会社概要

青木茂氏(以下、青木):2022年3月期決算ならびに中期経営計画についてご説明します。ミアヘルサホールディングスとしては1回目の決算発表です。

会社概要からお話しします。ミアヘルサホールディングスはミアヘルサの株式移転により、2021年10月1日に設立されました。代表は会長が青木勇、社長が青木文恵で、事業内容は調剤薬局・介護サービス・保育園/学童クラブの運営です。子会社のミアヘルサはライフサポートの全株式を取得し、連結子会社としています。

ミアヘルサの理念

青木:経営理念についてご説明します。「少子高齢化社会の課題に挑戦し、地域社会を明るく元気にする」というミッションへの取り組みを通して、経営理念の「私が変わる愛の経営『響働』」の実現に取り組んでいます。

ビジョンは「地域包括ケアシステムを推進し、健康・安心・絆のライフラインを構築する」としており、この「地域包括ケアシステム」という言葉が中期経営計画の重要な用語となっています。

「地域包括ケアシステム」とは

青木:「地域包括ケアシステム」とは、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを送り続けられることを目的とした厚生労働省の方針です。高齢社会に必要な高齢者住宅や介護サービス、薬局、診療所、コンビニなど、生活に必要な必需品が整備された街づくりのことを言います。

当社グループは、薬局・介護・保育の機能連携により、若い人も高齢者も一緒に暮らせる街づくりに向けて、「地域包括ケアシステム」を展開しています。

経営環境の変化 と 当社の変遷

青木:当社の変遷はご覧のとおりです。

組織体制・事業展開

青木:組織体制です。社名の「ミアヘルサ」は、福祉先進国のスウェーデンの言葉で「もっと健康に」を意味しています。グループはスライドに記載のブランドを展開しています。

事業拠点(200 拠点)

青木:事業拠点です。当社のように医薬・介護・保育の3事業を主事業とした上場企業は、他にないと思います。ただし、職種別に見ると上場企業の上位のほとんどは全国展開しており、規模も非常に大きい状況です。そこで、当社は人口が集中する首都圏に投資を集中し、東京・千葉・神奈川・埼玉の1都3県に200拠点を展開しています。

ミアヘルサが描く未来ビジョン

青木:当社のビジョンを見える化したものです。人に優しい街づくりに取り組んでいきたいと考えています。

2022年3月期通期 決算概要

青木:2022年3月期の決算についてご説明します。売上高はミアヘルサの新規出店と昨年10月にグループ化したライフサポートの売上が加わり、増加しました。営業利益は新型コロナウイルスの影響もあり通所介護の業者数が減少したことや、ホスピスなどの新規出店による先行コストがかかったため、減益となりました。

当期利益は、保育所の施設補助金が4億4,300万円加わりました。また、介護施設と子会社の本社機能移転などにより、1億1,300万円の減損損失を計上しています。

結果として、売上高は195億1,000万円で前年同期比16.4パーセント増、営業利益は1億8,600万円で前年同期比42.2パーセント減、当期利益は2億9,100万円で前年同期比39パーセント減と、増収減益となりました。

セグメント売上高・セグメント利益(前年同期比)

青木:セグメント利益はご覧のとおりです。

2022年3月期通期 医薬事業(前年同期比)

青木:各事業部の業績です。最初に医薬事業からご説明します。処方箋枚数は新型コロナウイルスの影響もありましたが、2店舗を新しく出店したため、前年同期比105.5パーセントとなりました。処方箋単価は、薬価改定や長期処方の減少により、前年同期比97.6パーセントとなりました。

2店舗を出店しましたが、1店舗を統廃合し、現在は合計41店舗となっています。結果として、売上高は87億8,400万円で前年同期比0.6パーセント増、セグメント利益は5億5,900万円で前年同期比1.7パーセント減の増収減益となりました。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):医薬事業についておうかがいします。スライドに「技術料加算獲得に向け、『かかりつけ薬局』『在宅医療業務』等の取組を強化」とありますが、どのような取り組みを強化したのかを教えてください。

青木:薬局の場合、収益は薬と技術料の2つです。技術料は非常に重要なもので、国でもかかりつけ薬剤師やかかりつけ薬局を推進しています。薬剤師が薬をきちんと管理し、説明することが収入になりますし、もちろん薬局だけではなく、自宅に訪問して説明することもあります。これらをきちんと取り組んでいこうということで、強力な営業体制もつくりながら進めているところです。

坂本:非常によくわかりました。ありがとうございます。また、新規薬局を2店舗出店したということで、新規出店した場所によって当然違うと思いますが、黒字化するのは何ヶ月後になるのでしょうか?

