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志水雄一郎氏(以下、志水):フォースタートアップス代表の志水でございます。本日はお時間をいただきましてありがとうございます。ただいまより、2023年3月期第3四半期決算説明会を開催いたします。本日のアジェンダはスライドのとおりです。

過年度決算の訂正に関するお知らせ

まず、過年度決算の訂正の件をご説明します。2023年1月20日に「過年度決算の訂正に関するお知らせ」を適時開示しました。詳細としては、タレントエージェンシー事業において利用する人材データベース運営会社への手数料の一部の支払漏れ、および売上原価の計上漏れが判明しました。

みなさまにおかれましてはご心配とご迷惑をおかけしていますことを、深くお詫び申し上げます。当社としても、経営陣としても、私としても、本件を重く受け止めており、ガバナンスの強化、再発防止策の徹底を図っていきます。

今やスタートアップ支援は国策となりました。ここから5年、日本の未来を決める大事なタイミングで、最大の支援者である当社がこのような課題を持ったことを大変猛省しています。私たちはあらためて成長産業支援事業に邁進していきます。引き続きご支援のほど、何卒よろしくお願いします。

過年度決算の訂正の概要

過年度決算の訂正の概要についてご説明します。スライドの表のとおり、売上高に関しては変更ありません。2018年3月期以降の売上原価/販管費の追加計上により、段階利益を訂正するかたちになっています。

過年度決算の訂正の概要

今回こちらの課題が起きた理由をスライドに示しました。複数データベースで接触があった転職希望者の支援に際し、規約の誤認による支払漏れが発生しています。

スライドのイメージ図についてご説明します。転職希望者はご自身の転職を成功させるため、複数の求人データベースに登録しています。その際、個人を特定する情報はありません。転職希望者が私たちが取引しているスタートアップ群において重要な役回りを占める方であれば、私どもからそれぞれのデータベースを通じてスカウトを行っています。

この際、個人を特定できる詳細な情報はないため、A社とB社の求人データベースの登録情報が同じ転職希望者であったとしても、両方のデータベースに対してスカウトを送っていることが多数あります。

その結果、転職希望者がA社とB社の求人データベースで転職活動を行っている場合、両社より私どものスカウトメールに対して返信していただく場合があります。

この返信が同じようなタイミングであれば、当社はより早く返信していただいたデータベースを有効として支援していきます。その結果、1つのデータベース上でやりとりを行い、ご希望のスタートアップ群に転職が決まった場合、スライドの図のB社のほうでそのやり取りが発生していたということで、B社にお支払いしています。

しかし、本来であればA社のデータベースにおいても返信または興味があったなどのボタンが押されている時は、A社にもお支払いする必要がある場合があります。

私たちは「1決定1支払い」と誤認していたところがあり、複数のデータベースにまたがったお支払いが必要という運用がされていなかった部分が、今回の過年度決算の訂正に繋がりました。現在、この部分に関しては、このような課題が起きないようにあらためてしっかり運用している状況です。

影響額について

複数の媒体からの登録により、一方に対しての支払漏れがあった金額は、過去累計で1億1,800万円ありました。

この支払漏れの純額は、過年度の売上原価比で6パーセントに相当しています。これは複数の媒体にお支払いしなければならなかったという意味合いとほぼ等しいです。この結果、各年度の営業利益率を約1.5パーセント押し下げるものとなっています。

また、支払漏れの純額1億1,800万円に対し、各求人データベースの企業と締結している規約の内容に基づき、各社と相談した結果、支払漏れに対する違約金額が2億8,300万円と特定されました。合計金額4億200万円が、過年度および進行期の売上原価/販管費に計上した部分です。

また、今回の計上は、経済的実態として支払漏れと違約金は一体の取引であると判断しました。これに基づき、違約金部分は特別損失ではなく、売上原価と一体で計上し、売上原価発生時期に遡及して計上する会計処理を行いました。

再発防止策について

再発防止策についてご説明します。再発防止策の実効性は、引き続き検証を行っていくものと考えています。また、2023年2月14日に開示したとおり、本件について責任の所在を明確化し、私を含めた役員の処分を決定しています。

