会社概要

西尾義隆氏(以下、西尾):みなさま、こんにちは。さくらさくプラス代表の西尾でございます。本日はお忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。資料を元に、順次ご案内させていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、2022年7月期第2四半期決算説明についてご案内します。あらためて、会社概要について簡単にご説明します。当社グループは、2017年8月にさくらさくプラスというホールディングスの会社を設立しています。

現在の従業員は1,635名です。以前は保育所運営を中心としていたのですが、今は子ども・子育て支援事業というかたちで、内容を拡大しながら事業を展開しています。

会社沿革

ホールディングス自体は2017年の設立ですが、当社グループは2009年に会社を設立し、保育事業を展開してきました。2020年の東証マザーズ上場、2021年の子会社化等も含め、事業を拡大しています。

グループ概要

グループの概要について、あらためて全体像をご案内します。事業の中核となるのは、さくらさくみらいが運営している保育所「さくらさくみらい」で、ベトナムの持分法適用関連会社Hana TEDを含めて、保育サービスを展開しています。主に0歳から6歳の子どもたちを対象としたサービスで、これが今、当社グループの中核となっている事業です。

スライド右側には「進学塾運営」と記載していますが、昨年にVAMOSを連結子会社としています。6歳から15歳を対象にした進学塾で、主に中学受験をターゲットにしながら、高校受験も含め、子どもたちに学習の機会を提供する事業を展開しています。今後の展開ですが、我々の中核となる「さくらさくみらい」から顧客を送客していくようなかたちでシナジーを図っていきたいと考えています。

スライド左側には、システムやアプリケーションの開発・運営の「みらいパレット」があります。こちらは、我々が提供している保育サービスと同年齢のお子さまの保護者を対象に事業拡大していこうと検討しています。

また、食育サービスの「みんなのみらい」という事業もスタートしており、子育て家庭を対象とした事業の展開を図っていきたいと考えています。

我々のバックグラウンドである不動産の役務提供についてですが、強みとしている宅建業をうまく活用しながら、不動産の開発事業をさまざまな事業に展開しています。不動産役務を提供している「さくらさくパワーズ」と、持分法適用関連会社の「あかるいみらいアセット」が、不動産全般をサポートしています。我々は今、このような体制で事業を拡大しています。

目指すビジョン

目指すビジョンということで、あらためて示していますが、我々は経営理念を「安全と安心を提供し、自然で和やかな笑いに満ちた温かい育児環境を作り出す」としています。

東京都の認可保育所を事業の中核としてきましたが、基礎となる保育所運営を中心にさらなる拡大を目指し、子ども・子育て支援に領域を拡大しています。地域や社会と子ども、その保護者をつなぐハブ的な位置付けで、さまざまな部分での中心になっていきたいと考えています。

長期ビジョンイメージ

長期ビジョンのイメージですが、過去10年間は創業期ということで、保育所の整備を続けてきました。保育所はこの春に85施設になります。

スライドには転換期と記載していますが、今後は保育所という事業の中核をより拡張させ、さまざまな事業を展開し始めています。

今後の成長により、飛躍期においてより拡張していくというのが、我々の大きなビジョンとなっています。

幼児教育プログラム「CLiP」について

現在は転換期で足元を固めるということで、保育所の利用率のさらなる向上と安定化のための取り組みを進めています。

その1つが幼児教育プログラムです。スライドには「CLiP(Children Learn in Play)」と記載していますが、楽しみながら学べるプログラムの取り組みを進めています。

スライド上部には「子どもの主体性を重んじ」と記載していますが、「学びの基礎に触れる経験」を楽しみながら展開していきたいという思いがあります。

東北大学や千葉大学、関東学院大学の先生方と一緒に「ことば・もじ」「かず・かたち」の分野、そしてさわだスポーツクラブの体を動かすプログラム、また、とにかく楽しみながら学んでいこうという独自のプログラムを展開しています。子どもたちの「なりたいみらい」を実現していこうという取り組みです。

このようなプログラムを取り入れることで、利用者にとって選びやすい園として基礎を作りながら展開しているところです。こちらのプログラムは、今後、外販も考えていきたいと思っています。