青木:今回は、東京女子医科大学附属足立医療センターの前に大きな門前薬局を開局しました。この場合、約1年以内には黒字になると思います。ただし、一般的には例えば医療モールなどは場所や建物を探して、そこにドクターに来ていただかなくてはいけません。当社の基準はいわゆる3診が入らないと進めない考え方です。

しかし、全部入るまで待っているとビルはなくなってしまいますから、まず1診を入れてオープンし、その上で次々に入っていただくように活動していきますので、どうしても全部入っていただくのに2年近くかかり、利益を出すまでには3年近くかかると考えています。

坂本:長い商売なのですね。

青木:そうですね。そのような意味ではこれまでの出店計画よりも、例えばM&Aで進めたほうがトータルのコストが安かったり、出店も早いのではないかと考えています。

坂本:そのあたりの事業戦略は後ほどおうかがいします。

2022年3月期通期 介護事業(前年同期比)

青木:介護事業の業績です。昨年10月にグループ化したライフサポートの事業所が5つ加わり、新規出店と統廃合で合計68事業所になっています。セグメント利益は先ほどお伝えした新型コロナウイルスの影響もあり、通所介護などの利用者が減ってやや減益となりました。

また、ホスピスの出店に伴う先行コストもかかったため、結果的に売上高は34億800万円で前年同期比5.3パーセント増となりましたが、セグメント利益は2,400万円と大変厳しい結果となりました。

坂本:「新型コロナウイルスの影響で通所介護の利用者が減少して減益となった」ということですが、2021年3月期も新型コロナウイルスの影響があったと思います。2021年度と2022年度の違いがありましたら教えてください。

青木:幸いにしてと言いますか、2021年度は患者数が少なくなったことはありましたが、閉鎖はほとんどありませんでした。2022年度は患者さまに感染者が出て、閉鎖もかなりありました。減益についてはこの影響もありますが、正直にお伝えすると新しく出店したホスピスの先行投資がかかってしまったことが最大の理由と考えています。

2022年3月期通期 保育事業(前年同期比)

青木:保育事業です。ミアヘルサが3つの認可保育園を新しくオープンしています。そのほかに、昨年10月にグループ化したライフサポートが加わったことで、合計79施設になりました。

結果として、売上高は64億1,200万円で前年同期比63.3パーセント増と大きく増加しています。セグメント利益も3億6,100万円で前年同期比1.7パーセント増と、増収増益となりました。

坂本:ライフサポートの収益が乗ってきたということですが、セグメント利益があまり比例していないと感じます。既存の園とライフサポートのどちらがあまりよくなかったのかなどを含めて、背景を教えてください。

青木:先ほど「今年は介護事業の業績がやや悪かった」とお話ししました。ライフサポートに関しては、2022年3月期の決算の利益にはまったく貢献していません。前年のライフサポートの決算ではかなりの利益が出ており、投資家のみなさまに「その決算の利益が乗るだろう」と誤解を与えたかもしれません。

前年のライフサポートの決算には社内の介護部門をM&Aで売却した利益が乗っており、実態としては我々には利益が貢献しなかったということです。ただし、我々も改革に入っていますので、これからは貢献してくると考えています。

坂本:ライフサポートも御社のように介護事業と保育事業の両方に取り組んでいた会社だったのですね。

青木:そのとおりです。我々が買った時には介護事業所をほとんど売却しており、5つだけ残っていた状況です。

2022年3月期 業績予想達成状況

青木:業績予想達成状況です。ライフサポートが昨年10月に合併した際、第2四半期に2022年3月期の業績予想を修正しなくてはいけないということで発表しました。業績予想の修正に対する進捗状況のため、これまでお伝えした2022年3月期の決算とまったく同じですので、後ほどご覧ください。

主な経営指標の推移 (2022年3月期)

