会社概要
広木太氏:みなさま、こんにちは。株式会社BeeX代表の広木でございます。本日は2023年2月期第1四半期の決算説明をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
我々は上場して間もない会社ということで、ご存じない方もまだまだ多いかと思いますので、はじめに事業概要からご説明します。まず、会社の概要についてです。BeeXは2016年3月に創業しました。
事業としては、クラウド専業のインテグレーターになります。クラウドインテグレーターという言い方をされますが、大手のシステムインテグレーターがオンプレミスという従来型のものからクラウドまで幅広く手がけているのに対し、我々はクラウドというテクノロジーに特化してインテグレーションを行っています。
クラウドの専業のポジションを取ることにより、クラウドのスペシャリストとしてさまざまな新しいテクノロジーをお客さまに提供するというのが、我々の第1の特徴となっています。
BeeXのビジネス領域
クラウドの中で我々が取り扱っているものについてご説明します。クラウドは大きく分けてIaaS、PaaS、SaaSと呼ばれる3種類があります。
サーバーやストレージというハードウェア部分やOSをサービスとして提供しているのがIaaS、データベースやミドルウェアと呼ばれるシステムを動かすためのパーツをサービスとして提供しているのがPaaS、「Salesforce」「Microsoft365」といったすでに動くソフトウェアそのものをサービスとして提供しているのがSaaSとなります。
クラウドと言うと一般的にSaaSをイメージする方が多いかと思いますが、我々はSaaS部分はビジネスとしては手がけていません。
お客さまからリクエストをいただき、そのリクエストに応じてIaaSやPaaSを組み合わせてシステムを構築し、その後の運用を行っていくのが我々のビジネスとなっています。
BeeXのマルチクラウド対応力
IaaS、PaaSについてご説明します。IaaS、PaaSのベンダーも複数あります。有名なのは「AWS」、マイクロソフトの「Azure」、Googleの「Google Cloud」で、この3つが世界的にも大きくシェアを持っており、今なお成長しているベンダーになります。日本においても、この3つがシェアと成長を誇っています。
我々の特徴は、この3つとも提供しているところになります。我々のようなクラウドインテグレーターは、どちらかと言いますと「AWS」に特化しているなど特定のクラウドサービスのスペシャリストとして活動している会社が多いのですが、我々はそうではなく、この3つに対応しています。
エンタープライズ向けの仕事をしていると、「このシステムはIaaSとして『AWS』がよいが、こちらは『Azure』のほうがよさそうだ」「データ分析は『Google Cloud』がよさそうだ」と、だんだん使い分けが必要になってきています。
我々は「どれか1つしか提供しない」というかたちではなく、クラウドの最適な活用を支援するために、マルチクラウドでサービスを行っています。これが、クラウドインテグレーターの中では1つの特徴だと考えています。
もう1つの特徴は、ドイツのERPパッケージベンダーの「SAP」のクラウドへの導入や移行を手がけている点です。「SAP」は大企業を中心に多くのお客さまの基幹システムとして導入されています。
このような大企業向けの非常に重要なシステムの構築や運用を行っているというのが、クラウドインテグレーターの中でも大きな特徴かと思っています。そのため、我々は大手のお客さまを中心に非常にしっかりとした顧客基盤を持っているのが強みであると考えています。
事業内容
「AWS」「Azure」「Google Cloud」を使って、我々がどのようなサービスを提供しているかについてご説明します。
1つ目はクラウドインテグレーションで、システムの構築になります。クラウドの導入のコンサルティングから、クラウドの設計・構築、クラウドへの移行、アプリケーション開発などをシステムインテグレーションとして提供しています。
2つ目はクラウドライセンスリセールで、ライセンスの販売になります。ライセンスの販売と言いますと、ドンと大きく契約する一過性のビジネスと思う方もいらっしゃるかと思いますが、クラウドのライセンスリセールはそれとは少し違い、どちらかと言いますと電気代に近いかたちです。
契約すると、その利用量に応じて毎月請求していきます。電気代と違うのは、クラウドの利用はお客さまの中でどんどん進んでいますので、契約した後もどんどん成長していくことです。一度契約すると伸びていくのがクラウドライセンスのリセールになります。
3つ目はマネージドサービスプロバイダーで、運用保守になります。クラウドインテグレーションで導入したお客さまのシステムを24時間365日監視し、障害があった時に対応します。