東京大学大学院との保育・教育の実践に関する協力研究の進捗

もう1つ、足元を固めていくということで、職員の資質の向上のため、昨年より東京大学大学院との保育・教育の実践に関する共同研究に取り組み、仕込みを進めています。

共同プロジェクトを立ち上げ、第1フェーズから展開しています。現在はちょうど第4フェーズで、研究の取り組みがかたちになってきています。こちらも研修プログラムとして、社内だけでなく社外への展開も図っていきます。

新しい写真サービス「さくらさくフォト」提供開始

みらいパレットで提供している新しいサービスです。今後、順次展開していきますが、「さくらさくフォト」の提供を開始しています。

我々は子どもたちのさまざまなデータ収集ができるのですが、写真データにおいて、子どもたちの様子を収集しやすい環境にあります。

これまでは外注に出していたところもあったのですが、現場に一番近い写真、つまり子どもたちの素の表情を撮れる写真の内製化を図っています。

このほかにも、保育所を起点としたコミュニティアプリの開発や、子どもの個性に応じた成長のための知的アセットの提供を行っていきます。テクノロジーの融合により子育て世帯をサポートし、ICTを使いながら子どもに合った成長のサポートを考えています。

子育て支援新サービスの取り組み

先ほど少しご案内しましたが、進学塾を運営しています。保育園において、つまり送客しやすい環境で進学塾を展開していこうと、3年で10施設の開校を目指していきます。

VAMOSでは、保育所を利用する保護者の方々、つまり共働きで教育熱心な方々に対して手厚いサポートをする進学塾を運営していこうとしています。大手にはない充実したサポートを売りにしながら、拡大しているところです。

もう1つは食育サービス的な部分ですが、みんなのみらいでは子育てカフェ等を運営しつつ、パンを共同開発するベーカリーカフェを展開していこうということで、今準備に入っています。本年度中にまずは1施設をオープンしたいと思っています。

今、保育園ではアレルギーの園児が非常に増えています。そのような園児も対象にしたグルテンフリーのパンや、健康によいパン、低糖質のパンなどを展開しながら、ニーズを拾っていきたいと考えています。

2022年7月期 東京都内保育所と東京・認可比率

あらためての整理になりますが、我々の中核となる事業で足元をしっかりと作り、競争力のある園作りを続けていきます。

この春には85施設となっています。そのような状況の中で、我々が徹底的にこだわって作ってきたのが東京都の認可保育所です。85施設中78施設が東京都の認可保育所となっています。

地図にもプロットされていますが、エリアをかなり絞って事業を展開してきました。地域におけるブランド力の向上が、子育てカフェや進学塾のようなところにも波及していくと考えています。

さくらさくパワーズ ~不動産の「情報力」「企画力」「開発力」 を活かす~

もう1つ、施設を作っていく中で、当社の不動産という強みを最大限に活かした施設作りを行ってきました。

スライド右側に記載のとおり、駅からの距離が非常に近いため利便性が高く、商圏が広がることにより選んでいただく確率を高めていく施設作りを行ってきました。今後の競争力にも非常に優位性があると考えています。

不動産開発力事例

不動産開発事例ということで、東京における施設作りはなかなか容易ではありません。高騰する地価や建築費、また、地域との関わりの難しさなど、さまざまな弊害がありましたが、当社グループの不動産の強みを最大に活用しながら、これまでも開発してきました。

倉庫をリモデリングしたものやサービスオフィス併設の施設、事業法人の遊休地の活用、社宅併設の保育所、借地スキームを活用した施設など、さまざまな不動産の活用を展開し、優位性を図ってきました。

ビジネスモデル

ご質問いただくことが多いため、あらためてビジネスモデルについてご説明します。ホールディングスのさくらさくプラスは、各子会社の経営管理を行って、経営指導料を収受しています。

さくらさくみらいは保育サービスで、スライドに利用者とありますが、行政からの補助金と運営費で賄っています。そのような部分では、非常に安定した事業となっています。

みらいパレットとVAMOSは、利用者にサービスを提供し、利用者から直接、売上を収受していくかたちです。補助金だけに頼らない売上の構築、利益の構築を図っていくというところで付加しています。

