2022年3月期 業績ハイライト

坂本守氏:みなさま、こんにちは。株式会社いつも代表の坂本です。それでは、2022年3月期の業績ハイライトをお伝えします。

当期は、過去最高の売上高・利益を達成し、売上高は約116億円と、前年同期比32.5パーセントの高い成長を実現することができました。

当期は、2つの子会社を設立しています。それぞれの新規事業として、いつもコマースでは「ブランドバリューアップ」で約20億円の増収を達成、いつもキャピタルではインキュベーション支援を開始しました。

当社の展開するサービスは、「ECマーケットプレイスサービス」「ECマーケティングサービス」の2つです。

「ECマーケットプレイスサービス」では、前年同期比34.7パーセントの増収と成長し、新たに26ブランドの取り扱いがスタートしました。EC事業代行では15ブランド、「ブランドバリューアップ」では11ブランドがM&Aにて新規増となっています。

「ECマーケティングサービス」では、前年同期比23.7パーセントの増収と成長しています。サービスラインナップの拡充にも力を入れて進めており、1社あたりの平均単価も上昇、ストックの売上高も前期より上昇しています。当期はいたって順調に推移したのではないかと考えています。

売上高、売上総利益の推移

売上高、売上総利益の成長性については、2017年以降の過去4年と比較しても、売上高50.3パーセント、売上総利益38.8パーセントと、どちらも高い成長率を達成し続けています。巣ごもり需要が一巡したあとでも、この高い成長率を維持できているというのは、当社の強みを非常に発揮できた1年ではないかと考えています。

損益計算書

損益計算書です。売上高は前年同期比で32.5パーセント成長し116億円、売上総利益は30億円で、前年同期比45.2パーセント増となりました。また、期初に株主のみなさまにお約束した公表予算としては、売上高、売上総利益、営業利益、経常利益に関して、すべての指標で目標の業績を達成することができました。

この1年、経営してきた中で、「ECマーケットプレイスサービス」から主要ブランドの離脱が起こりましたが、期初に掲げた目標をしっかり実現し、それをクリアできた1年となりました。その結果、当期も営業利益・経常利益と過去最高益を更新しています。

ECマーケットプレイスサービス 進捗

ここからは「ECマーケットプレイスサービス」と「ECマーケティングサービス」の進捗状況をお伝えします。「ECマーケットプレイスサービス」は、EC事業代行の「ハンロー」と、「ブランドバリューアップ」の2つから構成されています。

EC事業代行の既存ブランドが順調に成長し、新規ブランドが稼働したことや、当期から始めた「ブランドバリューアップ」が順調な立ち上がりをしたことによって、売上は前年同期比34.7パーセント増加しています。

中でもEC事業代行では、既存ブランドが61.4パーセントと非常に高く成長しました。その結果、主要ブランドが離脱したにもかかわらず、前年同期と比較しても6.7パーセント増収と、EC事業代行だけでも成長することができています。

また、当期から始めた「ブランドバリューアップ」は、下期から連結対象となり10ブランドが収益に貢献しています。その中でも特に、グループインしたビーラン社の構造改革が進み、収益・利益に大きく貢献する心強い存在に育っています。

新規ブランド契約数について

「ECマーケットプレイスサービス」の新規ブランド契約数ですが、まずEC事業代行の「ハンロー」は、当初の計画どおり15ブランドと契約することができました。「ブランドバリューアップ」では計画を下回る11ブランドの契約となりましたが、収益面では計画当初より大幅に上振れした着地となり、多大な貢献を実現してくれました。

「ブランドバリューアップ」に関しては、引き続き経営基盤の強化、新商品の開発などを行い、今後の持続的な成長を目指して投資を実施していきたいと考えています。

EC事業代行「ハンロー」 (ブランド公式サイト運営)

EC事業代行「ハンロー」のモデルに関して、グラフの赤色部分は既存ブランド、黄色部分は、2021年3月期に受注し、2022年から売上が立ったブランドです。青色部分は、2022年3月期に受注し、立ち上がった11ブランドの売上推移になります。

何をお伝えしたいかといいますと、このEC事業代行は、立ち上がった当初は限定的な貢献ですが、取扱期間が長くなればなるほど、黄色、青色部分も赤い既存ブランドのように増えていくということです。

2023年、現状の進行期、また翌期には成長ドライバーに育っていくブランドが、しっかり当期に受注でき、立ち上がってきていることをみなさまにお伝えいたします。

ECマーケティングサービス進捗

「ECマーケティングサービス」の進捗状況です。「ECマーケティングサービス」は、当社内にて実施しているお客さま満足度調査では約87.5パーセントと高い評価をいただいています。また、サービスラインナップをしっかり拡充した結果、複数サービス利用のお客さま比率が上昇し、平均単価が上昇するよい相乗効果が見てとれます。

