第26回 個人投資家向けIRセミナー

藤原克治氏(以下、藤原):株式会社テイツー代表取締役の藤原克治でございます。本日は週末のご多用の中、ご視聴いただきまして誠にありがとうございます。

弊社は岡山発祥で、古本の販売を主たる生業としています。業界で初めてジャスダックに上場したという経緯を持っていますが、ここ数年はさまざまな紆余曲折があり、苦労した場面もあります。

そのような中で、私が5年前より代表取締役に就任し、連結ベースですが、先期末は過去最高益を達成することができました。この場に登壇させていただき、当社の現状をご理解いただければと思います。よろしくお願いいたします。

当社の直近の数字指標を用いて、定量的な部分を主体にいろいろご報告させていただきます。前半は会社概要など直近の状況を、中盤以降はグループの成長戦略などの進捗に関していろいろ言及していきたいと思います。

会社案内 ~会社概要~

藤原:会社の概要です。株式会社テイツーは創業メンバーが3名おり、それぞれのイニシャルに「T」「A」「Y」が2個ずつ入っていたため「テイツー」という名前をつけました。

グループの経営理念は「満足を創る」で、「すべてのステークホルダーに対していろいろな幸せをもたらしたい」という理念を持っています。

創業は1989年10月で、この時期はバブル期の絶頂でした。「そのような時に安いものを売るリユース事業が当たるのか」と思いますが、非常に活況なスタートを切ったと聞いています。重なりますが、その10年後に業界で初めて上場しています。

事業内容は、主に古本・ゲーム・トレーディングカード・ホビーなどのエンタメ系リユース商品と言いますか、そのような廉価な娯楽を家庭に提供するというコンセプトで、それぞれの販売・買取事業を行っています。

従業員の規模は、パート・アルバイト・社員を含めて現在1,650名です。主要銀行についても少し触れたいと思いますが、山陰合同銀行が主要銀行です。

山陰合同銀行は島根県の優良金融機関ですが、創業当初にどこからも融資していただけなかったところ、唯一私どもの事業を評価し、支援していただきました。現在も良好な関係を構築しています。

会社案内 ~沿革~

藤原:沿革です。上場後の2007年の年商は450億円で最高の売上を計上していますが、以降は業績を段階的に崩していく場面もありました。「先期は連結ベースで過去最高益」とお伝えしましたが、その際の年商は約250億円にまで下がっています。そちらの詳細は後ほどご説明したいと思います。

我々は国内のロードサイド店舗を主体に経営していますが、直近の2021年については「リユースで地域と世界をつなぐ」という目標を掲げました。さまざまな成長戦略を打ち立てていきたいと思っています。

飯村美樹氏(以下、飯村):最初に関東に進出した旧東大和店があった地域は私の出身です。

藤原:そうですか。

飯村:青春の地です。

藤原:そのようなことを言っていただくと、少し緊張感がほぐれますね。当時はTSUTAYAを真似した青色のお店でした。東京は「おしゃれなかたちにしよう」ということで、今は基本的に我々のコーポレートカラーの黄色やオレンジになっています。

飯村:小学生の時は毎日通いました。

藤原:ありがとうございます。モールの建て替えによってお店はなくなりましたが、非常にかわいがっていただいた地域だと記憶しています。

会社案内 ~拠点分布・店舗ブランド~

藤原:店舗ブランドの分布です。簡単にご説明すると、全国展開と言いつつも113店舗のうち創業の岡山で10パーセントを占めています。主な店舗は関西圏で、約5割の店舗が分布しています。関東圏は3割で、収益の源泉は屋号の「古本市場」です。

店舗ブランド ~古本市場(ふるほんいちば)~

藤原:「古本市場」のブランド店舗に関してです。スライドに掲載している写真でイメージできると思いますが、店舗のサイズは150坪から大きいもので400坪です。

今後はそのような大型店舗は構想にあまり入っていません。時代の流れの中で、さまざまな変化が起こっていると認識しています。そちらについても、後ほどご説明したいと思っています。

「古本市場」と言いつつも、売上ベースの構成比では古本は13パーセントくらいで、実際はそれ以外のメディア商品の売上が高いです。古物屋と思われがちですが、全体の50パーセントは新品を販売しています。

