ビジョン・ミッション

重松大輔氏(以下、重松):スペースマーケット代表取締役社長の重松です。本日はIRセミナーとして、2月14日に開催いたしました、2021年12月期決算説明会の資料を用いて説明を始めさせていただきます。

当社はビジョン・ミッションの2つを大切にしており、ビジョンに「チャレンジを生み出し、世の中を面白くする」、ミッションに「スペースシェアをあたりまえに」を掲げ、実現に向けて会社経営を行っています。

スペースシェアをあたりまえの選択肢にすることで、人々の発想を広げ、多様なチャレンジを生み出して、世の中を面白くしたいと考えています。

事業の全体像

当社の事業はこのような構成になっており、スペースマーケット事業として、シェアリングエコノミープラットフォームの運営、シェアスペース運営サポート、法人向けソリューションの3つがあります。シェアスペース運営サポートは、第3四半期よりグループ参画したスペースモール社のサービスです。

プラットフォームの紹介

事業についてご説明します。まず1つ目のシェアリングエコノミープラットフォームの運営ですが、あらゆるスペースを15分単位で貸し借りできる「SPACEMARKET」を運営しています。

プラットフォームの掲載数は、2022年1月末で1万8,327件と、さまざまなスペースが貸し借りされているプラットフォームです。

プラットフォームの構造

こちらのプラットフォームは、スペースを借りたいゲストとスペースを貸したいホストをマッチングさせて、成果報酬で双方から手数料をいただいています。手数料は、ゲストからスペース利用料の5パーセント、ホストからスペース利用料の30パーセントをいただきます。

プラットフォームの掲載スペース

掲載スペースの一例をご紹介します。本当に多種多様なスペースが、全国47都道府県にあります。皆さんのご近所にも必ずあると思います。

会議室や一般住宅、飲食店、スポーツ施設、廃校、お城、無人島など、今まで借りる機会がなかったユニークなスペースも存在するのが特徴です。ぜひこの機会にアプリをダウンロードしていただき、みなさまのご近所のスペースで探してみていただければと思います。

プラットフォームの利用用途

利用用途の一例です。さまざまなスペースが登録され、多くの用途に利用されています。日々、「多様なスペース×多様な用途」で、新しい「場所での体験」が生まれています。

シェアスペース運営サポートの紹介

シェアスペース運営サポートについてご説明します。本サービスは、第3四半期よりグループ参画したスペースモール社のサービスで、不動産の収益化を行いたい物件オーナーに対し、シェアスペースの運営サポートを行っています。

スペース企画開発は、シェアスペースに適した内装の整備を行ったり、プラットフォームへ掲載することで、物件をシェアスペースとして貸し出せる状態にするサービスです。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):このサービスを使いたい人がいたら、フランチャイズのようなかたちでできるということですか?

重松:おっしゃるとおりです。こちらをご覧いただいている方は多いと思われるため、物件をお持ちの方はぜひご連絡いただきたく思います。

スペース運営代行は、予約時・貸出時の対応や備品補充など、物件オーナーに代わってスペースを運営するサービスで、現在150件のスペースを物件オーナーに代わって運営しています。

月10万円で借りた物件などを時間貸しにすると、20万円や30万円になります。繁忙期などのタイミングであれば、もっと工夫すれば50万円、60万円上がってくる物件も多数あるため、不動産運用としては非常に可能性を秘めた領域だと思っています。

坂本:パーティーなど特殊な使い方をする方もいらっしゃると思います。僕は事務所も自宅もタワーマンションなのですが、パーティールームが必ず埋まっていて、結局外で借りることになるため、そのような使い方もありますね。

八木ひとみ氏(以下、八木):今おっしゃった繁忙期というのは、クリスマスなどの時期ですか?

重松:おっしゃるとおりです。

スペース運営代行の構造

運営代行の構造はスライドのようになっており、スペースモール社がノウハウのないオーナーに代わり、すべてを運営し、当社プラットフォームで掲載するかたちになります。

坂本:手数料は10パーセントでよいのですね。シェアスペースが30パーセントというのもあると思いますが、コンサルが受けられるようなイメージでしょうか。清掃は使った人がするのですね。

重松:基本的にはご利用いただいた方にお願いしていますが、やはりパーティースペースなどは定期的にスペースモール社がすべて手配し、清掃を入れています。

坂本:お金を払えばすべて代行してくれるということですね。

重松:おっしゃるとおりです。

法人向けソリューションの紹介

続いて法人向けソリューションについてご説明します。イベントプロデュースは、スペースマーケットに掲載されているスペースなどを利用して、法人向けイベントの企画・プロデュース、当日の運営などを支援するサービスです。

プロモーション支援に関しては、スペースマーケットに掲載されているスペースに企業の新商品などを設置し、スペースを広告媒体として活用することで、企業のプロモーション支援を行っているサービスです。

八木:確かに、最近は人を入れないオンラインイベントが増え、カフェやレストランなど、今までイベントをしてきたところとはまったく違う場所での仕事が増えてきたと自分自身も思うのですが、そのようなところもプロデュースされているのですか?

