本日のテーマ概要
大久保裕行氏(以下、大久保):みなさま、こんにちは。株式会社ダスキンで本社企画グループを担当している取締役の大久保と申します。
当社の会社説明会をご視聴いただき、誠にありがとうございます。私のお話が、みなさまの投資判断のお役に立てればと考えています。そして、みなさまに少しでも当社に興味を持っていただき、当社を応援していただきたいという思いでお話ししていきます。最後までよろしくお願いします。
本日は、スライドに記載の4つのことをお話しします。上から順に、当社について、主な事業内容、中期経営方針、株主還元についてご説明していきます。
大阪市に設立登記
大久保:当社は1963年に創業した、大阪に本社のある会社です。創業者の鈴木清一が「祈りの経営『道と経済の合一』」という経営理念を提唱し、そこに集まった加盟店オーナーと理念を共有する企業です。
「道」というのは人や社会に対する優しさで、変えてはならないものです。一方で「経済」は、商品・サービス・事業の形態のことで、時代に合わせて変えていくべきものだと思っています。
このような考え方は、最近ではCSV経営と呼ばれており、社会的な価値創造と営利企業としての経済活動とを両立させることが、企業の持続的な成長を実現するためには不可欠であるといったものです。当社は創業以来、この経営理念を加盟店とともに共有し、今後の経営者にも継承し続けていきたいと考えています。
「ホームダスキン」レンタル開始
大久保:年配の方ではご存じの方も多いと思うのですが、創業の翌年の1964年に、スライドの画像にある黄色い雑巾を開発し、レンタル事業を始めました。
今から60年近く前に、「雑巾をお貸しして、定期的に交換してお金をいただく」という、当時では考えつかないようなビジネスモデルで事業を展開していました。
フランチャイズ展開開始
大久保:こちらは水を使わずお掃除でき、当時は「魔法のぞうきん」と言われていました。これは雑巾といいますか、布に特殊な吸着剤を含浸し、それによって埃を取っていくものです。
「魔法のぞうきん」を発売し、同時に全国に加盟店を募集しました。その加盟店網は鈴木清一の理念とともに全国に広がり、売上も急拡大しました。この雑巾から始まったモップやマットといったクリーンサービス事業の加盟店は、現在全国に約1,900店舗あります。
1971年には、拡大した加盟店オーナーに対し、次の事業としてプロのお掃除サービスの提案を行い、最近ではエアコンクリーニングなどのサービスを提供する「サービスマスター」を立ち上げました。
その後、フード事業の「ミスタードーナツ」をアメリカから日本に導入し、現在の当社の原型ができあがりました。現在、加盟店舗数については、全事業拠点数が7,353店という規模になっています。
前期実績
大久保:こちらは2021年3月期のお客様売上高、当社の連結売上高、連結営業利益です。フランチャイズチェーン本部である当社の売上のほとんどは、先ほどご説明した加盟店への売上となっています。
一方でお客様売上は、商品やサービスの提供を受けた消費者にお支払いいただく金額のことで、一般的には末端小売価格と呼ばれているようなものになります。市場規模の1つの目安になっており、こちらは3,595億円です。
坂本慎太郎氏(以下、坂本):加盟店の売上が基本になっているということで、大小はあると思いますが、平均でどのくらいの規模なのかを教えていただけますか?
大久保:規模の大きな加盟店で言いますと、月商で3,000万円くらいです。小さなものでは月商100万円から300万円くらいの規模になります。
加盟店の中には上場企業もあるため、月商5,000万円から6,000万円という売上を上げているところもあります。そのような加盟店は、お客さまを比較的「面」で押さえています。一方で、小規模の加盟店は地元のつながり、いわゆる地縁でのお客さまの開拓が中心です。このような大きな規模の加盟店、小さな規模の加盟店を組み合わせることによって、エリアでのマーケティングを行っているかたちになります。
ダスキンの今
大久保:事業構成についてご説明します。セグメントは、訪販グループ、フードグループ、その他の3つに大きく分かれています。
売上の7割を占めているのが訪販グループです。主力のモップやマットのレンタルを行っているクリーンサービス事業、最近需要が非常に高くなっているプロのお掃除などのケアサービス事業が含まれます。
フードグループは売上の2割を占めていますが、ほぼ「ミスタードーナツ」の売上になっています。その他では、スライドにダスキンヘルスケアと記載していますが、これは手術室や手術道具を含めた病院の衛生管理をしているものです。
坂本:訪販グループがかなりの売上を占めていますが、コロナ禍において、フードグループの売上の構成比は変わったのか教えていただけますか?
