2022年2月期2Q損益とその推移① ~売上高~
藤原克治氏(以下、藤原):あらためまして、株式会社テイツーの藤原でございます。本日はよろしくお願いいたします。
まず、第2四半期の概要です。このコロナ禍の2年を振り返って、2021年2月期の数字をあらためて見てみると、私どもからしても特に3月から5月のいわゆる巣ごもり需要の期間がかなり異常な動きを示しています。
そのような中で、売上や経費面のバランスとして利益が想定以上に出てくるという特別な事象があったのが前期の状況でした。
今回の第2四半期ですが、そのような意味においては巣ごもり需要によって特別な数字の動きになる期間が過ぎて落ち着き、社会の状況はあまり急変していないような部分があるかもしれません。しかし、私どもの取り巻く商材の動きは静かなかたちで通常時に戻った半年だったと見ています。
その中で出てきた数字は、当初の予想を大きく上回る動きとなりました。営業部隊を含めて実力が付いてきたような印象です。
売上高ですが、全体の商材の動きとしてはトレーディングカード、ゲームを中心に堅調でした。EC分野については子会社の山徳も絶好調で、このような部分が相まってグループとして非常に堅調な推移を示した期間だったと思っています。
2022年2月期2Q損益とその推移② ~売上総利益と販売管理費~
売上総利益と販売管理費です。主に山徳の粗利率の高いEC分野の業績が貢献し、堅調に推移しました。前年度の(第2四半期までの)P/Lには山徳の数字が入っていません。前年度の第3四半期からP/Lに連結で反映したということで、(現時点では)数字がまとまっています。
粗利と最終的な営業利益、経常利益のバランスは前期と多少違いますが、冒頭でお伝えしたような特殊要因の影響がありました。その中においても、当期の数字としては非常に好調だったと理解しています。
2022年2月期2Q損益とその推移③ ~四半期純利益~
四半期純利益です。粗利が上昇した結果、高水準の着地となりました。自己資本比率自体を高めることを主たる目的とはしていませんが、好調だった時期を超える数値にまで回復しました。この状況をもって、次はさらにアグレッシブな経営に転換できるのではないかと、私どもとしてはギアを入れ替える考えでいます。
2022年2月期2Q貸借と主要科目の推移
バランスシートの状況です。スライドの左下にある円グラフは2018年2月期の単体ベースのバランスシートですが、黄色の部分が総資産、オレンジ色が負債合計、ピンク色が純資産で、このようなバランスになっていました。
直近はいわゆる純資産の部分が大きく回復し、経営状態としては信用面が非常に高まってきました。ただし、こちらをさらに効率よく回転させていくことに注力しなければならない状況だと理解しています。
私は社長就任から5年目になりますが、かなり苦しい時期を乗り越えてきました。当初の反省点から、利害関係者のみなさまへの信用状態をある程度高めることが経営のさまざまな取り組みに大きく作用することを念頭においていました。そのような部分を地道に積み上げてきて、現在の状況になっています。
ただし、同時進行で将来への投資と言いますか、お金を使うだけの投資ではなく、いろいろな取り組みも行っていますので、後ほどご紹介できればと考えています。
グループ経営理念から成長戦略まで
テイツーグループの成長戦略の進捗状況です。期初にグループビジョンとして3つの事業領域におけるそれぞれの成長戦略を発表しているため、おさらいにはなりますが、あらためてスライドにお示ししています。
スライドの図の一番上は「不変的なもの」ということで、理念のようなものです。中段は「中期的に見直す中長期的な方針」ということで、後ほどご紹介するビジョンである「リユースで地域と世界をつなぐ」を掲げて取り組んでいます。下段は定期的に見直すものですが、成長戦略を3つの区分に分けて展開しています。
グループビジョン
グループビジョンの「リユースで地域と世界をつなぐ」ですが、そもそも現在の当社はリアル店舗を中心にした国内営業で、その中でもかなりドミナントエリアが一定の地域に集中したような店舗の佇まいとなっています。
我々のさまざまな事業活動が、全世界に届くような大きな取り組みにしていきたいという目標を持っています。
グループビジョンの実現を目指して経営方針として注力する事項