重松:そのとおりです。今まさに、オンラインイベント系にはかなりお声がけいただき、運用のノウハウも蓄積してきています。最近ではリアルとオンラインのハイブリッドのようなイベントが増えています。

坂本:実際に行くこともできるし、司会だけが参加者はオンラインで進行するようなイベントですね。

スペースシェアの市場環境

重松:続いて市場環境についてご説明します。取り巻く市場環境としては、サステナビリティの考え方が広まり、まず遊休スペースの活用が求められる社会になったということです。

2点目に、短期間の所有・利用が求められる時代になり、あらゆるものが、より時間単位に、本当に好きな時に好きなだけ使うような流れになっていると思います。

3点目に、どんな時代においても「場所」の必要性は不変であるということです。このコロナ禍で我々もみなさまも実感したと思いますが、この3点により、スペースシェアの市場環境は追い風であると考えています。

スペースシェアの想定市場規模

想定市場規模は約2.7兆円と試算しています。

業界トップのスペースシェアノウハウ

スペースマーケットならではの強みをご紹介します。1つ目は、スペースシェアノウハウの蓄積が業界トップであるという点です。創業から丸8年、ゼロから作って蓄積してきています。

スペースシェアは新しい概念であるため、細かいノウハウがいろいろあるのですが、その点を最も知っているのが当社です。

同じ課題を持つ仲間との連携・共創

また、さまざまな仲間との連携・共創ができるところが強みであり、創業時からホスト・ゲスト・自治体・企業と、いろいろなアライアンスを組んでサービス成長を実現しています。

坂本:前回、本社スペースのお話がありましたが、そこを含め、最近どのようなことに取り組んでいるのか、一例でよいので教えてください。

重松:後ほどご紹介しますが、例えば「逃げ恥スペース」のようなコラボスペースを作るなど、コラボ案件を手掛けています。もともと私もBizDevの出身であり、このようなことが大好きで、企業や自治体とのアライアンスでさまざまなものを作っています。

八木:「逃げ恥スペース」は、みなさんがそこで踊って動画を撮ったりするのですか?

重松:TBSのオフィシャルスペースですので、おっしゃるとおりです。

八木:面白いですね。ファンにはたまらないと思います。

幅広い角度からの成長可能性

重松:さらに強みとしては、幅広い角度から成長の可能性が見込めることが挙げられます。いろいろなスペースが日々増えており、用途も時代に応じて変わってきています。

オンラインイベントなどは5年前にはそこまで考えられませんでしたし、今はテレワークやYouTube向けの用途が非常に伸びています。時代に応じて多様な使い方が次々と発明されているため、その掛け算で成長できるところが強みになると考えています。

サステナビリティへの貢献

我々は、ビジョン・ミッションを実現することと、サステナビリティへ貢献することを同時にできる特徴を持つ企業だと考えており、非常に価値のある事業であると自負しています。

ハイライト

決算のハイライトです。2021年の総括では、緊急事態宣言、まん防などのような苦しい逆風が吹いた1年間でしたが、プラットフォームサービスのGMVは、第4四半期会計期間・2021年度通期ともに過去最高を記録、営業利益も通期黒字での着地となりました。

新型コロナウイルス感染拡大前の2019年と比べても、プラス32.6パーセントの成長となり、環境変化に対応して成長トレンドを作ることができた1年だったと考えています。主要KPIについては、GMVは過去最高、利用されるスペースも四半期単位で継続して増加しています。

第4四半期は季節性の影響もあり、5人から10人前後の東京エリアのGMVが相対的に増加するなど、第1四半期から第3四半期に比べると、少しトレンドに特徴のある四半期となりました。

財務については、トップラインの成長とともに営業利益5,900万円を計上しています。プラットフォーマーならではの、利益にレバレッジのかかる収益構造を構築して事業運営できていると考えています。

全社総取扱高の推移

スライドのとおり、2021年度全社総取扱高は過去最高となりました。2020年を見ていただくと、かなり苦しかったことがわかりますが、当然2021年も新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けながら、それでも成長していたということです。

全社総取扱高と営業損益の推移

全社総取扱高と営業損益の四半期の推移です。特に2020年の3月、4月、5月が本当にきつかった時期です。

八木:ちょうど緊急事態宣言が初めて出た頃ですね。

坂本:我々は家にいましたからね。御社はやはり第4四半期が繁忙期になりますか?