大久保:フードグループは非常に好調で、構成比についても若干増えています。訪販グループについては、当社はもともとお掃除も含めた衛生管理が中心の事業体ですので、コロナ禍でマイナスになった面もありますが、プラス面も出てきている状況です。
主な事業内容①(訪販)
大久保:主な事業内容についてご説明します。最初に訪販グループです。訪販グループのメインであるクリーンサービス事業は、現在全国に約1,900店の加盟店を展開しています。こちらのサービスの仕組みについては、後ほど少しご説明します。
ケアサービス事業は役務提供サービスということで、人によるサービス提供を行っています。先ほどもお伝えしたとおり、スライド右上に小さくロゴが載っていますが「サービスマスター」というプロのお掃除サービスや、「メリーメイド」という家事代行サービス、害虫駆除のサービスなどがあります。ケアサービス事業は現在、5つの事業で構成されています。
レントオール事業では、イベントの総合サポートと各種用品のレンタルを行っています。ヘルスレント事業は、先ほどお話ししたヘルスケアと名前はよく似ていますが、こちらでは介護用品および福祉用具のレンタルと販売を行っています。この事業は近年、毎年10パーセント程度の成長を遂げています。
坂本:各サービスに加盟店がいらっしゃると思うのですが、1つではなく複数の事業を担う加盟店もあるのでしょうか? 現状について教えていただければと思います。
大久保:特に近年、ケアサービス市場の成長は非常に顕著です。当社としても、クリーンサービス事業でお客さまになっていただいた方に、このようなプロのお掃除のご提供やご紹介を積極的に勧めており、そのようなことを通じて、約1,900拠点の加盟店のうち1,500拠点くらいに兼業していただいている状況です。
坂本:ヘルスレント事業も比較的、クリーンサービスの配送ルートなどに乗りやすそうです。次の仕事の1つとして、このあたりにも興味を持っている加盟店は多いでしょうか?
大久保:おっしゃるとおり、近年はこのヘルスレント事業にも事業加盟するケースが多数あります。
主な事業内容②(訪販)
大久保:クリーンサービス事業の仕組みについてご説明します。当社では、モップやマット商品のことをダストコントロール商品と呼んでいます。洗浄や物流を担う総合工場が全国に45ヶ所あり、こちらで使用済み商品の回収および再生した商品のお届けということで、約1,900店の加盟店に向けて配送を行う仕組みです。
これらの加盟店の訪問販売員が全国におり、家庭用で定期契約しているお客さまが445万件あります。当社の家庭用商品は4週間に1度、定期的に交換する仕組みです。一方、事業所のお客さまは約109万件で、こちらはモップやマットに関して2週間に1度、定期的に交換しています。
先ほどお伝えしたとおり、回収した商品は総合工場で洗浄、再加工され、再度商品化してお届けする仕組みになっています。ダストコントロール商品に関しては、おかげさまで、事業所用、家庭用ともに市場シェア1位を確保しています。
坂本:45ヶ所の総合工場をお持ちということですが、これは全国に点在しているものだと思います。御社の商品は非常に大きいものよりも、運びやすいサイズのものが比較的多いため、工場の数をもう少し減らすと効率がよいのではと思うのですが、いかがでしょうか? 加盟店が全国にいらっしゃることで、利便性を考えて作られているのかなどを含め、45ヶ所に作る意味や戦略を教えていただけたらと思います。
大久保:加盟店の配置そのものが市場規模に合わせたかたちとなっており、それに合わせて工場を配置しています。それにより物流コストを最小限に抑えている次第です。
主な事業内容③(ミスタードーナツ)
大久保:「ミスタードーナツ」は現在、全国に980店舗あります。こちらもそのほとんどはフランチャイズとして事業加盟いただいています。加盟店に対するロイヤリティと商品の原材料売上が、当社の売上になります。
飯村美樹氏(以下、飯村):「ミスタードーナツ」に関連する原料高の影響はいかがでしょうか?