また、クラウドは日進月歩で、毎週、毎月新機能が出てくるというのも特徴です。そのような進化を我々がいち早くキャッチアップし、お客さまに改善の提案をしたり、改修を行ったりしています。これを運用保守というかたちで提供しています。
この3つが我々のサービス内容になりますが、この3つをさらに2つに分類すると、クラウドインテグレーションはフロー型のビジネスになります。お客さまからお題をいただき、それに対するシステムの構築を行って、その対価をいただくというかたちです。
クラウドライセンスリセールとマネージドサービスプロバイダーはストック型ビジネスで、一度契約すると利用料や運用保守費用を毎月いただきます。
このように、フロー型とストック型の2つのバランスを組み合わせることにより、安定した売上・収益、成長を図っているのが我々の会社の特徴的なところです。
KPIハイライト
第1四半期の決算概要についてご説明します。はじめに、KPIハイライトです。代表的なところをご説明します。売上高は12億5,000万円、前年同期比28.0パーセント増です。営業利益は9,300万円、前年同期比56.1パーセント増となっています。
その他のKPIはスライドに記載したとおりで、全体として前年同期に比べて大きく成長しています。
業績サマリ
業績のサマリになります。売上高、営業利益は先ほどご説明したとおりです。経常利益は9,000万円、前年同期比53.9パーセント増で堅調に伸びております。進捗率についても予定どおりとなっています。
サービス別売上高
サービス別の売上高の推移です。スライドのグラフの下の2つがストック要素で、一番下がライセンスリセール、その上がマネージドサービスプロバイダー、その上がフローのシステムインテグレーションの数字となっています。
ご覧いただくとおわかりいただけると思いますが、特にストック要素であるライセンスリセールとマネージドサービスプロバイダーが堅調に伸びています。先ほどお伝えしたとおり、こちらは毎月安定的に入ってくる収入で、安定した収入・収益の部分が非常に堅調に伸びているといえます。
クラウドライセンス売上の推移
クラウドライセンスの売上の推移は、特にストック型の中では大きく成長しています。昨年から四半期ごとに伸びているビジネスになっています。
クラウドライセンスビジネスアカウント数推移
スライドのグラフは、クラウドライセンスビジネスを支えるアカウント数になります。お客さまが増えていることが確認できるかと思います。個々のお客さまのクラウド利用がのびることにより、今後、クラウドライセンスリセールの成長が期待できます。
マネージドサービスプロバイダー売上、ユーザー数の推移
マネージドサービスプロバイダーの売上とユーザー数の推移です。お客さまも堅調に増え、それに伴い売上も堅調に推移しています。
このようにストックの要素は、ライセンスビジネス、マネージドサービスプロバイダーともに大きく成長しています。これは我々の今後の成長においても、非常に大きな強みになると考えています。
クラウドインテグレーションビジネス推移
フロー型のクラウドインテグレーションビジネスのプロジェクト数の推移です。プロジェクトごとに金額が異なるため、この数字が低い・高いで売上が増えているとは一概に言えませんが、いずれにしても取り扱っているサービスの数、インテグレーションの数が非常に増えていることは見て取れると思います。
貸借対照表の推移
貸借対照表の推移です。ご覧のとおり、流動比率、自己資本比率とも堅調で健全な推移となっています。
2023年2月期 業績予想
当期の業績予想についてです。売上高は前期比20.4パーセント増、経常利益は前期比7.4パーセント増で、当初の予想どおりの数字となっています。
2023年2月期 業績予想(当初予想から変更なし)
業績予想の内訳についてです。こちらも当初の予想どおり変更はありません。
SAPシステムのクラウド化・S/4HANA化支援
事業の成長戦略と今期に取り組むことについてお話しします。成長戦略では大きく3つのことを掲げています。
1つ目は、基幹システムのクラウド化とモダナイズ化と呼ばれるものです。冒頭でもお伝えしていますが、我々はドイツのERPパッケージベンダーである「SAP」の構築や運用がビジネスの主力です。
「SAP」は、現在最も多くのお客さまが使っているバージョンの保守が2027年に切れるということで、多くの企業で大きな課題となっています。さらに細かい話になりますと、利用中のシステムのEHPと呼ばれているレベルによっては2025年で保守が切れてしまうお客さまも多くいらっしゃいます。
この課題に対して、我々は3つのことを提供しています。1つ目は、「S/4HANA化の準備としてのクラウド化」です。先ほどお伝えしたとおり、EHPのレベルにより2025年で保守が切れるお客さまが多くいらっしゃいます。また、ハードウェア、OS、DBなどのライフサイクルまで含めますと2025年より前に保守が切れてしまうお客さまも大変多いです。