「それでは儲からないのではないか」というお話になりがちですが、中古屋が売れる新品商品をメーカーから供給できるのは非常に稀有で、それにより新しいお客さまが来店します。

上場当初の弊社の謳い文句は「メディアコンプレックス事業」で、古物屋としてのこれまでのイメージを打ち破るようなコンセプトが我々の大本にあります。

店舗ブランド ~ふるいち~

藤原:「古本市場」のまま続けると「古本しか売っていないじゃないか」ということになりかねないため、「ふるいち」はブランドの変更もある程度イメージしています。現在、社内的、対外広報的に流用しているのは、小型パッケージ店舗というコンセプトのものです。

小型パッケージ店舗は30坪から大きいもので60坪あり、とにかく上に積み上げて棚効率を上げていますが、棚が崩れないようにしっかりとした什器を使って安全面にも留意しています。

白い店舗の「ふるいちトキワ荘通り店」という店舗がありますが、これは同じ小型でも少しコンセプトが異なり、後ほどご説明するSDGsと言いますか、地方創生事業の一環として異なる意味合いを持たせた小規模店舗となっています。

店舗ブランド ~トレカパーク~

藤原:「トレカパーク」はトレーディングカードの専門店です。スライドの写真はフラッグシップ店舗で、秋葉原のラジオ会館にあります。非常に家賃が高いのですが、当然黒字となっています。当初は苦労した時期もありましたが、この小型パッケージ店舗の収益化が後のイオンモールの展開にも結びついています。

ECブランド ~子会社山徳のECサイト~

藤原:子会社の山徳社のECサイトについてです。当社は直近年度で業績を崩したことがあり、その時に大型のリストラを行っています。

事業としては、自社サイトを携えたEC事業をいったん廃止しました。子会社の山徳社は昨年のM&Aによりグループ傘下に入った会社ですが、こちらの事業と本体でシナジーを持たせ、今後はEC戦略に結びつけたいと考えています。

ちなみに、「古本市場」のリアル店舗と重複する部分で、例えばゲームに関しては棲み分けができています。山徳社はレトロゲームが得意です。

トレーディングカードはタイトルがたくさんあります。かなりマニアックなタイトルもありますが、そちらも山徳社が得意な分野です。「古本市場」はどちらかと言いますと、汎用性のあるものに非常に強いという側面を持っています。

中古リユース業態 ~買取から販売まで~

藤原:中古リユースの業態についてです。詳しい方もいらっしゃると思いますが、「イメージができない」というお話もいただいたことがあるため、あらためてご説明します。

まず、お客さまが持ち込んだものを買取ります。ECの場合は宅配買取ということで我々に送っていただき、そちらを値付けして査定します。その査定に関してお客さまにご了承いただいた場合は買取が成立します。買い取った商品はその後、クリーニングを行い、商品加工され、店頭あるいはECサイトで販売されます。

店に並んだもの、もしくはネットに出品したものをいくらで流通させるかというのは非常に重要な部分です。売価の設定は、各会社のさまざまな要素をトータルしたノウハウだと思っています。

弊社の場合はリアル店舗が主体ですが、リアル店舗の特性として「A店では売れないがB店で売れる」ということがあります。当社は拠点間物流をわりと早い段階で保有しており、非常に高回転な在庫の流通を実現しています。

いろいろな見方がありますが、数値指標などをご確認いただくとわかるように、他社と比べても財務政策上は非常に優良な運用を行っているという見方ができると思います。

それらが店舗やECサイトで販売され、お客さまが再び店舗に持ち込むというループです。レンタル屋を利用する方はすごく想像がつきやすいと思いますが、レンタルの仕組みを売買というかたちで行っている事業だとご理解いただくとわかりやすいと思います。

2022年2月期2Q損益とその推移① ~売上高~

藤原:第2四半期の数値をご説明します。スライドに直近5期の第2四半期の売上高の推移を載せていますが、当社はさまざまな特性があるため、2018年2月期についてコメントします。