大久保:やはり昨年来、小麦粉やオイルなどが非常に値上がりしています。当社としてもいろいろな内部努力を進めてきたのですが、この3月1日から、1つの商品につき10円ほどの値上げを行いました。
基本方針
大久保:中期経営方針についてご説明します。スライドに記載のとおり、今回は3つのテーマで発表していきます。
テーマ1|事業ポートフォリオの変革①
大久保:1つ目のテーマは、事業ポートフォリオの変革です。訪販グループでは社会課題解決に向けて、3つの領域に注力していきます。
コロナ禍で顕在化した衛生領域とワークライフマネジメント領域で、後者は働く主婦の方に向けたサービス領域です。それに高齢者サポート領域を加えた3つになります。
多様化するお客さまの働き方に寄り添い、暮らしの快適さを追求していきたいということで、衛生領域を中心にワークライフマネジメント、高齢者サポートの領域に今後展開していきたいと考えています。
テーマ1|事業ポートフォリオの変革②
大久保:訪販グループのクリーンサービスを中心とした変革についてです。こちらは情報と流通の変革というものが1つのキーワードとなります。お客さまのニーズの変化に対応した商品サービスの開発から、情報と流通の改革により、訪販グループの成長を目指していくといった考え方です。
後ほどご説明しますが、情報と流通の改革と言うのは、すべてのレンタル商品にRFIDタグというICタグを取り付けることによる洗浄・物流工場の効率化や、それにつながるスマートファクトリー化など、洗浄・物流戦略から効率化を進めていくということです。
併せて、CX(カスタマーエクスペリエンス戦略)に関して、当社は訪問販売を行ってきたことで対面には強いのですが、今後はWeb上の取り組みにもさらに力を入れていきます。
組織戦略については、訪問販売というリアルな接点に関して、この中計の中で新たな営業組織を投入します。これは加盟店も含めてということになりますが、ダスキンの本社が200名ほどの営業専任人材を直接採用し、それを加盟店にも広げていくというかたちです。
拠点戦略については、成長軌道にあるケアサービスの出店強化につなげていこうと考えています。
テーマ1|事業ポートフォリオの変革③
大久保:先ほど3つの領域についてご紹介しましたが、その中でも特に衛生領域の拡大を図っていきます。訪販グループにおける衛生領域の売上構成を、商品だけではなく衛生管理サービスというものも含め、構成比を上げていきます。前期末は30パーセント程度でしたが、当期で42パーセント、2024年までの3年間で55パーセントまで引き上げたいと考えています。
イメージしやすい例としては「イベント衛生サービス」があります。もともと当社は、イベントの企画運営をお手伝いするレントオール事業を手掛けていますが、コロナ禍でイベントがほとんど開催されないため、一時期は前期比70パーセント減少という状況にまでなりました。
衛生に配慮したイベントを再開させるべく、今までのイベントに必要な機材のレンタルに加えて、当社の衛生管理のノウハウを持ち込もうと考え「イベント衛生サービス」というパッケージを作りました。訪販の事業が連携することによって、お客さまへ安心・安全を提供しています。また、新型コロナウイルスのワクチン接種会場では、全国で約1,200ヶ所でのサービスを受注しました。
飯村:やはり御社がサービスを行うということで、安心感がありますよね。
大久保:ありがとうございます。
テーマ1|事業ポートフォリオの変革④
大久保:続いてフードグループについてです。事業ポートフォリオの変革としては、開発戦略、出店戦略、CX戦略の3つが主なテーマです。
ミスタードーナツ 開発戦略①
大久保:ミスタードーナツの開発戦略では、商品力が一番重要なポイントになります。魅力ある商品の開発のカギになるのが、スライド左側の「misdo meets」です。自社の開発力のみに頼らず、最高水準の素材や技術を持つ世界の企業やパティシエと共同開発して、おいしさや驚きをさらに追及していきます。
昨年1月には「ピエール マルコリーニ」の商品を展開しました。また、「祇園辻利」や、最近では「ヴィタメール」との共同開発を行い、お客さまから非常に好評をいただきました。
有名な他企業のキャラクターとのコラボレーションでは、代表的なものとしてポケモンとコラボレーションしており、こちらも非常に好評をいただいています。今回の新たな中計に関しても、さらに魅力ある商品づくりを目指していきたいと考えています。
ミスタードーナツ 開発戦略②
大久保:ミスタードーナツの出店戦略についてご説明します。ミスタードーナツは過去5年くらいまでは非常に苦戦していました。ほとんど利益が出るか出ないかという状況でしたが、ここ2年、3年はかなり収益が向上しています。一番大きな要因が、先ほどご説明した「misdo meets」ですが、店舗数増加も要因のひとつです。今後は、出店数を中計の3年間で約980店舗から1,080店舗と、10パーセント程度増やしていきたいと考えています。