ストックの売上高比率は、前年同期比からもさらに上昇し、売上高総利益率も3.2ポイント上昇するよい成果を出しています。

販売費及び一般管理費の推移(会計期間)

販売費及び一般管理費の推移です。当期も積極的な人材採用を行い、社員数は45.7パーセント増え、人件費も46.4パーセント増となりました。ここは順調に増えていますが、結果として受注もしっかり増え、過去最高の売上高・利益を計画的に実現できています。

調整後EBITDAの推移(会計期間)

調整後EBITDAの推移です。第3四半期からブランドバリューアップ事業の連結が始まり、ここからのれんの償却、M&A関連費用が発生しています。

貸借対照表

貸借対照表では「ブランドバリューアップ」の既存事業の伸びと、新たに受注が増えた26ブランドがあるため、売上機会を最大化していくための在庫の積み増しを行っています。また、M&Aの推進を加速していくためにも、積極的に借入を行った1年でもありました。

キャッシュフロー計算書

その結果、キャッシュフローを見ていただくと、今年度期末残の現金が約41億円となっています。この41億円を活用して、進行期の2023年3月期でも積極的に投資していきたいと考えています。

サービス別売上高、売上総利益の推移(会計期間)

最後に、サービス別売上高、売上総利益の推移です。売上高は昨年の第4四半期と比較すると、当期の売上高は約1.5倍、売上総利益は約1.6倍成長しています。

先ほどからお伝えしているとおり、グラフで黄色く表されている「ブランドバリューアップ」が第3四半期から連結することにより、ECマーケットプレイスサービスでは、昨年の第3四半期や第4四半期と比較しても、売上高、売上総利益ともに非常に高い伸びを実現しています。

赤色で表されているEC事業代行他は、主要ブランドの離脱の影響が第3四半期から発生しています。ただし、そのような影響を受ける中でも売上を確保し、また「ブランドバリューアップ」を新たに加えることにより、第3四半期や第4四半期でもECマーケットプレイスサービスは高い伸びを示すことができています。

EC事業代行は、新しいブランドの追加と既存ブランドの伸長により、今の数字を底として、来期以降、順調に売上を伸ばしてまいります。

成長戦略:「いつも.5x 」

成長戦略をお伝えします。当社は「日本の未来をECでつくる」をミッションとし、高成長を継続してきました。そして今後もさらなる成長を目指し、中期成長戦略「いつも.5x 」をキーワードに掲げます。

「いつも.5x」は、今後5年間で5倍の成長を目指すという意味合いを込めて作りました。この目標達成に向けた取り組みとして、私たちのコアコンピタンスである「ECで売る力」を活用し、加速度的な成長の実現を目指したいと考えています。

中期計画の詳細は6月末に発表しますので、本日は概要を発表します。

成長戦略:「いつも.5x 」への挑戦

私たちのコアコンピタンスは「ECで売る力」です。これまで、この「ECで売る力」を形成また強化し、新しいビジネスモデルを段階的に拡張してきました。祖業として始めたECコンサルティングでは売るノウハウを確立し、EC運営支援では売る仕組みを構築してきました。そして、EC事業代行では自ら売ることを体現し、昨年はD2Cブランドメーカーでは、自ら商品を企画して売る仕組みを構築しています。

この「いつも.5x」を実現していくために、今取り組んでいるECコンサルティング、EC運営支援、EC運営事業代行、D2Cブランドメーカーの各事業を一層発展させ、またプラットフォームとして売り場を創出するような新しいビジネスモデルへの取り組みを開始します。

成長戦略:「いつも.5x」への挑戦 いつも.流 ECバリューチェーンの拡張

当社のコアコンピタンスである「ECで売る力」は、「いつも.流ECバリューチェーン」で表現できます。私たちはマルチプラットフォームに対応し、さらに複数の商品カテゴリーに対応でき、EC戦略から実際に商品をお届けするEC事業全体を一貫して取り組めるところにあります。

また、私たちが提供しているサービスラインナップを見ていただくとわかると思いますが、商品開発、デジタルマーケティング、ブランディングなどの既存サービスを段階的に拡充してまいりました。今後は新たにライブコマースやプラットフォームなど複数のサービスを開発し、サービスラインナップを拡充してまいります。

これらにより、より多くのお客さまに対してご支援できる体制や、自ら商品を作り、売ることができる体制をより拡充し、「いつも.5x」を実現したいと考えています。

成長戦略:「いつも.5x」への挑戦

「いつも 流ECバリューチェーン」を活用し、3つの事業を成長させていきます。1つ目の事業はコア事業で、ECマーケティングサービスとECマーケットプレイスサービスです。2つ目の事業は成長事業で、昨年に開始し主力事業の1つとなった「ブランドバリューアップ」と、自社商品開発であるプライベートブランドです。3つ目は新規事業で、ライブコマースやソーシャルコマース、そしてグローバルでの再チャレンジを行います