グループビジョンの実現に向けて、「リユースを拡大する」「EC領域に注力する」「経営基盤を強化する」の3つの方針を掲げています。
3つの事業領域における成長戦略
現在の事業領域を「リユース店舗領域」「リユースEC領域」「リユースBtoB領域」の3つに識別して経営資源を配分しています。
【成長戦略】 リユース店舗領域 ~基幹システム刷新~
リユース店舗領域に関しては、近年、商材を取り扱う上で肝となる基幹システムのクラウド化を進めており、もうすぐ目処が立つ状況です。
【成長戦略】 リユース店舗領域 ~「ふるいち」店舗計13店舗に~
リユース店舗領域ですが、「ふるいち」店舗が全部で13店舗となり、このうち10店舗がイオンモールに出店している店舗形態になります。
基本的に「ふるいち」という名前の店舗が小型パッケージ店舗を示しています。後ほどご説明する地方創生活動用の小規模な「ふるいち」店舗を含め、採算を重視したイオンモールの店舗を展開しています。
イオン店舗の特徴としては、売場面積は30坪から大きくても60坪など、非常にコンパクトな店舗です。坪効率を高め、当社の商材の特徴をふんだんに活かし、そしてこのご時世でコスト面も割に合うようなかたちで回すことができています。
また、それ以外に特筆すべきもう1つ大きな特徴としては、不特定多数の方が来場されるイオンモールの中に出店することができていることです。今後もグループ事業の1つの武器となるような店舗として、積極的に展開していきます。
【成長戦略】 グループECサイト構築
グループECサイトの構築状況については、5年後に100億円相当のECサイトの売上を目標に掲げ、来年の夏のリリースを目指しています。もともとECサイトを運営していましたが、5年前の大規模なリストラを断行した段階で、いったん直接販売サイトを閉めたという経緯があります。そして昨年、山徳をグループ傘下に入れ、自分たちの実力だけではうまく達成できなかった部分について1つギアを上げ、目標を具体化できればということで詰めていきました。
山徳の年商は買収当初で約15億円と、決してそこまで大きな規模ではないかもしれませんが、デジタルマーケティングのようなECサイト特有の販売力や、頭脳を搭載しているところを評価し、取得にこぎつけたという経緯があります。
テイツー本体の躯体をうまく活用し、より早期に売上の増加に結び付けることを目指していきます。
【成長戦略】 リユースEC領域(山徳)~機能向上、新規商材~
リユースEC領域で、機能向上、新規商材ということで、山徳がグループ傘下となった後も、さまざまなかたちでバージョンアップを行っています。eKYC導入等の結果、9月以降は全商品分類において買取数量が伸長するなど、もともと持ちうる力にプラスアルファの要素を加えて力を増強しています。
【成長戦略】 リユースBtoB領域 ~店舗支援/TAYS/トレカ自販機/マスタ提供~
リユースBtoB領域として、具体的には店舗支援、「TAYS」、マスタ提供、トレカ自販機についてご説明します。採算にあたっていろいろと行っていますが、「TAYS」はトレカの自動読取機で、それらBtoB事業の推進により新たな飯の種を回収していきたいと思います。
機材の名前が非常に注目されがちですが、我々の武器としてはやはり商品供給力だと思っています。会社の事業規模で言いますと、競合他社を含め、業界には我々の年商の10倍以上を持つ大手企業が存在していますが、「地域一番店」という戦略を重視したテイツーの店舗は、1店舗当たりの売上収益が非常に大きいことが特徴です。専門商材の領域という意味では、卓越した部分を持っているのではないかと自負しています。
新品、中古ともに売上を達成でき、かなりの商品調達力を持っています。ですので、我々の店舗ネットワークである100店舗に他の会社や事業者を加えることで、将来の可能性が広がっていくと強く感じています。
「TAYS」の機材に関しては、これまでも類似した機材が世の中に出ていますが、運営のコストダウンのニーズに応えることができるように、非常に安価な提供の実現をコンセプトに、独自で開発しています。現在、営業活動も同時進行で進めていますので、大手の取引を含め、なるべく早くP/Lに貢献できるような事業に持っていければと考えています。