併せてキッチンレス店舗を考えています。ミスタードーナツは店舗の中にドーナツを作るキッチンがあります。2年ほど前からセントラルキッチンを作り、キッチンなしの店舗を出店しています。出店コストも安くなり、都心のお客さまが往来するところにも出店しやすくなりました。
飯村:敷地面積が少し小さくなるだけでもだいぶ出店しやすくなりますね。
坂本:ショッピングセンターでポップアップストアのように商品を詰めて売っている店舗もありますね。
大久保:そうですね。イベントでよく出店しています。
坂本:おそらくどこかの店舗が出店しているかたちだと思います。
大久保:このようなかたちで、今まで出店しにくかった場所にも積極的に展開していこうと考えています。併せてドライブスルーについても検証・展開しています。
飯村:ドライブスルーもよいですね。私は郊外の出身なので、ミスタードーナツはとても身近で大好きなおやつですが、都内でちょこっと食べたいときにこのような店舗があるととてもよいですね。
大久保:まだ新型コロナウイルスの影響もあるため、テイクアウトやできるだけ速やかに受け取りたいというご要望もあったため、このようなかたちでの店舗展開を行っています。
ミスタードーナツ CX戦略
大久保:ミスタードーナツのCX戦略として、ネット予約を開始しました。ネットオーダー売上の比率は、現在は1パーセント程度ですが、3年間で7パーセントを目指しています。
特にポケモンのキャンペーンの際は事前予約が好評でした。5,000円のセットは事前予約というかたちで、非常に好調に推移していたこともあり、商品施策と合わせて展開していきたいと考えています。デリバリーサービスも行っているため、こちらにも注力したいと考えています。
テーマ2|経営基盤の構築
大久保:経営基盤の構築についてご説明します。DX推進は、顧客体験をデジタルの力でよりよいものにするという定義の中で、当社はミスタードーナツにしても訪問販売にしても、お客さまと直接対面ができます。そのような点とDX機能を融合することで、今後一層、お客さまへ役立つことを進めていきたいと考えています。
主力の訪販グループでは、先ほどもお話ししたRFIDタグが基点となります。当社の場合はレンタル商品のため、お届けする際も返却された際も、数を数えることが必要です。そこで、流通している3,100万点のレンタル商品にICタグをすべて取り付け、チップを読み込むことで、省人化や効率化を図りたいと考えています。これにより供給体制の長期的な安定化を図ることが3ヶ年のポイントの1つです。
今はどちらかというと自社で作り上げたオンプレミスという仕組みが多いのですが、デジタル変革に向けて、3年かけてクラウド化に転換していくことを、コストの削減も含めて進めていきます。
テーマ3|社会との共生①
大久保:サステナブルへの取り組みについてです。すでにご説明したように、モップやマットのレンタルは創業時からの仕組みとして、使い捨てではない循環型のシステムになっています。
お客さまから商品を100パーセント回収し、97パーセントは再製品化します。レンタルを終えたもの、使用済みのものを回収して再加工し、またお客さまにお届けするというかたちです。
通常用途では使用が難しくなった商品に関しても、工場などでの産業用として使えるように再加工して使用しています。さらに、それらでも役割を終えた商品に関しては、セメント工場で焼却してセメントの原材料にしています。
テーマ3|社会との共生②
大久保:中計では環境改善の向上を目指して、昨年提供した「ダスキン環境目標2030」の達成に向けての取り組みも進めています。循環型社会づくりへの貢献として、食品ロス、廃棄率、石油資源由来のプラスチック削減目標を定めています。
また、気候変動についても、再生可能エネルギーの利用拡大を目指して、利用率を50パーセントに設定しています。CO2についても46パーセント削減という目標を2030年に向けて掲げています。
2030年、2050年の未来に向けた取り組みは企業の責任にもなるため、自らの企業活動の中で定めた目標を実行していきます。
数値目標 (連結売上・営業利益推移)
大久保:「中期経営方針2022」の数値目標についてです。ご説明した取り組みにより、連結売上高1,830億円、営業利益は120億円を目指します。
スライドのグラフをご覧のとおり、2011年以降で最も高い目標を置いています。チャレンジングな目標かもしれませんが、前中計を含めて基盤作りができつつあるため、加盟店も含めて全社一丸となって目標を達成していきたいと考えています。
坂本:業績について伺います。お話にあったとおり、今期は増収増益を予想されています。こちらの背景として、フードグループは調子がよいというお話でしたが、訪販グループについても同様に伸びているのでしょうか?
