会社概要

成田隆志氏(以下、成田):ニフティライフスタイル、代表取締役社長の成田でございます。よろしくお願いいたします。それでは、プレゼンを始めさせていただきます。

当社としては今回が初の個人投資家向けのセミナーということで、少しでもご理解いただけるように説明させていただければと思っています。本日は、会社概要と2022年3月期決算概況、2023年3月期業績予想についてご説明します。

まず、会社概要です。ニフティライフスタイル株式会社は、2018年2月に設立した、設立5年目のライフスタイルテック企業です。

スマートフォンアプリをメインデバイスとするプラットフォームサービスを中心に行動支援サービス事業を展開しています。昨年12月24日に東証マザーズ、現・東証グロースに上場しています。「オンライン内見」を子会社のTryellが行っています。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):御社は設立が2018年ということで、創業までもいろいろとあったと思うのですが、そのきっかけなども含めて教えていただけたらと思います。

成田:当社は、ニフティというISPプロバイダーの子会社で、各プラットフォームサービスは、もともと会員向けのWebサービスとして展開していました。

2018年にWebサービス事業をもっと成長させていこうということで、ユーザー数が増え始めていたマーケットプレイス型の「ニフティ不動産」を中心とした部分を独立させていくということと、Webサービス事業をよりスピード感ある経営で進めていくということで、上場も視野に入れての当社設立の運びとなりました。

コーポレート・メッセージ

成田:当社は「想像以上を、みつけよう。」というコーポレートメッセージを掲げています。ライフスタイルの課題や改善していきたいものを、テクノロジーを活用してうまく問題解決していき、一人ひとりのライフスタイルをより便利に、豊かにすることを目指しています。

事業概要

成田:当社の事業概要です。行動支援サービス事業に関しては、プラットフォームサービスとソリューションサービスの2つのサービスを行っています。

行動支援プラットフォームサービスは、ユーザーの情報検討と企業の集客を、アプリやWebで支援していくものです。特にスライドにも記載してありますが、情報量が多い点が1つの強みとなっています。

行動支援ソリューションサービスは、企業のWebマーケティングや接客業務を、SaaS型のDXツール提供で支援しています。

ニフティライフスタイルの提供価値

成田:行動支援サービス事業の提供価値になります。当社は、ライフスタイル領域×テクノロジーで生活者と企業をうまく支援して、世の中を便利にしていくことを目指しています。

特にプラットフォームサービスでは、生活者に対して、世の中に大量のデータがある中で、そのデータを集約して一人ひとりに最適な情報を提供するという部分で、満足度を提供しています。

一方で、企業のほうから見ると、欲しい家や求人などについて、高いニーズを持つユーザーをしっかりと送客できるというところで、高い満足度をいただいております。

また、ソリューションサービスに関しては、接客やマーケティングのDXツールを企業に提供することで、企業が生活者に対して、より便利な世の中を提供するという部分を支援しています。

ビジネスモデル

成田:それぞれのビジネスモデルのご説明になります。送客による「成果報酬型」と、SaaS型ツール提供による「月額課金型」の2つが、当社のビジネスモデルになっています。

スライド上段の行動支援プラットフォームは送客支援となっています。「ニフティ不動産」と「ニフティ求人」に関しては、Webや電話での問い合わせが課金ポイントになっています。「ニフティ温泉」に関しては、ユーザーがお得なクーポンを店舗に行って使うと、その利用に応じて成果報酬を得られるかたちになっています。

行動支援ソリューションは「DFO」「オンライン内見」ともに、DXツールを利用することへの月額課金というかたちで、ストックビジネスとなっています。

ニフティ不動産のご紹介

成田:それぞれのサービスについてご説明します。まず、主力の「ニフティ不動産」のご紹介になります。賃貸から購入まで、家を探す時の情報一括検索プラットフォームサービスというところが、当社の強みになっています。

3月末で1,300万物件ほどの情報がありますが、なぜこれが集められているかというと、スライド左上に記載のような、みなさまご存知の大手不動産ポータルサイトの情報を取りまとめているためで、多くの情報をまとめて検索できるという価値を提供しています。

ただ単に情報が多いだけではなく、その情報を130項目以上の「こだわり検索」で絞り込めるのですが、情報量に加えて自分に合った情報を見つけられるということが、ユーザーからの人気のポイントになっています。

坂本:非常に便利なアプリだと思います。私も自分で不動産投資をしているので、仲介業者にけっこういろいろなお願いもするのですが、広告を出してくれないところもあって、できれば大手サイトに出して欲しいのに「ここ高いんだよね」などと言われてしまって載らないこともありますし、サイトがたくさんあって検索するほうも大変です。

これを使うと「このサイトに載っていましたよ」というのが出て、そこから実際の情報請求ができるようになっていると思うのですが、これはサイトへの送客というところからマネタイズされるのでしょうか?