【成長戦略】 リユースBtoB領域 ~店舗支援 トレカパーク店舗パッケージ提供~
BtoB領域の店舗支援ということで、トレカパーク店舗パッケージの提供に関してです。トレカについては、トレカパークというブランドで取り扱っていますが、現在のところ非常に高収益の店舗の展開を実現しており、FCの展開なども視野に入れ、機材(TAYSやトレカ自販機)との連携も含めた強化を主としていきたいと思っています。
商品供給とは、新しいものばかりを会社や事業者に提供するものではありません。連携する事業者から不要な在庫が出てきますが、その店では売りにくい、またはネットワークで処理しにくいものを、テイツー全体の在庫の繰り回しの中でうまく回していきたいと考えています。
【成長戦略】 リユースBtoB領域 ~トレカ自販機~
トレカ自販機についてです。スライドの画像では、かなり大きな筐体になっています。これは試作機であり、次のステップに進む場合には、もう少しカスタマイズされた機能をプラスした筐体に変化していきます。
デジタルサイネージ画面を搭載した非常に目立つ自動販売機なのですが、トレカの売り方としては業界初です。また、特にイオンモールなど、イオンの関連会社が運営している自販機をよく見かけたり、一般的にもこの手の自販機を見かける機会が増えたのではないかと思います。
これは単純にモノを売るだけではなく、画面の中で広告を掲載するかたちです。例えば、通りすがりの消費者に情報を提供して自販機を認識させたり、スマホと連動して告知が実施されます。また、データベースが介入する中で、商品の販売や、分析のベースとなる数値を入手できるなど、非常に高機能です。ゆくゆくは、さまざまな会社の広告需要に合わせて電子回線でつながり、広告が提供されるようになっていくと思います。
そちらを設置することで、運用者には広告のフィーも入ってくるという未来の自動販売機です。高機能な自動販売機をメーカーと共同で企画開発しています。
試験的に設置した店舗の成績ですが、現在のところ売上は好調です。直近は、設置店舗を弊社の中で拡大させていくことを考えています。新たなビジネスに発展していく、おもしろい取り組みの1つです。
成長戦略としてのM&A
成長戦略としてのM&Aです。引き続き、新たな事業領域として取り扱い商材を増やしたり、販売場所を増やすなどを考えており、積極的な姿勢で臨みたいと思っています。
SDGs達成へ向けた当社の今後の貢献領域
SDGsの達成に向けて、社会へ貢献する取り組みに本腰を入れて展開していきたいと考えています。
3年ほど前から会社の中で強化と言いますか、社会に必要とされる会社、必要とされる店になるという小さなテーマを掲げて取り組んできました。
本業がリユースのため、そこは自然なかたちで引っかかってくるものですが、今回、第三者機関からの評価をいただいた上で、持続可能な社会の実現のために貢献する取り組みについて本腰を入れて発信しました。
ふるいち 地方創生プロジェクト
「ふるいち 地方創生プロジェクト」をご紹介します。当社はリユース事業を通じて再利用を促進するエコ活動を展開していますが、ただ社会に貢献するという日本的なCSRの活動ではなく、総合的に持てるものを持ち寄り、メリットを分けあえるようなCSV活動を目指してきました。
具体的には、岡山県真庭市の小学校の再生プロジェクトや、キャラクターを用いた活動など、さまざまな取り組みを行っています。東京都豊島区では、マンガの聖地であるトキワ荘の活動にも参画しました。最終的には1つのビジネスに結び付け、社会にもきちんと貢献できるものに育て上げたいと考えています。
グループECサイトについて先ほどお伝えしましたが、1年後からスタートするために準備を始める必要があると思っています。現在は、リアル店舗事業が礎としてあり、この上に積み重なるものがEC事業だと考えています。
リアル店舗とEC事業は相乗効果を生みつつ推進していきますが、地方創生プロジェクトは、この2つの事業に親和性を持たせた取り組みを目指しています。
1つは、広報活動です。リユース事業の命は買取事業ですが、店舗がないところからでもそのようなものを引っ張ってこられるようなネットワークによって、取り扱い商品の販路にも結び付けていきます。