さくらさくパワーズに関しては、不動産の仲介・売買・管理・保育園のファンド、ソーシングなどの事業を展開しています。BtoBの事業にはなりますが、ソーシングで収益を確保しています。

当社グループのモデルは運営費が中核にはなりますが、それ以外の収益の構築という部分でうまく配分しています。

業績推移

業績についてあらためてお示ししますが、5期連続増収増益と、売上高も右肩上がりとなっています。

我々が一番注力しているのが営業利益で、昨年は4億6,400万円を捻出しています。今期も、営業利益は増益の予定となっています。

経常利益は右肩上がりで推移しています。今期は少し微減になりますが、当期純利益は蓄積されたものがあり、増収の予定です。

2022年7月期第2四半期サマリ

第2四半期の決算概要です。売上高は前年比27.8パーセント増の55.9億円となっています。これは施設数の増加とともに、園児数も堅調に推移していると捉えていただければと思います。

営業利益も前年比572.6パーセントと大きく増加していますが、効率化を図りながら、ドミナント戦略が功を奏している状況です。経常利益も本年度は黒字化し、1億円の黒字となっています。

2022年7月期第2四半期貸借対照表

B/Sについて簡単にご説明します。資産の部は運営施設数の増加に伴い、未収入金及び有形固定資産が増加しています。また、保育所開設に備えた資金調達に伴い、現金及び預金が増加しています。資産合計は22億円の増加となっています。

負債の部は、この4月に開所予定となる保育所開設準備のための資金調達により、有利子負債が一時的に23億円増加していますが、開園後には解消される予定です。純資産の部は、四半期純利益の計上に伴い、利益剰余金も6,100万円増加しており、経営的にもより安定してきています。

2022年7月期 上半期 トピックス

上半期のトピックスについてあらためてご説明します。本年度より配当を開始しました。少しではありますが、会社として株主のみなさまに還元する姿勢を見せていく、そのスタートと捉えていただければ幸いです。

今年4月から新市場区分がスタートしますが、我々は当面「グロース市場」を選択し、しっかりと成長を進めていきたいと思います。

また、2021年10月に認可保育所を1つ開設しました。さらに、ドミナント政策の1つとして、初のテレビCMをTOKYO MXを中心に開始しており、ブランドの向上を図っていきたいと考えています。

新サービスの取り組みとして、「さくらさくフォト」の提供開始、VAMOSの施設展開、「CLiP」での新しい幼児プログラムの発展など、さまざまな取り組みを行いながら足元を固め、それぞれの方向で事業を拡張し数字を作っていこうと考えています。

2022年7月期業績予想

2022年7月期の業績予想についてご説明します。売上高は、堅調に推移しています。この4月に10施設が開園予定ですが、そちらの入園状況もおおむね予想どおりに進捗しており、売上高の着地は123億5,200万円を予定しています。

営業利益は、前年比26.7パーセント増の5億8,800万円で着地する見込みです。やはり本業での収益率はしっかりと意識していきたいところです。営業利益も増ということで、より効率化を図っている点をご認識いただけると思います。

経常利益はいったん微減となっていますが、先ほどご説明したとおり、当期純利益についてはしっかりと増収を目指していけると考えています。

今期末は保育所数が85施設に増えるため、東京都内での当社の存在感が非常に増すのではないかと考えています。現在の78施設という東京都の認可保育園に関しては、片手に収まる、上位三傑に入ってくる施設数と捉えています。

営業利益推移

過去3年間の営業利益の推移をご覧ください。第2四半期が終わった時点で、8,000万円という数字ではありますが、季節性も勘案しながらしっかりとした数字を出しているのではないかと思っています。

着地の数字に関しても、第2四半期が終わった時点では少ないと見られるかもしれませんが、我々の事業は後半に伸びていく特性があります。2022年7月期第4四半期も、この数字を作っていけると考えています。