運用フロー・ガイドラインの再構築に関しては、重要な部分は私どものみで決めることなく、各データベース運営会社との協議の上、合意したフロー・ガイドラインで運用することにより、抜け漏れのない、課題のない運用ができるように努めていきます。

具体的な再発防止策として4つ掲げています。1つ目は、リスク評価会の定期的な開催です。課題があったとしても、より早く見つけられる組織運営・事業運営を行っていきます。

2つ目は、各人材データベースの利用ルールの周知徹底を図るための教育体制の再整備です。3つ目は、各運営会社とのコミュニケーションを行う専門チームの組成です。4つ目は、追加的な管理システム導入を含めた適切な管理体制の整備です。

現在、社内にも我々が構築したデータベース、システムがあります。さらに今回、各データベース運営会社からデータを統合するための追加の管理システムを導入し、支払いに課題がないように運用していきたいと思います。

今後の見通し ― 2023年3月期 業績予想

今回、2023年3月期通期の業績予想を訂正しました。売上高は変わらず、営業利益は当初の5億7,000万円から5億円に、経常利益を5億7,000万円から5億円に、親会社株主に帰属する当期純利益を4億円から3億7,000万円に下方修正しています。

現在はよい状況で進んでいますが、訂正決算に伴う販管費が第4四半期に発生することを見越し、その部分も踏まえた下方修正の数値を開示しています。

2023年3月期第3四半期 決算ハイライト

2023年3月期第3四半期までの業績についてご説明します。まず、ハイライトです。業績は概ね高水準で前向きな結果となり、売上高・営業利益ともに前年比プラス35パーセント以上の成長を示しています。受注高も前年比プラス15パーセント以上となりました。

タレントエージェンシーも堅調な受注を維持しています。オープンイノベーションについても、新たに開催したカンファレンスで大きな協賛金受注が入ってきたことにより、受注高が成長しています。

社員数は前年比37名増で推移しています。このペースで推移すると、もともと想定していた年間50名純増の165名を達成する見込みです。タレントエージェンシーおよびオープンイノベーションの現状に関しては、後ほどご紹介します。

【全社】売上高の推移

全社の売上高の推移です。第3四半期は過去最高の売上高を示しています。「スタートアップ冬の時代」と言われる中でも、タレントエージェンシーは前年比プラス22パーセントの成長を実現しています。

【全社】受注高の推移

受注高の推移です。こちらも前年比でプラス成長しており、特に今回はオープンイノベーション分野における「成長産業カンファレンス」の協賛金受注が大きく発生しています。

【全社】人材確保目標に対する進捗状況

前年度の課題であった人材採用については、1月、2月に多くの方に入社していただいたこともあり、結果として165名の入社予定ペースで推移しており、期初目標の年間50名の純増を達成する見込みです。4月には新卒の方々が21名入社する予定で、みなさまに入社の意思決定をしていただいているところです。

【タレントエージェンシー】スタートアップの資金調達環境の状況

ここからは各部門の現況についてご説明します。まず、タレントエージェンシーを取り巻く資金調達環境の状況からお話しします。2021年から2022年にかけて、エクイティ調達領域はほぼ同水準で推移しています。

メガバンクを中心としたスタートアップ向けのデットファイナンスは、2021年から2022年にかけて倍増しています。資金調達市場の金額としては、2021年から2022年で遜色のない状況で推移していますが、2021年と2022年ではこの資金の使い方・活用の仕方が若干変わってきました。

2021年はランウェイ1年分の資金調達を行い、2022年はランウェイ2年分の資金調達を行うこと、いわゆるコストを2分の1で運用することが、現在のスタートアップ群に対して特に投資家から指導が行われている部分です。

そのような環境の中で、1億円以上の大型調達の割合が増加していること、有望スタートアップに人気が集中していること、既存投資家からの追加出資が積極的に行われていることを加味しながら営業戦略を組み、タレントエージェンシーの現在の業績メイクにつなげています。