重松:そのとおりです。第4四半期にパーティーやハロウィンなどで人が集まります。

坂本:基本は四半期で見ても成長は継続され、過去最高ということですね。

主要KPIの推移(四半期)

重松:主要KPIの推移です。右側の青色の棒グラフは1ヶ月に利用されたスペースを集計した数値で、スペースシェアの認知拡大により、引き続き増加して過去最高となっています。

また、弊社からスペースの掲載登録を希望される方に、掲載のアドバイスをするオンボーディング施策を行っています。「このスペースを載せたい」と、そのまま載せても最初はなかなか借りられません。例えば写真の選び方や用途の記載など、掲載方法にポイントがあります。そのような記事も用意していますが、さらにアドバイスを行って伸びています。

緑の折れ線は、スペースあたりのGMV、いわゆる単価です。こちらも大人数利用が減少した前年後半以降、コロナ禍の影響が一巡し、同水準で安定推移となっています。

スペースが増えている中で、各スペースへしっかり送客を行っていることを読み取っていただければと思います。第4四半期は季節性の影響があり、人数が多めの利用が増えたため微増となっています。

この2つの掛け算で、結果として左側のグラフのGMVは、コロナ禍前の水準を超えて過去最高を更新しています。

少人数利用のGMV推移

また、コロナ禍で特に伸びたのが少人数利用の部分です。もともと我々のサービス自体が、5人から10人ほどの仲間で集まる時に使われるサービスだったのですが、新型コロナウイルス感染拡大により、最初のうちはほぼなくなり、一方で伸びたのがこの少人数の利用です。

右側にもこのように、勉強会、テレワーク、動画撮影など出ていますが、YoYで継続して成長し、2018年第4四半期からの年平均成長率は、プラス50パーセントと高い伸びになっています。イベント系、ビジネス系などさまざまな用途での少人数利用が増えています。

東京都以外のエリアのGMV推移

東京都以外のエリアのGMV推移です。もともと東京偏重と言いますか、都会の人が使うサービスというイメージで始まったのですが、コロナ禍でむしろ東京都内はあまり来られなくなり、地方エリアでは非常に認知が広まり、ホストをする方も増えています。

坂本:その理由は、やはり知名度でしょうか、コロナ禍の環境でしょうか? 掲載数が伸びたとおっしゃっていましたが、それも含めて教えていただけたらと思います。

重松:知名度が地方のほうにもだんだん広がってきたことが理由の1つとして挙げられます。それでもまだまだだとは思います。また、ホストにとって、都心で行うよりも物件が安い地方で行うほうが、損益分岐点が低いのです。

坂本:なるほど。周りにライバルがいなければできるのですね。

重松:そうです。空いていればできます。今までみなさまがわざわざ東京で借りていたところが、地元にあるとなると、地元の仲間とも使うのです。

坂本:そして、空いたものを貸すということですね。

重松:そのとおりです。そうすると、「これは儲かる」という話になり、いろいろな方が参入されます。

坂本:私、実は地方で使ったことがあります。それは英会話教室でした。夕方から子ども英会話教室をするのですが、昼間は貸してくれるのです。そして、上はキッチンを作っていてパーティルームになるというもので、上手く作っていると思いました。そのようなものが地方にありました。

八木:やはりまずは、ホストの方にどれくらい周知できるかが重要になってくるのですか?  重松:そのとおりです。ホスト自身が稼いだりノウハウを「Twitter」で発信する、「YouTube」で配信する、オンラインサロンをする、本を出すなどし、彼らがすごく広げています。当社も当然行っているのですが、ホスト同士で広げ合っているというのは、特に地方が伸びている1つの要因だと思っています。

坂本:誕生会セットのようなものがあれば、やはり利用しますね。

法人向けソリューション他の内訳

重松:法人向けソリューションなどの内訳です。2021年の売上高は1億7,800万円となりました。数百人規模の社員総会など、もともとあったイベントがリアルではほとんどなくなりましたが、一方で、リアルで400人から500人しか入れなかったイベントをオンラインで開催することにより2,000人くらい集客できるようになるかたちがけっこう増えてきています。今後、コロナ禍が過ぎるとリアルのイベントも戻ってくると思いますし、クライアントの需要に柔軟に対応をしていきたいと思ってます。