2022年7月期 新規開設予定施設

新規開設予定施設をスライドに記載しています。開設予定の11施設はすべて東京都に開設予定の施設です。最寄駅からの所要時間は、荻窪だけが徒歩12分になっていますが、それ以外のエリアは駅から非常に近く、立地のよい場所にあります。また、2023年7月期に開設予定の施設も2つ決まっています。

施設の開設については、各行政はエリアをかなり絞ってきている状況ですが、我々としては、これらの工事も順調に終わり、すでに最終段階で開園準備を待っているところです。以上のように今期は11施設が開設する予定になっています。

市場環境-子育て支援に係る主な国の施策

Appendixとしてトピックスをいくつかお話しさせていただきます。予定より少し後ろ倒しになりますが、2023年に「こども家庭庁」が創設される予定です。これにより、子育て支援に係る施策は、これまで各省庁に分かれていたものが一元化され、情報であったり予算がより子どもに集中すると思います。

少子化の解決は最も重要な国策の1つです。これからは施設を単に作っていくのではなく、子ども1人頭に対する投資額が増えていくと我々は想定しています。そのような意味では、我々の事業は今後も非常に安定的に拡張できると考えていますし、国策を背景に数字をしっかりと作ることができると思います。

市場環境-新子育て安心プランの概要

「新子育て安心プラン」の概要についてです。待機児童自体は減少してきていますが、行政としては現在もさまざまな子育て施策を続けている状況です。

単に就労している方々だけの支援ではなくて、子育てする方全般に対する支援が整っていくものと考えています。当社グループとしてはそれらのサポートができる事業を展開していきたいと思います。

市場環境-保育ニーズは認可保育所へ集中傾向

スライド30ページでは、保育ニーズの推移を示しています。まずスライド左側の表をご覧ください。さまざまな施設の種類がありますが、小規模保育や認可外施設、事業所内保育といった規模が小さな施設は減少傾向にあります。認証保育所の利用者も減っている中で、認可保育所が増加しており、現状は利用者が認可保育所に集中しています。

我々としては、認可保育所の比率が非常に高く、東京に集中している点を強みとし、利用者を確保することでしっかりと足元を固めていけるものと考えています。

スライド右側のグラフは、お子さまがいる家庭の保育所利用申込率で、2021年には51.9パーセントと、2家庭に1家庭は保育所の利用申込をされています。当社のように認可保育所にしぼって運営している事業においては、非常に強みがあることがわかると思います。

コロナ禍でテレワークの推進等がありましたが、利用率については、ご家庭でお子さまを見ながらではなかなか仕事もできないため、保育所に預けてテレワークされる方が大半という状況でした。

事業の内容-運営施設数及び職員数・園児数の推移

これまでの事業施設数と園児数、そして職員数についてです。いずれの数字も堅調に伸びています。我々の事業はストック型のビジネスだと捉えているため、園児数の増加により効率よく事業を進めていけると考えています。

当社のSDGs

最後に、SDGsについて簡単にご説明します。最近は当たり前になっていますが、当社グループにとって、持続可能という部分で必要不可欠な事業だと捉えています。女性活躍推進は我々にとって絶対的な条件で、事業の中核になります。

安心できる施設作りや、女性の社会進出を徹底的にサポートしていくことにより、乳幼児の発達支援ができると考えています。地域も巻き込んだかたちでさまざまな取り組みをしていくことで、子どもや子育てに関する支援事業をまだまだ拡大できると思います。今後もご支援をいただければ幸いです。

資料については以上となります。ご清聴、誠にありがとうございました。

質疑応答:「あかるいみらいアセット」の今後の計画について

司会者:保育園ファンド「あかるいみらいアセット」の今後の計画について教えてください。

西尾:「あかるいみらいアセット」では、昨年、一昨年と、保育園ファンドを立ち上げ事業を進めてきました。春に集中していくということで、3号ファンドも現在は最終段階で、組成予定になっています。今後も保育園ファンドの組成を続けていきたいと思っていますが、まずは昨年、一昨年に続いて今年度も最終段階にあることをご報告します。

