会社概要

小嶋雄介氏(以下、小嶋):株式会社Macbee Planet代表取締役の小嶋と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

まず、当社の会社概要についてご説明します。株式会社Macbee Planetは、2015年8月25日に設立しました。そして、ちょうどコロナ禍ではあったのですが、2020年3月に東証マザーズに上場することができました。

事業内容としては「データを活用したマーケティング分析サービスの提供」と、少し難しく書いてありますが、基本的にはデータやテクノロジーを活用してインターネットにおけるマーケティング支援をしています。

自社で開発しているプロダクト・ツールとしては、データ解析プラットフォーム「ハニカム」と、Web接客ならびに解約防止チャットボットの「Robee」があります。それぞれの詳細に関しては、後ほど詳しくご説明します。

ビジョン

小嶋:続いて、当社のビジョンについてご説明します。当社のビジョンは、「革新的なマーケティングにより世界を牽引する企業になる。」です。当社が設立した2015年は、もうすでに世の中にいろいろな企業やいろいろなサービスが溢れかえっている時代でした。

そうした中でも、当社の価値や意義をしっかりと世の中に発信していきたい、マーケティングを軸に提供していきたいということで、この「革新的なマーケティングにより世界を牽引する企業になる。」というビジョンを掲げています。

我々が実現したいこと

小嶋:具体的な事業内容のご説明に移ります。今、我々が行っている事業を通じて実現したいこととして、「LTVを予測しROIの最適化を実現する」ということがあります。少し難しいのですが、LTVは「Life Time Value」の略になります。

「Life Time Value」を予測するということをもう少しわかりやすく言うと、当社が支援しているクライアント企業のサービスに対して、しっかりとファンになってもらえるユーザーをあらかじめ予測して集客することにより、広告の費用対効果、ROIの最適化を実現するということです。

ファンになってもらいやすいユーザーを集客することにより、一時的なクライアントの売上だけではなく、中長期的な企業発展をサポートできるという点があります。さらには、消費者も我々の広告を通じて本当に自分に合ったサービスを見つけることができるということを実現したいと考えています。

事業内容

小嶋:続いて、事業内容です。事業内容を大きく分けると2つあります。1つは、LTVが高い新規ユーザーの獲得を行うことですが、もう1つは、最終的に解約を検討するユーザーもいますので、既存ユーザーのLTVを向上させることです。我々の事業としては、これらの2つの事業をそれぞれ成果報酬型で提供していることがポイントです。

アナリティクスコンサルティング事業

小嶋:セグメントは2つあります。1つはアナリティクスコンサルティング事業です。こちらの事業は、主にLTVの解析ならびに新規ユーザーの集客を行っています。

具体的には、当社が開発しているデータ解析プラットフォームの「ハニカム」と「Robee」の2つのツールを活用してさまざまなデータを収集することにより、プロモーションごとにどのようなユーザーでLTVが高いのか、どのようなメディアからくるとLTVが高いのかということを予測する、LTV予測モデルを構築しています。

そして、解析したデータをもとに、当社のコンサルタントがLTVが高いメディアのプランニングや、LTVが高いとされるユーザーへの広告配信などを行っていきます。成果報酬型で売上がしっかり上がるところまで、当社として責任を持って行うことが特徴だと思っています。

スライドの右下に原価と記載している部分がありますが、同じように成果報酬型でメディアに掲載費用というかたちで支払いを行っていますので、原価としてはメディアへの支払いがあります。こちらの売上総利益率は約15パーセントとなっています。

マーケティングテクノロジー事業

小嶋:もう1つのセグメントは、マーケティングテクノロジー事業です。こちらは主に「Robee」を活用してLTVを向上させる事業です。LTV向上には、2つのポイントがあります。1つは、サイトに集客したユーザーがどのような悩みを持ってそのサービスに興味を持ってくれているかや、どのような感情でいるかなどです。

そのようなところをデータでしっかりと紐解き、そのユーザーに対して最適な情報を提供することでサービス理解をしていただくことができます。そうすることによって、自ずと申し込みをした後にLTVが高くなっていきます。

