商品としてお客さまに提供していきたいと思っています。

当日に寄せられたその他の質問と回答

当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。

<質問1>

質問:自己資本比率が低いのですが、今後資本増強は考えていますか?

回答:弊社の自己資本比率は41.0パーセントと、不動産業界の自己資本比率33.1パーセント(※)と比べてもさほど低い水準にはないものと認識しています。 ※法人企業統計調査(2021年度)の数値

<質問2>

質問:日本においても、物価上昇が大きくなっており、金利上昇の可能性も出てきていますが、この点について、御社はどのように捉えていますか?

回答:住宅ローン・投資用ローンの金利が上がり、購買意欲が下がる可能性があります。ただし、不動産価格が上昇する可能性もあるため、弊社としては市況を見ながら柔軟に対応していきたいと考えています。

<質問3>

質問:競合他社はどちらになるのでしょうか?

回答:まず弊社は、三井不動産リアルティ株式会社、住友不動産販売株式会社、東急リバブル株式会社を目標としています。次に特定分野ごとに類似する他社として、株式会社GA technologies、スター・マイカ株式会社、株式会社カチタス、株式会社インテリックスなどを挙げさせていただきます。

<質問4>

質問:​​現在、月次でIT重説の件数と電子媒介利用状況を発表されてますが、あまり参考になりません。月次で発表されるのであれば、取引件数や販売額などを適時開示でリリースいただけないでしょうか?

回答:貴重なご意見をありがとうございます。現在、投資家のみなさまに向けて月次レベルで一層有益な判断となりうる業績の開示を検討しています。引き続き、弊社の業績へ注目していただければと思います。