成田:あくまで問い合わせに対しての課金のモデルになっています。一般的な不動産ポータルサイトなどを見ると、不動産会社から課金するところが多いと思うのですが、当社の場合は先ほどの一覧にあったような不動産ポータルから課金するため、広告宣伝費をいただくようなイメージです。

坂本:非常によくわかります。本体からもらうわけですね?

成田:そのとおりです。大手ポータルはいろいろなプロモーションを行っていると思うのですが、その中の1つとして、当社はより質の高いユーザーを送れているということで、長年に渡りパートナーシップを組ませてもらっています。

坂本:非常によくわかりました。

成田:当社はアプリを中心としていますが、外観や間取り、地図、路線図などのいろいろな探し方ができます。加えて、家を探すことは、やはりいかに早く情報を得るかというところだと思いますが、アプリならではのプッシュ通知やレコメンド機能があり、それが人気の高いポイントになっています。

ニフティ不動産:アプリ累計ダウンロード数

成田:当社は2013年からアプリを提供していますが、ダウンロード数は2022年3月末時点で868万ダウンロードとなっています。前年から128万ダウンロード増えております。特にiOS向けアプリが強いのですが、Androidアプリも強化していこうと考えています。

ASO(App Store Optimization)によるオーガニック集客について

成田:当社はアプリの強化を続けてきましたが、アプリが順調に伸びているポイントとしては、App Store等で例えば「賃貸」「不動産」のような不動産関連キーワードを検索していただくと、おすすめのアプリのようなかたちで上位に出てくるようになっています。これにより、不動産のアプリが順調に伸びております。

また、アプリを使ってもらい、レビュー等もたくさんいただく中で、ご要望などをもとに日々UIやUXの改善をしていくことで使い勝手がよくなり、レビューもよくなることによってまた検索順位が上がるというスパイラルが起こっていると考えています。

坂本:このスパイラルが、アプリ提供ストアの検索結果で上位に表示される理由なのですか?

成田:明確な基準はないのですが、当社が2013年からずっと取り組んできた中で、なぜ上位になるのかというところでは、やはり使い勝手の部分が重要だと思いますし、単純な検索キーワード対策だけではないと考えています。

ニフティライフスタイルの特長

成田:当社は、アプリを活用したユーザー行動データの収集や分析、そして最適な情報提供が強みとなっています。アプリならではの情報の溜め方や、その情報を活用した検索プラットフォームというのが当社の強みです。

いかにして一人ひとりに最適な情報を送れるか、KPIとなる送客率には、このあたりが強みとして出てきていると思っています。

ニフティ温泉のご紹介

成田:「ニフティ温泉」のご紹介になります。全国の日帰り温浴施設を束ねた情報サイトで、ユーザーはお得なクーポンや、どこの施設がよいかという口コミが見られます。オリジナルのデータベースを持った温泉情報一括検索プラットフォームとなっています。

坂本:こちらは取り組みとしてはおもしろいと思うのですが、だいたいは宿泊を取り扱って、宿泊は金額のボリュームが大きいため、だいたい15パーセントから20パーセントの手数料をもらうかたちになるのが一般的だと思います。

日帰り温泉は、けっこう高いところでも2,000円台くらいまでしかいかないと思うのですが、ここの部分のマネタイズについて、先ほどのクーポン配布のお話を含めて教えていただけたらと思います。

成田:旅行はやはり年に数回のライフイベントだと思うのですが、日帰りの温浴施設は本当に好きな人であれば毎週行くような、レジャーのようなものだと考えています。いかにしていろいろな温泉に行ってもらうかに取り組んでいますので、リピートのところで、クーポンだけでもマネタイズができています。

坂本:クーポンを一度使うと、毎回使いますものね。

成田:そのとおりです。

坂本:そのようなところが動機になっていて、温浴施設のほうも「それでリピート客が来るのであれば当然クーポンに応じたフィーは払います」というような循環ということですね。

