会社概要

若松孝彦氏(以下、若松):みなさま、こんにちは。株式会社タナベ経営代表取締役社長の若松でございます。ただいまより、個人投資家説明会を始めさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

本日のアジェンダは大きく5つありまして、1つ目が会社情報、2つ目が事業内容、3つ目が業績動向・中期経営計画、4つ目が株価推移・株主還元、5つ目が本日のまとめとなっています。

まずは会社情報です。こちらに概要を掲載していますが、タナベ経営は1957年に創業しました。現在はグループ全体で469名の従業員が在籍しており、東証一部に上場しています。

創業の原点・経営理念

私たちの創業の原点・経営理念についてです。先ほどお伝えしたように、1957年に創業したのですが、日本で最も歴史のあるコンサルティングファームと呼ばれており、日本の経営コンサルティングのパイオニアとよく言われます。

スライドに「この国には企業を救う仕事が必要だ」とあります。もう亡くなりましたが、創業者の田辺昇一は、自分の勤めていた会社が倒産する経験をしました。倒産すれば従業員、家族も路頭に迷い、「規模にかかわらず企業には命がある」「その命ある企業を救わなければならない」そのようなことが創業の原点となり、タナベ経営が生まれました。

「経営コンサルティング」という言葉が通用しなかった60年前に、自分たちのことを「Business Doctors」と呼び、それが活動のスタートとなりました。その時の経営理念がスライドに記載している「企業を愛し、企業とともに歩み、企業繁栄に奉仕する」ですが、この経営理念を胸に、日本で非常に早い時期から、私たちは経営コンサルティングビジネスをスタートしました。

経営ミッション

現在は、経営理念を具体的なミッション・使命として「First Call Company 100年先も一番に選ばれる会社」をクライアントとともに目指したいという想いを、クライアントと共有する価値観として掲げ、発信しています。

コンサルティング業界における当社のポジション①

2つ目のアジェンダとして、事業内容をお話しします。コンサルティング業界におけるタナベ経営のポジションですが、一言でいいますと「総合経営コンサルティング企業」、ファームであるということです。

それをこのスライドでわかりやすく記載していますが、縦軸に企業戦略・事業戦略、組織・人事、M&A、DX(デジタルトランスフォーメーション)などの経営機能と、横軸に医療、ヘルスケア分野、食品、金融機関などの業種、インダストリーで展開しています。我々のコンサルティングメニューは、どの分野・経営課題もカバーできます。

コンサルティング業界における当社のポジション②

当社のポジションについてですが、スライドでは「独自のコンサルティング技術が発揮でき、競合企業も少ないポジションに位置する」と記載しています。こちらの図は縦軸がクライアントの規模を表し、スライド上部に行くほど大企業、下部に行くほど小企業となります。

横軸はコンサルティング領域で、上流工程の戦略策定から、スライド右側に行くほど下流工程の実行支援となります。どちらかというと企業規模が小さくなるにつれて実行支援のウエートがどうしても高くなります。それは小さな企業であれば、社長や経営者の戦略性でほぼ方向性が決まるため、実行支援のウエートが上がってきます。

それに対し、大企業は組織が大きいため、戦略策定のウエートが上がってきます。スライド左上に記載しているような外資系の大手ファームは、グローバルな企業に対して展開していますが、タナベ経営は国内の中堅企業、売上規模は50億円から1,000億円規模を中心に、コンサルティングを手掛けています。

後ほどお伝えしますが、グループ会社であるリーディング・ソリューションというデジタルマーケティングを手掛けている会社や、グローウィン・パートナーズというM&AやERPをはじめとするDXを手掛ける会社が大手企業を対象にしているため、私たちのポジションは中堅企業を中心に大手企業にかけてポジショニングが強化されているとご理解いただきたいと思います。

当社のコンサルティングスタイル①

総合コンサルティングファームをわかりやすく総合病院と表現しています。通常、クライアントが自覚症状として「ここが悪い」「ここが痛い」といったことに対して、専門家が処方箋を出します。

私自身、1,000社以上の会社のコンサルティングを手掛けてきましたが、クライアントの自覚症状が、病気の根本的な原因であることは少ないと感じています。我々はさまざまな機能、分野からチームでその患者に向き合い、そして企業を救います。

