ランドモビリティ事業概要

木下拓也氏:本日は当社の説明会にご参加いただき、ありがとうございます。ランドモビリティ事業本部長の木下と申します。本日はよろしくお願いいたします。

まず、ランドモビリティ事業概要からご説明します。ランドモビリティ事業の商材は、二輪車、ATV/ROV、電動アシスト自転車、そして、電動車いすとなっています。二輪車事業は、私たちの基幹事業として会社創立時から展開しており、近年の売上比率では6割くらいを占めています。

今後も、この基幹事業をベースに、さらに安定した収益体質を目指していきたいと考えています。

二輪車事業

世界の二輪車の総需要の概況をご説明します。数字と円グラフで示していますが、青色の部分が当社のシェアを示しています。

まず、黄色の部分が先進国の総需要です。2020年の実績を記載していますが、足元の2021年は、2019年比のプラス10パーセントくらいで推移しており、需要は底上げされています。その中で二輪車は再評価されているため、当社も伸ばしているほか、DXをベースとした周辺ビジネスの拡大にもトライしています。

次に、赤色の部分が新興国です。新興国の総需要は、2019年比のマイナス25パーセントくらいで推移しています。当社は近年、ASEANを中心に高いブランド好感度があり、プレミアム戦略で利益を伸ばしています。With/After コロナでのパーソナルモビリティ需要も含めると、2019年に水準まで回復するための伸びしろがあります。

また、インドでも同じようにプレミアム戦略と市場戦略を実施しており、利益貢献する事業へと変わってきています。

SPV事業

SPV事業について、ご説明します。SPV事業は大きく需要を伸ばしています。スライド左側に示しているとおり、電動アシスト自転車のE−Bike市場は、先進国を中心に、今後10年で3倍弱伸びると想定しています。その中で近年、当社の業績は高い営業利益率をキープしながら、売上を伸ばしてきています。

電動アシスト自転車は、1993年に自転車にモーターとバッテリーを搭載した発明品として世の中に発表しました。今後も単なる自転車と捉えず、モーターとバッテリーを搭載したモビリティとして、新たな価値を生み出していきたいと思っています。

2019-2021今中期経営計画振返り

今中期経営計画の振返りについてです。重点テーマは、「モビリティ新時代化に対応する事業基盤構築」としています。この計画を設定した時、世の中ではMaaSと言われていた時代でした。そのため、このようなテーマを置きましたが、それ以降、カーボンニュートラルへの対応や、新型コロナウイルス感染症もあり、「新たな変化の中で新しい事業基盤をどのようにしていくか」ということがますます大きなテーマになっています。

2021年の見通しは中期経営計画目標に届いていません。しかし、コロナ禍においても、各市場では計画のとおりに進捗しています。特に先進国では構造改革における収益性の改善、新興国ではプレミアム戦略の推進と、得意分野での収益の確保や、利益率の向上に取り組んでいます。

また、RV事業ではレクリエーション領域のシェア拡大と黒字化を進めています。

ヤマハらしいカーボンニュートラル戦略

カーボンニュートラル戦略について、ご説明します。スライド左上のとおり、多様な手法でカーボンニュートラル化を実現し、小型モビリティを活用したいと考えています。つまり、当社の得意領域である「新領域を創出しながら市場をつくる。あるいは新領域を予想しながら新たな価値をつくる」ということを、今後のカーボンニュートラルにおいても推進していきます。

そのため、右上に記載しているとおり、今後は自転車と二輪車の間、もしくは、二輪車と自動車の間で、カーボンニュートラル化した多種多様なモビリティが各社から出てくると見ています。そのような部分でも、プレゼンスを発揮しながら市場を作っていきたいと考えています。

先進国二輪車事業

地域別についてご説明します。まずは先進国二輪車事業です。先進国では、近年の需要は微減傾向にありましたが、アウトドアレジャーやパーソナルモビリティの需要増加から、総需要は2019年比プラス10パーセントくらいで底上げされている状況です。