この期は、某メーカーの新型ハードウェアが発売されました。先ほど「50パーセントは新品を扱っている」とお伝えしましたが、ゲームのハードウェア商品は利幅が大きくありません。しかし、それを求めるためにお客さまが100番目の整理券でも並んでくれます。ですので、そのようなものが発売されると売上がボーンと乗ってきます。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):ハードウェアは単価も高いですからね。

藤原:そのとおりです。月次のことでよくお話をいただきますが、そこを昨年対比で考えると、当社の事業コンセプトには非常に合いません。

成長期の時には気にならなかったのですが、今はこのようなメーカーの政策に影響を受けないように、中古商材でしっかりと利益を積み上げていくという考えを持っています。

その結果として当初のスタートにリストラを行うなど、さまざまな大英断を打った年なのですが、この後、売上がかなり下がっているのはそのような新品商品の流れが変わったことが一番大きな要因となっています。

一定の店舗閉鎖やリストラの影響で、取り扱っているもの自体はすごく儲かりますが、売上としては少ない状況です。古本は売上シェアが13パーセントですが、粗利益ベースでは全体の30パーセント以上という側面を持った事業です。

売上についてもう少し詳しくご説明します。2021年は巣ごもり需要で放っておいても非常にたくさん売れました。結果として、棚に商品が並べられない閑散とした店になるくらい在庫の回転が上がってしまいました。

このような状態はお客さまに求められてありがたい反面、過去の推移としてはなかなか厳しい状況になってしまいました。IRでは毎回お伝えしていますが、これに甘んじてはいけないということでいろいろな準備を行い、2022年度はある程度落ち着きました。

巣ごもり需要で最もありがたいことは、テレビCMなど販促で多くのお金を使わなくても、お店のことをお客さまに知ってもらったことです。

ですので、非常に慎重に1年前と比較して数字の推移を見ても、直近数ヶ月に関しては心配していたことが起きず、安定してお客さまにご来店いただけています。

ただし、2021年2月期も同じく巣ごもり需要の影響があり、また、非常に売れるソフトウェアが発売されました。そのような状況を経て、2022年2月期に入りました。

帳尻合わせでもう1つ情報を付け足しますが、山徳社という子会社の売上は、取得した時点で年商15億円の会社でしたが、2021年度の半期決算の時点では、いわゆる損益計算書の売上には含まれていません。

極度に巣ごもり需要の影響を受けたところは下がったものの、結果として、山徳社の売上を足したかたちでバランスが取れているという見え方になっています。こちらは後ほどご説明します。

2022年2月期2Q損益とその推移② ~売上総利益と販売管理費~

藤原:粗利益ですが、子会社のインターネットでの売上と粗利益が乗ってきている関係で、非常に利幅が上がっているように見えています。

特に山徳社はマーケティング力に非常に長けた集団で、私は社内的には彼らは頭脳集団と評価しているのですが、当社が失敗して不採算事業だったEC事業は彼らの功績で利幅が高くなり、そちらが反映されています。

坂本:ここでいろいろと質問させていただきたいと思います。足元の業績の伸びは山徳社のECの貢献とご説明いただいたのですが、山徳社は基本的に中古品のみを販売していますか? それとも新品も販売しているのでしょうか?

藤原:基本は中古品です。

坂本:中古品は商材によってマージンがかなり違うと思いますが、店舗よりECのほうがマージンは取れるのでしょうか? マニアックな商品を売っているというお話もあったため、そのあたりのイメージをお聞かせください。

藤原:ネットにさらすと比較されるため、店舗とまったく同じ商品や売り方の場合は店舗のほうが儲かると思います。

坂本:ライバルがいるからですね。

藤原:そのとおりです。私自身ももともとそのような印象を持っていたため、ECを立ち上げるのは非常に難しいと思っていました。

しかし、山徳社は少ない資源や販促費を集中的に充てて、それを漁場からしっかり吸い取ってくることを実現していました。組み合わせとしても、当社と重複するところが少ないです。

商材の取扱いについて非常によく理解しているところはかぶっていますが、そのような意味では親和性が認められるということで、当社としてグループ傘下に入っていただいたことは非常にありがたいことだと評価しています。

坂本:足元の業績は非常に好調ですが、過去にわたり業績が低迷していることについて冒頭で少しご説明がありました。過去の低迷の理由とその時に行った取り組みなどがありましたら教えてください。