その救うというプライオリティの中で、根本的な病状をしっかりと探り当て、治療をしていくのが我々のスタンスとなっています。それを「高度の専門化」と「高度の総合化」と表現していますが、いずれにしても「高度」という言葉があるように、命を救うことができる高度先進医療を持った総合病院のようなコンサルティングファームでありたいと考えています。

当社のコンサルティングスタイル②

また、タナベ経営は長期間にわたるご契約が多いです。なぜかと言うと、予防医学に勝る治療はないからであり、強い企業体力への支援を掲げています。

経常利益率は10パーセント以上、実質無借金経営の推進、リスク分散戦略といったことを、創業来一貫してクライアントにご指導させていただいています。そのような活動を通じて、健全な企業の体力・体質を作り上げていきます。

その先にあるものは、先ほどもお伝えした「First Call Company 100年先も一番に選ばれる会社をともに」の実現であり、そのためにフォーカスしたチーム医療です。

当社のコンサルティングスタイルを説明させていただきます。

当社のコンサルティングスタイル③

当社のコンサルティングで一番の核になるのは、チームコンサルティングという考え方です。これは、業種(ドメイン)、経営機能(ファンクション)、そして地域(リージョン)、この組み合わせで企業の課題に応じて最適なチームを編成し、支援していきます。

当社のコンサルティングスタイル④

業種はスライドに記載のとおり、多種多様な業種に対応できるコンサルティングメソッドを持っています。

当社のコンサルティングスタイル⑤

経営機能も、先ほどお伝えしたとおりです。

当社のコンサルティングスタイル⑥

ここでお伝えしたいのは、地域(リージョン)です。北海道から沖縄まで、東京、大阪、名古屋、九州などの都市部は当然ですが、それ以外の地域にも均等にファームを構えており、各地域にコンサルタントが常駐しています。50年以上にわたり、地域密着で全国の顧客をサポートしている体制は業界でも唯一であり、タナベ経営独自の強みであります。

新型コロナウイルス感染症の影響で、人の移動が本当に難しくなりました。「主治医は近くにいる方が良い」ということで、地域密着で地域に根ざしたコンサルティングを行い、我々の原則を守り続けてきて良かったとあらためて感じています。

当社のコンサルティングスタイル⑦

クライアントは中堅企業、大手企業の社長であり、それを我々は「トップマネジメントアプローチ」と呼びますが、社長の経営戦略や事業戦略の課題をしっかりと浮き彫りにしてコンサルティングを行うことにより、結果として、ご契約後の高い継続率にもつながっていると感じています。ですので、コンサルティングのお相手は社長ということを貫いています。

私自身が社長ということもありますが、「99パーセント社長にしか会わない」と決めて活動しており、それがタナベ経営のクライアントに対するターゲットへの姿勢、表れであると思います。

当社の強み(地域密着)

先ほどのご説明どおり、業界唯一の全国展開ということで地域に密着させていただいています。

当社の強み(長年蓄積された信頼と実績)

当社の強みは、冒頭でお伝えした「企業を愛し、企業とともに歩み、企業繁栄に奉仕する」という経営理念を胸に、徹底した現実・現場・現品主義で7,000社以上のコンサルティングの成功実績をもとに、コンサルティングの継続率は70パーセントを誇り、30年を超えるクライアントとのお付き合いが実現しているということです。

コンサルティング事例-①

コンサルティングの事例をご紹介していますが、中期経営計画の策定ではウィズコロナ・アフターコロナにどのように対応していくのかについて、クライアントと一緒にビジョンを策定していきます。

デジタルマーケティングでは、例えば、トップラインで「売る」ことがなかなかできないため、デジタルマーケティングで、その課題を解決していくことをメインにしています。

成長M&Aの領域では、全国の特に中堅、中小企業は事業承継が大変な状況になってきており、大手でも事業の再編をしていく必要があるため、その支援をしています。

HR、人事・人材分野に関しては、ジョブ型人事や制度の改定などのご支援はもちろん行っています。「FCCアカデミー(企業内大学)」では、100校以上の企業内大学の設立・運営支援をしており、クラウドやデジタルを駆使し、社員のみなさまがタレントになって学校を作るような学び方改革の支援を行っています。新型コロナウイルス感染症拡大前に、このようなコンサルティングを行っていてとても良かったと感じており、「経済を止めない、経営を止めない、そして学びを止めない」、これをスローガンに取り組んでいます。