質疑応答:同業他社と比較した時の強みについて

司会者:同業他社と比べた時の御社の強みについて教えてください。

西尾:足元では、利用者に選んでいただきやすい施設を作ってきました。特に保育所のニーズが高い東京都で、不動産の強みを活かしながら、利用しやすい施設作りに徹底的に注力してきました。

施設自体は、地域を非常に集中させています。それは、地域ブランドの向上という狙いのもと、他の事業の発展や本部のサポート体制など、従業員の移動の負担を軽減するためでもあります。

無駄なコストを少しでも削減して効率よく事業を進めることで、我々としては筋肉質な経営体質を強みとしてこれまでやってきました。今後の事業拡張についても、このドミナントが必ず活きてくると考えており、この点が非常に強みになってくると思います。

質疑応答:VAMOSの強みについて

司会者:進学塾運営VAMOSの強みを教えてください。

西尾:先ほども少しご説明しましたが、現在、首都圏を中心に中学受験に対するニーズが非常に高くなっています。そのような状況の中で、もちろん偏差値が高い御三家をターゲットにする家庭もありますし、もっと自分らしく自分に合った学校を目指すニーズも強くなっています。

進学塾の学習は多くの時間や労力が必要となります。他の大手では保護者にかかる負担が大きくなりますが、VAMOSは非常に手厚い教育、親身になった接し方で、子どもや保護者のニーズに合った進学を進める取り組みをしています。そのような部分においては、我々の中核となっている保育所事業とのシナジーが非常に強いと考えています。

質疑応答:VAMOSの今後の事業展開について

司会者:VAMOSの今後の事業展開について、もう少し詳しく教えてください。

西尾:テレビドラマの影響により中学受験に対するニーズが非常に高まっている中で、大手では難しいサービス展開があると考えています。我々はフットワークの軽さ、不動産の強み、手厚さを売りにしながら、3年で10施設の開校を目指しています。

質疑応答:「CLiP」について

司会者:「CLiP」についてもう一度教えてください。

西尾:「CLiP」では、現場から吸い上げられた声や、有識者とともに独自の幼児教育プログラムを開発しています。有識者とは、かつて「脳トレ」で話題となった川島教授と同じ班で、東北大学の加齢医学研究所のメンバーです。

言葉や文字といったものの認知プログラムを提供するもので、イメージされるような、並んで座って勉強するものではありません。楽しみながら学んでいく、学ぶことが楽しくなる環境作りが乳幼児期には大切だと考えており、これを徹底的に展開、拡張させています。

そのような部分で子どもたちが活き活き、伸び伸びと学べるため、利用者にも喜んでいただけると考えています。

質疑応答:「CLiP」の対象者について

司会者:冒頭にご説明があったさまざまな教育や運動などは、保育園児も園内で受けられるのですか?

西尾:直前の回答と重複しますが、「CLiP」はすべての園児に提供していきます。子どもたちに合った取り組みを職員がプログラミング化しながら、ニーズにしっかりと合わせていくところです。

これは、子どもの発育を毎日見ている保育士だからこそできると思っています。我々がこのフレームワークを作ることにより、利用者の満足度も高まっていくと考えています。

質疑応答:保育士研修の効果について

司会者:「CLiP」の対象者についての追加の質問になりますが、保育士たちがそれらの研修を受けることにより、ノウハウが保育に反映されているのですか?

西尾:細かいところでは、ドキュメンテーションしたり、取り組みに関してのレポートを作成し保護者と共有したりしています。また、これをアウトプットすることにより、フレームワークがしやすくなり、さらに底上げされ、保育士の質の向上にもつながっていくと考えています。保育士の質の向上により、利用者の満足度を高めるかたちで好循環を図っていきたいと思っています。

当社グループはドミナント戦略の成果もあり、研修には非常に力を入れています。オンラインだけでなく座学での研修も積極的に行っています。日比谷の本社事務所では年間百数十本の研修を開催し、職員のスキルアップを図っています。これは、利用者から選ばれやすい施設作りを目指す取り組みとなります。

質疑応答:経常利益が黒字化した要因について

司会者:第2四半期累計の経常利益が黒字に転換しています。これは開業準備費が少なかった影響でしょうか?

