2021年度(2022年3月期)第2四半期 連結業績(前期比)
山名一彰氏:CFOの山名でございます。2021年度第2四半期の決算概要について、ご説明申し上げます。
なお、2021年度より収益認識に関する会計基準を適用しています。そのため、決算短信では売上高の前期との比較がしにくくなっています。本日ご説明する資料においては、2020年度の数字を新たな基準に組み替え、実績数値との対比がしやすいように表記していますので、ご承知おきください。
スライド3ページをご覧ください。まず、前期と比較して業績のハイライトをご説明します。売上高は、コンビニエンスストア等を中心に一部業態においては回復基調が見られるものの、前年の家庭内食品需要の反動減や取引の見直し等により、前期比82億円、率にして0.8パーセント減収の1兆88億円となりました。
利益面については、物流効率化施策による物流コストの改善に加え、モバイルワークのさらなる浸透が販管費の減少に寄与したことなどにより、営業利益は前期比プラス23億円、率にして37パーセント増益の83億円、経常利益は前期比プラス22億円、率にして33パーセント増益の90億円となりました。
この結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年の固定資産売却益の反動減をカバーして、前期比プラス7億円、率にして13パーセント増益の63億円となりました。これにより、1株当たり四半期純利益は25円6銭増加して122円16銭となりました。中間配当はすでに公表のとおり、前年より10円増配の1株当たり35円とします。
2021年度(2022年3月期)第2四半期 品種別売上高(前期比)
売上高について、品種別でご説明します。このスライドは、品種別売上高の金額と構成比、売上金額の前期比を示しています。主要増減についてご説明します。
「缶詰・調味料類」および「麺・乾物類」については、前年の新型コロナウイルス感染拡大初期における家庭内食品需要の反動減により、減収となりました。次に「菓子類」は、CMの効果により輸入菓子のハリボーが好調に推移したことに加え、人気アニメの玩具菓子が伸長したことなどにより、増収となりました。
「冷凍・チルド食品類」は、業務用商材などで回復基調が見られたものの、採算管理の徹底に伴う取引の見直し等により、減収となりました。最後に「ビール類」は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う飲食店の酒類提供停止に伴い、業務用商材は大きく減少したものの、一部業態の伸長や家庭用商材が堅調に推移したこと等により、増収となりました。
2021年度(2022年3月期)第2四半期 業態別売上高(前期比)
売上高を業態別にご説明します。このスライドは、業態別売上高の金額と構成比、売上金額の前期比を示しています。主要増減についてご説明します。
「SM(スーパーマーケット)」は前年の家庭内調理増加の反動減や一部取引の見直 しなどにより、減収となりました。「CVS(コンビニエンスストア)」は、オフィス街や繫華街を中心とした人流の回復などにより、増収となりました。
「ドラッグストア」は、前年のコロナ禍における反動減や一部取引の見直しにより、減収となりました。「その他直販」は、ディスカウントストアなどとの取引拡大に加え、コロナ禍で伸長しているEC事業者との取引が好調に推移したことなどにより、増収となりました。
2021年度(2022年3月期)第2四半期 セグメント別業績(前期比)
セグメント別の業績について、前期と比べた概要をご説明します。まず「加工食品」については、売上高は前期比83億円減収の3,426億円となりました。これは、前年の家庭内食品需要の反動減や取引の見直しなどによるものです。
営業利益は、売上高の減少に伴い売上総利益が減少したものの、物流コストを含む販管費の改善などにより、前期比6億円増益の18億円となりました。次に「低温食品」については、売上高は前期比34億円減収の2,914億円となりました。
業務用商材などの一部業態で回復基調が見られたものの、取引の見直しなどの減少分をカバーするに至らず、減収となりました。営業利益は、取引見直しに伴う採算性の向上と物流コストを含む販管費の改善などにより、前期比15億円増益の50億円となりました。