その中でパーソナルモビリティとしての二輪車が、機動性、環境などの点で再評価されています。また、レジャーとして見直されており、この需要を確実に取り込むことがテーマになります。

また、そのような中で業績も2019年にこの中期経営計画がスタートしてから、売上高・営業利益も着実に改善してきています。一方、原材料価格や物流費の高騰、部品調達には困難なところがあり、今期のテーマであった黒字化とまではいきませんでした。

しかし、営業利益率としては、黒字化一歩手前のマイナス1.4パーセントの見通しであり、来年には黒字化が達成できると考えています。

先進国二輪車事業:構造改革

構造改革についてご説明します。まず、この中期経営計画のスタート地点として、2018年の実績をマイナス133億円と見ていましたが、為替等の影響により、実質はマイナス182億円からのスタートとなりました。

ただし、構造改革による改善計画98億円に対し、予定どおり計画は実施しており、88億円の改善を見込んでいます。改善の内訳としては「欧州構造改革」と「グローバルな生産構造改革」が半々くらいで進捗しています。来年以降も、この部分は刈り取りをしていきたいと考えています。

また、現在一定の経費抑制効果を維持しており、この体質を定着化していきます。

先進国二輪車事業:Afterコロナに向けての取組み

「Afterコロナに向けての取組み」について、昨今の先進国、特に欧州を見ると、Withコロナの状況がまだまだ続くかもしれませんが、それらを踏まえながらどのように取り組むのかをご説明します。

パーソナルモビリティ、もしくはレジャー商品としての二輪車見直しによる需要増加を機会として確実に捉えていきたいと考えています。そのために2つのテーマを持っています。「ブランド価値の向上」と「生涯顧客化」であり、お客さまとのつながりをさらに深めていくマーケティングに取り組みたいと考えています。

そのため、リアルなお客さまとの接点として販売体制の改革を行い、またDXを中心としたeコマース、もしくはつながるモデルやアプリ等を通じて、お客さまとの関係性のさらなる強化を図ります。

その結果、「ブランド価値向上×売上」により、意味的価値創造とお客さまとの関係性を重視し、お客さまをビジネスパートナーとして捉えながら、お客さまの目的達成に貢献していきたいと考えています。

新興国二輪車事業

新興国の二輪車事業についてです。新興国は2020年、新型コロナウイルス感染症の影響により出荷台数が減少しました。現在は、各国で濃淡はありますが、総需要・出荷台数ともに回復傾向です。ただし、2019年や2017年と比較すると、まだ戻りきっていない状況にあります。

今後の回復スピードを読むのは難しい状況ですが、2017年くらいの総需要には戻ると見ており、その総需要を前提に戦略も打っていきたいと考えています。

業績に関しては、2021年は出荷台数が減っている中、売上高・営業利益ともに2019年並みを計画しています。特に高価格帯モデルの販売比率が増えています。

スライド左下はインドネシアの例ですが、特にアジアを中心に上位中間層のお客さまが増えており、高価格帯の販売比率を増やしています。今後も、得意領域である上位中間層を安定的な収益源として、マーケティングを強化していきたいと思っています。

新興国二輪車事業:プレミアム戦略

プレミアム戦略について、詳細をご説明します。スライド左上に記載していますが、ASEANと台湾の上位中間層は、今後10年で約1.8倍に伸びると予想されています。インドでは約2.5倍、新興国以外も入れた世界中では約1.3倍となり、このセグメントが今後の成長領域だというのは間違いありません。

また、先行して市場を作ってきた、得意領域でもあり役に立つというだけではなく、「自分らしさ」「自己実現」という価値観を持つお客さまに向けて、今後もプレミアム商品を投入していきたいと考えています。そのために、商品だけではなくブランドマーケティングによりプレミアム市場を新たに創造しながら、さらなる拡大を目指したいと考えています。

