売上高の推移

土方次郎氏:株式会社朝日ネット代表取締役 社長執行役員の土方でございます。2023年3月期上期の決算についてご説明します。

売上高についてです。2023年3月期上期の売上高は60億4,500万円となりました。2013年3月期から11年連続で伸びており、過去最高の売上高を更新しました。年度予想である124億円に対する進捗率は48.8パーセントとなりました。計画に向けて順調に推移しています。

過去の売上高の推移を図でお示しします。売上高は前年同期比6.2パーセント増加し、3億5,100万円の増収となりました。ISP、VNE、manabaともに増収となりました。

売上高 前期比差異

2022年3月期上期から2023年3月期上期にかけての売上高3億5,100万円の伸びについて、主な要因をご説明します。

まずは「v6 コネクト」です。売上高は1億7,200万円の増収となりました。提携事業者との取り扱い通信量が増加したことが増収の要因です。2023年3月期上期の提携事業者数の増減はありませんでした。

続いてISP「ASAHIネット」の各サービスの増減についてです。NTT東西の光コラボレーションモデルを活用した「AsahiNet 光」と「ASAHIネット ドコモ光」が1億4,600万円の増収となりました。光コラボは法人会員からの受注増加が寄与しています。

モバイル接続サービスのLTE・WiMAXは2,700万円の増収となりました。WiMAXは2022年3月から5Gに対応した新サービス「ASAHIネット WiMAX +5G」の提供を開始しました。

NTT東西と販売チャネルを協業し、マンションオーナーおよび居住者へのインターネット接続サービスを提供している「マンション全戸加入プラン」は2,700万円の増収となりました。

教育支援サービス「manaba」は900万円の増収となりました。

ADSL接続サービスは4,800万円の減収となりました。2021年9月にADSL接続サービス「新超割ADSL」の提供を終了した影響と、2023年1月にNTT東西の「フレッツ・ADSL」の提供エリアが縮小する影響によるものです。

営業利益の推移

営業利益は8億9,800万円となりました。2022年3月期上期の9億4,400万円から4,500万円の減益となりました。年度予想である20億円に対する進捗率は44.9パーセントで進捗しております。営業利益率は14.9パーセントとなりました。計画に向けて順調に推移しています。

営業利益 前期比差異

2022年3月期上期から2023年3月期上期にかけて営業利益が4,500万円の減益になったことについて、主な要因をご説明します。

先ほどのスライドでご説明したとおり、売上高の増加は3億5,100万円となりました。売上原価は3億9,600万円増加しました。増加の主な要因として3点ご説明します。

1点目は、ISP「ASAHIネット」の新規契約に伴う回線仕入の増加です。光コラボの増収に比例し、売上原価が増加しております。また、LTE・WiMAXも同様に変動費として売上原価が増加しています。

2点目は、サービス品質を維持するための通信費および減価償却費の増加です。2022年3月期下期にNTT東西と相互接続するIPv6ネットワークの追加契約を進めた影響により、売上原価が増加しています。トラフィックが将来にわたり増加し続ける状況を機会と捉え、設備投資を前倒しで進めたため減価償却費も増加しております。

3点目は、2022年8月にリリースしたメールサービスに伴う売上原価の増加です。ISP「ASAHIネット」の会員向けに無料で提供するメールサービスをより使いやすく、安全性の高いサービスにするためにリニューアルを行いました。その結果、メールサービスに関する売上原価と減価償却費が発生しております。

販売費および一般管理費は前年同期比で横ばいで推移しております。

EBITDAの推移

EBITDAとEBITDAマージンの推移についてです。2023年3月期上期のEBITDAは13億2,200万円、EBITDAマージンは21.9パーセントとなりました。2022年3月期に行った設備投資と2023年3月期第2四半期にリリースしたメールサービスにより減価償却費が増加しておりますが、年度末のEBITDA30億円に向けて計画どおり進捗しております。

朝日ネットが対処すべき課題として、2つの項目を示しております。1つ目は増加する費用を抑え、利益が出せる構造を維持すること、2つ目はお客さまに満足いただける品質のサービスを今後も提供し続けることです。

2023年3月期はネットワーク関連の設備投資や今後の事業規模拡大に向けた基幹業務システムの更改を進めており、下期にかけて設備投資計画を進めております。

経営成績

2023年3月期上期の損益の状況です。売上高、営業利益は先ほどご説明したとおりです。経常利益は前年同期比4.8パーセント減の9億200万円となりました。四半期純利益は前年同期比0.7パーセント減の6億6,700万円です。

2023年上期は特別利益として投資有価証券売却益7,400万円、特別損失として固定資産除却損1,300万円を計上しております。業績予想に対する進捗率は51.3パーセントとなります。1株当たり四半期純利益は23円84銭となりました。