「酒類」は、売上高は前期比12億円増収の2,406億円となりました。緊急事態宣言下における飲食店の酒類提供停止に伴い、業務用商材は大きく減少したものの、ディスカウントストアなどとの取引伸長や家庭用商材が堅調に推移したこと等により、増収となりました。営業利益は、物流コスト等は改善したものの、受取リベートの契約期間変更の影響により、前期比3億円減益の13億円となりました。
また「菓子」については、売上高は前期比20億円増収の1,330億円となりました。これは、コンビニエンスストアのオフィス需要の回復に加え、輸入菓子のハリボーがCM効果により好調に推移したことなどによるものです。営業利益は、売上高増加に伴う売上総利益の増加に加え、販管費の改善などにより3億円増益の10億円となりました。
2021年度(2022年3月期)第2四半期(累計) 特別損益明細(前期比)
特別損益についてご説明します。特別損益は、前期比16億円の減少となりました。そのうち、特別利益は前期に計上した固定資産売却益の反動減により前期比18億円減少しました。
特別損失は、前期に実施した本社移転に伴う経費計上の反動減などにより、2億円改善しました。わが社では、引き続き投資有価証券の保有意義の見直しや固定資産の有効活用、不稼働資産の処分などに取り組んでいきます。
2021年度(2022年3月期)第2四半期 B/S(前期末比)
当第2四半期末の貸借対照表(B/S)です。2021年度第2四半期末の総資産は、6,647億円となりました。前期末と比較すると196億円の減少です。流動資産は、わが社が5月27日付で公表した、自己株式取得を自己資金で実施したことなどにより200億円減少の5,124億円となりました。
固定資産は、前期比で4億円増加しています。内訳は、有形固定資産で8億円増加、無形固定資産で2億円減少、投資その他の資産で2億円減少しています。
有形固定資産の増加は、主に得意先の専用センター新設などによるものです。純資産は、自己株式の取得および消却により310億円減少し、1,661億円となりました。1株当たり純資産は365円45銭増加して、3,811円15銭となりました。自己資本比率は25.0パーセントです。
2021年度(2022年3月期)第2四半期(累計) 投資等の状況
投資等の状況の当第2四半期実績と年間計画をお示しします。第2四半期の設備投資額は、40億円となりました。主な内訳は、物流センターの新設に加え、既存センターの庫内設備等の更新投資などによるものです。
システム開発等の投資額は18億円となりました。物流センターの運用システムに係る開発や、デジタル技術の活用に係る開発などが含まれています。事業投資は事業会社株式の取得により11億円を投資しました。投資総額は69億円、償却額・支払リース料は総額で53億円となりました。
なお、2021年度の投資計画に関しては、期初にご説明のとおり設備投資で80億円、システム開発等の投資で50億円、事業投資で50億円、総額180億円を見込んでいます。
わが社はこれからも、デジタル技術活用への成長投資や物流センターの新設、既存センターの更新投資を行います。さらには、事業領域の拡大を進めていく上で、新たな事業会社株式の取得についても積極的に取り組んでいきます
2021年度(2022年3月期) 業績予想
2021年度通期業績予想についてご説明します。業績予想は、本年5月に公表した期初の連結業績予想を据え置いています。上半期の業績についてはご説明したとおりで、計画に対して順調に推移しています。下半期についても計画達成に向け、全社で取り組んでいきます。
配当金については、前期より20円増配して1株当たり年間70円を予定しています。以上、2021年度第2四半期決算概要についてご説明しました。
※ 自己株式消却について
最後に、わが社が7月20日に公表した自己株式の消却についてもご説明します。わが社は、新たな中期経営計画における資本政策および株主還元政策の一環として、5月27日付にて公開買い付けによる自己株式の取得を実施し、取得した株式を含めた自己株式を8月31日に消却しました。
これにより、わが社の一株当たり当期純利益や一株当たり純資産を向上させ、株主還元施策を実施することで、企業価値向上に努めていきます。私からの説明は以上です。ありがとうございました。
