1. 2022年3月期第2四半期 PL実績
吉田淳一氏:あらためまして、おはようございます。午前中からご参加いただきましてありがとうございます。あらためてになってしまいますが、今年度の第2四半期決算の概要と長期経営計画2030の進捗状況の2点をご説明します。
ご案内のとおりですが、この第2四半期の実績は営業収益で5,790億円、営業利益で1,116億円、親会社株主に帰属する当期純利益で552億円と、前期比で増収増益となっています。営業利益は、第2四半期としては過去最高の水準になります。前期比の増減の要因や通期の見通しに対する進捗状況については、これから詳しくご説明します。
2. 2Q決算の概況・ポイント
まず左側の棒グラフで事業利益の前期比増減についてご説明します。今期の事業利益は1,119億円、前期比で137億円の増益となっています。増益の主要因はキャピタルゲインの130億円の増益です。
売買マーケットは引き続き堅調で、当社の開発した案件は想定どおりの価格で売却できています。またアメリカの物流施設など一部のアセットタイプにおいては、当初の想定を上回る価格で売却できるケースも出ています。
国内分譲住宅も好調が継続しており、第2四半期時点では前期よりも引き渡し戸数は減少していますが、粗利益率が改善した影響もあり、事業利益としてはわずかながらの減少でとどまっています。第2四半期末時点の完成在庫も111戸と、期初から100戸以上減少し、非常に低い水準となっています。
インカムゲインは9億円の増益ですが、前期は第1四半期に休館中の商業施設やホテルの費用の一部を特別損失に計上しており、その反動の影響を除いた実力ベースでは約70億円の増益となります。
続いて、右側のグラフで通期予想に対する進捗の説明をします。事業利益全体としては2,453億円の予想に対し46パーセントの進捗となっています。
キャピタルゲインの進捗率が56パーセントとなっているのに対し、国内分譲住宅事業の進捗率が13パーセントとかなり軟調に見えますが、今期はもともと下半期、特に第4四半期に引き渡し物件が集中しており、期初から想定している動きです。
ちなみに、今期の売上の見込みに対して97パーセントが契約済みとなっていますので、販売は好調に推移しています。
インカムゲインの進捗率も50パーセントに達していませんが、今年6月に竣工した「常盤橋タワー」が第2四半期以降に本格的に寄与してくる見込みです。また、ご案内のとおり、先月から商業施設やホテルの回復が見込まれます。
3. アセットタイプ別の営業収益推移(国内)
右側の折れ線グラフで商業施設やホテルの状況を説明します。今期の上半期についてはほとんどの期間において緊急事態宣言が発令されており、商業施設やホテルにとっては厳しい環境となっていました。
それでも前期と比較すると収益は改善しており、前期の上半期は商業施設とホテルで約220億円程度の新型コロナウイルスによるマイナス影響がありましたが、今期の上半期は50億円ほど利益が改善しています。
期初の想定では上半期にここまでの影響が生じることは見込んでおらず、期初の想定からビハインドしていますが、10月の回復状況を踏まえると下半期の事業環境によってはまだまだ挽回の余地があると考えています。
また、仮に商業施設やホテルが期初の想定を下回った場合でも、好調な国内分譲マンションあるいはキャピタルゲインなどにより十分カバーできる範囲と考えており、通期を通した予想は据置きとしています。
なお、業績予想の概要は期初想定から変更していませんので、本日の説明では割愛します。
1. BSコントロールに向けたアクション①
これから、長期経営計画の進捗状況についてお伝えしていきます。長期経営計画においてはB/Sコントロールによる企業価値向上を掲げており、資産・負債・資本のそれぞれに関する具体策を明示しています。バランスシートの左側である資産のコントロールについては4つの施策を推進しています。
まず回転型事業ですが、現在の活況なマーケットを活かして売却を加速していきます。スライド右端の円グラフのとおり、国内における資産残高も約1兆2,000億円まで積み上がっており、足元では600億円から700億円規模のキャピタルゲインを安定的に計上可能な状況となっています。
丸の内をはじめとした長期の再開発案件は、後半に花開くプロジェクトが多い状況です。ただし、この後14ページでご説明しますが、長期経営計画の前半・中盤においては国内では地方の案件、海外の開発案件が充実してきていますので、こちらで収益を高めていきたいと思っています。
また、低効率資産や政策保有株式の売却も推進していきます。ご案内の「大手町パークビル」「グランフロント大阪」の持分の売却は象徴的なアクションになりますが、熱川の別荘事業の譲渡のように、採算性の改善を見込みにくい事業からの撤退も着実に実行しています。政策保有株式についても、この6年で銘柄数を約2割削減しています。
ノンアセット事業においても、投資マネジメント事業のAUMは長期経営計画発表の時から9,000億円拡大しています。また、新規事業の領域については、注力分野を設定して将来の収益源創出に向けてさまざまな取り組みを進めています。
2. BSコントロールに向けたアクション②
続いて、B/Sの右側に関する施策です。1つ目は財務健全性についてですが、投資機会がさらに拡大した際などに臨機応変にアクセルを踏めるよう投資余力をしっかりと確保しています。