藤原:私は前職が銀行員で、当社が上場した次の年くらいに末端の社員として入社しています。その時点で電子コミックがすでに存在しており「古本の時代は(将来的に)終わる」と言われていました。

そのような未来の展望に会社が非常に過敏になり、動かされ、結果として新しい投資に気持ちが向かっていったと思います。

しかし、我々は今でも古本商材を柱として儲けさせていただいています。私は経理を担当したり、途中からは財務担当役員として見てきましたが、そのような時代の流れに対して過敏なところが既存の商材を磨き続けることを捨てしまっていると非常に感じていました。

最終的に業績を崩し、「なんとかしないといけない」となった時には、人材を見つめ直すしかありません。

しかし、私は当社における既存商材にまだまだ伸び代がたくさんあることを明確に意識していたため、私でも変えていけるのではないかということで現場の協力を取りつけ、そのような動きを反映していけたのではないかと思っています。

坂本:変化に対応しきれなくて経営できなくなったというパターンが多いですが、どちらかと言いますと、前向き過ぎて空回りしたというイメージでしょうか?

藤原:その部分は大きかったのではないかと思います。また、業界のリーダーとして我々より年商が高い大手がいますが、我々はこの程度の古本屋ですので、逆に言いますと全体のマーケットではまだまだできることがあるということになります。

これから先はさまざまなことに打って出る必要があると思っていますが、リストラの渦中で考えるべきことは、「磨いていない靴はもっと磨けばきれいになるじゃないか」といった部分があまりにもたくさんあったということです。

それを考える中で、副産物として新しいひらめきがたくさん出てきたということが今の状況につながっていると自己評価しています。

坂本:実際に今も結果が出ています。

藤原:そのとおりです。いろいろな経営者の方から聞きますが、基本このようなことは後付けのようなところがあります。しかし、幸いにも末端社員から入社したため、「ここには一生懸命やれることはあるな」と、会社の事情をよく理解できていたのかなと思います。

坂本:また、人気商材を扱うことで利益を伸ばしていくというのは、おそらくリアルの店舗も同じだと思います。

利益が伸びた源泉はECの部分もあったと思いますが、御社が強みとしている在庫の回転が早くなったためでしょうか? それとも、人気商材であるからこそ、マージンが取れるようになったためでしょうか? どちらが一番利益貢献しているのか教えてください。

藤原:中古商品を伸ばしたことで利益が取れるようになるというのは、そのとおりです。いろいろな会社がありますが、得手不得手の部分をしっかり見ていくと棲み分けすべきところがけっこうあります。

リユース業界も新品業界も、私は「会社の特徴がすごくあるな」と思っています。我々の場合、特徴的に言いますと、単なるチェーン店ではないということです。その特徴が明確にあるからこそ、「地域で一番店を目指す」というコンセプトを過去から持っています。つまり、日本全国津々浦々に店舗があるわけではないので、全国的に名前は売れていませんが、その近隣で聞くと「うちってけっこうすごいでしょ」「人気あるでしょ、品物あるでしょ」ということになります。

そして、メーカーとのつながりにより、新品が強いところに重要なポイントがあります。メーカーは、例えば売れる商品があっても、ぽっと出ではそれを仕入れさせてくれません。

過去からのさまざまな取引の経緯や、「ここの店でこれだけ売ってくれていたよね」という信頼関係が必要です。

我々は全体のグロスの取引高は小さいかもしれませんが、1店舗あたりで見ると、売れ筋商品の売上高は非常に高いと思っています。ですので、そこが強みであり、それがあるからこそお客さまが並んでくれます。

一方で、高回転商品はリスクも高く、きちんと捌ききるには会社の能力が求められます。そのため、それらを維持するためのコストも十分にかけながら、体制を整えています。

当期はおかしな因果ではありますが、そこへ巣ごもり需要が大きなアドバンテージとなって、販促効果という副産物をもたらした状況だったと分析しています。

2022年2月期2Q損益とその推移③ ~四半期純利益~

藤原:最終利益についてご説明します。私は2018年2月期から社長に就任しています。当初はいろいろな損切り、リストラを断行したため、大変見栄えの悪い数字になっています。実際のところ、「本当にこれでいけるかな」と不安はありましたが、そこから徐々に利益を回復させ、今日に至った推移をスライド左下のグラフで示しています。