成田:ただし、そこだけの部分でビジネスを拡大するのは、やはり限界もあると思います。コロナ禍で外出自粛などもありましたので、温浴施設のクーポンは一部厳しい時期もありました。

先ほどの不動産と違って施設との直接のコネクションがあるということで、施設の業務支援として、混雑情報をIoTを活用して把握するシステム提供を行うビジネスなどに取り組んでいます。

また、温浴施設だけから収益を得るビジネスモデルではなく、トイレタリーメーカーや健康食品メーカーからの広告宣伝を取るということで、日帰り温浴施設内で例えばサンプリングなどを行っています。

坂本:たまにしていますね。

成田:直接その場で使ってくれるとか、日帰り温浴施設は滞在時間がけっこう長かったりするためブランド認知が上がるということで、コロナ禍からニーズが出始めてきています。

ニフティ求人のご紹介

成田:「ニフティ求人」のご紹介になります。「ニフティ不動産」と同様のビジネスモデル、提供価値となっています。アルバイトに関しては特に力を入れているのですが、大手求人ポータルを多く束ねることで、300万件以上の求人情報が入ってきています。

坂本:「Indeed」のようなイメージですが、方向性としてはサイトを集めて、見てもらって送客するというかたちですか?

成田:そうですね、いかにして情報を網羅していくかを目指したサービスになっています。

坂本:「ニフティ不動産」は「ニフティ求人」の不動産バージョンということですね?

成田:求人と不動産はほぼ同じ時期にできて、同じような検索プラットフォームを活用した横断検索ビジネスになっています。

坂本:非常によくわかりました。

行動支援ソリューションサービスのご紹介

成田:続きまして、行動支援ソリューションサービスです。1点目が「DFO」というサービスになります。こちらはインターネット広告を出稿する際に、商品データを適切な広告配信フォーマットに自動変換するという、広告運用業務の最適化ツールになっています。

少しわかりづらいと思うのですが、例えばスニーカーでは、どのメーカーなのか、何色なのか、どのサイズかというのが商品データベースにあると思います。スライドにあるように、CriteoやGoogleショップに広告を出す時に、どの項目を必須にするのか、必須ではない場合はどこまで情報を出すのかを最適化し、広告の費用対効果を最大化するツールになっています。

坂本:そうすると漏れがないですよね。漏れがあって検索にかからないことを防ぐということと、効率化ができるサービスですね。

成田:あとは、商品データ数が多い企業は、手作業というのは現実的ではないため、当社ではECサイトのような商品が多い企業にご利用いただくケースが多いです。

行動支援ソリューションサービスのご紹介

成田:2つ目が「オンライン内見」です。こちらは、不動産事業者の接客業務を支援するツールになっており、ライブチャット機能と動画をためておくWebストレージサービスを提供しています。

「オンライン内見」はコロナ禍で利用が増え始め、実際の店舗に行かずに接客することができます。不動産業界では規制緩和により、不動産取引をする際に「重要事項説明」がオンラインでできるようになりました。家が見つかった後の契約はオンラインにするなど、IT重説の利用も増えており、今後も市場の拡大を目指していきます。

2022年3月期 通期 決算ハイライト

成田:2022年3月期決算の概況についてご説明します。

2022年3月期通期の決算ハイライトです。連結部分は、売上高はYoYでプラス21.7パーセント、当期純利益はYoYでプラス18.9パーセントの高い成長率にて着地しています。

行動支援プラットフォームサービスに関しては、主要サービスの「ニフティ不動産」が売上高YoYでプラス23.5パーセントと全体を牽引しました。

「ニフティ温泉」はコロナ禍の影響も受けていましたが、体験型広告の伸長などにより、黒字回復してきている状況です。

行動支援ソリューションに関しては、「DFO」の事業譲受によって、売上高はYoYでプラス60.3パーセントにて純増しています。

子会社のTryellは、オンライン内見事業に集中するために、受託事業を一部終了したというところで、売上減となっています。

2022年3月期 通期 決算概要

成田:決算概要です。売上高が27億5,600万円で、YoYでプラス21.7パーセント、営業利益が9億3,500万円でプラス16.6パーセント、経常利益が9億1,300万円でプラス13.7パーセント、当期純利益が6億300万円でプラス18.9パーセント、EBITDAが10億7,300万円でプラス20.0パーセントになっています。