大久保:訪問販売は、一時期は緊急事態宣言などで、特に事業所のお客さまがお店を閉めてしまったため、正直なところその影響がありました。しかし、反対に衛生管理への注力が非常に高まったため、訪販も例年に比べると成長しています。
坂本:利益については、コロナ禍前より伸びていますが、何か施策があったのでしょうか?
大久保:この利益の一番の要因はミスタードーナツです。
坂本:なるほど。フードグループのほうで利益が出たということですね。
大久保:そうですね。従来のドーナツはだいたい平均単価が110円や130円くらいでした。対して、「misdo meets」は、1つの商品の単価が230円くらいになります。
飯村:おいしそうでしたね。
坂本:毎回食べていますが本当においしいです。
大久保:ありがとうございます。商品自体も、従来はおやつという感覚がありましたが、「misdo meets」はスイーツという位置づけになります。
今までは夕方3時ぐらいまでがピークでしたが、夜も購入される方が増えてきたことで、食後のスイーツのイメージでご利用いただいているのだと思います。そのようなところでミスタードーナツが非常に今、収益改善しています。
坂本:240円といってもコンビニのスイーツと比べるとまだ安いですし、クオリティが高いですので売れるのもわかりますね。
大久保:昨年の「ピエール マルコリーニ」のドーナツは、お店に並んで購入していただきましたが、今年の「ヴィタメール」の商品は予約システムなどを入れたことで事前予約ができるため、わざわざお店に並ばなくても購入できるかたちになりました。
坂本:なるほど、ロスもなくなるわけですね。
【参考①】セグメント別 数値目標
坂本:中計についておうかがいしたいのですが、中計最終年度が2025年3月期になっていますが、訪販グループとフードグループは、それぞれどのくらいの割合で伸びていくとお考えでしょうか? ざっくりでよいので教えていただければと思います。
大久保:フードグループは約20パーセント、訪販グループも12パーセント程度の伸びを計画しています。特にフードグループはすでに成長軌道に乗っているため、さらにブラッシュアップしていきながらというところだと思っています。
坂本:M&Aは計画の中に入っていないということですので、これはオーガニックな成長というところですね。
大久保:おっしゃるとおりです。
数値目標(ROEの推移)
大久保:当社の1つの課題となっているのがROEです。今期は4.8パーセント程度の見込みですが、3年後には6パーセント以上を目指していきたいと思っています。
安定した企業運営ということもあり、自己資本比率はある程度維持しながら、資本効率を高めるといったところで、この中計ではM&Aを含めた成長投資枠も490億円くらい設けました。ROEの6パーセントの中にそのことは入っていませんが、その成長投資も含め、さらに6パーセント以上を目指していきたいと考えています。
株主還元①(配当)
大久保:最後に株主還元についてです。配当と配当性向、総還元性向などについてですが、これまでは基本的に安定配当の観点から、年間40円という配当を継続してきました。
2020年3月期より配当方針を変更し、連結配当性向50パーセント、かつ安定的な現金配当を実施しています。この方針にしたがって、当期は配当73円の予想で、2011年以来、最高の配当になっています。
スライドの折れ線グラフは総還元性向を示しています。この2年間は新型コロナウイルスの影響もあり、加盟店の経営の下支えも想定されたため、内部留保というところで自社株買いは控えていました。これまでほぼ100パーセントを超える年度が続いておりますので、株主のみなさまにもできる限り配当および自社株買いなどで還元させていただければと考えています。
株主還元②(優待制度)