西尾:開業準備費が少なかったことのほか、開園がしっかりとできたこと、営業外収益、そして営業利益も上がったため、このようなかたちの着地になっています。

質疑応答:在宅ワーク拡大の影響について

司会者:在宅ワークの拡大は保育ニーズに影響を与えていますか?

西尾:先ほども少しお伝えしたとおり、地方に転居する方もいましたが、非常に少なく影響は軽微だと考えています。また、テレワークは非常に普及したという肌感覚を持っており、実際に自宅で仕事している方も増えていると見られます。

しかし、多くの方は、東京の住環境において子どもが横にいる状況で仕事することは非常に難しいと感じているようです。やはり、いったん保育所にお子さまを預けた後、自宅に戻りテレワークをする方が大半となっています。

我々が対象としている乳幼児に関しては、親が家にいれば当然甘えてきたり、声をかけてきたりします。

そのような状況の中、オンライン会議を含め仕事することは難しいため、保育所に預ける方が大半でした。そのため、テレワークの推進により、保育所の利用率が低下することには現状なっていません。

質疑応答:コロナ禍の影響について

司会者:コロナ禍の影響はありましたか?

西尾:保育園の運営において、直近でも第6波により休園する状況もありました。しかし、認可保育園は月初の在籍者数に応じて補助額が出る制度のため、休園による業績への影響はありませんでした。

ただし、昨年はコロナ禍による先行き不安から、いわゆる「出産控え」がありました。そのような部分では、この4月以降に若干の出生の遅れが出てくると考えています。しかしながら、今年4月に開園する予定の保育園も含め、当社グループへの影響に関しては、現状では軽微だと考えています。

質疑応答:開設準備費の詳細について

司会者:開設準備費とは具体的にどのような費用ですか?

西尾:保育所開設の準備をする費用、つまり開園までにかかる費用になっています。例えば、建物を作った時に開園前までに要する家賃が含まれます。また、職員を確保するための人件費や広告費、備品などの費用が開園前に重なってきます。

質疑応答:開所から収益最大化までのイメージについて

司会者:スライドで示しているように、保育所は1年目より2年目、3年目と売上高が上がっていき、収益もよくなっていくと考えてよいでしょうか?

西尾:スライド右側の棒グラフをご覧ください。開所した時は0歳、1歳、2歳から利用者が埋まっていき、その人たちが持ち上がって2年目、3年目、4年目、5年目で満所になります。概ね5年をかけて満所になることが一般的なケースとなっています。

例えば、家賃や人件費などは1年目からかかってくるため、当然利用率が上がっていけばいくほど収益性が増していくかたちになっています。そして、売上が伸びてもコストが変わらない状況のため、利益率が高くなっていきます。

当社グループは直近3年、4年で施設を開所したため、2年目、3年目、4年目のステータスである施設が非常に多く、現状の施設だけでも伸びしろがあると捉えていただければと思います。

質疑応答:駅に近い立地のメリットについて

司会者:保育所の立地として駅近であることが強みとのことですが、事業運営において具体的にどのようなメリットがあるのですか?

西尾:利用者の方は、保育所を選ばれる一番のポイントとして利便性のよさを挙げます。そのため、駅に近ければ商圏が広がり、選択肢に入れる利用者が増えることが圧倒的な強みだと思っています。

その中で、ニーズに合った施設作りをしていくことが我々の特徴となっています。また従業員確保の観点では、現在保育業界において保育士の不足が課題となる中、駅に近いことは保育士の確保にも優位に働いています。

朝が早く、寒い時期の通園もありますので、駅に近い立地は職員の確保にもつながっています。

質疑応答:女性の活躍推進について

司会者:女性が従業員全体及び管理職に占める割合を教えてください。また育児休業に対して基本的な考え方についても教えてください。

西尾:現場は95パーセントが女性職員です。本社のスタッフでは女性が60パーセント、男性が40パーセントという比率になっています。また管理職においては、現場の管理者の8割以上が女性となっています。