これらを最新化することで長く現在のシステムを使えるようにするとともに、基盤を柔軟性・俊敏性のあるクラウドへ移行して「S/4HANA」に備えるというビジネスが非常に増えています。
我々は「S/4HANA」に向けたクラウド化とともにEHPやOS/DBを最新化することによるライフサイクルの最大化の支援に引き続き取り組んでいきます。
2つ目は、「S/4HANA化」です。保守が切れるのは2027年とお話ししましたが、基幹システムのため1年で終わるお客さまはほぼいません。計画から2年、3年、4年かかるお客さまもいます。したがって、今からスタートしても早すぎるというわけではありません。
先ほどのクラウド化と並行して、「S/4HANA化」のお話を数多くいただいています。この2つは2027年を期限とした先の話と考えるのではなく、今期の取り組みとしてしっかり対応していきます。
3つ目についてです。実は「S/4HANA」は、毎年新しいバージョンがリリースされ、保守期間は5年程度となっています。よってS/4HANA化したお客さまはシステム稼働後、4年後、5年後には新しい「S/4HANA」のバージョンにアップグレードしなければなりません。2016年くらいに「S/4HANA」を導入されたお客さまから、新しいバージョンにアップグレードするというお話もいただいています。このようにS/4HANA化すれば完了ではなく継続的にアップグレード対応をしていく必要があり、こちらもS/4HANAのお客さまが増えることにより今後増えてくると予想しています。
AWS移行コンピテンシーを取得
我々は「SAP」だけでなくさまざまなシステムのクラウド化を進めていますが、第1四半期に「AWS移行コンピテンシー」を取得することができ、「AWS」の「Migration Acceleration Program」と呼ばれるプログラムを活用できるようになりました。
このプログラムは、クラウド移行にあたっての検証や計画立案に対し、システムインテグレーション費用を一部「AWS」から補填したり、ライセンスをディスカウントすることができます。このプログラムとこれまでの我々のノウハウを使い、クラウドの移行をより推進していきたいと考えています。
お客様の基幹システムクラウド移行支援
「SAP」のような基幹システムの場合、その周辺システムをはじめ、いろいろなシステムをクラウド化していくことになるため、我々はこれを皮切りに、全体のクラウド化をしっかり進めていくことを引き続き取り組んでいきます。
また近年、サステナブルという言葉が頻繁に使われますが、オンプレミスに置くよりもクラウドに持っていったほうが圧倒的にエネルギー効率がよく、いわゆるカーボンニュートラルへの対応にもクラウド化は非常に重要だと言われています。
このようなシステムの単純な効率化だけでなく、サステナブルな社会を構築していくという意味でもクラウド化は非常に重要と捉えており、我々としてもこちらを推進していきたいと考えています。
DXを実現するプラットフォーム構築提供
2つ目の成長戦略は、DX(デジタルトランスフォーメーション)です。DXは便利な言葉のため、デジタルを用いたありとあらゆる改革に使われます。その中で我々が取り組むことや得意なことについてお話しします。
DXで大事なのは、データに基づき判断をしていくことです。「データ駆動型ビジネス」「データ駆動型経営」とよばれており、DXを進めるにあたり、データ駆動型に企業を変えていくことが大事だと考えています。
データ駆動型に変えていくためには、まずクラウドに上げた各システムや既存システムの情報を集めることが必要です。今まで散っていたデータや捨てていたデータを集めて解析し、場合によってはAIやマシンラーニングを使い、そこから新たな発見をし、新しいビジネスにつなげていきます。
データドリブンに変えていくことができなければ、DXはなかなか進みません。我々はまず、DXの第一歩であるデータ分析プラットフォーム構築に力を入れて支援しています。
データ分析の結果、アプリケーションを作っていくことになった場合、今までの作り方とは違い、DXでは新しいアプリケーションをリリースし、随時改修・改善していくことが必要となります。
今までのように安定性重視で、数年かけてシステムやアプリケーションを作ってリリースするより、みなさまが使っているスマートフォンのアプリケーションのように、次々とアップデートしていくことが大事です。そのため、アジャイル開発というかたちでのクラウド特化型のアプリケーション開発のご支援も実施しております。
我々は「DXを整えるためのプラットフォーム作り」「DXのためのアプリケーション開発」の2つをまずは推進していきたいと考えており、こちらは我々の大きな強みだと思っています。
