22/9期 トピックス(メンテナンス部門と海外販売の伸長)

竹本清志氏:IMV株式会社の2022年9月期決算説明を開始いたします。経営企画部長の竹本です。はじめに、2022年9月期の決算の概要についてご説明します。その後、代表取締役社長の小嶋より、事業別の各種取り組みについてお話しします。

2022年9月期のトピックスとして、振動シミュレーションシステム事業に含まれる、メンテナンス部門の売上が大幅に伸長しました。お客さまが研究開発活動において、各種振動試験を最適な環境で実施するためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。したがって、今後もメンテナンス部門の売上は堅調に推移するものと期待しています。

一方で、振動シミュレーションシステムの海外での売上も伸長しています。これは欧米の電気自動車開発がますます盛況になっているためだと考えられます。

22/9期 トピックス(COVID-19、半導体不足の影響からの回復予想)

さらなるトピックスとして、各事業の期末時点における受注残高が大幅に伸長している点も挙げられますが、これらについては後ほどご説明します。

22/9期 トピックス(76期の重点取組)

2022年9月期の重点取組として、スライドには4項目を掲載しています。振動試験機のネットワーク接続を通じて、稼働状況の共有やリモート操作を可能とする「iMV cloud」を今春にリリースしました。今後も機能追加に向けた研究開発を進めていきます。

また、次世代地震計の開発も実施しており、国立機関であるE-ディフェンスにおいて実証検証を実施しました。さらに、今後の成長が期待できる宇宙産業において、ロケットベンチャーであるインターステラテクノロジズに対する出資を行いました。

22/9期 業績の概況(全社)

2022年9月期の業績についてご説明します。売上高は前期比2.7パーセント増の118.8億円となりました。2021年11月に発表した連結業績予想では売上高を125億円と想定していたものの、COVID-19や電子部品不足の影響を受け、業績予想は未達となりました。しかしながら、連結売上高としては過去2番目の水準となっています。

一方で、営業利益は前期比22.7パーセント減の8.2億円となりました。今回減益となった最大の理由は、「iMV cloud」の開発等による研究開発費が前期比で3.8億円増加したことです。また、海外輸出に要する運送費用の世界的な高騰による費用増加も影響しています。なお、受注高については後ほどご説明します。

22/9期 業績の概況 (事業別)

事業別の業績についてご説明します。振動シミュレーションシステムは、サービス部門と欧米を中心とした海外製品の売上の伸長により、前期比5.1パーセントの増収となりました。しかしながら、国内製品売上は自動車関連業界における設備投資の回復の遅れなどにより、減収となっています。

テスト&ソリューションサービスにおいては、前期はCOVID-19による試験延期により低迷していましたが、一部回復が見られました。また、非振動試験領域における受託試験が伸長したこともあり、前期比10.4パーセントの増収となりました。

メジャリングシステムにおいては、電子部品類の供給不足や各種プラント向けの振動計測装置の販売が伸び悩んだことを受け、前期比27.4パーセントの減収となりました。

決算概要(連結)①

売上高および営業利益については、先ほどのページでご説明したとおりです。親会社株主に帰属する当期純利益は、為替差益が4.1億円、投資有価証券売却益が8,200万円発生した影響により、前期比13.7パーセントの増益となっています。

為替差益は急激な円安により、ユーロ高債権に対して換算差益が発生したものです。一方で、投資有価証券売却益はコーポレートガバナンスコードへの対応の一環として、持ち合い株式の売却を進めた結果です。

決算概要(連結)②

営業キャッシュ・フローおよびフリー・キャッシュ・フローは、2021年9月期の好業績を受けて2022年9月期に税金支払額が6億2,000万円増加した影響や、仕入債務の減少によって13億円程度減少しました。しかしながら、手元資金は32億円を保有しており、財務安定性は依然として維持されています。

また、ROEは13.5パーセントとなっており、上場企業製造業の平均値を上回っています。

決算概要(連結)③

設備投資額は前期比2.3億円増加、研究開発費は前期比3.8億円増加となりました。今後も次世代ビジネスを創出するため、積極的に開発投資を行っていく方針です。期末株価は、2021年9月期末と比較すると136円の下落となっていますが、今後も株主さまや機関投資家との対話を通じて、IR活動の充実を図っていく方針です。

営業利益増減要因

2021年9月期と2022年9月期の営業利益の増減分析を記載しています。営業利益は前期比で2.4億円減少しましたが、主な要因は先ほどお伝えしたとおり、研究開発費の増額によるものです。