青木:主な経営指標の推移です。先ほどお伝えしたとおり、ライフサポートが仲間に加わったため、総資産は非常に増えています。逆に借入金も増えた中で、総資産は前年度の100億6,900万円から今年度は142億500万円と非常に増えています。

結果として自己資本額は増えていますが総資産が増えたため、自己資本比率は前年度の29.6パーセントから今年度は22.5パーセントになったというのが中心的な事柄です。

ライフサポートの課題と改善策

青木:ライフサポートは大きく3つの改善が必要だということでスタートしています。1つ目は、認証保育園の園児数の減少です。こちらは認証保育園の統廃合と認可化に取り組むことが必要だと考えており、実際に取り組んでいきたいと考えています。

2つ目は、保育士の採用におけるコスト拡大です。実は当社は保育士の採用を一番得意としています。

坂本:そうですよね。前回もお話しいただきました。

青木:このあたりのノウハウを提供していきたいと思っています。

坂本:どのあたりが強いのでしょうか? 今日初めて聞いた方もいると思いますので、簡単に教えていただけたらと思います。

青木:全国に営業担当者をきちんと据えて、全国の保育の専門学校に年間を通して営業活動しており、信頼関係ができていると考えています。専門学校の先生にとっては、卒業生を毎年送り出す就職先として安心できると思います。

中途採用についても、もちろんやり方や説明の仕方もありますが、フェアの時に当社の説明会に着席していただける率が一番だといつも言われています。

坂本:展示会と言いますか、保育の転職フェアのようなものがあるのですね。

青木:そのとおりです。これも全国に展開しています。

また、3つ目は間接コストの拡大があります。こちらは当社の本社を移転し、本社部門の人員については資格者を現場に異動することで問題の解決を図りたいと考えています。

新規開設事業所(2022年3月期)

青木:2022年3月期の新規開設事業所についてです。全部で8つオープンしています。1つは東京女子医科大学附属足立医療センターの門前に大型薬局をオープンしました。また、調布駅前に医療モールをオープンしたり、新百合ヶ丘にホスピスを展開しています。保育園は、3つの認可保育園を開設、ライフサポートでも認可保育園を受託するとともに、学童クラブを受託しています。

ミアヘルサの経営環境と対応策

青木:中期経営計画について、まずはミアヘルサの経営環境から説明します。ミアヘルサの経営環境において、脅威としては高齢化に伴う財政難による薬価引き下げや、少子化に伴う人手不足・採用難があります。

しかし、脅威が機会になっているのが当社の特徴です。具体的には、高齢化という脅威が当社の医薬や介護事業の市場の拡大につながっていますし、少子化という脅威も政府の少子化対策により、保育料の無償化や助成金の増加につながっているのが現状です。

こうした機会を活用して、3つの対策を講じていきたいと考えています。1つ目は、高齢化社会という市場機会を活かし、高齢化社会に必要な街作りに向けて、医薬・介護・保育の3事業の機能連携により、「地域包括ケア」を展開することです。

2つ目は、政府による保育料の無償化等の機会を活用して、安定収益確保に向けた認可保育園・学童クラブの民間委託・民営化の受託開発です。3つ目には、優秀な人材採用に向けて、働きやすい職場作りや、マネジメント機能強化、風通しのよい職場作りに取り組み、助成金を活用して採用環境を整備していきたいと考えています。

医薬事業の経営環境と対応策

青木:各事業部の環境です。各事業部で、それぞれ2つ課題があると考えています。医薬の課題は、高齢化により医療費が増大し、薬価引き下げが行われていることです。こちらは高度薬学管理の強みを活かして、ガン等の高額医薬品の取り扱いを強化し、駅前立地の医療モールや大病院等の移転に伴う計画的薬局開発により、売上拡大を図りたいと考えています。

もう1つの課題は、調剤薬局が全国で6万件を超え、飽和状態にある点です。こちらの対策としては、医薬・介護・保育の3事業の機能連携により高齢化社会のニーズに応える情報ネットワークを活用した「地域包括ケア」を提案していきたいと考えています。

坂本:高度薬学管理については前回からお話しされていて、御社の強みの1つということですが、必要な知識や資格はあるのでしょうか? 門前薬局を含めた、他社の参入障壁になるのでしょうか?