コンサルティング事例-②

マーケティングやブランディングについても、強みを持っています。販促ツールの仕入れやデザインも含め、商品をどのように売っていくかについてのコンサルティングも実装レベルまで具体的に進めることができます。

以上が会社情報、事業内容となります。ここからは業界動向・中期経営計画等についてご説明します。

当社を取り巻くコンサルティング業界の現状

こちらのスライドは、当社を取り巻くコンサルティング業界の現状を示しています。例えば、国内のビジネスコンサルティング市場の規模は4,594億円程ありますが、その中で当社の割合は0.9パーセント程であります。

同じように教育や広告、企業数を見ても、本当に微々たるシェアであると考えると、マーケットはまだまだあり、成長余力が大いにあると捉えています。先ほどもご紹介したように、例えば、デジタル関連のビジネスコンサルティング領域も967億円程あり、M&Aコンサルティングの市場も18兆円程あります。

その中における戦略、クライアントへの貢献価値はまだまだあると自覚しています。

業績推移

業績の推移はスライドのとおりです。創業来、営業利益段階での赤字は一度もありません。直近の売上高は、過去最高を更新しています。

リーマンショック以降、経常利益段階で10期連続の増収増益を達成しており、これからも持続的成長を続けていきたいと考えています。私たちの基本的な考え方は「紺屋の白袴」「医者の不養生」にならないことです。「モデルとしてどう実践していくのか」と自分たちにも課しながら、コンサルティングをしています。

また、リーディング・ソリューションのグループ化に伴い、2020年3月期第3四半期から連結業績で開示しています。

(ご参考)売上高の50%が長期契約型サービス

ご参考ですが、スライド左側の円グラフをご覧ください。こちらは契約継続年数を示しており、5年以上契約率は全体の45パーセントになります。また、長期の契約サービスは、おおよそ売上の半分を占めています。

コンサルティング業界では特異でありますが、長くご縁を頂戴して、長く企業と寄り添い、経営としての臨床をしっかりと踏まえて、60年以上コンサルティングを続けてこれたことは我々の価値であり、ご紹介させていただきました。

2021年3月期第3四半期決算および通期見通し-①

2021年3月期第3四半期の決算および通期の見通しについてです。年度ごとに記載していますが、スライド中央のブルーの部分が今期の売上高で、スライド右側のブルーの部分が今期の営業利益です。

スライド下部に、経営コンサルティング事業とマーケティングコンサルティング事業の動向を記載していますが、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、経営コンサルティング事業の一時休止や延期もありましたが、第3四半期以降は回復してきているとご理解いただければと思います。

マーケティングコンサルティング事業に関しても、大型イベントやマーケティングに対する企画は新型コロナウイルスの影響で減っていますが、一方、マスクやテレワークも含めた感染予防グッズ、働き方に対するグッズなどをイベントとうまくリンクさせ、デジタルもそうですが、マーケティングの落ちている部分をキャッチアップし、穴埋めしている状況です。

2021年3月期第3四半期決算および通期見通し-②

したがいまして、通期の見通しは公表どおりです。こちらは経営コンサルティング事業とマーケティングコンサルティング事業の売上区分と利益区分を示しています。

トピックス

トピックスとしては、グローウィン・パートナーズの株式を50.1パーセント取得し、グループ会社化しました。同社は、クロスボーダーや国内のM&Aを多数手掛けてきており、これまで500件を超えるM&Aの実績があります。

また、公認会計士が約20名在籍していることもあり、ERPや会計システム、人事システムの導入も含めてDXの支援ができます。さらに、経営や内部業務のバックオフィスのサポートも可能であり、IPOやベンチャーに対するベンチャーキャピタル事業なども手掛けています。

そのような会社が仲間となってくれたことで、スライド下部にも記載しているように、当社の顧客基盤であるネットワークを通じて、全国の事業承継マーケット、事業再編マーケット、地域企業のDXマーケットへの参入が可能となり、強化することができました。

今後の事業戦略と方針

今後の事業戦略方針としては、ウィズコロナ戦略で記載のとおり、M&A戦略に対してはタナベ経営らしいM&A戦略の組み立てをしていきたいと思っています。

またDX関連については、これからDXへの取り組みが活況になっていきます。特に地域、中堅企業はまだ手付かずのため、取り組みを加速させていきたいと考えています。

中期経営計画(2018年5月28日発表)