2021年2月期はあまりにも特殊な要因があったため、結果として少し直近期はへこんだように見えますが、当初、3年前くらいに描いた当期の経営成績としては、上出来な状況です。

2022年2月期2Q貸借と主要科目の推移

藤原:スライドに記載のとおり、自己資本も安定してきています。自己資本にこだわるのが正しい経営かと言いますと、私自身そうは思っていません。しかし、会社がいったんどん底まで下がってしまうと、いろいろな信用を失墜することになります。自己資本をしっかりと築き上げないことには、スタートの話ができません。ですので、自己資本を厚くすることにこだわろうと、さまざまな対策を行いました。結果として、自己資本は20億円から約倍の40億円となり、全体の資産に占める自己資本比率は、調子がよかった安定期に匹敵するほどの数値を示しています。

ただし、ここから先は新しいことに打って出なければいけないと意識しています。

グループの経営理念と成長戦略

藤原:成長戦略についてご説明します。スライドのとおり、企業理念は不変的なもので、すべてのステークホルダーに対して「満足を創る」ということを実践していきたいと思います。現在は欠けている部分も多々あり、いろいろなご指摘も受けていますので、そこをいかに埋めていくかが非常に重要だと思っています。

中長期的な方針として「リユースで地域と世界をつなぐ」ということで、地方の街の隅で取り組んでいることを、最終的には海の向こうに飛び出して行っていきたいと思っています。いろいろな手段がありますが、リアル店舗、EC戦略を考えています。

また、成長戦略の主な3点として、「中核事業であるリユースを拡大すること」「ECの領域に注力すること」「経営基盤を強化すること」を掲げています。毎年見直しするものではありますが、成長戦略としてリユースの店舗領域、EC領域、BtoB領域に取り組んでいきます。

グループビジョン

藤原:リユースで地域と世界をつなぐことについてです。放っておくと国内の需要は人口減少等を含めて厳しい状況が見えてきます。我々が取り扱っているエンターテインメントコンテンツの中でも、特に漫画から発祥するアニメや、それにつながっていくゲームといった一連のエンターテインメントは世界共通ですので、そこを目指すことを強く意識しています。

グループビジョンの実現を目指して経営方針として注力する事項

藤原:リユースの一つひとつの拡大については、当然、取扱商材を広げていきますが、ただ闇雲に増やしていくつもりはありません。しかし、なるべく早く商材を全部取り扱える体制に整えていきたいと思います。もちろん自社で行うこともありますが、全国にはいろいろな会社がありますので、私としてはアライアンス、業務提携、M&A戦略などの実現を掲げていきます。

EC領域への注力については、自社サイトをテイツー本体ではなくしたため、当然それにぶら下がる物流も現在は持っていません。いわゆるECのショッピングモールの力を借りて、わずかながら数億円単位でECの実験をテイツー単体で行っており、利益創出を実現しています。

さらに、子会社である山徳社の年商において「これだけは儲かる」事業を、シナジーとして結びつけていくのがグループECサイトの構築の主旨です。

経営基盤の強化については、この5年間を考えたときに重要なのは人材であると考え、人材投資として、内部の従業員のブラッシュアップに懸命に取り組んでいます。今回のIRに関する一連の広報ひとつをとっても、まだまだ社内のリソースも足りていません。会社活動をさらに強化することによって、人材の底上げを実現していきたいと考えています。

3つの事業領域における成長戦略

藤原:リユース店舗領域、EC領域、リユースBtoB領域について、スライドに項目ごとに落とし込んでいます。こちらは後ほど補足します。

【成長戦略】 リユース店舗領域 ~基幹システム刷新~

藤原:表では見えづらいものですが、奥底に走っているシステム管理が儲けを出す上で非常に重要なリソースとなっています。システム管理の刷新について、部分的にはすでに段階的にリリースしていますが、完全なかたちにするために、IR広報の表現自体も今後調整を加えつつ、いろいろお伝えできればと思っています。