もう1つは、ユーザーの解約防止・抑止です。こちらに関しては、ユーザーが解約しようとして訪問した解約ページに、当社が開発したAIのチャットボットを導入しています。これも同じように、ユーザーとチャットボットが1to1のコミュニケーションを取ることによって、そのユーザーに対して価値のある情報を提供し、LTVを伸ばしていくという施策です。

こちらのマーケティングテクノロジー事業は原価が発生しませんので、売上総利益率は100パーセントとなっています。

売上・売上総利益構成比

小嶋:この両事業を売上で見ると、マーケティングテクノロジー事業(MT事業)の割合は非常に小さいですが、売上総利益で見るとマーケティングテクノロジー事業(MT事業)の割合は2割程になっています。売上総利益率が高いため、この構成比率を高めていくことが全体の収益率の向上につながります。

消費者の変化とDX化の加速

小嶋:続いて、事業環境のご説明に移ります。まず消費者の変化とDX化の加速についてご説明します。当社は設立して6年弱ですが、その中でも特にこの1年から2年は、当社を取り巻く事業環境がものすごく変わっていると考えています。いくつかポイントがあるのですが、まず1つは消費者の価値観の変化です。

新型コロナウイルス等もあり、インターネット上で消費行動を起こすマインドが非常に醸成されていることもありますし、それに付随して、例えばインターネット上での月額課金のサービスや定期購入の商品などに興味関心を持つ人々が非常に増えていることがあると思います。

もう1つのポイントは、日本政府も掲げているDXです。DXがさまざまな業界にどんどん加速していくことにより、これまでオフラインでビジネスをしていた会社も、インターネット上にどんどんシフトしてビジネスを展開していきます。広告費に関しても、インターネット広告に投下していく流れが非常に顕著だと思っています。

そうしたマクロ的な流れもあり、当社が設立当時から大事にしていたLTVの部分やデータをしっかり活用して企業をサポートするという考えと、世の中の流れがかなり合致してきていると考えています。結果として、現状は当社のターゲット企業が非常に増えてきていることを実感しています。

当社を取り巻く事業環境

小嶋:それぞれの市場に関してもう少しお話しします。これは当社がメインのフィールドとしているインターネット広告市場ですが、こちらは今後ももっと伸びていくと言われています。

さらに、LTVを大事にする業界の代名詞とも言えるのですが、現在どんどん増えているサブスクリプションサービスの業界に関しても、今後は国内でどんどん伸びていくと言われています。また、当社はBtoCのeコマースも非常に得意としていますが、この市場に関しても今後さらにグッと伸びてくると言われています。

マーケティングでLTVの重要性が増す

小嶋:こうした状況もあり、いわゆるマーケティングという部分に関しても企業の考え方が変わっていると感じています。以前のインターネット広告においては、新規ユーザーや新規の売上をいかに獲得するかが常に大事にされていました。

しかし最近は、「もちろんそれも大事だが、その後しっかり継続しているのか?」と、購入後のユーザーと企業の関係性が非常に重要視されています。ここも同じように、もともと当社が考えていたマーケティングのあるべき姿と世の中の流れ、事業会社の考え方が非常に近づいてきており、追い風になっていると考えています。

当社の強み

小嶋:そうした中で、あらためて当社の強みを整理します。当社の強みは、LTV予測力、コンサルティング力、LTV向上力の3つです。

① LTV予測力

小嶋:それぞれについて細かくご説明します。まず、LTV予測力に関しては、当社が開発している「ハニカム」から収集するデータと、「Robee」のWeb接客の機能から収集する行動データ、クライアントから共有される購買データ、さらには解約時にユーザーから取得するデータをそれぞれ1つのLTV予測モデルの中にデータとして連携してクレンジングすることによって、それぞれのプロモーションごとにLTVの予測モデルを構築していくということがポイントです。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):ここでご質問させてください。データ解析した消費者のLTVを予測する技術は御社の強みだということですが、収集の仕方については、今まで契約していたクライアントから収集するというお話でした。それ以外にベースとなるデータはあるのでしょうか? また、他社とは異なる、御社独自の点があれば教えてください。