【タレントエージェンシー】売上高の推移

結果として、タレントエージェンシーの売上高は前年比でプラスの状況で推移しています。

【タレントエージェンシー】人材紹介取引数と単価の推移

人材紹介取引数と単価の推移です。引き続き高単価を維持しています。しかし、SaaS系企業を中心として、2021年のように各社が数百名採用を行うという状況は、2022年ではそこまで強くありません。

私どもは、各企業においての重要課題、経営幹部の組成、エンタープライズセールスの強化、プロダクトを開発できるエンジニアの組成といった部分に支援を集中している状況です。

【タレントエージェンシー】決定年収比率の推移

結果として、決定年収比率の推移としては、年収800万円以上の支援比率向上のトレンドは現在も継続しています。

【タレントエージェンシー】人材紹介支援実績

スライドに記載のとおり、当社はメジャーで強力なスタートアップ群の成長を引き続き支えていきます。

【オープンイノベーション】売上高の推移

オープンイノベーションについてご紹介します。こちらの売上高も過去最高を記録しています。大型化したカンファレンスの運営は大幅な増収となり、さらに「STARTUP DB(スタートアップデータベース)」のデータベース課金、スタートアップ政策を支援する「Public Affairs」も順調に推移しています。

【オープンイノベーション】国内最大級の成長産業データベース「STARTUP DB」

2018年より運営をスタートした「STARTUP DB」は、現在16,000社以上のスタートアップ情報を集約しています。国内を代表する未公開市場を可視化するデータのプラットフォームへと成長してきています。

【オープンイノベーション】Public Affairsの状況

「Public Affairs」においても、全国のスタートアップ関連事業の受託やプログラム参画を進めています。東北、山口、大阪など、地方におけるスタートアップ政策支援について非常に多くの依頼をいただいています。

【オープンイノベーション】12月14日に成長産業カンファレンスを開催

12月に開催した大型カンファレンスの運営に関しても、日本におけるスタートアップカンファレンスにおいて、一定程度のポジショニングを得てきたのではないかと考えています。登壇・参加した各関係者は1,300名以上、視聴者登録数は5,000名以上という大型のカンファレンスに成長してきました。次回の開催は今年の11月を予定しています。

【ベンチャーキャピタル事業】現在、5社に投資

ベンチャーキャピタルについてご紹介します。フォースタートアップスキャピタルは、新たにポケトーク社、カケハシ社の2社に出資しています。いずれもタレントエージェンシーにおいて重要なお客さまであり、人材と資金の両面で支援するハイブリッドキャピタル戦略に則った出資・投資です。

【外部環境】日本の国家戦略としての重要な柱『スタートアップ支援』

スタートアップ支援は、2022年に国策となりました。夏に骨太方針の成長戦略に組み込まれ、年末には「スタートアップ育成5か年計画」が発表されました。さらに、1兆円規模の補正予算もつき、2022年はまさにスタートアップ支援が国策となった1年でした。その中で、スタートアップ支援の5か年計画においては3本の柱が標榜されています。

1つ目は「スタートアップ創出に向けた人材・ネットワークの構築」、2つ目は「スタートアップのための資金供給の強化と出口戦略の多様化」、3つ目は「オープンイノベーションの推進」です。当社が手がけている領域が、まさにこの3本の柱となっています。

従業員数としては国内最大規模のスタートアップ支援会社として、国としての成長戦略の1つであるスタートアップ支援をしっかりと推進していきたいと考えています。

国家目標として、日本におけるベンチャー投資額が現在1兆円規模のところをこの5年で10兆円規模まで拡張し、ユニコーン企業数が現在6社のところを5年後に100社まで創出することが掲げられているため、これを最大値として支援していきたいと考えています。

【全社】中長期 財務目標

その過程において、中長期の財務目標である連結売上高50億円を2025年3月期に達成することを目指していきます。引き続き、ここに対して戦略を立て、行動していきたいと考えています。

for Startups

当社は変わらず「世界で勝てる成長産業・成長企業を日本から生み出す」ことに貢献していきたいと考えています。

志水氏からのご挨拶

あらためまして、今回の決算訂正の件、誠に申し訳ありません。再発防止策に努めながら成長産業支援事業に邁進していきますので、引き続き応援のほどよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。