【成長戦略】 リユース店舗領域 ~「ふるいち」店舗計16店舗に~

藤原:リユース店舗領域の「ふるいち」店舗に関してです。直近1年で10店舗のイオンモールへの出店を行っています。イオンモールに出店する最大のポイントは、広報能力の一貫として、「『ふるいち』がここにありますよ」と見せられることです。不特定多数の方に見てもらえるため、場合によっては利益と差し引きゼロでも、出店の意味があるという理由で着手してきました。

また、当社は棚効率のよい商品が強く、例えばトレーディングカード、ゲームのソフトウェアは商品自体も非常に薄いため、数多く置くことができます。そして、それら商品は背の高い什器に積み上げられます。

スライドの写真左側に古本が写っているのですが、これはセット本と言われる、コミックを1巻から最終巻(最新巻)までセットにして販売している商品です。当社はたかだか100店舗しかありませんが、特徴としては全部直営のため、このようなセット本が揃いやすくなっています。

このように特殊性、特異性を持ち、リユース品が主体で利益率が高いというのも「ふるいち」の特徴です。現在の諸条件の環境下においては、イオンモールへの出店は有効な手段として加速していきます。

年内の店舗はいったん10店舗で見合わせる予定ですが、引き続き活況な状況を受けて、さまざまなお声がけも受けているため、期末対策に向けて動いています。追加の出店については、イオンモールの場合は非常に短時間で出店ができるメリットもありますので、状況を見ながら積極的にもう少しがんばっていってもよいのではないかと考えています。

【成長戦略】 グループECサイト構築

藤原:グループECサイトの構築についてです。「最終的に2026年に100億円の利益を積み増す」というのが、グループECサイトの立ち上げに向けての目標値となっています。この目標の実現性としては、ノウハウ、ベースの考え方自体はすでに搭載しています。

さらに、躯体としてそれに耐えられるような仕組みをきっちりと積み上げたいということで、少々時間がかかる計画にはなっていますが、対応していきたいと思っています。

坂本:よくある「リアル店舗とECとで両方の在庫を一緒にして売る」という構想でしょうか?

藤原:ゆくゆくはそのようなかたちに持っていくのも1つの案だと思います。いろいろと考えた時に、環境の構築、コストと折り合うかなど、結局はどの会社でも、部門ごとの評価では「EC対店舗」のかたちになってしまいます。

坂本:そうですね。そのため「商材を被らせないように」とお話ししていました。

藤原:そのとおりです。当社の考え方としては、基本的に店舗で売りにくいものをECにて販売します。売りにくいものは売れないものということでもなく、より高価なものであったり、非常にマニアックなものであったりします。一見すると需要が見込めなさそうなものも、全国に向けて販売するとそれが欲しくてたまらない方がいます。

しかし、これは単純にデータ分析だけで見えるものではなく、スタッフが、きちんと棚を整理していなければお客さまは見つけにくいものです。場合によっては店舗のデータをサイトに正確に表示して、「この在庫があるよ」という環境を設けておけば、お客さまは見つけてくれます。

これにはいろいろな準備があると思いますが、一連の環境を整えて、店舗でさまざまな事情を踏まえたオペレーションを行うのは、案外難しいことだと思っています。

また忘れてはいけないのが、理論上に合わせて動くと、損することも多いということです。創業者から昔聞いて「なるほどな」と思った逸話があります。創業当初、当社では古本を売っていましたが、ある日突然ファミリーコンピュータのソフトウェアが数多く持ち込まれました。値付けがわからず、わりに合うようにそのまま置いていたところ、結果としてそれがとてつもなく売れました。

今と違って当時はそのようなショップが少なかったため、「いくらだったら売れる」という価値が創業者にはわかりませんでした。「面倒だし、管理しきれないから」と置いていたところ、専門店だったら本当は相当な価値がついているものもあったため、お店は宝探しの場になったということです。それこそ最大の販促施策であり、私はこのお話は忘れられません。

投資に向けた発想だけでは、損をすると思っています。ですので、いろいろな状況に合わせたアイデアや工夫が生かされるような店舗でなければ、生き残りにくいのではないかと考えています。