小嶋:基本的な流れとしては、プロモーションごとにゼロからLTV予測モデルを構築するということで、まずはそのクライアントのページに当社の「ハニカム」や「Robee」のタグを設置していただきます。タグを設置することによって、いつ、どのようなメディア経由でユーザーが申し込み・購入に至ったのかというデータが取れるのですが、経由するそもそものメディアにどのような特性があるのか、というデータが取得できます。

例えば、検索した時にどのようなキーワードで何位に上がっているメディアなのか、あるいはそのメディアに来る人はそもそもどのような悩みを持っている人なのかなどのデータを紐付けていき、ユーザーの感情やニーズをいろいろ推察していくことが1つのポイントです。

また、それぞれ異なるデータを収集し、そこで当社のデータサイエンティストやAIエンジニアなどのスタッフがデータをうまくクレンジングすることによって、より使えるデータに昇華させていくことがポイントかと思っています。

②コンサルティング力

小嶋:続いて、コンサルティング力です。プロモーションごとに、LTVが高いユーザーあるいはLTVが低いユーザーなどを予測・解析した後に、当社のコンサルタントがそのデータに基づいてしっかりコンサルティングを行うことがポイントです。1点補足しますが、いわゆる広告代理店やマーケティング会社では、コンサルタントの方のスキルによってかなり差があります。

八木ひとみ氏(以下、八木):そうですよね。差が出てきますよね。

小嶋:パフォーマンスに非常に差が出ることはよくあると思うのですが、当社の指し示すコンサルティング力に関しては、「ハニカム」や「Robee」といったしっかりとしたツールをうまく活用することによって、成果報酬型でLTVを上げるためのコンサルティングを行うという意味合いが強いです。

八木:現在、従業員数は56名いらっしゃるというお話でしたが、コンサルタントの人材にはどれくらい割かれているのですか?

小嶋:コンサルタントは25名から30名ほどいます。当社は新卒も採用しているのですが、実は新卒1年目から2年目でもコンサルタントとして活躍できます。

八木:データさえしっかりしていれば、ということですか?

小嶋:おっしゃるとおりです。「ハニカム」「Robee」がうまく支えてくれているため、パフォーマンスが活かせる部分なのかと思います。

③LTV向上力

小嶋:LTVの向上力については、予測するだけに留まらず、しっかりとLTVを伸ばしていこうということも一貫して当社で責任を持って行っています。購入前のタイミングで正しい情報を提供することと、解約時のタイミングでもしっかりと情報を提供することによって解約率を低下させていく取り組みになります。

デジタル上の接客やコミュニケーションになると、どうしても無機質なイメージが非常に強いと思うのですが、当社の場合はまるでオフラインで実際にスタッフに接客されているかのような、心地よいかたちで柔軟なコミュニケーションを取り、そのユーザーの課題に即した情報を提供しています。その結果、LTVを向上させるというところがポイントかと思っています。

Robee 解約防止チャットボット

小嶋:特に解約の防止・抑止に関しては会社としてかなり力を入れているため、もう少し細かくご説明します。いくつかのメリットがあるのですが、まず1つ目はスライド左にある、解約率を低下させるというところです。

先ほどお伝えした、解約ページにチャットボットを実装してコミュニケーションを取るというところなのですが、ご留意いただきたい、お伝えしたい点としては、チャットボットを入れれば解約率が下がるのかというと、そうではないということです。

我々の強みはデータ解析やデータ分析になりますので、まずは設置していただいて、このプロモーションであればどのようなところに解約率低下のヒントがあるのかをどんどん掘りさげていきます。

坂本:無理やり引き止めるわけではないのですよね。

八木:ときどき「もう一度考え直しませんか?」といったものがありますが、そのようなものではないということですよね。

小嶋:おっしゃるとおりです。

坂本:そのようなのもあるけれど、それが主ではなく、もっときちんと裏があって考え直してもらうように持ってくるということですよね。

小嶋:決して無理やり引き止めるわけではないです。もっと言うと、解約ページに訪問しただけでは我々のチャットボットはユーザーにはまだ見えておらず、ユーザーが自らチャットボットでコミュニケーションを取る意思決定をして初めてチャットボットが立ち上がるというかたちになっています。そこで解約理由を聞きながらその理由に合わせた提案をしていくことで継続を選択いただいています。もちろん解約ページに訪れているユーザーに対して提案するので解約防止率は10パーセントほどになりますが、企業からすると大きな価値になると考えています。