新興国二輪車事業:インドネシア

その中で、特にプレミアム戦略の先陣、インドネシアについてご説明します。スライド左上にある当社の出荷台数ですが、2018年、2019年の水準には戻りきっていません。

しかし、今後3年間でその水準まで戻ると見ており、そのドライバーとなるセグメントは、スライド右上に記載のとおり、インドネシアの上位中間層であるというのは間違いないと考えています。

2015年と2020年を比べると、上位中間層世帯数が37パーセント増えています。重点市場であるインドネシアにおいては、今後もこの顧客層をターゲットとし、新たな商材、つながるモデルの投入、リードマネジメント導入等のDX活用により、インドネシアにおいてもお客さまとの関係性強化を図りながら、生涯顧客化に向けた取り組みを行っていきます。

新興国二輪車事業:インド

次に、大きな市場であるインドについて説明します。インドも総需要の推移を見ると2021年は2018年の数字にまだ戻り切っていない状況ですが、3年くらいかけて需要は戻ると見通しています。

セグメント別に見ると、左上に記載したとおりデラックス・プレミアムの領域で需要が伸びており、その部分で単価も上がっています。したがって当社の戦略としては、廉価コミューター領域ではなく、選択と集中で当社の得意領域であるプレミアム戦略を進めていきたいと思っています。

スライドの左下にあるように、販売前から販売後まで、DXまたはリアルの販売網を通じて、お客さまとの関係性を強化しながら、インド国内向け製品単価もアップさせたいと考えています。もしくはその全体のビジネスモデルとして、製品だけでなく周辺ビジネスを合わせた売上の増加を目指していきます。

また、もう1つの課題であるスクーターの拡販については、プレミアムブランド展開とともにお客さま視点で当社のメッセージを訴求しながら、単なる販売競争ではなく、ブランドを強化しながら拡販を図りたいと思っています。

新興国二輪車事業:フィリピン

フィリピンも総需要に関しては他の新興国と同じく、2020年に落ち込み2021年はまだ回復途中ですが、特に当社が強みを持つスクーターはこれからも伸びると考えています。スライド右上のグラフを見ると、近年の傾向では高価格帯のプレミアムATの需要増加が見られ、この傾向は今後も続くと予想されます。

プレミアムATは得意領域として、当社ブランドに対するお客さまの共感、もしくはつながりの強化を目指し、フィリピンにおいてもプレミアム戦略により、市場台数と販売単価の成長を図っていきます。

RV事業①

RV事業は、コロナ禍においても需要の落ち込みはありませんでした。スライド左上の総需要推移のとおり2020年がピークとなっています。2021年の目標は2020年より少し落ちますが、需要は底上げされた状態が続いています。

その中で、スライド右上のグラフのとおり当社の販売台数も着実に伸びてきています。特にアウトドアレジャー需要が高まりを見せ、お客さまが旅行に行けない中、ファミリーイベントで当社の商材を活用していただいています。

また、近年のRV事業は赤字でしたが、スライド右下のグラフのとおり2021年は黒字化を計画しています。今後は利益を生む事業としてさらなる成長を目指していきます。

RV事業②

RV事業について、米国を中心としたお客さまのイメージをつかんでもらうためのビデオを用意しています。ご覧ください。

お子さまも含めたファミリーやユーザー同士のコミュニティ、一過性でない新しい価値の捉え方などをふまえ、当社は、お客さまのリアルアドベンチャー体験のパートナーとして、ブランディングをしてきました。

お客さまにミートした新しいモデルをプラットフォーム戦略とセットで投入し、その結果、レクリエーショナル領域のシェアは中期経営計画の目標14パーセントに対し、RMAX2、RMAX4の投入により19パーセントまで増えてきています。今後もお客さまにミートしたプラットフォームモデル群を広げていきながら、そこでの確固たるポジションを確保していきたいと考えています。

以上で説明を終わります。ご清聴いただき、ありがとうございました。