青木:ドクターはガン等の薬のため、管理上の問題を心配されます。また、ガンの薬を出す病院は大学病院や特定機能病院になるため、その前に薬局がないと受注につながりません。

資格は国の制度として、ガン専門の薬剤師の育成や資格取得を推進していますが、それがなければ取り扱えないというよりは、信頼関係によって経験を積み、引き継がれるようなことが最大の特長だと思います。

坂本:社内で知識を蓄積して、まずは扱える人を増やしていくということですね。

介護事業の経営環境と対応策

青木:介護事業の経営環境です。こちらも2つの課題を考えています。1つ目は、市場拡大が予想されていますが、営業利益率の改善と新規開発事業の早期の黒字化が必要ということです。高齢化社会でニーズが高く利益率の高いホスピスを展開し、新規事業の早期黒字化に向けて事前準備を徹底し、医療機関との連携を強化することで対処していきたいと思います。

2つ目の課題としては、少子化に伴う人手不足があります。当社は、70パーセント以上が女性です。そのため、女性が働きやすい職場環境を整備して、経営理念の普及を促進していくことで対処していきたいと思います。すでに「くるみん」など、女性が働きやすい職場という認定をいただき、現在、「えるぼし」の取得に取り組んでいます。

市場機会(医薬・介護)

青木:スライドの左側に記載しているグラフは、2040年まで高齢者が増加し続けるというデータです。また、右側に記載しているグラフは、認知症患者さまが2025年に700万人を超え、さらに増えていくということを表しています。こうした環境を踏まえると、医薬や介護の市場が拡大していくことがわかると思います。

保育事業の経営環境と対応策

青木:保育事業の経営環境です。保育事業にも2つの課題があると考えています。1つ目は少子化により待機児童が減少し、これから新設の認可保育園の開設が少なくなっていくだろうと予測されている点です。こうしたことから、公立保育園の民営化を推進する自治体の公立保育園や学童クラブの民間委託、民営化の受託に取り組んでいきたいと考えています。

2つ目は、保育所の開設・運営に必要な保育士が不足している点です。先ほどもお伝えしたとおり、全国の専門学校とのさらなる信頼関係の構築や、就職フェア等の中途採用者の実績を強みとした採用ルートを活かし、採用人材の強化を図ることで対処していきたいと考えています。

市場機会(保育)

青木:スライドの左側に記載しているグラフは、女性の就業者数の増加を表しています。よく「少子化なのになぜ待機児童が減らないのか」と質問を受けますが、働く女性の人数や割合が増え、子どもを預ける保育園が必要になっています。その結果、スライドの右側に記載しているグラフのとおり、保育園や託児所の市場規模が拡大しています。

3事業の市場機会(医薬・介護・ 保育)

青木:当社は社会保障給付費に関連する事業で、収入の多くを国や自治体からいただいています。社会保障給付費の見通しを見ると、2018年の121兆円から2040年には188兆円となり、1.5倍の拡大が予想されています。社会保障給付費の増加は、当社グループの成長の機会であると考えています。

また、当社は保育や薬局、介護サービスなど、生涯を支える3事業を展開していることで、経営環境のリスクを補完し合えることが強みだと考えています。

中期経営計画 基本方針

青木:中期経営計画の基本方針について説明します。市場機会を活かし、高齢化社会に必要な街づくりに向けて、保育・薬局・介護事業の機能連携により「生涯を支える地域包括ケア」を展開していきたいと考えています。

生涯を支えるということについてご説明します。当社の保育では0歳からお預かりしており、介護は終末期の患者さまにもご利用いただいています。医薬はこの全世代に薬を提供していく使命感もありますし、生涯を支えているという認識で「生涯を支える地域包括ケア」を展開しています。

こちらの方針に沿って、2つのテーマを挙げています。1つ目は、開発計画達成に向けて事業部連携により、高齢化社会に必要な街づくりに取り組み「生涯を支える地域包括ケア」を展開することです。2つ目は、保育・医薬・介護の情報ネットワークを活用して、利用者さまのニーズに応える「生涯を支える地域包括ケア」を提案することです。