中期経営計画に関しては、この3月末が最終年度になります。したがいまして、先ほどお伝えした売上高93億9,500万円、営業利益7億円が中期経営計画の最終年度の目標になります。

また、新たな中期経営計画を現在策定中であり、対外的には5月に発表する予定です。いずれにしても、新型コロナウイルス感染症の影響を乗り越えて、持続的成長を実現したいと思います。

社員およびコンサルタント数推移

社員数及びコンサルタント数の推移ですが、スライド右側が直近の状況であり、400名を超える社員数と、コンサルタント数も300名を超えて370名という体制を期末で迎えたいと思います。

グループ化したことにより、社員数も480名程になることが明確となっていますので、それを目指してさらに新たなビジョンを考えています。

株価推移

株価の推移・株主還元です。株価の推移に関しては、グラフのとおりであり、またご覧いただければと思います。

配当金推移および株主優待

配当金推移及び株主優待に関しては、配当性向60パーセントを目安に、特殊要因を除く純利益ベースで考えています。

現状は8期連続の増配であり、公表している1株あたり年間配当金は43円ということで、今回の配当性向は70パーセントを超えますが、増収増益増配を経営基調とし、持続的な増配を目指していきたいと考えています。

当社のアピールポイントのまとめ

最後は、本日のまとめとして、アピールポイントを示しています。創業64年目の日本の経営コンサルティングのパイオニアであり、経営コンサルティング業界唯一の全国展開をしています。また、ビジネスドクターとしての地域密着のチームコンサルティングができます。

収益・財務情報は、創業来の営業利益黒字継続と10期連続の増収増益、無借金経営で自己資本比率は85.7パーセントという安定した財務体質を実現していることです。事業戦略としては、グループ会社のリーティング・ソリューションが手掛けているBtoBデジタルマーケティングの領域と、グローウィン・パートナーズとの連携により、M&AやDXの領域を取り込み、成長スピードを加速させていきたいと思います。

最後に、株主還元に関してはお伝えしたとおりです。いずれにしても、当社のアピールポイントのまとめということで、ご理解を深めていただければと思います。

以上で会社説明、プレゼンテーションを終わりたいと思います。ご清聴、本当にありがとうございました。

質疑応答:タナベ経営の強みについて

司会者:日本には、他にも経営コンサルティング会社がいくつかあると思いますが、同業他社と比べて貴社の強みはどういった部分になりますか? プレゼンテーションの中でも日本の経営コンサルティングのパイオニアとか、総合経営コンサルティング企業というお話がありましたが、あらためて他と比べて、強みはどこにあるとお考えですか?

若松:先ほどお伝えしたように、我々は中堅企業に対して独自のポジションにあります。こちらに示しているとおり、コンサルティング領域として、中堅企業の戦略策定から、実行支援まで行っている会社はあまりないということが1つです。

2つ目は、地域密着が大きいと思います。新型コロナウイルスの影響で、本当に人の移動ができなくなりました。同業他社でも地域に営業所を持っている会社はありますが、当社はファームのスタイルで、地域にコンサルタントが在住しており、地域企業を支援できるというのは、タナベ経営の独特なスタイルです。

それぞれの事業所が、何十年も地域密着で中堅企業をご支援してきたことは、すごく強みと感じているところです。

3つ目は、チームコンサルティングです。同業他社には、HRや会計、システムといった専門領域だけに特化したコンサルティングを行う会社が多くあります。

私も社長なので共感できるのですが、社長の悩みは必ずしもその分野だけではありません。全体を見て部分に入っていくというコンサルティングアプローチは、タナベ経営独自のものだと思っています。

日本の経営コンサルティングのパイオニアとして、ファームのスタイルを確立していくことが強みになると考えています。

司会者:プレゼンテーションの中では会社を病院に例えていましたが、内科だけではなく、皮膚科・耳鼻咽喉科などのすべてを網羅している総合病院のようなイメージということでよろしいですか?

若松:そうですね。病院であれば、人の命を預かる立場として、がん・脳梗塞・心筋梗塞などの三大疾病や新型コロナウイルス等を治すことができなければ、人の命は救えません。

創業の原点でもお伝えしたように、「企業の命を救う」ということに関して、実は、私自身1,000社以上のコンサルティングを行ってきて、そのうち300社の企業の再生、再建をしたコンサルタントとしての経験があります。そのようなことを通じて、命が救える総合病院というのが、他社との違いだと思っています。

質疑応答:女性活躍について

司会者:現在、世間的にも非常に注目されていますが、女性の活躍状況については、いかがでしょうか?