【成長戦略】 リユースEC領域(山徳)~機能向上、新規商材~

藤原:山徳社の特殊性に関してです。大所帯のテイツーではなかなかすぐに手がけられないことも、山徳社では「やろう」と思えばすぐできます。最近では、レコードがわりに合うのではないかということで始め、いとも簡単に黒字化しました。まだまだ影響額は少ないのですが、このようなおもしろいことを実験できています。

【成長戦略】 リユースBtoB領域 ~店舗支援/TAYS/トレカ自販機/マスタ提供~

藤原:リユースのBtoB領域については、今後、当社のプラスアルファの成長戦略として重要だと考えており、現在明確に着手しているのは、トレーディングカード関係です。トレーディングカードを通じて、事業としてサポートすることにより、さまざまな会社との提携によって関わりを持っていきたいと思っています。

もともと、当社の100店舗用に作った仕組みの中で動いていますので、それを実現できたら、低コストでいろいろなご提案ができると思っています。

【成長戦略】 リユースBtoB領域 ~店舗支援 トレカパーク店舗パッケージ提供~

藤原:トレカパーク店舗パッケージに関しては、FCとして、いろいろなご支援をできるようにします。メリットの1つは、テイツーオリジナルの当社にしかメーカーが入れてくれない商品、すなわち認定を受けた店舗でしか取り扱えない商品も持っているため、そのようなメリットを店舗に供給していくということです。

【成長戦略】 リユースBtoB領域 ~TAYS(テイズ)の進捗状況~

藤原:店舗の一連の事務作業を支えているのは「TAYS」という機器の活躍によるものです。現在、営業もいろいろな会社のオファーを受けて展開していますが、こちらも早く収益化に結び付けて、来期は数字に乗せたいと思っています。

【成長戦略】 リユースBtoB領域 ~トレカ自販機~

藤原:トレカ自販機についてです。トレーディングカードはかなり自販機で売れています。デジタルサイネージ自販機は、スマホの電波を受け入れて広告を流していますが、今後注目される仕組みですので、当社は連携する会社とともにいち早く着手しています。

また、一般的なところで、もう少し簡単な仕組みの自販機でもトレーディングカードを売っています。どちらがわりに合うかはきちんと吟味しつつ、デジタルサイネージ自販機のような先進的なことにも着手していきたいと思っています。

成長戦略としてのM&A

藤原:M&Aに関しては、アライアンスのように、どこかの会社を傘下に入れて仕切るという考え方は基本的には持っていません。事業の穴を埋める有効な業務提携として、傘下に入ってもらうようなM&Aを志向して、いろいろなお話をうかがいたいと思っています。

SDGs達成へ向けた当社の今後の貢献領域

藤原:SDGsについてです。昨今、「ESG経営」などがささやかれている中で、当社は広報活動の一環として、また街で必要とされる会社になりたいというただその一心で、この4年間、いろいろな活動を行ってきました。

結果として、それが今世の中でSDGsと言われていることにすべて当てはまり、現在は広報上もそのように記載するようになりました。

ふるいち 地方創生プロジェクト

藤原:スライドにあるとおり、全国で地方創生のプロジェクトを進行しています。スライド左側にある「リアル店舗事業にEC事業を足す」というのが、通常の本業の儲け方です。加えて、同時進行で少ないリソースを使い、無理のない範囲で積み上げてきた「ふるいち 地方創生プロジェクト」では、広報活動のサポートや、新たな出店エリア外での活動を行ってきました。

活動機会を通じて、結果的には新規事業の開拓や、「開発領域を広げていきたい」という活動に結びついています。

【成長戦略】 ~機能戦略 その他~

藤原:機能戦略としては、さまざまなことがある中で、配当政策や株主への政策などが、「満足を創る」というテイツーの経営理念において後手に回っていたと思っています。

先般の広報で開示したとおり、復配はようやく1円となりました。そこに甘んじることなく、各戦略の提示を経て、下期以降もいろいろな可能性を探りながら、ステークホルダーのみなさまにも提案を行っていきます。

2022年2月期の連結業績予想

藤原:期末の予想についてです。先般、上方修正して、着地は経常利益9億5,000万円水準と開示しています。昨年の状況を踏まえると、足元の業績が下がるのではないかと心配もしていましたが、今のところは順調です。