(1)目指す在り姿 【再掲】
京谷裕氏:みなさま、こんにちは。三菱食品の京谷でございます。本日はご多用のところ、ご参加いただき誠にありがとうございます。緊急事態宣言が解除され、行動制限の緩和に伴い、「Afterコロナ」を見据えた新しい生活へと、みなさまの暮らしや行動が変わりつつあることと思います。
一方、第6波の到来が懸念されるという報道などもあり、まだまだ予断を許さない状況であるため、本日は、Webシステムでの開催とさせていただいております。それでは、さっそく説明に移らせていただきます。
5月末に開催した2020年度決算説明会において、三菱食品の「中期経営計画2023」をみなさまと共有させていただきました。こちらはそのときに投影した、三菱食品が「目指す在り姿」を示したスライドです。
コロナ禍の拡大という逆風下ではありますが、新たに「食のビジネスを通じて持続可能な社会の実現に貢献する」というパーパスを掲げ、「次世代食品流通業への進化」を目指し、さまざまな取り組みを開始しています。
社⾧に就任してからの約半年間、コロナ禍の影響もあり、社員と直接対話する機会は限定的と言わざるを得ませんでしたが、リモート環境の充実というメリットを最大限活用し、全国約4,000名の社員とオンライン対話を計24回実施しました。
オンラインとはいえ、社員との直接対話を通じて「中経2023」の新たな考え方や価値観をしっかりと伝えることができましたし、「目指す在り姿」の実現に向けた社員一人ひとりの覚悟と大きなエネルギーを実感することができました。
(2)中経2023の全体像 【再掲】
こちらのスライドも、5月末に共有させていただいた「中経2023」の全体像を示したものです。その際にもご説明したとおり、「中経2023」では、早期に着手し、かつ継続して推進していく、スライド上段の「【1】機能向上への取り組み」と、中⾧期的な視点で推進していく、スライド下段の「【2】地域での取り組み」の2つを柱としています。
中⾧期視点での「地域での取り組み」については、具体的な成果はまだまだこれからという段階にあるため、その進捗と成果はあらためてご紹介させていただきます。本日は、スライドで赤くお示しした部分、「【1】機能向上への取り組み」の一部の進捗について、上期のトピックスを共有させていただければと思います。
また、スライドに記載はありませんが、「中経2023」を通じて「サステナビリティを中核に据えた経営へのシフトを進める」とも同時にお伝えしました。みなさまもご存知のとおり、昨年来、日本政府が2050年の温暖化ガス排出量実質ゼロ、2030年の温室効果ガス46パーセント削減、つい最近では、新たなエネルギー基本計画を発表するなど、サステナビリティを取り巻く事業環境は刻々と変化しています。
当社においても、私自身がチーフ・サステナビリティ・オフィサー(CSO)に就任し、今年新設したサステナビリティ委員会を通じ、現在サステナビリティ重点課題の見直しを進めているところです。
その見直し内容についても、それがまとまるタイミングで、あらためてその結果をご紹介させていただきたいと考えています。
(3)コロナ禍の継続を通じて加速された機能向上の取り組み
まず当社は、コロナ禍が継続する中で、日本の食を支えるライフラインとしての「安定供給体制強化」の取り組みを優先して加速してきました。
特に、お客さまに商品をお届けする最前線となる物流センターにおいては、BCP対策マニュアルに「コロナ対応」を追加して再整備を行うとともに、感染対策を徹底強化しました。
また、お客さま各社の状況に応じて配送回数の見直しなどを行い、積載効率の向上を図るなど、お客さまと一丸となって物流効率化も推進してきました。一部センターにおいては、ドライアイスから繰り返し利用が可能な蓄冷剤へ、冷媒の切り替えも推進中です。これにより、コストとCO2排出量、双方の削減を図っていきます。
営業面においても、対面商談ができないなど、営業活動が制限される中で、リモートインフラも駆使して、感染状況に応じた食需要の変化に柔軟に対応しながら「Withコロナ」に適した提案を効率的に行う体制を整備してきました。
社内における各種業務についても、RPAの拡大やAIを活用した業務効率化を継続して推進し、コスト削減に努めるとともに、新たな業務や人財教育のための時間の創出も、同時に推進してきました。