この3つの事業を通して得た経験を「いつも.流ECバリューチェーン」に還元させるエコサイクルを当社の中でまわし、ケイパビリティを強化してまいります。

成長戦略:「いつも.5x」への挑戦 収益モデルの多様化の実現

私たちは、企業と一般消費者の双方に向けてサービスを提供し、複数の収益モデルと収益機会を作ることで3つの事業を成長させ、より安定的な収益実現を可能にします。また、強いポートフォリオを組むことで企業体を進化させたいと考えています。

成長戦略:「いつも.5x」への挑戦 戦略コストの積極投入によるビジネスモデルの進化

「いつも.5x」の実現に向け、当期は約10億円の戦略コストを投下したいと考えます。すでに安定収益化されているコア事業に投資することでより収益力を高め、成長事業または新規事業に投資することにより、ビジネスモデルの多様化と成長の加速を実現したいと考えています。

そして、経営インフラにも投資することで、業務効率の改善を行いオペレーションコストの最適化も進めたいと考えています。

最後に、優良なブランド取得による規模の拡大と収益モデルの多様化を目指し、M&Aの費用として30億円の投資枠を準備しました。

成長戦略:「いつも.5x」への挑戦

これまでお伝えした戦略と投資を通して、私たちは、5年以内の売上高500億円達成を目標としたいと思います。そのステップとして、3年以内の売上高300億円達成を目標として設定しました。ECパートナーとして成長し、D2Cブランドメーカーとしても成長し、既存領域を成長または強化させるとともに、プラットフォーマーとしての成長を実現していきたいと思います。

2023年3月期 業績予想

2023年3月期の業績予想です。進行期である当期は、売上高は143億円、売上総利益は36億円、調整後EBITDAは4億円です。この数字には、新規のM&Aの数字は含んでいません。

ですので、スライドのグラフで黄色く示されている、「ブランドバリューアップ」の2023年3月期の上期の10億6,400万円と、下期の21億6,400万円という数字は、新規のM&Aの数字は含まず、進行期の業績予想を立てています。

この進行期の業績予想ですが、売上高は、昨年同期で23.1パーセントの成長を見込んでいます。また、「いつも.5x」を実現していくための初年度は当期の進行期となるため、積極的で戦略的な投資をしていきたいと考えます。そのため、営業利益は、前年同期よりも低い成長率を見込んでいます。

一人当たり生産性の推移

一人当たりの生産性の推移をご説明します。私たちの事業モデルはこれまで安定化しており、過去の経緯を見ても、一人当たりの売上総利益は順調に成長してきました。そして、「いつも.5x」を軸として、一人当たりの生産性をさらに向上させたいと考えています。

EC市場の売上成長率と当社売上成長率

過去の成長から今後の成長まで、私たちが考える成長についてお話しします。日本のEC市場の成長ということで、スライドのグラフの赤い線は楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングなどのECプラットフォームをはじめとする日本のEC事業の成長を表し、ピンク色の線は自社ECの成長を表しています。

私たちは、「いつも.5x」を目指しながら、この日本のEC市場の成長よりもさらに高い成長を実現したいと考えています。

ブランドバリューアップによる売上拡大

「ブランドバリューアップ」のサービスの概要についてご説明します。当期もこの「ブランドバリューアップ」をしっかり伸ばしていきます。この「ブランドバリューアップ」の概要は、後ほどお手元の資料をご確認ください。

ECマーケティングサービスの拡大

また、ECマーケティングサービスも同様に、お手元の資料をご確認ください。

グローバルEC

新しく、グローバルECについてご説明します。当社はロシアでのグローバルECを展開していましたが、現状のウクライナ情勢を受けて、ロシアのプラットフォームに出店するグローバルECの事業モデルは、今は中止しています。

ただし、新型コロナウイルスの前から新しく準備していたASEAN、特にマレーシアで行っているグローバルECが、みなさまにお伝えしているように順調にスタートしました。このモデルをご説明します。

今まで行っていた、プラットフォームに出店するモデルではありません。マレーシアの現地でオフラインとオンラインを融合した、グローバルマーケティングを開始しています。

具体的には日本国内からメーカーのブランド、また自分たちで開発したブランドを海外の当社物流拠点に送り、現地で直接販売していくものです。スライドの「4」の部分のとおり、海外のECチャネルから海外顧客へ販売します。特にマレーシアでは、ShopeeやTikTok shoppingを使いながら、直接販売する流れを作っています。

またオフラインとしては、海外の主要小売店、例えばドラッグストアやビューティショップ、バラエティショップ、またスーパー、ショッピングモールといった小売店へ卸すことにより、当社の商品を棚にしっかり確保しています。

