2021年12月期決算説明
秋山弘明氏:みなさま、こんにちは。株式会社船場執行役員の秋山でございます。当社の2021年12月期の決算説明をご視聴いただき、ありがとうございます。
本日は、私から2021年12月期決算の状況および2022年12月期の業績見通しをご説明します。その後、2021年の実績のご紹介、そして、本年度からスタートした中期経営計画について、弊社代表取締役の八嶋よりご説明します。
2021年12月期連結決算の状況(連結損益計算書)
はじめに、2021年12月期決算の状況です。こちらは、2021年12月期の損益計算書になります。売上高は、新型コロナウイルス感染症の影響で、お客さまの投資抑制・計画延期が続いたことなどにより、前期比88パーセントの192億7,000万円と、残念ながら減収となりました。
売上総利益、営業利益、経常利益は、継続的な工事原価低減への取り組み、DX推進による業務の効率化および改善、経費削減なども含めた生産性向上に取り組んだ結果、増益となりました。営業利益は、前期比121パーセントの4億6,300万円を計上できました。
2021年12月期連結決算の状況(連結売上高:地域別)
地域別の売上高を見ると、海外では、東南アジアでの感染症対策による経済活動抑制の影響もありましたが、経済活動が回復傾向にある中国では大型案件などに関与できたこともあり、売上高は前期比139パーセントの29億円を計上しています。これは、全体構成比で15パーセントになります。
一方、国内では、飲食関連の業態転換などの改装需要や、当社が近年注力分野として継続して挑戦してきたオフィスおよび公共施設などの非商業案件に多く携わりました。しかし、経済活動の停滞による投資抑制や、競合環境激化による獲得案件の減少などにより、売上高は前期比83パーセントの163億700万円となりました。
2021年12月期連結決算の状況(売上高:海外連結子会社)
海外の地域別の状況です。東南アジア各国は新型コロナウイルス感染症の影響により苦戦しましたが、台湾は14億円、上海は9億円と、日系企業の開発案件に多く関与し、大きく伸ばすことができています。
2021年12月期連結決算の状況(連結売上高:市場分野別)
市場分野別の売上高ですが、専門店分野の落ち込みが大きく、前期比77パーセントの70億円となりました。一方、当社が注力分野として取り組んでいるオフィス、医療機関、教育機関などの非商業分野は増加傾向が続いており、前期比106パーセントの42億円となりました。この注力分野の全体構成比は22パーセントで、毎年拡大しています。
2021年12月期連結決算の状況(連結貸借対照表)
2021年12月期末の貸借対照表です。流動資産は、前期末と比較し16億5,900万円の増加、固定資産は1億9,700万円の減少となりました。総資産は、前期末と比較すると14億6,200万円増加し、168億500万円となりました。
流動負債は、前期末と比較し14億600万円の増加、固定負債は2億7,500万円の減少となりました。負債合計は、前期末と比較すると11億3,100万円増加し、59億4,400万円となりました。
純資産は、前期末と比較すると3億3,000万円増加し、108億6,000万円となりました。自己資本比率は65パーセントになります。
2021年12月期連結決算の状況(連結キャッシュ・フロー)
キャッシュ・フローの状況です。営業活動によって得られたキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上などにより5億3,600万円でした。投資活動によって得られたキャッシュ・フローは、敷金および保証金の回収などにより1,600万円となりました。
財務活動によって使用したキャッシュ・フローは、配当金の支払などにより1億9,200万円でした。現金および現金同等物は、前期末から4億3,800万円増加し、期末残高は86億5,600万円となりました。
2021年12月期連結決算の状況(受注残高)
2021年12月期期末受注残高は、53億2,000万円です。前期末と比較し22億円ほど増加しています。
すべての市場分野において、前期末より積み増しできていますが、特に非商業領域の注力分野で多く受注残高を確保できています。
2021年12月期連結決算の状況(配当金)
2021年12月期の配当金については、1株当たり25円としています。厳しい事業環境ではありましたが、営業利益ベースで増益を確保することができたため、前期から5円増配としています。
以上が、2021年12月期決算状況のご説明になります。
2022年12月期の見通し
2022年12月期の業績見通しについてご説明します。進行中の2022年12月期は、いまだに新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない不透明な状況ですが、延期されていた投資計画なども再開し、経済活動も徐々に活性化していくものと想定しています。
2022年12月期は、売上高230億円、営業利益6億円、純利益4億円を目標としています。売上高は前期比約20パーセントアップ、各利益は前期比約30パーセントアップを目指していきます。
後ほどご説明する中期経営計画の方針の下、各戦略を推進し目標達成に邁進していきます。