12月に上場したこともあり、上場関連費用の負担がありましたが、各段階利益は、いずれも2桁成長で着地しました。売上高、各段階利益においても、いずれも過去最高を更新しました。

行動支援プラットフォーム:売上高、営業利益

成田:行動支援プラットフォームについてご説明します。売上高は24億2,100万円で、YoYでプラス17.8パーセントになっています。先ほどもお伝えした主力の「ニフティ不動産」が全体を牽引しているかたちになります。

営業利益は8億9,900万円で、YoYでプラス18.4パーセントです。不動産の成長が全体を牽引したことに加え、「ニフティ温泉」の体験型広告で営業利益が増え、黒字化に寄与しています。

行動支援ソリューション:売上高、営業利益

成田:行動支援ソリューションサービスです。「DFO」サービスの事業譲受により、売上高は3億3,400万円で、YoYでプラス60.3パーセントとなりました。営業利益は3,500万円で、YoYでマイナス15.4パーセントになっています。

こちらはDFOサービスの事業譲受と、「オンライン内見」が新たな機能や専用サイトの構築など投資フェーズだったことから、このようなかたちになっています。

売上高・営業利益率の推移

成田:設立年度からの売上高と営業利益率の推移です。成長力を示す売上高は、設立年度から順調に伸びています。収益性を示す営業利益率も、設立当初から30パーセント強で推移し、安定した売上と利益が確保できている状況になっています。

2023年3月期 事業方針 サマリー

成田:2023年3月期の業績予想をご説明します。

全体のサマリーになりますが、基本方針としては、引き続きプラットフォームサービスの継続的な投資と強化を行っていく部分と、SaaS型の行動支援ソリューションのさらなる成長拡大を目指していくところです。また、各事業の拡大に向けたM&Aを推進、強化していくことを掲げています。

行動支援プラットフォームサービスは、引き続き主力の「ニフティ不動産」への投資を継続していきます。特に、利用者数の拡大では、今まであまり行ってこなかった広告宣伝をしっかり行い、今までよりもタッチポイントを増やして、アプリの認知、ダウンロードの拡大を目指していきます。また、iOS中心での開発を行っていましたが、Androidアプリへのさらなる投資を考えています。

行動支援ソリューションに関しては、「DFO」を中心に販売体制を強化し、EC業界に加えて、求人や宿泊などのダイレクトマーケティングをより強化していく業界を狙った広告支援ツールの販売強化を行っていきます。

Tryellに関しては、IT重説など、オンライン接客市場の拡大も踏まえて考えています。

成長投資について

成田:そのための成長投資についてです。当初から安定的な営業キャッシュフローの増加と、上場による調達資金をしっかりと中長期的な成長に向けた投資に充当していきたいと考えています。

投資項目に関しては、広告宣伝投資、開発投資、人材投資を考えています。広告宣伝投資は、年間でプラス3億円くらいを考えています。

主に「ニフティ不動産」を中心としたアプリの認知拡大を推進しつつ、SaaS商品のブランディングもあわせて行っていきます。

開発投資は、引き続きアプリを強化していきます。特に不動産では、このあとご説明するAndroidアプリの強化を考えています。

人材投資は、特にエンジニアの採用を強化し、優秀な人材の獲得に向けたリクルーティングの強化を考えています。

全体として、新規事業を行うための新規開拓、リード人材の拡充も行っていきながら、しっかりと投資をしつつ、成長を目指していきます。

ニフティ不動産の成長可能性

成田:主力の「ニフティ不動産」の成長可能性についてご説明します。

既存の賃貸アプリ、購入アプリをどう伸ばしていくかという部分に関しては、主要KPIである利用者の拡大と送客率の改善、送客単価のアップを考えています。

アプリユーザー数の拡大については、若年層を中心としたユーザーの拡大を考えています。UI/UX改善をしっかり行うことで、送客率にも拡大の余地があると思います。単価に関しては、賃貸領域と購入領域で大きく違っており、購入領域の割合を増やしていくことで成長の伸びが期待できると考えています。

また、新規領域に関しては、まずはユーザーデータ活用から着手していく方法を考えています。例えば、購入を検討しているユーザーに、当社の問い合わせ入力フォームにて「売却を予定していますか?」と聞いています。売却ニーズであったり、リフォームニーズであったり、そのようなプラスアルファがあり、ただの家探しで終わらないかたちでビジネス展開の拡充ができると思います。住宅ローンや金融系など、1人当たりのARPUを上げていくことで、不動産事業がさらに成長していくと考えています。

坂本:若年層にアプローチしていかないと将来そのようなシナジーが生まれないということでしょうか? 購入を検討している世代は少し若年層より上ですよね。もう少し前から取り込んでおくというような戦略イメージですか?