「利用者さまのニーズってどんなことか」と時々聞かれますが、例えば医薬のノウハウをお子さまの薬相談に活かしたり、保護者のみなさまのご両親に対する介護相談を受けたりすることでニーズに応えられれば、当社の認知度も上がると考えています。このようなことをネットワーク化することをテーマとしています。

重点施策(1)

青木:スライドに5つの重点施策を記載しています。1つ目は、駅前立地の医療モール、大病院移転等に伴う計画的な調剤薬局展開に取り組むことです。2つ目は、新たなサービス業態として「ホスピス・認知症グループホーム」を展開することです。

3つ目は、公立保育園の民間委託や民営化・学童クラブの受託開発の強化に取り組みます。4つ目は、医薬・保育・介護の3事業共通の情報ネットワークを活用し、利用者さまが求めるサービスを提案することです。5つ目は、シナジー効果や中長期の新規事業に繋がるM&Aに取り組むことです。

重点施策(2)

青木:また、中長期の事業変革に向けたDXの活用と、戦略実現に向けた組織風土の改革に取り組むことを掲げています。その具体策として中長期を見据え、部門を超えた人と人との情報ネットワークにより、ご利用者さまへのサービス向上に繋がるDXの活用を検討し推進することと、戦略を実現する組織風土の改善として、マネジメント機能の強化、働きやすく風通しのよい組織づくりに取り組みます。また、開発計画はスライドに記載のとおり計画しています。

坂本:DXは省人化や効率化になるということで、最近はいろいろな予算をかける企業が多くあります。御社の場合は医薬・介護・保育のすべてのセグメントでDXを推進されていますが、どのようなことを行い、計画されているのか教えてください。

青木:スライドにも記載しているとおり、事業の変革につなげるものがDXだと思います。いわゆる業務効率化はどの企業でも行っていると思いますが、当社は人と人との関係やネットワークを作る際にDXを使い、接点をどんどん増やし、お客さまを増やすことが可能です。先ほどお伝えした、薬局のノウハウを活用したつながりを作っていくようなDXを目指したいと考えています。

中期経営計画 数値目標 (業績の実績・計画)

青木:中期経営計画の数値目標です。2024年度当初の計画は、売上高200億円、経常利益6億円としていました。修正計画では売上高243億5,200万円、経常利益6億5,300万円と上方修正しています。結果として、3ヶ年で売上高1.4倍、経常利益1.9倍と計画しています。また、売上高243億円にさらにどれだけ加算できるかをM&Aのテーマとしています。

坂本:こちらはM&Aを入れた修正計画になっているのか、それともオーガニックな成長でしょうか?

青木:こちらの243億円にはM&Aは入っていません。

坂本:よい案件があれば、M&Aも検討するということですね。

青木:おっしゃるとおりです。

中期経営計画 数値目標 (業績の実績・計画)

青木:3ヶ年の損益計画です。2024年は先ほどお伝えしたとおりのため、2023年についてご説明します。上段が当初計画で、下段が修正計画です。売上高は229億1,000万円で前年同期比17パーセント増、営業利益は4億1,000万円で前年同期比2.2倍、経常利益は4億1,500万円で前年同期比2.2倍、当期純利益は3億4,500万円で前年同期比20パーセントと、大きな目標を立てて実施していきたいと思います。

中期経営計画 数値目標(セグメント別売上高 + 営業利益)

青木:セグメント計画では、営業構造についてご説明します。当社は医薬・介護・保育の3事業があることで、補完し合えて環境の変化に対応できることを特長としている、と先ほどもお伝えしました。

3事業の中心は医薬事業です。計画のスタート時点では全体の52パーセントのシェアがあり、今後も重要な事業ですが、医療環境の変化を考えると、全体の売上を上げながらも、医薬のシェアを52パーセントから3ヶ年で42パーセントまで下げ、3事業のバランスをとり、体質の強化を図る目標を立てています。

中期経営計画のポイント

こちらは後ほどご覧ください。

医薬事業

青木:各事業部の目標と重点施策についてご説明します。まず、医薬事業です。医薬事業の特長は、これまでお伝えしてきたとおり、60パーセント以上が大学病院や特定機能病院の門前にあり、高度薬学管理が強く、結果的に処方箋単価が全国平均の1.7倍となっていることです。