地方創生がテーマのものは、主に観光地に対してのアプローチが自然ですので、インバウンドや海外需要の獲得は、このようなところからも結び付けていきたいと考えています。
活動する中で、新規事業領域の開発を目指していきたいと思っています。物売りだけではなく、コロナ禍前に「モノ」から「コト」商売に急激に移っていった社会の状況を見ると、当社もそのようなさまざまな取り組みの中に明確に関わりたいと思い、今日も活動しています。また、何かまとまった成果物がご報告できるような日が早く来ればよいなと思います。
【成長戦略】 ~機能戦略 その他~
その他の機能戦略について、今回は配当政策です。先般、期末配当の復配ということで、株主のみなさまに久々に還元した旨をご報告しています。それ以外にも、いろいろなことを考えていますが、事業の発展に関しては重きを置きつつ、株主還元もセットで実現できるようにがんばりたいと思います。
2022年2月期の連結業績予想
2022年2月期の業績予想です。本来であれば当社は事業自体が後半偏重型と言いますか、12月のクリスマスと年末、1月の年始商戦が非常に盛り上がるというのが特徴です。そのため、「もっと数字が積み上がるのではないの?」というお声も多々いただきますが、上期の業績の状況に鑑み、コロナ禍の数字の動きもある程度見据え、後半は期初に立てた予算をベースとして見積もりを立てたという状況です。経常利益ベースで9億5,000万円、最終で6億5,000万円を目標として取り組んでいきたいと思っています。
補足説明として、昨年の後半の数字が非常に芳しくないように見えますが、これはコメントベースで表記しているとおり、特に第4四半期以降の取り組みを見据えた投資や、店舗の修繕といった、経費に振り替わる将来への投資をかなり積み上げているということです。
そのような部分で、「年末年始や後半戦が盛り上がらないのではないか?」「その時期にすら儲けられないのでは?」というお話も散見されるとうかがったことがあります。しかし、そのようなことはありませんし、ご理解いただければと思っています。このままコロナ禍が収束に向かって、社会は徐々に経済が上向きになっていくことを切に願っています。
店舗の状況(2021年8月末現在)
最後は参考資料です。8月末時点ですが110店舗で、秋口以降も新たな小型店の出店等を検討していますが、この時勢にあわせて見極めながら行っていきたいと思っています。売上自体は徐々にネットに振り替わり、組み立て・吸収できるようなことも考えています。ただし、従来のような大型店の展開で対応するのではなく、リアル店舗の営業自体も一定程度重視するといった、さまざまな工夫が必要です。
リアル店舗を設けることだけではなく、自治体や街のみなさまとの関係性を強化し、結果として会社が機能するといったことに注目している次第です。
以上でご説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:会社としての実力について
司会者:「利益が高まったことについて、実力がついてきたとコメントがありましたが、どのような点なのかもっと詳しく教えてください」というご質問です。
藤原:もともと売る力はかなりありました。会社の実力として、「すごくあった」と言いましても言いすぎではない自信は持っていましたが、5年前はそれに関わるコストが非常に重たいという状況でした。
それがかなりスリム化された中で、従来と同様、またそれを超えるようなアウトプットができているというのが大きな変化だと思っています。そのような中で、例えばトレーディングカード事業について、なぜこれが儲かっているかといったときに、結局、その調達力が起因するということです。
例えばメーカーとの関係性もありますし、当社が特定の分野においてメーカーの中では全国で1番といっても過言ではない評価をいただいていることもあります。「静かな1番」と言いますか、会社の外見ではわからない管理上の実力が1つ挙げられます。これらは、紳士協定の中で、具体的には申し上げづらいような情報です。
加えて、営業上で尖ったものがあり、「このゾーンに関しては儲かります。数字が積み上がるのはまぐれではないです」といったものを多く搭載してきたように思います。