坂本:最近はサブスクリプションのモデルがいろいろなサービスで増えてきており、契約にもけっこうお金がかかりますよね。解約率を抑えることはすごく重要なポイントですが、その中で御社はチャットボットを使われています。

当然コスト面ではチャットボットのほうがよいと思うのですが、従来からコールセンターのパターンもありますし、コールセンターだった場合とチャットボットだった場合の解約率の変化なども含めて、チャットボットを選択する意味はあったのでしょうか?

小嶋:確かに少しご説明する必要があります。まず、当社のチャットボットの立ち位置とコールセンターの立ち位置で言うと、いわゆるコールセンターが競合だとは思っていません。どちらかというと協業する立ち位置かと思っています。

コールセンターはコールセンターで絶対あったほうがよいです。ただ、コールセンターだけではなかなかつながりづらい状況も多く、解約したくてもできないというユーザーのストレスは大きいと聞いています。事前にチャットボットを経由してユーザーの悩みや課題をしっかり収集し、コールセンターと共有することでうまくコミュニケーションを取れるようになりますし、そのようなアシストをすることを目指しています。

したがって、「コールセンターをやめて、代わりにチャットボットにしましょう」というよりは、よりデータ連携を推し進めることによって、その会社自体の課題解決やLTV向上を支えていくという意味合いが強いです。

坂本:ありがとうございました。

小嶋:また、もう1つポイントとしてご説明したいのは、「Robee」はチャットボットだけがメインというよりは、非常に貴重な解約の理由をどんどん収集できるということです。そうした生の貴重なデータを収集することによって、マーケティング全体の課題解決に活かしていくことができます。

当然、これらをAIだけ、人間だけで行うのではなく、AIのよいところと人間が作業したほうが効率的なところをパフォーマンスごとに分け、ハイブリッド型で提供しているところも特徴の1つだと思います。

2021年4月期基本方針

小嶋:これらの当社の事業に基づいた今後の成長戦略に関してお話しします。これは当社が今期に掲げている基本方針です。LTVに関しては、3年後、5年後にはもっと重要視されてくるのではないかと考えています。

今のうちに「ハニカム」「Robee」という当社のツールに積極的な投資を行うことによって、LTVをベースにしたマーケットリーダーになることを掲げています。それに際して、他業種への展開と、データ拡大とAI化、さらにはプロダクト開発の3つをご紹介します。

①他業種への展開

小嶋:それぞれの進捗についてのお話に移ります。まず1つ目は他業種への展開ですが、前提として、当社が設立してから現在までは、実は美容の業界と金融の業界の2つに特化してマーケティング支援をしていたという背景がありました。

実は美容業界も金融業界もマーケティングにおいて当時からLTV、ユーザーの質を非常に重視していたということがあり、我々の強みと合致するという点で積極的な支援を行っていました。

しかしながら、先ほどの世の中の流れ等もあり、それ以外の業界に関しても「LTVを重視したい」「DXに際してデータ連携したい」といったご要望がかなり増え、現在はどんどん新しい業界への進出ができている、非常に前向きな状況です。

坂本:証券・美容などを主に特化していたと思います。しかし、現状の売上が大きいということで、先ほどの図にもあったのですが、今後は水や食品、ヘルスケアのような定期購入系のサブスクリプションでお金が入ってくるのかなと思いました。また、それ以外にも、投資不動産は一発が大きいと思うのですが、今後の柱になりそうな部分について教えていただけたらと思います。