医薬事業 事業部方針

青木:医薬事業の方針は、高度薬学管理の強みを活かし、ガン等の高額医薬品の取り扱いを強化するとともに、技術料の取得を強化することとしています。売上高は、2023年が95億2,700万円、2024年は103億5,900万円と計画しています。新規開設は、スライドに記載のとおりです。

医薬事業 重点施策

青木:重点施策は先ほどお伝えしたとおり、ガン等の高額医薬品の取り扱いを強化し、大型病院の移転に伴う開発や駅前立地の医療モールを開発すること、さらには技術料の取得をすることがあります。

坂本:医薬事業の比率を落として、他を成長させるというお話がありました。御社のリソースでは時間がかかるというお話もありましたが、医療モールと門前モールをもう少し出店する体力はあると思います。現状に留めている理由や考えを教えてください。

青木:大学病院がどんどん増えるわけではないため、門前薬局はもういっぱいですが、移転や今回のように附属病院を建てる場合には出店できます。

また、医療モールはもちろん出店可能ですが、当社の出店の基準に「3診がないと行わない」ということがあります。1診であれば毎年出店できるのですが、3診をきっちり揃えることになると計画と準備が必要になります。かなりの時間がかかるため、今のペースになっています。

ただ、株主のみなさまの期待に応えていくには、このことを続けていくよりも、状況によってM&Aを実施していきたいと思っています。また、それが可能な環境にあります。ぜひ、この環境を活かしてM&Aを展開していきたいと考えています。

医薬事業 在宅医療への取り組み

青木:在宅医療の取り組みです。在宅医療は国の方針ですから、オンライン服薬指導等がどんどん推進されていくと思います。こうした行政指導による変化については、例えば、マイナンバーの取得によって薬を管理する場合など、かなり設備投資が必要になります。積極的な設備投資によって対応を図っていくというのが当社の考え方です。

介護事業

青木:介護事業の特長は、地域包括ケアの中心的な役割を担っているということです。また、介護自体については、介護度によって、技術やサービスを提供できるということが特長です。

介護事業 事業部方針

青木:介護の事業部方針です。末期がん・難病患者を受け入れるホスピスの開設と既存事業の質の向上により収益の向上を図ります。そして、売上高は2023年に36億9,200万円、2024年には39億3,800万円の計画を立てています。新規開設についてはスライドをご覧ください。

坂本:新規開設は2023年が計画なしとなっていますが、理由はあるのでしょうか? 今までのものをブラッシュアップしたいということや、作るのに2年から3年かかるためということでしょうか?

青木:少しご心配かもしれませんが、2022年の決算でもホスピスを展開したため、先行コストがかかっています。これまでの介護サービスとホスピスは少し質が違うと言いますか、特にホスピスは当然ながら、介護士ではなくて看護師がほとんどですので、集客の問題など、いろいろなことが課題として見えてきました。

現在ある2施設をしっかり運営することに加えて、実は2024年にかなり大きなホスピスを展開する予定です。2023年には、これまでになかったような準備をしようということで、その間をとっています。

介護事業 重点施策

青木:介護事業は、サービスの質の向上によって利益率を改善すること、あるいは人員についてもしっかりとした教育をして、サービスの向上により利益の改善を図ることをテーマとしています。

介護事業 収益改善に向けたホスピスの展開

青木:ホスピスについては、ドクターを中心に看護師、専門スタッフが24時間365日、病院の安心感と家庭の快適さを提供するホスピスを展開していきたいと考えています。

保育事業

青木:保育事業は、当社の子会社の一部に自社で児童を集客する認証保育園がありますが、ミアヘルサ保育園は100パーセント自治体が児童を集客する認可保育園です。そこで必要な保育士の確保が安定的にできることが、ミアヘルサ保育園の特長です。

保育事業 事業部方針

青木:事業部方針としては、指定管理を含む新園の開設と保育士の安定確保をテーマとしています。売上高は2023年に87億5,500万円、2024年には91億1,300万円を計画しています。新規開設についてはスライドのような計画としています。