配当計画①
配当金についてです。先ほどお伝えした業績目標を着実に達成し、前期から5円増配の1株当たり30円を予定しています。
以上、2022年12月期業績見通しのご説明となります。
2021年実績紹介
八嶋大輔氏:みなさま、大変お世話になっております。代表取締役社長の八嶋でございます。私からは昨年度の当社案件の実績のご紹介、そして、本年から始まっている中期経営計画のご説明をさせていただきます。
専門店 ピエトロ本店 セントラーレ:2021年7月オープン
こちらの物件は、福岡県にあるピエトロの本店です。場所は繁華街・天神で、エントランスの前に大きな庭を作り、非常に静かな落ち着いたお店になりました。最近は、このように自然と一体化した店舗を作ることが多くなっています。
専門店 LUMINE AGRI SHOP NEWoMan新宿店:2021年9月オープン
新宿駅の「NEWoMan(ニューマン)」の中にありますが、「NEWoMan」を手がけるルミネは、農園を運営しており、「LUMINE AGRI SHOP」という市場(イチバ)感覚の店舗を出しています。もともとは期間限定で展開していましたが、2021年9月から常設店としてリニューアルオープンしました。
大型店・複合商業施設 Iias(イーアス)春日井:2021年10月オープン
「Iias(イーアス)春日井」は、2021年秋にオープンした春日井市のショッピングセンターです。施設全体でSDGsをテーマに、天井に巨大なファンを設置し、エネルギーの効率的な利用、そして、高齢者や障がい者のユニバーサルデザインを取り入れて設計しました。
企業改革の重要テーマ エシカルとデジタル
当社はここ2年間のコロナ禍で苦しむ中、新しい時代への適応が大切だと考え、エシカルとデジタルをテーマに企業改革に取り組みました。これは「働き方や考え方を変革しちゃおう」というものです。
後ほどお話しする中期経営計画は、まさにこの考え方を基本としていますので、ここでは昨年度のエシカルとデジタルの実績をご披露します。
エシカル 日本空間デザイン賞2021 / サスティナブル空間賞 受賞
まず、当社の本社オフィスをリニューアルしました。テレワークの導入により出社する社員数が減ったため、借りていた2フロアをワンフロアに集約しました。これは、家賃の削減とコミュニケーションの活性化という一石二鳥を狙ったものです。
その際に余った事務机や使用済みの建材サンプルといった大量の廃棄物を、社員が自分たちの手でできるだけ再利用してみたところ、これまでにない新しい感覚のオフィスができました。これが話題となり、多くの方がご視察に来たり、賞をいただいたりしています。
エシカル 老朽化した校舎のリニューアルプロジェクト
生徒数の減少と、老朽化した校舎は日本の学校が抱える深刻な問題です。当社では毎年、「教育総合展」に出展し、先生方や生徒の声を反映しながら新しい学び舎の姿をデザインしています。
デジタル 総務省より「テレワーク先駆者百選」に選定
当社では、パンデミックに先駆けてテレワークの導入を始めていたため、政府や東京都よりモデル企業に選定され、2021年には総務省から「テレワーク先駆者百選」として認定を受けました。
デジタル 新宿東口献血ルーム:2021年12月オープン
こちらの物件は、昨年末にオープンした新宿東口の日本最大級の献血ルームです。これに関わるデザイン作成をBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)という新しいテクノロジーを使って作成しましたので、みなさまには短い動画をご覧になっていただきます。
こちらの動画は、当社が設計段階においてBIMで作成したものです。私から見ても、現在完成した献血ルームを実写化したものと、ほとんど変わらないと思います。関係者が図面だけではなく、リアルな情報を共有しながら打ち合わせを進められることで、はるかに便利になりました。
企業理念/経営方針
中期経営計画についてご説明します。今回の中計策定に先立ち、企業理念のサクセスパートナーをベースに、当社のミッション、ビジョン、バリューを言葉で表してみました。 まずはミッションです。当社が仕事を通じて社会で実現したいことを考え、「未来にやさしい空間を」としました。
これまでは、利便性や効率を優先したデザイン、見た目のよいデザインなどを提案してきました。しかし、サステナビリティを意識した消費者が増えていく中、それだけでなく、地球に負荷をかけないという本質的な価値こそが問われる時代となってきています。
当社も社員一同、10年後、そして20年後を見据え、「未来にやさしい空間を」残せるように取り組んでいきます。
ビジョンは、ミッションを実現した時の当社の姿と捉えて「GOOD ETHICAL COMPANY」としました。よりよい会社を目指すビジョンですが、社内での理解は「気のあうエシカルな仲間たち」になろうというイメージです。
当社がよく発信する「エシカル」という言葉は、サステナブルやエコロジカルといった意味合いで使用していますが、我々の思いに最もフィットするのは「おもいやる」という言葉です。利他の心を大切にし、ステークホルダーのみなさまに愛される会社となるよう努力していきます。
行動指針
最後にバリューです。当社社員がこれまで拠り所として励んできた5つの行動指針を再度見直しましたが、まったく色あせることなく、むしろ変えるわけにはいかないと思いました。