業績の概要

業績の概要についてです。2021年度より連結決算となるため、連結業績と単体の指標であるプラットフォームの業績を分けてご説明します。

まず、通期の連結業績です。全社総取扱高は34億8,300万円、前年比でプラス51パーセントです。そして、営業利益が5,900万円の着地となりました。プラットフォームサービスの需要は、前年比で、GMVがプラス48.8パーセント、ネットの売上高がプラス46.7パーセントとなりました。

全体感としては、コロナ禍の影響をかなり受けていますが、きちんと成長を継続し、トップラインが成長していくことにより、しっかりと利益も計上できる構造になるということが確認できた1年だったと考えています。

業績予想比

業績予想比です。2021年は業績予想を3回出しています。最初に開示したのは2021年8月です。新型コロナウイルス感染者拡大などにより一定の影響を受けつつも、トップラインは2021年8月開示の業績予想に対して想定どおりの着地となっています。

また、当期純利益については、2021年11月に初めて開示していますが、この時の設定から投資額の未消化が発生し、上振れてで着地しています。

売上原価の推移

売上原価の推移です。スライド左側、年度の増減についてご説明します。一番上の緑色が法人向けソリューションの売上増加に伴う法人向けソリューション原価ですが、増加しています。

また、プラットフォーム開発のための人員拡充により、売上原価に含まれる人件費が緩やかな増加傾向にあります。今後も、トップライン見合いで生産性を向上させつつ、継続して開発体制の拡充を計画していきます。

販売費及び一般管理費の推移

販売費及び一般管理費の推移です。こちらも年度の増減についてご説明します。支払手数料、人件費、その他の販管費が、前年比で増加しています。支払手数料は主にプラットフォームの掲載手数料であり、決済額が増えれば当然増えていきます。

また、数名規模ですが、新規採用による社員数の増加、スペースモール社の連結取り込みなどにより人件費は増加しています。そして、新オフィスへの引っ越し関連費用、その他の販管費も前年比で増加しています。

貸借対照表

貸借対照表の説明です。2021年度末で現金預金残高が5億7,100万円と、2021年度末と比較して約2億円減少しています。主な減少要因の1つは、オフィス移転に係る費用です。これは主に内装費です。他にも、スペースモール社の株式の一部対価支払いなどに関する支出、借入金返済が主な要因として挙げられます。そして、通期での営業利益計上による収入、保有の現預金の連結取込みなどの増加要因により、このような着地となっています。

M&Aに伴うのれんが発生していますが、対純資産倍率は約0.2倍、自己資本比率は46.9パーセントと、財務健全性に関しては高い水準を維持しています。

業績予想①

今後の方針についてご説明します。まず、業績予想について、足元はやはりこのオミクロン株による感染急拡大など、当社にとってネガティブな要因はありますが、一定の仮定に基づいて業績予想を開示しています。

外部環境の前提は、2022年度は2021年比でゆっくりと良化の方向にあると考えています。2020年4月から5月のような状況まではさすがにいかないと思いつつも、今回のオミクロン株の急拡大のような不安定な事象が定期的に発生する可能性はあると考えています。

そのような中で、トップラインは、当社業績にとって不安定な事象の発生頻度とその影響の大きさを考慮に入れ、全社総取扱高ベースで30パーセントから40パーセントの成長を見込んでいます。

損益については、大前提として、当社は中長期での成長に向け新規事業の立ち上げなど戦略的投資を今後実施していきたいと考えています。そのため、営業損益については、戦略投資前の既存事業部分と戦略投資後の部分で分けて開示しています。

戦略投資前の既存事業部分は、トップラインの成長に応じて利益にレバレッジのかかる構造を構築し、営業利益は前年比で42パーセントから101パーセント増を計画しています。戦略投資については、具体的な内容は差し控えますが、新規事業の立ち上げ、R&D、そして一時的な認知系の施策などを検討し、戦略投資後の営業損益が黒字となる範囲での投資を行いたいと考えています。

坂本:結局、御社の成長にとってコロナ禍はプラスだったのですか? そこを一回お伺いし、あとはアフターコロナのイメージをお伺いしたいと思います。

重松:コロナ禍がプラスだったかマイナスだったかで言うと、本当に辛かったです。やはりとんでもない逆風で、相当な影響をいまだに受けています。ただし、大人数利用や東京一極集中など、今まで当社として課題に思っているところが、よい意味で全部吹き飛んでくれました。少人数利用が増え、他の地方のエリアが伸び、ワークスペースの新しい利用者がどんどん増えました。

その点を考えると、企業の成長においてそのような逆風は、会社の組織と事業を強くするという意味で、結果的にはよかったのではないかと思っています。

坂本:本来、普通の使い方をされていたものが、そうではないものに使われることにより認知度にはプラスに働くというイメージですね。

戻った時には、本来の使い方も、このコロナ禍で開拓された使い方も、どちらもされるかもしれないということですね。

重松:そのとおりです。オンラインのところは不可逆だと思っていますし、一方で大人数利用が戻ってくると思います。大きな割合を占めていた大人数利用が今はほぼないわけですが、そこが戻ってくるとかなりおもしろくなってくると思っています。

坂本:大人数のところは単価も高そうですので、御社の取り分も多くなってきそうということですか?