時代の流れもありますので、そちらを追いかけていくという傾向がありますが、私が事務方を務めていた頃は、当社も少なからず、新しいものに多く投資していたように思います。しかし、ベースとして持っている生業の価値をきちんと認め、それを掘り下げ、未来につなげていくということが非常に大事だと思っています。
そこが間違いなくコネクターとしてつながった結果、一見ではわかりにくいSDGsの取り組みや地方創生活動など、世の中的には儲かることではないように見える社会貢献により、新しいビジネスに結びつけることができるようになると理解しています。
これから先は、アウトプットに自信を持って世の中にまとめて発信できるよう、ギアを入れてがんばっていきたいと考えています。
質疑応答:来期以降の利益予想について
司会者:「来期以降、巡航速度でどれくらいの利益が出るという感触をお持ちでしょうか?」というご質問です。
藤原:本当のところ、基本的に現在たたき出している利益自体は、状況が落ち着いてきたとはいえ、コロナ禍の要因を恩恵的に受けているものもあるというイメージです。
ただし、それが大きく後退しないような努力が必要だと思っています。本当ならば、当社の実力では、EC分野をカットオーバーするとすぐ売上利益が積み上がるはずですが、EC分野への取り組みも夏以降という計画になっていますので、実数としては少し置きづらいというかたちです。
数字のことを語るという意味では、まだ非公開の状況でもありますので、当期の目標値になるべく負けないように、しっかりと積み上げられるようがんばっていきます。また、これから先の計画の取りまとめの中で、私のみならず各役員担当者も努力し、その上できちんとしたかたちで本決算に結び付けたいと思っています。
質疑応答:グループECサイトで100億円の売上を達成する実現可能性について
司会者:「テイツーの売上高は前期で250億円程度です。グループECサイトで『100億円の売上を目指す』とご説明がありましたが、本当にそれほどの規模にできるのでしょうか?」というご質問です。
藤原:現在、EC領域を牽引しているグループ内の立役者は、事業部門という意味で法人格で言いますと間違いなく山徳です。山徳の売上の作り方を見ていると、ピンポイントで網を張り、魚を全部釣って帰ってくるようなかたちです。
リアル店舗事業の場合、当社はロードサイドの店が主体です。店をポンポンと置いて風呂敷を広げ、「待っています」ということでいろいろな販促活動を行いますが、商品さえきちんとしていれば、短期間に成果を持ってくる能力がありますので、非常に期待しているところです。
やや自虐的な言い方かもしれませんが、業界の中でシェアを極めているような大手と我々では、現状のポジションが違います。ですので、自分たちの体力を見ながら、そのようなかたちで数字を積み上げていくことはかなり現実的だと思っています。
例えば、環境を作るのに計画が遅れて後ろ倒しになることが経営者としては一番怖いですが、「環境があればいける」という一定の自信はあります。
それをいかに効果的かつ手堅く行うと言いますか、「毎年伸びていますね」というような喜ばしい数字の積み上げ方を崩すことなく、きちんと実現させるように注視しています。
質疑応答:「TAYS」の外販の時期について
司会者:「『TAYS』は外販を考え始めてからからかなりの時間が経ちますが、いつになったら外販の結果が出るのでしょうか?」というご質問です。
藤原:「TAYS」自体は我々の会社の中で稼働しています。稼働が始まったのは1年以上前ですが、テイツーの社員のノウハウで、システムの判別精度が7割くらいでも儲かると言いますか、繰り回しができます。
しかし、本当に不慣れな方でもきちんと実現できるようにしたいと考えており、なおかつ、決して運営の足枷にならないような低コストでの実現を目標にしているため、中途半端なかたちでリリースして信用を失うことは避けたいと思っています。
一瞬だけ売上が上がるかもしれませんが、「それは違うな」ということです。きちんと進めていきたいということが趣旨としてあります。
現在、同時進行で当たりをつけることは行っており、大手のアプローチ先をはじめとしていろいろなご意見をいただきながら、その目標に到達したら正式にリリースできる状況にはなっています。
機器の整備環境としては煮詰まっていると言ってもよいと思いますので、来期には一定のインパクトとして数字を出せるように転じさせたいと思っています。