小嶋:アナリティクスコンサルティング事業(AC事業)とマーケティングテクノロジー事業(MT事業)でターゲットは変わってくると思いますが、アナリティクスコンサルティング事業に関しては、例えばヘルスケアや人材などの業界に関してはかなり注目しています。一方で、マーケティングテクノロジー事業に関しては、やはり相性がよいのはサブスクリプションです。

坂本:そうですよね。

小嶋:お問い合わせも非常に多いということで、まずはこうしたところでどんどん実績を増やしていけたらよいと思っています。

②データ拡大とAI化

小嶋:続いて、データ拡大とAI化ですが、大きく分けるとデータ領域の拡大と深化と、RPA化があります。データ領域の拡大と深化に関しては、当社が掲げるLTVの予測力・向上力をもっと強いものにしていこう、精度高くしていこうということで、データ領域を拡大し、粒度の細かいデータを収集することによって精度を上げていく取り組みになります。これも順次進んでいます。

RPA化に関しては、当社のコンサルタント1人あたりの生産性をさらに高めていきたいと思っていますので、うまく自動化することによって業務効率化を行っていきます。これも開発が進んでいます。

③プロダクトの開発

小嶋:続いて、プロダクトの開発についてです。今の「ハニカム」「Robee」の機能の開発・拡充を引き続きどんどん行うことによって、よりよいプロダクトにしていこうという取り組みです。これも今期はかなり進んでいます。

成長イメージ

小嶋:成長イメージに関しては、今お話しした他業種への展開も進めていきますし、さらにデータ領域拡大とAI化によりシェアを拡大していきます。そして、「ハニカム」「Robee」のプロダクトもそうですし、今後に関しては、新しいプロダクトの開発も視野に入れていますので、そうしたところで2次関数的な大きな成長を見込んでいければよいと考えています。

2021年4月期第3四半期 エグゼクティブサマリー

小嶋:最後に業績に関してご説明します。2021年4月期第3四半期のエグゼクティブサマリーです。第3四半期累計の業績サマリーとしては、売上高67億200万円、営業利益5億3,300万円、営業利益率8.0パーセントとなっており、計画に対して大きく進捗している状況です。

それに伴い、通期の業績予想の上方修正についても先日発表しています。売上高90億円、営業利益6億2,000万円、営業利益率6.9パーセントというかたちです。

続いて、トピックスに関してご紹介します。まず、「I-Robee」という投資家向けのWeb接客ツールをリリースします。また、マーケティングテクノロジー事業のリテンションマーケティング部門を独立させ、子会社として株式会社Smashを設立します。さらには、事業領域拡大という観点から「Robee」を活用して、農家の課題分析やIoT活用のサポートも行っています。

AC事業、MT事業ともにナショナルクライアントを中心に新規獲得が進んでおり、今後の売上に貢献できると考えています。また、既存の業界に関しても、引き続き堅調に伸長しています。

2021年4月期業績予想の修正

小嶋:少し細かく触れますが、業績予想の修正に関しては、もともと新型コロナウイルス感染症拡大を懸念して計画を見ていましたが、そこにおける落ち込みは限定的と判断しています。また、美容(EC)や金融(証券)の売上が非常に堅調に推移しているため、スライドに記載のとおり業績予想を上方修正しています。

I-Robeeリリース

小嶋:次に「I-Robee」のリリースについてご説明します。これまで当社が培ってきたデジタルコミュニケーション力やLTV向上力をより幅広い範囲で提供していきたいという思いから、投資家向けのWeb接客ツールをリリースしています。

企業も、IRページにチャットボットやポップアップ、ウェブプッシュなどのさまざまな充実した機能を実装することによって、企業と投資家の対話をより積極的・活発的に行っていただこう、それを通じて企業のファンの投資家をどんどん育成していこう、という狙いがあります。

ここで、コミュニケーションを活発させるだけではなく、裏側で当社がデータ分析を行うことによって、IRにおける課題を抽出したり、もう少し俯瞰して、企業全体の課題を見つけたりすることによって改善できればよいと思っています。

株式会社Smash設立

小嶋:続いて、株式会社Smash設立についてです。こちらはマーケティングテクノロジー事業のリテンションですが、ここを独立させることによってさらなる成長を図っていきたいと思っています。