事業別 売上高推移

過去5年間の事業別売上高の推移を記載しています。振動シミュレーションシステムおよびテスト&ソリューションサービスについては、過去最高の売上高となった2019年9月期に近似するものとなっていますが、メジャリングシステムの売上減少により、過去最高の売上高を達成することはできませんでした。

資産の状況 ①

資産負債および純資産の状況を記載しています。COVID-19の発生時には、不測の事態に備えて金融機関より余剰資金を調達していましたが、現在は銀行からの借入金の圧縮を進めており、自己資本比率は48.8パーセントと高水準になっています。

受注の状況

受注高および受注残高の推移をご説明します。決算短信の最終ページに記載しているとおり、2022年9月期の受注高は前期比19パーセント増の137億円となりました。これは、特に欧米市場向けの大型振動試験機の受注が好調だったことによるものです。

そして、今後の売上高を占う2022年9月末時点の受注残高は、受注高の増加も受け、前期末比45パーセント増加の60億円と高水準です。また、2022年9月期に減収となったメジャリングシステムの受注残高も、前期比で1.8億円増加しており、2023年9月期には回復することが期待されています。

業績の見通し(連結)

2023年9月期の業績見通しについてです。先ほどお伝えしたとおり、2022年9月末時点の受注残高が増加していることを受け、売上高は6.1億円増加の125億円を予想しています。

新事業年度には、国内の自動車関連企業において電気自動車やバッテリーの開発強化、さらに国内防衛予算の増加や原子力発電所の再稼働に向けた各種振動試験の増加が期待されます。

一方で、営業利益は電力料金や資材価格の高騰などによる費用の増加も予想されますが、前期比1.7億円増加の10億円を予想しています。配当予想については、後ほどご説明します。

研究開発費については、「iMV cloud」の機能充実をはじめとした次世代ビジネスを育成するべく、さらなる増額を想定しています。

営業利益率及び投下資本利益率(ROIC)の推移

営業利益率および投下資本利益率の推移は、ご覧のとおりです。2022年9月期は、これまでにご説明したとおり、営業利益の減少に伴い、両指標とも前期水準を下回っています。しかしながら、2023年9月期は増収による増益を予想しており、両指標はともに上昇すると考えています。

さらに当社は、投下資本効率を重視しています。「単なる物売りビジネスからの脱却」を推し進めることにより、将来的にはROIC8パーセントの達成を目指しています。

配当金及び株主資本配当率(DOE)の推移

配当金の推移についてご説明します。2022年9月期の配当金は前期と同様に、1株当たり10円を株主総会に上程させていただく予定です。2023年9月期も同額の配当を想定していますが、業績の状況を鑑みつつ安定的な株主還元を目指したいと考えています。また、将来的には株主資本配当率2.5パーセントを目指しています。

以上で2022年9月期の決算概要を終了します。続いて、代表取締役社長の小嶋より、事業別の各種の取り組みについてご説明します。

防災BU(BU=ビジネスユニット)の発足

小嶋淳平氏:代表取締役社長の小嶋でございます。各種の取り組みについては、前期から取り組んでいる内容もありますが、今回は継続しているものと新規のものを合わせて、各種の取組についてご説明します。まずは事業部ごとにご説明します。

メジャリングシステムからご説明します。2022年9月期の売上高の構成比率は7パーセントで、全体的に落ち込んでいます。

スライドには、 防災BU(ビジネスユニット)と記載しています。我々は従来、地震計という商材で防災ビジネスを行っていましたが、地震計のみならず、防災事業全般までドメインを広げていこうという取り組みを始めています。そのために、このような防災BUを発足しています。第76期からスタートしている中期経営計画にも記載のとおり、向こう3ヶ年でドメインの拡大を図っています。

まずは「日本一の地震計メーカー」になることを達成したいと考えています。今、我々の地震計は民需が多いのですが、それに加えて官公庁やODA(政府開発援助)にも積極的に進出していきたいと考えています。

その後、確立した販路を用いて、地震計以外の防災商材も展開していきたいと考えています。そのために、M&Aなども考慮してスピード成長を図っていきます。

総合防災企業として目指す「分野」とは

総合防災にはどのようなものがあるかと言いますと、我々が扱っている地震以外に、水害、火災、備蓄、地すべり・火山などがあります。そのようなものも我々の販路に取り込んでいきたいと考えていますし、最終的には総合防災のデータを取得して、いざという時に、いかに早く被災地へ情報を届けるかといった情報提供サービスにも進出したいと考えています。そのためにまずは我々の地震計を日本一にしたいと思います。