これからもこれらの価値観を大切にしながら、「未来にやさしい空間を」つくる、「GOOD ETHICAL COMPANY」を目指し、企業価値向上に邁進します。
スローガン
ここからは「中期経営計画2024」のご説明となります。スローガンは「Make a New Wave! 新しい波を起こせ!」です。業界の中でも先鋭的で特異な存在となるよう、ブルーオーシャンを追求していきます。
戦略
戦略は大きく4つです。エシカルとデジタルの実装、新たな市場の開拓、海外事業戦略として「SEMBA One Asia」、そして、人事戦略として変化を支えるダイバーシティ戦略です。
エシカルの実装 GOOD ETHICAL COMPANY へ①
まずは、エシカルの実装についてです。空間の「再生」と「継承」をテーマとして、船場では6つの「RE」、すなわち「リターン、リユース、リサイクル、リセレクト、リデザイン、リノベーション」のそれぞれにおいて事業サービスを考えています。3年のうちに、当社設計施工案件から出る廃棄物のリサイクル率を90パーセント以上にすることを目指しています。
エシカルの実装 GOOD ETHICAL COMPANY へ②
エシカルの実装の2つ目は、内装材を再生材や天然由来のサステナブルなものに置き換えていくことです。当社独自の基準でエシカルな素材を厳選し、ネット上で共有して社会への流通を促進していきます。今後の3年間で、当社設計施工案件においてエシカルマテリアル使用率を90パーセント以上に高めていきます。
エシカルの実装 GOOD ETHICAL COMPANY へ③
さらに環境への貢献の見える化のために、温室効果ガス排出削減目標の国際認定であるSBT認定を、2024年度中に取得したいと考えています。数年のうちに、SBTを取っていない会社は企業活動が大きく制限される時代になる可能性もあると考えているためです。
デジタルの実装 1 2 の D X 戦 略
デジタルの実装について、当社はすでに12のDX戦略を持ってデジタルトランスフォーメーションに取り組んでいます。その中で鍵となる技術が、BIMです。
デジタルの実装 BIM
BIMは、現在設計の主流となっている3次元 CADよりも圧倒的に情報量が多く、時間軸も備えているため、スライドのように循環型の新しいワークフローを作ることができます。
当社設計者の70パーセントにあたる100名以上がBIMを扱えるように目下訓練中です。3年以内に内装業におけるBIM先駆企業となるのが目標です。
デジタルの実装 VR/AR
また店舗デザインなどをBIMで設計することにより、VRやARへの展開が容易となり、クライアントとともに新しいビジネスに発展させることができると考えています。
新たな市場の開拓
エシカルとデジタルの実装が進むことにより、新たな市場の開拓が可能になります。まず加速させたいのは、オフィスや教育施設、そして、ウェルビーイングなど健康関連の空間です。このような施設は、サステナビリティへの関心度が高く、当社ビジネスにおける比重は大きくなると予測しています。
また、企業のエシカルコンサルティングなど問題解決型のビジネスや、最近、意匠登録が可能となった、内装デザインを知的財産として活用する知財ビジネスなどに取り組んでいきます。
さらに、廃棄物のマネジメントや、遊休地・ビル再生事業など、いろいろな新しい業態にチャレンジします。
SEMBA One Asia(海外事業戦略)
海外事業戦略においては、「SEMBA One Asia」と名付けました。各国に分かれている現地法人を、海外統括本部を設置して統括経営することにより、経営資源を最大限に活用しつつ、これによってビジネススケールの拡大に対応する方針です。将来は、アジアを超えてビジネスを世界に広げていきたいと願っています。
SEMBA One Asia(海外事業戦略)Target
成長率の高い東南アジアのマーケットを中心に売上を伸ばし、2024年度には売上50億円を超える計画で、海外事業を当社グループの成長エンジンと位置付けています。
変化を支えるダイバーシティ戦略
最後に、私が最も大切だと考えている人事戦略においては、両面のダイバーシティ(多様性)を重視します。まずは多様な人財を集め、会社としてのダイバーシティで新しいアイデアや知を追求する環境を作ります。海外事業比率の高い当社ならではの多様性もあると思います。
このようなインクルージョンの企業文化の下、社員には個が輝き高め合う一人ひとりのダイバーシティを大切に成長してもらいたいと考えています。これにより、当社社員が顧客から愛され、当社グループが社会から期待されるような経営を目指していきます。
業績目標
続いて業績目標です。2年に及ぶコロナ禍でセットバックした業績を、今年から少しずつ回復させていきたいと考えています。本年度は売上230億円、来年度は250億、そして2024年度は280億円を目標とします。2024年度の営業利益は11億円を目標とします。
配当計画②
それに伴い株主還元として、1年1年着実に増配を継続したいと思います。2024年度には、過去最高となる46円配当を計画しています。
以上が、株式会社船場の中期経営計画2024となります。みなさま、ご清聴ありがとうございました。