今はチャットボットを通じてコミュニケーションを活性化させていますが、今後は、例えば音声領域・音声技術もどんどん活用していきます。また、ロボットなどの領域まで進むことによって、よりスピード感を持って新しい価値を提供していきたいと考えています。

こちらに関しては、今後さまざまな企業と業務提携などを行うことによって、よりスピード感を持って成長できればよいと思っています。

2021年4月期3Q業績サマリー

小嶋:第3四半期の業績の少し細かい部分のご説明に移ります。先ほど触れましたが、AC事業、MT事業ともに計画値を大きく上回り、過去最高益を達成することができています。

売上高トレンド

小嶋:そして、売上高のトレンドについてはポイントが2つあります。これまで当社は、第1四半期に比較的数字が立ちやすい傾向にありました。当社の得意な業界の1つである、来店型、店舗型の美容業界におけるエステサロンや脱毛サロン、ジムなどは、夏を控えてかなり繁忙期に入ります。

八木:確かにそうですね。春ごろですよね。

小嶋:おっしゃるとおりです。そのため第1四半期に数字が立ちやすい傾向にありました。一方で、今期の第1四半期に関しては、新型コロナウイルスの影響があり、そもそも繁忙期がなかったけど増収増益しているということがポイントの1つです。

もう1つのポイントは、前期の第1四半期ならびに第2四半期に、とある特定の証券会社の立ち上げに伴うキャンペーン的なプロモーションを一手に担っていたということがあります。

それによって、スライドの赤い部分に関しては特需的な見方ができましたので、実際の実力値としてはこの紺色の部分だったと考えています。これら2つの事業を加味し、今期の数字は実力値で大きく伸長できていることをご理解いただければ幸いです。

業界別売上構成比率

小嶋:業界別の売上構成比率に関しても、特に美容(EC)と金融(証券)の売上拡大が顕著です。

QonQ営業利益増減分析

小嶋:QonQ営業利益増減分析に関しても、AC事業が引き続きeコマース・証券を中心に伸長しています。MT事業に関しては、一部クライアントのご事情によって一時的な売上減がありますが、当社としては全体で見るとそこまで大きな部分ではないと理解しています。

坂本:MT事業の減収は、新型コロナウイルスの影響とクライアントの事情による一時的なものであると考えてよいでしょうか?

小嶋:おっしゃるとおりです。MT事業に関しては、まだそこまで取引社数が多いわけではないため、特定の企業になにかあると、どうしてもそこへの依存が大きくなります。

八木:影響が大きくなってしまうということですよね。

小嶋:おっしゃるとおりです。これが今後もずっと続くとは思っていませんので、そこまで問題はないと捉えています。

販管費

小嶋:販管費に関しては、来期はこれまで以上の成長を見込んでいきたいと考えていますので、先行投資を加速しています。特に採用における人件費の部分やブランディングを中心とした広告宣伝費を中心に投資を行っていく予定です。

YonY比較

小嶋:売上高を前期の第3四半期と比較すると97.5パーセント増と、およそ2倍成長することができています。営業利益に関しては177.4パーセント増と、3倍に近いかたちでこちらも大幅成長することができています。今期の当社の1つのテーマでもある営業利益率の改善に関しても、1.5ポイント改善することができています。

セグメント別売上総利益構成比

小嶋:セグメント別に関してです。MT事業における「Robee」自体は2017年11月から開始していますが、年々少しずつMT事業の占める割合が増えてきています。それに伴って営業利益率も改善しています。

貸借対照表

小嶋:B/Sに関しても、流動比率、自己資本比率ともに安定しています。以上が、資料を用いたご説明です。

質疑応答:新規獲得における利益のタームについて

坂本:新規獲得のクライアントについてお伺いします。売上が顕在化してくるタイミングにおいて、データの連携や、先ほどお伝えしたようなタグを入れてから情報収集するというところで「すぐ始めましょう」というかたちにはならないと思うのですが、このあたりの売上が立ってきて利益になるようなタームはどのくらいあるか教えてください。