予知保全BU(BU=ビジネスユニット)の発足

もう1つの大きな柱として、予知保全ビジネスユニットも発足しており、今後いっそうの伸長が予想されます。こちらは、ファクトリーオートメーション(FA)業界に深く進出させたいと思っており、「振動予知保全用途」に特化したビジネスユニットになっています。

2022年6月に三菱電機の機器パートナーに正式採用されており、三菱電機の販路を使って、我々の振動予知保全製品を拡販することができています。そのような販路を活用してFA用途に携わるモノづくり企業と連携することで、予知保全から脱皮し、事業規模を拡大していきたいと考えています。

産業用ロボットをはじめ、物流、マテハン業界にも進出可能だと思っています。振動制御に特徴を持つ企業にしていきたい考えです。

三菱電機グループとの協業

三菱電機の機器パートナーとして、ホームページにも掲載いただいています。三菱電機の技術商社である高木商会ともアライアンスを組んでいますので、よりいっそうの販路拡大に努めています。

増大するEV試験需要への対応

テスト&ソリューションサービスについてご説明します。こちらのビジネスも伸張してきており、売上構成比は19パーセントです。20億円を少し超えたばかりですので、まだ拡大する余地はあると考えています。

テスト&ソリューションサービスの1つとして、増大するEV試験の需要があると考えています。今後、2030年から2035年にかけてEVに転換するという自動車メーカーも出てきている中、その試験需要も増加していきます。特に主要部品のバッテリー、モーター、インバーター、強電ハーネスなどの総合的な試験が必要になってくるだろうと考えています。

お客さまにとっても、EV比率の急激な拡大や開発期間の短縮により、試験機会の増大や社内のリソース不足が予想されています。そのため我々としては、このような評価・試験のアウトソース化が進むと考えています。

試験のワンストップサービスの提供

我々は直近の2年から3年の間、埼玉入間の拠点およびタイ・ベトナムの拠点においてワンストップソリューションサービスの実験を行ってきました。すでにモーターやインバーター、強電ハーネスのワンストップサービスを提供しています。このような取り組みを成果として、今後は日本のEV化に向けて、需要の状況を確認しながら確実にサービスを拡充、展開していきたいと考えています。

拡大する民間宇宙開発の試験需要への対応

拡大する民間宇宙開発の試験需要への対応です。インターステラテクノロジズに出資したとお伝えしましたが、2022年の日本のロケット打ち上げ件数は0件で、非常に危機的な状況だと考えています。

また、世界宇宙産業の規模は2021年時点で43兆円、向こう20年間ではさらに拡大していくと言われています。我々はすでにJAXAをはじめ、多くの宇宙産業企業・団体と取引をしていますが、この産業に深く、確実に入っていきたい考えです。

DSS 事業の新しい挑戦①

振動試験装置の販売についてです。こちらはまだまだ我々の屋台骨であり、売上全体の74パーセントを占めています。こちらもよりいっそう拡大するべく、さまざまな取り組みを行っています。

我々は振動試験機を使ってさらにお客さまとつながり、課題を解決していきたいと考えています。スライドには2社との取り組みを記載しています。1つはデンソーとの取り組み、もう1つはレンゴーとの取り組みです。

DSS 事業の新しい挑戦①

デンソーとの取り組みでは、シミュレーション結果の精度向上の検証を行っています。詳細をご説明すると複雑なのですが、どんどん3D CADを使ったCAE解析が進んでいる中で、シミュレーションでの理想的な結果と、実機を使った試験の結果にずれが生じることがあります。

そのため、我々は振動試験装置だけでなく治具(固定器具)も含めてモデル化し、理想と現実のギャップを埋めていく作業を進めています。まだまだ課題はあるものの、一定の成果が出続けていますし、継続することでお客さまに近づき、課題解決ができると考えています。

DSS 事業の新しい挑戦①

レンゴーとの取り組みは、輸送振動試験における時間短縮方法の検証です。従来のISO試験は1軸ずつ加振することが多く、非常に時間がかかりますが、3軸同時に振動を加えることによって時間短縮が図れないかという課題があります。

実際に3軸で試験を行い異なる結果になってしまうと、この試験の意味がなくなってしまいます。我々は1軸ずつXYZ軸を加振した場合と、3軸同時で加振した場合の結果を検証した上で、時間短縮の方法として有効だと判断し、ご提案を行っています。

DSS 事業の新しい挑戦②

そのほかにも、いくつかの取り組みを行っており、そのうちの1つがスライドに記載のIMVコンシェルジュです。こちらは振動試験装置自体が自分の状態を診断する、自己診断のような機能を表現しています。

