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阿多親市氏:みなさま、こんにちは。SBテクノロジー代表取締役社長の阿多でございます。本日はお忙しい中、弊社の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。

本日は、業績概況と第4次中期経営計画についてご説明します。その後、決算添付資料や会社情報を含めたご質問を受け付けてまいります。

Information

最初のご報告として、当社は2022年4月4日にプライム市場に移行することができました。

ガバナンスの強化として、社外取締役比率を過半数にするため、新たに3名の取締役を迎える予定です。すでに昨年度から弊社の顧問として、取締役会ならびに各種のビジネスレビューにもご参加いただいています。6月20日の株主総会で決議予定の総勢9名の取締役のうち、5名は社外取締役というかたちでスタートしたいと思っています。

また、プライム市場に求められるサステナビリティの推進についても、マテリアリティを特定したり、ESGに関するデータ開示の充実を図っていきたいと思います。

サステナビリティについて

私どものビジョンは「情報革命で人々を幸せに〜技術の力で、未来をつくる〜」です。その中で、どのようにサステナビリティに貢献していくのかということをまとめた基本方針がご覧のスライドになります。計7つの方針に沿って活動を進めていきたいと思います。

重要課題(マテリアリティ)の特定

その中でも、6つの重要課題(マテリアリティ)を特定しました。

1つ目は、この10年フォーカスして実施してきたクラウド活用の推進です。全世界的にアナウンスがありましたが、オンプレミスにシステムを置くより、Amazonの「AWS」やMicrosoftの「Azure」など、クラウドを活用したほうが電力を削減できます。特に「AWS」は電気の利用量を80パーセント削減できるとアナウンスがありました。クラウドへ移行することによって、温室効果ガスの排出削減に貢献できるため、その推進を図っていきたいと思っています。

2つ目は、DXの推進という中で、お客さまのデータ利活用を通じて本業に貢献していきます。

3つ目は、セキュリティ技術の継続的な強化です。企業や自治体への包括的なセキュリティサービスを継続提供していきたいと思っています。

4つ目は、足掛け8年ほど関わっていますが、農林水産省のデジタル化や農地のナビといった「食」の分野における安全確保に対し、貢献していきたいと思っています。

5つ目は、社会のライフスタイル多様化に向けた貢献です。コロナ禍をきっかけに広まったテレワークも含め、働き方の自由度への貢献を実現していきます。弊社も約75パーセントの社員がテレワークを利用している状況です。

6つ目に、人材資本の拡充と事業創出の仕組みの構築として、積極的な人財採用と併せて教育投資を進めています。

決算サマリ

業績の概況です。決算サマリですが、業績については売上高・営業利益など全指標で過去最高を達成することができました。純利益においては、投資有価証券の売却による特別利益と、次期以降に向けた構造改革のための特別損失を計上しています。

今期へつながる受注の状況ですが、第4四半期としては過去最高の受注高・受注残高で、第4次中計に向かっていけるという状況です。第4次中計の最終年度である2024年度には、営業利益を80億円に持ち上げていきたいと思います。2025年度以降の、来たるべき営業利益100億円台達成へ向けた土台作りを、この3ヶ年で進めていきたいと考えています。

本説明資料に関する前提

本説明資料に関する前提です。2021年度から新収益認識基準を適用しており、今期の売上高は661億円になります。昨年までの過去9年間に旧基準で計上していたECの仕入額を、棒グラフのグレーの部分で示しています。本資料の今期の成長率などに関しては新収益認識基準適用後の、グラフにブルーで示した部分のご説明になりますので、よろしくお願いします。

連結PL(通期累計)

連結のP/Lです。売上高は661億8,300万円で、前年比136億4,900万円増となりました。こちらは新収益基準適用後での対比になります。営業利益は51億5,200万円で、前年比12億9,700万円増となりました。増減率は33.7パーセントのプラスで、経常利益はスライドをご覧のとおりです。

税金等調整前の当期純利益は56億3,300万円で前年比45.2パーセント増となりました。この項目には投資有価証券の売却に伴う一時利益が含まれています。親会社株主に帰属する当期純利益は36億3,000万円で、前年比49.5パーセント増となりました。

会計基準変更の影響(売上高)

売上高のブリッジについてご説明します。昨年度の総売上高704億円から、新収益基準の影響で179億円がマイナスされます。そのため、新収益認識基準の調整後の売上高は525億円です。この数字に昨年第2四半期から連結している子会社の増加分7.9億円、そして増収による128億円が加わり、合わせて661億円となりました。

ソリューション区分別

ソリューション区分別の売上の変化です。スライドの左側のグラフが売上高、右側が限界利益です。売上高はテクニカルソリューションの部分が243億円から292億円と、50億円増えています。クラウドをベースにしたビジネスITとコーポレートITは、240億円から328億円と、88億円の増収となりました。