このオフラインとオンラインにお客さまを送客していくために、店舗でライブコマースを行ったり、またはInstagramやFacebook、TikTokのプロモーションによって、送客していくというモデルを始めました。これは進行期である当期の中で、進捗を定点的にご報告していきます。

新経営体制について - 取締役

「いつも.5x」を実現するために、新しい経営体制で臨んでいきたいと考えています。7名の取締役の体制から、当期は10名の体制に変えていきたいと思います。その10名の中で、社内の常勤の取締役としては、代表の私と副代表の望月、杉浦を留任とし、新たに高木、古屋、鳶本の3名を追加したいと思っています。

彼ら3人の大きな役割は、まず既存のコア事業であるECマーケティングサービスとECマーケットプレイスサービスをしっかり伸ばしていくことです。そして「いつも.5x」という新しい目標の実現に向かって、CFOの杉浦と経営戦略本部長の鳶本が一緒になってしっかり管理、サポートしていきます。また、望月が新規事業もしっかり作っていきます。それらが社内取締役のミッションとなります。

新経営体制について - 社外取締役

社外取締役の体制は、五十棲を留任とします。また監査等委員設置会社である当社は、3名の監査等委員を選んでいます。上山には留任して引き続き監査等委員を務めてもらい、新たに岡田、新熊の2名に参画してもらいます。

この10名の体制をもって、既存のコア事業を伸ばし、またM&Aを実施したり成長事業を伸ばします。そして新規事業を創り出すという「いつも.5x」の目標実現に向けて、新たに10名の取締役の布陣で経営していきたいと考えています。

質疑応答:株価、越境EC、コロナの影響について

続いて、みなさまからいただいた質疑に、回答します。

1つ目は株価について、2つ目は越境ECについて、3つ目は新型コロナウイルスの影響についてです。

1つ目の株価については、「上場以来株価が下がっている状況だが、現状の株価についての考えを教えてください。また配当、自社株買いなど、株主還元の考え方についても教えてください」というご質問です。

まず、上場以来株価が下がっている状況については、株主のみなさまにご心配をおかけしています。株価について言及することは難しいですが、今の株価が当社の企業価値を適切に表しているとは考えておらず、まだまだ株価を上げていきたいと考えています。

また、株価が下落している要因は大きく2つあると思っています。1つ目が金融市場のマクロな要因の株価変動、2つ目が当社独自の要因による株価変動です。

1つ目の金融市場のマクロ要因に基づく変動については、もちろん当社のみで対応することが難しいです。しかし重要な観点としては、株主還元の考え方が挙げられます。当社は当期も過去最高益を達成しています。まだまだ事業には成長余地があると考えているため、事業を成長させていくことが、中長期的に株主のみなさまにも還元していくことにつながると考えています。

2つ目の当社の独自要因による株価変動については、当社が将来どうしていきたいかや、どのような成長目線を持っているのかに対してのご懸念があるのだと思います。というのも、当期は主要ブランドの離脱などの影響もあったため、しっかり成長できるかについて、ご心配をおかけしていると思います。

ただし、当期を締めた着地の結果は、主要ブランドの離脱にもかかわらず、ECマーケットプレイスサービスも非常に高い伸びを実現しています。また、本日お伝えした中期の成長戦略として新たに「いつも.5x」という目標も掲げています。この目標を実現していくことで、みなさまにご理解いただけるように邁進していきたいと考えます。

2つ目の越境ECについてです。「今後のグローバル展開については、ロシア、ウクライナの影響を受けているのか」というご質問です。

まず、ウクライナの今の情勢を受けて、ロシアのプラットフォームに出店するグローバルECのモデルは中止しています。ただし、新たにお伝えした、ASEANの中で展開していきたいと思っているマレーシアのモデルは、立ち上げて順調に推移していく兆しを見せています。こちらは、引き続きみなさまに定点的に進捗をお伝えしたいと考えています。

3つ目の新型コロナウイルスについてです。「今後、新型コロナウイルスが落ち着いたときに、業績への影響はありますか」というご質問です。

当社は、過去最高の売上、過去最高の利益を実現したように、巣ごもり需要が一巡した中でも高く成長しています。当期、肌で感じているのは、今集まっている見込みのお客さまであり、それを考えると、新型コロナウイルスの影響が落ち着いた後も引き続き順調に成長していけると強く考えています。

みなさまからいただいた質疑への回答は、以上となります。

それでは、2022年3月期の決算発表を終えたいと思います。進行期の2023年3月期も社員一同、一丸になって、売上目標、利益目標、また中長期の「いつも.5x」の実現を目指して邁進していきたいと思います。どうぞみなさまのご声援をよろしくお願い申し上げます。本日はお時間をいただきまして、どうもありがとうございました。