試験途中に振動試験機がなんらかの不具合で止まってしまうと、お客さまに非常に迷惑がかかります。そのようなことが起きないように、自己診断を行い、快適で間違いのない試験を実施できるようなサービスを提供しようと考えています。

こちらは大手自動車部品メーカーと取り組んでおり、2023年にお客さまへの導入を進めていく計画です。

DSS:エンジニアリングサービスの展開

冒頭でもお話ししたとおり、エンジニアリングサービスの事業が非常に伸びてきています。この伸びをより大きくするため、スライドに記載したような取り組みも行っています。

1つは校正です。我々は精査のみならず振動試験の校正も行うということで、ISO17025の認証を受けています。そのほか、サービス部隊がお客さまの装置を停止させない活動というかたちで、定期点検の契約件数も増やしてきていますし、他社の装置に関しても、IMV製品の非常にエコなアンプを提供することにより、エコ化も進めることができると考えています。

振動試験業務の現場が抱える課題

先ほどより何度か「iMV cloud」というキーワードが出てきていたと思います。こちらについては、我々の製品提供やサービスの仕方などを大きく変える可能性があると考えており、大きな投資を進めてきています。

振動試験業務の現場が抱える課題として「ニューノーマルな働き方への対応」と記載しています。実際に事務所へ赴くことができない、もしくは我々の受託試験場に出張してお越しいただくことができないというケースが増えてきています。

また、現在の日本全体における問題かと思いますが、少子高齢化による熟練技術者の高齢化、その対応策としての技術の伝承などが非常に重要になってきています。

iMV cloud とは

そのようなものに対応するために、我々は「iMV cloud」を開発しています。こちらは通信とクラウド技術の活用によってサービスをサポートしているシステムです。

iMV cloud による課題解決

こちらはインターネットを介して、オフィスや自宅など離れた所から試験場や試験の状況を確認することができるということで、働き方改革にも寄与するものだと考えていますし、クラウドに全試験の履歴を自動保存するため、試験ノウハウの共有や技術の伝承などにも役立つものだと考えています。

加えて、我々と通信によってつながっているため、何かあった場合には遠隔サポートやソフトウェアの自動アップデートなどもできますので、安心感を持って我々の製品をご使用いただくことができると考えています。

iMV cloud ご利用イメージ

スライドのイラストはご利用イメージです。お客さまサイドで我々の「iMV cloud」の通信ユニットを追加してもらうことにより、「iMV cloud」上のワークスペース(保存領域)ができます。そのようなところへお客さまサイドからPCをつないでいただくことにより、試験稼働状況の監視や試験条件、または結果の確認、関連ファイルのアップロード、権限管理、プロジェクトの管理等がクラウド上で可能になります。さらに、下側に記載のとおり、IMVのスタッフが遠隔でサポートすることも可能になります。

iMV cloud ご利用イメージ

これもご利用のイメージです。このような画面がお客さまサイドでご覧いただけるということです。

広島大学様の事例

いくつか事例も出てきており、こちらは広島大学に納めた事例です。導入するにあたり、やはり課題感もあったと思いますが、こちらに記載のとおり、セキュリティが高く、安全に振動試験の状況を遠隔で監視できる点、加えて、「iMV cloud」サービスは広島大学が研究している「振動の見える化」というテーマにも非常に合致しているということで興味を持っていただきました。

さらに、通信速度の高速化が進めば、広島大学が研究を進めている振動スペクトルカメラによる遠隔での製品挙動の確認も行えると考えていますので、今後進化させていきたいと考えています。

i-PRO様の事例

こちらは画像センシング事業を行う会社としてパナソニックより独立しているi-PROの事例です。こちらも試験データ等を一元管理できるオンラインストレージが非常に有用だということや、遠隔で試験状況を確認できることが決め手になっています。さらに、大きな会社になると複数部門で装置を使っている場合がありますが、共用する時に管理がしやすいということもあり、導入いただいています。

iMV cloud のセキュリティ

クラウドにつなげるというと、「セキュリティは大丈夫ですか?」というお問い合わせを非常によく受けます。その中で我々の対策としては、「プライベート=閉域接続」ということで、装置からクラウドまではインターネットに出ない特別な設計をしています。

そのため、お客さまの社内ネットワークから完全に分離されており、クラウド内における各社の領域は厳しくアクセス制御をしています。常に我々は第三者機関からのセキュリティ診断を受けていますので、安全性は非常に高いと考えています。

海外受注動向(振動シミュレーションシステム)