小嶋:新規のプロモーションを立ち上げてから半年くらい経てば、ある程度数字が出てくる傾向があります。はじめの2ヶ月から3ヶ月くらいはデータ収集等もしながら、まずは土壌をしっかりつくっていくところです。

質疑応答:営業方法について

坂本:御社の営業は、コンサルタントの方がされるイメージですか? それとも別にあったり、インバウンドでそのまま待っていて来る、というイメージでしょうか? 代理店がいるのかなどいろいろあると思うのですが、どのようなかたちで企業とのつながりがあるのかをお伺いしたいと思います。

小嶋:まずAC事業に関しては、各業界の大手企業、トップ企業を意識的に狙っているという戦略がありますので、すごくピンポイントに、どのようなところにいきたいかを考えて営業が取り組んでいます。

一方で、MT事業、特にリテンションマーケティングに関しては、業界的に非常に珍しいツールということもあり、新聞のパブリシティをいただいたり、メディアから取材していただいたりというケースが非常に多いです。問い合わせが非常に多いということもあり、そこの中で選定させていただいています。

坂本:最近このあたりがうまくいっている、というところがあれば教えてください。

小嶋:先ほど少し触れましたヘルスケアなどに関しては、当社としても親和性が高いと思っていますし、新型コロナウイルスなどの影響もあって健康がすごく注目されていると思うので、今後の伸びしろを考えても非常に相性がよいと思います。

質疑応答:株式分割について

八木:「今の株価が5,500円近辺ということですが、分割をお考えでしょうか?」というご質問が会場からあったのですが、いかがでしょうか?

小嶋:今のところは特に考えていません。

質疑応答:会社のモチーフについて

八木:もう1つ柔らかいお話なのですが「ハチのモチーフが大変特徴的ですが、これを採用している理由はなんですか?」というご質問がありました。

小嶋:これはミツバチなのですが、日本ではミツバチは幸せを運ぶ生き物だと思います。理念に通ずる部分としては、当社としても関わる人々に幸せを届けたいということがあるため、設立してからずっと変えずに使っています。

質疑応答:成果報酬について

坂本:おそらくみなさまが気になるところについてお伺いしたいと思います。成果報酬はもともとモノと価格によって全く異なると思うのですが、どのくらいなのでしょうか? 利益率から逆算すればなんとなくイメージできると思うのですが、決め方などもあると思います。

また、御社は広告を出されますが、その部分の費用は御社持ちなのですよね? それを含めて成果報酬でもらうことを逆算して出稿されるかたちなのでしょうか? もともと全部成果報酬型の広告しか出さないのかなど、そのあたりについて教えてもらえると、投資家としてはイメージが湧くと思います。

小嶋:まず成果報酬の1件あたりの金額ですが、数百円のものもあれば10万円近いものもあり、幅広いです。どのように決めているかというと、初めはある程度クライアントの要望に則ってスタートするケースが多いです。

ただ、当社のプロモーション経由でしっかりとLTVが上がれば、その分1件あたりの金額も上がるような相関性をもっているため、基本的には当社がしっかり実績を出せばどんどん報酬額も上がるかたちになっています。そうすることによって利益率も改善していくというサイクルがあります。

坂本:広告費用について、もともと成果報酬の広告が主に出るのか、それとも御社が一回払ってから成果報酬で回収するのかについてはいかがでしょうか?

小嶋:一概には言えないのですが、多くはクライアントから成果報酬でいただいたあと、当社もメディアに対して成果報酬型で同じような支払いをするケースが多いです。

ただ、当社はかなりデータを活用しているということもあり、メディアから「本来は成果報酬ではなかなか取り組まないが、うちだったら取り組んでよいよ」という取り組みが非常に増えてきています。他の会社ではなかなか掲載できないようなものも成果報酬型でどんどん増やしています。

坂本:バナーを表示するのはタダでも、クリックしたら発生するモデルも多いですが、それも成果報酬を含めてお付き合いできるところがあるということですよね。

小嶋:おっしゃるとおりです。

坂本:それはすごく強いですね。広告のパターンを考えると難しいと思っていたのですが、とても勉強になりました。