若松:当社には、コンサルティングの診療科目が大変多くあります。マーケティング分野、ブランディング分野となると、コンサルタントの半数が女性コンサルタントであり、活躍しています。

また、こちらも診療科目、いわゆるコンサルティングメニューの中で、例えばHRの分野、人材に関する部分、アカデミーの分野などは、女性コンサルタントが活躍しています。

そのような意味では、今後の幅広いマーケットにおける企業の課題として、女性の意思決定や考え方がないと決まらない要素が多いと考えており、積極的に女性コンサルタントも採用して活躍してもらっています。

質疑応答:働き方について

司会者:コンサルティング企業は多忙なイメージですが、働き方改革について教えてください。確かに常にお忙しく、24時間働いているようなイメージがあります。

若松:こちらに関しては非常に初歩的な表現かもしれませんが、社内のDX化も推進しており、私たち自身も実際にパソコンを1人1台、iPhoneを1人1台所有し、どこでも仕事ができる環境を実現しています。それから先ほどお伝えしたように、地域密着といったことも大きいのではないかと思います。

若松:東京、大阪から全国へ展開する場合は、コンサルタントは出張により活動範囲を広げます。それが働き方に影響するわけですが、我々は地域に密着しているため、コンサルタントの行動範囲がそれほど大きくならないということが1つありますし、もう1つはチームで行っているということが大きいと思います。

チームでコンサルティングを行っているため、お互いの専門領域をカバーし合いながらクライアントに対応できるようにDX、ITの環境を整えています。また、他社にはないクライアントのそばにいるという、地域に密着していることで行動の制約をあまりされず、働き方の大変さはかなり軽減されます。

チームで行っているということは、お互いをカバーリングできるスタイルですので、このあたりが働き方改革といいますか、コンサルタントの働き方を大きく変革している要素であると、意図して取り組みを行っています。

司会者:若松さまの話の中で何度も「チーム」という言葉が出ていますが、1人だけに負担がかからないようにチームで支え合っているというイメージですか?

若松:そうですね。例えば会社を見る時、全体はゼネラリストが戦略を組みますが、それに合わせて財務、会計が得意なコンサルタント、HR、人事が得意なコンサルタント、マーケティングが得意なコンサルタント、生産や開発が得意なコンサルタントがチームを組むことで、会社を全体から俯瞰的に見ることができます。

ですので、私たちは「Client First」という言葉よりも、「All for Our Client」という、クライアント中心主義という考え方を重視しています。それは患者を中央に置いて周りに専門家がいるような状況で、それにより身体全体を見た上で、どこが問題なのかといったところからアプローチしていきます。

その意思決定の中に女性の考え方が入り、多様性を持って議論していくことにより、アウトプットとしてのコンサルティング価値を高めることが、チームコンサルティングの本質だと考えています。

質疑応答:コンサルタントの確保・育成について

司会者:デジタル・ICT技術を活用したコンサルティングができる優秀なコンサルタントの確保・育成はどのようにされていますか?

また優秀なコンサルタント人材の採用についても、あわせて教えていただきたいです。確かにコンサルティングを行うにも、優秀なコンサルタントがいないと話にならないと思いますが、育成や採用について、どのようなところにポイントがありますか?

若松:まず育成に関しては、私たちは、先ほどご紹介したアカデミーという企業内大学を最初の1校目として作りました。

司会者:自分たちで行ったのですね。

若松:自分たちでコンサルタントアカデミーを作りました。日本にはMBAを取得するためのスクールは多くありますが、コンサルタントを養成するスクールはないため、それを私たち自身で作ろうと、タナベ経営の中にコンサルタントアカデミーを作りました。

新卒やキャリアで入ってきた方も、より実践的にコンサルティングのメソッドを学べるようなプログラムが300講座ほどあり、講師はすべてクライアントに提供しているアカデミーと同様に、当社のコンサルタントが行っています。このように、OJTを超えたノウハウを共有化できる仕組みを作っています。

また、キャリア採用者に対する教育インフラがあることが大前提になりますが、キャリア採用に関しては、業界に精通し実務を経験している方を採用することが多く、入社後にコンサルティングスキルを身につけいただくことで、コンサルタントを育成していくことが多いです。

もちろん、このような昨今ですので、採用そのものが容易ではありませんが、採用戦略に力を入れていることに加え、当社独自の育成プログラムによるコンサルタントの養成が私たちの強みだと考えています。

司会者:個人的な疑問ですが、コンサルタントに向いている人というのは、どういった方ですか?