限界利益に関しても、TSの部分が70億円から80億円、クラウドの部分が96億円から118億円ということで、それぞれ伸びています。

顧客別売上高

顧客別の売上高です。スライド左側の棒グラフの黄色の部分がソフトバンクグループの売上で、246億円から307億円と61億円のプラスです。青色の部分が法人/公共の売上で、258億円から334億円と76億円のプラスになっています。

この3年間、中期計画でフォーカスしてきたクラウドベースのソリューションであるCIT・BITは、ソフトバンクグループにおいて61億円から70億円と9億円のプラス、法人/公共においては179億円から259億円と80億円のプラスで、それぞれ大きく伸長することができました。

また、ソフトバンクグループのTSの部分は、ソフトバンク案件の範囲拡大で大幅な増収となっていることが見てとれるかと思います。

営業利益の増減要因

営業利益の増減要因です。昨年の連結営業利益が38.5億円で、限界利益の増加によって31.2億円のプラスです。内訳はTSが40パーセント、クラウドベースであるBIT/CITが60パーセントです。

マイナス要因は、人件費など固定費の増加で11億4,000万円、損失引当等、大型案件・戦略案件などで5.5億円です。

また、3月18日に起きた自治体セキュリティクラウドにおける配信サーバーの不正利用に対し、インシデントの対応コストとして1.3億円を引き当てています。結果として、営業利益は51.5億円という着地になっています。

税金等調整前当期純利益の増減要因

税金等調整前当期純利益の増減要因です。昨年度の38.8億円に、経常利益の11.5億円、加えて投資有価証券の売却による特別利益の7.8億円がプラスされています。

特別損失の1.8億円については、今期から始まる第4次中期計画に向けた既存のソフトウェアの除却や、コロナ禍による出社人数の減少を受けた拠点の整備を行ったことによるものです。結果として、56.3億円という着地になっています。

【単体】受注高 / 受注残高(ECソリューション除く)

今期の業績見通しで、スライド左側が四半期ごとの受注高の推移です。昨年は490億円だったものが、今期は586億円と96億円増加し、過去最高の年間受注金額となっています。

受注残高に関しては、昨年度末が240億円、今期末は276億円です。276億円のうち7割程度は今期(FY2022)に売上計上する予定です。

第3次中期経営計画での成長

ここからは第4次中期経営計画についてご説明します。まず第3次中計の振り返りですが、売上高は2018年度の333億円から661億円、営業利益も25.1億円から51.5億円と、それぞれ約2倍に成長することができました。

第4次中期経営計画の重点領域①

第4次中計の重点領域を紹介します。冒頭にお伝えしたマテリアリティを踏まえたサステナビリティ活動の推進となるかたちで、スライドに記載した4つの集中領域にリソースを投入していきたいと思います。

まず、ベースとなるのはセキュリティです。マネージドセキュリティサービスや、グループのサイバートラスト社が進めている「iTrust」の認証サービスです。

次に、私どもの得意分野のコミュニケーションインフラ、それからアクセス解析などを含むデジタルマーケティング、この2つのデータ集約・集積・活用といった領域に対して投資をしていきたいと考えています。

第4次中期経営計画の重点領域②

また、第3次中計で進めてきた企業のDX化のフルサポートも重点領域になります。クラウドの導入実績はすでに国内トップクラスですが、今後もサステナビリティのためにますますクラウド利用は進んでいくと思います。すでに実績のあるコンサルティングから実導入、運用までのサポートに加え、その後はマネージドしたサービスで新たな機能を追加していくかたちになります。

もう1点大事なことは、前回のIRのミーティングでもお話しましたが、当社が3年かけてきた農林水産省の電子申請プロジェクトで学んだことです。

農林水産省の部署では3,000を超える種類の申請が紙で行われており、他の省庁にも紙のまま、あるいは新たに専用機によって打ち直されたデータとして流れています。それを一連で流していく電子申請といったクラウドサービスを導入するためには、各申請に定められたさまざまな法律や省令を理解する必要があり、私どものようなSIの会社では大変な時間がかかってしまい、なかなかできることではありません。

このようなことから、基本的な申請のワークフローを作るプラットフォームを用意しました。さまざまな申請書のアプリケーションを作るためのツールで、数多くのフローから申請業務のパターンを選ぶ仕組みです。

なおかつ農林水産省の3,600名の職員の方々に、このツールの使い方や、環境に関する注意点をお教えしました。さらに、申請書には例えばAパターン、Bパターン、Cパターンといった数多くのフローがありますが、そのパターンごとのフローのアプリケーション、つまり申請書の作り方を教育させていただきました。