財政状態

2023年3月期上期の財政状態です。資産は前期末比5億5,000万円増の134億9,100万円、負債は前期末比1,600万円増の16億7,600万円、純資産は前期末比5億3,300万円増の118億1,400万円となりました。自己資本比率は87.6パーセントとなりました。

株主還元

2023年3月期の配当です。中間配当金については、予定どおり11円とします。2023年3月期の配当金は、中間配当金で11円、期末配当金で11円、年間で1株当たり22円を予定しています。その結果、配当性向は47.3パーセントとなる予定です。

当社は、株主に対する利益還元を重要な経営指標の1つとして認識しており、将来の事業展開と経営体質の強化のために内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続していくことを基本方針としています。

朝日ネットの事業

事業ごとに分解してご説明します。インターネット接続サービスとして、ISP「ASAHIネット」、VNE「v6 コネクト」の売上高を開示しております。インターネット関連サービスとして、教育支援サービス「manaba」、その他の売上高を開示しております。この内容に沿って説明させていただきます。

インターネット接続サービスの構造

はじめに、インターネット接続サービスの状況についてご説明します。インターネット接続サービスの構造は、スライド左上の①が当社がISPとして自社サービス「ASAHIネット」を提供している部分、そしてスライド右上の②が当社がVNEとして電気通信事業者へIPv6接続サービス「v6 コネクト」を提供する部分に分かれています。

インターネット接続サービス 売上高

2023年3月期上期のインターネット接続サービスの売上高はご覧のとおりです。ISP「ASAHIネット」は44億2,800万円、VNE「v6 コネクト」は8億1,500万円となりました。

各サービスにおける売上高の前年同期比は、ISP「ASAHIネット」は3.9パーセント増加し、1億6,600万円の増収となりました。VNE「v6 コネクト」は26.8パーセント増加し、1億7,200万円の増収となりました。

ISP「ASAHIネット」インターネット接続契約数の推移

ISP「ASAHIネット」の事業の状況についてお話しします。2022年9月末に「AsahiNet 光」などのFTTH接続サービスの契約数は、前年同期末比1万8,000ID増の45万2,000IDとなりました。ADSL接続サービスの契約数は、5,000ID減の7,000IDとなりました。モバイル接続サービスの契約数は4万7,000IDとなりました。

インターネット接続サービス契約数の退会率は0.75パーセントとなりました。退会率は引き続き低い水準を維持しています。

2023年3月期上期は、FTTH接続サービスの契約数が堅調に推移している一方で、「新超割ADSL」のサービス終了、およびNTT東西の「フレッツ・ADSL」のサービス提供エリア縮小に伴い、ADSL接続サービス契約数が減少しております。

モバイル接続サービスは、新規受付を開始した「ASAHIネット WiMAX +5G」とLTEの契約数が増加しました。

ISP「ASAHIネット」の取り組み

2023年3月期上期の取り組み事例についてご説明します。「ASAHIネット」の売上高は、FTTH接続サービス、およびモバイル接続サービスの契約数に比例して増収となります。前スライドの「ISP『ASAHIネット』インターネット接続契約数の推移」でもご説明したとおり、2023年3月期は、引き続きFTTH接続サービスの伸びが増収を牽引しております。

新型コロナウイルス感染症をきっかけとして、インターネットを用いた生活様式が定着したことにより、当社を含めた通信事業者が負う社会的責任が強くなっていると捉えております。当社は対処すべき課題として掲げている「お客さまに満足いただける品質のサービスを今後も提供し続けること」を実現するため、お客さまが付加価値を実感できるサービスの提供に努めております。

インターネット接続サービスでは、従来の戸建て住宅向けサービスに加えて、「AsahiNet 光 クロスコース」において、2022年9月から集合住宅向けへの提供を開始しました。本サービスの最大通信速度は概ね10Gbpsの光アクセスサービスであり、大容量のデータ通信を必要とする利用者のニーズに対応できます。

また、インターネット接続サービスと固定IPアドレスを利活用した事例として、テレワーク先から会社へセキュアにアクセスするための多要素認証の利用や、遠隔の機器をインターネット経由で監視、操作するIoTの利用が増加しております。

インターネット関連サービスでは、「ASAHIネット」会員向けに提供しているメールサービスのリニューアルを行いました。会員が使いやすいWebメールのUIを提供することに加え、迷惑メール対策など、セキュリティを考慮した取り組みを進めております。

VNE「v6 コネクト」売上高と提携事業者数の推移

VNE「v6 コネクト」についてご説明します。VNE「v6 コネクト」は提携事業者との協業関係を維持すること、および新たなVNO事業者(電気通信事業者)との連携を拡大させることに注力しております。