成田:特に、賃貸アプリはほぼ若年層で、購入アプリのユーザーよりも5歳から10歳くらい若く、我々のサービスの中でも利用者属性が違っています。また、購入アプリのほうも徐々に30代くらいのユーザーが増えてきているということもあり、こちらも早めにアクションを起こし、しっかりと購入ユーザーを囲っていくことがポイントになります。

ニフティ不動産:広告宣伝によるアプリ利用者の拡大

成田:どのようなかたちで若年層にブランド認知を上げていくかという部分です。今まで行っていなかったWeb CMなどの広告宣伝を、2022年4月から開始しています。

現在「YouTube」を中心としていますが、「アプリで家探し」なのか「まとめて検索」なのか「こだわり検索」なのか、そのような訴求ポイントや若年層に向けたメッセージをしっかりと固めつつ、不動産業界の繁忙期である1月から3月に向けた大々的な広告宣伝の準備を行っている状況です。

坂本:4月から配信ということですが、1ヶ月以上が経過し、登録者数や、実際にアプリの利用率の上昇は見られているのでしょうか? 広告効果についてうかがいたいと思います。

成田:1ヶ月くらいのため効果検証にはまだボリュームが足りていないところがあります。とはいえ、メインターゲットの若年層の認知率は徐々に上がってきているため、ボリュームをどう上げていくかというところです。

また現状で見えている部分として、「こだわり検索」の訴求において、やはり「こだわりたい」「自分に合った物件を探したい」などのユーザーのニーズが見え始めています。

坂本:そのあたりの効果は見えそうですね。

ニフティ不動産:ブランドマーケティングの手法拡大と開拓余地

成田:広告宣伝全体について、今まで行っていなかったブランドマーケティングをなぜ行っていくのかについてです。我々の強みだったWebマーケティング、ASOやSEOで集客すると、賃貸や不動産という検索ワード等で来る方が多く、実は「ニフティ不動産」の認知率は10パーセントくらいしかないという現状になっています。

このあたりのブランド認知を上げていくことによって、当社の強みであるASOやSEOのところでブランドキーワードで上がってくると思います。全体としてそのようなブランドマーケティングを行うことによって、今まで接点のなかったユーザーを増やし、本年度の128万DLに、プラス100万DLを超えるくらいのボリュームで、早期に1,000万人が使っているようなアプリを目指していきたいと考えています。

ニフティ不動産:Android向けアプリの強化と利用者拡大

成田:サービスグロースとして、UI/UX改善で送客率のアップを強化していきたいと考えています。昨年、送客率が上がった要因としては、iOSアプリの使いやすさを高める、エンハンスという部分が大きく寄与したかたちになっています。

iOSアプリでの実績をAndroidアプリにもしっかりと適用していくことで、確実な送客率アップを目指していきたいと考えています。

坂本:iOSのほうが使いやすいUIを組んでいるのですか? DL数がiOSのほうが多いというのも、そのようなところからきているのでしょうか?

成田:iOSが多いという部分では、1つは利用分布があります。もう1つが、アプリを探す時にGoogle PlayかApp Storeで探すわけですが、iOSユーザーのほうが アプリストアを使う傾向が高いと認識しており、そのあたりの違いはあるかと思います。

坂本:基本的に機能は一緒ですか?