大久保:優待制度のご報告です。株主のみなさまに当社の商品サービスをご利用していただきたいという観点から、9月末と3月末に株主優待をご用意させていただいています。100株以上300株未満で1,000円分のご優待券、300株以上で2,000円分のご優待券を、それぞれ年2回お送りしています。また、3年以上、長期保有していただいている株主のみなさまには、さらにご優待券500円分を追加でお送りしています。
この優待券はモスバーガーでもご利用いただけるため、株主のみなさまからもご好評いただいています。単に株主ということだけではなく、株主のみなさまにはできる限り当社のファンになっていただければと考えています。
ちなみに、利回りは2.64パーセントで、さらに100株以上お持ちの株主のみなさまには3.36パーセントというのが、直近の株価からの利回りとなっています。
以上、私からご説明させていただきました。
質疑応答:海外展開について
飯村:「海外展開についてはいかがですか?」という質問がきています。
坂本:確かアジアには進出されていますよね?
大久保:はい、おっしゃるとおりです。
飯村:「その他の地域への進出は検討されていますか?」というご質問がありました。
大久保:訪販グループのほうは、すでに中国の上海と台湾に合弁会社を作って展開しています。また、ミスタードーナツも台湾などで展開しています。それ以外に、タイ、フィリピン、インドネシアに関してはマスターフランチャイズ契約ということで、現地の提携先にライセンスをお渡しして、ノウハウを提供するとともにロイヤリティをいただくというかたちです。
今、当社は東南アジア、中国を中心にさらに展開を進めていこうとしており、マレーシアの「ビッグアップル」というドーナツブランドを展開する会社もM&Aで取得しました。また、東南アジアでは「ハラル」という食に関する考え方もありますので、この「ハラル」も意識した上でドーナツを展開していきたいと考えています。
質疑応答:事業ポートフォリオの再構築について
坂本:参考資料32ページの事業ポートフォリオの再構築についてもう少しお話しいただけると、投資家の方も中計の最終年度までの成長がイメージできるかと思います。成長にかける予算はかなりの額を確保されていると思うのですが、やはりみなさまがお聞きしたいのは、どのように投資していくかだと思います。
当然、内部の投資は必要だとは思っており、先ほどのご説明の中でも訪販グループの工場の効率化にRFIDタグを使うなど、いろいろとお聞きしましたが、それ以外についても、経費的なものを含むとなっていますが、他企業への出資という部分が200億円とあります。
フードグループと訪販グループの両方にあると思うのですが、どのような使い方をお考えでしょうか? もちろん案件ごとに違うというのは、ある程度わかっているのですが、方向性のようなものを教えていただけるとイメージがわくと思いますので、そのあたりを教えていただければと思います。
大久保:フードグループは、やはりミスタードーナツ中心になっているため、新業態への投資を1つの使い方として考えています。訪販グループのほうは、少しご説明しましたが、ワークライフマネジメント領域と高齢者サポート領域にM&Aを考えています。
一方で、バリューチェーンの強化もありますので、そちらのほうを含めて、今は200億円と記載していますが、これは1つの目安で、必要なものがあればさらに出資させていただくということを考えています。
坂本:確かに、ヘルスレントの部分が一番伸び盛りだというお話をうかがったのですが、ここはもうすでに行っている会社がありますので、おそらくM&Aの規模が出てくるとは思っています。そこはかなり利益率の向上につながると思っていますが、そのあたりも含めてということですね。
大久保:はい、おっしゃるとおりです。
質疑応答:配当政策について
坂本:配当政策についておうかがいします。40円配当からいきなり73円予想とされている理由としては、スライド26ページに記載のROEの向上も含めて、資本をある程度維持しつつ、株主還元はしっかりしていきますというイメージですよね。来年以降もこのくらいの配当性向で実施するというイメージでよいでしょうか?