2023年3月期上期の「v6 コネクト」の売上高は8億1,500万円、前年同期比26.8パーセントの増収となりました。提携事業者数の増加はありませんでした。売上高は提携事業者のビジネス拡大と1回線あたりのトラフィックの増加により増収となりました。提携事業者がインターネット通信を使った事業を拡大させるために、「v6 コネクト」のサービスレベル向上に努めます。

1回線あたりのトラフィックの増加は、インターネット上で中継されるスポーツイベントの視聴やオンラインゲームのアップデート等に限らず、多くのスマートデバイスが日常的にインターネット上に繋がっている影響であり、今後も増加の一途をたどると予測しております。

一方で、トラフィックの増加は提携事業者の収益に影響を与えるため、トラフィックに応じた従量課金額を両社間で見直すことで継続的な協業関係を維持しております。この影響により、前年同期比の増収率は緩やかに低下することを見込みますが、増収額は確保できるように努めております。

インターネット関連サービス 売上高

続いて、インターネット関連サービスの状況についてご説明します。インターネット関連サービスは、教育支援サービス「manaba」と、メールやセキュリティなどの関連サービスが含まれます。

2023年3月期上期のインターネット関連サービスの売上高は、ご覧のとおりです。教育支援サービス「manaba」は、前年同期比2.4パーセント増の3億9,500万円となりました。「その他」は、0.9パーセント増の4億600万円となりました。

教育支援サービス「manaba」契約ID数の状況

教育支援サービス「manaba」についてご説明します。「manaba」は教育機関、主に大学に対して当社が開発、販売、サポートを行っているクラウド型のアプリケーションサービスです。

2022年9月末時点での契約ID数は、前年同期末比1万8,000ID増の81万8,000IDとなりました。全学導入校数は前年同期末比1校増の99校となりました。

教育支援サービス「manaba」の取り組み

教育支援サービス「manaba」は、前年度より文部科学省が大学に求める「教育の質保証」を実現するためにサービス開発や提案を進めています。

2022年4月から出席管理機能を提供しました。追加機能の開発と大学への提案を進めており、2023年3月期上期は2大学が利用を開始しました。

学生の出席情報は教員が取りまとめていることが多く、大学は学生の欠席状況を学期途中に把握しづらいため、適切なフォローがし難い状況にあります。今回、追加で開発を進めている機能を活用することで、大学は学生の出席情報を日次で確認でき、学生へ出席状況をもとにした適切なフォローを実現できます。

さらに、組織別や年次別など、授業横断で出席情報を取得し、学修行動ログとして分析に活用することができます。

また、「教育の質保証」を実現するためのポートフォリオ機能の拡充を進めており、パイロット版を2021年11月から複数の大学へ提供しております。大学からの要望や利用におけるケーススタディが増加しており、2023年4月からの有償版提供に向けたサービス開発を進めております。

これらの取り組みにより、当社は「manaba」を多様な学びを支えるサービスとし、大学教育へ貢献してまいります。

2023年3月期 上期決算まとめ

2023年3月期上期の決算まとめです。

1点目は、業績についてです。2023年3月期上期の売上高は60億4,500万円となり、過去最高を更新しました。2013年3月期から11年連続の増収となり、業績予想に対する進捗率は48.8パーセントとなりました。営業利益は8億9,800万円となり、業績予想に対する進捗率は44.9パーセントとなりました。

2点目は、事業の状況についてです。ISP「ASAHIネット」のFTTH接続サービスの契約数は、前年同期末比で1万8,000ID増の45万2,000IDとなりました。FTTH接続サービスが契約数増加を牽引しております。

VNE「v6 コネクト」の売上高は、前年同期比26.8パーセント増の8億1,500万円となりました。主に提携事業者のビジネス拡大と1回線当たりのトラフィックの増加が要因です。

教育支援サービス「manaba」の契約ID数は、前年同期末比1万8,000ID増の81万8,000IDとなりました。出席管理機能の提供を開始し、ポートフォリオ機能の拡充を進めております。

参考:企業価値向上に向けた取り組み

その他のトピックスについては記載のとおりです。2022年6月の定時株主総会での承認を経て、監査等委員会設置会社へ移行しました。マーケットに求められるガバナンス強化の対応を進めてまいります。

2022年5月にサステナビリティ推進委員会を設置し、サステナビリティに関するさまざまな活動を推進する組織体制を整えました。温室効果ガスの排出量や人的資本の開示など、東証および株主・投資家のみなさまから求められる開示情報の収集と分析を進めております。

以上、2023年3月期上期の決算についてご説明いたしました。ありがとうございました。