成田:若干iOSのほうが使いやすい、見やすいというかたちになっているため、Androidアプリの機能をそこに近づけることを目指していきます。

ニフティ不動産:Android アプリの強化と拡大余地

成田:ニフティ不動産アプリのシェアは、iOSのほうが高い割合となっています。アプリ提供ストアからのオーガニック集客にポイントを置いているためです。

Androidは、今期より強化するブランドマーケティングなどの施策により、ユーザーへの認知拡大とシェアの増加を目指していきます。

SaaS(DFO):広告出稿支援ツールの顧客領域拡大

成田:行動支援ソリューションの重点となる「DFO」の成長についてです。今まではECサイト運営事業者向けに展開していましたが、昨今、求人ではダイレクト・リクルーティング、旅行系ではベストプライス提供のような自社集客といったニーズが出てきています。当社の広告支援ツールのニーズが高まっていると捉え、しっかりと強化していく考えです。

坂本:「DFO」の説明は難しい部分があり、出稿支援ツールという話でしたが、30ページのスライドの図ではハブになるようなかたちに見えます。ECと求人はなんとなく使い道はわかりますが、宿泊と不動産ではどういう理由で「DFO」を使うのでしょうか?

成田:宿泊も不動産と同様、ポータルに出稿するニーズがある一方で、ポータル出稿ではなくダイレクトにユーザーを集めるニーズも出てきていると思っています。部屋ごと、ホテルごとに直接集客していくためには、出稿の効率化が必要となります。

媒体によって異なる原稿を最適化していくという話になると、「DFO」のニーズが出てくるのではないかと思っています。

坂本:よくわかりました。不動産も同じですか?

成田:不動産はまだまだポータル出稿の割合が高いため、まずは求人や宿泊系になると思っています。

2023年3月期 通期 業績予想

成田:中期的な売上の成長に向けて投資を推進していますが、成長しつつもしっかりと利益も出していくというところで、今期の売上高は33億3,900万円で、YoYでプラス21.1パーセントの成長を想定しています。

営業利益は10億3,400万円で、営業利益率30パーセント超を1つの目安としながら、投資もしつつ一定以上の収益を確保していくことを目指していきたいと考えています。

坂本:非常に高い営業利益率ですね。御社のビジネスモデルは、いたずらに売上を伸ばしていくというよりは、このまま利益をキープしつつ成長していくというイメージですか?

成田:売上の成長が重要だと考え、しっかりと目指していきます。利益率を追おうと思えば一時的に高くできますが、それよりもある程度の投資をして持続的な成長性を出していきたいと考えています。以上が2023年3月期の業績予想です。

IR活動の強化

成田:IR活動についてご説明します。当社は投資家のみなさまにまだまだ知られていないため、ご理解いただけるようにIR活動を強化していきたいと考えています。具体的には、企業・事業の理解を促進するため、資料をわかりやすく工夫していきたいと考えています。

プレスリリースも積極的に開示していきます。今回、初の個人投資家向けIRイベントに登壇していますが、メディアへの露出も含めてしっかりとIR活動を推進していきます。

本日、ご説明した成長戦略等々も着実に実行していきながら、成長を目指していきたいと考えています。

質疑応答:今後の成長と全体的な戦略面について

坂本:今後の成長の予測や目標、KPIを達成する施策など、全体的な戦略面をまとめとして教えていただければ理解も深まると思います。よろしくお願いします。

成田:全体的な成長のポイントは、ニフティ不動産など行動支援プラットフォームサービスでは、やはり利用者数と利用率、単価をどれだけ改善できるかで、先ほどスライド25ページでも説明したとおりです。行動支援プラットフォームサービスでは、今ある不動産・温泉・求人領域以外のカテゴリへ広げていくことも重要なポイントになると思っています。

行動支援ソリューションに関しては、「DFO」「オンライン内見」ではECや不動産など、一定の業種のみというところがありました。特定業種に複数のツールを提供することでARPUを上げる戦略もあると思いますし、当社の行動支援プラットフォームとの連携業界に新しいソリューションツールを加え、全体として行動支援ソリューション事業を上げていくことが重要になってきます。このあたりは自社成長にプラスアルファしてM&Aで成長していくこともポイントになると思います。

質疑応答:上場で調達した資金について

坂本:「上場によって調達した資金の配分は、1年だけで終わってしまうのですか?」とのご質問です。

成田:今、だいたい3年から5年くらいで考えています。

坂本:そこは投資家も気になるところで、成長に資金を使うのも上場した意義の1つでもあります。2023年3月期からということですが、年だから「×3」「×5」というかたちですか?