重松:そのとおりです。今は単価の高いところがごっそりなくなっています。

八木:ビジネスモデルとしておもしろいと思うのが、利用者側が自分たちで工夫していろい ろな利用の仕方を考えてくれるところですね。こちら側が考えなくても、使ってくれる人たちの中でどんどんバリエーションが増えていますね。

重松:本当におもしろいです。娘の中学受験が終わったのですが、周りの親たちに聞くと、家では集中できないためレンタルスペースを借りて、そこで缶詰にして子どもたちがお勉強していたという人たちがけっこういます。

八木:合宿みたいなことですね。

重松:人の家だと集中できないですからね。想像もしていなかったような使い方がどんどん出てくるのが、おもしろいと思います。

八木:ちょうど視聴者の方から、「スペースのはやりの使い方や新しく出てきた使い方についての事例を教えて欲しい」という話があったのですが、今の勉強合宿などはそうですね。

坂本:僕がライバーと旅行に行った時、やはり音などが入るため「ちょっと配信する」といって、レンタルスペースを利用して配信したりしています。

重松:配信には非常に使われていますね。

坂本:意外とそうなのです。あとは、カフェだとどうしても音が入ってしまいます。僕はラジオなどによく出るのですが、有線が入ると、「YouTube」とラジオが今は連動しているのでそこでカットされてしまいます。でも、チャンネルをつぶされる可能性があることを考えると、そのようなスペースのほうがありがたかったりします。

重松:配信系は非常に伸びています。YouTuber、また芸能人なども今は「YouTube」番組を配信していて、けっこう使っていただいています。

坂本:ある程度は静かなプライベートなスペースが必要なのですが、カフェでは少し足りないです。

重松:カフェだと、他の会社の打ち合わせ内容が入ってきたりして、情報漏えいも起こります。

業績予想②

重松:今後の方針の業績予想です。当社はコロナ禍の影響を受けていますが、アセットライトな事業モデルで環境変化に対応しつつ、今年も過去最高の取扱高を目指して、コロナ禍を乗り越え成長していきたいと考えています。

新規事業の方向性

今後の方針の新規事業の方向性です。考え方は、スライドの図のようなものです。今までのスペースマーケットのアセットを活かしながら、ホスト向けのプロダクト開発を計画しています。

内容については、競争戦略上の理由からまだ申し上げられないのですが、当社はいろいろなスペースワークのビジネスを行っているためホストのニーズはいろいろあります。しかもスペースは、1人で利用する小さなもの、大人数が入れる大箱みたいなもの、それこそ公共施設などもあります。

坂本:バーに貸しているところもありますね。自分が店長やバーテンダーをすることができるなど、おもしろいです。

重松:いろいろなスペースがあるため、その中で見つけたホスト向けのプロダクトを考えています。

重要視する経営指標

重視する経営指標についてです。「スペースシェアをあたりまえに」するためにお客さまに届けた価値の合計である全社総取扱高を重要な経営指標としてモニタリングしています。さらに、全社総取扱高の大部分を占めるGMVも重要指標とします。全社総取扱高およびGMVを最大化するということで努力していきたいと思っています。

直近の戦略「プラットフォームのさらなる成長」にむけたアクション

直近の戦略「プラットフォームのさらなる成長」に向けたアクションです。1点目はプロダクトの改善と機能拡充への継続的な取り組み、2点目は広告運用の最適化とスペース掲載のサポートなどによる利用されるスペースの獲得と増加、3点目は各種キャンペーンの実施やCRMの強化によるゲストの獲得とリピート利用の促進と、この3つの施策に取り組んでいきたいと考えています。

中期目標

やはり全社総取扱高の成長がミッション実現につながり、結果的に企業価値の向上につながると考えるため、この成長をしっかり果たしていきたいと思います。

ホストコネクト

第4四半期のトピックスです。ホスト対象のセミナーや勉強会を創業初期から定期的に行い、いろいろなノウハウを惜しみなく出して研鑽していただく場を設けています。

ホストアプリリニューアル

ホストアプリリニューアルについては、アプリで簡単に収益化できるかたちで、使い勝手を磨いています。

TBS 「逃げるは恥だが役に立つ」コラボスペース第二弾

先ほど少しお伝えしたコラボスペースです。TBSテレビの「逃げるは恥だが役に立つ」コラボスペースということで、第1弾を東京で、第2弾を大阪で行いました。即日完売で熱烈なファンの方に借りていただき、動画撮影やいろいろなことをしていただいています。このようなスペースは今後も展開していきたいと思っています。