SAPサラウンドソリューション
今お伝えしたデータドリブンとデータ駆動型という点においては、「SAP」に非常に多くの情報が集まっています。
よく「企業データの民主化」と言いますが、「データサイエンティストのような専門家ではないと触れない」というところから、いろいろな人がいろいろなカットでデータを解析できるようにするのがデータ駆動型では非常に大事です。
「SAP」を中心としたデータをクラウド上に集め、「さまざまなビジネスインテリジェンスツールを使い、解析しやすくする」といったサービスを「SAPサラウンドソリューション」として推進していきます。この分野は「SAP」とクラウドの両方を取り扱っている我々に大きな強みであり、成長が期待できる分野であると考えています。
マルチクラウド対応マネージドサービス
成長戦略の3つ目は、マルチクラウドリセール/MSPです。先ほどからお伝えしているストックビジネスのさらなる強化になります。
ストックビジネスに関しては、「AWS」「Azure」「Google Cloud」のライセンスリセールと、何かあった時に運用をサポートする運用サービスを行っています。また、「いかにクラウドを安心、安全に使っていただくか」ということで、最近はセキュリティサービスも重要だと考えており、こちらも力を入れて提供していきます。
ライセンス販売と自動監視サービスの新サービス提供開始
ライセンスリセールと運用サービスに関しては、新しいサービスの提供も開始しました。ライセンスリセールでは「Google Cloud」のライセンス販売をかなりアグレッシブな値段で提供を開始しました。
運用サービスでは、自動化に取り組んでいます。人間が監視しているとどうしてもコストが高くなってしまいますが、コストをかけずに安心してサービスを使いたいお客さまが非常に多いため、監視の自動化や受架電の自動化など、いろいろなオペレーションを自動化することに取り組んでいます。第1四半期には、自動化を使った安価な監視サービスもリリースしました。
このような新しい取り組みを推し進めていくことにより、お客さまが安定してクラウドを活用できるようにし、我々も新しいストックビジネスを獲得していきたいと考えています。
クラウドセキュリティポスチャ管理(CSPM)によるセキュリティ診断及びSOCサービスの提供を開始
「クラウドをいかに安心・安全に使っていただくか」ということで、今までもいくつかのセキュリティソリューションを提供してきました。
クラウドは、少しの設定ミスなどでセキュリティの穴が開いてしまうことがあります。注意して作ったつもりが、運用していく中で間違って穴が開いてしまうことや、新たな脅威に対応できないこともあります。そこを人間が全部見ていくのは難しいため、自動的にチェックして穴をふさいでいくようなソリューションを出していきます。
具体的には、第1四半期に「クラウドセキュリティポスチャ管理(CSPM)」をリリースしました。こちらは、例えば「間違って設定を変えてしまい、気づかなかった」ということがないように、自動的に見張るサービスです。
ツールを使って月1回定期診断を行うことにより、「AWS」「Azure」「Google Cloud」をベストプラクティスにもとづき自動的・横断的にチェックし、問題の早期発見を実現します。
よりクリティカルなお客さまには、問題が起きていないかを24時間365日監視し、何かあったらすぐに対応するようなSOCサービスも提供します。
このように人間のミスという新たな脅威に対応できるサービスも提供し、クラウドを安心して使っていただく環境を整え、ストックビジネスのアップセルというかたちで推進していきたいと考えています。
中小企業のクラウド化支援パートナー施策
マルチクラウドリセール/MSPのところで最後にお話ししたいのが、中小企業のクラウド化支援です。我々は大企業を中心に支援していますが、日本は中小企業が多く、クラウド化したくてもなかなか進まない、頼めるパートナーも少ないということで、特に地方のパートナーやお客さまは苦労している部分があると思います。
そのような時に、残念ながら我々だけですべてを解決するのは難しいのが正直なところです。そのため、地方のあまりクラウドが得意ではないSIerさまに対しては、我々が持っているクラウドの知見を提供し、クラウドの専門家になれるように支援していきます。
運用の部分は我々が支援するなど、いろいろなサービスを組み合わせ、地方や中小企業のクラウド化支援を実施していきたいと考えています。
Our Vision
我々はこのようなクラウドのテクノロジーを使い、さまざまな社会課題を解決できるパートナーになりたいと考えています。ぜひ今後ともご期待いただき、ご支援していただければと思います。ぜひともよろしくお願いいたします。本日は最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。