また、本社に関しても管理者の30パーセント以上が女性となっています。当社グループとしては女性の活躍推進について積極的に取り組んでいます。

質疑応答:SDGsの取り組みについて

司会者:SDGsへの取り組みについてもう少し詳しく教えてください。

西尾:スライドにSDGsのターゲットを記載していますが、ジェンダー平等や働きがいに関しては、施設の開所・運営が女性の活躍推進に大きくつながっています。

スライドに女性の管理職比率の記載がありますが、ジェンダー平等も含めた取り組みが非常に重要な役割を示しています。

また「適切、安全かつ安価な基本サービス」と記載していますが、住みやすく、子どもが生みやすく育てやすい社会環境の中では、保育所は必要なものです。

単に子どもたちを預かるだけではなく、地域や社会との関わりの拠点になる場所ですので、衣食住を保育所や保育支援でサポートしていきます。

スライド右側に取り組みを細かく記載していますが、我々が取り組んでいる事業は全体的によい効果につながっています。また、この教育に関しては、先ほどからご案内しているとおり、新しいスタイルの教育という取り組みをしているところです。

今後の日本を背負う子どもたちを育成するため、しっかりとエビデンスに基づいた教育を図っていきます。また、今後は子どもたちに対しても、SDGsを含め、保育の中で取り組みをしていきたいと考えているところです。

質疑応答:補助金収入の季節変動要因について

司会者:補助金収入は季節性があるように思いますが、年度初めの第3四半期に偏る傾向があるという理解でよろしいですか?

西尾:補助金の種類もいくつかあるのですが、年度の精算でまず3月に補助金が固まってきやすく、運営している保育園の年度精算は3月に行っています。これは当社グループにおいて第3四半期に該当します。

また、施設を開所した時に交付される補助金は、4月開園が多いため第3四半期に集中すると捉えていただければと思います。

質疑応答:ベーカリーカフェの目的と展望について

司会者:ベーカリーカフェを子会社化したとのことですが、目的と展望についてもう少し詳しく教えてください。

西尾:ベーカリーカフェを展開していきながら、ECでのパン販売も行っていきたいと思っています。ベーカリーカフェでは、地域の子どもや保護者が集まれる施設作りを行うことにより子育て支援を推進し、展開していきます。

我々は東京でドミナント戦略を展開していると先ほどお伝えしましたが、ベーカリーカフェもうまく連動させたいと思っています。

また、保育園ではアレルギーのお子さまが非常に増えている状況があります。そのような中、小麦が食べられない子どもたちのため、グルテンフリーのパンや体に優しい低糖質なパンなどを保育園にも提供していきます。

こちらも自園だけでなく、さまざまな保育施設への導入も今後進めていきます。地域と保育園について、ベーカリーカフェを通じて連動させていきたいと思います。

質疑応答:職員研修の概要について

司会者:職員研修の概要について教えてください。

西尾:職員研修については、東京大学との関わりもありますが、園長や主任、1年目、中堅など各階層に分けて行います。毎日の営業があるため、交代で本社に来て研修を受けるかたちで、年間で130本ほど運営しています。各人が概ね3日から5日、年間研修を受けるプログラム構成となっています。

また先ほどからドミナント戦略をお伝えしていますが、園同士でのクロストレーニングや3歳児担当の職員同士の研修などを園で行うこともあり、全体の底上げを図っていけることが当社グループの大きな特徴だと考えています。

質疑応答:認可保育園の利用者増加傾向について

司会者:認可保育園が人気だという状況の背景にはどのようなものがあると考えられますか? また、継続性についてはどのように見ていますか?

西尾:保育事業がなくなるとは思っておらず、認可保育園に集中してくることになると思います。その背景の1点目は、施設の基準が整っていることです。

また、配置や職員の基準も整っています。そのような部分では、まずベースとなる安全管理が非常に徹底しているところが認可保育園の大きな特徴であると思っています。

そして、我々のようにグループで運営していくことで、教育の部分に一層手を掛けたりサービスを向上できるため、認可保育園のニーズが高くなります。

複数の園児が来ることにより、社会的なつながりも図ることができますので、必然的に認可保育園が選ばれやすいかたちになると思います。