年末年始の仕上がりが、数値としてはインパクトが非常に大きいため、いろいろな状態を勘案しながら、みなさまによい報告ができるように従業員ともども一丸となってがんばっていきたいと考えています。

質疑応答:FC展開を行う他社他店の業種について

坂本:スライド28ページについての質問です。全店直営で経営されており、これからFCに踏み切る準備がだんだんとできてきたのではないかと思います。

例えば、イオンモールの出店では、150坪も400坪も必要なく、ある程度コンパクトに運営でき、また、特殊な技術として買取の技術や知識がありますので、「TAYS」で対応できると思います。このためFC展開は可能で、おそらく手を挙げたいところもあると見受けます。

トレーディングカードは今は少しですが、金券ショップでも取り扱っているところがあります。しかし、金券ショップは今一番の売れ筋である新幹線の回数券がなくなってしまいます。外貨両替などは場所はよいのですが、大幅に商材がなくなる場合は潰れたり、店を畳んだりするところも多く、FC展開したいのではないかと考えます。そのあたりのFC展開をどのように考えているか教えてください。

藤原:今、リアルにニーズがあり打診されているお客さまは、近しい商材を取り扱っている同業他社です。新刊本、ゲーム自体を取り扱っている会社が多いように思います。

結果として、既存の商材に親和性があって、すでに目に見えるお客さまがいると提案しやすいというのはあると思います。ですので、優先順位としても、そのような関わり合いが強いと思っています。

トレーディングカードに特化した提案に関しては、非常に汎用性が高く、FCのような動きがしやすいため、過去には古本市場全体をFC化する取り組みを行ったことがあります。しかし、当社の従業員が動くとうまくいくのですが、古本市場事業全体のFC化となると、各商材ごとのボリューム幅が大きいこともあり、会社へお渡しするとうまくいかず、当社の従業員が訪問することもありました。当社従業員が介入すると、月販を3割増で作りますので、そこには特性があると思います。

トレーディングカードに関しては、当社の店舗において実証済みですが、トレカの知見がなく、苦手意識がある従業員でも取り扱うことができます。そのため、100店舗体制の流通の中にお客さまの会社を組み入れることは、当社としてもありがたく、お客さまの会社もそのようなネットワークのおかげで安定的に新品、中古の供給を受けられるということになります。

質疑応答:トレカパークの出店費用について

坂本:「トレカパーク」は今後も黒字となるのであれば、増やしていけると思います。どのくらいの予算で出店できますか?

藤原:モデルケースで、わりと鉄板として社内で定義しているのは、小規模の30坪の月販で1,000万円、年間で1億2,000万円です。モールの場合は、工事費と初期投資、什器込みで1,000万円くらいになります。在庫は新品と中古を合わせて2,000万円を費やすとかなり充足します。逆に「30坪に突っ込めるのですか?」という話もありますが、店舗に並べることはできています。

坂本:出店予算はほぼ3,000万円、回収も1億2,000万円のボリュームとなると、「結構いけるかな。FCもなかなかいけるんじゃないかな」と個人的には思いました。

藤原:そこをなんとか広げていきたいというのが今の思惑です。

質疑応答:IRの今後のイメージについて

坂本:IRに関する質問です。中古品と新品の構成が変化するため、月次の業績発表を途中でやめられましたが、投資家としては見たいと思います。今後、復活しますか? 

また、本日のお話にて、商材の中古と新品はハードウェアが売れている時期があったり、ソフトウェアでヒットが出たりするとブレて、投資家が間違うことがあります。実際は分ければよいと思うのですが、そのあたりのIRのイメージを教えてください。

藤原:分けて記載していたこともありましたが、なかなか伝わりにくく、本来は伸びていくかたちを作らなければならないため、本当に申し訳ない判断だったかもしれません。しかし、我々も表現によっては、モチベーションが上がるイメージを持ったところがあります。

直近では、事務局でも工夫して瓦版というかたちで、数値は出していませんが、極力いろいろな情報を開示しようと着手しています。みなさまの反応も見ながら、善処していければと思っていますので、引き続き温かい部分と辛辣なご意見をいただければと思います。

坂本:おそらく、今回のIRで「結構おもしろい」と思った方もいると思います。今後も、IRの発信に注目してもらいたいと思います。