若松:プロフェッショナルの仕事においては、採用する時も「就社」ではなくて「就職」と話しています。「就社」は入社後、どの部門で仕事をするかについては会社に任せます。しかし、コンサルタントはプロフェッショナルな職業なので、「就職」です。

ということは、やはり「コンサルタントになりたい」という意志がないと、基本的にはなることができない仕事です。

私は、まずは「プロフェッショナルになりたい」とか「ビジネスドクターになりたい」という気持ちがあるかどうかが、やはり第1ボタンだと思っています。タナベ経営の中には、先ほどご紹介しましたとおりコンサルタントの育成プログラムがあるため、それを通じて、また臨床を通じて経験値を上げていくことができます。

もう1つは、コンサルティングのアプローチやリーダーシップと当社では表現していますが、コンサルタント自らが治療するわけではないので、どこまでいっても医者として患者自らが治すことへの手助けをするため、やはりリーダーシップがすごく大事になります。

それは上からや横からというより、どちらかというとサーバント・リーダーシップであります。支えていく、寄り添っていくようなリーダーシップが、今のコンサルタントにはすごく大事だと思います。そのようなスキルを持った人を、意図して採用しています。

質疑応答:消費者からの認知度について

司会者:堅実でしっかりとした経営をされ、法人の方からは有名な企業だと思いますが、失礼ながら、私たち一般消費者の認知度は低いと思います。認知度の向上のための方策を何か具体的に考えておられますか?

若松:個人投資家の皆さまにも、よりご理解を深めていただけるように、広報やブランディングを積極的に行っていきたいと考えており、本日の説明会もその活動の一環であるとご理解いただければありがたいです。ご指摘のとおり、そこは努力が足りていない部分であると思いますので、これからさらに注力していきます。 ご指摘いただき、ありがとうございます。

質疑応答:タナベ経営のコンサルティングの意義について

司会者:コンサルティングというと、法律事務所や会計事務所に依頼するものと考えがちですが、その中で、貴社へ依頼することの意義は何でしょうか?

若松:先ほど、5年以上の契約が45パーセントで、長期契約が50パーセントであるとご説明しましたが、例えば10年から30年、長いクライアントだと40年の契約が多くあります。

若松:我々が目指すのは「100年先も一番に選ばれる会社」というコンセプトであり、クライアントのみなさまと共有化している価値観です。それを実現していくためには、多くの経営課題を解決しなければいけません。

法律事務所や会計事務所などは、その分野における高いプロフェッショナル性をお持ちですが、その専門領域だけでは、「First Call Company 100年先も一番に選ばれる会社」の条件を満たすことができないと私たちは考えています。

当社のコンサルタントにも、それぞれプロフェッショナルとしての専門性があり、クライアント別に最適な専門チームを組成します。「First Call Company」、我々は「FCC」と略していますが、この実現のために何ができるのかを各専門チームがクライアントとともに研究と臨床を重ね、診療科目・コンサルティングメニューの開発にもつながっています。そこに我々の価値があると考えています。

質疑応答:海外事業展開について

司会者:国内のみの事業展開ですが、海外事業展開等のアドバイスはされていますか?

若松:先ほどご紹介できていませんでしたが、「国際的視野に立脚して、世界への道を拓く」と経営理念で掲げています。

若松:創業時から世界へ挑戦しており、私自身も7、8ヶ国程、海外のコンサルティングをしてきました。

中堅企業では、海外に工場や拠点を出している会社が多くあります。その場合は、日系企業が海外展開する戦略に詳しいコンサルタントが海外へ行き、アドバイスしています。

先ほどご紹介した新たにグループ入りしたグローウィン・パートナーズは、クロスボーダーという海外のM&Aが得意で、数多くの実績があります。また、現在は新型コロナウイルス感染症の関係で実施できていませんが、クライアントである経営者との海外視察についても、多くの実績があります。