大久保:そうですね。基本的には50パーセントの配当性向というところです。当期は先ほどのミスタードーナツの好調も踏まえて、開示している当期純利益の50パーセントということで、73円と予想しています。
ちなみに、前期は新型コロナウイルスの影響で非常に厳しい決算でしたが、そのような状態でもやはり安定的な配当ということで、40円配当とさせていただきました。今後も安定的な配当をベースにしていきながら、当期純利益の向上に合わせて配当させていただくことになると思っています。
坂本:ありがとうございます。前期も苦しいといえども、加盟店のサポートなどをされていてあの収益ですので、確かにそれがなくなると、この配当額も納得かもしれません。やはり収益が一番強いなと思いながらいつも見ています。
大久保:ミスタードーナツの店舗には、カフェテリアタイプの店舗がけっこうあります。お客さまがご自身でドーナツを取っていただくタイプです。
坂本:確か前回お話しいただきました。御社の費用でショーケースにカバーをつけられたのですよね?
大久保:そのとおりです。昨年、すべて本社の費用でアクリルケースを設置しました。安全性という部分ではお客さまにもご好評をいただいています。ミスタードーナツの業績回復には、そのようなことも少しつながっているのではないかと思っています。
質疑応答:優待券がモスバーガーで利用できることについて
飯村:「優待券がモスバーガーでも利用できるのはなぜですか?」というご質問が来ています。
大久保:当社とモスバーガーは業務提携を結んでいます。今は新型コロナウイルスの関係で大きな進展はないのですが、共同で「モスド」という業態を展開しています。モスバーガーの「モス」と、ミスタードーナツの「ド」です。
飯村:ハンバーガーをドーナツで挟むなどといったことでしょうか?
大久保:いえいえ、ハンバーガーはお昼に食べていただいて、おやつにドーナツを食べていただくという、1つの店舗で両方のメニューを提供しています。
質疑応答:スイーツコラボについて
坂本:「御社のフードグループの牽引になっている高級チョコレートブランドなどとのスイーツコラボについてですが、このコラボは御社のほうからアプローチするのでしょうか? それともコラボ相手の企業からお話をいただくのでしょうか?」というご質問です。案件によって違うとは思うのですが、どのようなかたちで提携されているのかを教えてください。
大久保:当初は、当社からいろいろとアプローチさせていただいていました。ただし、ここ1年、2年は先方のほうからお声がけいただくケースも増えてきています。
坂本:そうすると定期的に開催できるという強みもありますよね。いろいろなフェアなどを実施している小売店も多いですし、来店頻度にも影響がありそうですね。
大久保:はい、先方にも利点があると思います。例えば、「ヴィタメール」とのコラボにしても、「ヴィタメール」自身のPRにもつながったということで、高評価をいただいている部分があります。「ヴィタメール」は店舗数がそれほど多くないため、やはり店舗の展開という意味では非常に大きなPRになったようです。
坂本:知名度は高まりますよね。
飯村:百貨店にスイーツを買いに行くとなると、ミスタードーナツのような身近さはないですよね。
大久保:そうですね。
坂本:そこからまた定番商品が生まれるとなるとよいですね。
飯村:『ポケットモンスター』とのコラボに関しては、「Twitter」や「Instagram」でもかなり情報が流れてきています。
大久保:おかげさまで、ありがとうございます。
質疑応答:売却予定の金融資産について
坂本:ROEの話だと思うのですが、「売却予定の金融資産はあるのですか? もしあるのであれば、どのような種類のものがあるのでしょうか?」というご質問です。金融資産というのは資産全体ですね。おそらく効率化をするためだと思うのですが、検討されていたら教えてください。
大久保:資産の活用に関しては、先ほどの490億円の成長投資とのバランスを見ながら有価証券、現金などの資産を圧縮していきながら、事業資産を膨らませていくというかたちで考えています。そのあたりはケースバイケースで、状況に合わせて行っていきます。
大久保氏からのご挨拶
飯村:最後に、ご覧になっているみなさまにメッセージなどありましたら、お願いします。
大久保:本日はご視聴いただきまして、ありがとうございます。当社は創業来、お客さまとともに歩んできた企業です。当社の株主になっていただくことで、今後も当社を応援していただければと考えております。ぜひよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。