坂本:セットも借り切りであればそのまま全部移動できるため、完全な再現ができますね。

重松:そのとおりです。僕も行きましたが、本当に細かいです。契約書のようなものが何かありましたね

坂本:机に書くところがありましたね。これはおもしろいと思います。

八木:企業側のIP活用などにすごく役立ちますね。

重松:これは本当にすごく可能性があります。

坂本:これはマージンはどれくらいになるのですか?

重松:マージンはですね。

坂本:御社に入ってくるのは変わらない感じでしょうか?

重松:基本的にはそうですね。

坂本:であれば、断然使ってもらえるとよいですよね。

重松:あまり高すぎると借りてくれないということもあり、絶妙な価格です。

坂本:即日完売であれば、オークションでもよいのではないかと思いますよ。

重松:そうですね。いろいろな方に使っていただきたいというのもあります。IPによっては、今後少し高めのスペースが出てきてもおもしろいと思います。

坂本:ドラマでしたら、たぶん放送が始まった頃にはまだ撮影していると思いますので、空いた時間を使ってそのスペースを貸せますよね。

重松:そのようなこともできますね。

坂本:最後のクールくらいは撮影していると思います。

八木:このような企業案件とは別に、全体的にというお話で質問がきています。「そのスペースの価格決めはどのように行っているのですか?」というご質問をいただいています。

重松:価格決めに関しては、基本的にはホストが設定できるようになっています。一応、参考価格は提示するのですが、通例の方法があります。これはセミナーなどでもいろいろな方にお話ししているのですが、最初はキャンペーン期間のようなかたちで、戦略的に相場より価格を安く提供します。そうすると使っていただいたレビューがたくさん付き、これが足りないといったことが出てきて、運営の仕方もわかります。「これを工夫したらもっと使いますよ」といったコメントが付くと、それを改善して、徐々に価格を上げていくというかたちです。あとはやはり、ダイナミックプライシングですね。

坂本:時間と曜日ですね。

重松:時間と曜日、それから繁忙期ですね。繁忙期はやはり、けっこう強気の価格を入れられるます。

八木:いったん決めたら、それで据え置きというわけではなく、今おっしゃったダイナミックプライシングで設定していけるということですね。

重松:そこに関しても、今後いろいろなテクノロジーをきちんと反映させていきたいとは思っています。

Unito社への投資

トピックスサイドです。遊休スペースの活用を促進するため、株式会社Unitoへの投資および資本業務提携を行いました。今、Unitoは1,500件以上の物件を掲載しており、多様な暮らしの最適化を進めています。我々も以前から協業を進めており、さらにUnitoの物件を弊社のプラットフォームへの掲載を加速していきたいと考えています。

これからも新たなスペース利用の可能性を創造して、スペースシェアのモデルを確立していきたいと考えています。

質疑応答:15分単位の時間設定について

八木:15分単位というのは、どうしてこの数字なのですか?

重松:駐車場などを参考にしたと思います。

坂本:10分単位もありますが、区切りがよいのですかね?

重松:区切りがよいというのが一番ですね。

八木:なんとなく1時間や30分のような大きな単位になるのかなと思いました。

重松:もともとは1時間の設定だったのですが、もう少し小分けにできないかと思い、30分から15分にしてみようということで試してみました。

八木:なるほど。

重松:10分でもできなくはないのですが、15分くらいがほどよいと思いました。みなさま盛り上がると少し延長したくなるようです。カラオケと一緒ですね。延長も簡単にできるため、かなり延長される方もいます。

八木:思ったより盛り上がってしまうのですね。

重松:延長機能は意外と単価が上がるところです。

質疑応答:スペース運営代行の物件について

坂本:御社のこれからの成長に関しては、スライド42ページのスペース運営代行の構造の部分だと思います。これはたぶん、かなりの手数料が取れるビジネスだと思うのですが、これは場所などもお願いできるのですか?