このように、海外の知見や海外へのコンサルティングのサポートは現在も行っていますが、ご指摘いただいたように、当社は海外に拠点を持っていません。

現地にいる海外の人材が、海外の企業をコンサルティングして初めてグローバル化と定義しており、現状の日本人が海外へ出張して、日系企業を支援することに留まらず、日本の経営コンサルティングのパイオニアとして、真のグローバル展開をぜひ実践したいと考えています。

過去には、上海や台湾への展開、アメリカやフランスの企業と提携したことがありましたが、直近は国内だけで展開しています。 今後は、M&Aの戦略なども含めて力強く展開していき、コロナ禍はその準備期間でもあると考えています。

質疑応答:M&A戦略の考え方について

司会者:先ほどの回答の中にも少し出ていましたが、リーディング・ソリューションとグローウィン・パートナーズをグループ化されました。貴社のM&Aに関する戦略、考え方等を教えてください。

若松:中期経営計画のスライドで十分にご説明できていなかったのですが、中期事業戦略として「C&C戦略」を掲げています。「C&C戦略」とは、「コンサルティング&コングロマリット」の略であり、直訳すれば「コンサルティングの多角化」という意味です。

若松:先ほどもお伝えしたように、総合病院の診療科目(コンサルティングメニュー)として、高度先進医療を提供していくために、今クライアントにとって何が必要であるのかを常に分析しています。クライアントのニーズに合わせた診療科目を展開するため、足らずの部分や強化する必要のある部分は、M&Aを戦略的に活用していきたいと考えています。

ただし、意味のない多角化ではなく、どこまでいっても病院、いわゆるビジネスドクターとしての多角化でありたいと思っており、ご縁があれば、これからも積極的にM&A戦略を推進していきたいと考えています。

質疑応答:中小企業へのコンサルティングについて

司会者:この1年で中堅、中小企業の体力がだいぶ落ちていると思います。企業の命を救うという観点から、貴社はどのようなコンサルティングを行っていきますか? とご質問をいただいています。確かに新型コロナウイルスの影響で、苦しんでいる企業は多くなってきていると思いますが、いかがでしょうか。

若松:先ほど診療科目とお伝えしたコンサルティングメソッドの中にターンアラウンド、企業再生があり、私自身にも300社近くの企業に企業再生支援を行ってきた経験があります。そのニーズのある会社に対して、積極的にメソッドを提供して企業を救うことが、今こそ我々の役割だとご指摘のとおり自覚しています。

また、タナベ経営は地域の100行以上の金融機関と提携しており、融資先で厳しい会社の情報を共有いただける関係性を構築しています。その100行以上の金融機関とともに、日本全国の苦しんでいる会社を支援しており、過去にも数多くの実績があります。

そして、M&Aにおいて、グローウィン・パートナーズはクロスボーダーや大手の事業再編型、いわゆるポートフォリオ再編型のM&Aに強みがあります。タナベ経営は、事業承継に強みがあり、会社が「存続するために」または「後継者がいない」「事業をどのように進めていけばいいのか」といった相談が多くあります。

それを金融機関と一緒に支援していくことが、企業を救う活動につながっていくと考えています。

質疑応答:コンサルタントが独り立ちするまでの期間について

司会者:コンサルタントは一から育てることもあるとのことですが、独り立ちまでどのくらいの期間をかけていますか? 企業内大学などで育成もしているとのことですが、どのくらいの期間で独り立ちできますか?

若松:先ほどご紹介したアカデミーを使うことで相当早くなっています。インプットの学びの場と、臨床の現場での経験に加えて、チームコンサルティングにより技術的にも体験できるためです。

専門領域では、2年から3年ほどで専門性を確立します。ゼネラルで全体がわかるまでには3年から5年程はかかると思います。

どこまでいってもコンサルティングは臨床の世界です。みなさまが病院に行かれて手術を受ける際、「あなたが最初に手術する患者だ」と言われたら、大きな手術を頼む気にはならないと思います。

司会者:少し不安になりますね。

若松:何社、患者(クライアント)を診たのかという実績が医者(コンサルタント)の大事なポイントになります。これは臨床の世界なので、仕方のないことです。そのため、一定の期間は必ず必要になります。

半年や1年でコンサルタントが育つというのは、臨床経験からしても少し無理があるので、私たちは1年から3年程の期間をかけています。ゼネラルの場合は、3年から5年くらいをかけて一人前のプロフェッショナルにしていくことを基本スタンスに、先ほどお伝えしたアカデミーなどを使って育成しているとご理解いただければと思います。

質疑応答:リスク要因について

司会者:持続的成長を期待していますが、リスク要因を教えていただけますか?