結果として、職員の方々がご自身で実際のアプリケーションフォームを作り、3,000件以上ある申請のうち、昨年度末までに約2,500件超を捌いたということで、非常に早いスピードでプラットフォーム上での申請フローを実現していただきました。

この実績を背景として、これからDXやクラウドコンピューティングを進めていく中で、あるいはサステナビリティを考えても、このようなアプローチでお客さまをサポートして一緒に仕事を進めていくのが正解なのではないかと思っています。

昭和24年に制定された土地改良法のように、現在まで続いている省令や法律もあります。手続き上は非常に面倒でも、法律に則っているということであれば、私どもは勉強してそのとおりに作るしかありません。

しかし、職員のみなさまであれば、非合理なものはどんどん変えていけます。そのようなお立場であり、変えられる力もお持ちです。そういったコンビネーションが今回うまく組めたのだろうと思います。

このようなサービス的な導入、プラットフォーム的な導入が、今後DXをどんどん進めていく鍵になると思っている次第です。このようなものを推し進められる第4次中期経営計画にしていきたいと考えています。

今後の成長の方向性

今後の成長の方向です。第4次中期経営計画においては先ほどお伝えしたとおり、2024年度の営業利益の目標を80億円と設定しました。その後、第5次になるかと思いますが、その中では売上高1,000億円、営業利益100億円、営業利益率10パーセントという数字をぜひ実現していきたく、第4次はその過程にあると考えています。

ただ、本年度においては、1月のIRミーティングでもご説明しましたが、長期にわたったノートンライフロック社との契約が大きく見直されます。本年度はおそらく4億円程度の営業利益のダウンが見込まれており、51.5億円のスタートラインから約4億円引いたところをベースに、何パーセント伸ばしていくかという検討を行わなければなりません。

その中で、より綿密な2022年度の計画、また先ほどお話しした4つのフォーカス領域や、新しいDXのサービスの提供の仕方について、また生産性の向上についてさらに練り込みを行う時間をいただきたいと思っています。

この4月1日に組織を変更しました。従来は、グループ向けの事業と法人・公共向けの事業とを設定しており、すべてのリソースをそれらの事業部に入れていました。結果として、お客さまの声を直接聞くことができ、営業職と技術職とが同じ目線で考えられたことが非常によかったのではないかと思っています。

一方で、新たなサービスに行き着く「コンピューティングの訪れ」を実現していくために、事業部だけではなかなか厳しいこともわかりました。本年度から、事業部を3つに分けます。グループの事業部、エンタープライズの事業部、公共の事業部ということで、法人と公共を分けて単独の事業部隊とします。

また、セールス&マーケティング本部、セキュリティ&サービス本部、新規事業本部の3つの本部を束ねるサービス統括を、新たに4月から設定しています。

1月のIRの発表以降も、メンバー間でいろいろと検討していましたが、さらに練り込みを行うのに時間が必要と考えています。中期の目標はお話ししましたが、今期具体的にどのような方法を取るかということについては、7月末の第1四半期決算発表の場でご説明する予定です。今期の営業利益目標ならびにアクションプランを、3ヶ月分の手応えも含めて、みなさまにお話ししたいと考えています。

第4次中期経営計画 / FY24 経営指標

繰り返しになりますが、第4次中計においては、営業利益の目標を80億円とします。

営業利益率は現状7パーセント台ですが、9パーセント台を目指します。現状のままで行くと、EC事業における契約変更の影響により営業利益率が1パーセントくらいネガティブな影響が見込まれますが、そこから9パーセント台まで上げていこうと考えています。

さらに、これまでBIT・CITと呼んでいたものを、クラウド・セキュリティ&サービスと一括りにして、今期は328億円だった売上を500億円超まで持っていきたいと考えています。

ご覧の3つを、第4次中期経営計画の経営指標として掲げています。

今後の開示方針について

みなさまからのご指摘が多かった、第3次中計まで使っていた限界利益指標について、「内部のリソースをどこに、どのように使っているかわからない」「他社との比較がしにくい」というご意見があったため、第4次中計からは売上総利益にて開示したいと思います。

セグメントについても、業種およびソリューションをマトリクスで見られるかたちで開示したいと考えています。

株主還元

株主還元です。先期の3月末はプラス10円の増配で、年間配当は50円でした。今期については、上期25円・下期25円の計50円の年間配当を予定しています。

今期は投資有価証券の売却があるため、一時的に27.9パーセントという配当性向になっていますが、その一時的なものを除いて、33.4パーセントのラインで配当性向を出していけるように計画していきたいと思っています。

2022年度から2024年度までの第4次中期経営計画に、全力を注いでまいりたいと思っています。ご清聴ありがとうございました。