保育事業 重点施策

青木:保育事業は、民間委託・民営化の受託も含めた認可保育園にこれからも取り組むということと、安定した保育士の確保をきちんとしていくことが重点施策となります。

事業の特徴

青木:ライフサポートは、公設民営保育園(指定管理運営)と公設業務委託学童クラブを運営しています。当社がこれから強化しようとしている内容を、すでにライフサポートが強みとしており、我々にとっても心強い状況にあります。

事業方針

青木:事業部方針としては、認証保育園の「認可化」等の整備と、再選定を含む新規委託事業の獲得があります。また、スライドのような新規開設計画を立てています。

重点施策

青木:重点施策は、認証保育園の「認可化」がテーマであり、また民間委託・民営化の受託に取り組むこと、そして適正な運営による再選定の獲得に取り組むことを重点施策としています。

財務・資本施策(計画)

青木:資本政策と株主還元についてご説明します。まず、財務・資本施策です。昨年度にライフサポートをグループ化したことで、有利子負債も増えています。したがって、営業キャッシュフローの増加と、有利子負債の圧縮に取り組み、さらなる成長投資を行うことを1つの方針としています。また、安定的な継続配当に向けて、自己資本の充実を図ることにも取り組んでいきたいと考えます。

資本政策と株主還元方針

青木:資本政策と株主還元方針です。成長投資や安定経営に向けた自己資本の充実を図り、安定的な配当を継続していきたいと考えます。2022年は、前年の配当から5円増やして30円としました。2023年も30円の配当を継続していきたいと考えています。

株主優待制度

青木:また、今年は現金配当だけでなく、株主のみなさまに感謝し、当社株式の魅力度を高めて中長期で保有していただきたいという目的で、株主優待制度を設けることとしました。

9月末日に基準日を設けて、100株以上1,000円、200株以上2,000円、300株以上3,500円のQUOカードを贈呈したいと考えています。ぜひこの機会にご購入いただければありがたいと思っています。

坂本:こちらの優待制度は少しユニークですね。株主優待を100株から受けられるとすると、投資金額に対して優待を受けられる率が一番高いのは100株となるのが一般的ですが、300株が3,500円になっている意味はあるのでしょうか?

青木:当社はまだまだ規模も小さく、スタートしたばかりですので、個人株主が多くを占めています。実際にデータを見ると、100株購入の個人株主が全体の70パーセントになります。

坂本:IPOをそのまま持っている方もいるのでしょうか。

青木:そのとおりだと思います。当社の規模から考えると、まずは個人投資家のみなさまに投資していただきたいと思っています。したがって、100株ではなく、せめて200株あるいは300株をご利用いただくことで、絶対的な出来高を上げたいと考えています。そのことによって株にもよい影響があるのではないかと計画しています。出来高を高めたいということが目的です。

坂本:将来、500株、1,000株ができるかもしれませんし、長期保有の優待ができるかもしれません。注目したいと思います。

青木:ぜひ、よろしくお願いします。

SDGsに関する取り組み

青木:最後に、SDGsに関する取り組みです。もともと当社の事業そのものが、少子高齢化社会という社会環境に貢献できる事業だと考えています。そうした事業を進めながら、ここに4つのテーマを挙げてSDGsに取り組むことを計画しています。

質疑応答:小中学校での部活動運営について

飯村美樹氏:「地域包括ケアシステム」ということで、「小中学校での部活動運営は、教員不足から学校外で行うことが望ましいとされています。御社にとってビジネスチャンスとなるのではないですか?」という質問です。

青木:子会社に学童クラブを非常に得意とする分野があり、相当数を運営していますので、このノウハウを共有し、当社もこれから学童クラブにも積極的に参加していきたいと思っています。

学童クラブは16時くらいから小学生の生徒が来ると思っている方もいるかと思いますが、実は朝9時くらいからずっと開設しています。もちろん学校に行く生徒もいますが、いろいろな生徒がおり、そのような方々に対する保護と言いますか、場所を提供するという役割があります。したがって、9時あるいは10時からオープンして、19時くらいまで開設しており、一貫して成り立つ事業であると考えています。