DSSの販売については、特に昨今海外の実績が非常に伸びてきているため、海外について抽出してご説明したいと思います。

スライドの棒グラフが73期から76期の伸び率です。特に第75期から第76期に関しては162パーセントと非常に大きな伸びを示していますし、先ほど竹本からもご説明しましたが、我々は受注も非常に伸びてきていますので、この傾向は今期の第77期にも続くと考えています。各市場については北米、アジア、欧州と記載していますが、これも後ほどご説明いたします。

Business updates and financial highlights

海外市場で何が起きているのかというと、ご承知のようにEV化の波がきています。今後は日本にも同じように波がくるため、我々は協力、サポートをしていくとお話ししましたが、世界では日本よりも先んじてEV化の波が進んできていると考えています。

中期計画の前提 - EV化の波

なぜこのようなことが起きたかという理由はみなさまもご承知のとおりだとは思いますが、2017年より中国政府の支援のもとでEV開発が急拡大しています。中国で販売する自動車のバッテリーは中国製に限るということで、補助金や中国政府の各種支援が中国のEV自動車メーカーに入っています。

ヨーロッパにおいても、2019年よりゼロエミッション社会に向けてEVへのシフトが加速したことが理由に挙げられると思います。ご記憶の方も多いと思いますが、2018年にヨーロッパの多くの自動車メーカーで排ガスの不正事件が起きました。当時のヨーロッパではディーゼルがエコという位置付けでしたが、その事件をきっかけにゼロエミッション、EVにシフトしたと考えています。

また、2021年のアメリカにおいては、トランプ政権からバイデン政権に変わることによってEV化の波が進んでいったと考えています。東南アジアやインドも同様に、今後は低コスト化に向けたEV生産の拠点が拡大されると考えています。

EV化がもたらす影響①

そのような中で、EV化がもたらす影響として、どのようなことが起こるのかと言えば、まずは自動車部品の大型化です。バッテリーやモーターにインバーターが付いたようなe-アクスルが出てくるため、基本的には自動車部品が大型化されると思われます。

それに合わせて、試験装置も大型化が進み、その影響で製品単価の上昇や、ここにきて大型装置の受注件数が急激に伸びてきていますので、工場生産能力のアップなども併せて進めています。

次に、新製品・新技術の急速な発展ということで、先ほどご説明したように各国政府で支援や補助が多く出ているため、設備更新の機会も非常に増えてきています。加えて、日本ではあまりなじみがありませんが、欧米においては民間・公的な試験所というものが非常に多く、それらが自動車メーカーからアウトソースを受けていますので、そのようなところでも我々の試験品の販売が伸びてきています。

そのほかにも、EVに向けた異業種からの新規参入ということで、我々が従来知っている自動車メーカーとは異なるところから新規顧客として参入してきており、そのようなところでも販売が伸びてきています。

EV化がもたらす影響②

スライドの表には、バッテリー関係でこの1年から2年の間に販売してきた海外の取引先を示しています。上部はイタリア、インド、イギリスの完成車メーカー3社です。表中央には、エンジニアリング・評価・認証サービスと記載していますが、こちらがいわゆるアウトソーシングを受けるようなところです。多くのところへ納品していますが、TUV-SUDやTUV-Rhainlandなどは日本でも有名だと思います。

そのほかにも、バッテリーの製造会社や中国における政府系機関の自動車技術研究センターなどがあります。中国国内で自動車を販売する時には、こちらの認証を受ける必要があるというところにも販売が進んできています。

EV化がもたらす影響③

顧客にFEVというドイツの受託試験場がありますが、こちらの雰囲気がわかる写真を掲載しています。右下は我々の振動試験装置で、その上に恒温恒湿槽がかぶるようになっており、非常に大きな装置です。このようなものが各種補助金を受け、欧米で次々に作られています。

Business updates and financial highlights

航空・宇宙産業も非常に伸びてきており、我々はこちらの産業にも力を入れています。

航空宇宙産業

まずはSatelliteビジネス、衛星です。Airbusというとフランスのイメージがありますが、衛星を作っているところはイギリスにあり、こちらにも納品実績があります。また、イタリア、アメリカなどの航空宇宙関連、もしくは防衛関連企業にも納品しています。

次にMobilityビジネスとして宇宙旅行関連会社やエア・タクシー関連会社などがあります。さらにDefenceビジネスということで、イタリア、イギリス、そしてアメリカの企業にも販路を伸ばしています。

簡単ではありますが、私のほうから各種の取り組みということで説明させていただきました。どうもありがとうございました。