質疑応答:テイツーの未来像について
司会者:「新しい取り組みを見据えた、テイツーの未来像を教えてください」というご質問です。
藤原:未来像として「リユースで地域と世界をつなぐ」という言葉をお示ししましたが、私は「360度リユース」という言葉を社内で1年前から使っています。
「360度リユース」というのは、商材を多角的に取り扱うという幅広い意味でもあり、地域ということでは、地球規模で見た時に日本だけでそのような生業をイメージするのはもったいないという意味でもあります。
店やネットでネットモールを組んでそこだけで売ったり、リユース事業を行って商品を循環させてもおもしろくありません。あまり声高らかに言えるレベルではないですが、「どうせなら町ごと再生しよう」と、3年から4年の間、一生懸命に取り組んでいます。
そのようなものが1つ、2つ、日本の隅っこの小さな町や市、県で横展開できるようになったらすごいなと夢見ています。
実際には、コロナ禍でもさまざまな営みを行いました。我々の店の担当者が店を飛び出して市の庁舎に入り、セッションすることもありました。このようなことを横で見ること自体も、当社にとって大きな変化だと思っています。
また、お店やネットで販売するだけでは関われなかったいろいろな事業に拡大していくという意味での「360度」でもあります。
キーの事業としてリユース事業を推進していきたいと思っているため、日頃から担当者に「それをかき集めれば200億円、300億円の売上で止まらないよね」と発破をかけています。
ECサイトのリリースとともに一挙に進んでいく部分もあり、来期には1つの案件の成立がさらに大きな影響力となって横展開していくことが、少しずつお示しできるのではないかと考えています。
質疑応答:山徳の売上の取り方について
司会者:「先ほどのご回答の中にあった山徳の売上の取り方についてです。ピンポイントで釣ってくる能力ですが、差別化と模倣される可能性について、もう少し具体的に教えてください」というご質問です。
藤原:まねされるかどうかで言いますと、長けた会社はおそらくどこも行っているはずです。さらに言いますと、山徳が足元にも及ばないようなデジタルマーケティングの会社や、専業の何千億円規模の会社から営業のアプローチをよく受けますが、売上の上げ方を実現しているところはあると思います。
ただし、それを自社に搭載して、なおかつ我々がデジタルマーケティングを行っても、リユース事業は特殊なものです。
例えば、トレーディングカードはEC分野の売上もかなり寄与していますが、世の中のチェーン店でトレーディングカードをまともに回して儲けているところは片手で指折るくらいしかありません。
それを超えるところというのは、トレーディングカードにすごく詳しく、専門性に特化した、言わば中小零細企業のみなさまががんばられているということだと思います。
我々の規模で、そのようなやり方で実績を示しているのは、非常に特筆すべき、尖った事象だと思いますので、まねされる次元のものではないと思っています。
質疑応答:連結業績予想の修正について
司会者:「2022年2月期の連結業績予想を修正しました。営業利益は9億5,000万円ですが、進捗率を見るともっと上方修正できるのではないでしょうか」というご質問です。
藤原:期初に予算を立てた時に、上場会社として監査を受けており、そのロジックの中で納得性のある数字を置いて計画を立てています。
前半に乖離があったことに関しては「一定の実力もついてすごかったね」ということなのですが、今期に限らず前期までを包含すると、新型コロナウイルスによってかなりの期待を裏切られている部分もあります。
結果としてすごく伸びましたが、コロナ禍に乗って儲け始めた会社ではないため、ふたを開けると痛い目にもあっています。しかし、それでも努力して実績を出して、ライブ感のある動きができたというのは企業の明確な力だと思います。
明確に見積もるという意味では、後半の混沌とした社会情勢は非常に読みにくい部分もあるということで、期初の予算をそのまま置かせていただいたということです。
それこそ、足元の数値や年末年始の状況がよい方向に作用して、結果として修正値を変えなくてはいけないということも期待していますが、そこは手堅く、きちんと考えてリリースしています。
質疑応答:M&Aについて