2つ目の資本効率性の向上に関しても、KPI目標の実現に向けて4月に300億円の自社株買いを決定しています。また、不動産市況を踏まえた柔軟な資本政策という考え方に基づいて、長期経営計画目標の達成に向けて株主還元のボリュームも拡大しています。
長期経営計画を発表した2020年3月期から現在進行中の2022年3月期までの3ヶ年における配当と自社株買いを合わせた還元総額は約2,600億円を見込んでいます。これはその前の3ヶ年の還元総額に比べて約2.5倍となっています。当社は総還元性向という考え方には立っていますが、仮に総還元性向を計算すると直近の3ヶ年の平均は61パーセントになります。
これもその前の3ヶ年の平均29.5パーセントと比べても大幅に上昇していることがおわかりかと思います。長期経営計画では成長投資の機会獲得による利益成長と自社株買いの実施を前提に組み立てており、目標達成に向けてそれぞれのタイミングやボリュームを適切に判断していきたいと思っています。
3.国内・海外アセット事業の進捗(今後の主なパイプライン)
国内・海外アセット事業の進捗についてご説明します。14ページ目では、当社が手掛けている主要な開発プロジェクトのパイプラインをリスト化しています。
長期経営計画の時にも同様のリストを開示させていただきましたが、こちらのリストの緑で網掛けしたプロジェクトは長期経営計画発表時にはなかった、すなわちその後公表させていただいている案件となります。「常盤橋タワー」以降、丸の内のパイプラインが2020年代後半まで空いてしまうことについては、投資家のみなさまからよくご指摘をいただくところです。
ただし、このリストをご覧いただきますとおわかりのとおり、2020年代の前半から中盤にかけては大阪や福岡などの地方都市での大型開発案件、アウトレット新規2施設のオープン、海外における豊富なパイプラインが順次利益寄与していくことがご理解いただけるかと思います。
賃料や為替の前提により幅はありますが、リスト化している物件の安定稼働時のNOIを単純合計すると、NOIベースで850億円から900億円程度のインカムゲインへの寄与が見込まれる規模感です。
折り返し地点の2020年代半ばにおいても、その4割程度がすでに安定稼働を迎える想定であり、物件売却とのバランスも考慮しつつ長期経営計画の前半・中盤にかけても利益成長を実現できる流れをきっちりと作っていきます。
このリストに対応する投資額は国内で約1兆円規模、海外では約3,000億円程度を見込んでおり、長期経営計画のKPI目標実現に向け、資本効率の向上に資する投資案件に厳選して投資をしていきたいと思っています。
4. ノンアセット事業の進捗
ノンアセット事業の状況です。ページ左側の既存領域においては、投資マネジメント事業のAuMが順調に拡大しています。先ほども触れましたが、2020年代中盤に合計で5兆円にまで拡大させることを目標としています。2022年3月期第2四半期が終わった時点のAuMは約4兆円で、先ほどもお話ししました長期経営計画発表時から9,000億円、率にして30パーセント増加しています。
加えて開発事業の共同事業化によるフィービジネスの獲得も進めており、長期経営計画発表以降に獲得したプロジェクトマネジメント業務などの開発関連フィーは国内・海外合わせて約50億円に上ります。
ページ右側に記載の新規の事業領域に関しては、7つの注力領域を設定し、出資先との協業や自社の新規事業としてさまざまな種まきを実施している段階です。現在取り組んでいる案件は本業に近い不動産関連サービスが多く、利益として花開くにはまだ時間がかかりますが、長期経営計画目標の実現に向けてスピード感を持って一つひとつ取り組んでいきたいと思っています。
5. 社会価値向上に向けた取り組み
こちらが長期経営計画でも目標の1つに設定しています社会価値向上に向けた取り組みです。株主価値向上戦略とともに社会価値向上戦略を長期経営計画の戦略の両輪として掲げていますが、今期は特に環境への取り組みに大きな進展がありました。
丸の内を中心とした大規模ビル20棟において、共用部分だけではなく専有分も含めた全電力を再生エネルギー由来の電力にすることを決定し、当社の再エネ電力比率は約30パーセントとなる見通しです。これにより、2030年の目標として設定していた25パーセントを大幅に前倒しで達成できる見通しです。
来期には丸の内の残りのビルやその他のエリアでも同様の取り組みを加速させ、再エネ比率を過半数に達する見込みに持っていきたいと思っています。なお、再エネ電力比率については、本年度末に向けて新たな中間目標の策定を検討しています。
また、CO2排出量の削減目標に関しても87パーセント削減の目標を掲げて、SBT(Science Based Targets)の認定も取得済みですが、本年度末に向けてはSBTのネットゼロ基準に沿った目標の見直しを検討中です。このページの右下にはCO2排出量の内訳や削減方針を記載しています。
再エネ電力比率の向上などにより、削減にある程度目処が立っているものがある一方、建設工事に伴うCO2の排出など、削減には今後の技術革新などを待たざるを得ないものもございますので、削減の難易度はまちまちですが、例えば、工事関連であれば建設会社などとも協力しながら削減に向けた取り組みをかなり広げたかたちで、共同で外部とも連携して進めていきたいと思っています。
私からの説明は以上となります。