若松:リスク要因の1つは、やはり人です。持続的成長のためには人材の採用と、その人材がクライアントの目線でプロフェッショナルなコンサルタントとしてしっかり育っているかがとても大事なポイントであると考えています。

もう1つは、クライアントの顧客価値です。これを私は「貢献価値」と呼んでいますが、「存在しているだけの価値」から「何で貢献するのか」というのがすごく求められる時代になりました。

結局、コンサルティングにおいて、我が社にはこんなに良い商品があると言っても、クライアントが求めていなければ、「貢献価値」にはなりません。

ですので、クライアントの価値から見た診療科目の転換、コンサルティングそのものをトランスフォーメーションできるかが非常に大事だと思っています。そこが私たちの大事な生命線であり、持続的成長の条件と考えています。その部分を機動的にしていくためにも、採用と育成に加えてM&Aなどで強化しているとご理解いただければと思います。

質疑応答:強みを生かしている業種・業界について

司会者:プレゼンテーションで「さまざまな業種・業界に」というお話をされていましたが、その中でも強みを生かせている業種・業界はありますか?

若松:特に建設、住宅系は地域に密着していることもあり、業種の中ではニーズが多いところです。加えて食品については、外食より食品メーカーで地域の優秀な会社との取引が多くあり、ノウハウが蓄積されています。他には、ヘルスケアも同様です。また、最近では特にライフスタイル型などで付加価値を生み出していくブランディングが必要なサービス業に関して、大きな強みを持っているとお考えいただけたらと思います。

ただ、その業界の裾野が広いため、当社の強みを生かせる業種を増やしています。

質疑応答:市場でのシェアについて

司会者:業界に詳しくない方からのご質問です。「業界に詳しくないため、まったく想像できないのですが、貴社のような経営コンサルティングを利用している企業は、全体の何パーセントくらいのイメージでしょうか?」といただいています。

若松:難しいご質問ですが、我々が対外的に出している数値は、「当社を取り巻くコンサルティング業界の現状」のスライドで記載しているシェアですが、これをどう捉えるかになります。

ビジネスコンサルティングの市場規模の中では1パーセント程であり、その企業数の分母はスライド下部に記載のとおり、385万社ある中で当社は0.4パーセント程のシェアしかないということです。

ただ、中堅企業に絞ると、シェアは非常に高く、「タナベ経営」を知らない中堅企業の社長はいないと思います。あとは「『First Call Company』になりたい」または「成長したい」というニーズをお持ちの経営者の中では認知度が高いと思います。

そのターゲット層の認知度、ブランディングはできていると考えており、これからシェアをどんどん上げていきます。

質疑応答:健康経営について

司会者:コンサルティング会社で健康経営に認定されていたのを見て驚きましたが、どのような点に力を入れていますか?

若松:今回の新型コロナウイルス感染症の対策で、テレワークやシフトワークなどに積極的に取り組んでいることが当然ベースとしてあります。また、ダイバーシティー&インクルージョンや、働き方改革、ワーク・ライフ・バランスに関する取り組みなど、健康に関する多種多様な取り組みを行ってきたことに対して高くご評価いただくことができました。

質疑応答:活動を補助する業種について

司会者:貴社の活動を補助する業種としてはどのようなものがありますか? 金融、リース、保険業などでしょうか?

若松:そうですね。金融になるかもしれません。その他の分野に関しては、あまり直接的にはないのかもしれません。また「補助」を、どのような意味でご質問いただいているかで少しお答えが変わるかと思います。

先ほどお伝えしたように、金融という部分ではアライアンスもそうですし、企業に対しての資金援助でも大きく関わってきます。「補助」という分野では、そのような関係性にあると解釈しています。

司会者:みなさま、たくさんのご質問をありがとうございました。それでは最後に若松さま、一言お願いします。

若松氏からご挨拶

私たちは「広くもっと『タナベ経営』を知っていただかなければいけない」と思っています。

日本の経営コンサルティングのパイオニアとして、これからも恥じない、日本にとって価値あるコンサルティングサービスを提供していきたいと強く思っていますので、個人投資家のみなさまにおかれましても、引き続きご支援をいただければと思います。本当に長時間ご清聴ありがとうございました。