司会者:「M&Aについては、今後、積極的に取り組んでいくのでしょうか?」というご質問です。
藤原:積極的に取り組んでいきたいと思っています。少し前に比べるとキャッシュベースでは余裕が出てきているため、伸ばすための事業の取得や提携については、非常に前向きに考えていきたいです。
それにより、「360度リユース」の達成が非常にスムーズに進むのではないかと考えています。その時が来たら、晴れてIRの資料に「360度リユース」という言葉を入れようと思います。
質疑応答:客層の広がり状況と今後の見通しについて
司会者:「業界と御社にとっての客層の広がり状況と、今後の見通しを教えてください」というご質問です。
藤原:客層の広がり状況ですが、コロナ禍が社会のルールをいろいろ変えたということがあると思っています。我々はロードサイド中心の店舗を複数持っており、都市型というよりもそこに特徴があります。
我々の店舗はもともと目的買いで入ってもらえる店舗のため、「最近流行りのあの本を買いたいな。読みたいな」とか「今日発売のあのゲームを買いたいな」と思わない人は来なかったのですが、コロナ禍で行動の範囲がいろいろ変わったことによって、しばらくご来店いただけていなかったお客さまや新規のお客さまが、ここ何年かのうちに商材の種類が増えて見どころが増えていることを認識してくださり、一定数定着してくれています。
新型コロナウイルスを節目とした、お客さまの行動変容が販促の一助であったことはよい影響だったのかもしれません。
そのような意味では、流れがよい方向へ変わりました。商材自体は古本もいまだに調子よく売れています。「世の中がデジタル化していくにつれて本は全部なくなる」と20年前から言われていますが、直近においては常にその点は伸ばせており、特筆すべきことです。
「社会のトレンドや商材のトレンドがお先真っ暗だから、ひたすら細っていくだけではないか」というのは、少し違うのではないかと思っています。
しかし、そのような中でも本は今までと同じような取り扱い方ではいけないと思っています。我々は地方創生活動など少し違う動きの中で商品価値の見方を変え、次の飯の種を探して、そこに新しい取り扱い商材をふさわしいかたちで搭載することを考えています。
リユースと言いますと、すべての会社が「総合リサイクル化」(特定の商材に絞らず広範囲の商品売買を行う業態)に向かうことが正しい方向性という見方をされることが多いですが、その領域は大手企業が優位性をもつ部分ですので、我々は少し違う方法で棲み分けを目指していくことを考えています。
そして、マーケットがどのようになっていくのかはある程度想像していますが、古本をはじめとする当社の既存商材は売り続けようと思っています。マーケット規模が小さくなっても、売る機会や工夫によってまだ当社には伸びしろがあると考えており、その中で新しいビジネスを搭載していきたいと思います。
質疑応答:下期の利益と損失について
司会者:「今期の下期に利益が出る可能性、あるいは損失が発生する恐れについて、足元の状況を踏まえてあらためて解説をお願いします」とのことです。
藤原:まず、損失が起こる恐れについてです。例えば、特損は認識した時点で開示しているため、現時点ではありません。
利益については、昨年は明確なコロナ特需がありましたので、その反動減ということでお客さまの支出変化の影響を当社が一定程度受けることはあり得ると思っています。
例えば、「Go To キャンペーン」など政府の補助も得て、財布の使い道として急激に偏ったお金の流れが出てくる可能性はゼロではないと思います。
また、我々が期待する水準の年末商戦の結果も得られない可能性もあるのではないかと思います。それを考慮してネガティブな要素も織り込んだ業績予想を出しています。
しかし、当社が取り扱うエンタメ商材は不況が売上に大きく影響しないところが強みです。また、当社は販売するだけでなく買い取りもしますので、消費者の節約志向の一助となり得るリユースならではの強みも持ち合わせています。「生活に関係ないから買われないでしょ」ということでもなく、「欲しいものは欲しい」という類の商材です。
そのようなところでお客さまから支持をいただき、きちんと物をそろえて提供することだけに注力すれば、一転して高い成果が出る可能性があると思っています。