例えば、物件によってはシェアスペースとして使ってはいけないという物件もあると思います。テナントはともかく、可能性は低いと思うのですが家でも使える物件はあると思います。そのような物件を選んできて、ホスト候補の方に「これ、どうですか?」というかたちで営業するのか、それとも自分で物件を探さなければいけないのか、それも含めて教えてください。

重松:今は基本的には物件を持ち込んでいただくというケースが圧倒的に多いです。このサービスがもう少し一般化すれば、我々から「このような物件はどうですか?」ということもできると思います。できれば1棟まるごとレンタルスペースビルのようなものを手掛けてみたいです。

坂本:それはおもしろいですね。それなら用途は自由ですし、いろいろなバリエーションを入れて運営できるということですよね。

重松:そうすると、だいたい利回りも見えてきます。通常のアパートやマンションを運営するより、ビル1棟をレンタルする方が利回りが取れます。そうなると、商材としても我々も売りやすくなり、投資家としても運営しやすくなります。

坂本:ローンするとしても財務リスクは乗らないため、今まで行っている手数料ビジネスがそのまま延長できるということですね。

重松:おっしゃるとおりです。

坂本:なるほど。それはやはり実施したいですね。資本もそこまでかからないですよね? 例えば、自分で1棟買うとなると、購入してから手を入れ始めると、少なくともウン千万円になりますよね。実際、テナントなら保証金を何ヶ月か積んで、内装を入れてというかたちであれば、回収も早そうだと思いました。僕もスモールビジネスをいろいろ行っていますが、 自分で持ったりもするのです。

重松:スモールビジネスが好きな方は、本当に合うと思います。

坂本:まったく手がかからないことをいろいろと行っています。

重松:レンタルスペースは、慣れてくれば内装もそれほどコストはかかりません。最近は家具も「ジモティー」などで安く手に入れられます。いらない人からもらったり、安く買ったりできます。レンタルスペースは、儲からなかったり、ご近所さんと合わなかったりして撤退する場合もあるのですが、「ジモティー」を利用すればすぐに持って行ってくれますし、また仕入れることもできます。立ち上げと撤退の費用が他のビジネスより圧倒的に低いです。

坂本:スペースマーケットの人が「これ、持っていきます」と言って、仲介してくれたらよいですね。

重松:そのような広がりもあるのかなと思いますね。

質疑応答:海外への展開について

八木:視聴者の方から、「海外への展開は検討していますか?」という質問がきているのですが、いかがですか?

重松:足元はまだコロナ禍の影響もあり、今は国内でいろいろがんばっているということもあるのですが、先々は考えています。民泊では「Airbnb」が勝ち切っていますが、レンタルスペース系のプレーヤーでグローバルで勝ち切っているプレーヤーはまだいません。ローカルで運営している会社があるくらいですので、ぜひチャレンジしていきたいと思います。

八木:世界各国でニーズは変わらなさそうですからね。

重松:おっしゃるとおりです。

質疑応答:法人の保有施設の使い方について

坂本:「法人の保有施設の使い方に違いがあれば教えてほしいです。どちらかというと、テレビ番組の撮影などでしょうか?」という質問です。法人が持っている遊休施設を使うということではなく、法人が利用するということだと思います。テレビ撮影なども含めて、利用されていることはあるのでしょうか?

重松:法人の利用事例は本当に多種多様で、まさに番組撮影などもあります。我々の会社のラウンジスペースも貸し出していますが、さまざまな会社にセミナーで利用していただいており、番組ロケなどでの利用もあります。最近では、YouTuberのはじめしゃちょーさんがわざわざ探してくれて、連絡をいただいて利用されました。その動画は600万再生を超えたそうです。会社の紹介も入れていただき、恐縮です。

坂本:それでまた撮りたいという人が出てきますよね。

重松:別のYouTuberも借りてくれました。当社のビルには我々の会社専用のエスカレーターが付いているのです。基本的には使用していないのですが、はじめしゃちょーさんがそのエスカレーターで24時間生活するという動画を撮り、そのコピーのようなかたちで何人かが利用しました。貸し切りできるエスカレーターはなかなかないですからね。

八木:確かに。テレビも撮影許可などにはけっこう手間がかかるのですよね。

重松:撮影はそうですね。

坂本:もともと使っていた普通の会議室利用なども、会社の中になければレンタルスペースを借りますよね。

重松:特に今、スタートアップ企業でも、会社がどんどん大きくなっていくと場所が足りなくなるため、オフィスとして一定期間借りたり、会議室として借りたりということもあります。

今、大企業も含めて働き方がかなり変わってきたため、みなさまからオフサイトミーティングなどで使っていただいています。いろいろな方に会うと、「ここ使ったよ」「これ使ったよ」と言われることが非常に増えてきたと思っています。

質疑応答:競合他社との差別化や優位性について

八木:利用される方が増えてくるということは、競合で参入される方も多くなってくると思うのですが、「競合他社との比較で、どのようなところが差別化できていますか? 優位性があるのですか?」というご質問をいただきました。いかがでしょうか?