坂本:夏休みなどで朝から利用される方も多いですよね。

質疑応答:介護事業と保育事業に関する他社との差別化について

坂本:前回の書き起こしを見ると、事業内容についても詳しくお話しされていますが、御社の介護事業と保育事業の他社との差別化の部分について教えてください。

青木:保育については、安定的な保育士の確保ができていることです。そのような仕組みを全国的な展開として作ってきたということがあると思います。介護については、介護度に応じたサービスです。ドミナント的な効率化を図ることによって、患者さまにサービスを提供していきたいということが特長だと思います。

質疑応答:新規開設した薬局の業績見通しと処方薬の縮小傾向について

坂本:医薬事業の薬局経営について教えていただきました。昨年12月に日生薬局を2店オープンしていますが、この業績見通しについて教えてください。また、処方薬の縮小傾向が徐々に強まるのではないかと思っている方がいるのですが、現状について教えていただけたらと思います。

青木:新しくオープンした店舗は、門前と医療モールの2つです。医療モールについては、スタートに少し時間がかかります。ただ、門前については、すでにオープンしました。かなり高い目標を立てたため、計画を少し下回っていますが、一般的な薬局の中程度の売上になっています。

また、処方箋は減るというよりは増えていくのではないかと思います。高齢者が増えていくため、当社での扱いが増えるかどうかは別として、業界では増えていかざるを得ないと思います。

坂本:「OTC医薬品が増えていますが、大丈夫ですか?」という意図のご質問だったかもしれません。それはそれで新しい薬も出てきますし、日本はあまり進まないのではないかと思いますが、こちらの見通しはいかがでしょうか?

青木:日本のメーカーは苦戦していますが、これからは手術ではなく薬でガンが治る時代が来るのではないかという意味で、我々は期待しています。

質疑応答:包括医療の開拓エリアについて

坂本:今日はあまりお話ししませんでしたが、御社の強みの1つである包括医療についてです。「医薬・介護・保育で重点的に開拓していくエリアがあったら教えてください」というご質問です。

青木:それももちろんありますが、大手デベロッパーが街づくりを手掛ける場合、介護サービスやクリニック・薬局・保育園が必要になります。このことを1社で実現できるということで当社にお問い合わせいただいています。

また、基本的には各事業部がそれぞれ展開し、結果として首都圏に集中して、いろいろな企業との競合の中で事業を展開しているというのが現状です。

時間の都合上お答えすることができなかった質問と回答

(ご質問の内容については、ご理解いただきやすいよう部分的に加筆・修正しています。 回答は、2022年7月6日時点の内容です。)

<質問1>

質問:小中学校での部活動運営は、教員不足から学校外で行うことが望ましいとされています。御社にとってビジネスチャンスではないですか?

回答:学童クラブのニーズが高くなると思いますが、差別化に向けて、自費で行う教育に関しての東京都の承認が今後のキーになると考えています。

<質問2>

質問:介護事業は、介護スタッフの人件費上昇が利益を圧迫しているように思えます。

回答:今後、そのような心配は可能性としてはありますが、現在は政府のスタッフに対する補助金もあり、直接的な人件費による利益圧迫はありません。

<質問3>

質問:ライフサポート買収は成功例として捉えられていますか?

回答:現在のところ当初の計画どおり推移しており、成功例になると考えています。

<質問4>

質問:薬局が飽和状態でも、常に貴社を選択してもらえるようにするための施策はありますか?

回答:調剤薬局は薬価改定もあり、二極化が進むと思われます。実際に小規模のチェーン店ではM&Aに取り組む企業も増えています。そのような意味でM&Aの可能性は高くなっています。

<質問5>

質問:保育園運営は人件費が多くを占めていると思いますが、賃上げの流れによる対策は何かありますでしょうか?

回答:政府の少子化対策により、保育スタッフに対する補助金も厚く、賃金の昇給について対策が必要との認識はありませんが、今後、採用時の費用が拡大する可能性はあります。

<質問6>

質問:こども家庭庁の設置による事業への影響などはありますか?

回答:現在、保育園は厚生労働省管轄で、幼稚園や小学校は文部科学省管轄となっています。英語教育のニーズも高くなっており、保育園も含めた学童クラブ等において、自費での教育が東京都でも承認されるよう、家庭庁で調整されることを期待しています。

<質問7>

質問:重点的に開拓していくエリアについて、時間軸別に教えてください。

回答:1都3県の首都圏に集中した展開を行っていきます。