加えて、全国の事業所においても、リモートワークのインフラを整備・強化しました。例えば、社内書類ワークフローのデジタル化や、契約書の一部電子化などですが、これらは結果として、働き方の見直しや生産性の向上にとどまらず、事務経費や通勤費のコスト削減にもつながっています。
当社は、引き続きデジタルを活用したさまざまな効率化・コスト削減を進めるとともに、業界のみなさまとも連携しながら、持続可能な食の流通の構築に取り組んでいきます。
(4)商品開発
今年上半期に発売した当社の新商品をご紹介します。健康や環境に対する意識の高まり、度重なる行動制限による外出自粛など、生活者のみなさまの意識やライフスタイルの変化が加速しています。当社は、そのような潮流をタイムリーに捉えて、生活者ニーズに対応した商品開発を進めてきました。
例えば「健康」に関しては、従来から「からだシフト」シリーズの展開を進めてきましたが、巣篭り生活が長引く中、運動不足によるダイエット意識の高まりも受けて販売は好調に推移しており、随時新商品を継続発売してそのニーズの変化に応え続けています。
また、今後環境配慮型の包材への切り替えも順次進めていく予定です。
「ライフスタイルの変化」を捉えた商品開発も推進しています。例えば、ワインの飲用シーンが多様化し、瓶に比べて「開けやすい」「捨てやすい」「割れにくい」缶入りワインの需要が伸びています。
当社も、今年9月に、1人でも飲み切れる「ナチュラルオーガニック缶ワイン」を発売し、好評を博しています。そのほかにも、「簡便・時短の調理ニーズ」や「ごほうび需要ニーズ」などに応えるべく、新たな商品開発も積極的に進めています。
今後は、輸入商品も含め、より社会の「持続可能性」を意識した商品を展開していきたいと考えています。
(5)デジタル関連施策
当社では、「中経2023」の取り組み全体を支える経営基盤となる「デジタル人財育成」を、一層スピードを上げて進めています。各部署の課題に対応した28のプロジェクトと64の分科会を組成し、デジタル技術を活用してさまざまな課題解決を推進する取り組みを、この上半期に立ち上げました。
そのような業務に直結する「オン・ザ・ジョブ・トレーニング」と、リモート研修を中心とする「オフ・ザ・ジョブ・トレーニング」の両輪で、「デジタル人財の育成」を加速しています。中経期間中に、全社員の2割以上を「デジタル人財」として育成する計画ですが、順調にスタートをきっており、今年度終了時には、社員の1割程度がレベル1以上の「デジタル人財」に育つ予定です。
また、社内におけるコミュニケーション・インフラも刷新し、全社員が効率的にデジタルを利活用できる新しいコミュニケーション体制も整えました。なお、これらのさまざまな取り組みを評価していただき、今年9月に経済産業省より、食品卸として初めて「DX認定事業者」の認定を取得しました。
(6)ダイヤモンドフェア2021
最後になりますが、11月30日より2年半ぶりに「三菱食品ダイヤモンドフェア2021」を開催します。そのテーマは「食で創造する、持続可能な社会。」です。さきほども触れましたが、⾧きにわたるコロナ禍により、生活者のライフスタイルやニーズは大きく変化しました。
「Withコロナ」から「Afterコロナ」への変化がまさに進行中であり、さまざまな課題の解決に向けて、今こそみなさまに新たなご提案をさせていただくタイミングと考えています。会場では、当社が考える未来のシナリオをお示しした上で、生活者起点での今後の食品流通の中⾧期課題と、全国の生活者意識調査から見えてきたニーズを踏まえた短期的施策をご提案します。
また、今回のダイヤモンドフェアでは「中経2023」とのリンクも意識しながら、全体を通じたキーワードとして、「サステナビリティ」と「デジタル」の2つを掲げています。
それぞれのご提案は、地域の生活者のみなさまの暮らしを支えたいという思いを強く持つ当社の社員一同が、メーカー各社のみなさまにもお手伝いいただきながら、知恵を絞って立案した内容となっています。
持続可能な社会の実現と、流通業界のさらなる活性化に向けた、三菱食品の今後の展開について、ぜひご期待いただければと思います。
以上、簡単ではございますが、2021年度上期の取り組み状況をご説明いたしました。ご清聴、ありがとうございました。