成田:まずは調達した資金もありますし、営業キャッシュフローも積み上げているため、M&Aなどでの活用も考えながら進めていくかたちになります。

質疑応答:行動支援というカテゴリついて

坂本:「行動支援と聞けば、無限に行動領域、行動場所が広がります。現状は不動産、求人、温泉というカテゴリですが、それ以外はいかがですか?」というご質問です。

成田:例えば不動産に関して言うと、金融系では住宅ローンの見直し、結婚を機にした家探しなど、カテゴリと連動する領域があると思っています。うまくシナジーがある領域は、積極的に拡大していくことを検討しています。

質疑応答:ニフティ不動産アプリの優位性について

坂本:「既存の不動産情報サイトと比較した際、ニフティ不動産アプリならではの優位性は何ですか?」という質問です。一括検索以外のこだわりもありましたよね。

成田:細かい部分では、例えば勤務地から探すなど、選択肢を絞っても検索できるところです。テクノロジー的な部分では、毎時毎時で物件データを名寄せしています。ビジネスモデルにも影響していると思いますが、不動産会社から収益を得ているモデルでは物件を均等に出す必要がありますが、当社はポータルを束ねているため、ユーザーが見やすいよう棟寄せや物件毎に寄せています。見やすさの部分は、1つの差別化としてユーザーから評価を得ているところです。

坂本:非常に大事なことです。でも名寄せは難しくないですか?

成田:難しいです。表記の違いや打ち間違いは、ある程度は当社のロジックで、同じ物件でまとめています。もう1つはサーバーの問題ですが、毎時毎時で新しい情報が入ってくる中で、毎回瞬時に同じ物件を名寄せしているのは、実は当社の強みだと考えてはいます。

坂本:ほとんど機械で人を使わずにできるのはすごいと思います。僕もこの前アプリをダウンロードしたので使ってみたいです。

成田:Webでも見られるものを、アプリであればより利便性高く見られるということを、市場に対して周知していきたいと思っています。

質疑応答:アップルのユーザー情報収集規制の影響について

坂本:「不動産サイトでユーザーの行動の収集と分析をしているという話がありましたが、Appleが行っている情報収集規制が御社事業の業績に与える影響などありましたら教えてください」というご質問です。

成田:IDFAの話だと思いますが、当社は広告ビジネスを行っているわけではないため、直接的な影響はありません。集客に際しては影響を与えるものだと考えていますが、逆に、パートナー企業の広告出稿による集客が難しくなった場合に、当社に集客を求められるなど、プラスに向けばとも考えています。

坂本:それはありそうですね。1回見るとしつこく出るサイトがなくなると、自分で探しに行かなければいけなくなるため、ある意味プラスかもしれないです。

質疑応答:不動産の内見について

坂本:若い層は御社のアプリと親和性がありそうですが、不動産は直接見に行きたいという人がまだ多いと思います。「オンライン内見」の現状や未来を教えてください。

成田:ご指摘のとおり、家を見ないで探すという世界観はまだハードルが高いと思っています。「オンライン内見」というサービス名ですが、すべてをオンラインで解決する世界観というより、契約のみなどポイントポイントでオンラインを活用することで効率化が図れます。

例えば、IT重説の利用が非常に増えているのは、まさに家を見て「これだ」と決めた後は手続きだけのためにわざわざ店舗に行くのも煩わしいからだと思います。

「オンライン内見」がもっと普及すると、平日の空き時間などに「オンライン内見」で少し部屋を見て、「これ、細部をリアルで見たいな」という部分を休日に現地で確認するといった活用ができると思っています。

坂本:不動産は人気物件だと内見できずに決めなければいけない時もありますよね。また、「オンライン内見」であれば、入居中の物件でも過去データを紹介するなどで活用できると思います。今後、ストックが溜まっていけばビジネスチャンスもありそうだと思いました。

質疑応答:アプリ利用者の年代について

坂本:アプリの利用者が多い年代というのは、どのくらいの年代でしょうか?

成田:ニフティ不動産では、賃貸領域は、やはり20代から30代がボリュームゾーンになってきます。アプリは20代に寄ってきて、5歳、10歳くらい若返ってきます。売買領域でもアプリの利用者が多いのは20代から30代前半だと思っています。

坂本:全員ではないため、広告はボリュームをもう少し広げたくらいで打っていくということですか?

成田:そうです。賃貸領域の一番のボリュームゾーンがアプリ世代にはなってきていると思うので、さきほどお話ししたとおり、この世代が物件を購入するときもアプリで探すというところで、売買領域でのアプリ利用推進をしっかり進めていきたいと思います。