重松:やはりリーディングカンパニーであるということで、さまざまな細かいルールメイキングやノウハウを作ってきました。私はシェアリングエコノミー協会という業界団体の理事で、今、300社くらいの会員がいる団体を作っています。シェアリング系のビジネスはもちろん、いろいろなビジネスがありますが、やはり新しいビジネスは出来立ての時は怪しまれると思いますので、そのような業界のルールを作り、規制がかからないように行政とのコミュニケーションをとったり、いろいろなパースを作ったりということも行っています。

また、先ほどお話ししたようなIP連携といいますか、いろいろな企業とコラボレーションできるというところがあります。しかもスペースを活用した新しいチャレンジをし続けることは、我々の会社の独自性&多様性という強みだと思います。

質疑応答:スペースシェアビジネスで参考にした企業について

坂本:「スペースシェアのビジネスを考える中で、参考にした企業はあるのですか?」という質問です。

重松:前職の会社がIPビジネスを行っており、私も独立してIPビジネスを行いたいと思いました。2013年に会社を辞めることを前提に、半年くらいいろいろとリサーチして考えていました。その時に「Airbnb」や「Uber Eats」などがアメリカで急激に成長していたため、「Airbnb」「Uber Eats」のCtoCプラットフォーマーとしてのビジネスを、かなり細かいところも含めて勉強し、研究しました。今でも当然ですが研究しています。

ビジネスモデル自体はまた大きく違うところではありますが、日本においてはティーケーピーですね。プラットフォーマットや実際にガジェットを持っている数が違いますが、河野氏の本や記事などをかなり読み、河野氏ならどう考えるのだろうということを自分の中に叩き込んでいました。

質疑応答:職業によるスペースシェアの使い方について

八木:美容室に行った時によく感じるのですが、お子さんを産んで産休後に復帰しようとしている美容師の方は、会社に入って働くのはやはりなかなか難しいようです。そのため、ご自身でお客さまをとって仕事をする時に、レンタルスペースを活用している方がいらっしゃいます。そのような新しい使い方というか、職業によってこのような使い方があるというものは、いろいろ出てきているのでしょうか?

重松:おっしゃるとおりです。時代的な流れとして、フリーランスの方がどんどん増えています。美容師もどんどん独立しています。

坂本:軒だけ貸してもらっているようなかたちですね。

重松:そうです。もともと鏡だけ貸してもらうというミラーレンタル(面貸し)がありました。それを当社の「スペースマーケット」経由で探して利用してもらうことができます。美容師に限らず、ネイリストやセラピストなども、自分がスペースを持っている場合は、自分が使っていない時間に他の方に貸して、持っていない方はその都度借りています。それと同じようにジムがあります。

坂本:ジムは多いですね。パーソナルジムも増えています。

重松:トレーナーが非常に多いです。そのような方が今、持っている人は貸す、持っていない人は借りるという流れが加速しています。最近ではオフィスもそうです。当社のオフィスもですが、貸し出せることがわかれば少し大きめのオフィスを借り、レンタルでグルグル回すことで、自分たちの会社の家賃がタダになるというような使い方もできます。日々、新しい使い方がいろいろと生まれていますね。

質疑応答:ホストとゲストのトラブル解決について

八木:例えば、スペースを持っていらっしゃるオーナーの方と、あまりきれいに使ってくれなかったというトラブルなどもあると思うのですが、そのようなトラブルが発生した際には間に入って解決されているのでしょうか?

重松:相互レビューの仕組みがあり、ホストもゲストもお互いにレビューを投稿できます。

坂本:ゲストの使い方が悪ければ、利用停止にすることもできるのですね?

八木:BANされることがあるということですか?

重松:そうですね。本当に悪い人は、ホストが「この人はもう二度と使わないでください」と、BANをする機能を実装するなどしています。一方で、ホストにもいろいろな方がいらっしゃるため、あまりにも評価が低い方に関しては、基本的には表示が自動的に下がっていくのですが、特に悪質な方はご退場いただくということを行っています。

また、損害保険ジャパンで組んだ保険の仕組みがあるため、例えば何かを壊してしまったというようなトラブルがあった場合は、間に入って解決しています。

八木:トラブルに対応するシステムも、きちんとできているということですね。

重松:シェアリングエコノミーがかなり普及してきて、みなさまも「メルカリ」などいろいろなサービスを使っている中で、特に若い方のほうが丁寧に利用されています。

八木:みなさまルールをしっかり守っているのですね。

坂本:慣れているのですかね。

重松:ここ最近は、お互いに気持ちよく利用しようという人が増えてきたと思います。

八木:文化的にも醸成されてきているのですね。ありがとうございました。